JP5574432B2 - エステル化α−ガラクトシルセラミド類 - Google Patents

エステル化α−ガラクトシルセラミド類 Download PDF

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Description

本発明は、新規エステル化α−ガラクトシルセラミド類及びその用途に関する。
免疫系には、生体において自己の正常細胞と異常細胞とを区別し、異常細胞のみを排除するための巧みな監視機能が存在する。しかしその監視機能が破綻すると、突然変異等によって生まれる異常細胞を排除することができず、生体内での増殖を許してしまう。この増殖した異常細胞の塊が腫瘍、即ち癌である。
癌の治療法は、外科手術により癌を摘出する方法、あるいは抗癌剤を使用する方法が主である。しかしながらこれらの治療法は患者に、摘出手術や抗癌剤の副作用による身体的な負担、あるいは手術痕による精神的な負担をかける。
そのような背景の中、免疫療法を併用する治療法が注目を集めている。免疫療法では、患者自身の免疫細胞数を増やし、活性化された免疫細胞に癌細胞を攻撃させる。免疫療法により癌を小さくすることができれば、その後の摘出手術による身体への負担は小さい。また手術痕もわずかですむため、精神的な負担も大幅に軽減される。
ナチュラルキラー(NK)T細胞は、これまで長く知られていた他のリンパ球系列細胞(T、B、NK細胞)と異なる特徴を示す、新規リンパ球系列に属する免疫細胞である。NKT細胞内には細胞障害性パーフォリン顆粒が存在することから該細胞はNK細胞と類縁である(非特許文献1)。しかしNKT細胞は、NK細胞マーカーのみならずT細胞受容体(TCR)をも発現していることから、他のリンパ球系列細胞とは決定的に異なる新たな細胞である(非特許文献2)。NKT細胞は、免疫賦活作用を亢進させるヘルパーT細胞によって産生されるTh−1型サイトカイン(主にインターフェロン(IFN−γ))と、免疫抑制作用を亢進させるTh−2細胞によって産生されるTh−2型サイトカイン(主にインターロイキン(IL−4))の両方を産生することができ(非特許文献3)、これによって免疫系のバランスを調節している可能性が示唆されている(非特許文献4)。したがって、NKT細胞の働きを制御する免疫療法で、崩れた免疫系のバランスを調整し、監視機能を強化することによって癌が治療可能となる。
NKT細胞の特性として最も着目されているのは、NKT細胞に発現しているTCRのα鎖が、ある1つの種の間では全個体で同一であるという点である。これは即ち、同種間の生物が持つNKT細胞は全て、同一の物質によって活性化されるということを示している。このα鎖は、ヒトではVα24、ネズミではVα14であるが、両種間でも非常に高い相同性を持っている。また、そのα鎖と対を成すβ鎖も、ごく限られた種類しか知られていない。このため、このTCRは「不可変型TCR」とも呼ばれている。
生体内には、様々な種類のスフィンゴ糖脂質の存在が知られている。一般的に生体内のスフィンゴ糖脂質は、様々な糖がセラミドとβ−結合しており、器官によってその存在量は異なるが、様々な器官の細胞膜中に存在している(非特許文献5)。
一方、糖がセラミドにα−結合しているスフィンゴ糖脂質は、強力な免疫賦活作用及び抗腫瘍活性を有することが知られている。アゲラスフィン類に代表されるα−ガラクトシルセラミドは、海綿の一種であるAgelas mauritianusの抽出液より単離された糖脂質であり、NKT細胞を強く活性化することが報告された(非特許文献6)。α−ガラクトシルセラミドは、スフィンゴシン塩基が長鎖脂肪酸によりアシル化されて形成されたセラミドに、ガラクトースがα−配置で結合したスフィンゴ糖脂質である。
α−ガラクトシルセラミドは、樹状細胞(DC)などに代表される抗原提示細胞(APC)に取り込まれた後、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子に類似したCD1dタンパク質によって細胞膜上に提示される。NKT細胞は、こうして提示されたCD1dタンパク質とα−ガラクトシルセラミドとの複合体を、TCRを用いて認識することにより活性化され、様々な免疫反応を開始する。
これまでにα−ガラクトシルセラミドの様々な類縁体が合成され、その構造と活性との相関関係が調査されてきている。一連の合成類縁体の中ではキリンビール株式会社によって開発された式:
で示されるKRN7000(以下、「α−GalCer」という。)が最も強い活性を導くこと、更には、対応したβ−体(β−GalCer)には免疫賦活活性は見られないことが明らかとなっている(非特許文献7)。
近年、このようなNKT細胞の機能に着目し、α−GalCerを有効成分として含有する治療薬が提案・開発されている。しかしながら、α−GalCerの投与によって活性化されたNKT細胞は、癌治療のために有用な、免疫賦活活性を誘導するサイトカインであるIFN−γを産生するが、それとともに免疫抑制作用を誘導するサイトカインであるIL−4も同時に産生してしまう。その結果、両者の働きが相殺されてしまい、癌治療に対する効果が十分に得られないという問題があった。
前述のように、NKT細胞に対して免疫賦活作用を誘導するサイトカインであるIFN−γを優先的に産生させる式:
で示される糖脂質、(以下、α−C−GalCerという。)が開発されている(非特許文献8〜10、特許文献1〜3)。α−C−GalCerは、α−GalCerの糖とセラミドとの結合部分の酸素原子をメチレン基で置き換えた類縁体である。α−C−GalCerでは、糖とセラミドとの結合がグリコシル結合から炭素−炭素結合へと変換されているため、生体内での安定性が増大しており、薬効が長時間持続することがわかっている(非特許文献11)。しかしながら、α−C−GalCerはヒトのNKT細胞に対してはin vitroで非常に弱い活性しか導かないため、臨床応用は難しい。
一方、本発明者のうち田代らは独自に式:
で示されるカルバ糖を有する糖脂質が、NKT細胞に対して強力にIFN−γの産生を誘導することを見出した(非特許文献12、特許文献6)。またヒト(in vitro)の系においても強い活性を導くことから臨床応用が期待されているが、該糖脂質の合成には多段階を要するため新規類縁体の開発が今なお望まれている。
セラミド部分のアミド結合を有する糖脂質としては、特許文献4および5、ならびに非特許文献13〜16も開示されている。
米国特許出願公開第2005/0222048号明細書 国際公開第2003/105769号パンフレット 独国特許出願公開第10128250号明細書 国際公開第94/09020号パンフレット 米国特許出願公開第2007/0238673号明細書 国際公開第2008/102888号パンフレット
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 5690-5693 J. Immunol. 1995, 155, 2972-2983 J. Immunol. 1998, 161, 3271-3281 Nat. Immunol. 2003, 4, 1164-1165 Biochim. Biophys. Acta 1973, 315-335 Science, 1997, 278, 1626-1629 J. Med. Chem. 1995, 38, 2176-2187 Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2004, 43, 3818-3822 Org. Lett. 2006, 8, 3375-3378 Org. Lett. 2004, 6, 4077-4080 J. Exp. Med. 2003, 198, 1631-1641 Tetrahedron Lett. 2007, 48, 3343-3347 Biol. Pharm. Bull. 1995, 18, 1487-1491 Bioorg. Med. Chem. 1997, 5, 2245-2249 Bioorg. Med. Chem. 1998, 6, 1905-1910 Tetrahedron 2005, 61, 1855-1862
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、癌治療に有効な新規糖脂質を提供することにある。本発明はまた、該新規糖脂質を含有する抗癌剤等の医薬を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため研究を重ねた結果、糖脂質の一種であるガラクトシルセラミドの一般的骨格の一部であるガラクトースαアノマー位のセラミド部分のアミド結合をエステル結合に変換した化合物が、IFN−γの産生を選択的に誘導するとの知見を得た。更に本発明者らは詳細に検討したところ、IFN−γの選択的産生により特異的な免疫賦活能が発現され、癌治療に極めて有効であることを見出し、更に研究を進めて本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
[1]式(I):
(式中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、R及びRは、同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示すか、又は、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成していても良い。)
で示される化合物(以下、化合物(I)という。)又はその塩。
[2]Rが、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基である、上記[1]記載の化合物又はその塩。
[3]Rが、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基である、上記[1]記載の化合物又はその塩。
[4]上記[1]記載の化合物。
[5]上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、医薬。
[5’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、医薬。
[6]上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、免疫賦活剤。
[6’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、免疫賦活剤。
[7]上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、選択的IFN−γ産生誘導剤。
[7’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、選択的IFN−γ産生誘導剤。
[8]上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、抗癌剤。
[8’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する、抗癌剤。
[9]式(II):
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Mは炭素数1〜5の炭化水素基又はAを示し、A及びAは水酸基の保護基を示し、A及びAが一緒になって保護基を形成していてもよく、A及びAは同一又は異なって水素原子又は水酸基の保護基を示し、A又はAが一緒になって保護基を形成していてもよく、Aは水酸基の保護基又はRを示し、Aは水酸基の保護基又はRを示し、A及びAが一緒になって保護基を形成してもよく、R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示すか、又は、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成していてもよく、Bは水素原子、−CO−R(式中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)、又は水酸基の保護基を示す。)
で示される化合物(以下、化合物(II)という。)又はその塩。
[10]Bが、水素原子又は−CO−R1(式中、R1は、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)を示す、上記[9]記載の化合物又はその塩。
[11]上記[1]記載の化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、該対象における免疫賦活方法。
[11’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、該対象における免疫賦活方法。
[12]上記[1]記載の化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、該対象における選択的IFN−γ産生誘導方法。
[12’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、該対象における選択的IFN−γ産生誘導方法。
[13]上記[1]記載の化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、該対象における癌の治療方法。
[13’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、該対象における癌の治療方法。
[14]免疫賦活剤を製造するための、上記[1]記載の化合物又はその塩の使用。
[14’]免疫賦活剤を製造するための、R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩の使用。
[15]選択的IFN−γ産生誘導剤を製造するための、上記[1]記載の化合物又はその塩の使用。
[15’]選択的IFN−γ産生誘導剤を製造するための、R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩の使用。
[16]抗癌剤を製造するための、上記[1]記載の化合物又はその塩の使用。
[16’]抗癌剤を製造するための、R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩の使用。
[17]上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する組成物、及び
該組成物を、免疫賦活、選択的IFN−γ産生誘導もしくは癌治療のために使用し得るか、または使用すべきであることを記載した記載物
を含む商業パッケージ。
[17’]R及びRが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩を含有する組成物、及び
該組成物を、免疫賦活、選択的IFN−γ産生誘導もしくは癌治療のために使用し得るか、または使用すべきであることを記載した記載物
を含む商業パッケージ。
本発明の化合物(I)又はその塩は、α−GalCerに対して同等又はそれ以上のIFN−γの産生を誘導し、一方、IL−4の産生を減らしたことから、本発明の化合物(I)又はその塩は、抗原提示細胞(APC)の持つCD1dタンパク質と複合体を形成し、NKT細胞に提示され、NKT細胞は、この複合体をT細胞受容体(TCR)を介して認識し、それ自身の有する免疫調節能のうちIFN−γを優先的に産生していると考えられる。
このように、本発明の化合物(I)又はその塩は、免疫細胞の働きを活性化するサイトカインの一種であるIFN−γを選択的かつ大量に産生させることができる。
したがって、本発明の化合物(I)又はその塩は、癌治療に極めて有用であり、特に留意すべき副作用がない点においても有効である。その結果、従来の癌の摘出手術等による患者への身体的、精神的負担を軽減できる。また、生物学的な試験・研究における試薬類としても使用可能である。
本発明の化合物(II)又はその塩は、化合物(I)又はその塩の合成中間体として有用である。本発明の化合物(I)又はその塩のうち、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成する化合物(例、実施例に記載の化合物32、22’等)は、R及びRが水素原子である化合物(I)又はその塩の合成中間体としても有用である。
図1は合成糖脂質(化合物23及び化合物24)をマウスにin vivoで投与後、表示時間経過後における血清中のIFN−γの濃度を示す図である。 図2は、合成糖脂質(化合物23及び化合物24)をマウスにin vivoで投与後、12時間経過後における血清中のIL−4の濃度を示す図である。 図3は合成糖脂質(化合物33)をマウスにin vivoで投与後、表示時間経過後における血清中のIFN−γの濃度を示す図である。 図4は、合成糖脂質(化合物33)をマウスにin vivoで投与後、表示時間経過後における血清中のIL−4の濃度を示す図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本明細書において使用する式中の記号の定義を説明する。
は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。「炭素数1〜30の炭化水素基」とは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基をも包含する概念であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよく、また飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を分子内及び末端のいずれに有していても良い。中でも、Rとしては、炭素数10〜30のアルキル基が好ましく、炭素数20〜25のアルキル基が更に好ましい。Rとしては、具体的には、例えば、−C2551、−C2449、−C2347等が挙げられる。
は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。「炭素数1〜20の炭化水素基」とは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基をも包含する概念であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよく、また飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を分子内及び末端のいずれに有していても良い。中でも、Rとしては、炭素数10〜15のアルキル基、炭素数10〜15のアルケニル基、炭素数10〜15のアルキニル基が好ましく、炭素数12〜14のアルキル基、炭素数12〜14のアルケニル基、炭素数12〜14のアルキニル基が更に好ましい。Rとしては、具体的には、例えば、−C12−C≡C−C13、−C1429、−C12−CH=CH−C13、−C1327、−C1225、−CH=CH−C1225等が挙げられる。
及びRで示される炭化水素基は、置換基を有していても良い。すなわち、R及びRで示される炭化水素基が置換又は非置換である化合物も本発明の化合物(I)及び(II)に包含される。R及びRで示される炭化水素基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは塩素原子、フッ素原子);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜16、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜4);フェノキシ基等のアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜14);水酸基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;シクロアルキルアミノ基;アセトアミド基等のアルキルカルボニルアミノ基;シクロアルキルカルボニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基等のアリールカルボニルアミノ基(好ましくは、アリール部分の炭素数が6〜14のアリール基である、アリールカルボニルアミノ基)等の電子供与性基、更にはカルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシル基(アシル基としては後述の通りである。好ましくはアルキル部分が炭素数1〜24の直鎖又は分岐状のアルキル基である、アルキル−カルボニル基);カルバモイル基;トリフルオロメチル基等の電子求引性基が例示される。置換基の位置及び数は特に限定されず、置換可能な位置に、1個〜置換可能な最大数の置換基を有していても良い。
本明細書において「アシル基」とは、例えば、ホルミル基;アルキル−カルボニル基(例えば、アルキル部分が、炭素数1〜24(好ましくは炭素数1〜12)の直鎖若しくは分岐状のアルキル基である、アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基));シクロアルキル−カルボニル基(例えば、シクロアルキル部分が、炭素数3〜10のシクロアルキル基である、シクロアルキル−カルボニル基);アルケニル−カルボニル基(例えば、アルケニル部分が炭素数2〜12の直鎖若しくは分岐状のアルケニル基である、アルケニル−カルボニル基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基));アリール−カルボニル基(例えば、アリール部分が、炭素数6〜14のアリール基である、アリール−カルボニル基(例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基))等をいう。アリール−カルボニル基におけるアリール基とは、例えば、単環〜3環式芳香族炭化水素基を示し、具体的に例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基が例示される。中でも、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が好ましく、アセチル基、ベンゾイル基がより好ましい。
上記アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜16、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜4)が例示される。
上記シクロアルキルアミノ基、シクロアルキルカルボニルアミノ基のシクロアルキル部分としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数3〜16、更に好ましくは炭素数3〜10、特に好ましくは炭素数3〜6)が例示される。
