JP5578372B2 - 密閉型電池 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉型電池に関し、詳しくはケース内圧が異常に上昇した際に電流を遮断する機構を備えた密閉型電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池その他の二次電池は、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として重要性が高まっている。このような二次電池の典型的な構造の一つとして、正極および負極をケース内に密閉してなる密閉構造の電池(密閉型電池)が挙げられる。この種の電池を充電処理する際に、例えば充電対象電池が不良電池であった場合や、充電装置が故障し、誤作動を起こした場合、電池に通常以上の電流が供給されて過充電状態に陥ることが想定される。かかる場合、電池反応が急速に進行して電池が過熱状態になる、電池ケースの内部でガスが発生し、ケース内圧が過剰に上昇してケースが変形する等の問題が生じる虞がある。そこで、このような問題を未然に防止するため、過熱状態やケース内圧の上昇等の異常を検知した場合に電流を遮断する機構(電流遮断機構)を設けた電池が提案されている。この種の従来技術として特許文献1が挙げられる。
しかし、上述の電流遮断機構が作動した場合、電池は通電(放電)ができなくなる。そのため、電池は電位(エネルギー)を持ち続けることとなり、そのままでは解体作業や輸送作業を安全に行うことができない虞があった。そのような問題に対処するために、電流遮断機構が作動した後に別途放電を行い得る構成を備えた電池が、特許文献2に提案されている。
特開2010−157451号公報 特開2004−273139号公報
本発明の目的は、上述の従来技術と異なり、一度作動した電流遮断機構に対して外力を付与することで再び放電可能となる密閉型電池を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により、正負の電極と該電極を収容するケースとを備え、該電極の少なくとも一方と該ケース外部に露出する外部端子とを導通する導電経路が形成された密閉型電池が提供される。この密閉型電池は、前記導電経路の一部を構成し、かつ前記ケース内外のガス流通を遮断する導電性遮断弁を備えており、前記導電性遮断弁は、前記ケース内圧が上昇したときに、少なくともその一部が移動することで前記導電経路を分断するものであり、かつ該導電性遮断弁の少なくとも一部が移動した状態において、該ケース外からの力を該導電性遮断弁に付与することで、少なくともその一部が移動して該導電経路を再接続するものであり、前記ケース外から力を付与して前記導電性遮断弁の少なくとも一部を移動させる際に、前記導電経路の再接続をアシストするアシスト部材をさらに備える。
かかる構成の密閉型電池によると、電池ケース外からの力を導電性遮断弁に付与することで、ケース内圧の上昇によって分断された導電経路を再接続して導通を再開することができる。また、密閉型電池は、ケース外から力を付与して導電性遮断弁の少なくとも一部を移動させる際に、導電経路の再接続をアシストするアシスト部材をさらに備えるので、導電経路の再接続がしやすい。このようにして導通が再開された密閉型電池は、再び放電を行うことができ、放電が完了した後、解体作業や輸送作業を安全に行うことができる。また、電流遮断機構作動後の電圧の測定が可能となり、例えば放電が完全に完了したことを確認することができ、あるいは再利用可能かどうかの判断を行うことができる。したがって、本発明によると、一度作動した電流遮断機構に対して外力を付与することで再び放電可能となる密閉型電池を提供することができる。
