JP5577181B2 - 生分解性容器の製造方法およびその方法に用いる誘電加熱装置 - Google Patents

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Description

この発明は、生分解性容器の製造方法に関し、詳しくは生分解性材料を誘電加熱しながら発泡成形する生分解性容器の製造方法とその方法に用いる誘電加熱装置に関する。
この発明に関連する先行技術としては、高周波電源と、前記高周波電源の出力によって被加熱物を誘電加熱する電極と、前記電極と高周波電源との間に接続され前記高周波電源とインピーダンス整合をとる整合回路と、前記電極間の被加熱物の温度を計測する温度計測手段とを備え、前記整合回路は、可変インダクタとコンデンサを有し、被加熱物の温度が上昇すると前記コンデンサの容量を増加して整合状態を維持するようにした高周波加熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−56781号公報
二酸化炭素の削減や資源循環型社会の構築など、近年の環境問題に対する意識の高まりをうけ、使い捨て容器の分野においても石油資源に頼らない製品が求められている。
そのような中、植物由来のバイオマスを原料とした生分解性の容器が注目されている。植物由来のバイオマスは大気中の二酸化炭素を吸収して成長しているため、廃棄後の生分解や焼却の際に二酸化炭素が排出されても、それは原料のバイオマスに吸収されていた二酸化炭素が再び大気中に排出されたこととなり、製造から廃棄までをトータルでみると大気中の二酸化炭素を増加させることにはならない。このような性質はカーボンニュートラルと呼ばれ、環境問題を考えるうえで重要なキーワードとなっている。
このような生分解性容器は、植物由来のバイオマスである澱粉およびパルプに水を加えて混練して得られた生分解性基材を生分解性フィルムと共に金型に装填し、金型内で該生分解性材料を加熱し水蒸気発泡させて焼成することにより製造される。
そして、この加熱工程に上記先行技術のような高周波誘電加熱を利用することが試みられているが、生分解性基材には多量の水分が含まれているため、加熱するとそのインピーダンス変化が著しく、負荷変動が激しくなる。従って、高周波電源とのインピーダンスを整合させて、それを効率よく急速に加熱することが容易でないという問題があった。
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、被加熱物と高周波電源とのインピーダンスを適正に整合させ、高速加熱によって能率よく製造することが可能な生分解性容器の製造方法を提供するものである。
この発明は、ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、前記ヒータにより予め所定温度に予熱した雄型と雌型の間に生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、金型内で生分解性材料を加熱して発泡・焼成することにより容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、金型内で生分解性材料を加熱する前記工程は、雄型と雌型を介して生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱する工程を含み、誘電加熱工程が、高周波発振器と、可変インダクタを有するインピーダンス整合回路とを用い、可変インダクタのインダクタンスを、高周波印加開始から所定時間だけ一定値に維持した後、第1速度で増大させ、発振器の出力電流が所定値に達すると、第1速度よりも大きい第2速度で変化させて前記出力電流を前記所定値に維持することを特徴とする生分解性容器の製造方法を提供するものである。
この発明によれば、可変インダクタのインダクタンスを、高周波印加開始から所定時間だけ一定値に維持した後、第1速度で増大させ、発振器の出力電流が所定値に達すると、第1速度よりも大きい第2速度で変化させて前記出力電流を前記所定値に維持するので、生分解性材料のインピーダンスが急激に変化しても高周波発振器とのインピーダンス整合が適正にとられ、効率よく生分解性材料に高周波電力が供給され、高速加熱が可能となる。
本発明の実施形態に係る製造方法により製造された生分解性容器の断面図である。 図1のA部拡大図である。 本発明の実施形態に係る生分解性容器の製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施形態に係る生分解性容器の製造方法を説明する工程図である。 本発明の高周波誘電加熱装置の電気回路図である。 図5に示す装置の動作を示すフローチャートである。 本発明のインピーダンス整合回路の特性を示すグラフである。
