JP5577123B2 - スパナ脱落防止構造、ナット着脱方法及びスパナ押え治具 - Google Patents

スパナ脱落防止構造、ナット着脱方法及びスパナ押え治具 Download PDF

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Description

この発明は、スパナのナットからの脱落を防止するためのスパナ脱落防止構造、ナット着脱方法及びスパナ押え治具に関する。
従来より、例えば、配管同士を接合するような場合には、図7に示すように、スパナ101を用いて、フランジに配設されたボルト102にナット103を螺合させて締め付ける作業が行われる。この場合、作業員が、手で可能な範囲までボルト102にナット103を螺合させた後、閉口のスパナ101の環状嵌合部をナット103に嵌合させる。この後、ハンマ等でスパナ101の柄部を打撃してさらに十分締め付ける。
この際、スパナ101を打撃する作業員のほかに、スパナ101がナット103から脱落しないように介添する作業員も別に必要である。しかも、閉ざされた狭隘な場所で、作業を行う場合には、ハンマがスパナ101から外れた場合や、スパナ101がナット103から外れた場合には、両作業員に危険が及ぶ。特に、打撃する作業員の狭隘な場所での体勢の維持が優先され、かつ、介添する作業員は、スパナ101を直視することなく補助を行っているため、脱落時に回避が困難であり、大変危険である。こうした問題は、ナット103を緩める場合にも同様に発生する。
このため、例えば、楕円柱内部に断面六角形状の長穴を形成させたナット締付治具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−116965号公報
しかしながら、上記従来技術においては、長いボルトにナットを螺合させることが前提となっており、比較的短いボルトにナットを螺合させる場合には適用できない。
この発明は、前記の課題を解決し、安全に、簡単に、かつ確実に、ナットを着脱することができるスパナ脱落防止構造、ナット着脱方法及びスパナ押え治具を提供することを目的としている。
前記の課題を解決するために、請求項1の発明はナットに嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有するスパナの嵌合した前記ナットからの脱落を防止するためのスパナ脱落防止構造であって、前記スパナの前記環状嵌合部が、ボルトに螺着された前記ナットに嵌合した状態で、スパナ押え治具が、前記ボルトの先端部に螺合し、前記スパナ押え治具は、前記ボルトの先端部に螺合する雌ねじ部を有する軸部と、前記環状嵌合部の側面部を押圧する押圧部と、前記ボルトと軸を同じくして配設され、その後端部が前記ボルトの先端面に突き当てられ、前記スパナ押え治具の前記ボルトへの固定を補助するための補助ボルトと、前記補助ボルトを螺合する雌ねじ部が中央部に形成された円形状部材とを有する、ことを特徴とするスパナ脱落防止構造である。ここで、環状嵌合部の側面部とは、環状嵌合部の軸に直交し、スパナ押え治具の裏面側に当接される面を意味する。
請求項1の発明では、スパナ押え治具の軸部が、ボルトの先端部に螺合し、押圧部がスパナの環状嵌合部の側面部を押圧する。また、補助ボルトが、スパナ押え治具のボルトへの固定を補助する。
請求項2の発明は、ナットに嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有するスパナの嵌合した前記ナットからの脱落を防止しつつ、前記ナットをボルトに螺着し、又は前記ボルトに螺着された前記ナットを取り外すためのナット着脱方法であって、前記ボルトの先端部に螺合する雌ねじ部を有する軸部と、前記環状嵌合部の側面部を押圧する押圧部と、前記ボルトと軸を同じくして配設され、その後端部が前記ボルトの先端面に突き当てられ、前記スパナ押え治具の前記ボルトへの固定を補助するための補助ボルトと、前記補助ボルトを螺合する雌ねじ部が中央部に形成された円形状部材とを有する前記スパナ押え治具を用い、前記ナットの着脱時に、前記スパナの前記環状嵌合部が、前記ボルトに螺着された前記ナットに嵌合した状態で、前記軸部を、前記ボルトの先端部に螺合させた状態で、前記補助ボルトの後端部を前記ボルトの先端面に突き当て、かつ、前記押圧部によって、前記環状嵌合部の側面部を押圧させることを特徴とするナット着脱方法である。
