JP5580815B2 - 経粘膜デリバリーシステム - Google Patents
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Description
医薬剤形と組み合わせて用いる場合の「複数−構成された」とは、剤形が、互いにまたは第3の層に近接する側面および/または軸面で変化する外形の少なくとも2の放出速度を制御する上面および側面を有し、該層が好ましくは円盤状の形であることを意味する。
さらに、痛覚脱失剤、鎮静剤、抗−ヒスタミン剤、小児科薬および抗−レトロウイルス薬ならびにそれらの医薬上有効な異性体よりなる群から選択される1またはそれを超える医薬上有効な化合物を含む経皮医薬剤形も提供する。
材料
キトサン(食品等級)およびメタノールは、Warren Chem Specialties,Johannesburg,South Africaから得た。ゼラチン、カルバマゼピン、フェニトインナトリウム、ポリビニルアルコール(Mw=72,000g/moL)、ステアリン酸マグネシウムは、Sigma Chemical Company(St.Louis,USA)から購入した。ソルビタンエステル80(span 80)およびエタノール(95%)は、各々、Merck Chemicals(Darmstadt,Germany)およびSaarchem(Johannesburg,Gauteng,South Africa)から調達した。カーボポール974P NFはNoveon,Inc,(Cleveland,Ohio,USA)から獲得した。エチルセルロース(Ethocel(登録商標)10)はProtea Industrial Chemicals(Pty)Ltd(Wadesville,South Africa)から得た。ヒドロキシセルロース(HHX250Pharm)はHercules,Aqualon(Germany)から購入した。ペクチンCU701(〜30-40%の範囲のメトキシ化度の低メトキシペクチン)は、Hersbstreith and Fox KG(Pektin-Fabriken,Neuenburg,Germany)から購入した。滑剤としてのグリシン278(Mw=75.07g/moL)、硫酸亜鉛(Mw=287.54g/moL)(Rochelle Chemicals,Johannesburg,South Africa)、塩化バリウム(Mw=244.28g/moL)(Saarchem,Pty.Ltd,Unilab,Wadeville,South Africa)、硫酸カルシウム(Mw=219,08g/moL)(Saarchem,(Pty)Ltd.Unilab,Wadeville,South Africa)および液体パラフィン(鉱油)は、Rochelle Chemicals(Johannesburg,South Africa)から購入した。模擬唾液の調製のために、リン酸水素二ナトリウム(Mw=141.96g/moL)をRochelle Chemicals(Johannesburg,South Africa)から、塩化ナトリウム(Mw=58.44g/moL)(LabChem(Pty)Ltd.,Edenvale,South Africa)およびリン酸二水素カリウム(Mw=136.09g/moL)をRiedel-de Haen(Seelze,Germany)から購入した。全ての他の試薬は分析等級のものであり、一般に認められたものとして用いた。コンポジットマトリクスの種々の成分の典型的な機能を表1に掲載する。
キトサンおよびモデル薬物ジフェニルヒドラジン充填セルロースポリマーのストック溶液を2:1の比で均質に合し、予め油を塗った型に移し、24時間冷凍した。ついで、処方を−60℃、2時間に設定した凍結相および25mtorrの圧力にて48時間の乾燥相で凍結乾燥した(図1)。
Minitab Statistical Software,バージョン14(Minitab Inc.,State College,PA,USA)を用いる2-レベル、3因子のBox-Behnken四重設計を通して案内された相間均質化および凍結乾燥の方法によって種々の独立変数の組合せを用いて15の処方を調製した。3のカテゴリーの独立変数を、統計学的に作製したBox-Behnken設計テンプレートに基づいてP-ECMを製作するのに用い、これらには:
