JP5574106B2 - 給湯システム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスエンジンもしくは燃料電池等の冷却水排熱、ヒートポンプの冷媒が有する熱や、自然エネルギーの太陽熱等の外部熱源からの排熱回収によって貯湯として蓄熱し、蓄熱された貯湯を給湯に利用したり外部熱負荷への熱源に利用したりするようにした給湯システムに関し、特に次回の給湯の際に冷水サンドイッチ現象の発生を効率よく回避するための技術に係る。
従来、給湯システムとして、排熱媒を循環させてその排熱媒からの熱回収により加熱した湯を貯湯槽に貯湯して蓄熱するものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、貯湯槽内の蓄熱量が給湯用の所定熱量に満たない段階で給湯使用が生じた場合に備えて補助熱源機を付設し、ポンプ作動により貯湯槽の底部から取り出した湯水又は給水を補助熱源機に導いてこの補助熱源機で加熱した上で給湯するようにしている。そして、給湯使用が終了した後も、所定期間だけポンプ及び補助熱源機を作動させ、補助熱源機から出湯した湯を貯湯槽の頂部に戻して貯湯槽内に所定量の湯を貯湯するようにすることにより、次回の給湯使用の際に冷水サンドイッチ現象の発生を回避するようにしている。
すなわち、図8に例示するように、給湯使用が生じたら(例えば、給湯栓の開操作)、貯湯槽300の頂部に所定温度以上の貯湯があれば、この貯湯槽300の頂部から経路301を通して湯が取り出されて給湯されることになるものの(二点鎖線の矢印参照)、所定温度以上の貯湯が無ければポンプ302を作動させて貯湯槽300の底部側から給水を取り出し経路303を通して補助熱源機304に導き、補助熱源機304で加熱した上で経路305を通して給湯するようにしている(一点鎖線の矢印参照)。そして、給湯使用が終了した後も、所定時間だけポンプ302の作動及び補助熱源機304の燃焼作動を継続させ、補助熱源機304で加熱された湯を貯湯槽300の頂部に順次貯湯するようにしている(点線の矢印参照)。このようにすることで、次回の給湯使用の際には、たとえ貯湯槽300の蓄熱量が給湯用の所定熱量に満たない場合であっても、経路301内及び貯湯槽300の頂部にある湯が経路301を通して初期給湯に利用されるため、冷水サンドイッチ現象の発生を回避し得るようにするものである。
特許第4099085号公報
しかしながら、前記の従来技術では、冷水サンドイッチ現象の発生を回避するためとはいえ、ポンプ302の駆動エネルギーや補助熱源機304の燃焼エネルギーを必要以上に消費してしまうおそれがあり、これを回避して、冷水サンドイッチ現象の発生を確実に回避しつつも、より一層のエネルギー消費を抑制して省エネルギー性を高める必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、給湯使用の初期における冷水サンドイッチ現象の発生を確実に回避する対策を講じつつも、その対策に要するエネルギー消費を従来よりも大幅に低減させ得る給湯システムを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明では、外部熱源からの熱回収により貯湯として蓄熱するための貯湯槽と、前記貯湯槽に蓄熱された貯湯を前記貯湯槽の上部から取り出して給湯使用させるための給湯回路と、補助熱源機と、前記貯湯槽内の蓄熱量が不足するとき圧送手段を作動させて補助熱源機により補助加熱した上で給湯回路に給湯させる補助加熱給湯モードを有する給湯制御手段とを備えている給湯システムを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記貯湯槽の上部から給湯回路に延びる回路部に対し前記貯湯槽の近傍位置で連通接続されて前記補助熱源機の入水側に連通接続される一方、前記補助熱源機の出湯側から前記給湯回路に延びる回路部に連通されて前記補助熱源機の入水側に戻るループ状循環回路を備えることとする。そして、前記給湯制御手段として、前記補助加熱給湯モードによる給湯使用が停止した後、前記圧送手段を作動させて前記ループ状循環回路に対する湯水循環を行うポスト循環モードを実行する構成とした(請求項1)。
本発明の場合、補助加熱給湯モードの終了後にポスト循環モードを実行することで、それまでの補助加熱給湯モードでは前記給湯回路に延びる回路部内に滞留し放熱により低温状態になっていた内部湯水が、前記ループ状循環回路に対する湯水循環によりその循環湯水と置換され、前記給湯回路に延びる回路部内がポスト循環モードに基づく循環湯水で充満された状態になる。これにより、次回の給湯使用(例えば給湯栓の開操作)の際には、前記給湯回路に延びる回路部内の湯水が給湯回路に対し供給されたとしても、冷水サンドイッチ現象の発生が回避されることになる。しかも、従来の冷水サンドイッチ現象の発生を回避するために貯湯槽内に補助熱源機で加熱した湯水を所定量貯湯するという対策と比べ、圧送手段の作動エネルギー等の消費を飛躍的に低減させて、大幅な省エネルギー化を実現させることが可能になる。
