JP5576756B2 - 光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材 - Google Patents
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Description
前記光拡散性樹脂組成物が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子を0.05〜0.2重量部含み、前記多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子を0.5〜5重量部含むことを特徴とする光拡散性樹脂組成物が提供される。
前記光拡散性樹脂組成物が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子を0.05〜0.2重量部含み、前記多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子を0.5〜5重量部含む光拡散性樹脂組成物である。
以下、本発明の光拡散性樹脂組成物について詳説する。
本発明の光拡散性樹脂組成物はポリカーボネート系樹脂、単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子および多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子を少なくとも含む。本発明の光拡散性樹脂組成物は、前記の組成を含むことによって優れた光拡散性、光透過性および耐衝撃性を得ることができる。
本発明においては、光拡散性樹脂組成物の基材樹脂としてポリカーボネート系樹脂を用いる。このため光拡散性樹脂組成物に極めて優れた耐衝撃性を付与することができる。また、本発明の光拡散性樹脂組成物を成形することによって得られる光拡散性部材も耐衝撃性に優れる。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
4,4' −ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;
4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4' −ジヒドロキシ−3,3' −ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
4,4' −ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類等が挙げられる
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4×M×0.83
c=0.7
本発明の光拡散性樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸アルキル系単量体を架橋性単量体により架橋した単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子を含む。このため、ポリカーボネート系樹脂に高い光拡散性を導入することができ、その結果、本発明の光拡散性樹脂組成物は優れた光拡散性を得ることができる。
本発明の光拡散性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系単量体とスチレン系単量体とを架橋性単量体により架橋した比較的大粒径の多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子を含む。このため、(メタ)アクリル酸アルキル系単量体に由来する光拡散性とスチレン系単量体に由来する光透過性との調和を図りつつ、両者の技術的効果を十分に確保することができる。その結果、本発明の光拡散性樹脂組成物は所望の光拡散性と光透過性とを確保することができる。
酢酸ビニル重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系樹脂;
スチレン重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂;
(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂;
テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合体、アジピン酸とエチレングリコールとの縮合体等のポリエステル系樹脂;
ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシル変性ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用してもよい。
本発明に係わる光拡散性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、基材とするポリカーボネート系樹脂、光拡散剤として用いる樹脂粒子および必要に応じて、熱安定剤その他の添加剤を所定量混合、混練することにより製造される。混合および混練は、通常の熱可塑性樹脂に適用される方法で行えばよく、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリユー押出機、多軸スクリュー押出機等により行うことができる。混練の温度条件は通常、240〜300℃が適当である。
本発明の光拡散性部材は、一般的な熱可塑性樹脂の成形方法により本発明の光拡散性部材に成形される。例えば生産性の点からペレット状の光拡散性樹脂組成物からの射出成形、射出圧縮成形、押出成形が可能で、さらに押出成形されたシート状成形品からの真空成形、圧空成形等を採用することができる。
