JP5582161B2 - 貯湯式給湯システム - Google Patents

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本発明は、貯湯式給湯システムに関する。
貯湯式給湯システムは、給湯負荷の発生に対して湯切れの生じることのないように、事前に加熱手段により沸上げられた給湯用の湯を貯湯タンクに溜めておき、当該貯湯タンクから給湯を行うシステムである。貯湯式給湯システムは、瞬間式給湯システム等と比べて、加熱手段の加熱能力が比較的小さい場合や、加熱手段の起動時における能力の立ち上りが遅い場合に適用される。
貯湯式給湯システムは、湯栓からの湯の放出による給湯だけでなく、貯湯タンク内の高温水を用いて浴槽の冷めた湯や住居の床などを、熱交換によって加熱する熱交換器を備えたものがある。そのような貯湯式給湯システムとして、特許文献1には、熱交換器で熱交換を終えた中低温の戻り湯を貯湯タンクに戻す戻し配管が、貯湯タンクの高さ方向において複数に分岐して貯湯タンクに接続されている技術が開示されている。
また、特許文献2には、熱交換器で熱交換を終えた中低温の戻り湯を貯湯タンクに戻す戻し配管が、貯湯タンクの高さ方向において複数に分岐して貯湯タンクに接続されていて、戻り湯の温度を検出する温度検出手段を有し、当該温度検出手段の検出値に基づいて、貯湯タンクに戻す配管を選択切替させる技術が開示されている。
特許第3888117号公報 特許第4165594号公報
特許文献1、2の何れも、熱交換器から戻る中低温の戻り湯を、貯湯タンク内の温度が戻り湯とほぼ同じになるような領域に戻すことを目的とした技術である。特許文献1、2のような技術では、貯湯タンクの3箇所以上に戻り湯の戻し口を設け、それぞれの戻し口に戻り湯の配管を接続するとともに、どの戻し口に戻り湯を戻すかを切り替えるための複数の流路切替弁を設ける必要があるため、構造が極めて複雑となり、高コスト化、大型化、重量増大という問題がある。また、中低温の戻り湯を貯湯タンク内の温度が戻り湯とほぼ同じになる領域に戻したとしても、そのような中低温の領域が結局利用されないままに貯湯タンク内に残る場合もあり、そのような場合には戻り湯の持つ熱量を再利用できず、省エネルギー化が図れないという問題もある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、熱交換器から貯湯タンクに戻る戻り湯が持つ熱量を簡単な構成で確実に再利用し、省エネルギー性能を改善することのできる貯湯式給湯システムを提供することを目的とする。
本発明に係る貯湯式給湯システムは、水を加熱して高温水を生成可能な加熱手段と、温度境界層を介して、上側に高温水を貯留し、下側に低温水を貯留する貯湯タンクと、被加熱物を加熱するための熱交換器と、貯湯タンクから導出された高温水を熱交換器に送る移送手段と、貯湯タンクから導出された高温水を熱交換器に送って熱交換器により被加熱物を加熱する熱交換運転時に、熱交換器に送られた高温水が熱交換器を通過して温度低下した戻り湯を、温度境界層より上側の貯湯タンクの上方高温領域に流入させることにより戻り湯を上方高温領域に混合させる上方戻し流路と、熱交換運転時に戻り湯を温度境界層より下側の貯湯タンクの下方領域に流入させる下方戻し流路と、戻り湯を上方戻し流路に流入させる状態と下方戻し流路に流入させる状態とに切り替え可能な流路切替手段と、加熱手段を稼動しない熱交換運転時に流路切替手段を制御することにより戻り湯を上方戻し流路を介して貯湯タンク内に流入させることにより戻り湯を上方高温領域に混合させるか、戻り湯を下方戻し流路を介して貯湯タンク内に流入させるかを制御する制御手段と、貯湯タンクに設けられ、上方戻し流路が接続された上方戻し口と、貯湯タンクに設けられ、下方戻し流路が接続された下方戻し口と、貯湯タンクの、上方戻し口と下方戻し口との間の高さに設けられた中温水取出口と、中温水取出口を介して貯湯タンク内から導出された温水を系外へ供給可能な給湯経路と、貯湯タンクの上部に接続され、貯湯タンク内の高温水を導出する導出用配管と、を備え、中温水取出口は、下方戻し口より上方戻し口に近い高さに設けられており、貯湯タンクには、戻り湯の戻し口が、上方戻し口と、下方戻し口との2箇所のみ設けられており、上方戻し口は、貯湯タンクと導出用配管との接続位置より低い位置にあり、上方戻し口から貯湯タンク内に流入した戻り湯が下方に拡散し、上方戻し口の高さと温度境界層との間の範囲にある高温水に戻り湯が混合し、上方戻し口の高さと温度境界層との間の領域に中温水層が生成され、中温水取出口から中温水を採取するものである。
本発明によれば、貯湯タンクから導出された高温水を熱交換器に送って被加熱物を加熱する熱交換運転時に熱交換器から貯湯タンクに戻る戻り湯を貯湯タンクの上方の高温領域に戻すことができる。このため、戻り湯が再利用されないまま貯湯タンク内に残ることを抑制することができ、戻り湯が持つ熱量を確実に再利用して、省エネルギー化が図れる。また、戻り湯を貯湯タンクの上方の高温領域に戻すことが不都合となる場合には、戻り湯を貯湯タンクの下方の低温領域に戻すことにより、そのような不都合を回避することができる。また、戻り湯の戻し口を貯湯タンクの上方と下方との2箇所に設けるだけでよく、3箇所以上の戻し口を設ける必要がないので、貯湯タンクの構造や配管構成の複雑化、戻り湯の流路を切り替える流路切替機構の複雑化を回避することができ、簡単な構成で上記効果を達成することができる。
