JP5584013B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
一般的な空気入りタイヤの側面(サイド)部分は、タイヤが撓む部分(サイドウォール部)とリムと接触する部分に分かれている。リムと接触する部分に位置するクリンチゴムには、良好なチェーフィング性能(タイヤとリムとがこすれたときのゴムの耐摩耗性)が求められる。そのため、従来は、クリンチゴムには、天然ゴムに耐摩耗性の良好なブタジエンゴムをブレンドし、更に耐摩耗性を向上させるために、一定以上の比表面積を持つカーボンブラックが多量に配合されてきた。このように、従来、クリンチゴムには、良好なチェーフィング性能を得るために、石油資源由来の原材料であるブタジエンゴムやカーボンブラックが多量に使用されてきた。
しかし、近年、環境問題が重視されるようになり、二酸化炭素の排出量の規制が強化されている。また、石油埋蔵量は有限であることから、石油資源由来の原材料の使用には限界がある。このような環境重視指向は、タイヤの分野においても例外ではなく、現在使用されている石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替する要求が高まっており、クリンチ用ゴム組成物についてもそのような要求が高まっている。
カーボンブラックの代替原料として石油外資源であるシリカ等を用いたエコタイヤが開発されている(例えば、特許文献1)。しかし、クリンチ用ゴム組成物において、合成ゴムであるブタジエンゴムの代わりに多量の天然ゴムを配合したり、カーボンブラックの代わりにシリカ等の白色充填剤を配合したりすると、高荷重の乗用車での使用時などシビアリティの高い走行条件下では、チェーフィングが発生し、リムずれが生じたり、耐久性が悪化したりする可能性がある。このような問題を解決するため、補強用充填剤であるシリカを多量に配合し、耐摩耗性を改良する方法が考えられる。しかしながら、シリカを多量に配合すると、ゴム硬度が非常に高くなるため、リム組みしにくいという問題がある。また、チェーフィング性能についても改善の余地がある。このように、クリンチゴムの石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替した場合、良好なチェーフィング性能が得られていないのが現状である。
特開2007−169431号公報
本発明は、上記課題を解決し、クリンチゴムの石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替した場合であっても、良好なチェーフィング性能が得られる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、シリカを多量に配合した場合、ゴム硬度が高いため、荷重がかかった際に、リムとクリンチゴムの間の変形が少なく、リムとクリンチゴムの間でせん断力が発生し、チェーフィング性能が悪化するのではないかとの仮説に想到した。そして、発生するせん断力をクリンチゴムの変形により緩和することにより、良好なチェーフィング性能が得られるのではとの仮説に基づき、以下の発明を完成した。
すなわち、本発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、上記ビードコアから半径方向外方にのびるビードエーペックスゴムと、このビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向外側に配されかつビード部の外側面をなすクリンチゴムとを有する空気入りタイヤであって、上記ビードエーペックスゴムは、上記ビードコアから半径方向外方に先細状にのびる断面略三角形状のエーペックス主部を有し、上記エーペックス主部の半径方向外端のビードベースラインからの半径方向のエーペックス主部高さLaが25mm以下であり、上記クリンチゴムのタイヤ軸方向内側の内側面のうち、上記エーペックス主部の半径方向外端よりも半径方向外方に位置する内側面から、上記クリンチゴムのタイヤ軸方向外側の外側面のうち、露出している外側面までの最小の厚さであるクリンチゴム厚さが5.0mm以上であり、上記クリンチゴムの硬度が75以上であり、上記クリンチゴムは、ゴム成分100質量%中の天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が70質量%以上であり、補強用充填剤100質量%中のシリカの含有量が50質量%以上であるクリンチ用ゴム組成物を用いて作製されている空気入りタイヤに関する。
上記ビードエーペックスゴムは、上記エーペックス主部と、このエーペックス主部に連なり半径方向外方にのびる翼部とからなり、上記クリンチゴムの、上記エーペックス主部の半径方向外端よりも半径方向外方に位置する内側面と、上記翼部との間に、上記カーカスが位置することが好ましい。
上記シリカの窒素吸着比表面積が50〜300m/gであることが好ましい。
上記クリンチ用ゴム組成物において、上記ゴム成分100質量部に対する上記シリカの含有量が30〜100質量部であることが好ましい。
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、タイヤを正規リムにリム組みし、かつ正規内圧の5%となるように空気を充填した5%内圧状態において、特定される値とする。また、上記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "DESIGN Rim" 、ETRTOであれば "MEASURING Rim"を意味する。また、上記「正規内圧」とは、上記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。また、上記「ビードベースライン」とは、上記規格で定められるリム径位置を通るタイヤ軸方向線を意味する。
