JP5574670B2 - 補償光学装置、撮像装置および補償光学方法 - Google Patents
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Description
以下、このようなOCTによる光断層画像を撮像する光断層画像撮像装置をOCT装置と記す。
近年、フーリエドメイン方式のOCT装置において測定光のビーム径を大きくすることにより、高横分解能な網膜の断層画像を取得することが可能になっている。
測定光のビーム径の大径化に伴い、網膜の断層画像の取得において、被検眼における曲面のゆがみや屈折率の不均一性などによって発生する収差による断層画像のSN比及び分解能の低下が問題になってきた。
それを解決するために、被検眼の収差を波面センサでリアルタイムに測定し、波面補正デバイスで補正する補償光学系を有する補償光学OCT装置が開発され、高横分解能な断層画像の取得を可能にしている。
この眼科撮影装置では、被検眼で発生する収差を液晶空間位相変調器を用いて補正することで、横分解能の劣化を防ぐように構成されている。
また、非特許文献1においては、補償光学系及び液晶空間光変調器等を用い、高分解能な眼底の断層画像の取得が可能とされている。
ここでは、液晶空間光変調器の最大変調量を超える収差に対して、位相ラッピング技術を用いて収差補正を行っている。
しかし、上記特許文献1には該液晶空間光変調器の最大変調量を超える収差に対応する技術である、位相ラッピング技術については何も記載されていない。
一方、上記非特許文献1の補償光学系を有するOCT装置は、該液晶空間光変調器の最大変調量を超える収差に対しては、位相ラッピング技術を用いて収差補正を行っているが、ここには収差補正に伴う回折効率の低下に関する事項については何も記載されていない。
しかし、位相ラッピング技術を用いて収差補正をする際、該液晶空間光変調器は変調パターンによって、回折効率が異なるため、被検眼に入射する入射光の光量がばらつき、入射光量の低下が生じる場合がある。
これらによる入射光量の損失によって、取得する断層画像におけるSN比の低下を招くこととなる。
本発明の補償光学装置は、光源からの光の位相を変調する空間光変調手段と、
前記空間光変調手段において損失する光量を取得する光量取得手段と、
前記取得された光量に基づいて、前記光源からの光の光量を所定の光量に調整する光量調整手段と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、前記調整された光を被検査物に照射する照射手段と、
前記照射手段で照射した光による前記被検査物からの戻り光に基づいて、該被検査物の画像を取得する画像取得手段と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の補償光学方法は、光源からの光の位相を変調する空間光変調手段において損失する光量を取得する工程と、
前記取得された光量に基づいて、前記光源からの光の光量を所定の光量に調整する工程と、
を有することを特徴とする。
ここでは、光画像撮像装置として、被検査物を眼とした際の被検眼の撮像を行うOCT装置について説明するが、光を用いて画像を撮像する撮像装置であれば、走査型レーザー検眼鏡(SLO装置)等の他の装置にも適用できる。
実施例1においては、本発明を適用したOCT装置について説明する。
実施例1では、特に、被検眼の断層画像(OCT像)を撮像する高横分解能の補償光学系を備えたOCT装置について説明する。
本実施例では、空間光変調器を用いて、被検眼の収差を補正して断層画像を取得するフーリエドメイン方式のOCT装置が構成され、被検眼の視度や収差によらず良好な断層画像が得られるように構成されている。
また、被検眼の球面度数あるいは乱視度数から空間光変調器における光量の損失を、この損失光量を取得する光量取得手段を構成しているパソコンを用いて計算し、測定光の光量を、被検眼の球面度数あるいは乱視度数に応じて、パソコンを用いて制御する光量調整器を有することを特徴としている。
空間光変調器は液晶の配向を利用した反射型の液晶空間光変調器である。空間光変調器は光の位相を変調できればよく、液晶以外の材料を使用してもよい。
本実施例のOCT装置100は、図1に示されるように、全体としてマイケルソン干渉系を構成している。
図1において、光源101から出射された光は、光量調整器163、光ファイバー130−1、光カプラー131を介して、参照光105と測定光106とに、90:10の割合で分割される。
測定光106は、光ファイバー130−4と空間光変調器159とXYスキャナ119、球面ミラー160−1〜7等を介して、観察対象である被検眼107に導かれる。
参照光105と戻り光108とは合波された後、透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、ラインセンサ139に入射される。
ラインセンサ139は位置(波長)毎に光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼107の断層画像が構成される。