本発明の実施の形態1の貯湯式給湯システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態1の貯湯式給湯システムにおける信号の流れを表すブロック図である。 流路切替弁を上方戻し流路側に切り替えた状態を示す図である。 流路切替弁を下方戻し流路側に切り替えた状態を示す図である。 本発明の実施の形態2の貯湯式給湯システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態2の貯湯式給湯システムにおける信号の流れを表すブロック図である。 追焚運転時に追焚戻り湯を上方戻し流路を介して上方戻し口から貯湯タンク内に戻したときの貯湯タンク内の温度分布の変化を説明するための図である。 追焚戻り湯を上方戻し流路を介して貯湯タンク内に戻した場合の中温水取出口の位置の影響を説明するための図である。 追焚運転時に追焚戻り湯を下方戻し流路を介して下方戻し口から貯湯タンク内に戻したときの貯湯タンク内の温度分布の変化を説明するための図である。 追焚戻り湯を下方戻し流路を介して貯湯タンク内に戻した場合の中温水取出口の位置の影響を説明するための図である。 本発明の実施の形態3に係る制御動作を表すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る制御動作を表すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る制御動作を表すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
≪機器構成≫
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態1における貯湯式給湯システムは、貯湯タンク1、加熱手段2、加熱用ポンプ31、追焚用ポンプ32、浴槽用ポンプ33、混合手段41、追焚熱交換器5、浴槽6、流路切替弁7、加熱用配管301、給水用配管302、導出用配管303、混合用配管304、給湯用配管305、浴槽往き配管306a、浴槽戻り配管306b、追焚往き配管307a、上方戻し流路307b、下方戻し流路307c、および制御手段100等を備えている。
貯湯タンク1は、加熱手段2により加熱された高温水を上側から貯留し、加熱前の低温水を下側から貯留する。貯湯タンク1内には、上側の高温水と、下側の低温水との間に、温度境界層が形成される。加熱手段2は、例えばヒートポンプにより水を加熱するように構成される。
混合手段41は、貯湯タンク1の上部から導出された高温水と、水道等の水源から供給される低温水(市水)とを混合することにより、給湯温度を調節する。浴槽6は、浴室に設置され、入浴用の40℃前後の湯が溜められる。追焚熱交換器5は、貯湯タンク1の上部から導出された高温水と、浴槽6から循環する浴槽水とを熱交換することにより、浴槽水を加熱する。
加熱用配管301は、加熱手段2を経由して、貯湯タンク1の下部と上部とを接続する。加熱用ポンプ31は、加熱用配管301の途中に配置される。給水用配管302は、貯湯タンク1の下部に接続され、水道等の水源から供給される低温水を貯湯タンク1内に導入する。導出用配管303は、貯湯タンク1の上部に接続され、貯湯タンク1内の高温水を導出する。混合用配管304は、給水用配管302から分岐し、混合手段41に低温水を導入する。給湯用配管305は、混合手段41にて混合された湯を、例えば蛇口、シャワー、浴槽6等の系外の負荷側に供給する。
浴槽往き配管306aは、追焚熱交換器5と浴槽6とを接続する。浴槽戻り配管306bは、浴槽用ポンプ33を経由して、浴槽6と追焚熱交換器5とを接続する。追焚往き配管307aは、貯湯タンク1の上部から、追焚熱交換器5および追焚用ポンプ32を経由して、流路切替弁7に接続されている。本実施形態では、追焚往き配管307aおよび追焚用ポンプ32により、貯湯タンク1の上部から導出されて高温水を追焚熱交換器5に移送する移送手段が構成されている。
上方戻し流路307bは、流路切替弁7と、貯湯タンク1に設けられた上方戻し口11とを接続する。下方戻し流路307cは、流路切替弁7と、貯湯タンク1に設けられた下方戻し口12とを接続する。ここで、上方戻し流路307bの流路長は、下方戻し流路307cの流路長より短くなっている。貯湯タンク1の上部から導出されて追焚熱交換器5に送られた高温水は、追焚熱交換器5を通過する間に浴槽水に熱を与え、温度低下する。この温度低下した温水(以下、「追焚戻り湯」と称する)は、上方戻し流路307bまたは下方戻し流路307cを通って、貯湯タンク1内に戻される。流路切替弁7は、追焚戻り湯を、上方戻し流路307bに流入させる状態と、下方戻し流路307cに流入させる状態とに切り替え可能になっている。流路切替弁7は、更に、追焚戻り湯を上方戻し流路307bと下方戻し流路307cとに分配し、その分配比(流量比)を変化させることができるように構成されていてもよい。
制御手段100は、加熱手段2、加熱用ポンプ31、追焚用ポンプ32、浴槽用ポンプ33、混合手段41、および流路切替弁7の動作を制御する。また、貯湯タンク1には、高さ方向に間隔をおいて、貯湯温度センサ501a〜501fが設けられている。図示の構成では、貯湯温度センサ501a〜501fの個数を6個としているが、この個数はこれに限定されるものではなく、貯湯タンク1の内部の温度分布をより高精度に測定するのに充分な数の温度センサを設けるようにしてもよい。