(i)PVA、HEC、CARB、GELおよびDWからなる水ベースの共同粒子分散(ACD)
(ii)ETH、MS、MTH、CHTSおよびEtOHから構成されたエタノールベースの共同粒子分散(ECD)
(iii)ソルビタンエステル80(SD 80)のみ
を含めた。
注記:ACDについて:0-PVA(650mg)+HEC(350mg)+GEL(400mg)+CARB974(100mg)+DW(30mL),1-PVA(475mg)+HEC(525mg)+GEL(350mg)+CARB974(150mg)+DW(20mL)および2-PVA(300mg)+HEC(700mg)+GEL(300mg)+ CARB974(200mg)+DW(25mL)。
ECDについて:3-CHTS(550mg)+MS(350mg)+MTH(200mg)+ETH 10(400mg)+EtOH(10mL),4-CHTS(425mg)+MS(325mg)+MTH(250mg)+ETH 10(500mg)+EtOH(13mL),5-CHTS(300mg)+MS(300mg)+MTH(300mg)+ETH 10(600mg)+EtOH(15mL)。
ペクチンの3%(w/v)溶液を用いて40mg/mLのモデル薬物DPHを溶解した。グリシン(0.6%(w/v))を崩壊保護剤として用いた。この溶液(1mL)を鉱油で滑りやすくした特注の型にピペット操作で入れた。鉱油は最終製品の味覚に影響せず、ミネラルに疎水性を付与するために選択した滑剤である。前−凍結乾燥した架橋システムを調製することには、0.5mLの種々の塩溶液を型中の1mLのペクチンおよびDPH溶液に添加してペクチンの架橋を行うことを含めた。塩溶液は硫酸亜鉛、塩化バリウムまたは硫酸カルシウムのいずれかからなり、個々の4%(w/v)溶液として処方化した。したがって、これらの剤形は1:0.75のポリマーに対する架橋剤の比で処方化した。架橋システムは、暗所下、25℃にて24時間硬化させ、その後、凍結乾燥(Labconco Freeze Dry Systems,Labconco Corporation,Kansas City,Missouri,US)する前に24時間、−70℃のフリーザー(Sanyo Ultra Low Temperature Freezer,Sanyo Electric Co.Ltd,日本モデル)に保存した。ついで、このシステムを凍結乾燥に36時間付した。凍結乾燥後の架橋化したシステムの調製には、2mLのポリマー−DPH溶液を油を塗ったプラスチック製型に添加し、-70℃のフリーザーに24時間保存することを含めた。ついで、得られたシステムを凍結乾燥に24時間付した。凍結乾燥の際に、医薬剤形を0.5mLの種々の塩溶液で架橋し、暗所下、25℃にて1時間硬化させた。ついで、それらをさらなる凍結乾燥に24時間付した。いくつかのものについては、凍結乾燥工程の前後両方で架橋することによって調製し、2:1.5のポリマーに対する架橋剤の比で処方化した。システムからの薬物の全体放出に対する架橋剤のタイプおよび架橋の方法(すなわち、凍結乾燥の前後)の影響を評価するために、種々の処方を生成した。評価した種々の処方を表4に掲載する。
15のマトリクスの凍結乾燥後の最終乾燥質量を、研究室スケールのウェイティング・バランス(Mettler Toledo,AB104-S,Microsep Pty Ltd,Switzerland)を用いて測定した。これを行って、処方の最終的な質量を作成するために用いることができるデータを作成した。
包括的な文献の検討から適用した迅速崩壊固体経口剤形に特異的な方法を用いて処方の崩壊を行った。平坦な円柱プローブを有するTexture Analyzer(Stable Micro Systems,Surrey,UK)を用いて、デリバリーシステムの崩壊に対して舌が有する影響を最小限にした。個々の処方を予め計量し、前記したプローブに結合した。37℃に加熱した5mLの模擬唾液(pH6.75)を用いた。ついで、結合したマトリクスを有するプローブを所定の応力で60秒間ペトリ皿に降ろした。生成した得られた距離−時間プロフィールを用いて、崩壊の開始、崩壊速度、およびマトリクスを通るプローブの貫通距離を測定した。