ここで開示される密閉型電池の好適な一態様では、前記導電性遮断弁に対して前記ケース内方に配置され、前記導電経路の一部を構成する接続部材をさらに備え、前記導電性遮断弁は、前記ケース内方に突出し、前記接続部材と接触する突出部と、該突出部の周囲にて該接続部材と所定の間隔で離間する平坦部とを有し、前記導電性遮断弁は、前記ケース内圧が上昇したときに、前記突出部が該ケース外方に向かって移動することで前記接続部材と離れ、かつ該突出部が移動した状態において、該ケース外からの力を該導電性遮断弁に付与することで、該突出部が該ケース内方に向かって移動して該接続部材と再接触するものであり、前記アシスト部材が、前記導電性遮断弁の平坦部と前記接続部材との間に配置されるスペーサである。これによって、ケース内圧の上昇によって、ケース外方に向かって移動し、接続部材と離れた導電性遮断弁の突出部に対し、ケース外から力を付与してケース内方に向かって移動させることで、導電性遮断弁と接続部材とを再接触させることができる。そして、かかる再接触の際、アシスト部材が、導電性遮断弁の平坦部と接続部材との間でスペーサとして機能することで導電経路の再接続をアシストするので、導電経路の再接続がしやすい。
ここで開示される密閉型電池の好適な一態様では、前記アシスト部材が、前記突出部の外側面の少なくとも一部を囲むように前記導電性遮断弁の平坦部または前記接続部材に固定された凸体である。また、前記導電性遮断弁は、その外縁が前記ケース内に固定されており、前記導電性遮断弁の平坦部と前記接続部材との間隔をC、前記凸体の高さをF、該導電性遮断弁の固定端から前記突出部の側壁までの距離をB、該凸体の側壁と該突出部の側壁までの最短距離をEとしたときに、式:
(C−F)/(B−E)≦C/B
を満たすことが好ましい。つまり、導電性遮断弁の平坦部と接続部材との間隔Cと、凸体の高さFとの差が小さくなるほど、導電性遮断弁の平坦部と接続部材との間隔Cに占める凸体の高さFの割合が大きくなるため、凸体が、導電性遮断弁の突出部のケース内方への移動を規制しやすくなり、導電性遮断弁と接続部材とが導電経路を再接続する位置にて再接触しやすい。また、凸体の側壁と突出部の側壁までの最短距離Eが小さい、すなわち突出部と凸体とが近接するほど、凸体が、導電性遮断弁の突出部のケース内方への移動を規制しやすくなり、導電性遮断弁と接続部材とが導電経路を再接続する位置にて再接触しやすい。さらに、導電性遮断弁の固定端から突出部の側壁までの距離Bが、導電性遮断弁の平坦部と接続部材との間隔Cより大きくなるほど、導電性遮断弁が移動するときに、導電性遮断弁の固定端からみた平坦部の角度の変化が小さく済むため、凸体が、導電性遮断弁の突出部のケース内方への移動を規制しやすくなり、導電性遮断弁と接続部材とが導電経路を再接続する位置にて再接触しやすい。なお、導電性遮断弁の固定端とは、導電性遮断弁の外縁を固定するケースの内縁端部のことをいい、導電性遮断弁がケース外方または内方に移動する際の支点となる箇所のことをいう。
ここで開示される密閉型電池の好適な一態様では、前記導電性遮断弁の平坦部と前記接続部材との間隔Cより前記凸体の高さFが小さく、前記凸体の頂部は、前記接続部材または前記導電性遮断弁の平坦部に当接したときに面接触するように斜面が形成されている。これによって、凸体と接続部材または導電性遮断弁の平坦部との接触が円滑になされ、接触による衝撃が緩和される。
また、本発明によると、ここで開示されるいずれかに記載の密閉型電池を備える車両が提供される。かかる密閉型電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の概略斜視図である。 図1のII−II断面における電流遮断/再接続機構を拡大して示す模式断面図であって、リチウムイオン二次電池の導電経路分断前の状態を示す図である。 図2の導電性遮断弁近傍をさらに拡大した模式断面図である。 図2の電流遮断/再接続機構の動作を説明するための部分拡大図であって、(a)は導電経路分断前の状態を示す図であり、(b)は導電経路分断後の状態を示す図であり、(c)は導電経路を再接続した状態を示す図である。 図3に対応する図であって、導電性遮断弁がケース内方に移動しすぎた状態を示す模式断面図である。 一実施形態に係る車両の側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施形態を説明する。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