本発明に使用されるクリンチゴムは、天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が特定量以上、補強用充填剤中のシリカの含有量が所定量以上であるクリンチ用ゴム組成物を用いて作製されており、クリンチゴムの石油資源由来の原材料の一部または全てが石油外資源由来の原材料で代替されている。そのため、石油資源由来の原材料比率を低減でき、石油資源由来の原材料の枯渇に備えることができると共に、環境に配慮することができる。また、このようなクリンチゴムを使用した場合であっても、(I)ビードコアから半径方向外方に先細状にのびる断面略三角形状のエーペックス主部の半径方向外端のビードベースラインからの半径方向のエーペックス主部高さLaを特定値以下とし、さらに、(II)クリンチゴムのタイヤ軸方向内側の内側面のうち、エーペックス主部の半径方向外端よりも半径方向外方に位置する内側面から、クリンチゴムのタイヤ軸方向外側の外側面のうち、露出している外側面までの最小の厚さであるクリンチゴム厚さを所定値以上とすることにより、クリンチゴムにせん断変形を起こさせることができ、良好なチェーフィング性能が得られる。さらに、(III)天然ゴムと、シリカが主体のゴム組成物では、ゴム自体の耐摩耗性が不充分となるため、クリンチゴムの硬度を一定値以上とすることにより、更に良好なチェーフィング性能が得られる。以上の通り、本発明では、上記(I)〜(III)により、クリンチゴムの石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替した場合であっても、良好なチェーフィング性能が得られる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
まず、本発明の空気入りタイヤに用いられるクリンチゴムを作製するためのクリンチ用ゴム組成物について説明する。
(クリンチ用ゴム組成物)
クリンチ用ゴム組成物は、石油外資源由来の原材料である天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が特定量以上、補強用充填剤中の石油外資源由来の原材料であるシリカの含有量が所定量以上である。すなわち、クリンチ用ゴム組成物は、石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替した(石油資源由来の原材料比率を低減した)ゴム組成物である。そのため、該ゴム組成物を使用することにより、石油資源由来の原材料の枯渇に備えることができると共に、環境に配慮することができる。
クリンチ用ゴム組成物のゴム成分100質量%中の天然ゴム(NR)、及び改質天然ゴムの合計含有量は70質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは100質量%である。70質量%未満であると、充分に石油資源由来の原材料比率を低減できず、充分に環境に配慮することができない傾向にある。なお、NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
NR、改質天然ゴム以外にクリンチ用ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系合成ゴムが挙げられる。ジエン系合成ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
クリンチ用ゴム組成物がジエン系合成ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中のジエン系合成ゴムの含有量は、30質量%以下である。30質量%を超えると、充分に石油資源由来の原材料比率を低減できず、充分に環境に配慮することができない傾向にある。
クリンチ用ゴム組成物は、石油外資源由来の原材料であるシリカを含む。シリカは、補強用充填剤として機能するものである。シリカを配合することにより、石油資源由来の原材料比率を低減できるとともに、低燃費性、耐摩耗性を向上できる。
クリンチ用ゴム組成物に含まれる補強用充填剤100質量%中のシリカの含有量は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは100質量%である。50質量%未満であると、充分に石油資源由来の原材料比率を低減できず、充分に環境に配慮することができない傾向にある。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上である。50m/g未満では、耐摩耗性に劣る傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。300m/gを超えると、分散性に劣るか、または低燃費性に劣る傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
クリンチ用ゴム組成物中のシリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。30質量部未満では、耐摩耗性が十分に得られないおそれがある。該シリカの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、ゴム粘度が高くなり、工程通過性(加工性、生産性)に劣るか、または低燃費性が悪化する傾向にある。