加熱用配管301には、加熱手段2の下流側にて加熱後の高温水の温度を検出するための沸上温度センサ502が設けられている。給水用配管302には、給水温度を検出するための給水温度センサ504が設けられている。貯湯タンク1の上部には、貯湯タンク1から導出される高温水の温度を検出するための導出温度センサ503が設けられている。給湯用配管305には、負荷側で使用される湯温を検出するための給湯温度センサ505が設けられている。浴槽戻り配管306bには、浴槽6から追焚熱交換器5に流れ込む浴槽戻り湯温度を検出するための浴槽戻り湯温度センサ506が設けられている。なお、浴槽戻り湯温度センサ506は、定期的に浴槽用ポンプ33を運転させることにより、浴槽温度を検出する手段として利用してもよい。給湯用配管305には、負荷側で使用される湯量を検出する給湯流量センサ601が設けられている。
追焚熱交換器5の下流側には、追焚戻り湯の温度を検出する追焚戻り湯温度センサ507が設置されている。なお、追焚戻り湯温度をセンサで直接検出する方法に代えて、追焚用ポンプ32の回転数、浴槽用ポンプ33の回転数、貯湯タンク1から導出される高温水の温度、浴槽戻り湯温度等から追焚戻り湯温度を推定してもよい。
追焚運転が行われる時間帯は、通常は夜間であり、浴槽6への湯張りを含め、一日の給湯負荷の過半は終了している。すなわち、貯湯タンク1内の高温水の過半は消費されている。このため、追焚運転が行われる場合に、貯湯タンク1内の上方の高温領域と下方の低温領域との間にある温度境界層は、貯湯タンク1の高さの中間付近の所定範囲内に存在する。上方戻し流路307bが接続される上方戻し口11は、追焚運転が行われるときの温度境界層の位置より上側となる貯湯タンク1の上方領域に設けられている。このため、上方戻し流路307bを通って貯湯タンク1内に戻る追焚戻り湯は、追焚戻り湯より温度の高い貯湯タンク1内の高温領域に流入する。下方戻し流路307cが接続される下方戻し口12は、追焚運転が行われるときの温度境界層の位置より下側となる貯湯タンク1の下方領域に設けられている。このため、下方戻し流路307cを通って貯湯タンク1内に戻る追焚戻り湯は、追焚戻り湯より温度の低い貯湯タンク1内の低温領域に流入する。
図2は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯システムにおける信号の流れを表すブロック図である。図2に示すように、制御手段100は、追焚有効蓄熱量算出手段101、追焚必要熱量予測手段104、加熱制御手段105、流路切替弁制御手段106、浴槽目標温度設定手段107、ポンプ制御手段108、システムモード設定手段109および追焚モード設定手段110等を有している。
制御手段100には、時刻検出手段であるタイマー、貯湯温度センサ501a〜501f、沸上温度センサ502、導出温度センサ503、給水温度センサ504、給湯温度センサ505、浴槽戻り湯温度センサ506、追焚戻り湯温度センサ507および給湯流量センサ601からの情報が入力される。この制御手段100は、入力されたこれらの情報に基づいて、加熱手段2、加熱用ポンプ31、追焚用ポンプ32、浴槽用ポンプ33、混合手段4、流路切替弁7を制御する。
浴槽目標温度設定手段107は、例えば浴室や台所に設置されるリモコン装置等のユーザーインターフェース装置に入力される使用者の指示に基づいて、追焚運転によって浴槽6を昇温する際の目標温度(以下、「浴槽目標温度」と称する)を設定する。
追焚有効蓄熱量算出手段101は、浴槽目標温度設定手段107で設定された浴槽目標温度と、貯湯温度センサ501a〜501fにより検出された情報とに基づいて、貯湯タンク1内の湯の有する蓄熱量のうちで浴槽6の追焚に利用可能な蓄熱量(以下、「追焚有効蓄熱量」と称する)を算出する。
追焚必要熱量予測手段104は、使用者の過去の追焚使用実績、または現在の浴槽6の温度や湯量の状況あるいはその両方の情報に基づいて、浴槽6の追焚に必要な熱量(以下、「追焚必要熱量」と称する)を予測する。
加熱制御手段105は、追焚有効蓄熱量算出手段101により算出された追焚有効蓄熱量と、追焚必要熱量予測手段104により予測された追焚必要熱量とに基づいて、加熱手段2および加熱用ポンプ31の起動の必要性を判定する。
流路切替弁制御手段106は、流路切替弁7を動作させるパルスモータのパルス数を調節することにより、上方戻し流路307bと下方戻し流路307cとの流量分配を制御する。例えば、図3に示すように、流路切替弁7の開度を上方戻し流路307bの側に全開にした場合、追焚戻り湯はその全量が上方戻し口11から貯湯タンク1内に流入する。逆に、図4に示すように、流路切替弁7の開度を下方戻し流路307cの側に全開にした場合、追焚戻り湯はその全量が下方戻し口12から貯湯タンク1内に流入する。流路切替弁7の制御は、図3あるいは図4に示す制御に限るものではなく、追焚戻り湯の一部を上方戻し流路307bから貯湯タンク1に戻し、残りを下方戻し流路307cから貯湯タンク1に戻すように制御してもよい。
ポンプ制御手段108は、加熱用ポンプ31、追焚用ポンプ32および浴槽用ポンプ33の各々の回転数を制御し、ポンプ循環量を調節する。
システムモード設定手段109は、ユーザーインターフェース装置に入力される使用者の指示などに基づいて、システム全体の省エネルギーを優先する運転モード(以下、「省エネモード」と称する)、この省エネモードと比べて湯切れの回避を優先する運転モード(以下、「湯切れ回避モード」と称する)、急速に追焚する追焚能力の保持を優先する運転モード(以下、「追焚能力優先モード」と称する)などを設定する。
追焚モード設定手段110は、ユーザーインターフェース装置に入力される使用者の指示などに基づいて、浴槽6の追焚運転に関する運転モードを設定する。例えば、追焚モード設定手段110は、浴槽温度を所定の範囲内に自動で維持する自動保温モード、中低温まで冷めた浴槽温度を一括して浴槽目標温度まで昇温する一括追焚モード、短時間で追焚を完了するために追焚能力(単位時間当たりの浴槽加熱量)を最優先して追焚を行う高能力追焚モードなどから選択する形で設定する。
