この発明に係る光画像計測装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施形態では、眼科分野において使用され、生体眼のOCT画像を取得する装置について説明する。なお、生体眼以外の被測定物体のOCT画像を取得する場合においても、同様の構成により同様の作用及び効果を得ることが可能である。
この実施形態では、フーリエドメインタイプの手法を適用する構成について詳しく説明する。特に、この実施形態では、特許文献5に開示された装置とほぼ同様の構成を具備する光画像計測装置を取り上げる。なお、他の構成を適用する場合においても、この実施形態と同様の構成を適用することにより同様の作用及び効果が得られる。たとえば、スウェプトソースタイプのように信号光を走査(スキャン)する任意のタイプのOCT技術に対して、この実施形態に係る構成を適用することが可能である。また、フルフィールドタイプのように信号光を横方向にスキャンしないタイプのOCT技術に対して、この実施形態に係る構成を適用することも可能である。
[構成]
光画像計測装置1は、図1に示すように、眼底カメラユニット1A、OCTユニット150及び演算制御装置200を含んで構成される。これら各部は、複数の筐体内に分散して設けられていてもよいし、単一の筐体内にまとめて設けられていてもよい。眼底カメラユニット1Aは、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。眼底カメラは、眼底を撮影する装置である。また、眼底カメラは、眼底血管の形態の撮影に利用される。OCTユニット150は、被検眼のOCT画像を取得するための光学系を格納している。演算制御装置200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
OCTユニット150には、接続線152の一端が取り付けられている。接続線152の他端には、接続線152を眼底カメラユニット1Aに接続するコネクタ部151が取り付けられている。接続線152の内部には光ファイバ152aが導通されている(図3を参照)。OCTユニット150と眼底カメラユニット1Aは、接続線152を介して光学的に接続されている。演算制御装置200は、眼底カメラユニット1A及びOCTユニット150のそれぞれと、電気信号を伝達する通信線を介して接続されている。
〔眼底カメラユニット〕
眼底カメラユニット1Aは、眼底表面の形態を表す2次元画像を形成するための光学系を有する。ここで、眼底表面の2次元画像には、眼底表面を撮影したカラー画像やモノクロ画像、更には蛍光画像(フルオレセイン蛍光画像、インドシアニングリーン蛍光画像等)などが含まれる。
眼底カメラユニット1Aには、従来の眼底カメラと同様に、各種のユーザインターフェイスが設けられている。このユーザインターフェイスの例として、操作パネル、コントロールレバー(ジョイスティック)、撮影スイッチ、合焦ハンドル、ディスプレイなどがある。操作パネルには、各種のスイッチやボタンが設けられている。コントロールレバーは、操作パネル等が設けられた架台や、光学系が内蔵された装置本体を、装置ベースに対して3次元的に移動させるために操作される。コントロールレバーは、特に、手動でのアライメント操作時に使用される。撮影スイッチは、コントロールレバーの上端に設けられ、眼底像やOCT画像の取得を指示するために使用される。また、撮影スイッチは、他の機能を実行する際にも使用される。操作パネルやコントロールレバーは、眼底カメラユニット1Aの検者側の位置(後面)に設けられている。合焦ハンドルは、たとえば装置本体の側面に設けられ、フォーカス調整(ピント合わせ)を行うために使用される。なお、合焦ハンドルを操作すると、後述の合焦レンズが移動されてフォーカス状態が変更される。ディスプレイは、眼底カメラユニット1Aの検者側の位置に設けられ、光画像計測装置1により取得された画像、患者情報、撮影条件等の各種情報を表示する。眼底カメラユニット1Aの被検者側の位置(前面)には、被検者の顔を保持するための顎受けや額当てが設けられている。
眼底カメラユニット1Aには、従来の眼底カメラと同様に、照明光学系100と撮影光学系120が設けられている。照明光学系100は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系120は、この照明光の眼底反射光を撮像装置10、12に導く。また、撮影光学系120は、OCTユニット150からの信号光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した信号光をOCTユニット150に導く。
照明光学系100は、従来の眼底カメラと同様に、観察光源101、コンデンサレンズ102、撮影光源103、コンデンサレンズ104、エキサイタフィルタ105及び106、リング透光板107、ミラー108、LCD(Liquid Crystal Display)109、照明絞り110、リレーレンズ111、孔開きミラー112、対物レンズ113を含んで構成される。
観察光源101は、たとえば約700nm〜800nmの範囲の近赤外領域の波長を含む照明光を出力する。この近赤外光は、OCTユニット150で使用する光の波長よりも短く設定されている(後述)。撮影光源103は、たとえば約400nm〜700nmの範囲の可視領域の波長を含む照明光を出力する。
観察光源101から出力された照明光は、コンデンサレンズ102、104、(エキサイタフィルタ105又は106、)リング透光板107、ミラー108、反射棒109b、照明絞り110、リレーレンズ111を介して孔開きミラー112に到達する。更に、この照明光は、孔開きミラー112により反射され、対物レンズ113を介して被検眼Eに入射して眼底Efを照明する。一方、撮影光源103から出力された照明光は、同様にコンデンサレンズ104から対物レンズ113までを経由して被検眼Eに入射して眼底Efを照明する。
撮影光学系120は、対物レンズ113、孔開きミラー112(の孔部112a)、撮影絞り121、バリアフィルタ122及び123、合焦レンズ124、リレーレンズ125、撮影レンズ126、ダイクロイックミラー134、フィールドレンズ(視野レンズ)128、ハーフミラー135、リレーレンズ131、ダイクロイックミラー136、撮影レンズ133、撮像装置10、反射ミラー137、撮影レンズ138、撮像装置12、レンズ139及びLCD140を含んで構成される。撮影光学系120は、従来の眼底カメラとほぼ同様の構成を有する。合焦レンズ124は、撮影光学系120の光軸方向に移動可能とされている。
ダイクロイックミラー134は、照明光学系100からの照明光の眼底反射光(約400nm〜800nmの範囲に含まれる波長を有する)を反射する。また、ダイクロイックミラー134は、OCTユニット150からの信号光LS(たとえば約800nm〜900nmの範囲に含まれる波長を有する;図3を参照)を透過させる。
ダイクロイックミラー136は、観察光源101からの照明光の眼底反射光を反射し、撮影光源103からの照明光の眼底反射光を透過させる。
LCD140は、被検眼Eを固視させるための固視標(内部固視標)を表示する。LCD140からの光は、レンズ139により集光され、ハーフミラー135により反射され、フィールドレンズ128を経由してダイクロイックミラー136に反射される。更に、この光は、撮影レンズ126、リレーレンズ125、合焦レンズ124、孔開きミラー112(の孔部112a)、対物レンズ113等を経由して被検眼Eに入射する。それにより、眼底Efに内部固視標が投影される。