ここで開示される密閉型電池に係る好適な一実施形態として、リチウムイオン二次電池を例にして説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池および二次電池を含む概念である。また、「二次電池」とは、リチウムイオン二次電池、金属リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池(すなわち化学電池)のほか、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する。ここに開示される技術は、典型的には密閉型の二次電池に好ましく適用される。
図1は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の概略斜視図であり、図2は、図1のII−II断面における電流遮断/再接続機構を拡大して示す模式断面図であって、リチウムイオン二次電池の導電経路分断前の状態を示す図であり、図3は、図2の導電性遮断弁近傍をさらに拡大した模式断面図である。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池10は、従来の一般的なリチウムイオン二次電池と同様、典型的には所定の電池構成材料(正負それぞれの集電体に活物質が保持された正極および負極、セパレータ等)を具備する捲回電極体(図示せず)が適当な電解液(図示せず)とともにケース20に収容された構成を有する。なお、この実施形態では、リチウムイオン二次電池10は角型電池であるが、電池の形状は角型に限定されず、円柱形状であってもよい。また、上記電池構成材料、電極体および電解液の構成は本発明を特徴付けるものではないので、ここでは特に説明しないが、当業者の技術常識に基づき、目的や用途に応じて適切なものを採用し得ることは言うまでもない。
ケース20は、開口部を有するケース本体21と、その開口部を塞ぐ蓋体22とを備える。ケース20を構成する材質としては、この実施形態ではアルミニウムを用いているが、これに限定されず、従来のリチウムイオン二次電池で使用されるものと同様の材質のものを使用することができ、スチール等の金属材料、あるいはポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。
ケース本体21は、上記捲回電極体(図示せず)の軸方向の一端が開口した直方体箱形状に形成されている。なお、ケース本体21の形状はこれに限定されるものではなく、電極体(図示せず)を収容し得る形状であればよく、例えば円筒形状(すなわち有底円筒形状)に形成されたものであってもよい。蓋体22は、長方形板状体であり、電極体(図示せず)の正極(図示せず)と電気的に接続する正極外部端子15と、負極(図示せず)と電気的に接続する負極外部端子16とがその上面(ケース20の外部)に露出するように設けられている。蓋体22にはまた、電解液(図示せず)を注入する注液口17と安全弁18とが設けられている。
ケース20の内部には、ケース内圧の上昇により作動する電流遮断/再接続機構が設けられている。ここで、電流遮断/再接続機構は、ケース内圧が上昇することによって導電経路を分断するように構成された電流遮断機構と、ケース外から力を付与することによって、分断された導電経路を再接続して導通を再開するように構成された電流再接続機構とを兼ね備えるものである。電流遮断機構と電流再接続機構とは同一のものではないが、その一部の構成や部材が重複することはあり得る。すなわち、電流遮断/再接続機構は、例えばリチウムイオン二次電池10の過充電によりケース20の内部でガスが発生し、ケース内圧が上昇した場合に、正極外部端子15から正極(図示せず)に至る導電経路を分断することで充電電流を遮断し得るように構成されている。かかる構成は電流遮断機構ともいう。電流遮断/再接続機構はまた、ケース20外から力を付与することによって、一度分断された導電経路を再接続して充放電(導通)を再開し得るように構成されている。かかる構成は電流再接続機構ともいう。この実施形態では、電流遮断/再接続機構は、蓋体22に固定した正極外部端子15と正極(図示せず)との間に設けられているが、これに限定されず、電流遮断/再接続機構を構成する一部(例えば、後述する連絡孔が形成された部分)を正極外部端子15と正極(図示せず)との間から離れて構成することもできる。なお、電流遮断/再接続機構は、正極側、負極側のいずれに設けられていてもよく、それらの両方に設けられていてもよい。電流遮断/再接続機構を負極の導電経路に適用する場合の構成および方法は、正極の場合と基本的に同様であるので、ここでは説明は繰り返さない。