請求項3の発明は、ナットに嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有するスパナの前記ナットからの脱落を防止するために用いられるスパナ押え治具であって、前記スパナの前記環状嵌合部が、ボルトに螺着された前記ナットに嵌合した状態で、前記ボルトの先端部に螺合する雌ねじ部を有する軸部と、前記環状嵌合部の側面部を押圧する押圧部と、前記ボルトと軸を同じくして配設され、その後端部が前記ボルトの先端面に突き当てられ、前記スパナ押え治具の前記ボルトへの固定を補助するための補助ボルトと、前記補助ボルトを螺合する雌ねじ部が中央部に形成された円形状部材とを有する、ことを特徴とするスパナ押え治具である。
請求項1の発明によれば、スパナ押え治具の軸部が、ボルトの先端部に螺合し、押圧部がスパナの環状嵌合部の側面部を押圧するので、安全に、簡単に、かつ確実に、ナットを着脱することができる。
また、補助ボルトによって、スパナ押え治具のがたつきを抑えることができる。
請求項2の発明によれば、スパナ押え治具の軸部が、ボルトの先端部に螺合し、押圧部がスパナの環状嵌合部の側面部を押圧するので、安全に、簡単に、かつ確実に、ナットを着脱することができる。
請求項3の発明によれば、スパナ押え治具の軸部が、ボルトの先端部に螺合し、押圧部がスパナの環状嵌合部の側面部を押圧するので、安全に、簡単に、かつ確実に、ナットを着脱することができる。
この発明の実施の形態1によるスパナ脱落防止構造の構成を説明するための説明図である。 同スパナ脱落防止構造の構成を示す平面図である。 同スパナ脱落防止構造を適用し、スパナを用いたナット着脱方法を説明するための斜視図である。 この発明の実施の形態2によるスパナ脱落防止構造の構成を説明するための説明図である。 同スパナ脱落防止構造の構成を示す平面図である。 この発明の実施の形態1の変形例によるスパナ脱落防止構造の押え金具の構成を模式的に示す断面図である。 従来技術を説明するための説明図である。
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1によるスパナ脱落防止構造の構成を説明するための説明図、図2は、同スパナ脱落防止構造の構成を示す平面図、図3は、同スパナ脱落防止構造を適用し、スパナを用いたナット着脱方法を説明するための斜視図である。
図1及び図2に示すように、この実施の形態のスパナ脱落防止構造1は、スパナ3が、ボルト4に螺着されたナット5に嵌合した状態で、押え金具6が、ボルト4の先端部に螺合するとともに、環状弾性部材7を介してスパナ3を押えるように配置されて概略構成されている。
押え金具6は、スパナ3を押える円板状部材8と、円板状部材8に軸を同じくして接合されたナット状部材9とを有している。円板状部材8は、中央部に形成され、ボルト4の先端部に螺合する雌ねじ部11と、周縁部に形成され、環状弾性部材7を介してスパナ3の環状嵌合部の側面を押える押圧部12とを有している。ナット状部材9は、雌ねじ部11と同径の雌ねじ部13を有している。環状弾性部材7は、例えば、開口が形成された皿ばねや、ワッシャを含んでいる。
この実施の形態では、スパナ3として、ナット5と嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有する閉口スパナを用いる場合に適用される。ナット5は、略六角形状の断面を有し、スパナ3の環状嵌合部は、ナット5が嵌合するためのナット5の形状に対応した形状の開口を有し、スパナ3の内壁面3aが、ナット5の外壁面に接触することとなる。この実施の形態では、環状弾性部材7は、円板状部材8の裏面周縁部に溶接等により接合されている。なお、環状弾性部材7は、分離されていても良いし、スパナ3に接合されていても良い。
次に、図3を参照して、押え金具6を用いたナット着脱方法について述べる。ナット5の締付方法から述べる。図3に示すように、まず、例えば、配管同士を接合するためのフランジ16に配設されたボルト4にナット5を手で可能な範囲まで螺合させ、スパナ3の環状嵌合部をナット5に嵌合させる。次に、ボルト4の先端部に、環状弾性部材7が接合された押え金具6を取り付ける。すなわち、手でナット状部材9を時計周りに回転させて、円板状部材8の雌ねじ部11にボルト4を螺合させる。なお、ナット状部材9を別のスパナを用いて回転させても良い。
ここで、押圧部12が、環状弾性部材7を介してスパナ3の環状嵌合部の側面を押える。これにより、スパナ3は、ナット5から脱落することなく保持される。この状態で、スパナ3の柄部をハンマ15等を用いて打撃し、ナット5に対して比較的強いトルクを与えて、更に回転させて、ナット5を締め付ける。ここで、環状弾性部材7に対して、スパナ3の環状嵌合部の側面は、摺動することとなる。このとき、押え金具6により、押さえられていることによって、衝撃によってスパナ3が弾き跳ばされて脱落することがない。