上記アルコキシカルボニル基のアルコキシ部分としては上記アルコキシ基と同様のものが例示される。
上記した置換基は、置換可能な位置に、更に、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基及びシクロアルキルアミノ基のうちの少なくとも1種で置換されていても良い。
該ハロゲン、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基としては上記と同様のものが例示される。
該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜16、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜4)が例示される。
該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数3〜16、更に好ましくは炭素数3〜10、特に好ましくは炭素数3〜6)が例示される。
該アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜16、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜4)が例示される。
該アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜16、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜4)が例示される。
は、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示す。「炭素数1〜5の炭化水素基」とは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルケニル基をも包含する概念であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよく、また飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を分子内及び末端のいずれに有していても良い。中でも、Rとしては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。Rとしては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。Rで表される炭化水素基は、置換基を有していても良い。すなわち、Rで示される炭化水素基が置換又は非置換である化合物も本発明の化合物(I)に包含される。Rで示される炭化水素基が置換基を有する場合、置換基としては、前述のR及びRで示される炭化水素基について例示した置換基と同様のものが例示される。該置換基は更に置換されていてもよく、置換基としては、前述のR及びRで示される炭化水素基について例示した置換基と同様のものが例示される。
Mは炭素数1〜5の炭化水素基又はAを示す。「炭素数1〜5の炭化水素基」は前述のRで示される炭化水素基について例示した炭化水素基と同様のものが例示され、同様のものが好ましい。Mで示される炭化水素基が置換又は非置換である化合物も本発明の化合物(II)に包含される。
A及びAは、水酸基の保護基を示し、A及びAが一緒になって保護基を形成しても良い。A及びAは、同一又は異なって水素原子又は水酸基の保護基を示し、A及びAが一緒になって保護基を形成しても良い。Aは水酸基の保護基又はRを示し、Aは水酸基の保護基又はRを示す。R及びRは前述の通りである。A及びAが水酸基の保護基である場合、A及びAが一緒になって保護基を形成しても良い。A、A、A、A、A、Aで示される水酸基の保護基としては、例えば、ベンジル、4−メトキシベンジル(即ち、p−メトキシベンジル(PMB))、メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、t−ブトキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、アセチル、ピバロイル等が挙げられる。A及びA、A及びA、A及びAがそれぞれ一緒になって形成する保護基としては、例えば、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデン、イソプロピリデン等が挙げられる。
Bは水素原子、−CO−R(式中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)、又は水酸基の保護基を示す。
該「炭素数1〜30の炭化水素基」としては、前述のRで示される炭素数1〜30の炭化水素基として例示した基と同様のものが例示され、同様のものが好ましい。
該「水酸基の保護基」としては、前述のA、A、A、A、A、Aで示される水酸基の保護基として例示した基と同様のものが例示され、同様のものが好ましい。
本発明においては、糖(ガラクトピラノース)の環状構造に由来する立体異性体の中でα−体を採用する。
化合物(I)及び化合物(II)が糖の環状構造以外の構造(例えば、糖の環状構造以外の部分の不斉炭素等)に由来する立体異性体を有する場合には、いずれの異性体も本発明に包含され、2種以上の異性体の任意の割合の混合物(ラセミ体を含む)であっても良い。
特に、化合物(I)には、糖の環状構造以外の部分の不斉炭素に由来する光学異性体が存在するが、本発明においては、単一の光学活性体であっても、2種以上の光学活性体の任意の割合の混合物(ラセミ体を含む)であっても良い。−O−CORが結合する不斉炭素はS配置が好ましい。−O−CORが結合する不斉炭素に隣接し−ORを有する不斉炭素は、R配置が好ましい。Rが結合する不斉炭素はR配置が好ましい。
また、化合物(II)には、糖の環状構造以外の部分の不斉炭素に由来する光学異性体が存在するが、本発明においては、単一の光学活性体であっても、2種以上の光学活性体の任意の割合の混合物(ラセミ体を含む)であっても良い。−OBが結合する不斉炭素はS配置が好ましい。−OBが結合する不斉炭素に隣接し−OAを有する不斉炭素は、R配置が好ましい。Rが結合する不斉炭素はR配置が好ましい。
化合物(I)としては、
(式中、各記号は、前述と同義を示す。)等が挙げられる。
化合物(II)としては、
(式中、各記号は、前述と同義を示す。)等が挙げられる。
化合物(I)及び化合物(II)の塩としては、薬学的に許容され得る塩が好ましく、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;コハク酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩等を挙げることができる。
化合物(I)又はその塩としては、実施例に記載の化合物23、24、32、33、22’が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
化合物(II)又はその塩としては、実施例に記載の化合物20、21、22、30、31、38、39、40、45、46、47が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の化合物(I)及び(II)の製造方法について説明する。
本発明の化合物は自体公知の種々の方法で製造することができるが、例えば、化合物(I)及び(II)は下記スキーム1に記載の方法又はこれに準ずる方法に従って製造することが可能である。化合物(xx)、(xxi)及び後述の化合物(xxii)及び(xx’’’)は本発明の化合物(II)に包含される。
(各式中、Lは脱離基を示し、A2a及びA3aは水酸基の保護基を示し、A2a及びA3aが一緒になって保護基を形成していてもよく、A4aは水酸基の保護基又はR4aを示し、A5aは水酸基の保護基又はR5aを示し、A4a及びA5aが水酸基の保護基である場合、A4a及びA5aが一緒になって保護基を形成していてもよく、R4a及びR5aは、炭素数1〜5の炭化水素基を示すか、又は、R4aとR5aが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成していても良い。その他の各記号は前述と同義を示す。)
Lで示される脱離基としては、例えば、トリクロロアセトイミドイルオキシ、リン酸エステル[−OP(O)(OPh)など]、ハロゲン(Br、Fなど)等が挙げられる。
2a及びA3aで示される水酸基の保護基、A2a及びA3aが一緒になって形成する水酸基の保護基は、A及びAについて前述したものと同様のものが挙げられる。A4a及びA5aで示される水酸基の保護基、A4a及びA5aが一緒になって形成する水酸基の保護基は、A及びAについて前述したものと同様のものが挙げられる。R4a及びR5aで示される上記炭化水素基、R4aとR5aが一緒になって形成する上記2価の炭化水素基は、R及びRについて前述したものと同様のものが挙げられる。
工程1は、化合物(iv)と化合物(xix)とを、トリフルオロメタンスルホン酸銀、モレキュラーシーブの存在下、反応させて化合物(xx)を得る工程である。
化合物(iv)の使用量は、化合物(xix)に対して、通常0.1〜10当量である。トリフルオロメタンスルホン酸銀の使用量は、化合物(iv)に対して、通常0.1〜3当量である。モレキュラーシーブの使用量は、化合物(iv)1mmolに対して、通常1〜2gである。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、THF、ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(iv)1mmolに対して、通常1〜100mlである。反応温度は、通常−40℃〜室温、反応時間は、通常0.1〜24時間である。
化合物(xx)は、常法によって単離することができ、例えば反応液を溶媒で希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより化合物(xx)を単離することができる。必要により、さらに精製しても良い。
生成物中に存在するβ−体は、例えばヘキサン−酢酸エチル(3:1、次に2:1)で溶出することにより、化合物(xx)と分離することができる。
工程1は、化合物(iv)の代わりに、下記スキーム2の化合物(iii)を用いて行うこともできる。即ち、
(1)下記スキーム2の化合物(iii)とClCCNを、溶媒中、塩基の存在下で、イミデート化し、次いで、
(2)該イミデート化合物と化合物(xix)とを、溶媒中、トリフルオロメタンスルホン酸銀、モレキュラーシーブの存在下で反応させて化合物(xx)を得ることもできる。
上記(1)において、ClCCNの使用量は、化合物(iii)に対し通常5〜10当量である。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(iii)1mmolに対し、通常5〜10mlである。塩基としては、例えば、炭酸セシウム、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(iii)に対し、通常0.1〜2当量である。反応温度は、通常0〜30℃、反応時間は通常15分〜24時間である。
上記(2)において、化合物(xix)の使用量は、イミデート化合物に対して、通常0.8〜1.5当量である。トリフルオロメタンスルホン酸銀の使用量は、イミデート化合物に対して、通常0.1〜2当量である。モレキュラーシーブの使用量は、イミデート化合物1mmolに対して、通常1〜2gである。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、THF、ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。溶媒の使用量は、イミデート化合物1mmolに対して、通常5〜50mlである。反応温度は、通常0〜30℃、反応時間は、通常0.5〜20時間である。
工程2は、化合物(xx)とR−COOHとを、縮合剤、塩基の存在下で反応させて化合物(xxi)を得る工程である。
−COOHの使用量は、化合物(xx)に対して、通常0.9〜10当量である。縮合剤としては、例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(WSC)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。縮合剤の使用量は、R−COOHに対して、通常1〜5当量である。塩基としては、例えば、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、ジイソプロピルエチルアミン、DABCO等が挙げられる。塩基の使用量は、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(WSC)塩酸塩に対して、通常1.2〜10当量である。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ベンゼン、ヘキサン、酢酸エチル、これらの混合溶媒(例、テトラヒドロフラン−ジクロロメタン(1:1))等が挙げられる。溶媒の使用量は、R−COOH 1gに対して、通常10〜1000mlである。反応温度は、通常0〜60℃、反応時間は、通常5分〜5日間である。
化合物(xxi)は、常法によって単離することができ、例えば反応液を溶媒で希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより化合物(xxi)を単離することができる。必要により、さらに精製しても良い。
工程3は、化合物(xxi)の水酸基の保護基を除去して化合物(I)を得る工程である。
除去方法は保護基の種類により自体公知の方法を選択すれば良い。
例えば、A、A2aおよびA3aがベンジル基である場合、又はAとMで示されるAが一緒になってベンジリデンを形成しA2aおよびA3aがベンジル基である場合、溶媒中、触媒存在下で、加水素分解を行うことにより、Mで示されるA、A、A2a、A3aを除去して化合物(I)を得ることができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、エタノ−ル、メタノール、これらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxi)1gに対して、通常10〜100mlである。触媒としては、Pd(OH)炭素、Pd炭素、Pdブラック等が挙げられる。触媒の使用量は、化合物(xxi)1gに対して、通常50mg〜2gである。反応温度は、通常10〜100℃、反応時間は、通常30分〜24時間である。
化合物(xxi)のRが不飽和炭化水素基である場合、該反応は付加反応を伴っていてもよく、Rが飽和炭化水素基である化合物(I)を得ることもできる。
例えば、A2aおよびA3aが4−メトキシベンジルである場合、溶媒中で水の存在下、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)を用いて、化合物(xxi)のA2aおよびA3aを除去し、下記化合物(xxii)を得ることができる。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)の使用量は、化合物(xxi)に存在する4−メトキシベンジル基の数に対して、通常1〜3当量である。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジオキサン、THF、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、水、これらの混合溶媒(例、ジクロロメタン−水(10:1))等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxi)1gに対して、通常10〜100mlである。反応温度は、通常0〜50℃、反応時間は、通常5分〜24時間である。
得られた化合物(xxi)のA2a及びA3aを除去した化合物
[即ち−OA2a及び−OA3aを−OHに変換した下記式:
(式中、各記号は前述と同義を示す)で表される化合物、以下化合物(xxii)という。]
は、常法によって単離することができ、例えば反応液を溶媒で希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより単離することができる。必要により、更に精製しても良い。
得られた化合物(xxii)は、自体公知の方法を用いて、更に水酸基の保護基を除去することにより、化合物(I)とすることができる。
例えば、(xxii)において、AとMで示されるA、及びA4aとA5aが一緒になって各々イソプロピリデンを形成している場合、溶媒中で酸を用いて、化合物(xxii)のMで示されるA、A、A4a、A5aを除去して化合物(I)を得ることができる。酸としては、例えば、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(xxii)に対して、通常1〜100当量である。溶媒としては、例えば、水、アセトニトリル(MeCN)、ジクロロメタン、トリクロロメタン、これらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxii)1gに対して、通常10〜1000ml)である。反応温度は、通常−20〜60℃、反応時間は、通常5分〜24時間である。
例えば、化合物(xxii)において、AとMで示されるAが一緒になってベンジリデンを形成している場合、溶媒中、触媒存在下で、加水素分解を行うことにより、Mで示されるA、Aを除去して化合物(I)を得ることができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、これらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxii)1gに対して、通常10〜1000mlである。触媒としては、Pd(OH)炭素、Pd炭素、Pdブラック等が挙げられる。触媒の使用量は、化合物(xxii)1gに対して、通常5mg〜1gである。反応温度は、通常−20〜60℃、反応時間は、通常5分〜24時間である。
例えば、化合物(xxii)において、AとMで示されるAが一緒になってベンジリデンを形成し、A4a及びA5aが一緒になってイソプロピリデンを形成している場合、溶媒中で酸を用いて、化合物(xxii)のMで示されるA、A、A4a、A5aを除去して化合物(I)を得ることができる。酸としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸水、硫酸水、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、好ましくは、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(xxii)に対して、通常1〜100当量である。溶媒としては、例えば、水、アセトニトリル(MeCN)、ジクロロメタン、トリクロロメタン、これらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxii)1gに対して、通常10〜1000mlである。反応温度は、通常−20〜60℃、反応時間は、通常5分〜24時間である。
化合物(I)は、常法によって単離することができ、例えば反応液を溶媒で希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより単離することができる。必要により、更に精製しても良い。
上記方法によりRがアルキニル等の不飽和炭化水素基である化合物(I)を得た場合、不飽和結合を常法によって還元して、Rがアルキル等の飽和炭化水素基である化合物(I)を得ることができる。例えば、溶媒中、水素雰囲気下、触媒を用いて還元することができる。触媒としては、Pd(OH)炭素、Pd炭素、Pdブラック等が挙げられる。触媒の使用量は、不飽和炭化水素化合物(I)1gに対して、通常5mg〜1gである。溶媒としては、例えば、トリクロロメタン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘキサン、テトラヒドロフラン、これらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、不飽和炭化水素化合物(I)1gに対して、通常1〜1000mlである。反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは10〜80℃、反応時間は、通常5分〜3日、好ましくは5分〜24時間である。
が飽和炭化水素基である化合物(I)は常法によって単離することができ、例えば、反応液を濾過して触媒を除去し、濃縮し、必要により精製して、Rが飽和炭化水素基である化合物(I)を単離することができる。
上記方法により、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基(例、イソプロピリデン)となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造(例、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン)を形成している化合物(I)を得た場合、溶媒中で酸を用いて、該2価の炭化水素基を除去することにより、脱保護することができる。酸としては、例えば、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。酸の使用量は、RとRが保護された化合物(I)に対して、通常1〜100当量である。溶媒としては、水、ジクロロメタン、アセトニトリル、これらの混合溶媒(例、ジクロロメタン−アセトニトリル(1:1))等が挙げられる。溶媒の使用量は、RとRが保護された化合物(I)1gに対して、通常10〜1000mlである。反応温度は、通常0〜30℃、反応時間は、通常5分〜30分である。
とRが脱保護された化合物(I)は常法によって単離することができ、例えば、反応液を、重曹水で中和し、ジクロロメタンで抽出し、濃縮し、RとRが脱保護された化合物(I)を得ることができる。必要によりシリカゲルクロマトグラフィーにて精製して、RとRが脱保護された化合物(I)を単離することもできる。
上記のようにして得られた化合物(I)及び化合物(II)は、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法によって、目的とする塩に変換することができる。
スキーム1記載の化合物(iv)は、例えば下記スキーム2に示す方法により製造することができる。
(各式中、記号は前述と同義である。)