戻り光108の有する収差(収差測定光)は波面センサ(収差測定手段)155にて計測される。
ここでは、該収差を空間光変調器159を制御して低減する機能を有し、被検眼の視度や収差によらず良好な断層画像が得られるようにされている。
光量調整器163は、パソコン125の制御の下に測定光106の光量を調整し、本実施例の特徴となる構成である。
また、本実施例では反射型の空間光変調器を用いたが、透過型の空間光変調器を用いても構成することができる。
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。
波長は830nm、バンド幅50nmである。
ここで、バンド幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメーターである。
また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nmとする。
観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。
光源101から出射された光は、光量調整器(光量調整手段)163に入射される。ここでは、光量調整器163はファイバーベンチに設置された連続可変NDフィルターであり、パソコン125からの指示に基づき、測定光106と参照光105との光量を制御できる。ここでは、パソコン125は光量取得手段として機能する。
光カプラー131にて分割された参照光105はシングルモードファイバー130−2を通して、レンズ135−1に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう、調整される。
次に、参照光105は、ミラー157−1〜2によって、参照ミラーであるミラー114に導かれる。参照光105の光路長は、測定光106の光路長と略同一に調整されているため、参照光105と測定光106とを干渉させることができる。
次に、ミラー114にて反射され、再び光カプラー131に導かれる。ここで、参照光105が通過した分散補償用ガラス115は、被検眼107に測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
分散補償用ガラス115の長さはL1であり、ここでは、日本人の平均的な眼球の直径として代表的な値を想定し、L1=23mmとする。
さらに、117−1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整し制御することができる。
また、電動ステージ117−1はパソコン125の制御の下に駆動される。
光カプラー131によって分割された測定光106は、シングルモードファイバー130−4を介して、レンズ135−4に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう調整される。
また、偏光コントローラ153−1又は4は、測定光106の偏光状態を調整することができる。ここで、測定光106と参照光105とは紙面に平行な方向の直線偏光となっている。
測定光106は、ビームスプリッタ158を通過し、球面ミラー160−1、球面ミラー160−2を介し、空間光変調器159に入射し変調される。
ここで、空間光変調器159は紙面に平行な方向の直線偏光(P偏光)の位相を変調する向きに配置され、測定光106の偏光の向きと合わせている。
ここでは、空間光変調器159に浜松ホトニクス製LCOS型空間光変調器(X10468−02)を用いている。
さらに、測定光106は球面ミラー160−3〜4を介し、XYスキャナ119のミラーに入射される。
ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106の中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
球面ミラー160−5〜7は網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。
また、測定光106の光パワーは安全に関する規格により、光量調整器163を用いて700μWに調整されている。調整方法については後述する。
また、117−2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随する球面ミラーである球面ミラー160−6の位置を、調整し制御することができる。
球面ミラー160−6の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所定の層に測定光106を合焦し、観察することが可能になる。
初期状態では、測定光106は平行光の状態で、角膜126に入射するように、球面ミラー160−2の位置が調整されている。
また、被検眼107が屈折異常を有している場合にも対応できる。
測定光106は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108となり、再び光カプラー131に導かれ、ラインセンサ139に到達する。
ここで、角膜126とXYスキャナ119と波面センサ155と空間光変調器159とは光学的に共役になるよう、球面ミラー160−1〜7が配置されている。