この発明による生分解性容器の製造方法は、ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、前記ヒータにより予め所定温度に予熱した雄型と雌型の間に生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、金型内で生分解性材料を加熱して発泡・焼成することにより容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、金型内で生分解性材料を加熱する前記工程は、雄型と雌型を介して生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱する工程を含み、誘電加熱工程が、高周波発振器と、可変インダクタを有するインピーダンス整合回路とを用い、可変インダクタのインダクタンスを、高周波印加開始から所定時間だけ一定値に維持した後、第1速度で増大させ、発振器の出力電流が所定値に達すると、第1速度よりも大きい第2速度で変化させて前記出力電流を前記所定値に維持することを特徴とする。
この発明による生分解性容器の製造方法において、ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型とは、嵌合時に容器の形状に対応したキャビティを形成し、該キャビティ内で生分解性材料を加熱し発泡させた際に生じるガスや水蒸気を外部へ適宜放出させることができるように構成された金型を意味する。ヒータは金型を所望の温度に管理するために雄型と雌型の両方に設けられていることが好ましい。
また、生分解性材料とは、発泡成形用の金型で成形できるように調製された生分解性を有する材料を意味し、好ましくは発泡基材層の材料として水分を含んで調製された生分解性基材と、生分解性基材と共に金型内で加熱され発泡基材層の表面を被覆する生分解性フィルムとから構成される。
生分解性材料に生分解性フィルムを含めることにより発泡基材層に耐水性を付与できるが、この発明において生分解性フィルムは必須ではなく、生分解性材料は生分解性基材のみで構成されていてもよい。
上記の生分解性基材は、例えば、澱粉、パルプおよび水を混練して得られた混練物とすることができる。
ここで、澱粉とは、澱粉またはその誘導体を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、馬鈴薯、トウモロコシ、タピオカ、米、小麦、さつまいもなど、主要穀物として世界的に生産されている農産物から得られる澱粉を挙げることができ、特定の農産物から製造されたものであってもよいし、複数の農産物から製造されたものを混合したものであってもよい。
また、上記の澱粉の誘導体は、生分解性を阻害しない範囲で澱粉を修飾したものを指し、例えば、α化澱粉、架橋澱粉、変性澱粉等を挙げることができる。
さらに、上記の修飾されていない澱粉と上記の澱粉の誘導体とを混合した混合物が用いられても構わない。
また、パルプとは、植物由来の繊維の集合体を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、木材パルプや非木材パルプを挙げることができる。
生分解性基材が澱粉、パルプおよび水を混練して得られた混練物である場合、生分解性基材に占める水の比率(水分値)は、例えば50〜65重量%程度とすることができる。
生分解性基材が上記のように比較的多くの水分を含有することにより、生分解性基材を発泡させるのに十分な量の水蒸気を発生させつつ、比較的短時間のうちに焼成でき、良好な発泡基材層を生産性よく得ることができる。
なお、生分解性基材中に占める水の比率が50重量%より小さくなると、水蒸気の発生不足により生分解性基材を水蒸気発泡させるのが困難になる。
一方、生分解性基材中に占める水の比率が65重量%より大きくなると、焼成時に発泡基材層から水蒸気を抜くのに多くの時間を要するばかりでなく、生分解性基材が柔らかくなり過ぎ取り扱いが難しくなる。
一方、上記の生分解性フィルムは、生分解性を有するフィルム状のものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、生分解性プラスチックで成形されたフィルムを挙げることができる。生分解性フィルムは2軸延伸されたものが耐熱性の観点からみて好ましい。
生分解性フィルムの厚みは特に限定されるものではないが、例えば、約20〜100μm程度とすることができる。