LCD140による内部固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視方向を変更することができる。被検眼Eの固視方向としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための固視方向や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための固視方向や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための固視方向などがある。固視位置の変更は、たとえば操作パネルを操作することで行う。
撮像装置10には、撮像素子10aが内蔵されている。撮像装置10は、特に近赤外領域の波長の光を検出可能である。つまり、撮像装置10は、近赤外光を検出する赤外線テレビカメラとして機能する。撮像装置10は、近赤外光を検出して映像信号を出力する。撮像素子10aは、たとえば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の任意の撮像素子(エリアセンサ)である。
撮像装置12には、撮像素子12aが内蔵されている。撮像装置12は、特に可視領域の波長の光を検出可能である。つまり、撮像装置12は、可視光を検出するテレビカメラとして機能する。撮像装置12は、可視光を検出して映像信号を出力する。撮像素子12aは、撮像素子10aと同様に、任意の撮像素子(エリアセンサ)により構成される。
タッチパネルモニタ11は、各撮像素子10a、12aからの映像信号に基づいて眼底像Ef′を表示する。また、この映像信号は演算制御装置200に送られる。このタッチパネルモニタ11は、前述のディスプレイの一例である。
眼底カメラユニット1Aには、走査ユニット141とレンズ142とが設けられている。走査ユニット141は、OCTユニット150から出力される信号光LSの眼底Efに対する照射位置を走査する。
走査ユニット141は、図1に示すxy平面上において信号光LSを走査する。そのために、走査ユニット141には、たとえば、x方向への走査用のガルバノミラーと、y方向への走査用のガルバノミラーとが設けられている。
照明光学系100の反射棒109bは、LED109aとともに合焦光学系を構成している。合焦光学系は、従来の眼底カメラと同様に、フォーカス調整に用いられる視標(スプリット輝線)を被検眼Eに投影するものである。反射棒109bは、照明光学系100の光軸に対して挿脱可能とされている。反射棒109bの一端は、照明光学系100の光軸に対して傾斜した反射面を有している。LED109aからの出力光は、この反射面に反射され、照明光と同様の経路を介して被検眼Eに投射される。
合焦光学系は、反射棒109bの反射面と眼底Efとが光学的に共役にとなるように、合焦レンズ124の移動と連動して、照明光学系100の光軸方向に移動される。反射面と眼底Efとが共役になっていない場合、一対のスプリット輝線は一直線上に並ばずに左右方向に分離して見える。一方、反射面と眼底Efとが共役になっている場合には、一対のスプリット輝線は一直線上に並んで見える。これを利用してフォーカス調整を行うことができる。このようなスプリット輝線を用いたフォーカス調整は、従来の眼底カメラ等において広く利用されている。
合焦レンズ124とリレーレンズ125との間の光路上には、ハーフミラー190が斜設されている。ハーフミラー190は、図2(A)に示すアライメント光学系190Aの光路と撮影光学系120の光路(撮影光路)とを合成するように作用する。アライメント光学系190Aは、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)に用いられるアライメント輝点を被検眼Eに投影するための光学系である。
アライメント輝点は、被検眼Eの角膜頂点を光学系100、120の光軸に一致させるアライメント(図1に示すxy方向のアライメント)と、被検眼Eと光学系100、120との間の距離(図1のz方向;ワーキングディスタンス(working distance);被検眼Eの角膜(頂点)と対物レンズ113との間の距離)のアライメントとの双方に用いられる(たとえば特開平11−4808号公報を参照)。
アライメント光学系190Aは、図2(A)に示すように、ハーフミラー190とともに、アライメント光源190a、ライトガイド190b、反射ミラー190c、2孔絞り190d及びリレーレンズ190eを含んで構成されている。アライメント光源190aは、たとえば、近赤外領域の光(アライメント光)を出力するLED等の光源によって構成される。
2孔絞り190dは、図2(B)に示すように、2つの孔部190d1、190d2を有している。孔部190d1、190d2は、たとえば円盤状の2孔絞り190dの中心位置190d3に対して対称な位置に形成されている。2孔絞り190dは、この中心位置190d3がアライメント光学系190Aの光軸上に位置するようにして配設される。
ライトガイド190bの射出端190βから射出されたアライメント光は、反射ミラー190cにより反射されて2孔絞り190dに導かれる。2孔絞り190dの孔部190d1、190d2を通過したアライメント光(の一部)は、リレーレンズ190eを経由し、ハーフミラー190により反射されて孔空きミラー112に導かれる。このとき、リレーレンズ190eは、ライトガイド190bの射出端190βの像を孔空きミラー112の孔部112aの中央位置(撮影光学系120の光軸上の位置)に中間結像させる。孔空きミラー112の孔部112aを通過したアライメント光は、対物レンズ113を介して被検眼Eの角膜に投影される。
ここで、被検眼Eと眼底カメラユニット1A(対物レンズ113)との位置関係が適正である場合、すなわち、被検眼Eと眼底カメラユニット1Aとの間の距離(ワーキングディスタンス)が適正であり、かつ、眼底カメラユニット1Aの光学系の光軸と被検眼Eの眼軸(角膜頂点位置)とが(ほぼ)一致している場合、2孔絞り190dにより形成される2つの光束(アライメント光束)は、角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置においてそれぞれ結像するようにして被検眼Eに投影される。
2つのアライメント光束(アライメント光)の角膜反射光は、撮影光学系120を介して撮像素子10aにより受光される。撮像素子10aによる撮影画像は、タッチパネルモニタ11や演算制御装置200のディスプレイ(後述)等の表示デバイスに表示される。
ここで、図4を参照しつつ、フォーカス調整及びアライメント調整について説明する。この表示画面は、たとえばタッチパネルモニタ11に表示される。この表示画面に呈示される情報としては、患者ID301;左右眼情報302、撮影光源充電情報303、撮影光量補正情報304、撮影光量レベル情報305、自動撮影情報306、画角情報307、固視位置情報308、アライメントスケール309、一対のアライメント輝点310、一対のスプリット輝線311、観察光量レベル情報312、及び小瞳孔情報313がある。