そのため、波面センサ155は被検眼107の収差を測定することが可能になっている。
また、空間光変調器159は被検眼107の収差を補正することが可能になっている。さらに、得られた収差に基づいて、空間光変調器159をリアルタイムに制御することで、被検眼107で発生する収差を補正し、より高横分解能な断層画像の取得を可能にしている。
また、ここでは、測定光106を用いて、波面センサ155を用いた収差の測定を行っているが、収差の測定のために別の光源を用いてもよい。
また、収差の測定のために別の光路を構成してもよい。例えば、球面ミラー160−7と角膜126の間から、ビームスプリッタを用いて、収差の測定のための光を入射することができる。
OCT装置100は、マイケルソン干渉系による干渉信号の強度から構成される断層画像(OCT像)を取得することができる。
その測定系について説明すると、網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108は、参照光105と光カプラー131にて合波される。
そして、合波された光142は光ファイバー130−3とレンズ135−2とを介して、透過型グレーティング141に入射される。
そして、合波された光142は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135−3で集光され、ラインセンサ139にて光の強度が位置(波長)毎に電圧に変換される。
具体的には、ラインセンサ139上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
ここでは、ラインセンサ139は1024画素を有し、合波された光142の波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
また、ビームスプリッタ158にて分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、戻り光108の収差が測定される。
波面センサ155はシャックハルトマン方式の波面センサである。
得られた収差はツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼107の収差を示している。
ツェルニケ多項式は、チルト(傾き)の項、デフォーカスの項、アスティグマ(非点収差)の項、コマの項、トリフォイルの項等からなる。
また、パソコン125は空間光変調器159の光量損失に関するデータベースを有している。これについては詳しく後述する。
OCT装置100は、XYスキャナ119を制御し、ラインセンサ139で干渉縞を取得することで、網膜127の断層画像を取得することができる(図1)。ここでは、図2を用いて網膜127の断層画像(光軸に平行な面)の取得方法について説明する。
図2(a)は被検眼107の模式図であり、OCT装置100によって観察されている様子を示している。
図2(a)に示すように、測定光106は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、ラインセンサ139に到達する。
ここでは、光源101のバンド幅が広く、コヒーレンス長が短いために、参照光路の光路長と測定光路の光路長とが略等しい場合に、ラインセンサ139にて、干渉縞が検出できる。
上述のように、ラインセンサ139で取得されるのは波長軸上のスペクトル領域の干渉縞となる。
次に、波長軸上の情報である該干渉縞を、ラインセンサ139と透過型グレーティング141との特性を考慮して、光周波数軸の干渉縞に変換する。
さらに、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、深さ方向の輝度情報が得られる。
結果として、XZ面での戻り光108の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち断層画像132である(図2(c))。
本来は、断層画像132は上記説明したように、該戻り光108の強度をアレイ状に並べたものであり、例えば該強度をグレースケールに当てはめて、表示されるものである。
ここでは得られた断層画像の境界のみ強調して表示している。ここで、146は網膜色素上皮層、147は視神経線維層である。
ここでは、被検眼107が球面度数−3Dの屈折異常を有し、入射瞳径4mmの場合に、測定光106を網膜127に結像させる場合を考える。
上述した空間光変調器159である浜松ホトニクス製LCOS型空間光変調器(X10468−02)の変調面は□12mm、画素サイズは□20μm、使用画素数は600×600である。
ここで、空間光変調器159の変調面から出射されるべき測定光106の波面を図3(a)に破線で示した。空間光変調器159の最大変調量はλであり、破線で示した波面を直接生成することはできないため、位相ラッピング技術を用いて生成する。
位相ラッピング技術を用いると、破線の波面を実現するための変調量を図3(a)に実線で表わした。ここで、横軸は変調器上の座標、縦軸(+方向が位相遅れ)は波面を示す。