図3および図4に示すように、追焚往き配管307aは追焚往き配管断熱材8aにより覆われ、上方戻し流路307bは上方戻し流路断熱材8bにより覆われ、下方戻し流路307cは下方戻し流路断熱材8cにより覆われている。上方戻し流路断熱材8bは、下方戻し流路断熱材8cよりも断熱性能が高いものであることが好ましい。上方戻し流路断熱材8bの断熱性能を、下方戻し流路断熱材8cの断熱性能より高くする方法としては、上方戻し流路断熱材8bの厚さを下方戻し流路断熱材8cの厚さより厚くする方法や、あるいは、上方戻し流路断熱材8bを下方戻し流路断熱材8cよりも熱伝導率の低い高性能な断熱材(例えば真空断熱材)で構成する方法が挙げられる。あるいは、下方戻し流路断熱材8cは、省略しても良い。
次に、本実施の形態1における貯湯式給湯システムの動作について説明する。
≪基本的な動作≫
貯湯タンク1の下部には、給水用配管302を通じて低温水が流入し、貯留される。加熱手段2によって貯湯タンク1の沸き上げを行う際には、貯湯タンク1の下部に貯留された低温水が、加熱用ポンプ31によって加熱用配管301に引き込まれ、加熱手段2に導かれる。加熱手段2は、導かれた低温水を加熱して、高温水に沸き上げる。沸き上げられた高温水は、加熱用配管301を通じて貯湯タンク1に上部から流入し、貯留される。
負荷側に湯を供給する際には、貯湯タンク1の上部から高温水が導出用配管303により導出され、混合手段4に導かれる。このとき、貯湯タンク1の上部から導出された高温水と同量の低温水が給水用配管302から貯湯タンク1の下部に流入する。混合手段4は、混合用配管304から供給される低温水と、貯湯タンク1から供給される高温水とを混合し、給湯用配管305を通じて、蛇口、シャワー、浴槽6などに供給する。
また、浴槽6の追焚運転(熱交換運転)を行う際には、追焚用ポンプ32および浴槽用ポンプ33が駆動される。これにより、貯湯タンク1の上部から高温水が追焚往き配管307aにより導出され、追焚熱交換器5に導かれる。同時に、浴槽6内の浴槽水は、浴槽戻り配管306bを通って、追焚熱交換器5に導かれる。追焚熱交換器5で浴槽水へ熱を与えて温度の低下した追焚戻り湯は、上方戻し流路307bまたは下方戻し流路307cを通って貯湯タンク1内に戻る。追焚熱交換器5で熱を受け取って温度の上昇した浴槽水は、浴槽往き配管306aを通って浴槽6に戻る。このような追焚運転は、ユーザーインターフェース装置に入力される使用者の指示により強制的に開始されるか、あるいは、浴槽戻り湯温度センサ506によって定期的に検出される浴槽温度が浴槽目標温度設定手段107により設定された浴槽目標温度よりも所定量以上低くなったときに自動的に開始される。その後、ユーザーインターフェース装置に入力される使用者の指示により強制的に追焚運転が終了されるか、あるいは、浴槽戻り湯温度センサ506によって検出される浴槽温度が上記浴槽目標温度よりも所定量以上高くなったときに自動的に追焚運転が終了する。
本実施形態の貯湯式給湯システムでは、追焚運転時に、流路切替弁7を制御することにより、追焚戻り湯を、上方戻し流路307bを介して貯湯タンク1に戻すか、下方戻し流路307cを介して貯湯タンク1に戻すかを、以下に説明する事項に基づいて制御する。なお、以下の説明では、追焚戻り湯を貯湯タンク1に戻す際に、追焚戻り湯の全量を上方戻し流路307bに流入させること、あるいは、上方戻し流路307bの流量を下方戻し流路307cの流量より大きくすることを「タンク上方に戻す」と略称し、追焚戻り湯の全量を下方戻し流路307cに流入させること、あるいは、下方戻し流路307cの流量を上方戻し流路307bの流量より大きくすることを「タンク下方に戻す」と略称する。
追焚戻り湯の温度は、使用状況によって異なるが、少なくとも給水温度(低温水の温度)よりは高いので、追焚戻り湯は熱量を有している。追焚戻り湯をタンク上方に戻した場合には、追焚戻り湯の熱量が貯湯タンク1の上方の高温領域に戻るので、追焚戻り湯の熱量を給湯に確実に再利用できる。これに対し、追焚戻り湯をタンク下方に戻した場合には、給湯に利用されない貯湯タンク1の下方の低温領域に追焚戻り湯が混合するので、追焚戻り湯の熱量を再利用できない。このため、省エネルギーの観点からは、追焚戻り湯をなるべくタンク上方に戻した方が、省エネルギー化が図れる。ただし、追焚戻り湯の流入によって貯湯タンク1の上方の高温領域の温度が給湯に使用可能な温度(例えば40℃)未満に低下してしまうような場合には、すべての熱量が無効となってしまうので、追焚戻り湯をタンク上方に戻すべきでない。貯湯タンク1の上方の高温領域が十分に高温である場合や、この高温領域の湯量が十分に多量である場合には、そのようなおそれがないので、追焚戻り湯をタンク上方に戻すように制御することが省エネルギーの観点から望ましい。
追焚湯切れへの耐力に関しては、追焚戻り湯の温度が浴槽目標温度と比べて高いか低いかにより、追焚戻り湯をタンク上方に戻した方が良いかタンク下方に戻した方が良いかが異なる。追焚戻り湯の温度が浴槽目標温度より高い場合には、追焚戻り湯は、浴槽水を加熱可能な熱量を有しているので、追焚戻り湯をタンク上方に戻すことにより、貯湯タンク1の上方の高温領域が有する追焚に有効な熱量が増え、追焚湯切れへの耐力が高くなる。これに対し、追焚戻り湯の温度が浴槽目標温度より低い場合には、追焚戻り湯は浴槽水に対して負の熱量を有しているので、追焚戻り湯をタンク上方に戻すと、貯湯タンク1の上方の高温領域が有する追焚に有効な熱量が減少する。このため、追焚戻り湯の温度が浴槽目標温度より低い場合には、追焚戻り湯をタンク下方に戻した方が追焚湯切れへの耐力が高くなる。