左右眼情報302は、被検眼Eが左眼(L)であるか右眼(R)であるかを表す情報である。撮影光源充電情報303は、撮影光源103(キセノンランプ)の充電状態を表す情報である。撮影光量補正情報304は、操作パネルにて設定された撮影光量の補正値を表す情報である。撮影光量レベル情報305は、撮影光量の設定値を表す情報である。自動撮影情報306は、オートシュート(自動撮影)やオートフォーカス等、撮影作業を自動化する機能がオンになっている場合に呈示される。画角情報307は、撮影画角(撮影倍率)の設定値を表す情報である。固視位置情報308は、被検眼Eの固視位置(固視方向)の設定値を表す情報である。観察光量レベル情報312は、観察光量の設定値を表す情報である。小瞳孔情報313は、被検眼Eが小瞳孔である場合に使用される小瞳孔絞り(図示せず)が適用されている場合に呈示される。
アライメントについて説明する。一対のアライメント輝点310は、アライメント光学系190Aにより被検眼Eに投影される光の受光像である。アライメントスケール309は、一対のアライメント輝点310の移動目標となる位置を表す括弧型の画像である。検者は、一対のアライメント輝点310がアライメントスケール309内に入るように、コントロールレバーを操作して眼底カメラユニット1Aを3次元的に移動させることにより、被検眼Eに対する光学系のアライメントを行う。
このように手動でアライメント調整を行う代わりに、オート(自動)アライメント機能を適用することも可能である。オートアライメントは、たとえば、表示画面中における各アライメント輝点310の位置を特定し、各特定位置とアライメントスケール309との位置のズレを求め、このズレをキャンセルするように眼底カメラユニット1Aを移動させるようにして行う。各アライメント輝点310の位置の特定は、たとえば、各アライメント輝点の輝度分布を求め、この輝度分布に基づいて重心位置を求めることにより実行できる。アライメントスケール309の位置は一定であるので、たとえばその中心位置と上記重心位置との変位を求めることにより、上記ズレを求めることが可能である。眼底カメラユニット1Aの移動方向及び移動距離は、あらかじめ設定されたx方向、y方向及びz方向の各方向における単位移動距離(たとえば、眼底カメラユニット1Aをどの方向にどれだけ移動させると、アライメント輝点310がどの方向にどれだけ移動するかを事前に計測した結果)を参照して決定することが可能である。なお、オートアライメントを行う場合には、眼底カメラユニット1Aを移動させるためのアクチュエータ(パルスモータ等)が設けられる。
フォーカス調整について説明する。一対のスプリット輝線311は、上下方向に並んで呈示される。検者は、フォーカス調整を行うために、合焦ハンドルを操作して合焦レンズ124や合焦光学系を移動させる。それに伴い、上下のスプリット輝線311は左右方向に移動する。検者は、上下のスプリット輝線311が、上下に延びる一直線上に位置するように合焦ハンドルを操作することによりピント合わせを行う。
このように手動でフォーカス調整を行う代わりに、オートフォーカス機能を適用することも可能である。オートフォーカスは、たとえば、各スプリット輝線311の表示位置を特定し、上下のスプリット輝線311が一直線上に位置するような合焦レンズ124等の移動方向及び移動距離を求めることにより行う。各スプリット輝線311の表示位置は、たとえば、各スプリット輝線311の輝度分布から重心位置を求めることにより行うことが可能である。上記移動方向及び移動距離は、たとえば、あらかじめ設定された単位移動距離(たとえば、合焦レンズ124等をどの方向にどれだけ移動させると、スプリット輝線311がどの方向にどれだけ移動するがを事前に測定した結果)を参照して決定することが可能である。
〔OCTユニット〕
次に、OCTユニット150の構成について図3を参照しつつ説明する。OCTユニット150は、従来のフーリエドメインタイプの光画像計測装置と同様の光学系を備えている。すなわち、OCTユニット150は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、被検眼の眼底を経由した信号光と参照物体を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出して検出信号を生成する光学系を備えている。この検出信号は演算制御装置200に送られる。
低コヒーレンス光源160は、広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する広帯域光源である。この広帯域光源としては、たとえば、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などを用いることができる。
低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長の光を含み、かつ、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。低コヒーレンス光L0は、眼底カメラユニット1Aの照明光(波長約400nm〜800nm)よりも長い波長、たとえば約800nm〜900nmの範囲の波長を含んでいる。
低コヒーレンス光源160から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ161を通じて光カプラ162に導かれる。光ファイバ161は、たとえばシングルモードファイバやPMファイバ(Polarization maintaining fiber;偏波面保持ファイバ)等により構成される。光カプラ162は、低コヒーレンス光L0を参照光LRと信号光LSとに分割する。
なお、光カプラ162は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を重畳する手段(カプラ;coupler)の双方の作用を有するが、ここでは慣用的に「光カプラ」と称する。
光カプラ162により生成された参照光LRは、シングルモードファイバ等からなる光ファイバ163により導光されてそのファイバ端面から出射される。更に、参照光LRは、コリメータレンズ171により平行光束とされ、ガラスブロック172、偏光板(λ/4板)175及び濃度フィルタ173を経由し、参照ミラー174により反射される。参照ミラー174は、この発明の「参照物体」の例である。
参照ミラー174により反射された参照光LRは、再び濃度フィルタ173、偏光板175及びガラスブロック172を経由し、コリメータレンズ171によって光ファイバ163のファイバ端面に集光され、光ファイバ163を通じて光カプラ162に導かれる。
なお、ガラスブロック172と濃度フィルタ173は、参照光LRと信号光LSの光路長(光学距離)を合わせるための遅延手段として作用する。また、ガラスブロック172と濃度フィルタ173は、参照光LRと信号光LSの分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
濃度フィルタ173は、参照光LRの光量を減少させる減光フィルタとして作用する。濃度フィルタ173は、たとえば、回転型のND(Neutral Density)フィルタにより構成される。濃度フィルタ173は、図示しない駆動機構によって回転駆動されて、干渉光LCの生成に寄与する参照光LRの光量を変更する。
また、偏光板175は、参照光LRの光路長を補正するために用いられるとともに、OCT画像の画質を高めるために使用される。偏光板175は、参照光LRの光路方向に直交する方向に対してたとえば3度程度傾斜して配置される。偏光板175は、所定の駆動機構により回転駆動され、それにより干渉像の画質が調整される。