図2に示すように、電流遮断/再接続機構は、正極(図示せず)と電気的に接続し、正極集電端子として機能する接続部材32と、接続部材32と電気的に接続する導電性遮断弁(以下、遮断弁ともいう。)34と、遮断弁34と電気的に接続し、ケース20内外を連通するリベット35とから構成されている。接続部材32、遮断弁34およびリベット35は、ケース20内方から順に配置されており、いずれも金属製の導電部材(図中、斜線を付した部材)である。すなわち、これらの部材は、正極(図示せず)とケース20外部に露出する正極外部端子15とを導通する導電経路の役割を果たしており、それぞれ導電経路の一部を構成している。かかる導電経路を介してリチウムイオン二次電池10の充放電が行われる。
図2および図3に示すように、接続部材32は、板形状を有する部分(板状部)を備え、この板状部には、遮断弁34と接続する接続部33が形成されている。接続部33は、接続部材32の板状部より薄厚の板形状を有し、その中央には円形状の開口であるガス流通口37が形成されている。この実施形態では、接続部33は、その外縁が接続部材32の本体部分(板状部)に連続するように一体形成されたものであるが、これに限定されず、例えば接続部材32の板状部に孔を形成し、この孔を覆うように、ガス流通口37が形成された接続板を固定し、この接続板を接続部33としてもよい。また、接続部33の下面には、V字状に切り欠かれたノッチ38が形成されている。ノッチ38は、ノッチ38形成面の反対側の面に接合された後述する突出部40の接合縁(突出部40の頂面の外縁)に沿うように形成されている。なお、接続部材32の形状は、板状部を有するものに限定されるものではない。例えば棒状体や直方体を基本構造とするものであってもよい。
遮断弁34は、接続部材32に対してケース20外方に配置されており、ケース20内外のガス流通を遮断する。詳しくは、ケース20内は密閉構造を有するため、ケース20内外のガス流通は基本的に不可能であるが、接続部材32に形成されたガス流通口37からガス流通が可能な構成となっている。遮断弁34は、このガス流通口37をケース20外方から封止するように配置されており、この封止によってケース20内外のガス流通を遮断するとともに、接続部材32と電気的に接続している。この実施形態では、遮断弁34には、ケース20内方(図3の下方)に突出する突出部40が形成されており、この突出部40の頂面(下面)がガス流通口37を封止し、かつ接続部材32の接続部33と溶接によって接合されている。また、突出部40の周囲には、接続部材32と所定の間隔で離間する平坦部41が形成されており、その外縁が、リベット35に溶接によって接合されている。なお、接続部材32と遮断弁34との接合は溶接に限定されない。また、遮断弁34とリベット35とは、接合されてなくてもよく、遮断弁34の外縁の下に、遮断弁34とリベット35との当接を補助する非金属製の当接補助部材を別途配置する等して遮断弁34とリベット35とが当接するように構成し、両者が電気的に接続したものであってもよい。
遮断弁34は、突出部40が接続部材32と離れてケース20外方に向かって移動できるように構成されており、この移動によって導電経路は遮断弁34と接続部材32との間で分断されるように構成されている。遮断弁34はまた、上述のようにケース20外方に向かって移動した状態において、ケース20外からの力を付与することで、ケース20内方に向かって移動できるように構成されており、この移動によって導電経路を再接続することができる。なお、遮断弁34は、この実施形態のようにそのほぼ全体がケース20外方または内方に移動するものに限定されるものではなく、遮断弁自体またはその一部が変形することにより導電経路を分断し、再接続するものであってもよい。そのような遮断弁の一例としては、ケース内方に湾曲した部分が、ケース内圧の上昇によってケース外方に反転し、再度ケース内方に反転するように構成された反転板が挙げられる。また、上述した遮断弁34と接続部材32との分離は、遮断弁34がケース20外方に移動する際に、接続部材32の接続部33が、例えば上述のノッチ38を起点に破断し、接続部33の一部が接合した遮断弁34と、接続部33の残部(接続部材32と電気的に接続している部分)とが分離するものであってもよい。このような態様も、導電経路の分断、さらには遮断弁34と接続部材32との分離に包含される。