原料化合物(i)は、ペンタ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノースを原料として、O. Plettenburg, V. Bodmer-Narkevitch and C-H. Wong, J. Org. Chem. 2002, 67, 4559-4564、およびS. Roy, A. Chakraborty and R. Ghosh, Carbohydr. Res., 2008, 343, 2523-2529に記載の方法又はこれに準じた方法に従って製造することができる。
工程1は、化合物(i)の水酸基を保護して化合物(ii)を得る工程である。例えば、A2a及びA3aが4−メトキシベンジルである場合、化合物(i)と2〜3当量の4−メトキシベンジルハライド(例えば、4−メトキシベンジルクロライド)を触媒及び塩基の存在下で反応させることにより、化合物(ii)を得ることができる。
塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、n−BuLiを挙げることができる。塩基の使用量は、化合物(i)に対して通常2〜3当量である。場合によっては触媒を加えてもよい。触媒としては、例えば、第4級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムイオダイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等)等が挙げられる。触媒の使用量は、化合物(i)に対して通常0.001〜0.1当量である。溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、THF、HMPA、若しくはこれらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(i)1mmolに対して、通常0.5〜50mlである。反応温度は、通常−20〜100℃、反応時間は通常10分〜24時間である。
化合物(ii)は、常法によって単離することができ、例えば反応液に氷を加え、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより化合物(ii)を得ることができる。必要により、更に精製しても良い。
工程2は、化合物(ii)から4−メチルフェニルチオ基を脱離させ、OH基を導入して、化合物(iii)を得る工程である。例えば、化合物(ii)とハロゲン化剤(例えば、N−ブロモスクシンイミド(NBS))を溶媒中反応させた後、飽和重曹水等を添加することにより、OH基を導入した化合物(iii)を得ることができる。
ハロゲン化剤としては、例えば、N−ブロモスクシンイミド、ヨウ素、臭素等が挙げられる。ハロゲン化剤の使用量は、化合物(ii)に対し通常1〜2当量である。溶媒としては、例えば、アセトン、又はアセトンとTHF、酢酸エチルもしくはジクロロメタンとの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(ii)1mmolに対し、通常0.5〜100ml、好ましくは5〜100mlである。反応温度は、通常−50〜50℃、反応時間は通常5分〜24時間である。飽和重曹水の添加量は特に限定されないが、通常生成する酸性物質を中和できる量である。
化合物(ii)のMで示されるA及びAが一緒になって保護基を形成する場合、上記反応は、該保護基の変換反応を伴ってもよい。例えば、化合物(ii)のMで示されるA及びAが一緒になって保護基である4−メトキシベンジリデンを形成する場合、上記反応に伴って、該保護基をイソプロピリデンに変換し、Mで示されるA及びAが一緒になって保護基であるイソプロピリデンを形成する化合物(iii)を得ることもできる。
化合物(iii)は、常法によって単離することができ、例えば、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより化合物(iii)を得ることができる。必要により、更に精製しても良い。
工程3は、化合物(iii)の1位の水酸基を脱離基Lに変換し、化合物(iv)を得る工程である。脱離基Lとしては、例えば、トリクロロアセトイミドイルオキシ、ハロゲン(臭素、フッ素)等が挙げられる。例えば、脱離基がトリクロロアセトイミドイルオキシである場合、塩基の存在下、化合物(iii)にClCCNを反応させて、化合物(iv)を得ることができる。
ClCCNの使用量は化合物(iii)に対し通常1〜10当量である。塩基としては、例えば、炭酸セシウム、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(iii)に対し、通常0.01〜2当量である。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(iii)1mmolに対し、通常0.5〜100mlである。反応温度は、通常0〜50℃、反応時間は通常30分〜24時間である。
化合物(iv)は常法によって単離することができ、例えば、溶媒によって希釈し、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより化合物(iv)を得ることができる。必要により、更に精製しても良い。
上記工程3の反応において、化合物(iii)のOAとOMが一緒になって保護基(例えば、ベンジリデン又はイソプロピリデン)を形成し、環状構造をとる場合には、該環状構造による立体反発が1位のアノマー位に生じ、α体である化合物(iv)を優先的に得ることができる。
上記反応において化合物(iv)が、α,β体(iv’)
として得られる場合であっても、スキーム1の反応にそのまま用いることもできる。
化合物(iii)のうちMが炭素数1〜5の炭化水素基である化合物(以下化合物(iii’)という。)は、スキーム3に示す方法により製造することもできる。原料化合物(iii’a)はT. J. Lucas et al., Carbohydr. Res., 1975, 39, 39-45に記載の方法又はこれに準ずる方法で製造することができる。
(式中、M’は炭素数1〜5の炭化水素基(例、メチル)を示し、その他の各記号は前述と同義を示す。)
化合物(iii’a)を塩基存在下、ハロゲン化アルキルと反応させて化合物(iii’b)を得ることができる。塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(iii’a)に対して、通常1〜3当量である。ハロゲン化アルキルとしては、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化プロピル等が挙げられる。ハロゲン化アルキルの使用量は、化合物(iii’a)に対して、通常1〜3当量である。
溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)等の非プロトン性溶媒、これらの混合溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(iii’a)に対して、通常10〜20倍容量である。
反応温度は、通常0〜80℃、反応時間は、通常1〜24時間である。
化合物(iii’b)は、常法によって単離することができ、例えば反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより化合物(iii’b)を単離することができる。
化合物(iii’b)を酸と反応させて直接化合物(iii’)を得ることができる。あるいは化合物(iii’b)を対応するO−アセチル体へと導き、これを加アルコール分解することにより化合物(iii’)を得ることができる。
O−アセチル体を経由する場合は、例えば無水酢酸中、触媒量の酸で処理することによりO−アセチル体を調製し、これを加アルコール分解する。酸としては、例えば、濃硫酸、濃塩酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。無水酢酸の使用量は、化合物(iii’b)に対して、通常5〜20倍容量である。反応温度は、通常0℃〜室温、反応時間は、通常5分〜1時間である。中和後、減圧濃縮することによりO−アセチル体を得ることができる。
得られたO−アセチル体の加アルコール分解は、アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール等の溶媒中、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム等の塩基で処理する。
化合物(iii’)は、常法によって単離することができ、例えば陽イオン交換樹脂で酸性にした後、濾過し、濃縮して精製してもよい。
スキーム1記載の化合物(xix)は、例えば下記スキーム4に示す方法により製造することができる。化合物(xix’)は化合物(xix)に包含される。
(各式中、A及びAは水酸基の保護基を示し、R2’は、炭素数1〜19の炭化水素基を示し、その他の記号は前述と同義を示す。)
原料化合物(v)は、K. Murata, T. Toba, K. Nakanishi, B. Takahashi, T. Yamamura, S. Miyake, and H. Annoura, J. Org. Chem. 2005, 70, 2398-2401に記載の方法又はこれに準じた方法に従って製造することができる。
で示される水酸基の保護基としては、例えば、4−メトキシベンジル、ベンジル、アセチル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられ、Aで示される水酸基の保護基としては、例えば、t−ブチルジメチルシリル、TMS、t−ブチルジフェニルシリル等が挙げられる。R2’で示される「炭素数1〜19の炭化水素基」としては、Rについて例示した炭化水素基のうち、炭素数20の炭化水素基を除いたものと同様のものが例示される。スキーム4の各式中、−CH−R2’で示される基はRに包含される。
工程1は、化合物(v)の水酸基を保護して化合物(vi)を得る工程である。例えば、Aが4−メトキシベンジルである場合、化合物(v)と4−メトキシベンジルハライド(例えば、4−メトキシベンジルクロライド)を塩基の存在下で反応させることにより、化合物(vi)を得ることができる。
4−メトキシベンジルハライドの使用量は、化合物(v)に対して通常1〜2当量である。塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、n−BuLi、DBU等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(v)に対して通常1〜2当量である。溶媒としては、例えば、DMF、THF、HMPA等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(v)1mmolに対して、通常0.2〜100mlである。反応温度は通常−20〜100℃、反応時間は通常30分〜24時間である。
化合物(vi)は、常法によって単離することができ、例えば、反応液に氷を加え、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより、化合物(vi)を得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程2は、化合物(vi)のオキシラン環の開環と同時にR2’を導入して、化合物(xii)を得る工程である。例えば、化合物(xi)にt−BuLiおよびCuIを加えて反応させて得られた化合物(xi’)と化合物(vi)を反応させることにより、化合物(xii)を得ることができる。
まず、化合物(xi’)を得る反応について説明する。t−BuLiの使用量は、化合物(xi)に対して通常2〜3当量である。CuIの使用量は、化合物(xi)に対して通常0.5〜0.6当量である。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル−ペンタン、THF、ヘキサン等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xi)1mmolに対して通常0.2〜50mlである。反応温度は通常−78〜60℃、反応時間は通常5分〜24時間である。
上記のようにして得られた化合物(xi’)を含む反応液に化合物(vi)を添加することで化合物(xii)を得ることができる。化合物(vi)の使用量は、化合物(xi’)に対して通常0.4〜2当量である。溶媒としては、上記化合物(xi’)を得る反応と同様のものが挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(vi)1mmolに対して通常0.2〜50mlである。反応温度は通常−78〜40℃、反応時間は通常30分〜24時間である。
化合物(xii)は常法によって単離することができ、例えば、反応液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより、化合物(xii)を得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程3は、化合物(xii)の1,3−ジオキサン環を、酸を用いて開環させ、化合物(xiii)を得る工程である。
酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸一水和物(p−TsOH・HO)、含水酢酸、希塩酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(xii)に対して通常0.1〜1当量である。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、THF、アセトン等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xii)1mmolに対して通常0.2〜100mlである。反応温度は通常0〜80℃、反応時間は通常30分〜24時間である。
化合物(xiii)は常法により単離することができ、例えば、飽和重曹水で塩基性にした後、濃縮し、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより化合物(xiii)を得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程4は、化合物(xiii)の水酸基を保護して化合物(xv)を得る工程である。まず、化合物(xiii)の第1級水酸基を保護(即ち−OAに変換)した後、第2級水酸基を保護(即ち−OA4a及び−OA5aに変換)する。化合物(xiii)の第1級水酸基を保護(即ち−OAに変換)した化合物を以下、化合物(xiv)という。
まず、化合物(xiii)の第1級水酸基の保護について説明する。例えばAで示される保護基がt−ブチルジメチルシリルである場合、化合物(xiii)を塩基の存在下、t−ブチルジメチルシリルハライド(例えば、t−ブチルジメチルシリル クロリド)と反応させて化合物(xiv)を得ることができる。
t−ブチルジメチルシリルハライドの使用量は化合物(xiii)に対して通常1〜1.5当量である。塩基としては、例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(xiii)に対して通常1〜2当量である。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、THF、ベンゼン等を挙げることができる。溶媒の使用量は、化合物(xiii)1mmolに対して通常0.2〜100mlである。反応温度は通常0〜80℃であり、反応時間は通常30分〜24時間である。上記反応により得られる化合物(xiv)は常法により単離することができ、例えば、溶媒で希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
得られた化合物(xiv)の水酸基を保護して化合物(xv)を得ることができる。例えば、保護基がイソプロピリデンである場合、化合物(xiv)と2,2−ジメトキシプロパンを酸の存在下で反応させて化合物(xv)を得ることができる。
2,2−ジメトキシプロパンの使用量は、化合物(xiv)1mmolに対して通常0.1ml〜大過剰である。酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸一水和物(p−TsOH・HO)、カンファースルフォン酸(CSA)等が挙げられる。酸の使用量は化合物(xiv)に対して通常0.01〜0.1当量である。反応は溶媒を用いずに行なうことができるが、溶媒を用いる場合は、例えば、アセトン、ジクロロメタン、THF等が挙げられる。反応温度は通常0〜60℃、反応時間は通常10分〜24時間である。
化合物(xv)は常法により単離することができ、例えば、酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程5は、化合物(xv)の保護基A及びAを除去して化合物(xix’)を得る工程である。−OAが結合する不斉炭素の立体配置の反転が必要ない場合は、A及びAの脱保護は自体公知の方法に従って1度に行なっても良いが、後述のスキーム7記載の反転反応を行なう場合はAを除去した後、反転させ、その後Aを除去しても良い。化合物(xv)の保護基Aのみを除去した化合物(即ち、化合物(xv)中の−OAを−OHに変換した化合物)を以下、化合物(xvi)という。
まず、Aの脱保護について説明する。例えば、化合物(xv)とHOを、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)等の酸化剤を反応させて、化合物(xvi)を得ることができる。
Oの使用量は、化合物(xv)1mmolに対して通常0.1〜10mlである。酸化剤としては、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)が挙げられる。酸化剤の使用量は、化合物(xv)に対して通常1〜3当量である。溶媒としては、例えばジクロロメタン、ジオキサン、THF等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xv)1mmolに対して通常0.2〜100mlである。反応温度は通常0〜50℃、反応時間は通常15分〜24時間である。
化合物(xvi)は、常法により単離することができ、例えば、溶媒で希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
次に化合物(xvi)のAを除去して、化合物(xix’)を得ることができる。例えば、Aがt−ブチルジメチルシリル基の場合は化合物(xvi)に、シリル基の除去剤を作用させてシリル基を除去し、化合物(xix’)を得ることができる。シリル基の除去剤としては、例えば、フッ化4級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(n−BuNF))、HF−ピリジン、HF−トリエチルアミン、酢酸、希塩酸等が挙げられる。シリル基の除去剤として上記フッ化物を用いる場合、フッ化物の使用量は化合物(xvi)に対して通常1〜2当量である。シリル基を除去する際の溶媒としては、例えばTHF、ジオキサン、酢酸エチル、ピリジン等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xvi)1mmolに対して通常0.2〜100mlである。反応温度は通常0〜50℃、反応時間は通常5分〜24時間である。
化合物(xix’)は、常法により単離することができ、例えば、酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
スキーム1の化合物(xix)は、下記スキーム5の方法により製造することもできる。化合物(xxix)は化合物(xix)に包含される。
(各式中、Aは水酸基の保護基を表し、R2’’は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、その他の記号は前述と同義を示す。)
で示される水酸基の保護基としては、例えばt−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル等が挙げられる。R2’’で示される「炭素数1〜18の炭化水素基」としては、Rについて例示した炭化水素基のうち、炭素数20および19の炭化水素基を除いたものと同様のものが例示される。スキーム5の各式中、−CH=CH−R2’’で示される基はRに包含される。
原料化合物(xxvii)は、J. C. Tadav, S. Pamu, D. C. Bhunia, S. Pabberaja, Synlett. 2007, 992-994に記載の方法又はこれに準じた方法に従って製造することができる。
工程1は、化合物(xxvii)のオキソラン環の開環と同時に=CH−R2’’基を導入して化合物(xxviii)を得る工程である。例えば、化合物(xxvii)とアルキルトリフェニルフォスフォニウム ハライド(例えば、トリデシルトリフェニルフォスフォニウム ブロマイド)を塩基存在下で反応させて、化合物(xxviii)を得ることができる。
アルキルトリフェニルフォスフォニウム ハライドの使用量は、化合物(xxvii)に対して通常1〜10当量である。塩基としては、例えばn−BuLi、t−BuLi等が挙げられる。塩基の使用量は化合物(xxvii)に対して通常1〜10当量である。溶媒は、THF、ジエチルエーテル、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxvii)1mmolに対して通常0.2〜50mlである。反応温度は通常−20〜30℃、反応時間は通常30分〜24時間である。
化合物(xxviii)は、常法によって単離することができ、例えば、ヘキサン−酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程2は、化合物(xxviii)のAを除去して、化合物(xxix)を得る工程である。例えば、Aで示される保護基がシリル基である場合は化合物(xxviii)に、シリル基の除去剤を作用させてシリル基を除去し、化合物(xxix)を得ることができる。シリル基の除去剤としては、例えば、ハロゲン化4級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(n−BuNF))、HF−ピリジン、HF−トリエチルアミン、BF−OEt2等が挙げられる。シリル基の除去剤の使用量は、化合物(xxviii)に対して通常1〜2当量である。シリル基を除去する際の溶媒としては、例えばTHF、ジオキサン、ジエチルエーテル等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxviii)1mmolに対して通常0.2〜100mlである。反応温度は通常0〜50℃、反応時間は通常5分〜24時間である。