各細孔−調節されたマトリクスを密閉した100mL容量のガラス製容器に含めた25mLの模擬唾液(表5;pH6.8)に浸漬した。特定の条件での実験のために、マトリクスの3回反復試料を、振盪インキュベーター(Orbital Shaker Incubator,LM-530,Lasec Scientific Equipment,Johannesburg,South Africa)で37±0.5℃および20rpmで維持した。3mLの濾過した溶解試料を特定の時間間隔(30、60、120、240、360および480分)で8時間にわたって引き抜き、引き抜いた体積を各サンプリング時間に新たな模擬唾液で置き換えることによって維持した条件を低くする。放出した薬物の量はλmax=206nmでの紫外線分光器(Specord 40,Analytik Jena,AG,Germany)によって測定した。すべての実験は3回行った。
処方のテクスチャー分析は、テクスチャー分析器(Stable Microsystems,Surrey,UK)を用いて行い、歩留まり率、ポリマー破壊(polymeric fracture)および弾性挙動のような応力−弾性パラメータにおける変化を決定した。いずれの形態の水和もマトリクスの崩壊を生じたため、脱水和した試料を調べた。応力−距離または応力−時間プロフィールは、前記したものに必要な計算を行うのに十分である。試験には、マトリクス弾性(MR)、マトリクス歪みのエネルギー(εD)およびマトリクスの堅さ(MF)が含めた。平坦な先端のスチール製プローブ(2mm径)を用いてマトリクス歪みのエネルギーおよびマトリクスの堅さを測定しながら、円筒形スチール製プローブ(50mm径)を装着した較正テクスチャー分析器をマトリクス弾性の測定に用いた。すべての測定について、表6に掲載するテクスチャー設定を全体を通して固定した。データはTexture Exponent Software(バージョン3.2)を介して200ポイント/秒の速度で獲得し、すべての測定は3回行った。
薬物捕捉効率(DEE)は、処方を模擬唾液100mL中で完全に崩壊させ、ついでそれをUV分光器を介して分析して薬物内容物を決定することによって行った。ついで、式1を用いてDEEを計算した。
生体付着性は、ピーク付着力の測定およびテクスチャー分析器を用いて膜の表面に処方が付着するのに必要な仕事の計算を介して評価した。実験データは、Texture 32 Exponentを用いて分析した。2の表面間の接触を開始する前に、膜を模擬唾液(pH6.75)で湿らせた。0.5N、10秒間の接触力を加えた。ついで、膜を0.1mm/秒の一定速度で処方から上方に移動し、ピーク付着力(N)を測定した。付着の仕事(N.mm)を力/-曲線下の面積から計算した。結果は3回測定値の平均として報告する。
ブタ口内粘膜は、地域屠殺場(Mintko Meat Packers,Krugersdorp,South Africa)からの新たに屠殺した家畜ブタの頬領域から得た。粘膜標本を収集した後、それらは1時間以内に冷蔵運搬ボックスに直ちに運ばれ、本発明者らのイン・ビボ(in vivo)研究室に移した。ブタの口内粘膜はヒトの口内粘膜と同様の非ケラチン化口内粘膜を有するためそれをこの実験用に特異的に選択した。実際、ブタの口腔粘膜はその構造および組成の観点からいずれの他の動物よりもよくヒトの口腔粘膜に似ている(Shojaelら,2001;Sudhakarら,2006)。過剰な結合組織および脂肪組織を粘膜標本から取り除いた(手術用メスおよびハサミを用いて)。実験を通して用いた平均ブタ口内粘膜の厚さは0.8±0.1mmであった。これは、手動ノギス(25×0.01mm能,Germany)を用いて測定した。その後に、切り取った標本は液体窒素中でさっと冷凍し(snap freeze)、-70℃にて2ヶ月間保存した。研究者は、組織標本を冷凍することは(液体窒素を用いてさっと冷凍するかまたは標準的な冷凍器のいずれを用いるにせよ)、かかる実験に使用する場合のそれらの拡散または浸透挙動を変化しなかった(Van der Bijlら,1998;Van EykおよびThompson,1998;Van EykおよびVan der Bijl,2004;Consueloら,2005;Giannolaら,2007)。