また、変調器上の座標5−6mmにおける変調量を詳細に図3(b)に示した。変調は画素ごとに行われるため、変調量が座標に対して、不連続になっている。さらに、一つの曲面(ここでは5.18〜5.68mm)を構成する画素が少ないと撮像に使用する1次回折光の回折効率が低下する。
この場合、測定に使用する測定光の形状(ガウシアンビーム)や変調器の回折効率(製造元のデータ)を乗じると、変調器全体において3.1%の光量の損失がある。
さらに、球面度数+10D〜−10Dの範囲の光量の損失を図3(c)に示す。このような被検眼107の球面度数あるいは乱視度数との少なくともいずれかから、空間光変調器159における光量の損失を計算することができる。
ここでは、パソコン125に用意された、例えば図3(c)に示した球面度数と光量の損失と関係を記憶したデータベース165とを用いて、被検眼107の球面度数から空間光変調器159における光量の損失を導くように構成することができる。
また、パソコン125を用いて、球面度数から光量の損失を直接算出するようにしてもよい。
例えば、パソコン125によって、被検眼の球面度数と乱視度数との少なくともいずれかを用いて変調パターンを生成し、該変調パターンを空間光変調器に出力する変調パターン生成出力手段を構成する。
そして、この空間光変調器に出力される変調パターンにより、測定光が空間光変調器に入射した時の光量損失の算出をするようにする。その際、上記変調パターン生成出力手段がこのような光量損失の算出をする光量損失算出手段を兼ねるように構成することができる。
本実施例では、このように算出された光量の損失に基づいて、光量調整器163を用いて、測定光106が被検眼107に入射する光量を、被検眼の球面度数あるいは乱視度数に応じて補うように制御する構成を採ることができる。
ここでは、光量調整器163の透過率が70%に調整され、光量調整器163への入射光の光パワーが10mWの場合を考える。
ここで、被検眼107の球面度数が0Dであれば、700μWの測定光106が被検眼107に対して入射される。
しかし、上述した被検眼107が球面度数−3Dの屈折異常を有する場合、被検眼107に入射する光量は10mW×0.7×0.1×(1−0.031)=678μWとなる。その時の空間光変調器159の光量損失を鑑みて、光量調整器163の透過率を0.7/(1−0.031)=72.2%とすれば、測定光106が被検眼107に入射する光パワーを700μWとすることができる。
本実施例では、このような光量の調整方法によって、空間光変調器の変調パターンに依らず、測定光の光量を一定とすることができる。
なお、ここでは、被検眼107が球面の屈折異常を有している場合について説明したが、乱視の屈折異常を有している場合についても同様に対応できる。
図4はOCT装置100の断層画像の取得の手順について説明する図である。
ここでは、図4に示されているように、空間光変調器159を用いて、近視の被検眼107が有する収差を補正し、高横分解能な網膜127の断層画像を取得する手段が構成されている。
また、被検眼107が乱視や遠視であっても同様の手段を用いることができる。断層画像の取得方法は以下の(1)〜(9)の手順で、例えば連続して行うものである。
或いは、適宜工程を戻って行うこともできる。また、コンピュータ等を用いて、以下の工程を自動的に行うように構成してもよい。
図4に、上記断層画像の取得方法を説明するフロー図を示す。
(1)ステップ1(図4のS1)において、被検眼107に固視灯(不図示)を注視させた状態で、測定光106を被検眼107に対して入射させる。
ここでは、測定光106は平行光の状態で、被検眼107に対して入射するように、球面ミラー160−6の位置が電動ステージ117−2によって調整されている。
(2)ステップ2(図4のS2)において、戻り光108を波面センサ155で測定し、戻り光108の収差を得る。
(3)ステップ3(図4のS3)において、得られた収差をパソコン125にてツェルニケ多項式の表現に変換し、そのデータをパソコン内のメモリーに記録する。
(4)ステップ4(図4のS4)において、ツェルニケ多項式のデフォーカスの項から球面度数を算出し、パソコン125に保存されている前述の図3(c)に示したデータベース165から空間光変調器159における光量の損失を得る。(5)ステップ5(図4のS5)において、上記光量の損失を考慮して、光量調整器163を用いて、測定光106が被検眼107に入射する光パワーを700μWになるように調整する。
(6)ステップ6(図4のS6)において、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、ラインセンサ139にて干渉縞を検知して、断層画像を得る。
(7)ステップ7(図4のS7)において、ステップ6を連続して行いながら、収差が最小になるように、波面センサ155、空間光変調器159、パソコン125を用いてフィードバック制御を行い、リアルタイムに空間光変調器159を制御する。
(8)ステップ8(図4のS8)において、収差が設定値以下か判断し、収束するまで、ステップ6〜7を繰り返す。該設定値は0.1μm(RMS)程度が望ましい。