化合物(xxix)は、常法により単離することができ、例えば、酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
スキーム4の化合物(xi)は、例えば下記スキーム6の方法又はこれに準ずる方法により製造することができる。化合物(xi’’)は化合物(xi)に包含される。
(各式中、Xはハロゲン原子、R’は炭素数1〜9のアルキル基を示し、R’’は炭素数2〜10のアルキル基を表す。)
Xで示されるハロゲン原子としては、臭素、塩素、ヨウ素等(但し、化合物(viii)のX)が挙げられる。
原料化合物(vii)は、市販品(例えば、東京化成工業株式会社製)を用いることもできる。原料化合物(viii)は、J. Muller, M. Brunnbauer, M. Schmidt, A. Zimmermann, A. Terfort, Synthesis. 2005, 998-1004に記載の方法又はこれに準じた方法に従って製造することができる。
工程1は、化合物(vii)と化合物(viii)を塩基存在下で反応させて化合物(ix)を得る工程である。
化合物(viii)の使用量は、化合物(vii)に対して通常0.5〜2当量である。塩基としては例えばn−BuLi、水素化ナトリウム、水素化カリウム、DBU等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(vii)に対して通常1〜2当量である。溶媒としては、例えばヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)とテトラヒドロフラン(THF)の混合溶液、THF、ジエチルエーテル、ヘキサン等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(vii)1mmolに対して通常0.2〜50mlである。反応温度は通常−78〜30℃、反応時間は通常10分〜24時間である。
化合物(ix)は常法により単離することができ、例えば、飽和塩化アンモニウム水で過剰の塩基を中和し、エーテルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程2は、化合物(ix)のテトラヒドロピラニルオキシ基を酸存在下で水酸基に変換して化合物(x)を得る工程である。
酸としては、例えばp−トルエンスルホン酸1水和物、ピリジウムp−トルエンスルホン酸塩、酢酸、希塩酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(ix)に対して通常0.001〜1当量である。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、THFが挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(ix)1mmolに対して通常0.2〜100mlである。反応温度は通常0〜80℃、反応時間は通常10分〜24時間である。
化合物(x)は、常法により単離することができ、例えば、飽和重曹水を加え、濃縮し、ヘキサン抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
工程3は、化合物(x)の水酸基をヨウ素に変換して化合物(xi’’)を得る工程である。例えば、化合物(x)を塩基存在下、活性化剤(例えば、塩化メタンスルホニル(MsCl))と反応させて水酸基を活性化し、得られた生成物をNaIと反応させて、化合物(xi’’)を得ることができる。
まず、水酸基の活性化について説明する。塩基としては、例えばトリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、DMAP等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(x)に対して通常1〜3当量である。塩化メタンスルホニル等の活性化剤の使用量は、化合物(x)に対して通常1〜1.5当量である。溶媒としてはジクロロメタン、THF、ジエチルエーテル等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(x)1mmolに対して通常0.5〜50mlである。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は通常10分〜24時間である。得られた生成物は常法により単離することができ、例えば、溶媒で希釈し、濃縮し、ヘキサン抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。
次に得られた生成物をNaIと反応させて、化合物(xi’’)を得ることができる。NaIの使用量は、化合物(x)に対して通常1〜5当量である。溶媒としては例えばアセトン、THF、ジエチルエーテル等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(x)1mmolに対して通常0.5〜100mlである。反応温度は通常0〜180℃(溶媒がアセトンの場合、通常0〜80℃)、反応時間は通常15分〜24時間である。
化合物(xi’’)は常法により単離することができ、例えば、ヘキサンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して得ることができる。必要により更に精製しても良い。
の立体構造を有する化合物(I)及び
の立体構造を有する化合物(II)は、下記スキーム7に従って得られる化合物(xix’’)を前述のスキーム1の反応の化合物(xix)として用いることで製造することができる。また、該立体構造を有する化合物(I)及び化合物(II)は、下記スキーム8に従って得られる化合物(xxix’)を前述のスキーム1の反応の化合物(xix)として用いることで製造することもできる。
スキーム7および8は、スキーム1における化合物(xix)のA4a、A5aがイソプロピリデンである場合を例示するが、イソプロピリデン以外のA4a及びA5aが一緒になって形成する水酸基の保護基、イソプロピリデン以外の炭素数1〜5の2価の炭化水素基である場合もスキーム7及び8に準じて上記立体構造を有する化合物(I)及び化合物(II)を製造することができる。
(各式中、各記号は前述と同義を示す。)
原料化合物(v’)はK. Murata, T. Toba, K. Nakanishi, B. Takahashi, T. Yamamura, S. Miyake, and H. Annoura, J. Org. Chem. 2005, 70, 2398-2401に従って得ることができる。
工程1では、化合物(v’)を、前記スキーム4の工程1〜4と同様の反応に付して得られる化合物(xv’)を、スキーム4の工程5のAの脱保護反応と同様の反応に付すことにより、化合物(xvi’)を得ることができる。
工程2は、化合物(xvi’)の水酸基をアゾカルボン酸エステル(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル)及びトリフェニルホスフィンの存在下に安息香酸と反応させることで、化合物(xvi’)の水酸基の結合する炭化水素の立体配置が反転した化合物(xvii’)を得ることができる。
安息香酸の使用量は、化合物(xvi’)に対して通常1〜5当量である。アゾカルボン酸エステルの使用量は、化合物(xvi’)に対して通常2〜5当量である。トリフェニルホスフィンの使用量は、化合物(xvi’)に対して通常2〜6当量である。溶媒としては、例えばTHF、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xvi’)1mmolに対して通常1〜100mlである。反応温度は通常−78〜50℃、反応時間は通常30分〜24時間である。化合物(xvii’)は必要により精製しても良い。
工程3は、A及びベンゾイルオキシ基を除去する工程である。該工程は前記スキーム4の工程5に準じて行なうことができる。
(各式中、各記号は前述と同義を示す。)
原料化合物(xxvii’)はJ. C. Tadav, S. Pamu, D. C. Bhunia, S. Pabberaja, Synlett. 2007, 992-994に従って得ることができる。
工程1及び2は前記スキーム5に準じて行なうことができる。
スキーム1の化合物(xx)は、例えば下記スキーム9の方法又はこれに準ずる方法により製造することもできる。
(各式中、各記号は前述と同義を示す。)
工程1は、上記スキーム2で得られた化合物(iv)と、下記スキーム10で得られた化合物(xix’’’)とを、溶媒中、トリフルオロメタンスルホン酸銀、モレキュラーシーブの存在下で反応させて、化合物(xx’’’)を得る工程である。該工程は前記スキーム1の工程1に準じて行なうことができる。
工程2は、化合物(xx’’’)の水酸基の保護基Bを除去して化合物(xx’’’)を得る工程である。該工程は前記スキーム4の工程5に準じて行なうことができる。
スキーム9の化合物(xix’’’)は、例えば下記スキーム10の方法又はこれに準ずる方法により製造することができる。
(各式中、各記号は前述と同義を示す。)
工程1は、スキーム8の工程1で得られた化合物(xxviii’)の不飽和結合を、溶媒中、水素雰囲気下、触媒を用いて還元して、化合物(xvi’’’)を得る工程である。触媒としては、Pd(OH)炭素、Pd炭素、Pdブラック等が挙げられる。触媒の使用量は、化合物(xxviii’)1mmolに対して、通常50mg〜500mgである。溶媒としては、例えば、トリクロロメタン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタン、THF、これらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、化合物(xxviii’)1gに対して、通常1〜100mlである。反応温度は、通常10〜80℃、反応時間は、通常15分〜1日である。
工程2は、化合物(xvi’’’)の水酸基を保護し、化合物(xvii’’’)を得る工程である。
化合物(xvi’’’)を、溶媒中、塩基存在下で、B−L(Bは前述と同義であり、Lは脱離基を示す。)と反応させて、化合物(xvii’’’)を得ることができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、THF、ベンゼン、ジエチルエーテル、これらの混合溶媒等を挙げることができる。溶媒の使用量は、化合物(xvi’’’)1mmolに対して通常5〜50mlである。塩基としては、例えば、2,6−ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(xvi’’’)に対して通常1〜5当量である。B−Lとしては、例えば、t−ブチルジメチルシリル トリフルオロメタンスルフォネート、t−ブチルジメチルシリルクロリド等が挙げられる。B−Lの使用量は、化合物(xvi’’’)に対して通常1〜5当量である。
工程3は、化合物(xvii’’’)の水酸基の保護基Aを除去して、化合物(xix’’’)を得る工程である。該工程は前記スキーム4の工程5に準じて行なうことができる。例えば、シリル基の除去剤としてHF−ピリジン(70%HF)を用いる場合、フッ化物の使用量は化合物(xvii’’’)1mmolに対して通常1〜2mlであり、シリル基を除去する際の溶媒としては、ピリジンが好ましい。
次に、本発明の医薬用途について説明する。
本発明の化合物(I)又はその塩を投与することにより、APCの持つCD1dタンパク質と複合体を形成し、複合体がNKT細胞に提示される。NKT細胞は、この複合体をTCRを介して認識し、それ自身の有する免疫調節能のうち、免疫細胞の働きを活性化するサイトカインの一種であるIFN−γを選択的かつ大量に産生する一方で、IL−4の産生を抑制することが可能である。具体的には、IFN−γ/IL−4比が10以上であり、従来公知の糖脂質に比べて極めて高い選択的IFN−γ産生が確認された(図1〜4参照)。したがって、本発明の化合物(I)又はその塩は、腫瘍増殖の阻害のための抗癌剤、免疫賦活剤、更には細胞増殖障害やTh1/Th2免疫バランスの是正のための治療に有用である。
癌治療の対象としては、例えば、食道、胃、肝臓、膵臓、乳房、結腸、腎臓、肺(小細胞肺癌、非小細胞肺癌を含む)、胆嚢、卵巣、精巣、膀胱、頸部、甲状腺、前立腺及び皮膚(扁平上皮細胞癌を含む)の腫瘍;リンパ系統の造血腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞白血病、バーキットリンパ腫を含む);骨髄系統の造血腫瘍(急性及び慢性の骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄急性白血病を含む);間葉起源の腫瘍(線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む);中枢神経系及び末梢神経系の腫瘍(星状膠細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及び神経鞘腫を含む);他の腫瘍(黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトアカントーマ(keratoacanthoma)、甲状腺濾胞癌、カポージ肉腫を含む)が例示され、これらに限定されない。
また、細胞増殖障害とは、家族性腺腫性ポリポーシス、乾癬、良性前立腺過形成、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化症に関連する血管平滑細胞増殖、肺繊維症、関節炎、糸球体腎炎、術後の狭窄、再狭窄を含む概念である。
本発明の化合物(I)又はその塩の投与対象は、ヒト等の哺乳動物等が挙げられる。
本発明の化合物(I)又はその塩をヒトに投与する場合、それ自体又はそれを薬理学的に許容される担体(例えば、賦形剤、希釈剤)等と混合し、経口投与剤(例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)、非経口投与剤(例えば、注射剤、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤))等の医薬組成物として経口的又は非経口的に安全に投与することができる。これらの製剤は、従来公知の方法により製造することができる。
注射剤としては、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射又は点滴剤等が挙げられる。注射剤は、化合物又はその塩を可溶化剤(例えば、β−シクロデキストリン類)、分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖)等とともに常法に従って水性注射剤にすることもできる。また、植物油(例えば、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油)、プロピレングリコール等に溶解、懸濁又は乳化して油性注射剤にすることもできる。
経口投与剤は、化合物又はその塩に、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)又は滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール)等を適宜添加して圧縮成形し、次いで必要に応じてヒドロキシプロピルメチルセルロース等のコーティングを施すことにより製造することもできる。坐剤は、化合物又はその塩と、非刺激性の賦形剤(例えば、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸のグリセライド)とを混合して製造することができる。
本発明の化合物(I)又はその塩の投与量は、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、1日0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.01〜50mg/kg体重、より好ましくは0.01〜20mg/kg体重であり、これを1回から数回に分けて経口又は非経口投与することができる。
以下、本発明を製造例、実施例、参考例、試験例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
本明細書における略号の意味は以下の通りである。
mp:融点
IR:赤外分光法スペクトル
EIMS:エレクトロインパクト質量分析法スペクトル(Electron Impact Mass Spectrometry)
ESIMS:エレクトロスプレーイオン化質量分析法スペクトル
HREIMS:高分解能エレクトロインパクト質量分析法スペクトル
Calcd.:計算値
Found.:実測値
NMR:核磁気共鳴スペクトル
Hz:ヘルツ
J:カップリング定数
m:マルチプレット
q:クワルテット
t:トリプレット
td:トリプルダブレット
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
dt:ダブルトリプレット
s:シングレット
br:ブロード
CDCl:重クロロホルム
Bn:ベンジル基
Bu:ブチル基
Me:メチル基
Ph:フェニル基
Ts:トシル基
AgOTf:トリフルオロメタンスルホン酸銀
TBDMS:t−ブチルジメチルシリル基
TMS:トリメチルシリル基
PMB:p−メトキシベンジル基
HMPA:ヘキサメチルリン酸トリアミド
DDQ:2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン
DBN:ジアザビシクロノネン
DBU:ジアザビシクロウンデセン
PMP:4−メトキフェニル(p−メトキフェニル)
PMB:4−メトキシベンジル(p−メトキベンジル)
DMAP:N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
HF:フッ化水素酸
NBS:N−ブロモスクシンイミド
WSC:1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド
THF:テトラヒドロフラン
CSA:カンファースルフォン酸
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
室温:20〜30℃
製造例1
4−メチルフェニル 4,6−0−ベンジリデン−2,3−ジ−0−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(化合物2)の合成
(工程a)
ペンタ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノースを原料として得られる文献既知化合物(O. Plettenburg, V. Bodmer-Narkevitch and C-H. Wong, J. Org. Chem. 2002, 67, 4559-4564.)4−メチルフェニル 4,6−0−ベンジリデン−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(化合物1)(13.28g、35.47mmol)と4−メトキシベンジルクロライド(11.65g、73.39mmol)、テトラブチルアンモニウムイオダイド(0.6g、1.62mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100ml)溶液に水素化ナトリウム(60%オイル分散、3.12g、78.00mmol)を加えた。65℃に加温して45分間、更に70℃15分間攪拌した。室温下、氷(100g)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮し、粗結晶を得た。この粗結晶を加熱下、酢酸エチル(30ml)に溶解しヘキサンを加え、再結晶し、濾取し、表題化合物2(17.6g、81%)を得た。
mp 143-145℃. IRνmax(KBr) 3000-2850, 1614, 1586 (w), 1515 cm-1. 270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ. 2.30 (3H, s), 3.39 (1H, bs), 3.58 (1H, dd, J=3.2, 9.2 Hz), 3.78-3.85 (7H, m, cotaining two 3H singlets at 3.79 and 3.81 ppm), 4.10 (1H, d, J=2.5 Hz), 4.36 (1H, d, J=12.2 Hz), 4.54 (1H, d, J=9.2 Hz), 4.62-4.65 (4H, m), 5.47 (1H, s), 6.80-6.90 (4H, m), 7.00 (2H, d, J=7.8 Hz), 7.25-7.55 (9H, m), 7.60 (2H, d, J=7.8 Hz). EIMS; m/z 614 [M]+. HREIMS, Calcd. for C36H38O7S: 614.2338. Found: 614.2339.
製造例2
4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−4−メトキシベンジル−α,β−D−ガラクトピラノース(化合物3)の合成
(工程b)
化合物2(24.00g、39.04mmol)のアセトン(800ml)溶液にN−ブロモスクシンイミド(NBS)(8.40g、47.20mmol)を−20℃で加え45分間攪拌した。飽和重曹水(100ml)を加え、減圧下濃縮し、酢酸エチルで抽出した。有機層は飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮し、粗結晶を得た。この粗結晶を酢酸エチル−ヘキサン(1:1)から再結晶し、表題化合物3(19.20g、96%)を得た。
mp 130-134 ℃. IRνmax(KBr) 3419 (br), 3000-2835, 1710, 1613, 1586 (w), 1514 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 2.94 (1H, bs, OH), 3.80 (6H, s), 3.83-4.23 (6H, m),4.60-4.82 (4H, m), 5.31 (1H, bs, anomeric H), 5.48 (1H, s), 6.85-6.87 (4H, m), 7.26-7.38 (7H, m), 7.51-7.54 (2H, m). EIMS; m/z 508 [M]+. HREIMS, Calcd. for C29H32O8: 508.2097; Found: 508.2094.