追焚能力の観点からは、次のようになる。追焚戻り湯の温度は、貯湯タンク1の上方の高温領域の温度より低いので、追焚戻り湯をタンク上方に戻すと、貯湯タンク1の上方の高温領域の温度は低下する。貯湯タンク1の上方の高温領域の温度が高いほど、追焚能力は高くなる。このため、追焚能力に関しては、追焚戻り湯の温度にかかわらず、追焚戻り湯をタンク下方に戻した方が、追焚能力を高く維持することができる。
以上説明したように、本実施形態の貯湯式給湯システムによれば、追焚戻り湯をタンク上方に戻した場合、追焚戻り湯が貯湯タンク1の上方の高温領域に混合されるので、追焚戻り湯が持つ熱量を確実に再利用することができる。これに対し、追焚戻り湯を貯湯タンク1の中間部に戻す構成の場合には、貯湯タンク1の中間部に戻された追焚戻り湯が結局使用されないまま残る場合がある。本実施形態の貯湯式給湯システムによれば、追焚戻り湯をタンク上方に戻した場合、追焚戻り湯が持つ熱量を確実に再利用することができるので、確実に省エネルギー化が図れる。また、追焚戻り湯をタンク上方に戻すことがシステムの状態や使用者の意向との兼ね合いで不都合となる場合には、追焚戻り湯をタンク下方に戻すことができるので、そのような不都合を回避することができる。更に、本実施形態の貯湯式給湯システムでは、貯湯タンク1に追焚戻り湯の戻し口として上方戻し口11と下方戻し口12との2箇所を設けるだけでよく、3箇所以上の戻し口を設ける必要がない。このため、貯湯タンク1の構造や追焚戻り湯の流路構成の複雑化を回避することができるので、装置の大型化やコスト・重量の増大を招くことなく、省エネルギー化を達成することができる。
本実施形態では、上述した理由から、追焚き戻り湯の温度が浴槽目標温度より高ければタンク上方に戻し、そうでなければタンク下方に戻すように制御してもよい。また、本実施形態では、システムモード設定手段109で省エネモードが設定されている場合には、追焚戻り湯をその温度にかかわらずタンク上方に戻すように制御してもよい。これにより、追焚戻り湯の熱量をより確実に回収して再利用できるので、使用者の意向に従い、省エネルギーを最優先することができる。また、本実施形態では、システムモード設定手段109で追焚能力優先モードが設定されている場合には、追焚戻り湯をその温度にかかわらずタンク下方に戻すように制御してもよい。これにより、貯湯タンク1の上方の高温領域の温度を最大化することができるので、使用者の意向に従い、追焚能力の保持を最優先することができる。
また、本実施形態では、追焚モード設定手段110で自動保温モードが設定されている場合に、自動保温の設定時間が長ければ追焚戻り湯をタンク下方に戻し、自動保温の設定時間が短ければ追焚戻り湯をタンク上方に戻すように制御してもよい。ここで、設定時間ではなく自動保温運転の残り時間に基づいてもよい。また、貯湯タンク1内の所定温度(例えば40℃)以上の蓄熱量が、所定量(例えば予測される追焚必要熱量に所定の余裕代を加えた量)以上の場合であり、高温領域の温度が所定温度を下回らないと判断されるときに、追焚戻り湯をタンク上方に戻すように制御してもよい。
また、本実施の形態1においては、上方戻し流路断熱材8bを、下方戻し流路断熱材8cよりも断熱性能が高いものとすることにより、以下のような利点がある。上方戻し流路307bを介して追焚戻り湯を貯湯タンク1内に戻す場合には、追焚戻り湯が貯湯タンク1の上方の高温領域に流入し、高温領域の温度が低下する。貯湯タンク1の上方の高温領域の温度が目標給湯温度より低くなると、目標給湯温度の湯を供給できなくなるため、貯湯タンク1の上方の高温領域の温度低下はなるべく抑制する必要があり、そのためには上方戻し流路307bを通る追焚戻り湯の温度を可能な限り保温することが望まれる。特に、追焚運転の停止中に上方戻し流路307b内に滞留した追焚戻り湯の温度が大きく低下すると、次の追焚運転の開始時に、その温度低下した上方戻し流路307b内の追焚戻り湯が貯湯タンク1の上方の高温領域に流入することになり、好ましくない。このようなことから、上方戻し流路307bを保温する上方戻し流路断熱材8bの断熱性能をなるべく高くすることにより、貯湯タンク1の上方の高温領域の温度低下を抑制し、省エネルギー性を高めることができる。
これに対し、下方戻し流路307cを介して追焚戻り湯を貯湯タンク1内に戻す場合には、貯湯タンク1の上方の高温領域の温度が低下することはないので、追焚戻り湯の温度が多少低下しても、問題は無い。このため、下方戻し流路307cを保温する下方戻し流路断熱材8cを、上方戻し流路断熱材8bよりも断熱性能が低いものとすることにより、下方戻し流路断熱材8cのコストが低減するので、省エネルギー性に影響を及ぼすことなくコストの低減が図れる。また、下方戻し流路断熱材8cは省略しても良く、その場合にはコストを更に低減することができる。
また、本実施の形態1においては、上方戻し流路307bの流路長を下方戻し流路307cの流路長より短くしたことにより、下方戻し流路307cと比べて、上方戻し流路307bの放熱量を低減して保温性能を更に高めることができる。これにより、コストを増加することなく、省エネルギー性を更に高めることができる。
なお、本実施の形態1では、追焚熱交換器5により浴槽水を加熱する追焚運転を実行可能な貯湯式給湯システムを例に説明したが、本発明は、例えば床暖房などの他の用途のために熱交換器により被加熱物を加熱する熱交換運転を実行可能な貯湯式給湯システムにも同様に適用可能である。
実施の形態2.