クリンチ用ゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは4質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。4質量部未満では、ゴム強度が低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。15質量部を超えると、耐摩耗性に劣る傾向がある。
補強用充填剤としては、シリカの他にカーボンブラック、炭酸カルシウム等が挙げられる。例えば、カーボンブラックを配合すると、ゴムの補強性、耐摩耗性を向上できる。ただし、省資源及び環境保護の観点から、石油・石炭由来のカーボンブラックを実質的に含有しないこと(0質量%)が好ましい。
クリンチ用ゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、オイル等の軟化剤、ワックス、硫黄等の加硫剤や、スルフェンアミド系、グアニジン系等の加硫促進剤などを適宜配合することができる。
クリンチ用ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで上記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
クリンチゴム(加硫後)の硬度Hsは、75以上、好ましくは77以上、より好ましくは80以上である。75未満であると、クリンチゴム自体の耐摩耗性が不充分となり、充分なチェーフィング性能が得られないおそれがある。なお、例えば、シリカの含有量を上記範囲とすることにより、クリンチゴムの硬度Hsを上記範囲に調整できる。なお、本明細書において硬度は、後述の実施例に記載の方法により測定される値である。
本発明の空気入りタイヤは、上記クリンチ用ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、前記成分を配合したクリンチ用ゴム組成物を、未加硫の段階でクリンチの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより空気入りタイヤを得る。
本発明では、石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替した上記クリンチ用ゴム組成物を用いて作製されたクリンチゴムを使用した場合であっても、空気入りタイヤの構造を特定の構造とすることにより、良好なチェーフィング性能が得られる。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の空気入りタイヤの好ましい実施形態の一例を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。なお、図1において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向が軸方向である。
図1に示すように、空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、上記ビードコア5から半径方向外方にのびるビードエーペックスゴム8と、このビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向外側に配されかつビード部4の外側面をなすクリンチゴム9とを具える。なお上記トレッド部2には、上記カーカス6の半径方向外側をタイヤ周方向に延在する強靱なベルト層7が配される。カーカス6の半径方向内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナー15が配される。
上記ベルト層7は、スチールコードなどの高強力のベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜40゜の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成され、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強する。又このベルト層7の半径方向外側には、高速耐久性を高める目的で、例えばナイロン等の有機繊維のバンドコードを周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回させたバンド層10を設けることができる。このバンド層10として、上記ベルト層7のタイヤ軸方向外端部のみを被覆する左右一対のエッジバンドプライ、及びベルト層7の略全巾を覆うフルバンドプライが適宜使用でき、左右一対のエッジバンドプライと、1枚のフルバンドプライとを組み合わせて使用してもよい。
次に、上記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90゜の角度で配列した半径方向内外の2枚のカーカスプライ6A、6Bから形成される。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の周知の有機繊維コードが好適に採用される。
上記内のカーカスプライ6Aは、上記ビードコア5、5間を跨る本体部11と、この本体部11に連なりかつ上記ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に巻き上げられて係止される巻上げ部12とを有する所謂巻き上げのカーカスプライとして形成されるとともに、この本体部11と巻上げ部12との間には、上記ビードコア5から半径方向外方にのびる硬質のビードエーペックスゴム8が配される。
上記外のカーカスプライ6Bは、上記内のカーカスプライ6Aの本体部11の外面に沿って、上記ビードコア5、5間を跨る本体部13と、この本体部13に連なりかつ上記ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に巻き上げられて係止される巻上げ部14とを有する所謂巻き上げのカーカスプライとして形成される。巻上げ部14の半径方向外端は、上記内のカーカスプライ6Aの巻上げ部12と上記ビードエーペックスゴム8との間に挟まれて途切れる。
