JP5577612B2 - インクジェットインク用バインダー、それを含むインクジェット印刷用インク及び印刷物 - Google Patents
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Description
なかでもインクについては、従来の染料インクから顔料インクへの移行や、溶剤系から水系への移行等の、高画質化や環境負荷低減を目的とした改良が急速に進められており、現在は、水系の顔料インクをベースとしたインク開発が積極的に行われている。
また、前記インクには、インクジェットプリンター等の高性能化に伴って、年々、一層高いレベルの性能が要求されるようになっており、例えば、印刷画像表面に摩擦等の外力が加わった場合に生じうる、顔料の欠落に起因した印刷画像の劣化等を防止できるレベルの耐擦過性が、近年強く求められている。
しかし、インクジェット印刷物の使用分野が広範となるのに伴い、より一層の高いレベルの耐擦過性が求められるなかで、前記インクジェット記録用インクを用いて形成された印刷画像は、例えば極所的に強い外力が加わった場合等に、依然として顔料の脱落等に起因した印刷画像の色落ちや劣化や損傷を引き起こす場合があった。
また、前記耐擦過性の向上には、印刷面の滑り性を向上させることが有効ではないかと考え、前記アクリル樹脂にポリシロキサンが結合した複合樹脂を含有するインクバインダーを検討した。
しかし、前記複合樹脂含有インクバインダーでは、依然として前記したレベルの耐擦過性を有する印刷画像を形成することは困難であった。
そこで、前記アクリル樹脂とポリシロキサンとが結合した複合樹脂に、特定のウレタン樹脂を混合した樹脂組成物を含むインクバインダーを検討した。
しかし、前記樹脂組成物であっても、やはり耐擦過性の向上を図ることは困難であった。
そこで、前記アクリル樹脂とポリシロキサンとともに、前記ウレタン樹脂を結合した複合樹脂含有のインクバインダーを検討したところ、予想外にも、耐擦過性の著しく向上した印刷画像を形成できることを見いだした。
前記3級アミノ基の一部又は全てを中和する際に使用することができる酸としては、例えば、蟻酸、酢酸等を使用することができる。また、前記3級アミノ基の一部又は全てを4級化する際に使用することができる4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸類を使用することができる。
また、前記複合樹脂(A)は、前記親水性基含有ポリウレタン(a1)からなる構造と前記ビニル重合体(a2)からなる構造との質量割合[(a2)からなる構造/(a1)からなる構造]が、1/1〜1/50の範囲であることが、インクジュット用インクにおいて良好な保存安定性とインク吐出性と、印字物における耐擦過性を得るうえで好ましい。く、1/3〜1/20の範囲であることがより好ましい。
前記ビニル重合体(a2)は、後述するポリシロキサン(a3)を介して前記親水性基含有ポリウレタン(a1)と結合しうるものである。
前記ポリシロキサン(a3)は、前記親水性基含有ポリウレタン(a1)と前記ビニル重合体(a2)との連結部分を構成するものである。
本発明のインクジェットインク用バインダーの製造方法は、主として、前記複合樹脂(A)を製造する工程と、該複合樹脂(A)を水系媒体中に分散する工程とからなる。
る。
本発明のインクジェット印刷用インクは、前記インクジェットインク用バインダー、顔料や染料、その他必要に応じて各種の添加剤を含有するものである。
前記無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用することができる。
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料を使用することができる.これらの顔料は2種類以上のものを併用することができる.また,これらの顔料が表面処理されており,水系媒体に対して自己分散能を有しているものであっても良い。
(1)前記顔料または染料と前記水系媒体と前記インクジェットインク用バインダーと必要に応じて前記添加剤とを、各種の分散装置を用いて一括して混合しインクを調製する方法。
(2)前記顔料または染料と前記水系媒体と必要に応じて前記添加物とを、各種の分散装置を用いて混合することで顔料または染料の水系分散体からなるインク前駆体を調製し、次いで、前記顔料または染料の水分散体からなるインク前駆体と前記インクジェットインク用バインダーと、必要に応じて水系媒体と添加物とを、各種の分散装置を用いて混合しインクを調製する方法。
(i)顔料及び高分子分散剤等の添加剤を2本ロールやミキサー等を用いて予備混練して得られた混練物と、水系媒体とを各種の分散装置を用いて混合することによって顔料を含む水系分散体からなるインク前駆体を調製する方法。
(ii)顔料と高分子分散剤を各種の分散装置を用いて混合した後、前記高分子分散剤の溶解性をコントロールすることによって該高分子分散剤を前記顔料の表面に堆積させ、更に分散装置を用いてそれらを混合することで顔料を含む水系分散体からなるインク前駆体を調製する方法。
(iii)顔料と前記添加物とを各種の分散装置を用いて混合し、次いで前記混合物と樹脂エマルジョンとを分散装置を用いて混合することによって顔料を含む水系分散体からなるインク前駆体を調製する方法。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(三菱化学(株)製PTMG−2000) 235質量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)157質量部を仕込んで100℃まで昇温し、同温度で1時間反応させた。
次いで、温度を80℃に下げ、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)55質量部、1,6−ネオペンチルグリコール(NPG)6質量部、及び酢酸エチル(EtAc)228質量部を、前記反応容器中へ投入した後、更に80℃で5時間反応させた。
次いで、温度を50℃に下げ、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)47質量部、及びイソプロピルアルコール(IPA)272質量部を前記反応容器中へ投入し反応させることで、カルボキシル基と加水分解性シリル基とを有する数平均分子量が5500の親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール骨格を有する数平均分子量2000のポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製 UH−200) 235質量部、IPDI 157質量部を仕込んで100℃まで昇温し、同温度で1時間反応させた。