遮断弁34のケース20内方(図2の下方)側の平坦部41には、突出部40外側面を囲むようにアシスト部材として凸体42が固定されている。このアシスト部材(凸体42)は、ケース内圧の上昇によってケース20外方に向かって移動し、接続部材32と離れた遮断弁34に対し、ケース20外から力を付与してケース20内方に向かって移動させる際に、導電経路の再接続をアシストするものであり、遮断弁34の平坦部41と接続部材32との間に配置されることで、遮断弁34がケース20内方に移動しすぎることを規制するスペーサとして機能する。この実施形態では、アシスト部材(凸体42)は樹脂製であるが、その材質は特に限定されず、金属製のものを用いてもよい。したがって遮断弁34への固定手段も特に限定されず、溶接、接着固定等の公知の固定手段を適宜採用し得る。アシスト部材は、例えば遮断弁34を構成する部材の一部をケース20内方に突出するように折り曲げることによって形成したものであってもよい。アシスト部材はまた、遮断弁34ではなく接続部材32に固定されたものであってもよく、遮断弁34および接続部材32のいずれにも固定されず、遮断弁34と接続部材32との間に移動可能に配置されたものであってもよい。
また、アシスト部材である凸体42は、図3に示すように、遮断弁34の平坦部41と接続部材32との間隔をC、凸体42の高さをF、遮断弁34の固定端から突出部40の側壁までの距離をB、凸体42の側壁と突出部40の側壁までの最短距離をEとしたときに、式:
(C−F)/(B−E)≦C/B
を満たすように構成されていることが、導電経路を再接続しやすいという点で好ましい。この実施形態においては、凸体42の高さFは、遮断弁34の平坦部41から下方(図3の下)に延びた凸体42の頂部までの高さであり、遮断弁34の固定端は、遮断弁34の外縁が、リベット35に接合されたリベット35の内縁端部である。また、凸体42の高さFは、遮断弁34の平坦部41と接続部材32との間隔Cの0.1倍以上であることが好ましく、0.3倍以上(例えば0.5倍以上、典型的には0.98倍以上1倍以下)であることがより好ましい。さらに、凸体42の側壁と突出部40の側壁までの最短距離Eは、遮断弁34の固定端から突出部40の側壁までの距離Bの0.8倍以下であることが好ましく、0.5倍以下(例えば0.2倍以下、典型的には0.02倍以下)であることがより好ましい。さらに、凸体42の高さFが、遮断弁34の平坦部41と接続部材32との間隔Cの0.98倍以上である場合、凸体42の側壁と突出部40の側壁までの最短距離Eが、遮断弁34の固定端から突出部40の側壁までの距離Bの0.8倍以下であることがより好ましく、上記Fが上記Cの0.5倍以上である場合、上記Eが上記Bの0.5倍以下であることがより好ましく、上記Fが上記Cの0.3倍以上である場合、上記Eが上記Bの0.2倍以下であることがより好ましく、上記Fが上記Cの0.1倍以上である場合、上記Eが上記Bの0.02倍以下であることがより好ましい。
凸体42の高さFが、遮断弁34の平坦部41と接続部材32との間隔Cより小さい場合、凸体42の頂部には、ケース内圧の上昇によってケース20外方に向かって移動し、接続部材32と離れた遮断弁34に対し、ケース20外から力を付与してケース20内方に向かって移動させた際に、接続部材32に当接したときに面接触するように斜面が形成されていることが好ましい。これによって、凸体42と接続部材32との再接触による衝撃が緩和される。
リベット35は、蓋体22に形成された穿孔に嵌合されており、ケース20内外に連通している。リベット35のケース20内方には、遮断弁34のケース20外方側に空間を形成するために断面コ字状の凹部空間が形成されており、その凹部空間の内周側端部に遮断弁34の外縁が接続されている。また、リベット35には、ケース20内外を連通する連絡孔50が形成されており、この連絡孔50は、ケース20外と遮断弁34とを直線的に連通している。リベット35の外周面は、正極外部端子15と当接しており、両者は電気的に接続している。なお、リベット35は単一の部材から構成されていてもよく、複数の部材を嵌合することによって形成したものであってもよい。また、連絡孔50は、遮断弁34に通じるものであればよく、リベット35に形成したものに限定されない。例えばケース20および/またはケース20に取り付けられた部材に形成したものであってもよい。