製造例3
トリクロロアセトイミドイル 4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−α−D−ガラクトピラノシド(化合物4)の合成
(工程c)
化合物3(1.87g、5.00mmol)のジクロロメタン(70ml)溶液にClCCN(7.22g、50mmol)と炭酸セシウム(810mg、2.50mmol)を加え、24時間室温で攪拌し、ジクロロメタンで希釈した。有機層を水、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮し、表題化合物4(19.20g、96%)を得た。このものは精製することなく次の反応に使用した。
IR νmax(KCl) 3337 (w), 3000-2840 (w), 1732, 1672, 1613, 1586, 1514 cm-1. 270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 3.80 (6H, s), 3.88-4.24 (6H, m), 4.68-4.74 (4H, m), 5.50 (1H, s), 6.59 (1H, d, J=3.2 Hz, anomeric H), 6.81-6.85 (4H, m), 7.23-7.32 (7H, m), 7.50-7.53 (2H, m), 8.55 (1H, s).
製造例4
4,5−アンヒドロ−1,3−O−ベンジリデン−2−O−(4−メトキシベンジル)−D−アラビトール(化合物6)の合成
(工程a)
D−アラビトールを原料として得られる文献既知化合物(K. Murata, T. Toba, K. Nakanishi, B. Takahashi, T. Yamamura, S. Miyake, and H. Annoura, J. Org. Chem. 2005, 70, 2398-2401.)4,5−アンヒドロ−1,3−O−ベンジリデン−D−アラビトール(化合物5)(2.23g、10.03mmol)と4−メトキシベンジルクロライド(2.04g、13.03mmol)のDMF(10ml)溶液に水素化ナトリウム(60%オイル分散、560mg、14.00mmol)を氷冷下加えた。室温3時間攪拌した。氷を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1、3:1、最後に3:2)で溶出し、表題化合物6(3.18g、93%)を得た。
mp 108-109 ℃. IR νmax(KCl) 1613, 1584, 1514 cm-1. 270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 2.83 (1H, dd, J=2.4, 5.1 Hz), 2.91 (1H, dd, J=4.1, 4.9 Hz), 3.34 (1H, m), 3.50 (1H, d, J=1.6 Hz), 3.64 (1H, dd, J=1.6, 5.9 Hz), 3.81 (1H, s), 3.91 (1H, d, J=12.1 Hz), 4.40 (1H, d, J=12.1 Hz), 4.60 (1H, d, J=11.9 Hz), 4.78 (1H, d, J=11.9 Hz), 6.82 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.32-7.35 (5H, m), 7.49-7.53 (2H, m). FABMS; m/z 342 [M]+. HRFABMS, Calcd. for C20H22O5: 342.1467. Observed: 342.1468. Anal. Found, C, 69.58; H, 6.66. Calcd. for C20H22O5: C, 70.16; H, 6.48.
製造例5
1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−6−トリデシン(化合物9)の合成
(工程a)
1−オクチン(化合物7)(7.40g、113.43mmol)をヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)(150ml)とテトラヒドロフラン(THF)(300ml)の溶液に−40℃でn−ブチルリチウム(n−BuLi)(1.6Mヘキサン溶液、85.0ml、136mmol)を滴下した。1時間この温度で攪拌した後、この溶液に文献既知化合物(J. Muller, M. Brunnbauer, M. Schmidt, A. Terfort, Synthesis. 2005, 998-1004.)1−ブロモ−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタン(化合物8)(28.3g、136mmol)のTHF(50ml)溶液をゆっくり滴下した。室温で一夜(16時間)攪拌した。飽和塩化アンモニウム水で過剰の塩基を中和し、エーテルで抽出した。有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出し、表題化合物9(20.6g、65%)を得た。
IR νmax(KCl) 2934, 2859 cm-1. 270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.21-1.90 (20H, m), 2.10-2.16 (4H, m), 3.38 (1H, m), 3.48 (1H, m), 3.75 (1H, m), 3.87 (1H, m), 4.58 (1H, dd, J=3.0, 3.8 Hz). EIMS; m/z 195, 280 [M]+. HREIMS, Calcd. for C18H32O2: 280.2402. Observed: 280.2384.
製造例6
1−ヒドロキシ−6−トリデシン(化合物10)の合成
(工程b)
化合物9(7.40g、26.39mmol)とp−トルエンスルホン酸1水和物(350mg、1.84mmol)のメタノール(200ml)溶液を6時間室温攪拌後、飽和重曹水(40ml)を加え、減圧下濃縮し、ヘキサン抽出した。有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出し、油状化合物として、表題化合物10(5.04g、97%)を得た。
IR νmax(KCl) 3338, 2931, 2859 cm-1. 270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.63 (14H, m), 2.10-2.20 (4H, m), 3.60-3.70 (2H, m).
製造例7
1−ヨード−6−トリデシン(化合物11)の合成
(工程c)
化合物10(5.05g、25.72mmol)とトリエチルアミン(EtN)(6.50g、64.31mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液に塩化メタンスルホニル(MsCl)(3.68g、32.15mmol)を0℃で加え30分間攪拌した。ジクロロメタンで希釈し、有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をアセトン(250ml)に溶解し、NaI(7.70g、51.37mmol)を加え、一夜(16時間)還流した。減圧濃縮後ヘキサン溶液とした。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出し、油状化合物として、表題化合物11(6.54g、83%)を得た。
IR νmax(KBr) 2930, 2857 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.23-1.54 (12H, m), 1.81-1.87 (2H, m), 2.11-2.20 (4H, m), 3.19 (1H, t, J=7.0 Hz). EIMS: m/z 306 [M]+. HREIMS: Calcd. for C18H32I: 306.0835. Observed: 306.0834.
製造例8
(2R,3R,4R)−1,3−O−[(S)−ベンジリデン]−4−ヒドロキシ−2−(4−メトキシベンジルオキシ)−11−オクタデシン(化合物12)の合成
(工程a)
化合物11(4.55g、14.86mmol)のジエチルエーテル−ペンタン(1:1、35ml)溶液にt−BuLi(1.5Mペンタン溶液、24ml、36.0mmol)を−78℃でアルゴン気流中加えた。5分後、室温下で1時間攪拌した後この溶液をCuI(1.42g、7.43mmol)のTHF(15ml)縣濁液に−40℃でアルゴン気流中加えた。この溶液を−30℃で30分間攪拌した後、化合物6(2.54g、7.43mmol)のTHF(20ml)溶液を上記で得られたジアルキルキュウプレイト(化合物11’)溶液に−20℃で滴下した。一夜(16時間)室温で攪拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(4:1、更に2:1)で溶出し、綿状結晶として表題化合物12(3.63g、94%)を得た。
mp 80-81 ℃(from hexane-EtOAc=3:1). IR νmax(KCl) 3451, 3000, 2932, 2854, 1610, 1585, 1511 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.15-1.72 (18H, m), 1.76 (1H, d, J=6.0 Hz, OH), 2.10-2.15 (4H, m), 3.56 (1H, s), 3.62 (1H, d, J=8.0 Hz), 3.81 (3H, s), 3.90 (1H, m), 3.92 (1H, d, J=12.6 Hz), 4.42 (1H, d, J=12.0 Hz), 4.52 (1H, d, J=12.6 Hz), 4.82 (1H, d, J=12.0 Hz), 5.56 (1H, s), 6.91 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.30-7.38 (5H, m), 7.52 (2H, m). FABMS (positive-ion): m/z 522 [M]+. HRFABMS (positive-ion): Calcd. for C33H46O5: 522.3345. Observed: 522.3352. Anal. Calcd. for C33H46O5: C, 75.83; H, 8.87. Found: C, 75.68; H, 8.92.
製造例9
(2R,3R,4R)−1,3,4−トリヒドロキシ−2−(4−メトキシベンジルオキシ)−11−オクタデシン(化合物13)の合成
(工程b)
化合物12(3.05g、5.83mmol)のメタノール(180ml)溶液にパラトルエンスルホン酸一水和物(p−TsOH・HO)(300mg、1.58mmol)を加え、2時間室温で攪拌した後、飽和重曹水で塩基性とし、減圧下濃縮し酢酸エチル抽出した。有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(2:1、1:1更に1:9)で溶出し、油状化合物として表題化合物13(2.16g、85%)及び回収原料(化合物12)(400mg、13%)を得た。
IR νmax(KBr) 3323 (broad), 2929, 2855, 1613, 1585 (w), 1513 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.25-1.55 (18H, m), 2.12-2.16 (4H, m), 2.26 (1H, d, J=7.6 Hz, OH), 2.53 (1H, m, OH), 2.84 (1H, d, J=7.6 Hz, OH), 3.57-3.60 (2H, m), 3.71 (3H, m), 3.80 (1H, m), 3.81 (3H, s), 3.95 (1H, m), 4.51, 4.70 (2H, AB-q, J=11.2 Hz), 6.90 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.27 (2H, d, J=8.6 Hz). FABMS (positive-ion): m/z 433, 434, 435 [M+H]+. HRFABMS (positive-ion): Calcd. for C26H43O5: 435.3110. Observed: 435.3110.
製造例10
(2R,3R,4R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−ジヒドロキシ−2−(4−メトキシベンジルオキシ)−11−オクタデシン(化合物14)の合成
(工程c)
化合物13(2.10g、4.83mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液にt−ブチルジメチルシリル クロリド(901mg、5.85mmol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)(716mg、5.80mmol)を加え、3時間室温で攪拌した後、ジクロロメタンで希釈し、溶媒層を水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(2:1)で溶出し、ガム状化合物として表題化合物14(2.47g、93%)を得た。
IR νmax(KCl) 3504 (broad), 2934, 2859, 1614, 1515 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.09 (6H, s), 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz), 0.91 (9H, s), 1.25-1.60 (18H, m), 2.14 (4H, t, J=7.0 Hz), 2.30 (1H, d, J=7.2 Hz, OH), 3.50 (1H, m), 3.61 (1H, m), 3.72 (1H, m), 3.81 (3H, s), 3.84-3.89 (2H, m), 4.52, 4.71 (2H, AB-q, J=11.2 Hz), 6.89 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.24 (2H, d, J=8.8 Hz). FABMS (positive-ion): m/z 571 [M+Na]+(on addition of NaI). HRFABMS (positive-ion): Calcd. for C32H56O5SiNa: 571.3794. Observed: 579.3753.
製造例11
(2R,3R,4R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−O−イソプロピリデン−2−(4−メトキシベンジルオキシ)−11−オクタデシン(化合物15)の合成
(工程d)
化合物14(2.25g、4.10mmol)の2,2−ジメトキシプロパン(30ml)溶液にp−TsOH・HO(60mg、0.32mmol)を加え、1時間室温で攪拌した後、酢酸エチルで希釈し、溶媒層を飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1)で溶出し、油状化合物として表題化合物15(2.30g、95%)を得た。
IR νmax(KCl) 2934, 2856, 1615, 1515, 1249 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.06 (6H, s), 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz, and 9H, s), 1.25-1.65 (24H, m, containing two 3H, singlets at 1.35 and 1.46 ppm), 2.12-2.14 (4H, m), 3.51 (1H, m), 3.68 (1H, m), 3.75 (1H, m), 3.80 (3H, s), 4.14 (1H, m), 4.15 (1H, m), 4.63, 4.68 (2H, AB-q, J=11.6 Hz), 6.86 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.30 (2H, d, J=8.8 Hz). FABMS (positive-ion): m/z 611 [M+Na]+(on addition of NaI). HRFABMS (positive-ion): Calcd. for C35H60O5SiNa: 611.4108. Observed: 611.4108.
製造例12
(2R,3S,4R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン(化合物16)の合成
(工程e)
化合物15(2.02g、3.68mmol)のジクロロメタン(60ml)溶液にHO(6ml)と2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)(2.02g、8.90mmol)を加え、1時間室温で攪拌した後、ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1)で溶出し、油状化合物として表題化合物16(1.60g、93%)を得た。
IR νmax(KCl) 3570, 2932, 2858, 1463, 1370 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.07 (6H, s), 0.88 (3H, t, J=7.0 Hz), 0.90 (9H, s), 1.23-1.58 (23H, m, containing two 3H, singlets at 1.34 and 1.49 ppm), 1.77 (1H, m), 2.23-2.15 (4H, m), 2.30 (1H, d, J=5.2 Hz, OH), 3.56-3.67 (3H, m), 4.12-4.19 (2H, m). EIMS (positive-ion): m/z 453 [M-CH3]+, 468 [M]+. HREIMS (positive-ion): Calcd. for C27H52O4Si: 468.3635. Observed: 468.3617.
製造例13
(2S,3R,4R)−2−ベンゾイルオキシ−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン(化合物17)の合成
(工程f)
化合物16(1.48g、3.15mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh)(4.13g、15.75mmol)、安息香酸(PhCOOH)(1.69g、13.86mmol)のTHF(40ml)溶液にアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)(2.2Mトルエン溶液、6.30ml、13.86mmol)を−20℃で加え、30分後ゆっくり室温に迄昇温し、一夜(16時間)攪拌した。減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出し、少量の副生成物(化合物17’)(0.26g)を含む油状混合物として表題化合物17(1.32g、72%)を得た。この混合物はそのまま次の反応に使用した。この混合物の一部は、分離用シリカゲルTLC板を使用して、ヘキサン−酢酸エチル(9:1)で展開し、化合物17と17’を単離精製した。
IR νmax(KBr) 2932, 2844, 1724 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ -0.03 (3H, s), -0.01 (3H, s), 0.84 (9H, s), 0.88 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.12-1.55 (24H, m, containing two 3H, singlets at 1.36 and 1.45 ppm), 2.01 (1H, t, J=7.0 Hz), 2.12 (2H, t, J=7.2 Hz), 3.93 (1H, dd, J=4.8, 11.6 Hz), 3.99 (1H, dd, J=2.4, 11.6 Hz), 4.18 (1H, m), 4.42 (1H, dd, J=5.2, 8.8 Hz), 5.15 (1H, m), 7.45 (2H, t, J=7.6 Hz), 7.57 (1H, t, J=7.6 Hz), 8.04 (2H, d, J=7.6 Hz). EIMS (positive-ion): m/z 557, 572 [M]+. HREIMS (positive-ion): Calcd. for C34H56O5Si: 572.3897. Observed: 572.3896.
製造例14
(2S,3S,4R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン(化合物18)の合成
(工程g)
化合物17(1.34g、2.34mmol)のメタノール(72ml)溶液にナトリウムメトキシド(NaOMe)(1Mメタノール溶液、8.0ml、8.0mmol)を加え、室温で一夜(16時間)攪拌した。1/3まで減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(39:1、更に9:1)で溶出し、油状化合物として表題化合物18(840mg、77%)を得た。
IR νmax(KCl) 3575 (w), 2932, 2858, 1461 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.89 (3H, t, J=7.2 Hz), 0.91 (9H, s), 1.25-1.73 (24H, m, containing two 3H, singlets at 1.31 and 1.39 ppm), 2.12 (4H, t, J=7.2 Hz), 2.58 (1H, d, J=4.4 Hz, OH), 3.64-3.67 (2H, m), 3.83 (1H, m), 3.91 (1H, m), 4.17 (1H, m). EIMS: m/z 453, 468 [M]+. HREIMS: Calcd. for C27H52O4Si: 468.3635. Observed: 468.3635.
製造例15
(2S,3S,4R)−1,2−ジヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン(化合物19)の合成
(工程h)
化合物18(4.34g、9.26mmol)のTHF(85ml)溶液にテトラブチルアンモニウムフルオリド(n−BuNF)(1M THF溶液、15.0ml、15.0mmol)を加え、室温で45分間攪拌した。1/3まで減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(3:1、更に1:1)で溶出し、油状化合物として表題化合物19(2.49g、76%)を得た。
IR νmax(KBr) 3426 (broad), 2932, 2858 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.89 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.75 (24H, m, containing two 3H, singlets at 1.32 and 1.41 ppm), 1.96 (1H, t, J=5.4 Hz, OH), 2.13 (1H, d, J=5.6 Hz, OH), 2.14 (1H, t, J=6.6 Hz), 3.72-3.77 (2H, m), 3.83 (1H, m), 3.97 (1H, dd, J=5.8, 8.2 Hz). EIMS: m/z 339, 354 [M]+. HREIMS: Calcd. for C21H28O4: 354.2770. Observed: 354.2766.