各々の実験を行う前に、冷凍した粘膜標本を解凍し、室温(20±0.5℃)の100mLのリン酸緩衝塩類溶液(PBS,pH7.4)中で2時間平衡化した(冷凍した際に損失した弾性を再獲得するための再水和)。PBS溶液は30分毎に新たな溶液と交換した。再水和の後に、収穫した標本から手術用ハサミを用いて粘膜ディスク(15mm径、2.27cm2の面積)を切り取り、加熱循環ウォターバス/加熱システムに連結したフロースルーFranz型拡散セル(Permegear,Amie Systems,USA)に載置した。受容コンパートメントには10mLの模擬血漿、pH7.4(表4)を含ませる一方、供与コンパートメントには2mLの模擬唾液中の薬物充填処方を含ませた。受容コンパートメント内での均質混合はマグネチックスターラーで行った。浸透実験は37±0.5℃にて各処方について3回行った。480分にわたる所定の間隔(30、60、120、240、360、480分)で、2mLの試料体積を各セルの受容コンパートメントから引き抜き、同体積の新たな模擬血漿と交換した。各実験の終わりに、セルを次亜塩素酸ナトリウムおよび70%エタノール溶液で消毒し、ついで乾燥させて次の実験の準備をした。
単層システムの試料を5mLの模擬唾液で水和し、37℃にてModulated Advanced Rheometerシステムを用いて分析した。マトリクスを調製するのに用いた非凍結乾燥混合物の粘度(η)および
の観点からの流動特徴ならびに多孔性マトリクス一体性に対するその全体的影響を、Haake Rheowinデータおよびジョブソフトウェア(Haake Mars,Thermo Scientific,Waltham,MA,USA)を備えたModular Advanced Rheometer Systemを用いて調べた。レオメーターのステージは、各処方について1.5mLの試料(混合物)で満たした。ローターC35/1℃チタンセンサー型を使用した。流動測定パラメータを、25℃の操作温度、180秒の分析接触時間、0秒-1ないし5秒-1の範囲の制御した速度および0秒0秒-1ないし500秒-1の一定のずり速度で固定した。平均粘度(η)および
値は、250秒-1の平均した一定のずり速度で計算した。
処方の多孔性表面形態の性質および構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて可視化および特徴付けした。試料(12mm径×4mm厚さ)を金−パラジウムでスパッタコーティングし、20keVの電圧および1000×の倍率のJSM-840走査型電子顕微鏡(JEOL 840,Tokyo,Japan)下、異なる角度から4回観察した。
密度の上昇は低多孔率を示すように、多孔率と密度との間には反対の関係が存在する(Dourdainら,2006)。マトリクスの多孔率(φ)は体積および重量の測定を用いた処方の真および見かけの密度から計算した。使用した数学的表現を式4に示す。
多孔度測定は、細孔の型に関する情報を提供する総細孔体積、表面積および平均細孔径のような材料の多孔的性質の種々の定量可能な態様を測定するために使用する分析技術である。これらのパラメータは、ASAP 2020 V3.01ソフトウェア(Micromeritics,ASAP 2020,Norcross,GA,USA)を備えた表面積および多孔率分析器を用いて2回検出した。100mgの乾燥試料重量をすべての15の処方に使用した。多孔度調査は2のフェーズ、すなわち脱気および分析のステージで行った。試料を脱気に付して空気、ガスおよび他の吸着種を試料の表面から除去した。使用した作業設定には、温度勾配率(10℃/分)、標的温度(90℃)、真空排気速度(50mmHg/秒)、非制限真空排気(30mmHg)、真空設定点(500μmHg)、真空排気時間(60分)、加熱保持時間(120℃)、保持時間(900分)、真空排気および加熱保持圧力(100mmHg)および分析時間(400分)を含めた。