生分解性プラスチックとしては、例えば、3−ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリ−p−ヒドロキシベンズアルデヒド(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PLC)、酢酸セルロース系(PH)重合体、ポリエチレンサクシネート(PESu)、ポリエステルアミド、変性ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、マタービー(登録商標、イタリア・ノバモント社:デンプンを主成分とし、生分解性を有するポリビニルアルコール系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂などを副成分としている)、セルロース・キトサン複合物などのいわゆる「生分解性プラスチック」として公知の種々のものが挙げられる。これらの生分解性プラスチックは1種類のみ用いられてもよく、2種類以上の複合物として用いられてもよい。また、これら生分解性プラスチックには、生分解性の可塑剤、フィラーなどの副原料が添加されていてもよい。
この発明による生分解性容器の製造方法において、インピーダンス整合回路は、第1コンデンサを高周波発振器の出力に並列に接続し、前記可変インダクタおよび第2コンデンサの直列回路を介して高周波発振器の出力を金型に接続する回路であってもよい。
この発明による生分解性容器の製造方法において、誘電加熱工程は、高周波発振器の出力電流に基づいて可変インダクタを制御する工程を含んでいてもよい。
この発明による生分解性容器の製造方法において、可変インダクタは、モータによってそのインダクタンスを増減させる機構を有していてもよい。
この発明による生分解性容器の製造方法において、可変インダクタは、平行な2本の細長い平行導体と、2本の平行導体を橋絡する橋絡導体を備え、モータにより橋絡導体が平行導体の長手方向に移動可能な機構からなっていてもよい。
この発明は、別の観点からみると、生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱する装置であって、高周波発振器と、可変インダクタを有するインピーダンス整合回路と、可変インダクタのインダクタンスを制御する制御部を備え、制御部は前記インダクタンスを、高周波印加開始から所定時間だけ一定値に維持した後、第1速度で増大させ、発振器の出力電流が所定値に達すると、第1速度よりも大きい第2速度で変化させて前記出力電流を前記所定値に維持することを特徴とする誘電加熱装置を提供するものでもある。
また、この発明は更に別の観点からみると、この発明による生分解性容器の製造方法によって製造された生分解性容器を提供するものでもある。
この発明による生分解性容器の製造方法によって製造された生分解性容器は、発泡基材層のうち最も厚い部分の厚さが約1.0〜3.0mm、発泡基材層の平均水分値が約4重量%以下であることが好ましい。
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態に係る生分解性容器の製造方法について説明する。なお、以下に説明する複数の実施形態において同じ部材には同じ符号を付して説明する。
本発明の実施形態に係る生分解性容器の製造方法について図1〜7に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る製造方法により製造された生分解性容器の断面図、図2は図1のA部拡大図、図3および図4は実施形態1に係る生分解性容器の製造方法を説明する工程図である。
図1および図2に示されるように、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造された生分解性容器1は、生分解性容器1の骨格をなす発泡基材層2と、発泡基材層2の内側と外側の表面を被覆する疎水性の生分解性フィルム3とから構成される。
発泡基材層2の内側と外側の表面がそれぞれ生分解性フィルム3で被覆されることにより、生分解性容器1はその内面および外面ともに耐水性が付与されているため長期保存性に優れ、また、発泡基材層2の優れた断熱性により熱湯などを入れて使用することも可能な構成となっている。
生分解性容器1は最大径R1が140mm、開口縁部1aから底部1bまでの高さH1が75mmであり、深絞りに分類される形状を有している。
また、生分解性容器1は最も厚い部分の厚さが約2.5mm、発泡基材層2の平均水分値が約4%である。
以下、図1に示される生分解性容器1の製造方法について図3および図4に基づいて説明する。
本実施形態では、図3(a)に示されるように、成形すべき容器の形状に対応したキャビティ9(図4(c)参照)を形成するための一対の雄型4と雌型5とからなる発泡成形用の金型6が用いられる。雄型4と雌型5は図示しない電熱ヒータを内蔵しており、以下の工程においていずれも約130〜170℃に維持される。
まず、図3(a)に示されるように、生分解性基材7を枠体8に張られた2枚の生分解性フィルム3の間に挟みつけた状態で雌型5の上方に配置する。
なお、生分解性フィルム3はそれらの対向面に予め二酸化チタンの粉末が塗布され、製造工程中にフィルム同士が接着しないように配慮されている。