実施例1
(2S,3S,4R)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−α−D−ガラクトピラノシド(化合物20)および(2S,3S,4R)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−β−D−ガラクトピラノシド(化合物20’)の合成
(工程a)
化合物4(純度約90%、2.35g、3.23mmol)と化合物19(0.80g、2.26mmol)のジクロロメタン(80ml)溶液に粉末MS(モレキュラーシーブ)4Å(6g)を加え、30分間攪拌し、更に0℃でトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)(1.40g、5.45mmol)を加え2時間、更に室温で3時間攪拌した。ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(3:1、次に2:1)で溶出すると、ガム状化合物として表題化合物20(1.16g、61%)および化合物20’(0.60g、31%)が各々純品として得られた。
化合物20の物理恒数:IR νmax(KBr) 3501 (broad), 2930, 2850, 1613, 1514 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.86-0.91 (3H, m), 1.22-1.71 (24H, m, containing two 3H, singlets at 1.31 and 1.38 ppm), 2.12-2.16 (4H, m), 3.30 (1H, bs, OH), 3.44 (1H, m), 3.67 (1H, s), 3.77 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.89 (1H, m), 3.95-4.07 (4H, m), 4.13-4.22 (3H, m), 4.68, 4.72 (2H, AB-q, J=11.8 Hz), 4.96 (1H, d, J=3.6 Hz, anomeric H), 5.47 (1H, s), 6.83-6.88 (4H, m), 7.24-7.27 (2H, m), 7.31-7.37 (5H, m), 7.50-7.53 (2H, m). FABMS: m/z 867 [M+Na]+. HRFABMS: Calcd. for C50H68O11Na: 867.4654. Observed: 867.4657.
化合物20’の物理恒数:IR νmax(KBr) 3439, 2931, 2859, 1614, 1515 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.86-0.91 (3H, m), 1.28-1.63 (24H, m, containing two 3H, singlets at 1.33 and 1.408 ppm), 2.11-2.15 (4H, m), 3.33 (1H, bs, OH), 3.35 (1H, s), 3.55 (1H, dd, J=3.6, 9.6 Hz), 3.73-3.89 (11H, m, containing 6H singlet at 3.80 ppm), 3.94-4.10 (3H, m), 4.28 (1H,d, J=12.0 Hz), 4.41 (1H, d, J=7.6 Hz), 4.68 (2H, s), 4.75, 4.80 (2H, AB-q, J=10.8 Hz), 5.48 (1H, s), 5.47 (1H, s), 6.84-6.88 (4H, m), 7.26-7.30 (4H, m), 7.34-7.38 (3H, m), 7.55 (2H, d, J=6.0 Hz). FABMS: m/z 867 [M+Na]+. HRFABMS: Calcd. for C50H68O11: 867.4654. Observed: 867.4671.
実施例2
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−α−D−ガラクトピラノシド(化合物21)の合成
(工程b)
化合物20(594mg、0.70mmol)、セロチン酸(1.29g、3.25mmol)、DMAP(1.80g、14.73mmol)及び1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC塩酸塩(2.87g、14.97mmol))のTHF−ジクロロメタン(1:1、50ml)懸濁液を室温で5日間攪拌した。トリクロロメタンで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(5:1)で溶出し、蝋状物質として表題化合物21(270mg、31%)を得、更にヘキサン−酢酸エチル(1:2)で溶出し、ガム状化合物として原料化合物20(121mg、20%)を回収した。
化合物21の物理恒数:IR νmax(KBr) 2920, 2851, 1741, 1614, 1588 (w), 1515, 1469 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.85-0.91 (6H, m), 1.20-1.60 (70H, m, containing two 3H, singlets at 1.33 and 1.41 ppm), 2.13 (4H, t, J=6.8 Hz), 2.24 (2H, dt, J=2.7, 8.0 Hz), 3.63 (1H, s), 3.71 (1H, dd, J=6.0, 12.0 Hz), 3.80 (6H, s), 3.87-4.04 (4H, m), 4.09-4.25 (4H, m), 4.60, 4.72 (2H, AB-q, J=11.2 Hz), 4.64, 4.73 (2H, AB-q, J=11.4 Hz), 4.95 (1H, d, J=3.2 Hz, anomeri H), 5.02 (1H, m), 5.46 (1H, s), 6.83-6.86 (4H, m), 7.26-7.35 (7H, m), 7.51 (2H, d, J=5.6 Hz). FABMS: m/z 1245 [M+Na]+. HRFABMS: Calcd. for C76H118O12Na: 1245.8515. Observed: 1245.8510.
実施例3
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシド(化合物22)の合成
(工程c)
化合物21(265mg、0.22mmol)のジクロロメタン−水(10:1、22ml)溶液にDDQ(265mg、1.17mmol)を加え、3時間室温で攪拌した後、ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水(2回)、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(3:1、更に3:2)で溶出し、蝋状物質として表題化合物22(167mg、78%)を得た。
IR νmax(KBr) 3395 (broad), 2921, 2851, 1725 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.86-0.91 (6H, m), 1.20-1.63 (70H, m, containing two 3H, singlets at 1.34 and 1.43 ppm), 2.13 (4H, t, J=7.2 Hz), 2.30 (2H, dt, J=4.4, 7.2 Hz), 2.39 (2H, bs, OH), 3.73-3.77 (2H, m), 3.82 (2H, bs), 4.03-4.28 (6H, m), 5.01 (1H, s, anomeric H), 5.05 (1H, dt, J=1.5, 7.0 Hz), 5.55 (1H, s), 7.36-7.37 (3H, m), 7.48-7.49 (2H, m). FABMS: m/z 1005 [M+Na]+. HRFABMS: Calcd. for C60H102O10Na: 1005.7365. Observed: 1005.7387.
参考例1
2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−メチル−α,β−D−ガラクトピラノース(化合物25)の合成
【0271】
(工程a)化合物25bの合成
メチル α−D−ガラクトピラノシドを原料としてT. J. Lucas et al., Carbohydr. Res., 1975, 39, 39-45に従って製造される化合物25a(1.04g、2.24mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド−テトラヒドロフラン(1:1、20mL)溶液に氷冷下で水素化ナトリウム(60%ミネラルオイル懸濁物、187mg、4.68mmol)を加えた。氷冷下で15分間撹拌した後、ヨウ化メチル(280μL、4.50mmol)を加え、室温下で16時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧濃縮により溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g、ヘキサン−酢酸エチル=8:1)により精製し、表題化合物25b(839mg、78%)を無色油状として得た。
IR (film): νmax = 1600,1500 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.42-7.26 (15H, m), 4.96 (1H, d, J = 12 Hz), 4.86 (1H, d, J = 12 Hz), 4.84 (1H, d, J = 12 Hz), 4.74 (1H, d, J = 12 Hz), 4.692 (1H, d, J = 12 Hz), 4.687 (1H, d, J = 3.2 Hz), 4.62 (1H, d, J = 12 Hz), 4.04 (1H, dd, J = 9.6, 3.2 Hz), 3.94 (1H, dd, J = 10, 3.2 Hz), 3.91-3.89 (1H, m), 3.84 (1H, br.t, J = 6.4 Hz), 3.44 (1H, dd, J = 10, 6.4 Hz), 3.37 (3H, s), 3.34 (1H, dd, J = 10, 6.4 Hz), 3.27 (3H, s).
【補正の内容】
(工程b)化合物25の合成
化合物25b(733mg、1.53mmol)の無水酢酸(20mL)溶液に、濃硫酸(0.03mL)の無水酢酸(10mL)溶液を氷冷下で加え、20分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順に洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧濃縮により溶媒を留去した。
残渣のメタノール(10mL)溶液に、ナトリウムメトキシド(90mg、1.7mmol)を室温下で加え、30分間撹拌した。陽イオン交換樹脂(Dowex 50W-X8)で酸性にした後に濾過し、減圧濃縮により溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g、ヘキサン−酢酸エチル=3:1)により精製し、白色粉末として表題化合物25(652mg、92%)を得た。
IR (KBr): νmax = 3420,1605, 1495 cm-1.
製造例16
トリクロロアセトイミドイル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−メチル−α,β−D−ガラクトピラノシド(化合物26)の合成
化合物25(465mg、1.00mmol)のジクロロメタン(10ml)の溶液にClCCN(1.44g、10mmol)と炭酸セシウム(480mg、1.47mmol)を加え、16時間室温で攪拌し、ジクロロメタンで希釈した。有機層を水、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮すると表題化合物26(600mg、98%)が得られた。この化合物26は精製することなく次の反応に使用した。
製造例17
(2S,3S,4R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5(E,Z)−オクタデセン(化合物28)の合成
トリデシルトリフェニルフォスフォニウム ブロマイド(12.29g、23.38mmol)のTHF(25ml)溶液にn−BuLi(1.6Mヘキサン、14.7ml、23.53mmol)を−10℃で加えて30分間攪拌後、2ステップによりL−リボースから得られた文献既知化合物(J. C. Tadav, S. Pamu, D. C. Bhunia, S. Pabberaja, Synlett. 2007, 992-994.)(化合物27)(2.37g、7.79mmol)のTHF(20ml)溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した。メタノールで反応を止め、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で希釈し水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出すると油状の二重結合E,Z異性体(1:1)混合物として表題化合物28(3.17g、86%)が得られた。一部物理データ用に分取シリカゲルTLC板にて二重結合E,Z異性体を分離した。
E-isomer: IR νmax(KBr) 3420, 2925, 2854, 1465 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.09 (6H, s), 0.89 (3H, t, J=7.2 Hz), 0.91 (9H, s), 1.25 (20H, bs), 1.34 (3H, s), 1.35-1.42 (2H, m), 1.45 (3H, s), 1.99 (2H, q, J=6.8 Hz), 2.37 (1H, d, J=4.4 Hz, OH), 3.65-3.71 (2H, m), 3.81 (1H, m), 4.01 (1H, dd, J=6.2, 8,6 Hz), 4.64 (1H, t, J=7.0 Hz), 5.61 (1H, dd, J=8.0, 15,6 Hz), 5.81 (1H, dd, J=6.6, 15,6 Hz). EIMS: m/z 453, 468 [M]+. HREIMS: Calcd. for C27H54O4Si: 470.3791. Observed: 470.3795.
Z-isomer: IR νmax(KBr) 3558, 2927, 2856, 1465 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.09 (6H, s), 0.88 (3H, t, J=6.8 Hz), 0.90 (9H, s), 1.25 (20H, bs), 1.36 (3H, s), 1.36-1.41 (2H, m), 1.45 (3H, s), 2.07-2.20 (2H, m), 2.46 (1H, d, J=4.8 Hz, OH), 3.66-3.71 (2H, m), 3.81 (1H, dd, J=6.0, 12.8 Hz), 4.02 (1H, dd, J=6.4, 8,4 Hz), 5.01 (1H, m), 5.54 (1H, dd, J=9.6, 11.0 Hz), 5.71 (1H, td, J=7.4, 11.0 Hz).
製造例18
(2S,3S,4R)−1,2−ジヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5(E,Z)−オクタデセン(化合物29)の合成
化合物28(3.17g、6.73mmol)のTHF(100ml)溶液にn−BuNF(1M THF溶液、12.0ml、12.0mmol)を加え、室温で45分間攪拌した。減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1、更に2:1)で溶出すると油状の二重結合E,Z異性体(1:1)混合物として化合物29(2.35g、98%)が得られた。
IR νmax(KBr) 3420 (broad), 2925, 2854, 1465 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.86-0.92 (3H, m), 1.25-1.47 (26H, m, containing two 3H/2, singlets at 1.36 and 1.37 ppm and 3H singlet at 1.47 ppm), 2.02-2.12 (2H, m), 3.70-3.82 (2H, m), 4.05-4.10 (1H, m), 4.67 (0.5H, t, J=7.2 Hz, E-isomer), 5.05 (0.5H, m, Z-isomer), 5.56-5.63 (1H, m), 5.77 (0.5H, m, Z-isomer), 5.91 (0.5H, m, E-isomer).
実施例4
(2S,3S,4R)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5(E,Z)−オクタデセ−1−イル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−メチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物30)及び(2S,3S,4R)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5(E,Z)−オクタデセ−1−イル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−メチル−β−D−ガラクトピラノシド(化合物30’)の合成
イミデート(化合物26)(304mg、0.50mmol)とジオール(化合物29)(171mg、0.48mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液にMS 4Å(0.8g)を加え、室温下30分間攪拌した後、−5℃でAgOTf(100mg、0.39mmol)を加えた。1時間半攪拌後、室温下、更に30分間攪拌し、ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離精製した。ヘキサン−酢酸エチル(3:1、次に2:1)で溶出すると、ガム状化合物として表題化合物30(178mg、47%)及び30’(183mg、48%)が、各々純品として得られた。
化合物30(E,Z異性体混合物)の物理恒数: IR νmax(KBr) 3470 (broad), 2925, 2854, 1455 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.21-1.60 (26H, m, containing two 3H, singlets at 1.31 and 1.44 ppm), 2.02-2.06 (2H, m), 3.15-3.45 (6H, m, containing 3H, s, at 3.27 ppm), 3.57 (1H, m), 3.85-4.08 (7H, m), 4.58-4.99 (7H, m, containing an anomeric H), 5.46-5.85 (2H, m), 7.26-7.40 (15H, m).
化合物30’の一部物理データ用に、分取シリカゲルTLC板にて二重結合E,Z異性体を分離した。
化合物30’のZ-isomer:IR νmax(KBr) 3481 (broad), 2925, 2854, 1455 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.60 (26H, m, containing two 3H, singlets at 1.34 and 1.44 ppm), 2.02 (1H, m), 2.12 (1H, m), 3.25 (3H, s), 3.35-3.38 (2H, m), 3.46-3.54 (3H, m), 3.72 (1H, dd, J=7.4, 11.4 Hz), 3.80-3.87 (3H, m), 3.97 (1H, dd, J=6.2, 8.2 Hz), 4.13 (1H, dd, J=2.0, 11.2 Hz), 4.36 (1H, d, J=8.0 Hz, anomeric H), 4.64, 4.94 (2H, AB-q, J=11.6 Hz), 4.72, 4.75 (2H, AB-q, J=11.6 Hz), 4.81, 4.88 (2H, AB-q, J=11.0 Hz), 4.94 (1H, m), 5.48 (1H, m), 5.63 (1H, m), 7.27-7.36 (15H, m).
化合物30’のE-isomer: IR νmax(KBr) 3449 (broad), 2924, 2854, 1455 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.21-1.60 (26H, m, containing two 3H, singlets at 1.32 and 1.44 ppm), 2.02-2.08 (2H, m), 3.26 (3H, s), 3.38 (1H, dd, J=5.2, 8.0 Hz), 3.43-3.55 (4H, m), 3.70 (1H, dd, J=7.4, 11.4 Hz), 3.78-3.87 (3H, m), 3.93 (1H, dd, J=6.0, 8.8 Hz), 4.15 (1H, dd, J=2.0, 8.0 Hz), 4.36 (1H, d, J=7.2 Hz, anomeric H), 4.59 (1H, t, J=6.8 Hz), 4.65, 4.94 (2H, AB-q, J=11.6 Hz), 4.72, 4.75 (2H, AB-q, J=12.0 Hz), 4.81, 4.88 (2H, AB-q, J=11.2 Hz), 5.55 (1H, dd, J=7.4, 15.0 Hz), 5.78 (1H, td, J=7.0, 15.0 Hz), 7.26-7.36 (15H, m).