(9)ステップ9(図4のS9)において、取得した断層画像をパソコン125のメモリーに記録する。
該空間光変調器に測定光が入射した際の光量損失を補うため、測定光の光量を制御する光量調整器を有することで、空間光変調器における測定光の光量損失を補うことができる。
これらにより、空間光変調器の変調パターンに依らず、測定光の光量を一定に保ち、結果として断層画像のSN比を高くすることが可能となる。
また、空間光変調器と、波面センサとが光学的に共役に配置されていることで、効率的に収差を補正することが可能となる。
また、被検査物が被検眼であって、被検眼の球面度数と乱視度数との少なくともいずれかを用い、パソコンによって空間光変調器に出力する変調パターンを生成し出力することで、
他の眼科装置で取得した被検眼の球面度数や乱視度数を利用し、変調パターンを生成し出力することが可能となる。
よって、短時間に変調パターンの最適化を行うことができ、撮像を効率的に行うことが可能となる。
また、空間光変調器に、変調パターンが出力され、測定光が空間光変調器に入射した時の光量損失を算出することで、測定光が被検眼に入射する光量を効率的に設定することが可能となる。
また、被検査物が被検眼であって、被検眼の球面度数と乱視度数との少なくともいずれかを、測定光が空間光変調器に入射した時の光量損失に変換するデータベースを有する構成とする。
これにより、球面度数と乱視度数とから、光量損失を見積もり、測定光の光量の制御を効率的に行うことが可能となる。
また、戻り光の収差を測定し、該収差に基づいて、測定光と戻り光との少なくともいずれかの収差の補正を行うことで、被検眼の有する収差を補正し、結果として、効率的に高測定感度、高横分解能の光画像撮像が可能になる。
また、本実施例では、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検査物に照射された該測定光による戻り光と、参照光路を経由した該参照光とを干渉させた干渉信号を用い、次の前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像の撮像方法を構成することができる。
まず、第1の工程において、前記被検査物の収差を、波面センサを用いて測定する。
次に、第2の工程において、前記被検査物の収差を、空間光変調器によって補正するための変調量を算出し、該算出された変調量に基づいて該空間光変調器を制御する。
次に、第3の工程において、前記空間光変調器に前記測定光が入射した際の光量損失を算出するパソコンを用いて、前記空間光変調器による光量損失を算出する。
次に、第4の工程において、上記第3の工程において算出された光量損失に基づいて、前記測定光の光量を調整する光量調整器を用いて、前記空間光変調器における光量損失を補うために前記測定光の光量を調整する。
実施例2においては、被検眼の断層画像(OCT像)を撮像する高横分解能の補償光学系を備えたOCT装置について説明する。
本実施例では、実施例1と同様に、被検眼の収差を空間光変調器を用いて補正して断層画像を取得するフーリエドメイン方式のOCT装置が構成され、被検眼の視度や収差によらず良好な断層画像が得られるようにされている。
そして、本実施例では、測定光の光量を測定する光量測定装置と、測定光の光量を制御する光量調整器とを有することを特徴としている。
また、空間光変調器としては、液晶の配向を利用した反射型の液晶空間光変調器が用いられる。
空間光変調器は光の位相を変調できればよく、液晶以外の材料を使用してもよい。
なお、本実施例において、図1と同じ構成には同じ番号を付し、その説明を省略する。
図5において、測定光106は、光ファイバー130−4と空間光変調器159、球面ミラー160−1〜3等を介して、ビームスプリッタ158−2に導かれる。
光量測定装置(光量測定手段)164は、測定光106の一部の光量を測定する機能を有し、本実施例の特徴的な構成である。
なお、光源101と参照光路に関しては、実施例1と同様のため説明を省略する。
光カプラー131によって分割された測定光106はシングルモードファイバー130−4を介して、レンズ135−4に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう調整される。
また、偏光コントローラ153−1又は4は、測定光106の偏光状態を調整することができる。ここで、測定光106と参照光105とは紙面に平行な方向の直線偏光となっている。
測定光106は、ビームスプリッタ158−1を通過し、球面ミラー160−1、160−2を介し、空間光変調器159にて入射し変調される。
ここで、空間光変調器159は紙面に平行な方向の直線偏光(P偏光)の位相を変調する向きに配置され、測定光106の偏光の向きと合わせている。
ここでは、空間光変調器159に浜松ホトニクス製LCOS型空間光変調器(X10468−02)を用いている。
また、ビームスプリッタ158−2で分割される測定光106の一部は、光量測定装置164に導かれ、測定光106の光パワーが測定される。