次に、図5乃至図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。図5は、本発明の実施の形態2の貯湯式給湯システムを示す構成図である。図6は、本発明の実施の形態2の貯湯式給湯システムにおける信号の流れを表すブロック図である。
≪機器構成≫
図5に示すように、本実施の形態2における貯湯式給湯システムは、実施の形態1に示した構成に加えて、中温水混合手段42と、中温水配管308と、中温水温度センサ508とを備えている。中温水混合手段42は、導出用配管303の途中に配置されている。貯湯タンク1の上方戻し口11と、下方戻し口12との間の高さの位置には、中温水取出口13が設けられている。中温水配管308は、中温水取出口13と、中温水混合手段42とを接続している。中温水混合手段42は、中温水配管308を介して貯湯タンク1の中温水取出口13から導出された中温水と、貯湯タンク1の上部から導出された高温水とを任意の混合比で混合可能になっている。混合手段4は、中温水混合手段42から供給される温水と、混合用配管304から供給される低温水とを混合し、給湯用配管305を通じて、蛇口、シャワー、浴槽6などの負荷側に供給する。このように、本実施形態の貯湯式給湯システムは、中温水配管308を介して貯湯タンク1の中温水取出口13から導出された中温水を系外へ供給可能な給湯経路を有している。なお、本実施形態では、先に中温水と高温水とを混合した後に低温水と混合可能な構成としているが、このような構成に限らず、先に中温水と低温水とを混合した後に高温水と混合する構成にしてもよい。また、目標給湯温度より中温水が高温の場合には中温水と低温水とを混合して給湯し、目標給湯温度より中温水が低温の場合には中温水と高温水とを混合して給湯する構成としてもよい。
図6に示すように、制御手段100には、実施の形態1に示した情報に加えて、中温水温度センサ508からの情報が入力される。制御手段100は、入力された情報に基づいて中温水混合手段42を制御する。
図7は、追焚運転時に追焚戻り湯を上方戻し流路307bを介して上方戻し口11から貯湯タンク1内に戻したときの貯湯タンク1内の温度分布の変化を説明するための図である。図8は、追焚戻り湯を上方戻し流路307bを介して貯湯タンク1内に戻した場合の中温水取出口13の位置の影響を説明するための図である。なお、図7乃至図10に示す例では、貯湯タンク1の容量を370Lとしている。
図7に示すように、追焚運転時に追焚戻り湯を上方戻し流路307bを介して貯湯タンク1内に戻した場合には、追焚運転によって温度境界層の位置は大きくは変化しない。また、温度境界層より上側の高温領域にある上方戻し口11から流入した追焚戻り湯は、貯湯タンク1内の高温水より温度が低く、密度が大きい。このため、上方戻し口11から流入した追焚戻り湯は、下方に拡散する。したがって、上方戻し口11の高さと、温度境界層との間の範囲にある高温水に追焚戻り湯が混合し、上方戻し口11の高さと温度境界層との間の領域にほぼ均一な温度の中温水層が生成される。上方戻し口11より高い位置では、貯湯タンク1の頂部と同温の領域が減少していくが、上方戻し口11の高さの貯湯温度よりは高温に維持される。この場合には、中温水取出口13が上方戻し口11と温度境界層との間の高さにあれば、中温水を確実に採取できる。また、中温水取出口13の位置が高いほど、利用可能な中温水の量が多くなる。また、中温水層より高い温度の高温水は追焚のために残しておき、給湯に対してはできるだけ中温水を利用することが省エネルギーとなる。したがって、中温水取出口13の位置は、上方戻し口11よりも下の位置であって、なるべく高い位置が望ましい。
図9は、追焚運転時に追焚戻り湯を下方戻し流路307cを介して下方戻し口12から貯湯タンク1内に戻したときの貯湯タンク1内の温度分布の変化を説明するための図である。図10は、追焚戻り湯を下方戻し流路307cを介して貯湯タンク1内に戻した場合の中温水取出口13の位置の影響を説明するための図である。
図9に示すように、追焚運転時に追焚戻り湯を下方戻し流路307cを介して貯湯タンク1内に戻した場合には、温度境界層の下側の低温水に追焚戻り湯が流入することにより、温度境界層の位置が上昇していく。また、下方戻し口12から流入した追焚戻り湯は、貯湯タンク1内の低温水より温度が高く、密度が小さい。このため、下方戻し口12から流入した追焚戻り湯は、上方に拡散する。したがって、下方戻し口12の高さと温度境界層との間の範囲にある低温水に追焚戻り湯が混合することにより、下方戻し口12の高さと温度境界層との間の領域に、ほぼ均一な温度の中温水層が生成される。この中温水層の温度は、追焚運転が続くにつれて上昇する。一方、下方戻し口12の高さより低い領域の温度は、追焚運転開始時と大きく変化せず、ほぼ給水温度のままである。このように、下方戻し口12の高さと温度境界層との間の領域に中温水層が生成されるので、中温水取出口13が下方戻し口12より高い位置であって温度境界層より低い位置になければ中温水が採取できない。したがって、中温水取出口13は、下方戻し口12より高い位置であって、なるべく低い位置にある方が、中温水を採取できる可能性は高い。しかしながら、中温水取出口13が低い位置にあるほど、採取できる中温水の量が少なくなる。ゆえに、中温水取出口13の位置は、下方戻し口12よりも上であって、かつ、温度境界層が到達する範囲においてできるだけ高い位置が望ましい。ここで、温度境界層が到達する高さとしては、一般的に追焚運転が実施される時間帯では一日の給湯負荷の過半が終了していると想定されるので、貯湯タンク1の2分の1の高さ、またはそれより高い位置が、温度境界層が到達する高さとしてもよい。
以上のように、本実施の形態2においては、中温水取出口13を上方戻し口11と下方戻し口12との間の高さに配置したことにより、追焚運転時に追焚戻り湯が上方戻し流路307bと下方戻し流路307cとの何れを介して貯湯タンク1に戻された場合であっても、生成した中温水を確実に採取することができる。このため、中温水を給湯に有効に活用することができ、省エネルギー化が図れる。
また、中温水取出口13は、下方戻し口12よりも上方戻し口11に近い高さの位置、すなわち下方戻し口12と上方戻し口11との中間の高さより高い位置に配置することがより好ましい。上述したように、上方戻し流路307bを介して貯湯タンク1内に戻した追焚戻り湯により生成された中温水を採取する場合には、中温水取出口13の位置が上方戻し口11の高さになるべく近いほど、採取できる中温水の量が多くなり、省エネルギー化が図れる。一方、下方戻し流路307cは、省エネルギーを主な目的としたものではなく、高い追焚能力の維持を主な目的としたものである。このため、下方戻し流路307cを介して貯湯タンク1内に戻した追焚戻り湯を再利用する必要性はそれほど高くない。そこで、中温水取出口13を、下方戻し口12よりも上方戻し口11に近い高さの位置に配置することにより、上方戻し流路307bを介して貯湯タンク1内に戻した追焚戻り湯の利用効率を向上することができ、より効果的に省エネルギー化が図れる。
なお、本実施の形態2と異なり、追焚戻り湯を、貯湯タンク1内の温度が追焚戻り湯と略同一温度となる領域に戻す構成とした場合には、貯湯タンク1の下方の低温領域に戻す場合と同じく、追焚運転による中温水は追焚戻り湯の戻し口の位置より上方に生成される。したがって、中温水取出口13は、追焚戻り湯の戻し口の位置よりも高い位置に配置する必要がある。これに対して、本実施の形態2では、上方戻し流路307bを介して貯湯タンク1内に戻す追焚戻り湯は、追焚戻り湯の温度より高い高温領域に流入するので、上方戻し口11よりも低い位置に中温水が生成される。このため、上方戻し口11よりも低い位置に中温水取出口13を配置することにより、追焚運転により生成された中温水を効率良く採取することができ、効果的に省エネルギー性能を改善することができる。
実施の形態3.