実施例5
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5(E,Z)−オクタデセ−1−イル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−メチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物31)の合成
化合物30(127mg、0.16mmol)、セロチン酸(126mg、0.32mmol)、DMAP(194mg、1.59mmol)及びWSC塩酸塩(305mg、1.59mmol)のTHF−ジクロロメタン(1:1、14ml)懸濁液を室温で3日間攪拌した。トリクロロメタンで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1、更に7:1)で溶出すると、蝋状物質として表題化合物31(75mg、40%)が得られた。
IR νmax(KBr) 2919, 2850, 1738, 1468 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (6H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.60 (72H, m, containing isopropylidene two metyl protones), 1.98-2.22 (4H, m), 3.25 (3H, s), 3.36, 3.39 (2H, AB-q, J=10.0 Hz), 3.66 (1H, m), 3.83-3.95 (4H, m), 4.03 (1H, dd, J=3.6, 10.0 Hz), 4.36 (1H, dd, J=8.2, 14.6 Hz), 4.54-5.00 (8H, m, containing anomeric H, doublet J=3.6 Hz at 4.89 ppm), 4.64, 4.73 (2H, AB-q, J=11.4 Hz), 4.95 (1H, d, J=3.2 Hz, anomeri H), 5.02 (1H, m), 5.01 (1H, m), 5.34-5.80 (2H, m), 7.26-7.39 (15H, m).
実施例6
(2S,3R,4R)−3,4−ジヒドロキシ−2−ヘキサコサノイルオキシ−11−オクタデシン−1−イル α−D−ガラクトピラノシド(化合物23)の合成
(工程d)
化合物22(180mg、0.18mmol)のジクロロメタン−アセトニトリル(1:1、70ml)溶液に水(508mg、28.2mmol)と46%HF水(196mg、4.56mmol)を加え、室温で0.5時間攪拌した。トリクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。トリクロロメタン−メタノール(19:1、更に37:3)で溶出し、表題化合物23を得た。
本工程で得られた化合物23の物理恒数は、下記の化合物23の物理恒数と同値であった。
実施例7
(2S,3R,4R)−3,4−ジヒドロキシ−2−ヘキサコサノイルオキシオクタデシル α−D−ガラクトピラノシド(化合物24)の合成
(工程e)
化合物23(34mg、0.04mmol)のトリクロロメタン−メタノール(1:1、20ml)溶液に20% Pd(OH)炭素(34mg)を懸濁し、水素気流中室温で4時間攪拌し、濾過した。触媒はトリクロロメタン−メタノール(1:1)でよく洗浄し、集めた濾液は濃縮した。粗残渣は分離用薄層シリカゲル板にて精製[トリクロロメタン−メタノール(7:1)展開]して、蝋状物質として表題化合物24(26mg、76%)を得た。
本工程で得られた化合物24の物理恒数は、下記の化合物24の物理恒数と同値であった。
実施例8
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル 6−O−メチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物32)の合成
化合物31(62mg、0.05mmol)の酢酸エチル(20ml)溶液に20%Pd(OH)炭素(31mg)加え、水素気流中室温で16時間攪拌し、触媒を濾去し、濾液を減圧下溜去した。残る残渣を分取薄層シリカゲル板にて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(1:4)展開し、表題化合物32(20mg、42%)を得た。
IR νmax(KBr) 3814 (broad), 2919, 2851, 1732, 1470 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.86-0.90 (6H, m), 1.25-1.59 (78H, m, containing two 3H, singlets at 1.34 and 1.43 ppm), 2.26-2.33 (2H, m), 2.34 (1H, bs, OH), 2.56 (1H, broad s, OH), 3.00 (1H, bs, OH), 3.41 (3H, s), 3.67-3.75 (4H, m), 3.82 (1H, m), 3.93 (1H, t, J=4.8 Hz), 4.04 (1H, dd, J=1.8, 11.4 Hz), 4.07 (1H, bs), 4.13-4.20 (2H, m), 4.92 (1H, d, J=3.6 Hz, anomeri H), 5.04 (1H, m). [α]D 26 + 40.9o(c 0.9, CHCl3).
実施例9
(2S,3R,4R)−3,4−ジヒドロキシ−2−ヘキサコサノイルオキシオクタデシル 6−O−メチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物33)の合成
化合物32(50mg、0.06mmol)のジクロロメタン−MeCN(1:1、20ml)溶液に水(50mg、28.2mmol)と46%HF水(25mg、0.58mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。反応物をトリクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣を分取用薄層クロマトグラフィーにて精製した。CHCl−MeOH(7:1)で展開し、蝋状物質として表題化合物33(29mg、61%)を得た。
[α]D 26+54.5o(c 0.78, CHCl3-CH3OH (12:1));
IR νmax(KBr) 3383 (broad), 2919, 2850, 1734, 1468 cm-1. 400 MHz 1H NMR (CDCl3-CD3OD, 19:1) δ 0.88 (6H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.62 (72H, m), 2.32 (2H, t, J=7.6 Hz), 3.40 (3H, s), 3.62-3.67 (3H, m), 3.74-3.81 (2H, m), 3.81-3.88 (2H, m), 3.96 (1H, d, J=5.4 Hz), 4.00 (1H, d, J=3.0 Hz), 4.04 (1H, dd, J=4.0, 11.2 Hz), 4.93 (1H, d, J=3.6 Hz, anomeric H), 5.08 (1H, m). 125 MHz 13C NMR (CDCl3-CD3OD, 12:1) 14.07, 22.66, 24.90, 25.90, 29.19, 29.33, 29.35, 29.51, 29.63, 29.67, 29.70, 31.90, 34.34, 59.35, 67.29, 69.06, 70.02, 71.79, 71.88, 72.52, 72.87, 99.24, 173.25. FABMS: m/z 895.7 [M+Na]+. HRFABMS; calcd. For C 51 H100O10Na: 895.7214; observed: 895.7213.
上記化合物23は、以下の方法によっても製造することができる。
製造例19
4−メチルフェニル 4,6−O−(4−メトキシベンジリデン)−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(化合物43)の合成
(工程a)
文献既知化合物42(S. Roy, A. Chakraborty and R. Ghosh, Carbohydr. Res., 2008, 343, 2523-2529.)(23.285g、57.487mmol)と4−メトキシベンジルクロライド(19g、121.32mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(150ml)溶液に水素化ナトリウム(60%オイル分散、5.1g、127.5mmol)とテトラブチルアンモニウムイオダイド(1g)を加えた。60分間、70℃に加温し、室温に冷却後、氷(100g)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層は水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製(ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出)し、結晶として表題化合物43(31.2g、84%)を得た。
270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ. 2.31 (3H, s), 3.36 (1H, s), 3.54-4.67 (19H, m, cotaining three 3H singlets at 3.79, 3.81 and 3.82 ppm), 5.42 (1H, s), 6.81-7.62 (16H, m).
製造例20
4,6−O−イソプロピリデン−2,3−ジ−O−4−メトキシベンジル−α−D−ガラクトピラノース(化合物44)の合成
(工程b)
化合物43(31.16g、48.32mmol)のアセトン(1000ml)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(NBS)(10.32g、57.99mmol)を−20℃で加え、45分間攪拌した。粉末状塩化アンモニウム(10g)と飽和重曹水(100g)を加え、五分の1まで濃縮し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は10%Na水溶液、次いで食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮し、残る混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン−酢酸エチル(1:1、更に1:2)で溶出し、油状物として表題化合物44(13.5g、61%)を得た。
270 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 1.34 (3H, s), 1.42 (3H, s), 2.93 (1H, d, J=6.0 Hz, OH)3.71-4.65 (16H, m, containing two 3H, s, at 3.80 and 3.81 ppm), 5.42 (1H, d, J=6.0 Hz, changed to a singlet on addition of D2O, anomeric H), 6.85-6.91 (4H, m) 7.17-7.54 (4H, m).
実施例10
(2S,3S,4R)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−イソプロピリデン−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−α−D−ガラクトピラノシド(化合物45)の合成
(工程c)
化合物44(460mg、1.0mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液にClCCN(1.44g、10mmol)と炭酸セシウム(480mg、1.47mmol)を加え、16時間室温で攪拌し、ジクロロメタンで希釈した。有機層を水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮し、化合物44のイミデートを得た。(このイミデート化合物は精製することなく次の反応に使用した。)このイミデート化合物とアセチレンジオールである化合物19(170mg、0.477mmol)をジクロロメタン(25ml)に溶解した。ここに粉末MS4Å(1.6g)を加え、30分間攪拌し、更に0℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)(200mg、0.778mmol)を加え1時間、更に室温で2時間攪拌した。ろ過後ジクロロメタンで洗浄し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(3:1、2:1、更に1:1)で溶出し、油状化合物として化合物45(166mg、44%)を得た。
IR νmax(KBr) 3483 (broad), 2980, 2933, 2861, 1612, 1515 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.27-1.74 (30H, m, containing four 3H, singlet at 1.31, 1.33, 1.39 and 1.41 ppm), 2.11-2.15 (4H, m), 2.92 (1H, bs, OH), 3.58 (1H, dd, J=6.8, 10.7 Hz), 3.69 (1H, dd, J=7.0, 8.5 Hz), 3.78-4.00 (12H, m, containing two 3H, singlet at 3.81 and 3.821 ppm), 4.07 (1H, dd, J=4.4, 7.1 Hz), 4.11-4.18 (2H, m), 4.49, 4.67 (2H, AB-q, J=11.4 Hz), 4.52, 4.57 (2H, AB-q, J=11.3 Hz), 4.93 (1H, d, J=4.2 Hz, anomeric H), 6.86-6.91 (4H, m), 7.22 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.29 ((2H, d, J=8.6 Hz). ESIMS: m/z 819 [M+Na]+. HRESIMS: Calcd. for C46H68O11Na: 819.4654. Observed: 819.4645.
実施例11
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−イソプロピリデン−2,3−ジ−O−(4−メトキシベンジル)−α−D−ガラクトピラノシド(化合物46)の合成
(工程d)
化合物45(166mg、0.208mmol)、セロチン酸(330mg、0.832mmol)、DMAP(509mg、4.165mmol)及び1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC塩酸塩(800mg、4.165mmol))のTHF−メチレンクロリド(1:1、32ml)懸濁液を室温で4日間攪拌した。トリクロロメタンで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(5:1)で溶出し、蝋状物質として化合物46(116mg、47%)を得た。
IR νmax(KBr) 2922, 2852, 1737, 1616 (w), 1515 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.87-0.89 (6H, m), 1.25-1.68 (76H, m), 2.11-2.14 (4H, m), 2.24-2.31 (2H, m), 3.63 (1H, s), 3.66 (1H, dd, J=4.4, 11.5 Hz), 3.73 (1H, m), 3.77-4.70 (20H, m, containing two 3H, singlets at 3.80 and 3.81 ppm), 5.01 (1H, d, J=4.0 Hz, anomeric H), 5.06 (1H, m), 6.85-6.90 (4H, m), 7.20 (2H, m), 7.30 (2H, m). ESIMS: m/z 1197.85 [M+Na]+. HRESIMS: Calcd. for C72H118O12Na: 1197.8516. Observed: 1197.8517.
実施例12
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデン−11−オクタデシン−1−イル 4,6−O−イソプロピリデン−α−D−ガラクトピラノシド(化合物47)の合成
(工程e)
化合物46(113mg、0.096mmol)のジクロロメタン−水(10:1、11ml)溶液にDDQ(113mg、0.498mmol)を加え、3時間室温で攪拌した後、ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水(2回)、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(2:1、更に3:2)で溶出し、蝋状物質として表題化合物47(57mg、63%)を得た。
IR νmax(KBr) 3483, 3233, 2920, 2851, 1737 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.87-0.90 (6H, m), 1.21-1.62 (64H, m, containing four 3H, s, at 1.33, 1.37, 1.42 and 1.45 ppm), 2.13 (4H, t, J=7.1 Hz), 2.27-2.32 (2H, m), 3.66 (1H, dd, J=5.7, 11.3 Hz), 3.83 (1H, t, J=7.0 Hz), 3.94 (1H, dd, J=6.7, 8.7 Hz), 3.98-4.04 (3H, m), 4.11 (1H, dd, J=2.1, 11.2 Hz), 4.15-4.18 (2H, m), 4.21 (1H, dd, J=6.6, 13.5 Hz), 4.91 (1H, d, J=4.4 Hz, anomeri H), 5.02 (1H, m). ESIMS: m/z 957.7 [M+Na]+. HRESIMS: Calcd. for C56H102O10Na: 957.7365; Observed: 957.7357.
実施例13
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−11−オクタデシン−1−イル α−D−ガラクトピラノシド(化合物23)の合成
(工程f)
化合物47(35mg、0.037mmol)のジクロロメタン−アセトニトリル(1:1,14ml)溶液に水(82mg)を加えた。ここに46%フッ化水素酸水溶液(約32mg)を加え、室温で15分間撹拌した。直ちに飽和重曹水で中和し、ろ過し、ジクロロメタンで希釈した。飽和重曹水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。CHCl−MeOH(19:1)で溶出すると、蝋状物質として化合物23(6mg、19%)と、化合物23のセロチン酸部分がC4位の水酸基に転移した化合物との混合物(約1:1、18mg、56%)が得られた。それぞれの化合物の薄層クロマトグラフィーでのRf値は、酢酸エチル−メタノール(19:1)系で、化合物23(Rf=0.495)及びC4転移物(Rf=0.433)であった。混合物を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、表題化合物23が得られた。
[α]D 28+31.1 (c 0.33, CHCl3-CH3OH (11:1)). IR νmax(KBr) 3382−3330, 2922, 2851, 1735, 1468 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3-CD3OD, 10:1) δ 0.88 (3H, t, J=6.9 Hz), 0.89 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.22-1.69 (64H, m), 2.13 (4H, t, J=7.1 Hz), 2.34 (2H, m), 3.60-3.78 (6H, m), 3.83 (1H, dd, J=3.7, 7.2 Hz), 4.02-4.07 (2H, m), 4.16 (1H, t, J=7.7 Hz), 4.88 (1H, d, J=4.7 Hz, anomeric H), 5.10 (1H, dt, J=4.3, 9.9 Hz). 125MHz 13C NMR (CDCl3-CD3OD, 10:1) 13.98, 14.05, 18.68, 18.70, 22.52, 22.64, 24.84, 25.69, 28.52, 28.83, 29.10, 29.12, 29.13, 29.17, 29.28, 29.32, 29.47, 29.61, 29.66, 29.68, 31.33, 31.88, 32.01, 34.29, 63.85, 67.53, 71.52, 71.88, 71.90, 72.13, 72.14, 73.66, 73.67, 74.71, 80.08, 80.28, 101.72, 173.56. ESIMS: m/z 877.67 [M+Na]+. HRESIMS: calcd. for C50H94O10Na, 877.6739; observed, 877.6742.
上記化合物24は、以下の方法によっても製造することができる。
実施例14
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル α−D−ガラクトピラノシド(化合物22’)の合成
(工程a)
化合物22(20mg、0.020mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液中、20%Pd(OH)炭素(20mg)を触媒として室温で16時間加水素分解を行った。分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:トリクロロメタン−メタノール(9:1))にて精製すると、表題化合物22’(12mg、66%)が得られた[化合物が存在する場所はUV検出器では検出できないが、展開層から薄層板を取り出した後、展開溶媒で濡れている間は濃度差がありその場所を特定できるので、そこを掻取りCHCl−MeOH(7:1)で溶出した。]。又はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。トリクロロメタン−メタノール(19:1、さらに9:1)で溶出すると表題化合物22’(15mg、82%)が得られた。
IR νmax(KBr) 3367 (broad), 2919, 2850, 1732, 1471 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (6H, t, J=6.8 Hz), 1.25 (70H, bs), 1.34 (3H, s), 1.43 (3H, s), 1.53-1.67 (2H, m), 2.26-2.35 (4H, m, containing two OH), 2.59 (1H, d, J=3.1 Hz), 2.83 (1H, s, OH), 3.71 (1H, dd, J=5.7, 11.3 Hz), 3.75-3.88 (4H, m), 3.95 (1H, m), 4.04 (1H, dd, J=1.7, 11.5 Hz), 4.10 (1H, bs), 4.16-4.18 (2H, m), 4.93 (1H, d, J=3.2 Hz, anomeric H), 5.04 (1H, m). ESIMS: m/z 921.7 [M+Na]+. HRESIMS: Calcd. for C53H102O10Na: 921.7365. Observed: 921.7357.