次に、ナット5の取外方法について述べる。まず、強く締め付けられたナット5が螺着されたボルト4の先端部に環状弾性部材7が接合された押え金具6を取り付ける。すなわち、手でナット状部材9を時計周りに回転させて、円板状部材8の雌ねじ部11にボルト4を螺合させる。
ここで、押圧部12が、環状弾性部材7を介してスパナ3の環状嵌合部の側面を押える。これにより、スパナ3は、ナット5から脱落することなく保持される。この状態で、スパナ3の柄部をハンマ15等を用いて打撃し、ナット5に対して比較的強いトルクを与えて、ナット5を緩める。次に、押え金具6をボルト4から取り外した後、手でナット5をボルト4から取り外す。この場合も、押え金具6により、押さえられていることによって、衝撃によってスパナ3が弾き跳ばされて脱落することがない。さらに、環状弾性部材7によって押さえられることにより、ナット5が外側へ移動する際の逃げが吸収され、ナット5を円滑に取り外すことができる。
こうして、この実施の形態の構成によれば、ナット5の締付け時も、取外し時も、押え金具6により、押さえられていることによって、衝撃によってスパナ3が弾き跳ばされて脱落することがない。したがって、安全に、簡単に、かつ確実に、ナット5を着脱することができる。また、単一の作業員で実施可能となるので、狭隘な場所での作業効率が向上する上に、コストを抑制することができる。また、押え金具6は、簡易な構成であり、小型軽量であるので、持運びも、取付け及び取外しも簡単に行うことができる。
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2によるスパナ脱落防止構造の構成を説明するための説明図、図5は、同スパナ脱落防止構造の構成を示す平面図である。
図4及び図5に示すように、この実施の形態のスパナ脱落防止構造1Aは、スパナ18が、ボルト19に螺着されたナット21に嵌合した状態で、押え金具22が、ボルト19の先端部に螺合するとともに、環状弾性部材23を介してスパナ18を押えるように、かつ、ロックボルト24によって固定されるように配置されて概略構成されている。
押え金具22は、スパナ18を押える円板状部材25と、把持部26a,26bと、把持部26a,26bを連結するとともにロックボルト24が螺着される雌ねじ部が中央部に形成された円板状部材27とを有している。円板状部材25は、中央部に形成され、ボルト19の先端部に螺合する雌ねじ部28と、周縁部に形成され、環状弾性部材23を介してスパナ18の環状嵌合部の側面を押える押圧部29とを有している。
ボルト19は、その先端面に、底部を有する加工用のセンタ穴19aが形成され、ロックボルト24の軸部がこのセンタ穴19aに挿通され、軸部の先端がこの底部に突き当てられる。なお、センタ穴19aは、必ずしも形成されていなくても良いし、ロックボルト24の軸部と螺合する雌ねじ部が形成されていても良い。ロックボルト24をボルト19に突き当てることによって、押え金具22をボルト19に螺着した際のがたつき(遊び)が低減される。
ナット21は、略六角形状の断面を有し、スパナ18の環状嵌合部は、ナット21が嵌合するためのナット21の形状に対応した形状の開口を有し、スパナ18の内壁面18aが、ナット21の外壁面に接触することとなる。この実施の形態では、環状弾性部材23は、円板状部材25の裏面周縁部に溶接等により接合されている。なお、環状弾性部材23は、分離されていても良いし、スパナ18に接合されていても良い。
次に、押え金具22を用いたナット着脱方法について述べる。ナット21の締付方法から述べる。図4に示すように、まず、ボルト19にナット21を手で可能な範囲まで螺合させ、スパナ18の環状嵌合部をナット21に嵌合させる。次に、ボルト19の先端部に、環状弾性部材23が接合された押え金具22を取り付ける。すなわち、手で把持部26a,26bを時計周りに回転させて、円板状部材25の雌ねじ部28にボルト19を螺合させる。ここで、ロックボルト24の軸部をセンタ穴19aに挿通し、底部に突き当てる。これによって、がたつきが防止される。
また、押圧部29が、環状弾性部材23を介してスパナ18の環状嵌合部の側面を押える。これにより、スパナ18は、ナット21から脱落することなく保持される。この状態で、スパナ18の柄部をハンマ等を用いて打撃し、ナット21に対して比較的強いトルクを与えて、更に回転させて、ナット21を締め付ける。ここで、環状弾性部材23に対して、スパナ18の環状嵌合部の側面は、摺動することとなる。このとき、押え金具22により、押さえられていることによって、衝撃によってスパナ18が弾き跳ばされて脱落することがない。
次に、ナット21の取外方法について述べる。まず、強く締め付けられたナット21が螺着されたボルト19の先端部に環状弾性部材23が接合された押え金具22を取り付ける。すなわち、手で把持部26a,26bを時計周りに回転させて、円板状部材25の雌ねじ部28にボルト19を螺合させる。