次に、図11乃至図13を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1、2との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
追焚運転の停止中に冷えた熱交換回路内の残留水は、給水温度に対しても有効なエネルギーをほとんど有さないほどに温度が低下している場合があるので、貯湯タンク1の上方に流入させることは回避することが望ましい。そこで、本実施の形態3では、追焚運転を開始する際に、この熱交換回路内の残留水を貯湯タンク1の下方に戻す追焚予備運転(熱交換予備運転)を行う。
≪実施の形態3に特徴的な動作≫
図11は、追焚予備運転を実行する制御動作を表すフローチャートである。図11に示すように、まず、追焚運転の実行中かどうかが判断され(ステップS1)、追焚運転が実行されていないと判断された場合には、流路切替弁7がデフォルトの状態(ここでは、下方戻し流路307c側の状態)に制御される。このため、本実施形態では、追焚運転の開始時には、流路切替弁7は事前に下方戻し流路307c側に切り替えられている。ステップS1で追焚運転の実行中と判断された場合には、次に、追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内の残留水がすべて高温水に置換されたかどうかが判断される(ステップS3)。残留水がまだすべて高温水に置換されていないと判断された場合には、流路切替弁7を下方戻し流路307c側にした状態で追焚用ポンプ32を作動させる追焚予備運転が継続される(ステップS4)。この追焚予備運転により、貯湯タンク1の上部から導出された高温水が追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内に流入するとともに、追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内の残留水は、下方戻し流路307cを通って貯湯タンク1の下方に戻される。ステップS3で、追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内の残留水がすべて高温水に置換されたと判断された場合には、ステップS5の追焚本運転(通常の追焚運転)に移行する。
図12は、追焚本運転における制御動作を表すフローチャートである。図12に示すように、追焚本運転が開始された場合には、まず、過去所定期間(例えば数日間)の間に高能力追焚の実績があるかどうかを判断する(ステップS10)。過去所定期間に高能力追焚の実績がある場合には、当日も高能力追焚の要求が発生する可能性が高いと判断できるので、貯湯タンク1の上方の高温領域の湯温を高く維持して追焚能力を保持するために、流路切替弁7を下方戻し流路307c側にした状態で、追焚運転を実施する(ステップS11)。一方、ステップS10で、過去所定期間に高能力追焚の実績がない場合には、次に、現在貯湯タンク1に存在する追焚有効蓄熱量を追焚有効蓄熱量算出手段101により算出し(ステップS12)、追焚必要熱量予測手段104により追焚必要熱量を予測する(ステップS13)。そして、追焚有効蓄熱量と追焚必要熱量とを比較する(ステップS14)。その比較の結果、追焚有効蓄熱量が追焚必要熱量より大きい場合、または追焚有効蓄熱量が追焚必要熱量より所定の余裕代以上に大きい場合には、追焚熱量の不足は発生しないと判断できるので、流路切替弁7を上方戻し流路307b側にした状態で追焚運転を実施し(ステップS15)、そうでない場合には、追焚熱量の不足を防止するために、流路切替弁7を下方戻し流路307c側にした状態で追焚運転を実施する(ステップS16)。
ここで、追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内の残留水がすべて高温水に置換されたかどうかの判定は、例えば、追焚戻り湯温度センサ507により検出される追焚戻り湯温度が、浴槽戻り湯温度センサ506により検出される浴槽戻り湯温度を超えた場合に、残留水の置換が完了したと判定することができる。また、追焚戻り湯温度が所定の閾値(例えば給湯温度に近い35℃)を超えた場合に、残留水の置換が完了したと判定しても良い。
あるいは、追焚予備運転中の追焚用ポンプ32による送水量をポンプ回転数から推定し、その積分値が残留水の体積(追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内の容積)を超えた場合に、残留水が置換されたと判定しても良い。この制御によれば、追焚戻り湯温度センサ507や浴槽戻り湯温度センサ506を備えない場合であっても、追焚予備運転の継続時間に過不足がないように適切に制御することができる。
また、本実施の形態3では、図11に示す制御動作に代えて、図13に示す制御動作を実行しても良い。図13に示す制御動作では、追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内の残留水が低温になっていない場合には追焚予備運転を行わず、直ちに追焚本運転に移行する。図13のフローチャートは、図11のフローチャートのステップS1とステップS3との間にステップS6が挿入されたものである。図13に示す制御動作の場合には、ステップS1で追焚運転の実行中と判断された場合には、次に、追焚戻り湯温度センサ507の出力値から推定される残留水の温度と所定温度(例えば給湯温度に近い35℃)とを比較する(ステップS6)。その結果、残留水の温度が上記所定温度以上であると判断された場合には、追焚予備運転を行うことなく、直ちにステップS5の追焚本運転に移行する。一方、ステップS6で、残留水の温度が上記所定温度より低いと判断された場合には、ステップS3に移行し、図11に示す制御動作と同様の制御を行う。図13に示す制御動作によれば、残留水が低温になっていない場合には、不必要な追焚予備運転の実施を回避することができるので、更に省エネルギー化に寄与する。