参照ミラー174は、所定の駆動機構により、参照光LRの進行方向(図3に示す両側矢印方向)に移動される。それにより、被検眼Eの眼軸長やワーキングディスタンス(対物レンズ113と被検眼Eとの間の距離)などに応じて、参照光LRの光路長を確保できる。
他方、光カプラ162により生成された信号光LSは、シングルモードファイバ等からなる光ファイバ164により接続線152の端部まで導光される。ここで、光ファイバ164と光ファイバ152aは、単一の光ファイバから形成されていてもよいし、各々の端面同士を接合するなどして一体的に形成されていてもよい。
信号光LSは、光ファイバ152aにより導光されて眼底カメラユニット1Aに案内される。更に、信号光LSは、レンズ142、走査ユニット141、ダイクロイックミラー134、撮影レンズ126、リレーレンズ125、ハーフミラー190、合焦レンズ124、撮影絞り121、孔開きミラー112の孔部112a、対物レンズ113を経由して被検眼Eに照射されて眼底Efに照射される。なお、信号光LSを眼底Efに照射させるときには、バリアフィルタ122、123は事前に光路から退避される。
被検眼Eに入射した信号光LSは、眼底Ef上にて結像し反射される。このとき、信号光LSは、眼底Efの表面で反射されるだけでなく、眼底Efの深部領域にも到達して屈折率境界において散乱される。したがって、眼底Efを経由した信号光LSは、眼底Efの表面形態を反映する情報と、眼底Efの深層組織の屈折率境界における後方散乱の状態を反映する情報とを含んでいる。この光を単に「信号光LSの眼底反射光」と呼ぶことがある。
信号光LSの眼底反射光は、被検眼Eに向かう信号光LSと同じ経路を逆方向に案内されて光ファイバ152aの端面に集光される。更に、信号光LSの眼底反射光は、光ファイバ152aを通じてOCTユニット150に入射し、光ファイバ164を通じて光カプラ162に戻ってくる。
光カプラ162は、眼底Efを経由して戻ってきた信号光LSと、参照ミラー174にて反射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光LCを生成する。干渉光LCは、シングルモードファイバ等からなる光ファイバ165を通じてスペクトロメータ180に導かれる。
スペクトロメータ(分光計)180は、干渉光LCのスペクトル成分を検出する。スペクトロメータ180は、コリメータレンズ181、回折格子182、結像レンズ183、CCD184を含んで構成される。回折格子182は、透過型でも反射型でもよい。また、CCD184に代えて、CMOS等の他の光検出素子(ラインセンサ又はエリアセンサ)を用いることも可能である。
スペクトロメータ180に入射した干渉光LCは、コリメータレンズ181により平行光束とされ、回折格子182によって分光(スペクトル分解)される。分光された干渉光LCは、結像レンズ183によってCCD184の撮像面上に結像される。CCD184は、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCD184は、この電荷を蓄積して検出信号を生成する。更に、CCD184は、この検出信号を演算制御装置200に送る。
なお、この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。
〔演算制御装置〕
演算制御装置200の構成について説明する。演算制御装置200は、CCD184から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のフーリエドメインタイプの光画像計測装置と同様である。
また、演算制御装置200は、眼底カメラユニット1A及びOCTユニット150の各部を制御する。
眼底カメラユニット1Aの制御として、演算制御装置200は、観察光源101や撮影光源103による照明光の出力制御、エキサイタフィルタ105、106やバリアフィルタ122、123の光路上への挿入/退避動作の制御、LCD140等の表示装置の動作制御、照明絞り110の移動制御(絞り値の制御)、撮影絞り121の絞り値の制御、合焦レンズ124の移動制御(フォーカス調整、倍率調整)、合焦光学系やアライメント光学系190Aの制御などを行う。更に、演算制御装置200は、走査ユニット141を制御して信号光LSを走査させる。
また、OCTユニット150の制御として、演算制御装置200は、低コヒーレンス光源160による低コヒーレンス光L0の出力制御、参照ミラー174の移動制御、濃度フィルタ173の回転動作(参照光LRの光量の減少量の変更動作)の制御、CCD184による電荷蓄積時間や電荷蓄積タイミングや信号送信タイミングの制御などを行う。
演算制御装置200は、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、キーボード、マウス、ディスプレイ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブには、光画像計測装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。また、演算制御装置200は、CCD184からの検出信号に基づいてOCT画像を形成する専用の回路基板を備えていてもよい。
〔制御系〕
光画像計測装置1の制御系の構成について図5を参照しつつ説明する。なお、図5において、撮像装置10、12は眼底カメラユニット1Aと別途に記載され、CCD184はOCTユニット150と別途に記載されているが、上記の説明のように、撮像装置10、12は眼底カメラユニット1Aに搭載され、CCD184はOCTユニット150に搭載されている。
(制御部)
光画像計測装置1の制御系は、演算制御装置200の制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210は、この発明の「制御手段」の一例である。
制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。主制御部211は、眼底カメラユニット1A、OCTユニット150及び演算制御装置200の各部を制御する。
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像Ef′の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、たとえば、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報や、被検眼の診断結果・検査結果など、被検眼に関する各種の情報を含む。主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
更に、記憶部212には、アライメント調整やフォーカス調整における単位移動距離(前述)のデータが記憶される。また、記憶部212には、後述の動作(フローチャート)を実行するためのコンピュータプログラムが記憶される。主制御部211は、当該データや当該コンピュータプログラムに基づいて動作する。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCD184からの検出信号に基づいて眼底Efの断層像の画像データを形成する。この画像データ形成処理には、従来のフーリエドメインタイプのOCT技術と同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板や通信インターフェイス等を含んで構成される。画像形成部220は、この発明の「画像形成手段」の一例である。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づいて表示される「画像」とを同一視することがある。