次いで、温度を80℃に下げ、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)55質量部、ネオペンチルグリコール(NPG)6質量部、及び酢酸エチル(EtAc)228質量部を、前記反応容器中へ投入した後、更に80℃で5時間反応させた。
次いで、温度を50℃に下げ、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)47質量部、及びイソプロピルアルコール(IPA)272質量部を前記反応容器中へ投入し反応させることで、カルボキシル基と加水分解性シリル基とを有する数平均分子量が5800の親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−2)を得た。
「UH−200」:1,6−ヘキサンジオール骨格を有するポリカーボネートポリオール
「NPG」:ネオペンチルグリコール
「DMPA」:ジメチロールプロピオン酸
「IPDI」:イソホロンジイソシアネート
「APTES」:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール(IPA)275質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、同温度で、メチルメタクリレート(MMA)150質量部、ブチルメタクリレート(BMA)95質量部、ブチルアクリレート(BA)145質量部、アクリル酸(AA)95質量部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)15質量部、IPA 225.0質量部及びtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)25.0質量部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した後、更に同温度で2時間反応させることによって、カルボキシル基と加水分解性シリル基とを有する数平均分子量が9800のアクリル重合体からなるビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−1)を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール(IPA)275質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、同温度で、メチルメタクリレート(MMA)250質量部、ブチルメタクリレート(BMA)190質量部、ブチルアクリレート(BA)30質量部、アクリル酸(AA)15質量部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)15質量部、IPA 225.0質量部及びtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)25.0質量部を含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した後、更に同温度で2時間反応させることによって、カルボキシル基と加水分解性シリル基とを有する数平均分子量が10200のアクリル重合体からなるビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−2)を得た。
「BMA」 :ブチルメタクリレート
「BA」 :ブチルアクリレート
「AA」 :アクリル酸
「MPTS」 :3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS)1421質量部を仕込んで、60℃まで昇温した。
次いで、前記反応容器中に「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.17質量部と脱イオン水207質量部との混合物を5分間で滴下した後、80℃の温度で4時間撹拌して加水分解縮合反応させた。
前記加水分解縮合反応によって得られた縮合物を、温度40〜60℃及び300〜10mmHgの減圧下(メタノールの留去開始時の減圧条件が300mmHgで、最終的に10mmHgとなるまで減圧する条件を言う。以下、同様。)で蒸留することによって前記反応過程で生成したメタノール及び水を除去し、数平均分子量1000のメチルトリメトキシシランの縮合物を含む混合液からなるポリシロキサン(a3−1)(有効成分70質量%)1000質量部を得た。
なお、前記有効成分とは、メチルトリメトキシシラン(MTMS)等のシランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)を、縮合反応後の実収量(質量部)で除した値〔シランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)/縮合反応後の実収量(質量部)〕により算出したものである。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、エチルトリメトキシシラン(ETMS)1296質量部を仕込んで、60℃まで昇温した。
次いで、前記反応容器中に「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.14質量部と脱イオン水171質量部との混合物を5分間で滴下した後、80℃で4時間撹拌して加水分解縮合反応させた。
前記加水分解縮合反応によって得られた縮合物を、温度40〜60℃及び300〜10mmHgの減圧下で蒸留することによって、生成したメタノール及び水を除去し、数平均分子量が1100のエチルトリメトキシシランの縮合物を含む混合液からなるポリシロキサン(a3−2)(有効成分70質量%)1000質量部を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、合成例3で得たビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−1)を19.2質量部、PTMS4.3質量部及びDMDMS2.6質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.1質量部と脱イオン水1.9質量部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、前記ビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−1)中のビニル重合体