リベット35には、連絡孔50のケース20外側の開口を封止する封止体としてキャップ60が公知の接着剤によって固着されている。キャップ60は樹脂製シートであり、例えば突起を突き刺す等の外力を付与することによって破断可能である。なお、キャップ60のケース20外側表面の中央近傍には、上述の外力によってキャップ60を破断し、または孔を形成しやすいように凹部が形成されていることが好ましい。上記封止体(キャップ60)の材質や厚さは、上述の外力によって破断可能な範囲で適宜選定してよく特に限定されない。この実施形態では、厚さ約0.5mmのポリイミド樹脂シートを用いている。また、封止体(キャップ60)は、上述の外力によっては破断しない程度の強度を有し、着脱自在に固着されたものであってもよく、かかる場合、封止体(キャップ60)を取り外した後、ケース外から力を付与してもよい。このように構成されたリチウムイオン二次電池10は、ケース20外からの力を電流遮断/再接続機構の遮断弁34に付与することができる。なお、上記封止体は本発明の実施にあたってはなくてもよい。
次に、この実施形態に係るリチウムイオン二次電池における導電経路の分断と、分断された導電経路の再接続と、それによるリチウムイオン二次電池の放電方法について説明する。
図4は、図2の電流遮断/再接続機構の動作を説明するための部分拡大図であって、(a)は導電経路分断前の状態を示す図であり、(b)は導電経路分断後の状態を示す図であり、(c)は導電経路を再接続した状態を示す図であり、図5は、図3に対応する図であって、導電性遮断弁がケース内方に移動しすぎた状態を示す模式断面図である。
図4の(a)に示す状態にあるリチウムイオン二次電池10は、例えば過充電によりケース20の内部でガスが発生し、ケース内圧が上昇した場合に、正極外部端子15と正極(図示せず)との間に設けられた電流遮断/再接続機構の電流遮断機構が作動し、正極外部端子15から正極(図示せず)に至る導電経路が分断される。詳しくは、リチウムイオン二次電池10のケース20内は、上述したように密閉構造を有し、ケース20内外のガス流通は基本的に不可能であるが、接続部材32のガス流通口37からガス流通が可能な構成となっている。遮断弁34の突出部40は、ケース20外方からガス流通口37を封止するように接続部33と接合されており、これによって、遮断弁34は、ケース20内外のガス流通を遮断するとともに、接続部材32と電気的に接続している。かかる構成において、ケース内圧が上昇した場合、ケース20内の圧力はガス流通口37を封止する遮断弁34をケース20外方に押し上げる。つまり、図4の(b)に示すように、遮断弁34は、ケース20内方からのガス圧(図4の(b)中、矢印で示すもの)によってケース20外方に向かって移動し、その結果、遮断弁34の突出部40は、接続部材32と離れ、導電経路は分断される。このとき、接続部材32の接続部33は、その下面に形成されたノッチ38を起点にして破断、分離し、遮断弁34と接合した一部(分離体)は、遮断弁34と接合した状態でケース20外方に向かって移動し、接続部33の残部は、接続部材32の本体部分とともに当初の位置に留まる。
このようにして電流遮断機構が作動した場合、従来の電池は通電(放電)ができなかった。しかし、この実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、ケース20外からの力を電流遮断/再接続機構の導電経路を再接続可能とする部位に付与できるように構成されているため、ケース20外から力を付与することによって、一度分断された導電経路を再接続して導通を再開することができる。すなわち、電流遮断/再接続機構の電流再接続機構の作動である。この機構の作動について、以下説明する。