また、図5に示されるように、光量測定装置164はパソコン125に電気的に接続されており、この光量測定装置164で測定された光量による信号がパソコン125(このパソコンは段落[0013]に記載したように光量取得手段を構成している。)に送信される。
ここで、ビームスプリッタ158−2は測定光106を9:1の割合で分割し、測定光106の10%が光量測定装置164に入射する。
さらに、測定光106は球面ミラー160−4を介し、XYスキャナ119のミラーに入射される。
また、測定光106の光パワーは700μWに調整されている。調整方法については後述する。
なお、測定系および断層画像の取得方法は、実施例1と同様のため説明を省略する。
ここでも、実施例1と同様に、被検眼107が球面度数−3Dの屈折異常を有し、入射瞳径4mmの場合に、測定光106を網膜127に結像させる場合を考える。
実施例1と同様に、図3(a)の実線で表わされている変調量を空間光変調器159に与えると、測定光106を網膜127に結像させることができる。また、同時に光量測定装置164を用いて測定光106の光パワーを測定することができ、ここでは実施例1と異なり測定光106の光パワーを測定することによって、変調器における光量の損失を把握することができる。
以上で説明したように、光量測定装置164を用いて空間光変調器159における光量の損失を把握することができる。
さらに、光量の損失を鑑みて、光量調整器163を用いて、測定光106が被検眼107に入射する光量を制御することができる。
ここでは、被検眼107が球面の屈折異常を有している場合について説明したが、乱視の屈折異常を有している場合についても同様に対応できる。
図6はOCT装置100の断層画像の取得の手順について説明する図である。
ここでは、図6に示されているように、空間光変調器159を用いて、近視の被検眼107が有する収差を補正し、網膜127の高横分解能な断層画像を取得する手段が構成されている。
また、被検眼107が乱視や遠視であっても同様の手段を用いることができる。断層画像の取得方法は以下の(1)〜(7)の手順で、例えば連続して行うものである。
或いは、適宜工程を戻って行うこともできる。また、コンピュータ等を用いて、以下の工程を自動的に行うように構成してもよい。
図6に、上記断層画像の取得方法を説明するフロー図を示す。
(1)ステップ1(図6のS1)において、被検眼107に固視灯(不図示)を注視させた状態で、測定光106を被検眼107に対して入射させる。
ここでは、測定光106は平行光の状態で、被検眼107に対して入射するように、球面ミラー160−6の位置を電動ステージ117−2によって調整されている。
(2)ステップ2(図6のS2)において、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、ラインセンサ139にて干渉縞を検知して、断層画像(不図示)を得る。
(3)ステップ3(図6のS3)において、ステップ2を連続して行いながら、収差が最小になるように、波面センサ155、空間光変調器159、パソコン125を用いてフィードバック制御を行い、リアルタイムに空間光変調器159を制御する。
(4)ステップ4(図6のS4)において、光量測定装置164を用いて、測定光106の光パワーを測定する。
(5)ステップ5(図6のS5)において、ステップ4を連続して行いながら、光量制御器163を用いて、測定光106が被検眼107に入射する光パワーを700μWになるように調整する。
(6)ステップ6(図6のS6)において、収差が設定値以下か判断し、収束するまで、ステップ2〜5を繰り返す。該設定値は0.1μm(RMS)程度が望ましい。
(7)ステップ7(図6のS7)において、取得した断層画像をパソコン125のメモリーに記録する。
また、本実施例では、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検査物に照射された該測定光による戻り光と、参照光路を経由した該参照光とを干渉させた干渉信号を用い、次の前記被検査物の断層画像を撮像する光画像の撮像方法を構成することができる。
まず、第1の工程において、前記被検査物の収差を、波面センサを用いて測定する。
次に、第2の工程において、前記被検査物の収差を、空間光変調器によって補正するための変調量を算出し、該算出された変調量に基づいて該空間光変調器を制御する。
次に、第3の工程において、前記空間光変調器に前記測定光が入射した際の光量損失を測定する光量測定装置を用いて、前記空間光変調器による光量損失を測定する。
次に、第4の工程において、上記第3の工程において算出された光量損失に基づいて、前記測定光の光量を調整する光量調整器を用いて、前記空間光変調手段における光量損失を補うために前記測定光の光量を調整する。
101:光源
105:参照光
106:測定光
107:被検眼
108:戻り光
114、157:ミラー
115:分散補償用ガラス
117:電動ステージ
119:XYスキャナ
125:パソコン
126:角膜
127:網膜
130:光ファイバー
131:光カプラー
135:レンズ
155:波面センサ
159:空間光変調器
163:光量制御手段
164:光量測定手段
Claims (18)
- 光源からの光の位相を変調する空間光変調手段と、
