JP5578443B2 - 多心シールドフラットケーブル及び多心シールドフラットケーブルの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1が開示する多心シールド付きフラットケーブルは、導体及び導体を覆う絶縁体からなる複数の絶縁線を有し、絶縁線は、1対ずつ個別シールド層及び導電性高分子樹脂によって覆われている。1対の絶縁線、個別シールド層及び導電性高分子樹脂は内部シース付線心を構成し、複数の内部シース付線心が、一括絶縁層及び一括シールド層によって覆われている。
セミリジッドケーブルの銅パイプにあっては、内径が一定であり、内周面が平滑であり、そして、周方向にて継ぎ目がない。これらの理由により、セミリジッドケーブルを用いた場合、特性インピーダンスのばらつきが少ないために負荷インピーダンスとの整合が取り易く、高周波信号であるために表皮効果が顕著になっても、伝送損失が抑制される。
従って、この多心シールドフラットケーブルでは、特性インピーダンスがばらつき易く、負荷インピーダンスとの不整合が生じ易い。このため、この多心シールドフラットケーブルには、高周波特性が安定しないという問題がある。
また、巻き付けられたラミネートテープによってシールド層が形成されているケーブルでは、サックアウトと呼ばれる、高周波特性の大きな乱れが出るという本質的な問題がある。
一括シールド層及び一括外被は、アルミニウム−ポリエチレン・ラミネートテープからなり、軟質であるため、ブリッジ部において、一括シールド層の間に隙間が生じてしまう。このため、この多心シールドフラットケーブルには、ブリッジ部での電磁波のシールド性が低いという問題がある。
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の多心シールドフラットケーブル10の外観を概略的に示す斜視図であり、図2は、多心シールドフラットケーブル10の横断面を概略的に示す図である。
以下、2本の内部導体12,12、及び、これら内部導体12,12を覆う絶縁体14をまとめて被覆導体16という。
シェル20,20の各々は、被覆導体16の数に対応した複数の半楕円形状の溝部22と、溝部の両脇に一体に連なる複数の縁部24とを有する。
好ましくは、溝部22の半楕円の長軸は、被覆導体16の配列方向に一致しており、これにより、各被覆導体16における内部導体12,12の配列方向が、被覆導体16の配列方向に一致させられる。
好ましくは、半田層26は、縁部24,24の長手方向に隙間無く設けられる。
まず、図3に示したように部品を用意する。即ち、金属板をプレス成形し、2つのシェル20,20を用意する。一方、2本の内部導体12,12を絶縁体14で覆う押し出し成形により、被覆導体16を用意する。また、半田層26の材料として、リボン状の半田28を用意する。
また、リボン状の半田28に代えて、縁部24に半田めっき層を予め形成しておき、加熱によって、半田めっき層を半田層26に変化させてもよい。
更に、シェル20,20の電位が、高周波領域においても常に同じになるため、被覆導体16の寸法が理想値からずれていても、特性劣化が起こりにくい。
かくして、この多心シールドフラットケーブル10は、高周波特性及び電磁シールド性に優れている。
なお、隙間発生防止手段は、電磁シールド性が悪化しない範囲で、縁部24,24の間に僅かな隙間が発生することを許容してもよい。
以下、第2実施形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明では、先行する実施形態と同一又は類似の構成については、同一の名称又は符号を付して詳細な説明を省略する。
また、かしめ部104a,104bは、それぞれ、被覆導体16に沿うように、縁部24,24の長手方向にて、多心シールドフラットケーブル100の端から端まで延びている。
つまり、かしめ部104a,104bが、被覆導体16間において、隙間発生防止手段を構成し、折り曲げられた両側縁部24bが、多心シールドフラットケーブル100の両側において、隙間発生防止手段を構成している。
更に、シェル102a,102bの電位が、高周波領域においても常に同じになるため、被覆導体16の寸法が理想値からずれていても、特性劣化が起こりにくい。
以下、第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態の多心シールドフラットケーブル200の外観を概略的に示す斜視図であり、図8は、多心シールドフラットケーブル200の横断面を概略的に示す図である。
つまり、かしめ孔204b及びかしめ部204aが、被覆導体16間において、隙間発生防止手段を構成している。
更に、シェル202a,202bの電位が、高周波領域においても常に同じになるため、被覆導体16の寸法が理想値からずれていても、特性劣化が起こりにくい。
以下、第4実施形態について説明する。
図9は、第4実施形態の多心シールドフラットケーブル300の横断面を概略的に示す図である。
多心シールドフラットケーブル300では、隙間発生防止手段として、シェル302a,302bにリベット孔304a,304bが設けられ、リベット孔304a,304bを貫通して、縁部24,24にリベット306が取り付けられている。
更に、シェル302a,302bの電位が、高周波領域においても常に同じになるため、被覆導体16の寸法が理想値からずれていても、特性劣化が起こりにくい。
以下、第5実施形態について説明する。
図10は、第5実施形態の多心シールドフラットケーブル400の横断面を概略的に示す図である。
多心シールドフラットケーブル400では、シェル402a,402bの縁部24,24が溶接され、溶接によって形成されたウェルド部(溶接部)404によって、縁部24,24が相互に固定されている。つまり、ウェルド部404が、隙間発生防止手段を構成している。
溶接方法としては、例えば、レーザ溶接、電流によるスポット溶接若しくは抵抗溶接を用いることができるが、レーザ溶接によって、縁部24,24を長手方向全体に渡って溶接するのが好ましい。