導電経路を再接続するにあたって、ケース20外から力を付与する。まず、キャップ60に対して適当な外力を付与することで、キャップ60の中央近傍に孔を形成する。この孔およびリベット35の連絡孔50を介して、ケース20外方に押し上げられて接続部材32と離れた状態にある遮断弁34に対して、外力を付与し、遮断弁34の突出部40をケース20内方に向かって移動させる。ここで、凸体42のようなアシスト部材が設けられていない場合、導電経路を再接続する際の付与外力が大きすぎると、図5に示すように、遮断弁34の突出部40は、ケース内圧上昇前の当初の位置よりケース20内方に移動し、導電経路の再接続がなされないという不都合の発生が想定される。そのため、付与外力の大きさを適切な範囲に設定する等、導電経路の再接続には注意を要する。しかし、この実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上述のような不都合は生じず、それに対する注意は不要である。すなわち、付与外力が大きすぎた場合であっても、図4の(c)に示すように、遮断弁34の平坦部41に形成された凸体42が、接続部材32と遮断弁34との間でスペーサとして機能し、遮断弁34の突出部40と接続部材32との再接続をアシストする。これによって、遮断弁34の突出部40と接続部材32とが当初の位置近傍にて確実に再接触し、導電経路が再接続し、電池の導通が再開する。このようにして導通が再開されたリチウムイオン二次電池10は、再び放電を行うことができる。なお、ケース20外から力を付与するものとしては、絶縁棒等の突起や、Nガス等のガスの注入が挙げられる。
このようにして構築されたリチウムイオン二次電池10は、一度作動した電流遮断機構に対して外力を付与することで再び放電可能となるので、各種用途向けの二次電池として利用可能である。例えば、図6に示すように、リチウムイオン二次電池10は、自動車等の車両1に搭載され、車両1を駆動するモータ等の駆動源用の電源として好適に利用することができる。したがって、本発明は、上記リチウムイオン二次電池(典型的には複数直列接続してなる組電池)10を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例>
図2および図3に示すような上記実施形態に係る電流遮断/再接続機構であって、遮断弁34の平坦部41と接続部材32との間隔Cが0.9mmであり、遮断弁34の固定端から突出部40の側壁までの距離Bが7.85mmであり、遮断弁の厚さが0.15mmであり、凸体42の高さFと、凸体42の側壁と突出部40の側壁までの最短距離Eとを下記のように変更させた電流遮断/再接続機構を備えるリチウムイオン二次電池10を構築した。すなわち、凸体42の高さFを上記Cに対して10%(0.10C)、30%(0.30C)、50%(0.50C)、98%(0.98C)にそれぞれ変更し、凸体42の側壁と突出部40の側壁までの最短距離Eを上記Bに対して2%(0.02B)、20%(0.20B)、50%(0.50B)、80%(0.80B)にそれぞれ変更したものを構築した。なお、リチウムイオン二次電池10に備えられている正極を構成する活物質として、従来公知のニッケル、コバルトおよびマンガンを含む三元系リチウム遷移金属酸化物を用い、負極を構成する活物質としてグラファイトを用いた。得られたリチウムイオン二次電池10の各々を過充電状態にして電流遮断機構を作動させ、導電経路を分断した。次いで、リチウムイオン二次電池10のリベット35の連絡孔50を封止するキャップ60に孔を開け、ケース外から力を付与するものとして直径1mm程度の絶縁棒を連絡孔50に挿通させた。この絶縁棒を、ケース20外方に押し上げられて接続部材32と離れた状態にある遮断弁34に当接させて、遮断弁34をケース20内方に向かって移動させた。これらのリチウムイオン二次電池につき、遮断弁34をケース20内方に向かって移動させた後の通電の可否を電圧計により電圧を測定することで判定した。通電が可能であったものを○、通電ができなかったものを×として記録した。結果を表1に示す。
Figure 0005578372