なお、図13に示す制御動作において、残留水の温度低下を、追焚戻り湯温度センサ507によらずに、前回の追焚運転の終了時から今回の追焚運転の開始時までの経過時間に所定の温度低下率を乗算することで推定し、その推定された残留水の温度低下が所定量より小さい場合には、追焚予備運転を実施しないようにしても良い。このような制御によれば、追焚戻り湯温度センサ507を備えない場合であっても、不必要な追焚予備運転の実施を回避することができる。
以上説明した本実施の形態3によれば、追焚往き配管307aおよび追焚熱交換器5内に滞留して冷えた低温の残留水が貯湯タンク1の上方の高温領域に流入することを確実に回避できるので、省エネルギー性能を更に改善することができる。
1 貯湯タンク
2 加熱手段
4 混合手段
5 追焚熱交換器
6 浴槽
7 流路切替弁
8a 追焚往き配管断熱材
8b 上方戻し流路断熱材
8c 下方戻し流路断熱材
11 上方戻し口
12 下方戻し口
13 中温水取出口
31 加熱用ポンプ
32 追焚用ポンプ
33 浴槽用ポンプ
41 混合手段
42 中温水混合手段
100 制御手段
301 加熱用配管
302 給水用配管
303 導出用配管
304 混合用配管
305 給湯用配管
306a 浴槽往き配管
306b 浴槽戻り配管
307a 追焚往き配管
307b 上方戻し流路
307c 下方戻し流路
308 中温水配管
501a〜501f 貯湯温度センサ
502 沸上温度センサ
503 導出温度センサ
504 給水温度センサ
505 給湯温度センサ
506 浴槽戻り湯温度センサ
507 追焚戻り湯温度センサ
508 中温水温度センサ
601 給湯流量センサ

Claims (6)

  1. 水を加熱して高温水を生成可能な加熱手段と、
    温度境界層を介して、上側に高温水を貯留し、下側に低温水を貯留する貯湯タンクと、
    被加熱物を加熱するための熱交換器と、
    前記貯湯タンクから導出された高温水を前記熱交換器に送る移送手段と、
    前記貯湯タンクから導出された高温水を前記熱交換器に送って前記熱交換器により前記被加熱物を加熱する熱交換運転時に、前記熱交換器に送られた高温水が前記熱交換器を通過して温度低下した戻り湯を、前記温度境界層より上側の前記貯湯タンクの上方高温領域に流入させることにより前記戻り湯を前記上方高温領域に混合させる上方戻し流路と、
    前記熱交換運転時に、前記戻り湯を、前記温度境界層より下側の前記貯湯タンクの下方領域に流入させる下方戻し流路と、
    前記戻り湯を前記上方戻し流路に流入させる状態と前記下方戻し流路に流入させる状態とに切り替え可能な流路切替手段と、
    前記加熱手段を稼動しない前記熱交換運転時に、前記流路切替手段を制御することにより、前記戻り湯を前記上方戻し流路を介して前記貯湯タンク内に流入させることにより前記戻り湯を前記上方高温領域に混合させるか、前記戻り湯を前記下方戻し流路を介して前記貯湯タンク内に流入させるかを制御する制御手段と、
    前記貯湯タンクに設けられ、前記上方戻し流路が接続された上方戻し口と、
    前記貯湯タンクに設けられ、前記下方戻し流路が接続された下方戻し口と、
    前記貯湯タンクの、前記上方戻し口と前記下方戻し口との間の高さに設けられた中温水取出口と、
    前記中温水取出口を介して前記貯湯タンク内から導出された温水を系外へ供給可能な給湯経路と、
    前記貯湯タンクの上部に接続され、前記貯湯タンク内の高温水を導出する導出用配管と、
    を備え、
    前記中温水取出口は、前記下方戻し口より前記上方戻し口に近い高さに設けられており、
    前記貯湯タンクには、前記戻り湯の戻し口が、前記上方戻し口と、前記下方戻し口との2箇所のみ設けられており、
    前記上方戻し口は、前記貯湯タンクと前記導出用配管との接続位置より低い位置にあり、
    前記上方戻し口から前記貯湯タンク内に流入した前記戻り湯が下方に拡散し、前記上方戻し口の高さと前記温度境界層との間の範囲にある高温水に前記戻り湯が混合し、前記上方戻し口の高さと前記温度境界層との間の領域に中温水層が生成され、前記中温水取出口から中温水を採取する貯湯式給湯システム。
  2. 前記上方戻し流路を覆う断熱材を備え、
    前記下方戻し流路は、前記上方戻し流路を覆う前記断熱材より断熱性能の低い断熱材で覆われているか、または断熱材で覆われていない請求項1記載の貯湯式給湯システム。
  3. 前記上方戻し流路の流路長が前記下方戻し流路の流路長より短い請求項1または2記載の貯湯式給湯システム。
  4. 前記制御手段は、前記熱交換運転を開始する際に、前記流路切替手段を前記下方戻し流路側に切り替えた状態で、前記貯湯タンクから導出された高温水を前記熱交換器に送ることにより前記移送手段および前記熱交換器の内部に残留している残留水を前記高温水に置換する熱交換予備運転を行う手段を含む請求項1記載の貯湯式給湯システム。
  5. 前記制御手段は、前記移送手段による送水量と前記残留水の量とに基づいて、前記熱交換予備運転の継続時間を制御する請求項記載の貯湯式給湯システム。
  6. 前記制御手段は、前回の前記熱交換運転の終了時から今回の前記熱交換運転の開始時までの経過時間に基づいて前記熱交換予備運転の実行の要否を判定する請求項または記載の貯湯式給湯システム。
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