赤外線スペクトルは、Opus Version 6.0ソフトウェアを備えたBrucker Optic FTIR分光器(Tensor 27 Spectrometer,Brucker Optics Inc.,Billerica,MA,USA)に記録した。各々の処方について10mgの試料を機器ステージ上の試料ホルダーに載置した。分析用の試料を載置する前に、ブランク走査(バックグラウンド・スペクトル)を採った。試料は4000−400cm-1の範囲の波数、スキャン時間=32スキャンおよび解像度=4cm-1で分析した。
医薬剤形の層化効果
キトサンはOHおよびNH2基を有しており、水素結合を生じ得、線形の分子は十分な鎖フレキシビリティーを表し、そのコンフォメーションはイオン強度に強く依存している。また、キトサンのカチオン性の性質は、粘膜または負に荷電した粘膜表面21〜22との強力な静電気的相互作用を生じる。HPCおよびキトサンの等濃度のストック溶液(両方とも蒸留水中で混合)を調製した。一定の攪拌下でキトサン:HPCの2:1の比で溶液を合して懸濁液を調製した。この懸濁液を24時間冷凍し、つづいて48時間凍結乾燥した。得られた処方は2の異なる層:薄い色の多孔性の上層、およびより暗い色の粒状の下層、を有するように見えた。この層を成す効果は多くの理由に帰し得る。同じ濃度で製造したにもかかわらず、HPC溶液はキトサンよりもより粘性である。したがって、混合の際にキトサン粒子はHPLC溶液に懸濁していた。冷凍工程の間に、より濃いキトサン粒子は重量の影響下で型の底に沈殿する。キトサンの密度はほぼ1.35−1.40g/cm3であり、一方HPCによって示されるのは0.5g/cm3であった。また、層を成す効果に帰するものは凍結乾燥工程それ自体である。凍結乾燥には昇華による凍結した生成物からの水の除去が含まれる(昇華は、それによって凍結した液体が液体状態を通過することなく気体工程に直接的に向かう工程である)。キトサンおよびHPCの間の層を成す効果に関連するこの工程の間の潜在的に重要な相は各々前−凍結および初期乾燥(primary drying)相である。
凍結乾燥は固相から気相への状態における変化のため、生成物は適当に前−凍結しなければならない。水性懸濁液を冷却すると、生成物マトリクスの溶質の濃度に変化が生じる。冷却が進行するにつれ、水は氷に変化するため溶質から分離し、溶質のより濃縮された領域が作り出される。濃縮された材料のこれらのポケットは周囲の水よりも低い凝固点を有する。
分子はより高い圧力の試料からより低い圧力の領域に移動する。生成物の蒸気圧は凍結生成物マトリクスからコレクターへの水蒸気の昇華を強いる。運動エネルギーは最終的に分子内に分配されず;いくつかの分子はより大きなエネルギーを有し、したがっていずれかの瞬間においてはより速い速度を有する。液体を一定温度の排気した容器に置くと、最も高いエネルギーを有する分枝が液体の表面から引き離されて気体状態に移り、いくつかの分子はその後に液体に戻るかまたは濃縮する。所定の温度で濃縮の速度が蒸発の速度と等しい場合、上記は飽和になり、動的平衡状態が確立される。その場合、液体上方の飽和蒸気の圧力は、平衡蒸気圧として知られている。蒸気圧は分子が逃げ出す傾向の定量的表現として作用する。これらの事実を考慮すると、水蒸気はキトサンからそのより高い蒸気圧に起因してキトサンからより迅速に引っ張られ、さらに下層の形成に影響する可能性がある。水蒸気はより粘稠で密度の低いHPC層からより遅い速度で引っ張られ、システムの上層の形成を生じる。溶解していないキトサンと各々のポリマー溶液との間の密度差の結果として層を成す効果が起こる。疎水性および親水性は層を成す現象で役割を演じ得るであろう。親水性ポリマー溶液は疎水性の溶解しないキトサンから分離するからである。ポリマー溶液の熱力学的な不親和性のため、層を成す現象は相分離にも帰し得る。ギブス自由エネルギーがマイナスの場合、ポリマー溶液の混和性が高まる23。ポリマーの化学は水素結合として不可欠な役割を演じ、イオン−イオン対合は混合エンタルピーに助力し、ポリマー成分は完全に混合して単層化されたマトリクスの形成を生じる凍結乾燥の前に均質な溶液を形成する23。親水性ポリマーは、通常、混和性を高めることが予想されるプロトン供与基およびプロトン受容基の組合せを有している23。これらの処方における水の存在は、ポリマー−水−ポリマー会合の形成を通して混和性を高めることが仮定される。示された予想マトリクス弾性よりも高ければ、マトリクスへの大きな剛性を付与するWDSのキトサン成分に帰することができる。WDSのキトサン成分がより大きな応力に抵抗する能力を示すにもかかわらず、セルロース成分よりもより迅速に崩壊するその能力は凍結乾燥した形態で詰まったその粒体に帰することができる。流体との接触は、これらキトサン粒の膨潤を生じ、流体が浸透するための増大した空間を生じる取り囲む粒体を示し、したがって崩壊を高める。