上記ビードエーペックスゴム8は、上記ビードコア5から半径方向外方に先細状にのびる断面略三角形状のエーペックス主部8Aと、このエーペックス主部8Aに連なり半径方向外方に実質的に一定の厚さTでのびる薄い翼部8Bとで形成している。このとき、上記厚さTは、0〜2mmの範囲であることが好ましい。翼部8Bが実質的に一定の厚さTであり、かつ、厚さTが上記範囲であると、クリンチゴムの厚さ(クリンチゴム厚さ9M)を厚くすることができる。
なお、「実質的に一定の厚さT」とは、例えば加硫成形などのタイヤ製造工程に起因する±10%の厚さの変動、及び外端部における先細状の厚さ変動を許容するものである。
上記エーペックス主部8Aの半径方向外端のビードベースラインBLからの半径方向高さであるエーペックス主部高さLaは、25mm以下、より好ましくは23mm以下、更に好ましくは21mm以下、特に好ましくは20mm以下、最も好ましくは17mm以下である。25mmを超えると、上記クリンチゴム厚さを所定値以上とすることができないため、クリンチゴムにせん断変形を起こさせることができず、充分なチェーフィング性能が得られないおそれがある。なお、上記エーペックス主部8Aの半径方向外端は、クリンチゴム9のタイヤ軸方向最も内方の位置Pからタイヤ軸方向に平行移動した位置に存在する。すなわち、位置PのビードベースラインBLからの半径方向高さと、エーペックス主部高さLaは、同一である。
上記ビードエーペックスゴム8の半径方向外端のビードベースラインBLからの半径方向のエーペックス高さLbは、タイヤ断面高さL(図1に示す)の10〜40%の範囲であることが好ましい。上記範囲であると、操縦安定性、耐久性(チェーフィング性能)が良好となる。
なお、本実施形態において、ビードエーペックスゴム8が、エーペックス主部8Aと、翼部8Bとからなる場合について説明したが、本発明のビードエーペックスゴムは、エーペックス主部のみから構成されていてもよい。
また、本実施形態において、翼部8Bが実質的に一定の厚さTである場合について説明したが、本発明では、ビードエーペックスゴムの翼部は、実質的に一定の厚さでなくてもよい。
上記クリンチゴム9は、ビード部4の半径方向内端に位置するチェーファーゴム16のタイヤ軸方向外側に位置する半径方向外端から、半径方向外方にのび、クリンチゴム9のタイヤ軸方向外側の外側面の一部(外側面S1)が、露出し、ビード部4の外側面を形成する。一方、クリンチゴム9のタイヤ軸方向内側の内側面S2は、カーカスプライ6Aが有する巻上げ部12と接している。
上記内側面S2のうち、上記エーペックス主部の半径方向外端よりも半径方向外方に位置する内側面S2u(図示せず)(クリンチゴム9のタイヤ軸方向最も内方の位置Pよりも半径方向外方に位置する内側面)から、上記外側面S1(クリンチゴムのタイヤ軸方向外側の外側面のうち、露出している外側面)までの最小の厚さであるクリンチゴム厚さ9Mが5.0mm以上、好ましくは5.5mm以上、より好ましくは5.8mm以上、更に好ましくは6.0mm以上である。5.0mm未満であると、クリンチゴムに充分なせん断変形を起こさせることができず、充分なチェーフィング性能が得られないおそれがある。
なお、上記内側面S2uと、上記翼部8Bとの間に、上記カーカスプライ6Aが有する巻上げ部12が位置している。このような構造とすることにより、操縦安定性が良好となる。
クリンチゴム9の半径方向外端のビードベースラインBLからの半径方向高さであるクリンチ高さLcは、上記エーペックス高さLbの50〜95%の範囲であることが好ましい。上記範囲であると、操縦安定性、耐久性(チェーフィング性能)が良好となる。
以上、本発明の空気入りタイヤの好ましい実施形態の一例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:SIR20
BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックI(N220)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(TBBS)
実施例1〜5及び比較例1〜6
(クリンチ用ゴム組成物の作製)
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄、加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間プレス加硫することで加硫ゴム組成物(クリンチゴム)を得た。
(試験用空気入りタイヤの作製)
得られた未加硫ゴム組成物をクリンチ部の形状にあわせて押出し加工し、図1に示された基本構成となるように、他の部材と貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で20分間加硫し、試験用空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15 91H)を作製した。なお、ビードエーペックスの翼部厚さT、エーペックス主部高さLa、Lb(ビードエーペックスゴム8の半径方向外端のビードベースラインBLからの半径方向のエーペックス高さ)/L(タイヤ断面高さ)、クリンチゴムのクリンチゴム厚さ9M、Lc(クリンチ高さ)/Lbは表1のとおりである。
得られた加硫ゴム組成物(クリンチゴム)、試験用空気入りタイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