本発明において、前記給湯制御手段により実行されるポスト循環モードとして、前記貯湯槽の上部から給湯回路に延びる回路部内において前記補助加熱給湯モードの実行中に滞留していた湯水が循環湯水により置換されることで制御が終了する構成とすることができる(請求項2)。このようにすることで、ポスト循環モードによる制御の実行時間を冷水サンドイッチ現象の発生回避に必要な最短時間とし得ることになる。
この場合、前記給湯制御手段により実行されるポスト循環モードとして、前記補助加熱給湯モードによる給湯使用が停止した後、前記ポスト循環モードの実行開始から設定時間が経過したこと、又は、前記ポスト循環モードの実行開始から前記ループ状循環回路の所定位置の湯水温度が設定温度以上まで昇温したこと、のいずれかの条件が成立することで制御が終了する構成とすることで(請求項3)、冷水サンドイッチ現象の発生回避に必要な対策処理を確実に実行し得ることになる。
以上、説明したように、本発明の給湯システムによれば、補助加熱給湯モードの終了後にポスト循環モードを実行することで、冷水サンドイッチ現象の発生を確実に回避することができる一方、従来の冷水サンドイッチ現象の発生を回避するために貯湯槽内に補助熱源機で加熱した湯水を所定量貯湯するという対策と比べ、圧送手段の作動エネルギー等の消費を飛躍的に低減することができ、大幅な省エネルギー化を実現させることができるようになる。
特に、請求項2によれば、前記ポスト循環モードを、前記貯湯槽の上部から給湯回路に延びる回路部内の内部湯水が循環湯水により置換されることにより制御を終了させる構成とすることで、ポスト循環モードによる制御の実行時間を冷水サンドイッチ現象の発生回避に必要な最短時間とすることができるようになる。
請求項3によれば、前記ポスト循環モードを、その実行開始から設定時間が経過したこと、又は、その実行開始から前記ループ状循環回路の所定位置の湯水温度が設定温度以上まで昇温したこと、のいずれかの条件が成立することで制御を終了させる構成とすることで、冷水サンドイッチ現象の発生回避に必要な対策処理を確実に実行することができるようになる。
本発明の第1実施形態を示す模式図である。 補助熱源機を利用した給湯作動を説明するための図1対応図である。 給湯使用停止後のポスト循環制御に係るフローチャートである。 ポスト循環制御による循環作動を説明するための図1対応図である。 本発明の第2実施形態を示す模式図である。 第2実施形態でのポスト循環制御による循環作動を説明するための図5対応図である。 ポスト循環制御の他の形態に係るフローチャートである。 従来技術による例を模式的に示す部分説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る給湯システムの例を示す。同図中の符号1は外部熱源としてのガスエンジン、2は貯湯槽3内の湯水を底部から取り出して頂部に戻す間にガスエンジンのエンジン冷却水の排熱を熱回収し貯湯として蓄熱するための循環回路、4は外部から水道水等を給水する給水回路、5は貯湯槽3からの貯湯又は補助熱源機6からの補助加熱後の湯を用いて給湯栓50に給湯する給湯回路、7は循環回路2からの湯を暖房熱源とする外部熱負荷としての暖房回路、9は同様に循環回路2からの湯を追い焚き熱源とする他の外部熱負荷としての風呂追い焚き回路、10はこの給湯システムの作動制御を行うコントローラである。
ガスエンジン1には、内部のエンジン冷却水を熱源熱媒として液−液熱交換器21との間で循環させる熱媒循環路11が接続され、この熱媒循環路11には循環ポンプ12と、膨張タンク13とが介装されている。
貯湯槽3は密閉式に構成され、適所に貯湯の温度を検出するための貯湯温度センサ(例えば底部位置及び頂部位置の貯湯温度センサ30,31)が設けられている。そして、循環回路2は、圧送手段としての循環ポンプ(例えば吐出流量可変型)22の作動により貯湯槽3の底部32から内部の湯水を取り出して排熱回収部としての液−液熱交換器21に通し、さらに補助熱源機6又は補助熱源機バイパス路61を通過して貯湯槽3の頂部33に戻すように配設されている。補助熱源機6又は補助熱源機バイパス路61を出た後、閉止機能付きの流量調整弁23を介して貯湯槽3の頂部33に至るようになっている。又、補助熱源機6と流量調整弁23との間には後述の分岐点24、分岐点25が配設され、流量調整弁23の下流側位置には分岐点26が配設されている。以下、この分岐点26から分岐して貯湯槽3の頂部33に至るまでの循環回路2の一部を頂部側回路部27と呼ぶことにする。