前記空間光変調手段において損失する光量を取得する光量取得手段と、
前記取得された光量に基づいて、前記光源からの光の光量を所定の光量に調整する光量調整手段と、
を有することを特徴とする補償光学装置。 - 被検査物に照射される光の光量を測定する光量測定手段を有し、
前記光量取得手段が、前記測定された光量に基づいて、前記空間光変調手段において損失する光量を取得することを特徴とする請求項1に記載の補償光学装置。 - 被検査物の収差を測定する収差測定手段を有し、
前記空間光変調手段が、前記収差測定手段の測定結果に基づいて、前記光量調整手段からの光を変調することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補償光学装置。 - 被検査物の収差を測定する収差測定手段を有し、
前記空間光変調手段が、前記収差測定手段の測定結果に基づいて、前記光量調整手段からの光を変調し、
前記光量取得手段が、前記収差測定手段の測定結果に基づいて、前記空間光変調手段において損失する光量を取得することを特徴とする請求項1に記載の補償光学装置。 - 前記空間光変調手段と前記収差測定手段とが、光学的に共役に配置されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の補償光学装置。
- 前記被検査物が被検眼であり、
前記空間光変調手段が、前記被検眼の前眼部に対して共役な位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の補償光学装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の補償光学装置を備える撮像装置であって、
前記調整された光を被検査物に照射する照射手段と、
前記照射手段で照射した光による前記被検査物からの戻り光に基づいて、該被検査物の画像を取得する画像取得手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。 - 前記光源からの光を前記空間光変調手段に入射される光と参照光とに分割する分割手段を有し、
前記画像取得手段が、前記照射手段で照射した光による前記被検査物からの戻り光と前記参照光とが干渉した干渉光に基づいて、該被検査物の断層画像を取得することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。 - 前記光量調整手段が、前記光源と前記分割手段との間に設置されていることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
- 前記被検査物の画像を取得する際に用いる前記光源とは異なる光源であって、前記被検査物の収差を測定する際に用いる光源を更に有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 光源からの光の位相を変調する空間光変調手段において損失する光量を取得する工程と、
前記取得された光量に基づいて、前記光源からの光の光量を所定の光量に調整する工程と、
を有することを特徴とする補償光学方法。 - 被検査物に照射される光の光量を測定する工程を有し、
前記光量を取得する工程では、前記測定された光量に基づいて、前記空間光変調手段において損失する光量を取得することを特徴とする請求項11に記載の補償光学方法。 - 被検査物の収差を測定する工程と、
前記空間光変調手段により、前記収差を測定する工程における測定結果に基づいて、前記光量が調整された光を変調する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の補償光学方法。 - 被検査物の収差を測定する工程と、
前記空間光変調手段により、前記収差を測定する工程における測定結果に基づいて、前記光量が調整された光を変調する工程と、を更に有し、
前記光量を取得する工程では、前記収差を測定する工程における測定結果に基づいて、前記空間光変調手段において損失する光量を取得することを特徴とする請求項11に記載の補償光学方法。 - 請求項11乃至14のいずれか1項に記載の補償光学方法を含む撮像方法であって、
前記調整された光を照射した前記被検査物からの戻り光に基づいて該被検査物の画像を取得する工程を更に有することを特徴とする撮像方法。 - 前記光源からの光を前記空間光変調手段に入射される光と参照光とに分割する工程を有し、
前記画像を取得する工程では、前記調整された光を照射した前記被検査物からの戻り光と前記参照光とが干渉した干渉光に基づいて、該被検査物の断層画像を取得することを特徴とする請求項15に記載の撮像方法。 - 請求項15または請求項16に記載の撮像方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
- 請求項11乃至14のいずれか1項に記載の補償光学方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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