(画像処理部)
画像処理部230は、眼底カメラユニット1Aにより取得された眼底像(眼底表面の撮影画像)や、画像形成部220により形成された断層像に対して、各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理などを実行する。
また、画像処理部230は、画像形成部220により形成された断層像の間の画素を補間する補間処理等を実行することにより、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。
なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、画像処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、一つの3次元座標系により表現する(つまり一つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。画像処理部230は、3次元画像に対して各種の画像処理や解析処理を行うことも可能である。
画像処理部230には、アライメント判定部231、合焦判定部232、像位置判定部233、画質判定部234、及びトラッキング判定部235が設けられている。これら判定部231〜235は、それぞれ、この発明の「判定手段」の一部を構成するものである。
アライメント判定部231は、光学系のアライメント調整後の所定のタイミングで、光学系の位置の適否、すなわち被検眼Eに対して光学系が適正な位置に配置されているか否か判定する。このように、アライメント判定部231は、アライメント調整後の所定のタイミングにおけるアライメント状態の適否を判定するものである。なお、アライメント調整後であっても、被検眼Eの眼球運動や被検者の動きなどによりアライメント状態が変化することがあるので、このようなアライメント判定は有効である。
アライメント判定部231が実行する処理の例を説明する。アライメント判定部231は、アライメント調整後においてアライメント輝点310が投影された状態で取得された被検眼Eの眼底像を解析する(図4を参照)。ここで、眼底像のフレームにおけるアライメントスケール309の位置は既知(一定)である。
まず、アライメント判定部231は、前述の要領で、一対のアライメント輝点310の位置(重心位置等)を特定する。続いて、アライメント判定部231は、これら特定位置が所定の許容範囲内、つまりアライメントスケール309(括弧形状の画像)内に入っているか判断する。これら特定位置が許容範囲内に入っていると判断された場合、アライメント判定部231は、アライメント状態が適正であると判定する。他方、これら特定位置が許容範囲内に入っていない場合、アライメント判定部231は、アライメント状態が適正でないと判定する。なお、アライメント状態の適否を判定する処理の具体例は、たとえば、本出願人による特願2008−13989に記載されている。
合焦判定部232は、フォーカス調整後の所定のタイミングで、合焦状態の適否、すなわち眼底Efに対して適正にフォーカスが為されているか否か(ピントが合っているか否か)を判定する。なお、フォーカス調整後であっても、被検眼Eの眼球運動や被検者の動きなどによりフォーカス状態が変化することがあるので、このようなアライメント判定は有効である。
合焦判定部232が実行する処理の例を説明する。合焦判定部232は、フォーカス調整後においてスプリット輝線311が投影された状態で取得された被検眼Eの眼底像を解析する(図4を参照)。
まず、合焦判定部232は、前述の要領で、上下のスプリット輝線311の左右方向における位置(重心位置)を特定する。続いて、合焦判定部232は、これら特定位置が左右方向における許容範囲内に入っているか判定する。この許容範囲はあらかじめ設定されている。それにより、上下のスプリット輝線311が略一直線上に配置されているか否か判定される。これら特定位置が許容範囲内に入っていると判断された場合、合焦判定部232は、フォーカス状態が適正であると判定する。他方、これら特定位置が許容範囲内に入っていない場合、合焦判定部232は、フォーカス状態が適正でないと判定する。なお、フォーカス状態の適否を判定する処理の具体例は、たとえば、本出願人による特願2008−13989に記載されている。
像位置判定部233は、眼底Efの断層像のフレーム内における位置の適否を判定する。特に、像位置判定部233は、フレーム内における断層像の深度位置(z方向の位置)の適否を判定する。
断層像は、一般に、アライメント調整とフォーカス調整の実施後に取得されるので、眼底表面(網膜表面)に相当する画像がフレーム内に現れる。像位置判定部233は、この眼底表面に相当する画像のフレーム内におけるz方向の位置を特定する。この処理の具体例を説明する。
断層像は、深度方向に延びる複数の1次元画像により構成される。これら1次元画像は、信号光LSの走査線に沿って並んでいる。また、断層像のフレームは黒色(輝度値0)であり、眼底の組織(層)に相当する画素は、その部位での反射光の強度に応じた輝度値を有している。信号光LSの届かない深さの部位は、黒色で表現される。すなわち、断層像は、黒色のフレーム中に眼底の様々な層をグレースケールで表現した画像である。なお、断層像は、輝度値に応じた疑似カラー画像であってもよい。
まず、像位置判定部233は、上記の各1次元画像を構成する画素の輝度値に基づいて、眼底表面に相当する画素を特定する。それにより、信号光LSの走査方向に沿って並ぶ画素群が特定される。この画素群が眼底表面に相当する画像領域となる。なお、特定対象は眼底表面に限定されるものではなく、たとえばIS/OSのように高輝度の部位であってもよい。
続いて、像位置判定部233は、特定された画素群が、z方向における許容範囲内に入っているか判断する。この許容範囲は、あらかじめ設定されている。画素群が許容範囲内に入っている場合、像位置判定部233は、フレーム内における断層像の深度位置が適正であると判定する。一方、画素群が許容範囲内に入っていない場合、像位置判定部233は、フレーム内における断層像の深度位置が適正でないと判定する。
また、断層像の上端領域(眼底表面に相当する画像領域)や下端領域(信号光LSの最新到達深度に相当する画像領域)がフレーム内に含まれるように、すなわち、上端領域や下端領域がフレームから切れないように、断層像の位置判定を行うようにしてもよい。そのためには、たとえば、各1次元画像において、フレームの上端近傍領域及び下端近傍領域の輝度値が0であるか否か、更には輝度値が0でない画素群が存在するか否かを判断するようにすればよい。
画質判定部234は、眼底Efの断層像を解析して、当該断層像の画質の適否を判定する。画質の評価方法には様々なものがあるが、以下に一例を説明する。
まず、画質判定部234は、断層像を構成する深度方向の各1次元画像について、最大輝度の画素と最小輝度の画素とを特定する。次に、画質判定部234は、特定された各画素を含む所定範囲の画素群(たとえば前後40画素分)の輝度値に基づいて、輝度値のヒストグラム(たとえば8bitのもの)を作成する。