一般的に、処方は、8mmの直径および5mmの厚さを有する白っぽいコンパクトなプラットフォームとして見えた。また、マトリクスは凸形の基部および平坦な表面を提供した。全体ではマトリクスは最低(121.95±0.95mg)から最高(133.75±0.35mg)の範囲の値を有する比較的軽い重量として記載し得る。15のすべての処方についての128.44±3.49mgの平均重量も同様に得た。マトリクス内の細孔の存在は、その密度も減少するためにその軽い重量に帰し得る。15の処方の重量における差(R=0.459)は、各処方の成分の差重量に帰し得る。処方間重量差に関しては、同じ処方から調製したマトリクス間に緊密な関係が存在した(R=0.961)。このことは、この研究に使用したP-ECMを調製する相間、共同粒子、共同溶媒、均質化技術が有効であって、同一の処方バッチ内での不均衡を最小限にする均質な混合物を生成したことを意味している。処方の平均重量を図4に示す。
2.崩壊速度−崩壊プロフィールに対するARの傾斜
3.浸透距離−剤形へのプローブによって進められた最大距離
処方構成物の量における差に起因する共同粒子分散、相間均質化重合、溶質−溶媒相互作用および凍結乾燥の種々の程度と関連し得る多様な放出パターンが15の処方について観察された。図4は15の処方の薬物放出傾向を示している。15の処方によって示された多様な溶解パターンは、平均溶解時間(MDT)という時間−点アプローチによって分析および実証した。MDTの適用は、薬物放出挙動のより正確な見方を提供する。それは全体薬物用量の特異的な画分が放出される個々の時間の合計として決定されるからである(Pillay and Fassihi,1998; Rinakiら,2003; Ansariら,2004)。式5をMDTの循環に利用した。
MDT50%データ点を15の処方について選択した。これはすべての生成したプロフィールに適用できたためである(図6)。MDT50%の数値は表7で述べる。低いMDT50%および高いMDT50%値は各々迅速または塩基した薬物放出を表す。
粘度は外部の力を加えた場合の流動に対する流体均質混合物の抵抗を定量化するパラメータを記載し得るb)。15の処方についての均質な混合物の挙動は非−ニュートン型と記載することができる。なぜなら、その粘度の程度はずり条件(すなわち、ずり速度およびずり応力)に依存するからである。換言すれば、それは加えたずり応力およびずり速度でのこの変化としての単一の一定速度によって記載することができない流体として記載することができる。混合物に参照すると、ずり応力およびずり速度の増大は速度値における減少を生じる。図8Aおよび8Bは均質混合物に対する速度、ずり速度およびずり応力の間の関係を示す典型的なプロフィールを表している。15の処方について一定のずり速度で計算した平均速度値(η)は0.7893×104±0.0007×104Pa.sから8.6580×104±0.002×104Pa.sの範囲の値で異なっていた。マトリクスの表面形態と速度を比較すると、特徴付けが記録された。粘度値は、それがこの一連のデータを解釈する体系的なアプローチであったため、低(<1.05×104Pa.s)、中間(>1.05×104Pa.s<4×104Pa.s)および高(>5×104Pa.s<9×104Pa.s)として分類した。
ポロシメトリー分析は、全体細孔体積、表面積、平均細孔径および細孔相互接続指数を定量化した。この調査は、各処方の生成したSEM写真(図20)ならびに定性多孔率測定(図9)によって示された知見を列挙した。平均細孔径は、6.5×10-4cm3/gおよび9.5×10-3cm3/gの値を有する細孔分布の測定値として累積細孔体積を有する40Åないし100Åの範囲であり、一方で累積表面積は28cm2/gないし800cm2/gにひろがっていた。前記した数に関する測定は、P-ECMの性能が相互接続の一体性および構造ならびに表面積をも示す細孔体積の分布に非常に依存することを立証している。これらのパラメータは各処方について変化し、このことは、物理化学的および物理機械学的品質に大きな衝撃を有することが観察される。図11、12および13は、各々、15の実験設計処方について測定した平均細孔径、累積細孔体積および表面積を示す。細孔径の範囲は、15の処方はそれらの径が20Åないし500Åであるため事実上メソ多孔性であることを示した。