樹脂粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製のLS230型で測定する。具体的には、樹脂粒子0.1gと0.1%ノニオン性界面活性剤溶液10mlを試験管に投入し、ヤマト科学社製タッチミキサーTOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後、試験管中の混合液を市販の超音波洗浄器であるヴェルボクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10分間分散させる。分散させたものをベックマンコールター社製のLS230型にて超音波を照射しながら粒子径を測定する。そのときの光学モデルは作製した樹脂粒子の屈折率にあわせる。粒子0.1gの粒子径の平均値が平均粒子径である。
平均粒子径及びCV値は、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、50μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
CV値は、平均粒子径を測定した際の標準偏差(σ)及びモード径(x)から以下の式により算出された値である。
CV値(%)=(σ/x)×100
モード径は、個数%分布に基づき粒子径をカウントした際に、出現比率が最も大きい粒子径(分布の極大値)である。
CV値(%)=(σ/x)×100
光拡散性樹脂組成物を120℃、5時間予備乾燥し、水分を十分に除去した後川口鉄工社製射出成形機K−80を用いて(シリンダー温度255〜280℃)で成形することにより、2mm厚、50mm×100mmのプレート(光拡散性部材)を得る。得られたプレートに対し下記の評価を行った。
(1)全光線透過率が85%以上である場合:合格(○)
(2)全光線透過率が85%未満である高い場合:不合格(×)
と判定する。
プレートの2mm部分を用い、自動変角光度計(村上色彩技術研究所製ゴニオフォトメータGP−1R)により分散度(D50)を以下の手順で求める。
自動変角光度計の光源からの直進光線を、光源から75cmの距離に設置した光拡散性部材の法線方向から当てる。可動式受光器にて光拡散性部材を透過した光の強度を測定する。この強度を透過率に換算し、法線方向からの角度に対応させて透過率をグラフにプロットする。このグラフから、法線方向の光の透過率(直進光透過率)の50%の透過率になるところの角度を求める。この角度を分散度D50と称し、単位は「°(度)」である。また、分散度D50は大きいほど拡散性に優れていることを意味する。
(1)分散度が15°以上である場合:合格(○)
(2)分散度が15°未満である場合:不合格(×)
と判定する。
アイゾット衝撃試験片(2号A試験片 10t×80L×3bmm、ノッチ深さ2mm)を作成し、JIS K7110に則りアイゾット衝撃試験を行った。
(1)衝撃強度が30KJ/m2以上である場合:合格(○)
(2)衝撃強度が30KJ/m2未満である場合:不合格(×)
と判定する。
種粒子の製造
攪拌機及び温度計を備えた容量5Lの反応器に純水3440g中に単量体モノマーとしてメタクリル酸メチル860gと、オクチルメルカプタン17gとを反応器に投入し、反応器を窒素パージし、次いで70℃まで昇温した。その後、過硫酸カリウム4.3gを純水70gに溶解した溶液を反応器に投入し、再び反応器を窒素パージした。その後、70℃で12時間単量体モノマーを重合させ、平均粒子径0.27μmのシード粒子をスラリーの状態で得た。
これとは別に、純水3000gにリン酸エステル系界面活性剤(フォスファノールLO−529 東邦化学社製 モノ(ポリオキシエチレンノニルフェノール)リン酸40%とジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60%混合物の水酸化ナトリウム部分中和物)20gを溶解して水溶液を得た。この水溶液に上記重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルションを攪拌機及び温度計を備えた容量5Lの反応器に入れ、前記のスラリーを250g添加した。4時間120rpmで攪拌を行い、シード粒子を膨潤させた。
得られたスラリー中の樹脂粒子AのCV値は14%であった。
アトマイザー回転数:11000rpm
風量:2m3/min
噴霧乾燥機のスラリー入口温度:130℃
樹脂粒子集合体出口温度:70℃
水相の調製
容積5Lのステンレスビーカーに純水3000g、ラウリル硫酸ナトリウム1.8g(600ppm)、ピロ燐酸マグネシウム90gを加え、水相を調製した。
水相とは別のステンレスビーカーに単量体モノマーとしてメタクリル酸メチル400g、スチレン500g、ジビニルベンゼン100g、連鎖移動剤としてノルマルドデシルメルカプタン3g、重合開始剤として2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)6gとを投入し、良く攪拌した後、先に調製した水相に加え特殊機化製TKホモミキサーを用いて7000回転15分攪拌した。次に攪拌機及び温度計を備えた容量5Lの反応器に移し、窒素パージした。その後、50℃で5時間単量体モノマーを重合させた後105℃で3時間加熱した後30℃まで冷却し、平均粒子径5μmの樹脂粒子スラリーを得た。次に樹脂粒子スラリーにスラリーのpHが2以下になるまで塩酸を加えた。
次に遠心脱水機を用いて、洗浄水のpHが6〜7になるまで洗浄した後脱水した。
得られた脱水ケーキを真空乾燥機を用いてジャケット温度60℃で20時間真空乾燥した。次に400メッシュの篩いを通過させ、平均粒子径5μm、変動係数34%、屈折率1.565の樹脂粒子を得た。
油相の調製に際して、単量体モノマーとしてメタクリル酸メチル950g、エチレングリコールジメタクリレート50とした以外は樹脂粒子Bの製法と同様にして樹脂粒子Cを得た。
平均粒子径5.1μm、変動係数32%、屈折率1.495の樹脂粒子であった。