続いて、画質判定部234は、最小輝度の画素を含む画素群に対応するヒストグラムにおいて、頻度値が0を超える最大の位置(輝度値)を探索する。更に、最大輝度の画素を含む画素群に対応するヒストグラムにおいて、上記で探索された輝度値以下の範囲に含まれる合計画素数(N)と、探索された輝度値より上から255番目の輝度値に含まれている合計画素数(S)とを求める。そして、画質判定部234は、当該断層像において信号とみなせる部分(つまりノイズではないとみなせる部分)が全体の何%になるのかを、次の演算式で評価する:100×S÷(S+N)。このような演算処理を各1次元画像毎に実行し、これら演算結果の平均値を画質の評価値として用いる。
画質判定部234は、このようにして得られた評価値が所定の閾値以上であるか判断する。この閾値は、あらかじめ設定される。評価値が閾値以上と判断された場合、画質判定部234は、画質が適正であると判定する。一方、評価値が閾値未満と判断された場合、画質判定部234は、画質が適正ではないと判定する。
トラッキング判定部235は、眼底Efの注目領域(OCT画像の取得対象領域)に対する信号光LSの照射位置のトラッキング(追従)を実行しているときに、そのトラッキング状態の適否を判定する。すなわち、トラッキング判定部235は、被検眼Eの眼球運動等に対して、信号光LSの照射位置のトラッキングが適切に実行されているか否か判定するものである。
なお、トラッキングは、走査ユニット141内のガルバノミラーを制御することで実行できる。たとえば眼底像(動画像)に基づいてトラッキングを行う場合、動画像の各フレーム中における眼底の特徴部位(視神経乳頭等)の位置を特定し、この特定位置が常に同じ位置(フレーム中心領域等)に配置されるように信号光LSの照射位置を制御する。
また、OCT画像に基づいてトラッキングを行う場合、所定の走査パターン(たとえば十字スキャン)を反復適用し、順次に得られる一対の断層像が描写する特徴形状(たとえば黄斑の凹形状)に基づいて、特徴点(たとえば黄斑中心)が常に同じ位置(フレーム中心領域等)に配置されるように信号光LSの照射位置を制御する。
なお、OCT計測を行う場合、眼底像によるトラッキングでは精度が不十分となるおそれがあるので、OCT画像に基づくトラッキングを行うことが望ましい。また、眼底像においては、視神経乳頭と比較して黄斑の位置を特定しにくいため、特に黄斑のOCT画像を取得する場合にはOCT画像によるトラッキングを行うことが望ましい。
OCT計測の対象部位は、内部固視標の選択により設定される(黄斑、視神経乳頭等)。トラッキング判定部235は、たとえば、信号光LSの走査領域内にトラッキング対象部位が入っているか否か判断することによりトラッキング状態の適否を判定する。
なお、走査領域は、たとえば撮影光学系120の光軸を中心とする所定領域(6mm×6mmの正方形領域など)に設定されている。また、トラッキング対象部位の位置は、たとえば上記のOCT画像を用いたトラッキングにより高い精度で得られる。
信号光LSは、眼底撮影の照明光同じ光軸(撮影光学系120の光軸)に沿って被検眼Eに照射され、その眼底反射光も当該光軸に沿って導光されるので、信号光LSの走査領域を当該光軸を中心に設定することにより、眼底像のフレーム中心と走査領域の中心位置とは一致する。これを利用して、走査領域の位置を表す画像と、トラッキング対象部位の位置を表す画像とを、眼底像上に表示させることができる(後述)。
以上のような構成を有する画像処理部230は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。また、所定の画像処理や解析処理を専門に行う回路基板などを含んでいてもよい。
(表示部、操作部)
表示部240は、タッチパネルモニタ11を含んで構成される。更に、演算制御装置200のディスプレイなども表示部240に含まれていてもよい。表示部240は、この発明の「表示手段」の一例である。操作部250は、たとえばキーボードやマウスのような、入力デバイスや操作デバイスを含んで構成される。また、操作部250には、光画像計測装置1の筐体表面や外部に設けられた各種の入力デバイスや操作デバイスが含まれている。
なお、表示部240と操作部250は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネル方式のLCDのように、表示部240と操作部250とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。
〔信号光の走査及びOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査及びOCT画像について説明しておく。
光画像計測装置1による信号光LSの走査態様としては、たとえば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。これらの走査態様は、眼底の観察部位、解析対象(網膜厚など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像を形成することができる(3次元スキャン)。垂直スキャンについても同様である。
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線状の軌跡(直線軌跡)からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの特殊例と考えられる。螺旋スキャンは、螺旋状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
走査ユニット141は、前述のような構成により、信号光LSをx方向及びy方向にそれぞれ独立に走査できるので、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、各走査点(照射位置)において深度方向御に延びる1次元画像が得られ、これら1次元画像を走査線(走査軌跡)に沿って配列させることにより、走査線の方向及び深度方向(z方向)に広がる2次元の断層像を形成することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像を形成することができる。
[動作]
光画像計測装置1の動作について説明する。図6及び図7に示すフローチャートは、光画像計測装置1の動作の一例を表す。また、図8〜図15は、表示画面の一例を表す。
まず、通常の眼底撮影と同様に、検査の準備を次のように行う(S1)。被検者の顔を顎受けや額当てに当接させ、被検眼Eを眼底カメラユニット1Aに対峙させる。
制御部210は、所定の操作(たとえば電源投入操作)に対応し、所定の表示画面(たとえば図8に示す表示画面290)を表示部240(タッチパネルモニタ11)に表示させる(S2)。表示画面290には、調整画面300と干渉像表示画面400とが含まれている。調整画面300は、図4に示した画面と同様のものであり、アライメント調整やフォーカス調整に使用される。図示は省略するが、調整画面300には眼底カメラユニット1Aによる撮影画像が表示される。また、図8〜図12及び図15においては、図4に示した情報のうち、以下の説明に不要な情報の図示が省略されている。干渉像表示画面400には干渉像が表示されるが(後述)、この段階の表示状態は、たとえば「砂嵐」状態となっている。