力−距離および力−時間プロフィール上のアンカー1および2(図16および17)は処方のセルロース成分の表示であり、アンカー2および3はキトサン成分を表す。アンカー3および4は全体として処方に対応する。セルロース層の平均マトリクス終了および許容値(各々、0.447N/mm;1.965N.mm)はその高い多孔性性質に起因してキトサン層のもの(各々、0.859N/mm;7.198N.mm)よりも低い。
有効薬物充填は、53.14±2.19%ないし99.02±0.74%の範囲の値で達成された(表9)。
モデル生物組織(ブタ口内粘膜)に接着する処方の能力が、脱着のピーク力(Fdet)(0.9636±0.015N〜1.042±0.025N)および接着の仕事またはエネルギー(wadh)(0.0014±0.00005J〜0.0028±0.00008J)(図19)によって明らかになった。処方の調製の間に含めた生物接着性化合物(ゼラチンおよびカーボポール)の量における差異によっては特異的な傾向は観察されなかった。ゼラチンおよびカーボポールはマトリクスの全体接着特徴に影響することにおいて互いに補足していると提唱し得る。このことは、なぜ全ての処方がレベル生物接着能力を示したかを説明している。また、FdetないしWadhに直接的または逆に関連する特定のパターンは存在しなかった。このことは、FdetがWadhの値に特異的に影響しなかったことを意味している。このことは、生物接着の間に消費されたエネルギーまたは脱着の力が生物接着の特性に依存し得るマトリクス、組織および模擬唾液ならびに各マトリクス内に存在する他の共同粒子の間の表面間の静電気的相互作用によって大きく影響されるという事実に帰し得る。
走査型電子顕微鏡は、比較的似ている幾つかのものも含むマトリクスによって示される細孔構造、分布および相互接続の多様性を示した。その表面多孔性外形はむしろ複雑で、不規則で広範囲であった(図20)。一般的に、観察される細孔構造の種類は円形(図20(b、c、e、h、k、mおよびo)ないし非対称の外形または形状を有するもの(図20a、d、f、g、l、jおよびn)の範囲であった。細孔はマトリクスの表面全体にわたって比較的広範囲にひろがっていた。細孔の境界を画定するバリアまたは仕切りとして記載し得る相互接続はむしろ一様でなく、剛直な(図20f、g、jおよびn)、織物様/糸様(図20b、c、e、h、k、mおよびo)およびスポンジ状(図20a、dおよびi)の構造を示した。
処方の浸透向上能力を調べ、その結果を15の処方についての8時間にわたる累積薬物浸透(%)および薬物フラックス(mg cm-2 min-1)として図21および22に各々示した。薬物フラックス値は、式2を用いて計算した。異なる量の薬物分子(パーセント)が設定した実験時間内に組織を通過するように、全体として処方は多様な浸透向上能力を示した(図21)。
この実験の結果は、すべての処方が74.93%ないし86.12%の範囲の値を有する多孔性であることを示した(図23)。細孔はマトリクス内のボイドスペースであるため、この場合における多孔性は空の空間または細孔を満たすマトリクスへの水分子の流入を測定する。その結果、定性的多孔性の数値における増大はより多孔性のマトリクスおよびその逆の指標となるべきである(図23)。処方について得られた変化する多孔性値の影響をさらに評価するために、その薬物放出特徴および表面形態を用いて比較を行った。一般的に、低い多孔性値≦79.90%を有する処方(処方1、6、7、12および14)は、薬物放出の速い速度を示した>80.49%の高い多孔性値を有するもの(処方2、8、9および10)と比較した場合により遅い放出速度を示した(図23)。