が有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンとが結合した複合樹脂中間体溶剤溶液(C’−1)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体溶剤溶液(C’−1)と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)7.4質量部とを混合し、更に、脱イオン水1.8質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記(C’−1)中の前記複合樹脂中間体に、更にメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)が結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−1)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−1)に、合成例5で得た親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)345.5質量部を混合し、攪拌下80℃で1時間、加水分解縮合反応させることで、前記親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)中の親水性基含有ポリウレタンが有する加水分解性シリル基と、前記(C−1)中の複合樹脂中間体の有する加水分解性シリル基とが結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−1)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−1)と48%KOH水溶液16.7質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水933.7質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去することで、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(i)1000質量部を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記ビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−1)を132.2質量部、PTMS25.3質量部及びDMDMS15.4質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.3質量部と脱イオン水11.5質量部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、前記有機溶剤溶液(a2−1)中のビニル重合体が有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンとが結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−2)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−2)と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)43.8質量部とを混合し、更に、脱イオン水10.6質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記(C’−2)中の複合樹脂中間体に、更にメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)が結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−2)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−2)に、前記親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)132.2質量部を混合し、攪拌下80℃で1時間、加水分解縮合反応させることで、前記(a1−1)中の親水性基含有ポリウレタンの有する加水分解性シリル基と、前記(C−2)中の複合樹脂中間体の有する加水分解性シリル基とが結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−2)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−2)と48%KOH水溶液22.7質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水939.3質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(ii)1000質量部を得た。
前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−1)と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−2)8.1質量部とを混合し、更に、脱イオン水1.6質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記(C’−1)中の複合樹脂中間体に、更にメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−2)が結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−3)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−3)に、前記親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)345.6質量部を混合し、攪拌下80℃で1時間、加水分解縮合反応させることで、前記(a1−1)中の親水性基含有ポリウレタンの有する加水分解性シリル基と前記(C−3)中の複合樹脂中間体が有する加水分解性シリル基とが結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−3)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−3)と48%KOH水溶液16.7質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水