更に、シェル402a,402bの電位が、高周波領域においても常に同じになるため、被覆導体16の寸法が理想値からずれていても、特性劣化が起こりにくい。
以下、第6実施形態について説明する。
図2は、第6実施形態の多心シールドフラットケーブル500の横断面も概略的に示している。
多心シールドフラットケーブル500では、半田層26に代えて、導電性接着材からなる導電性接着層502を介して、縁部24,24同士が相互に固定されている。
更に、シェル20,20の電位が、高周波領域においても常に同じになるため、被覆導体16の寸法が理想値からずれていても、特性劣化が起こりにくい。
以下、第7実施形態について説明する。
図11は、第7実施形態の多心シールドフラットケーブル600の横断面を概略的に示す図である。多心シールドフラットケーブル600では、1つの内部導体12を1つの絶縁体602が覆っている。つまり、多心シールドフラットケーブル600は、差動信号ではない信号の伝送に適用される。
第7実施形態の多心シールドフラットケーブル600は、内部導体12と絶縁体602からなる被覆導体608を用いる以外は、第1実施形態の多心シールドフラットケーブル10と同一の製造方法によって製造可能であり、そして、同一の効果を奏する。
12 内部導体
14 絶縁体
16 被覆導体
18 外部導体
20 シェル(第1シェル,第2シェル)
22 溝部
24 縁部
26 半田層
Claims (11)
- それぞれ内部導体及び前記内部導体を覆う絶縁体を含む、複数の被覆導体と、
間隔を存して相互に平行に配列された前記被覆導体を一括して覆う外部導体とを備える多心シールドフラットケーブルにおいて、
前記被覆導体は、それぞれ2つの前記内部導体を含むと共に、楕円の横断面形状を有し、
前記外部導体は、前記複数の被覆導体を互いに協働して挟む第1シェル及び第2シェルを含み、
前記第1シェル及び前記第2シェルの各々は、成形された金属板からなり、前記被覆導体の外周面を覆う複数の溝部、及び、前記溝部の両側に一体に連なる複数の縁部を含み、
前記溝部は、前記被覆導体の外周面の曲率に一致し、前記被覆導体の外周面に密着する半楕円の横断面形状の内周面を有し、
前記被覆導体の前記楕円の長軸方向及び前記被覆導体に含まれる前記内部導体の配列方向は、前記被覆導体の配列方向に一致し、
前記多心シールドフラットケーブルは、前記第1シェルの縁部と前記第2シェルの縁部の間における隙間の発生を防止する隙間発生防止手段を更に備える、
ことを特徴とする多心シールドフラットケーブル。 - 前記内部導体は、金属線からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記隙間発生防止手段は、前記第1シェルの縁部と前記第2シェルの縁部の間に設けられた半田層を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記隙間発生防止手段は、前記第1シェルの縁部及び前記第2シェルの縁部を折り曲げて形成された、V字の横断面形状を有するかしめ部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記隙間発生防止手段は、
前記第1シェルの縁部に形成されたかしめ孔と、
前記第2シェルの縁部に形成され、前記かしめ孔への挿通後に拡開されたかしめ部とを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記隙間発生防止手段は、前記第1シェルの縁部及び前記第2シェルの縁部を貫通して取り付けられたリベットを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記隙間発生防止手段は、前記第1シェルの縁部及び前記第2シェルの縁部を溶接して形成された溶接部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記隙間発生防止手段は、前記第1シェルの縁部と前記第2シェルの縁部の間に設けられた導電性接着層を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 前記第1シェル及び第2シェルは、100μm以上500μm以下の厚さを有する
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の多心シールドフラットケーブル。 - 10Gbps以上の高速信号の伝送に用いられる
ことを特徴とする請求項9に記載の多心シールドフラットケーブル。 - それぞれ内部導体及び前記内部導体を覆う絶縁体を含む、複数の被覆導体と、
間隔を存して相互に平行に配列された前記被覆導体を一括して覆う外部導体とを備える多心シールドフラットケーブルの製造方法において、
前記被覆導体は、それぞれ2つの前記内部導体を含むと共に、楕円の横断面形状を有し、
前記外部導体は、前記複数の被覆導体を互いに協働して挟む第1シェル及び第2シェルを含み、
前記第1シェル及び前記第2シェルの各々は、成形された金属板からなり、前記被覆導体の外周面を覆う複数の溝部、及び、前記溝部の両側に一体に連なる複数の縁部を含み、
前記溝部は、前記被覆導体の外周面の曲率に一致し、前記被覆導体の外周面に密着する半楕円の横断面形状の内周面を有し、
前記被覆導体の前記楕円の長軸方向及び前記被覆導体に含まれる前記内部導体の配列方向は、前記被覆導体の配列方向に一致し、
前記多心シールドフラットケーブルは、前記第1シェルの縁部と前記第2シェルの縁部の間における隙間の発生を防止する隙間発生防止手段を更に備え、
前記第1シェルと前記第2シェルの間に、前記被覆導体を配置する配置工程と、
前記配置工程の後に、前記第1シェル及び前記第2シェルを相互に固定する固定工程と、
を備えることを特徴とする多心シールドフラットケーブルの製造方法。
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