検者は、操作部250を操作して観察光源101を点灯させる。それにより被検眼Eの前眼部像が調整画面300に表示される。検者は、操作部250(コントロールレバー)を操作し、眼底カメラユニット1Aを被検者側に移動させる。このとき、調整画面300の表示画像が眼底観察像に切り替わる。
制御部210は、所定の操作に対応し、アライメント光源190aを点灯させる。それにより、被検眼Eにアライメント輝点が投影され、図9に示すように、調整画面300にアライメント輝点310が表示される(S3)。なお、この段階では、一般にアライメント状態が不適当であるため、2つのアライメント輝点310がアライメントスケール309の外側に表示される。
検者は、2つのアライメント輝点310をアライメントスケール309の内側に移動させるように、コントロールレバーを操作して眼底カメラユニット1Aの位置を調整する(S4)。アライメント調整が完了した状態の調整画面300を図10に示す。なお、このように手動でアライメント調整を行う代わりに、前述のようにオートアライメントを実行することも可能である。
アライメント調整が完了したら、フォーカス調整を行う。そのために、制御部210は、LED109aを点灯させる。それにより、被検眼Eにスプリット輝線が投影され、図11に示すように、調整画面300にスプリット輝線311が表示される(S5)。この段階では、一般にフォーカス状態が不適当であるため、上下のスプリット輝線311は一直線上に揃っていない。制御部210は、前述の要領でオートフォーカスを実行する(S6)。合焦判定部232は、このオートフォーカスによるフォーカス状態の適否を判定する(S7)。
フォーカス状態が適正でないと判定された場合、つまりオートフォーカスに失敗した場合(S7:No)、制御部210は、所定の警告情報を表示部240に表示させる(S8)。この警告情報は、たとえばオートフォーカスに失敗した旨や検査のやり直しを促す旨を報知するものである。警告情報は、文字列情報であってもよいし画像情報であってもよい。文字列情報の例として、次のようなメッセージがある:「オートフォーカスに失敗しました。再度コントロールレバーを引いてやり直してください。」。警告情報によりオートフォーカスの失敗を認識した検者は、検査を最初からやり直す。なお、ステップ7での「No」が所定回数発生した場合、検査を終了するなどしてもよい。
オートフォーカスに成功した場合(S7:Yes)、調整画面300に表示される上下のスプリット輝線311は、図12に示すように一直線上に配置される。アライメント判定部231は、この段階におけるアライメント輝点310の位置に基づいて、アライメント状態の適否を判定する(S9)。
アライメント状態が適正でないと判定された場合(S9:No)、制御部210は、所定の警告情報を表示部240に表示させる(S10)。この警告情報は、たとえばアライメントがずれてしまった旨やアライメントのやり直しを促す旨を報知するものである。警告情報は、文字列情報であってもよいし画像情報であってもよい。文字列情報の例として、次のようなメッセージがある:「アライメント輝点を合致させ、スケール内に入れてください。」。警告情報によりアライメント状態が適正でないことを認識した検者は、ステップ4に戻ってアライメントをやり直す。なお、ステップ9での「No」が所定回数発生した場合、検査を終了したり、検査を最初からやり直したりしてもよい。
アライメント状態が適正であると判定された場合(S9:Yes)、制御部210は、OCTユニット150や走査ユニット141や画像形成部220を制御して、眼底Efの干渉像(断層像)の自動検出を行う(S11)。自動検出は、たとえば、参照ミラー174を移動させつつ得られる検出信号を解析することにより実行できる。また、実際に干渉像を形成し、この干渉像の輝度値を解析することにより自動検出を行ってもよい。
自動検出に失敗した場合(S12:No)、制御部210は、所定の警告情報を表示部240に表示させる(S13)。この警告情報は、たとえば干渉像が検出されない旨や自動検出のやり直しを促す旨を報知するものである。警告情報は、文字列情報であってもよいし画像情報であってもよい。文字列情報の例として、次のようなメッセージがある:「干渉像の自動検出に失敗しました。再度実行して下さい。」。警告情報により自動検出に失敗したことを認識した検者は、所定の操作(たとえばタッチパネルモニタ11の画面に触れる)を行って、干渉像の自動検出のやり直しを指示する。なお、ステップ12での「No」が所定回数発生した場合、検査を終了したり、検査を最初からやり直したりしてもよい。
自動検出に成功した場合(S12:Yes)、フレームのどこかに眼底Efの干渉像が描写される。干渉像は、干渉像表示画面400の画像表示部401に表示される。この段階における干渉像は、たとえば図13に示すように、その一部が干渉像表示画面400からはみ出すような位置に表示される。
画質判定部234は、検出された干渉像の画質の適否を判定する(S14)。画質が適正でないと判定された場合(S14:No)、制御部210は、偏光板175を回転制御して画質レベルを高める(S15)。このとき、画質レベルが最大になるように偏光板175を制御することが望ましい。
なお、画質レベルは、干渉像表示画面400の画質表示部402に呈示される。画質表示部402は、画質の評価値を呈示するインディケータである。なお、評価値をそのまま表示するようにしてもよい。
画質レベルが適正であると判定された場合(S14:Yes)、像位置判定部233は、フレーム内における干渉像の位置の適否を判定する(S16)。
図13に示すように干渉像Gの一部がフレームから切れている場合や、干渉像Gがフレームの上端領域や下端領域に寄り過ぎている場合には、干渉像Gの位置が適正でないと判定される。このとき、その旨を表す警告情報を表示させてもよい。
干渉像Gの位置が適正でないと判定された場合(S16:No)、検者は、フレーム内における干渉像Gの望ましい表示位置を指定する(S17)。この操作は、たとえば画像表示部401(タッチパネルモニタ11)の所望の位置に触れることにより行う。なお、あらかじめ設定された位置(たとえば画像表示部401の中心位置)が自動的に指定されるようにしてもよい。
制御部210は、実際の干渉像Gの位置(たとえば黄斑中心の位置)と指定位置との変位を求める。そして、制御部210は、この変位をキャンセルするように、つまり干渉像Gが指定位置に表示されるように、参照ミラー174や走査ユニット141を制御する。それにより、図14に示すように、フレーム内の好適な位置に干渉像Gが表示される(S18)。
なお、干渉像Gのz方向の変位は、参照ミラー174の位置を調整することによりキャンセルできる。また、干渉像Gのx方向やy方向の変位は、走査ユニット141による信号光LSの走査位置を調整することによりキャンセルできる。
干渉像Gの位置が適正であると判定された場合(S16:Yes)、又は干渉像Gが修正された場合(S18)、眼底Efの注目部位のトラッキングを行う。このとき、図示は省略するが、調整画面300には眼底観察像が表示されている。制御部210は、図15に示すように、走査領域画像314とトラッキング領域画像315を、眼底観察像に重ねて表示させる(S19)。そして、制御部210は、走査ユニット141等を制御してトラッキングを開始させる(S20)。