また、生分解性基材7を挟んだ生分解性フィルム3は雌型5の上方に配置された後、吹き出し口において約230〜240℃の温度を有する熱風が吹き付けられ約100〜150℃まで予備加熱される。これにより生分解性フィルム3が軟化し、雄型4と雌型5を嵌合させる後の工程で生分解性フィルム3を延伸させ易くなる。
発泡基材層2(図2)の材料となる上記の生分解性基材7は、パルプおよび水の溶解物に澱粉を混合した後、加熱してα化したものである。前記澱粉には生分解性容器の材料として最適な性質を示すように適量の二酸化チタンおよびゼラチンが混合されていてもよい。本実施形態において、生分解性基材7に占める水の比率(水分値)は約63重量%であり、生分解性基材7の性状はドウ状である。
一方、生分解性フィルム3は生分解性芳香族ポリエステル樹脂(バイオマックス(登録商標))を2軸延伸してフィルム状に成形したものである。
次いで、図3(b)に示されるように、雄型4を雌型5へ向かって下降させ雄型4で枠体8に張られた生分解性フィルム3を延伸する。
次いで、図4(c)に示されるように、雄型4をさらに下降させて雌型5と嵌合させると、生分解性フィルム3が完全に延伸されると共に生分解性基材7が加圧され雄型4と雌型5により形成されたキャビティ9内に徐々に満注する。
そして、雄型4と雌型5が嵌合した時点で高周波電源つまり高周波発振器10からインピーダンス整合回路11と、雄型4および雌型5とを介してキャビティ9内の生分解性基材7に高周波の印加を開始し、前記生分解性基材7を約4〜12秒間にわたって誘電加熱する。
この際、インピーダンス整合回路11によって高周波発振器10と被加熱物である生分解性基材7とのインピーダンスの整合がとられ、効率よく高周波が印加される。
誘電加熱によりキャビティ9内の生分解性基材7そのものが発熱すると、キャビティ9内で生分解性基材7が速やかに水蒸気発泡して焼成され、容器状の発泡基材層2が形成される。また、この水蒸気発泡と焼成の際に、金型6内で熱と圧力を受けた生分解性フィルム3が発泡基材層2の表面に形成された微細な凹凸にアンカー効果により接着し、発泡基材層2の内側と外側の表面がそれぞれ生分解性フィルム3で被覆される。発泡基材層2の内側と外側の表面を生分解性フィルム3で被覆するにあたり接着剤は必要なく、生分解性フィルム3は加圧と加熱によるアンカー効果のみで発泡基材層2の表面に接着する。
なお、図示しないが金型6のうち容器1の開口縁部1a(図1参照)に相当する部分には生分解性基材7の発泡・焼成時に発生する水蒸気をキャビティ9から外部へ放出させるための蒸気抜き用の孔が形成されている。
蒸気抜き用の孔の大きさは、キャビティ9内の内圧が適切に維持され適切な発泡・焼成が行われるように生分解性基材7の水分値に応じて適切に設定される。
最後に、図4(d)に示されるように、金型6を開放して内側と外側の表面がそれぞれ生分解性フィルム3で被覆された発泡基材層2を枠体8と共に取出し、余分な生分解性フィルム3を切り取ると図1に示される生分解性容器1が得られる。
ここで、この実施形態に用いられる高周波誘電加熱について説明する。図5は高周波誘電加熱装置の電気回路図である。
図5に示すように、高周波誘電加熱装置は、高周波発振器10とインピーダンス整合回路11を備え、インピーダンス整合回路11は、高周波発振器10の一対の出力端子に並列に接続されている第1コンデンサCpと、高周波発振器10の出力を、雄型4と雌型5を介して生分解性基材7に印加する可変インダクタLsと第2コンデンサCsとの直列回路を備える。
インピーダンス整合回路11には、可変インダクタLsのインダクタンスLを変化させるモータ17が接続される。制御部14は、CPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータと、モータ17を駆動するドライバ回路を備える。
制御部14は、加熱条件などを予め設定する入力部15と、雄型4と雌型5の嵌合完了(プレス完了)を検出するプレスセンサ16と、高周波発振器10の出力電流を検出する電流検出器からの出力を受けて、モータ17を制御し、高周波発振器10の出力電流のオーバーシュートを抑制し、かつ、出力電流を一定に維持するために、高周波発振器10のインピーダンスと生分解性材料(生分解性基材7と生分解性フィルム3)のインピーダンスとを整合するようになっている。
なお、可変インダクタLsには、例えば、平行な2本の細長い平行導体と、2本の平行導体を橋絡する橋絡導体を備え、モータ17により橋絡導体が平行導体の長手方向に移動可能な機構を備えたものが好適に用いられる。
このような構成における動作を図6に示すフローチャートおよび図7に示す特性図を用いて説明する。なお、図7は可変インダクタLsのインダクタンスLと、出力電流Ipの時間tに対する変化特性を示す。
まず、ステップS1において初期設定が行われる。つまり、入力部15により予め可変インダクタLsの初期値Loおよび出力電流Ipの設定が行われると共に、初期遅延時間t1、加熱完了時間t2が設定される。