製造例21
(2S,3S,4R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシ−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデカン(化合物34)の合成
(工程a)
化合物28(500mg、1.062mmol)の酢酸エチル(20ml)溶液に、触媒として20%Pd(OH)炭素(200mg)を加え、水素雰囲気下で水素添加を行なった。室温で1時間放置した後、ろ過し濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出すると油状物質として表題化合物34(478mg、95%)が得られた。
IR: νmax(KBr) 3535 (broad), 2926, 2856, 1517, 1464 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.09 (6H, s), 0.88 (3H, t, J=6.8 Hz), 0.91 (9H, s), 1.25 (23H, bs), 1.32 (3H, s), 1.40 (3H, s), 1.52-1.59 (2H, m), 1.72 (1H, m), 3.64-3.70 (2H, m), 3.82 (1H, m), 3.91 (1H, dd, J=5.6, 8.8 Hz), 4.17 (1H, m). EIMS: m/z 457 [M-CH3]+. HREIMS: calcd. for C26H53O4Si: 457.3713; observed, 457.3717.
製造例22
(2S,3R,4R)−1,2−ジ−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデカン(化合物35)の合成
(工程b)
化合物34(180mg、0.381mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液に2,6−ルチジン(204mg、1.903mmol)とt−ブチルジメチルシリル トリフルオロメタンスルフォネート(302mg、1.142mmol)を加え室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出すると油状物質として表題化合物35(221mg、99%)が得られた。
製造例23
(2S,3S,4R)−2−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデカン−1−オール(化合物36)の合成
(工程c)
化合物35(6.41g、10.92mmol)のピリジン(48ml)とTHF(80ml)溶液にHF−ピリジン(16ml)を0℃で加え4時間室温で撹拌した。酢酸エチルで希釈し固体重曹粉末で中和し、さらに飽和重曹水を少しずつ滴下し、酢酸エチル層を分取した。飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(19:1、さらに4:1)で溶出すると、原料化合物35(2.12g、33%回収)と油状物質として表題化合物36(2.34g、45%)が得られた。
IR: νmax(KBr) 3500 (broad) cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.11 (3H, s), 0.13 (3H, s), 0.88 (12H, bs), 1.26 (26H, bs), 1.35 (3H, s), 1.43 (3H, s), 2.26 (1H, t, J=4.5 Hz, OH), 3.72-3.75 (3H, m), 3.83 (1H, m), 4.08 (1H, m), 4.12 (1H, m). EIMS: m/z 457 [M-CH3]+. HREIMS: calcd. for C26H53O4Si: 457.3713; observed, 457.3710.
実施例15
(2S,3R,4R)−2−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル 2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシド(化合物38)及び
(2S,3R,4R)−2−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル 2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−β−D−ガラクトピラノシド(化合物38’)の合成
(工程a)
文献既知化合物37(C−H,Wong等、J.Org.Chem,2002,67,4559−4564)(純度約90%、540mg、0.82mmol)と化合物36(355mg、0.75mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液に、粉末モレキュラーシーブ(MS)4Å(1.6g)を加え、室温で30分間攪拌し、更に0℃に冷却してトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)(200mg、0.778mmol)を加えて30分間、更に室温で2時間攪拌した。ろ過後ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1、次に4:1)で溶出し、ガム状物質として表題化合物38(315mg、46%)および表題化合物38’(246mg、39%)を単離精製した。
化合物38の物理恒数:Rf=0.412 (hexane:EtOAc=4:1); IR νmax(KBr) 2925, 2854, 1457, 1367, 1249, 1218 cm-1; 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.06 (3H, s), 0.08 (3H, s), 0.85 (9H, s), 0.90 (3H, m), 1.26 (26+3H, bs), 1.37 (3H, s), 1.52-1.58 (2H, m), 3.58 (1H, m), 3.62 (1H, bs), 3.84 (1H, m), 3.86 (1H, m), 3.99-4.19 (7H, m), 4.68-4.84 (4H, m), 5.01 (1H, d, J=3.5 Hz, anomeric H), 5.49 (1H, s), 7.25-7.40 (13H, m), 7.51-7.53 (2H, m). HRESIMS: calcd. for C54H82O9SiNa, 925.5620; observed, 925.5612.
化合物38’の物理恒数:Rf=0.163 (hexane:EtOAc=4:1); IR νmax(KBr) 2925, 2854, 1456, 1367 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.13 (3H, s), 0.25 (3H, s), 0.87 (12H, bs), 1.25-1.62 (32H, m, conaining two 3H singlets at 1.30 and 1.41 ppm), 3.29 (1H, s), 3.55 (1H, m), 3.77 (1H, d, J=8.8 Hz), 3.87 (1H, m), 3.97-4.10 (6H, m), 4.27 (1H, d, J=12.0 Hz), 4.46 (1H, d, J=7.5 Hz, anomeric H), 4.71-4.77 (2H, m), 4.82, 4.94 (2H, AB-q, J=11.2 Hz), 5.46 (1H, s), 7.26-7.40 (13H, m), 7.53-7.55 (2H, m). HRESIMS: calcd. for C54H82O9SiNa, 925.5620; observed, 925.5610.
実施例16
(2S,3S,4R)−2−ヒドロキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル 2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシド(化合物39)の合成
(工程b)
化合物38(115mg、0.127mmol)とテトラブチルアンモニウムフルオリド(1M THF溶液、0.6ml)のTHF(5ml)溶液を、室温で50分間撹拌した。そのまま濃縮した。酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(4:1)で溶出し、ガム状物質として表題化合物39(87mg、87%)を得た。
IR νmax(KBr) 3511 (br), 2924, 2854, 1456, 1373 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.25-1.40 (28H, m, containing two 3H singlets at 1.31 and 1.38 ppm), 1.47-1.56 (3H, m), 1.69 (1H, m), 3.24 (1H, bs, OH), 3.47 (1H, dd, J=8.1, 10.8 Hz), 3.69 (1H, s), 3.80 (1H, m), 3.90 (1H, dd, J=5.7, 9.1 Hz), 3.99-4.03 (3H, m), 4.09 (1H, dd, J=3.7, 10.0 Hz), 4.14 (1H, m), 4.21-4.24 (2H, m), 4.68, 4.88 (2H, AB-q, J=11.5 Hz), 4.74, 4.78 (2H, AB-q, J=12.0 Hz), 5.48 (1H, s), 7.27-7.42 (13H, m), 7.51-7.53 (2H, m). ESIMS (positive-ion): m/z 811.5 [M+Na]+. HRESIMS: calcd. for C48H68O9Na: 811.4756; observed: 811.4750.
実施例17
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル 2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−ガラクトピラノシド(化合物40)の合成
(工程c)
化合物39(165mg、0.209mmol)、セロチン酸(332mg、0.836mmol)、DMAP(511mg、4.182mmol)及び1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC塩酸塩(802mg、4.182mmol))のTHF−ジクロロメタン(1:1、30ml)懸濁液を、室温で5日間攪拌した。トリクロロメタンで希釈し、水、飽和食塩水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ヘキサン−酢酸エチル(9:1、さらに4:1)で溶出し、蝋状物質として表題化合物40(228mg、93%)を得た。
IR νmax(KBr) 2918, 2850, 1740, 1471, 1170 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (6H, t, J=6.8 Hz), 1.24-1.56 (78H, m, containing two 3H singlets at 1.32 and 1.41 ppm), 2.23 (2H, m), 3.65 (1H, s), 3.72 (1H, dd, J=5.9, 11.6 Hz), 3.91 (1H, dd, J=2.4, 11.4 Hz), 3.97 (1H, dd, J=3.4, 10.0 Hz), 4.00 (1H, dd, J=1.5, 13.0 Hz), 4.06 (1H, dd, J=3.4, 10.0 Hz), 4.10 (1H, m), 4.19 (1H, d, J=8.1 Hz), 4.20 (1H, s), 4.23 (1H, dd, J=5.7, 8.1 Hz), 4.68, 4.80 (2H, AB-q, J=11.7 Hz), 4.72, 4.80 (2H, AB-q, J=12.3 Hz), 5.00 (1H, d, J=3.5 Hz, anomeric H), 5.02 (1H, m), 5.47 (1H, s), 7.26-7.40 (13H, m), 7.31-7.37 (5H, m), 7.50-7.53 (2H, m). ESIMS: m/z 1189.9 [M+Na]+. HRESIMS: calcd. for C74H118O10Na, 1189.8617; observed, 1189.8611.
実施例18
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−O−イソプロピリデンオクタデシル α−D−ガラクトピラノシド(化合物22’)の合成
(工程d)
化合物40(82mg、0.091mmol)のテトラヒドロフラン(66ml)溶液中、20%Pd(OH)炭素(74mg)を触媒として、室温で24時間加水素分解を行った。ろ過し、触媒はトリクロロメタン−メタノール(7:1)で洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。トリクロロメタン−メタノール(39:1、さらに9:1)で溶出すると、ガム状物質として表題化合物22’(57mg、90%)が得られた。
本工程で得られた化合物22’の物理恒数は、上記の化合物22’の物理恒数と同値であった。
実施例19
(2S,3R,4R)−2−ヘキサコサノイルオキシ−3,4−ジヒドロキシオクタデシル α−D−ガラクトピラノシド(化合物24)の合成
(工程a)
実施例14又は実施例18で得られた化合物22’(50mg、0.056mmol)のジクロロメタン−アセトニトリル(1:1,80ml)溶液に水(460mg)を加えた。ここに46%フッ化水素酸水溶液(275mg)を加え、室温で15分間撹拌した。直ちに飽和重曹水にて中和し、トリクロロメタンで希釈した。飽和重曹水、飽和食塩水洗し硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。トリクロロメタン−メタノール(19:1、さらに9:1)で溶出すると、表題化合物24(22mg、46%)が得られた。または分取薄層クロマトグラフィー(トリクロロメタン−メタノール(7:1)展開)にて精製すると、表題化合物24(18mg、38%)が得られた。
[α]D 2852.7 (c 0.69, CHCl3-MeOH(9:1)). IR νmax(KBr) 3399 (br), 2919, 2850, 1736, 1468 cm-1. 500 MHz 1H NMR (CDCl3-CD3OD, 10:1) δ 0.88 (6H, t, J=6.8 Hz), 1.26 (68H, bs), 1.52-1.57 (2H, m), 1.57-1.64 (2H, m), 2.33 (2H, t, J=7.7 Hz), 3.61 (1H, m), 3.72-3.86 (7H, m), 3.99 (1H, d, J=2.7 Hz), 4.03 (1H, dd, J=4.2, 11.5 Hz), 4.91 (1H, d, J=3.7 Hz, anomeric H), 5.10 (1H, q, J=4.9 Hz). 150 MHz 13C NMR (CDCl3-CD3OD, 10:1) 14.14, 22.74, 24.98, 25.90, 29.24, 29.38, 29.41, 29.56, 29.72, 29.76, 31.98, 32.07, 62.44, 67.20, 69.08, 70.12, 70.33, 71.89, 72.27, 73.41, 99.38, 173.63. ESIMS: m/z 881.7 [M+Na]+. HRESIMS: calcd. for C50H98O10Na, 881.7052; observed, 881.7048.
試験例1
α−GalCer、化合物23及び化合物24のそれぞれについて1mg/mLの濃度のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を調製した。1匹のマウスに200μLを腹腔内に投与した際、投与量が100μg/kg体重になるように、上記のDMSO溶液を0.5%のTween20(Bio−Rad)を含有した生理食塩水(大塚製薬株式会社製)を用いて希釈した。
1群2匹のC57BL/6マウスに、調製した化合物23及び24の溶液200μLをそれぞれ腹腔内に注射した。対照物質としてα−GalCerを用い、同様の方法により投与量が100μg/kg体重となるように調製したα−GalCerの溶液200μLを腹腔内に注射した。媒体である0.5%のTween20を含有する生理食塩水200μLを投与した群をネガティブコントロールとした。投与後6、12、24時間経過後の血液を眼下静脈叢より80μL採取し、血清を調製した。
投与後6、12、24時間経過後の血清中のIFN−γの含有量を、サンドウィッチELISA(ENDOGEN)により測定した。また、投与後12時間経過後の血清中のIL−4の含有量を、ELISA法の1つであるCytometric bead arrayシステム(BD Biosciences)で測定した。
IFN−γ産生量の測定結果(平均値)を図1に示す。IL−4産生量の測定結果(平均値)を図2に示す。
試験例2
α−GalCer及び化合物33を用い、上記試験例1と同様の方法で、投与後3、6、12、24、36、48及び60時間経過後の血液を眼下静脈叢より80μL採取し、血清を調製した。
投与後3、6、12、24、36、48及び60時間経過後の血清中のIFN−γの含有量を、上記試験例1と同様の方法で測定した。また、投与後3、6及び12時間経過後の血清中のIL−4の含有量を、上記試験例1と同様の方法で測定した。
IFN−γ産生量の測定結果(平均値)を図3に示す。IL−4産生量の測定結果(平均値)を図4に示す。
これらの結果より、化合物23、24及び33の投与では、α−GalCerに比較して、IL−4の産生が少なく、一方、同等又はそれ以上のIFN−γを産生させた。このように、本発明の化合物は、IFN−γを優先的或いは選択的に産生することが明らかとなった。
本発明の化合物(I)又はその塩は、免疫細胞の働きを活性化するサイトカインの一種であるIFN−γを選択的かつ大量に産生させることができる。
したがって、本発明の化合物(I)又はその塩は、癌治療に極めて有用であり、特に留意すべき副作用がない点においても有効である。その結果、従来の癌の摘出手術等による患者への身体的、精神的負担を軽減できる。また、生物学的な試験および研究における試薬類としても使用可能である。
本発明の化合物(II)又はその塩は、化合物(I)又はその塩の合成中間体として有用である。本発明の化合物(I)又はその塩のうち、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成する化合物(例、実施例に記載の化合物32、22’等)は、R及びRが水素原子である化合物(I)又はその塩の合成中間体としても有用である。
本出願は、日本で出願された特願2008−233713を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (11)

  1. 式(I):
    (式中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R3は、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、R及びRは、同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示すか、又は、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成していても良い。)
    で示される化合物又はその塩。
  2. が、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基又は炭素数2〜30のアルキニル基である、請求項1記載の化合物又はその塩。
  3. が、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜20のアルキニル基である、請求項1記載の化合物又はその塩。
  4. 請求項1記載の化合物又はその塩を含有する、医薬。
  5. 請求項1記載の化合物又はその塩を含有する、免疫賦活剤。
  6. 請求項1記載の化合物又はその塩を含有する、選択的IFN−γ産生誘導剤。
  7. 請求項1記載の化合物又はその塩を含有する、抗癌剤。
  8. 式(II):
    (式中、R2は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Mは炭素数1〜5の炭化水素基又はAを示し、A及びAは水酸基の保護基を示し、A及びAが一緒になって保護基を形成していてもよく、A及びAは同一又は異なって水素原子又は水酸基の保護基を示し、A及びAが一緒になって保護基を形成していてもよく、Aは水酸基の保護基又はRを示し、Aは水酸基の保護基又はRを示し、A及びAが一緒になって保護基を形成してもよく、R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示すか、又は、RとRが一緒になって炭素数1〜5の2価の炭化水素基となり、隣接するエチレンジオキシと共に環構造を形成していてもよく、Bは−CO−R1(式中、R1は、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)を示す。)
    で示される化合物又はその塩。
  9. 免疫賦活剤を製造するための、請求項1記載の化合物又はその塩の使用。
  10. 選択的IFN−γ産生誘導剤を製造するための、請求項1記載の化合物又はその塩の使用。
  11. 抗癌剤を製造するための、請求項1記載の化合物又はその塩の使用。
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