934.2質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(iii)1000質量部を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記ビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−2)を19.3質量部、PTMS4.3質量部及びDMDMS2.6質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.1質量部と脱イオン水2.0質量部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、前記(a2−2)中のビニル重合体が有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンとが結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−4)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−4)と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)7.5質量部とを混合し、更に、脱イオン水1.8質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記(C’−4)中の複合樹脂中間体に、更にメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)が結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−4)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−4)に、前記親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)347.3質量部を混合し、攪拌下80℃で1時間、加水分解縮合反応させることで、前記(a1−1)中の親水性基含有ポリウレタンの有する加水分解性シリル基と前記(C−4)中の複合樹脂中間体が有する加水分解性シリル基とが結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−4)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−4)と48%KOH水溶液14.6質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水933.8質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(iv)1000質量部を得た。
前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C−1)に、前記親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−2)345.5質量部を混合し、攪拌下80℃で1時間、加水分解縮合反応させることで、前記(a1−2)中の親水性基含有ポリウレタンの有する加水分解性シリル基と前記(C−1)中の複合樹脂中間体の有する加水分解性シリル基とが結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−5)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−5)と48%KOH水溶液16.7質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水933.7質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(v)1000質量部を得た。
「PTMS」 :フェニルトリメトキシシラン
「DMDMS」 :ジメチルジメトキシシラン
「KOH」 :水酸化カリウム
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、PTMS4.3質量部及びDMDMS2.6質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.1質量部と脱イオン水2.0質量部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンとが結合した中間体を得、次いで該中間体と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)7.5質量部とを混合し、更に、脱イオン水1.8質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記中間体とメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)とが結合したポリシロキサン(a3’−3)を得た。
次いで、前記ポリシロキサン(a3’−3)と、前記親水性基含有ポリウレタンの有機溶剤溶液(a1−1)366.3質量部を混合し、攪拌下80℃で1時間、加水分解縮合反応させることで、前記(a1−1)中の親水性基含有ポリウレタンの有する加水分解性シリル基と前記ポリシロキサン(a3’−3)の有する加水分解性シリル基とが結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−6)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(A’−6)と48%KOH水溶液15.0質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水933.8質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(vi)1000質量部を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記ビニル重合体(a2−1)を399.4質量部、PTMS4.0質量部及びDMDMS2.4質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.1質量部と脱イオン水1.8質量部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、前記ビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−1)の有