ここで、ロックボルト24の軸部をセンタ穴19aに挿通し、底部に突き当てる。これによって、押え金具22のがたつきが防止される。また、押圧部29が、環状弾性部材23を介してスパナ18の環状嵌合部の側面を押える。これにより、スパナ18は、ナット21から脱落することなく保持される。この状態で、スパナ18の柄部をハンマ等を用いて打撃し、ナット21に対して比較的強いトルクを与えて、ナット21を緩める。
次に、押え金具22をボルト19から取り外した後、手でナット21をボルト19から取り外す。この場合も、押え金具22により、押さえられていることによって、衝撃によってスパナ18が弾き跳ばされて脱落することがない。さらに、環状弾性部材23によって押さえられることにより、円滑に取り外すことができる。
この実施の形態の構成によれば、上述した実施の形態1と略同様の効果を得ることができる。加えて、ロックボルト24をボルト19に突き当てることによって、押え金具22をボルト19に螺着した際のがたつき(遊び)を低減することができる。
以上、この発明の実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、単一の径のボルトに対応する場合について述べたが、図6に示すように、両側で2種類の径のボルトに対応する雌ねじ部34,35を形成した軸部32,33を有する押え金具31を用いるようにしても良い。また、環状弾性部材7,23は、廃しても良い。
スパナとして、閉口スパナのほか、開口スパナを用いる場合に適用できる。
1,1A スパナ脱落防止構造(スパナ脱落防止構造)
3,18 スパナ
4,19 ボルト
5、21 ナット
6,22 押え金具(スパナ押え治具)
7,23 環状弾性部材
8、25 円板状部材(軸部)
11 雌ねじ部
12,29 押圧部
24 ロックボルト(補助ボルト)

Claims (3)

  1. ナットに嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有するスパナの嵌合した前記ナットからの脱落を防止するためのスパナ脱落防止構造であって、
    前記スパナの前記環状嵌合部が、ボルトに螺着された前記ナットに嵌合した状態で、スパナ押え治具が、前記ボルトの先端部に螺合し、
    前記スパナ押え治具は、前記ボルトの先端部に螺合する雌ねじ部を有する軸部と、前記環状嵌合部の側面部を押圧する押圧部と、前記ボルトと軸を同じくして配設され、その後端部が前記ボルトの先端面に突き当てられ、前記スパナ押え治具の前記ボルトへの固定を補助するための補助ボルトと、前記補助ボルトを螺合する雌ねじ部が中央部に形成された円形状部材とを有する、
    ことを特徴とするスパナ脱落防止構造。
  2. ナットに嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有するスパナの嵌合した前記ナットからの脱落を防止しつつ、前記ナットをボルトに螺着し、又は前記ボルトに螺着された前記ナットを取り外すためのナット着脱方法であって、
    前記ボルトの先端部に螺合する雌ねじ部を有する軸部と、前記環状嵌合部の側面部を押圧する押圧部と、前記ボルトと軸を同じくして配設され、その後端部が前記ボルトの先端面に突き当てられ、前記スパナ押え治具の前記ボルトへの固定を補助するための補助ボルトと、前記補助ボルトを螺合する雌ねじ部が中央部に形成された円形状部材とを有する前記スパナ押え治具を用い、
    前記ナットの着脱時に、前記スパナの前記環状嵌合部が、前記ボルトに螺着された前記ナットに嵌合した状態で、前記軸部を、前記ボルトの先端部に螺合させた状態で、前記補助ボルトの後端部を前記ボルトの先端面に突き当て、かつ、前記押圧部によって、前記環状嵌合部の側面部を押圧させる
    ことを特徴とするナット着脱方法。
  3. ナットに嵌合する環状嵌合部と、柄部とを有するスパナの前記ナットからの脱落を防止するために用いられるスパナ押え治具であって、
    前記スパナの前記環状嵌合部が、ボルトに螺着された前記ナットに嵌合した状態で、前記ボルトの先端部に螺合する雌ねじ部を有する軸部と、前記環状嵌合部の側面部を押圧する押圧部と、前記ボルトと軸を同じくして配設され、その後端部が前記ボルトの先端面に突き当てられ、前記スパナ押え治具の前記ボルトへの固定を補助するための補助ボルトと、前記補助ボルトを螺合する雌ねじ部が中央部に形成された円形状部材とを有する、
    ことを特徴とするスパナ押え治具。
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