(硬度)
JIS K6253に準拠し、25℃の温度で硬度計を用いて、得られた加硫ゴム組成物(クリンチゴム)の硬度を測定した(ショア−A測定)。
(耐久試験でのリムチェーフィング量測定)
試験用空気入りタイヤを使用して、内圧200KPa、荷重7kN、速度80km/hの条件にて、30000kmドラム走行耐久試験を行った後、タイヤをリムから外し、リム接触部(クリンチ部)の厚みを測定し、試験開始時の厚みと比較し、削れた量(チェーフィング量)を測定した。チェーフィング量が小さい方が、チェーフィング性能に優れる。
Figure 0005584013
天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が特定量以上、補強用充填剤中のシリカの含有量が所定量以上であるクリンチ用ゴム組成物を用いて作製されたクリンチゴムを使用した場合であっても、(i)エーペックス主部高さLaを特定値以下とし、(ii)クリンチゴム厚さ9Mを所定値以上とし、(iii)クリンチゴムの硬度を一定値以上とした実施例は、チェーフィング性能が良好であった。実施例1と比べて、エーペックス主部高さLaが小さく、クリンチゴム厚さ9Mが大きい実施例2は、実施例1に比べて、チェーフィング性能が優れていた。また、実施例3と比べて、クリンチゴムの硬度が大きい実施例2は、実施例3に比べて、チェーフィング性能が優れていた。石油資源由来材料であるブタジエンゴムやカーボンブラックを多量に配合(天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が特定量以下、及び/又は、補強用充填剤中のシリカの含有量が所定量以下)した比較例1、2は、上記(i)〜(iii)を満たさなくてもチェーフィング性能が良好であった。しかし、石油資源由来材料を使用しているため、石油資源由来の原材料の枯渇に備えたり、環境に配慮することができない。また、天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が特定量以上、補強用充填剤中のシリカの含有量が所定量以上であるクリンチ用ゴム組成物を用いて作製されたクリンチゴムを使用しているが、上記(ii)を満たさない比較例5、上記(i)、(ii)を満たさない比較例3、上記(i)〜(iii)を満たさない比較例4、上記(iii)を満たさない比較例6は、実施例に比べて、チェーフィング性能が劣っていた。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A 内のカーカスプライ
6B 外のカーカスプライ
7 ベルト層
8 ビードエーペックスゴム
8A エーペックス主部
8B 翼部
9 クリンチゴム
10 バンド層
11 本体部
12 巻上げ部
13 本体部
14 巻上げ部
15 インナーライナー
16 チェーファー

Claims (6)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、前記ビードコアから半径方向外方にのびるビードエーペックスゴムと、このビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向外側に配されかつビード部の外側面をなすクリンチゴムとを有する空気入りタイヤであって、
    前記ビードエーペックスゴムは、前記ビードコアから半径方向外方に先細状にのびる断面略三角形状のエーペックス主部を有し、前記エーペックス主部の半径方向外端のビードベースラインからの半径方向のエーペックス主部高さLaが25mm以下であり、
    前記クリンチゴムのタイヤ軸方向内側の内側面のうち、前記エーペックス主部の半径方向外端よりも半径方向外方に位置する内側面から、前記クリンチゴムのタイヤ軸方向外側の外側面のうち、露出している外側面までの最小の厚さであるクリンチゴム厚さが5.0mm以上であり、
    前記クリンチゴムの硬度が75以上であり、
    前記クリンチゴムは、ゴム成分100質量%中の天然ゴム、及び改質天然ゴムの合計含有量が70質量%以上であり、補強用充填剤100質量%中のシリカの含有量が50質量%以上であるクリンチ用ゴム組成物を用いて作製されている空気入りタイヤ。
  2. 前記ビードエーペックスゴムは、前記エーペックス主部と、このエーペックス主部に連なり半径方向外方にのびる翼部とからなり、
    前記クリンチゴムの、前記エーペックス主部の半径方向外端よりも半径方向外方に位置する内側面と、前記翼部との間に、前記カーカスが位置する請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記シリカの窒素吸着比表面積が50〜300m/gである請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記クリンチ用ゴム組成物において、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が30〜100質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ビードエーペックスゴムの半径方向外端のビードベースラインからの半径方向のエーペックス高さLbが、タイヤ断面高さの10〜40%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. クリンチゴムの半径方向外端のビードベースラインからの半径方向高さであるクリンチ高さLcが、前記エーペックス高さLbの50〜95%の範囲である請求項5記載の空気入りタイヤ。
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