なお、走査領域画像314は、信号光LSが走査される領域を表すもので、あらかじめ指定された態様に応じて表示される。図15に示す走査領域画像314は、前述の3次元スキャンに対応するものである。また、トラッキング領域画像315は、トラッキングの対象となる眼底Efの特徴部位を表すもので、トラッキングの状況に応じて調整画面上を移動する。トラッキングは、トラッキング領域画像315を走査領域画像314の中心に位置させるように実行される。
トラッキング判定部235は、トラッキング状態の適否を判定する(S21)。この処理は、たとえばトラッキング領域画像315が走査領域画像314内に入っているか否か判断することにより行う。なお、走査領域画像314内の所定領域(中心近傍領域)にトラッキング領域画像315が入っているか判断するようにしてもよい。
トラッキング状態が適正でないと判定された場合(S21:No)、制御部210は、所定の警告情報を表示部240に表示させる(S22)。この警告情報は、たとえばトラッキングを好適に行えない旨を報知するものである。警告情報は、文字列情報であってもよいし画像情報であってもよい。文字列情報の例として、次のようなメッセージがある:「トラッキング位置がスキャン可能範囲外です。」。警告情報によりトラッキング状態が適正でないことを認識した検者は、操作部250(たとえば固視位置調整キー)を操作し、トラッキング領域画像315が走査領域画像314内に入るように被検眼Eの固視位置を調整する(S23)。このとき、トラッキング判定部235はトラッキング状態の適否を判定する。
トラッキング状態が適正であると判定された場合(S21:Yes)、又は固視位置の調整が完了した場合(S23)、画像処理部230は、アライメント状態、フォーカス状態、フレーム内における干渉像の位置、及び干渉像の画質のそれぞれの適否を判定する(S24)。
いずれかの条件が適正でないと判定された場合(S24:No)、当該条件が不適正と判定されたときと同じ処理を行う(S8、S10、S15、S17)。
全ての条件が適正であると判定された場合(S24:Yes)、制御部210は、OCTユニット150や走査ユニット141や画像形成部220を制御して上記走査領域の干渉像を形成させる(S25)。なお、このように自動的に計測を開始する(オートシュート)代わりに、計測可能な旨のメッセージを表示させるようにしてもよい。この場合、メッセージを見た検者は、撮影スイッチを押下して計測を開始させる。
干渉像の取得後、たとえば、制御部210は、眼底カメラユニット1Aを制御して眼底Efのカラー撮影を実行させる。取得された干渉像やカラー眼底像は、記憶部212に記憶される。これで検査は終了となる。
[作用・効果]
以上のような光画像計測装置1の作用及び効果について説明する。
光画像計測装置1は、眼底(被測定物体)の断層像と眼底像を取得する機能を有する。眼底像は、眼底に対する信号光LSの進行方向に略直交する面における眼底の2次元画像である。
また、光画像計測装置1は、アライメント機能、フォーカス機能、及びトラッキング機能を有する。アライメント機能は、アライメント光学系190Aを含むアライメント手段により実現される。フォーカス機能は、合焦光学系を含む合焦手段により実現される。トラッキング機能は、制御部210を含む追従手段により実現される。なお、トラッキングは、断層像に基づいて行うこともできるし、眼底像に基づいて行うこともできる。なお、眼底像を取得するための構成(眼底カメラとしての構成)は、この発明の「撮影手段」の一例である。
更に、光画像計測装置1は、アライメント状態、フォーカス状態、フレーム内における断層像の位置、断層像の画質、及びトラッキング状態のそれぞれの適否を判定し、これら全ての条件が適正であると判定されたときに、最終的な断層像の取得を可能にする。なお、条件の適否判定に用いられる断層像は、予備的に取得されるものであり、信号光LSの走査態様はシンプルなものを用いることが望ましい(上記実施形態では十字スキャン)。また、走査点(信号光LSの照射位置)の分布は、それほど密でなくてもよい。一方、最終的な断層像は、診断等に用いられる精密なものであり、走査点の分布は密であることが望ましい(たとえば3次元画像を生成できる程度の分布)。
このような光画像計測装置1によれば、生体眼のように動きがある被測定物体の断層像を取得する場合であっても、上記の各種条件が適正であるタイミング、すなわち計測タイミングを逃すことなく容易に計測を行うことが可能である。
更に、上記実施形態では、上記の各種条件が適正なタイミングで自動的に計測を行うようになっているので、計測タイミングを逃すことがない。
また、光画像計測装置1は、上記の各種条件のいずれかが適正でない場合に警告情報を表示させることができる。それにより、当該条件が適正でないことを検者は認識することができ、当該条件を適正にするために対応することができる。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
たとえば上記の実施形態では、アライメント状態、フォーカス状態、フレーム内における断層像の位置、断層像の画質、及びトラッキング状態のそれぞれの適否を判定しているが、断層像の画質の判定や、トラッキング状態の判定を省略することが可能である。
なお、この発明においては、アライメント状態、フォーカス状態、及びフレーム内における断層像の位置については適否の判定を実行する。これら3つの条件は、好適な断層像を取得するために必須だからである。この場合、光画像計測装置は、アライメント状態、フォーカス状態、及びフレーム内における断層像の位置のそれぞれの適否を判定し、これら全ての条件が適正であると判定されたときに、最終的な断層像の取得を可能にする。更に、上記実施形態と同様に、全ての条件が適正と判定されたときに、最終的な断層像を得るための計測を自動的に行うように構成することも可能である。
また、上記の必須条件の判定処理に加え、断層像の画質の判定処理又はトラッキング状態の判定処理を行うように構成することができる。これら付随的な条件は、被測定物体の種類(動態)などを考慮して適宜に追加できる。
上記の各種条件のいずれかが適切でないと判定されたときに、被測定物体の断層像の取得を禁止するように構成できる。その具体例として、或る条件が不適切と判定された場合において、検者が断層像の取得指示(撮影スイッチの押下など)を行ったとしても、制御部210がこの指示を受け付けない(無視する)ように構成することが可能である。
上記の実施形態においては、参照ミラー174の位置を変更して信号光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、被検眼Eに対して眼底カメラユニット1A及びOCTユニット150を一体的に移動させて信号光LSの光路長を変更することにより光路長差を変更することができる。また、特に被測定物体が生体でない場合には、被測定物体を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することもできる。
上記の実施形態におけるコンピュータプログラムを、コンピュータのドライブ装置によって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、ハードディスクドライブやメモリ等の記憶装置に記憶させることも可能である。更に、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。