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンとが結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−7)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−7)と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)6.9質量部とを混合し、更に、脱イオン水1.7質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記(C’−7)中の複合樹脂に、更にメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)が結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(C−7)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(C−7)と48%KOH水溶液44.5質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水932.6質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(vii)1000質量部を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、前記ビニル重合体の有機溶剤溶液(a2−1)を18.8質量部、PTMS4.2質量部及びDMDMS2.5質量部を仕込んで、80℃まで昇温した。
次いで、「A−3」〔堺化学(株)製のiso−プロピルアシッドホスフェート〕0.1質量部と脱イオン水1.9質量部との混合物を5分間で滴下し、更に同温度で1時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、前記(a2−1)中のビニル重合体の有する加水分解性シリル基と、前記PTMS及びDMDMS由来のポリシロキサンとが結合した複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−8)を得た。
次いで、前記複合樹脂中間体の有機溶剤溶液(C’−8)と前記メチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)7.3質量部とを混合し、更に、脱イオン水1.8質量部を添加して同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応させることによって、前記(C’−8)中の複合樹脂中間体に、更にメチルトリメトキシシランの縮合物(a3−1)が結合した複合樹脂の有機溶剤溶液(C−8)を得た。
次いで、前記複合樹脂の有機溶剤溶液(C−8)と48%KOH水溶液2.5質量部とを混合することで前記複合樹脂中のカルボキシル基を中和した中和物を得、次いで、該中和物と脱イオン水94.4質量部とを混合したものを、300〜10mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で4時間蒸留することで、生成したメタノールや有機溶媒及び水を除去し、不揮発分が20.0質量%の水性複合樹脂組成物(C−8−1)100質量部を得た。
次いで、前記水性複合樹脂組成物(C−8−1)100質量部と前記水性複合樹脂組成物(C−8−2)900質量部を混合することで、不揮発分が20.0質量%のインクジェットインク用バインダー(viii)1000質量部を得た。
「PTMS」 :フェニルトリメトキシシラン
「DMDMS」 :ジメチルジメトキシシラン
「KOH」 :水酸化カリウム
「PTMS」 :フェニルトリメトキシシラン
「DMDMS」 :ジメチルジメトキシシラン
「KOH」 :水酸化カリウム
ビニル重合体(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13(質量比)であり、重量平均分子量が11000、酸価156mgKOH/g)を1500g、キナクリドン系顔料(クロモフタールジェットマジェンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を4630g、フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数が1.4)を380g、ジエチレングリコールを2600g、及び34質量%水酸化カリウム水溶液688gを、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、4時間、混練を継続した。
前記混練物に、2時間で総量8000gの60℃に加温したイオン交換水を加え、不揮発分が37.9質量%の着色樹脂組成物を得た。
前記方法で得た着色樹脂組成物の12kgに、ジエチレングリコール744gと、イオン交換水7380gとを少量ずつ添加しながら分散撹拌機で撹拌し、水系顔料分散液の前駆体(分散処理前の水系顔料分散液)を得た。
次いで、この水系顔料分散液前駆体の18kgを、ビーズミル(浅田鉄工(株)製ナノミルNM−G2L、ビーズφ;0.3mmのジルコニアビーズ、ビーズ充填量;85%、冷却水温度;10℃、回転数;2660回転/分(ディスク周速:12.5m/sec)、送液量;200g/10秒)を用いて処理し、前記ビーズミルの通過液を13000G×10分の遠心処理した後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行うことによってキナクリドン系顔料の水系顔料分散液を得た.この水系顔料分散体中のキナクリドン系顔料濃度は14.9質量%であった。
キナクリドン系顔料の濃度が4質量%で、かつウレタン樹脂の濃度が1質量%となるよう、前記実施例1で得たインクジェットインク用バインダー(i)と、調製例1で得たキナクリドン系顔料と、2−ピロリジノンと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、グリセリンと、界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製)とイオン交換水とを、下記配合割合にしたがって混合、攪拌することによって、インクジェット印刷用インク(I)を調製した。また、前記インクジェットインク用バインダー(i)の代わりに、実施例2〜5及び比較例1〜3で得たインクジェットインク用バインダー(ii)〜(viii)をそれぞれ使用すること以外は、前記と同様の方法でインクジェット印刷用インク(II)〜(VIII)を得た。