表1に示されるように、上記実施形態の構成を備えるリチウムイオン二次電池において、凸体の高さFが大きくなるほど導電経路の再接続が確実になされ、通電する傾向が認められた。また、凸体の側壁と突出部の側壁までの最短距離Eが小さくなるほど導電経路の再接続が確実になされ、通電されやすい傾向が認められた。さらに、通電を達成した例はいずれも、遮断弁の平坦部と接続部材との間隔C、遮断弁の固定端から突出部の側壁までの距離B、凸体の高さF、および凸体の側壁と突出部の側壁までの最短距離Eの関係が、式:(C−F)/(B−E)≦C/Bを満たすものであった。したがって、上記実施形態の構成でアシスト部材を設計する場合には、予め上記式を満たすようにすることが、ケース外から力を付与して遮断弁を移動させる際に、導電経路の再接続を好適にアシストする観点から望ましいと考えられる。なお、上記式を満たすアシスト部材は、上記実施形態の構成(形状、配置等)に基づくものであるため、上記実施形態に基づかない構成のアシスト部材、例えば導電性遮断弁が湾曲部分を有する反転板であるような電池に適用されるアシスト部材については、その形状、配置等を適切に変更することにより導電経路の再接続を充分にアシストするものを設計することができるのは勿論のことである。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
1 車両
10 リチウムイオン二次電池
15 正極外部端子
16 負極外部端子
17 注液口
18 安全弁
20 ケース
21 ケース本体
22 蓋体
32 接続部材
33 接続部
34 (導電性)遮断弁
35 リベット
37 ガス流通口
38 ノッチ
40 突出部
41 平坦部
42 凸体(アシスト部材)
50 連絡孔
60 キャップ(封止体)

Claims (5)

  1. 正負の電極と該電極を収容するケースとを備え、該電極の少なくとも一方と該ケース外部に露出する外部端子とを導通する導電経路が形成された密閉型電池であって、
    前記導電経路の一部を構成し、かつ前記ケース内外のガス流通を遮断する導電性遮断弁を備えており、
    前記導電性遮断弁は、前記ケース内圧が上昇したときに、少なくともその一部が移動することで前記導電経路を分断するものであり、かつ該導電性遮断弁の少なくとも一部が移動した状態において、該ケース外からの力を該導電性遮断弁に付与することで、少なくともその一部が移動して該導電経路を再接続するものであり、
    前記ケース外から力を付与して前記導電性遮断弁の少なくとも一部を移動させる際に、前記導電経路の再接続をアシストするアシスト部材をさらに備え、
    前記導電性遮断弁に対して前記ケース内方に配置され、前記導電経路の一部を構成する接続部材をさらに備え、
    前記導電性遮断弁は、
    前記ケース内方に突出し、前記接続部材と接触する突出部と、該突出部の周囲にて該接続部材と所定の間隔で離間する平坦部とを有し、
    前記導電性遮断弁は、
    前記ケース内圧が上昇したときに、前記突出部が該ケース外方に向かって移動することで前記接続部材と離れ、かつ該突出部が移動した状態において、該ケース外からの力を該導電性遮断弁に付与することで、該突出部が該ケース内方に向かって移動して該接続部材と再接触するものであり、
    前記アシスト部材は、前記導電性遮断弁の平坦部と前記接続部材との間に配置されるスペーサである、密閉型電池。
  2. 前記アシスト部材が、前記突出部の外側面の少なくとも一部を囲むように前記導電性遮断弁の平坦部または前記接続部材に固定された凸体である、請求項に記載の密閉型電池。
  3. 前記導電性遮断弁は、その外縁が前記ケース内に固定されており、
    前記導電性遮断弁の平坦部と前記接続部材との間隔をC、前記凸体の高さをF、該導電性遮断弁の固定端から前記突出部の側壁までの距離をB、該凸体の側壁と該突出部の側壁までの最短距離をEとしたときに、式:
    (C−F)/(B−E)≦C/B
    を満たす、請求項に記載の密閉型電池。
  4. 前記導電性遮断弁の平坦部と前記接続部材との間隔Cより前記凸体の高さFが小さく、
    前記凸体の頂部は、前記接続部材または前記導電性遮断弁の平坦部に当接したときに面接触するように斜面が形成されている、請求項2または3に記載の密閉型電池。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の密閉型電池を備える車両。
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