油相の調製に際して、単量体モノマーとしてメタクリル酸メチル350g、スチレン550g、ジビニルベンゼン100gとした以外は樹脂粒子Bの製法と同様にして樹脂粒子Dを得た。
平均粒子径4.9μm、変動係数35%、屈折率1.56の樹脂粒子であった。
油相の調製整に際して、単量体モノマーとしてメタクリル酸メチル550g、スチレン350g、ジビニルベンゼン100gとした以外は樹脂粒子Bの製法と同様にして樹脂粒子Eを得た。
平均粒子径5.2μm、変動係数36%、屈折率1.54の樹脂粒子であった。
光拡散剤として樹脂粒子A 0.1重量部、樹脂粒子B 3.5重量部、基材樹脂としてポリカーボネート(帝人化成社製、製品名パンライトL−1250Z、平均分子量23800)100重量部の割合に計量し、ヘンシェルミキサーで15分間混合した。この混合物を単軸型押出し機(株式会社ホシプラスチック社製、製品名R50)を用いて温度250〜280℃、吐出量10〜25kg/hの条件で押出し、水冷後ペレタイザーでカットし光拡散剤を含有したペレット状の光拡散性樹脂組成物を得た。次いで得られた光拡散性樹脂組成物を原料として射出成形し2mm厚、50mm×100mmのプレート(光拡散性部材)を製造した。
樹脂粒子A 0.1重量部、樹脂粒子B 2重量部、樹脂粒子D 2重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子A 0.1重量部、樹脂粒子D 4重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子A 0.1重量部、樹脂粒子E 2重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子A 0.2重量部、樹脂粒子D 3重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子A 0.05重量部、樹脂粒子B 4重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子B 3.5重量部、樹脂粒子C 0.1重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子B 4重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子D 5重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
樹脂粒子A 0.3重量部、樹脂粒子B 3.5重量部に変更した以外は実施例1と同様に光拡散性樹脂組成物および光拡散性部材を得た。
Claims (7)
- 基材樹脂としてのポリカーボネート系樹脂、0.3〜3.0μmの平均粒子径および15%以下のCV値を有する単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子、ならびに1〜20μmの平均粒子径および15%を超えるCV値を有する多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子を添加してなる光拡散性樹脂組成物であり、
前記光拡散性樹脂組成物が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子を0.05〜0.2重量部含み、前記多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子を0.5〜5重量部含むことを特徴とする光拡散性樹脂組成物。 - 前記単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子が、単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子中に炭素数2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル系単量体に由来する成分を40〜99重量%含む請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 前記単分散性スチレン非含有架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子が、前記単分散性スチレン非含架橋(メタ)アクリル酸アルキル系樹脂粒子中に架橋性単量体に由来する成分を1〜50重量%含む請求項1または2に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 前記多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子が、多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子中にスチレン系単量体に由来する成分を35〜80重量%含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の光拡散性樹脂組成物。
- 前記多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子が、多分散性(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン系架橋樹脂粒子中に架橋性単量体に由来する成分を1〜50重量%含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の光拡散性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の光拡散性樹脂組成物を成形することによって得られる光拡散性部材。
- 前記光拡散性部材が、前記光拡散性部材の厚みが2mmのとき、85%以上の全光線透過率および15°以上の分散度を有する請求項6に記載の光拡散性部材。
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