・調製例1で得たキナクリドン系顔料水系分散体(顔料濃度14.9%);26.8g
・2−ピロリジノン;8.0g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8.0g
・グリセリン;3.0g
・界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製);0.5g
・イオン交換水;48.7g
・前記実施例1〜5及び比較例1〜3で得たインクジェットインク用のバインダー(不揮発分20質量%);5.0g
前記で得たインクジェット印刷用インクの粘度と、該インク中の分散粒子の粒子径を測定した。なお、前記粘度測定は東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22を使用し、前記粒子径の測定は、日機装(株)社製のマイクロトラック UPA EX150を使用した。
前記加熱試験前のインクの粘度及び粒子径に対する、加熱試験後の粘度及び粒子径の変化を、それぞれ下記式に基づいて算出し、インクの保存安定性を評価した。
[(加熱試験後のインク中の分散粒子の粒子径)/(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)]×100
○: 粒子径の変化の割合が、5%未満
△: 粒子径の変化の割合が、5%以上10%未満
×: 粒子径の変化の割合が、10%以上
[(加熱試験後のインクの粘度)/(加熱試験前のインクの粘度)]×100
○: 粘度の変化の割合が、2%未満
△: 粘度の変化の割合が、2%以上5%未満
×: 粘度の変化の割合が、5%以上
前記のインクジェットインクを黒色インクカートリッジに充填したインクカートリッジを取り付けたサーマルジェット方式インクジェットプリンターPhotosmart D5360(ヒューレットパッカード社製)を用いて、診断ページを印刷した後の、該プリンターのノズルの状態を確認した。1ページあたり18cm×25cmの領域の印字濃度設定100%のベタ印刷を連続で20ページ実施した後、再度診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。連続ベタ印刷の前後でのノズルの状態変化をインク吐出性として評価した。評価基準を以下に記す。
○:ノズルの状態に変化がないもの
△:インクは吐出するが,吐出方向異常ノズルが発生するもの
×:インクの不吐出が発生するもの
(光沢)
インクジェット印刷専用紙である写真用紙(光沢)[HPアドバンスフォト用紙 ヒューレットパッカード社製]の印刷面に、市販のサーマルジェット方式インクジュットプリンター(Photosmart D5360;ヒューレットパッカード社製)を用い、前記インクを黒色インクカートリッジに充填し、印字濃度設定100%のベタ印刷を行った。
24時間室温にて放置後、該印刷部の任意の3箇所の光沢を、マイクロヘイズプラス(株式会社 東洋精機製作所製)を用いて20度の光沢を測定し、その平均値を算出した。
写真印刷用紙(光沢)[HPアドバンスフォト用紙 ヒューレットパッカード社製]の印刷面に、市販のサーマルジェット方式インクジュットプリンター(Photosmart D5360;ヒューレットパッカード社製)を用い、前記インクを黒色インクカートリッジに充填し、印字濃度設定100%のベタ印刷を行った。
前記印刷物を常温下で10分間乾燥した後、印刷面を爪で擦過し、該印刷面の色等のこすれ具合を目視で評価した。評価基準を以下に記す。
A: 印刷面に傷は全くなく、印材の剥離等もみられなかった。
B: 印刷表面に若干の傷が発生したものの、色材の剥離等はみられなかった。
C: 印刷表面に著しい傷が発生し、色材の剥離等もみられた。
Claims (9)
- 親水性基含有ポリウレタン(a1)とビニル重合体(a2)とがポリシロキサン(a3)を介して結合した複合樹脂(A)、及び、水系媒体を含有してなるインクジェットインク用バインダー。
- 前記ポリシロキサン(a3)由来の構造が、複合樹脂(A)全体に対して1〜30質量%の範囲で含まれる請求項1に記載のインクジェットインク用バインダー。
- 前記親水性基含有ポリウレタン(a1)からなる構造と前記ビニル重合体(a2)からなる構造との質量割合[(a2)からなる構造/(a1)からなる構造]が、1/1〜1/50の範囲である、請求項1に記載のインクジェットインク用バインダー。
- 前記親水性基含有ポリウレタン(a1)と前記ポリシロキサン(a3)との結合が、前記親水性基含有ポリウレタン(a1)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基と前記ポリシロキサン(a3)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基との反応によって形成されるものであり、かつ前記ビニル重合体(a2)と前記ポリシロキサン(a3)との結合が、前記ビニル重合体(a2)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基と前記ポリシロキサン(a3)の有する加水分解性シリル基及び/またはシラノール基との反応によって形成されるものである、請求項1に記載のインクジェットインク用バインダー。
- 前記親水性基含ポリウレタン(a1)が、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上と親水性基含有ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるものである、請求項1に記載のインクジェットインク用バインダー。
- 前記ビニル重合体(a2)が、加水分解性シリル基含有ビニル単量体及び水酸基含有ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上を含むビニル単量体を重合して得られるものである、請求項1に記載のインクジェットインク用バインダー。
- 前記ポリシロキサン(a3)が、ケイ素原子に結合した芳香族環式構造、ケイ素原子に結合した炭素原子数1〜3個を有するアルキル基、及びケイ素原子に結合した炭素原子数1〜3個を有するアルコキシ基からなる群より選ばれる1種以上を有するものである、請求項1に記載のインクジェットインク用バインダー。
- 請求項1〜7の何れかに記載のインクジェットインク用バインダーと、顔料または染料と、水系媒体とを含有してなるインクジェット印刷用インク。
- 請求項8に記載のインクジェット印刷用インクによって印刷の施された印刷物。
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