FTIR実験を行って、マトリクスの調製における化合物と薬物との間の可能な相互作用を検出した。各処方のFTIRスペクトルは、マトリクスの調製用に含まれる各成分の濃度における変動に帰することができる透過率値における差異を示すピークに僅かな変動を有して、互いに同様のパターンを示した(図24)。その結果、処方の調製の間に成分内に変換する不可逆的な化学的相互作用が起こらなかったことを提案し得る。換言すれば、共同粒子混合物は薬物および他の化合物の合計にすぎず、調製の工程の間に各成分がその物理化学的特徴を維持したようである。
製造した複数−構成された医薬剤形は、その可撓性に基づいて経粘膜ドラッグデリバリーシステムデリバリーに好適なものとし、全身吸収するための薬物の迅速な遊離を意味する、迅速および/または持続した薬物放出および比較的完全な崩壊を行い得る。このことに加えて、システムの層を成す効果の新しさは、当該システムを単一の剤形中の1を超える薬物のデリバリーに潜在的に有用なものとする。多孔性マトリクスを利用する迅速なドラッグデリバリーは進歩している分野である。比較的費用的に有利であって製造するのが単純であることに加えて、それは、ドラッグデリバリーの非常に効率的で、多用途で、かつ有効な手段でもある。このことは、経粘膜経路を介して剤形を使用して迅速または持続した、簡単かつ非−侵襲性の薬物療法を患者に提供することができることに大きく起因する。多孔性マトリクス技術を介してドラッグデリバリーを高める新規な方法を調査する医薬産業による要望は膨大な数である。これは、市場における、特に迅速または持続的な作用の開始を要求する、現在使用されている抗レトロウイルス剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、制吐剤、抗炎症剤、止痢薬、マルチビタミン、ミネラル、微量元素、植物栄養剤および鎮静剤の再処方に関して有利な立場を提供し得る。生成した複数−構成された剤形に取り込まれた薬物は、抗−レトロウイルス剤または疝痛薬を要求する小児患者、老人、意識を失った患者および集中治療ユニットに閉じ込められた患者のような、錠剤を飲み込むことおよび/または注射を受けることに問題があることが見出される個人にも有益であろう。
Claims (7)
- 体液との接触によりゲルを形成する多孔性ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)層;および
体液との接触によりHPC層よりも迅速に崩壊するキトサンから形成された粒状層を含むことを特徴とする、粘膜表面の医薬上有効な化合物のデリバリー用の二層の経粘膜医薬剤形であって、
等濃度のキトサンおよびHPCを各々有するキトサン溶液およびHPC溶液を2:1の比で合した懸濁液を冷凍することにより得られる該経粘膜医薬剤形。 - HPC層のゲルが、拡散性バリアを形成することを特徴とする、請求項1記載の経粘膜医薬剤形。
- HPC層および粒状層が、硫酸亜鉛、塩化バリウムおよび硫酸カルシウムよりなる群から選択された架橋剤で架橋されていることを特徴とする、請求項1または2記載の経粘膜医薬剤形。
- 粘膜表面の医薬上有効な化合物のデリバリー用の二層の経粘膜医薬剤形の形成方法であって、
a)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)溶液、溶解していないキトサンの溶液および医薬上有効な化合物を合して、懸濁液を形成し;
b)懸濁液を型に入れ;次いで
c)懸濁液を凍結させ、その工程の間に、2つの別個の層を形成し、ここに、上層は、HPC層であり、下層が粒状のキトサン層である
工程を含み、
等濃度のキトサンおよびHPCを各々有するキトサン溶液およびHPC溶液が、2:1の比で混合されることを特徴とする、該形成方法。 - 懸濁液が、硫酸亜鉛、塩化バリウムおよび硫酸カルシウムよりなる群から選択された架橋剤を含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
- HPC溶液が、細孔形成剤を含むことを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
- 細孔形成剤が、水またはエタノールであることを特徴とする、請求項6記載の方法。
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