次に、雄型4と雌型5とが上記生分解性材料を介してプレスされ、互いに嵌合すると(ステップS2)、プレスセンサ16が出力して高周波発振器10がオンする(ステップS3)。この時、インダクタLsのインダクタンスLは図7に示すようにLo一定に保持されている。
そして、出力電流Ipが図7のように零から増大し時間t1(約0.2秒)が経過すると(ステップS4)、制御部14は、モータ17を駆動して出力電流Ipが設定値Isになるように可変インダクタLsを低速(第1速度)で増大させる(ステップS5)。
出力電流Ipが図7のように設定値Isに到達してオーバーシュートすると(ステップS6)、インダクタンスLsを一定に保持してオーバーシュートを抑制し、以後は出力電流Ipが設定値Isに維持されるようにインダクタLsを高速(第1速度より大きい第2速度)で変化させる(ステップS7,S8)。
そして、図7に示すように、加熱完了時間t2が経過すると、発振器10がオフし、誘電加熱工程が終了する(ステップS9,S10)。
つまり、制御部14では、生分解性基材7の物性変化に対応して可変インダクタLsのインダクタンスが変化するようにその変化速度をプログラム化し、変化速度を加熱初期においては低速にし、中期・後期においては高速にしてインピーダンス変化の最適化を画った。
このようにインピーダンス整合回路11のインピーダンスを制御することにより、約63重量%から4重量%までの水分値変動に伴って負荷が激しく変動する生分解性基材7のインピーダンスと高周波発振器10のインピーダンスとが整合し、効率よく電力が生分解性基材7に供給される。そして、必要な加熱時間が4〜12秒までに短縮されることが実験によって確認された。
なお、インピーダンス整合回路11では、可変インダクタLsのインダクタンスを変化させてインピーダンス整合を行ったが、第1コンデンサCpや第2コンデンサCsの静電容量を変化させてもよいし、それぞれを同時に変化させるようにしてもよい。
1 生分解性容器
2 発泡基材層
3 生分解性フィルム
4 雄型
5 雌型
6 金型
7 生分解性基材
8 枠体
9 キャビティ
10 高周波発振器
11 整合回路
12 上枠
12a,12b,12c,12d 挟持部
13 下枠
14 制御部
15 入力部
16 プレスセンサ
17 モータ

Claims (5)

  1. ヒータを内蔵した嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、前記ヒータにより予め所定温度に予熱した雄型と雌型の間に生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、金型内で生分解性材料を加熱して発泡・焼成することにより容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、金型内で生分解性材料を加熱する前記工程は、雄型と雌型を介して生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱する工程を含み、
    誘電加熱工程が、高周波発振器と、可変インダクタを有するインピーダンス整合回路とを用い、可変インダクタのインダクタンスを、高周波印加開始から所定時間だけ一定値に維持した後、第1速度で増大させ、発振器の出力電流が所定値に達すると、一旦一定に保持し、次に第1速度よりも大きい第2速度で変化させて前記出力電流を前記所定値に維持することを特徴とする生分解性容器の製造方法。
  2. インピーダンス整合回路は、第1コンデンサを高周波発振器の出力に並列に接続し、前記可変インダクタおよび第2コンデンサの直列回路を介して高周波発振器の出力を金型に接続する回路である請求項1記載の生分解性容器の製造方法。
  3. 誘電加熱工程は、高周波発振器の出力電流に基づいて可変インダクタを制御する工程を含む請求項1又は2に記載の生分解性容器の製造方法。
  4. 可変インダクタは、モータによってそのインダクタンスを増減させる機構を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の生分解性容器の製造方法。
  5. 生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱する装置であって、高周波発振器と、可変インダクタを有するインピーダンス整合回路と、可変インダクタのインダクタンスを制御する制御部を備え、制御部は前記インダクタンスを、高周波印加開始から所定時間だけ一定値に維持した後、第1速度で増大させ、発振器の出力電流が所定値に達すると、一旦一定に保持し、次に第1速度よりも大きい第2速度で変化させて前記出力電流を前記所定値に維持することを特徴とする誘電加熱装置。
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