さらに、循環ポンプ22の上流側位置の循環回路2には、貯湯槽3の頂部33から湯水を取り出す取り出し回路部51の下流端が、三方切換弁を兼ねる第1混合弁52を介して接続されている。すなわち、取り出し回路部51の上流端が貯湯槽3の頂部33近傍位置の前記頂部側回路部27に分岐接続されており、循環回路2により貯湯槽3の底部から取り出した湯水と、取り出し回路部51により合流点28を通して頂部側回路部27からそのまま循環される湯水とを第1混合弁52において所定の混合比(0〜100%:100〜0%)で混合した上で、下流側である液−液熱交換器21の側に流し得るようになっている。要するに、第1混合弁52で2種類の湯水を混合したり、第1混合弁52の取り出し回路部51側を閉(混合比0%)にすれば貯湯槽3の底部からの湯水のみを補助熱源機6に供給したり、あるいは、第1混合弁52の循環回路2側(貯湯槽3の底部32側)を閉(混合比0%)にすれば取り出し回路部51を通して流入する頂部側回路部27から循環される湯水のみを補助熱源機6に供給したり、種々切換られるようになっている。最後に記載した、頂部側回路部27から循環される湯水のみを補助熱源機6に供給するという流れ状態が後述のポスト循環モードにおける流れ状態であり、頂部側回路部27、取り出し回路部51、第1混合弁52、循環ポンプ22、液-液熱交換器21、補助熱源機6及び分岐点26を経て再び頂部側回路部27に流入する回路がループ状循環回路を構成することになる。従って、頂部側回路部27は、ポスト循環モードによる制御が実行されるループ状循環回路の一部の回路部を構成する他、後述の給湯単独モードによる制御が実行される給湯回路53の一部の回路部をも構成するものである。
なお、図1の符号60は循環ポンプ22により供給される湯水の流路を補助熱源機6又は補助熱源機バイパス路61に切換える三方切換弁、62は補助熱源機6に入水される湯水温度(入口温度)を検出する入口温度センサ、63は補助熱源機6の出口から出た直後の加熱後の湯水温度(出口温度)を検出する出口温度センサである。
給水回路4は、主給水路41の上流端が外部の水道管等に接続され、逆止弁42を介して下流端が貯湯槽3の底部32近傍位置の循環回路2に接続されて、貯湯槽3の底部32に対し給水したり、循環回路2の下流側に給水したりすることができるようになっている。又、主給水路41の上流側から逆止弁43を介して分岐した混水用給水路44が給湯回路5の後述の第2混合弁54に対し給水可能に接続されている。なお、図1の符号46は給水回路4により給水される水の温度を検出する給水温度センサである。
給湯回路5は、循環回路2の前記の分岐点26に上流端が接続されて循環回路2から分岐するように接続されて下流端側が給湯栓50まで延びるように接続された給湯回路53と、この給湯回路53に介装された第2混合弁54と、第2混合弁54の下流側位置に配設された出給湯量センサ57及び給湯温度センサ55とを備えている。前記の第2混合弁54は、給湯回路53の上流側からの湯水と、前記の混水用給水路44からの給水とを所定の混合比で混合(混水)させることにより所定の設定給湯温度に温調した上で、給湯栓50に給湯するものである。そして、前記の給湯温度センサ55は、温調後に最終的に給湯させる湯の温度を検出してコントローラ10に出力するようになっており、この給湯温度センサ55からの出力に基づいて第2混合弁54による温調制御がコントローラ10により行われるようになっている。
前記の給湯回路53に対しては、貯湯槽3内の貯湯温度が設定給湯温度よりも所定値(例えば6度分)だけ高温のときに実行される貯湯単独給湯モードにおいては貯湯槽3の頂部33から湯水が頂部側回路部27及び分岐点26を通して給湯用の湯として供給され、貯湯槽3内の貯湯温度が前記の所定値を下回るときに実行される補助加熱給湯モードにおいては貯湯槽3の底部32からの湯水及び/又は頂部33からの湯水が第1混合弁52を通して液−液熱交換器21及び補助熱源機6に供給されて補助加熱後の湯が分岐点26を介して給湯用の湯として供給されるようになっている。なお、図1中の符号56は機器異常の発生等に起因する高温水の給湯を阻止して回避するための回避弁である。
補助熱源機6は、例えば瞬間式給湯器により構成され、循環回路2の途中に介装されたものである。コントローラ10からの指令により燃焼作動されると、循環回路2の一方から流入する湯水を燃焼熱により熱交換加熱して、加熱後の湯水を循環回路2の他方に出湯させることにより、循環回路2を流れる湯水を補助加熱するようになっている。補助熱源機6は、その出口側に設けられた出口温度センサ63からの出力に基づきコントローラ10により所定の燃焼作動制御(例えば出口温度が75度になるように燃焼作動制御)が行われるようになっている。
暖房回路7は、循環用の暖房ポンプ70の作動により膨張タンク71から取り出された低温熱媒を分岐点72から一側に位置する熱交換器73で液−液熱交換により加熱して高温熱媒にし、これを高温暖房端末(例えば浴室乾燥機)74に循環供給する高温熱媒回路75と、前記分岐点72から他側にバイパス熱動弁76を介して低温暖房端末(例えば床暖房)77,77,…に対し低温熱媒を循環供給する低温熱媒回路78とを備えている。加えて、高温熱媒回路75の途中から分岐して逆止弁79を介してバイパス熱動弁76の下流側位置の低温熱媒回路78に合流させる高温バイパス回路80が設けられ、熱交換器73で加熱された高温熱媒を、バイパス熱動弁76を介して供給された低温熱媒に合流させて昇温させ得るようになっている。各低温暖房端末77や高温暖房端末74で放熱されて低温になった熱媒は前記膨張タンク71に戻されることになる。
そして、前記の熱交換器73での液−液熱交換の加熱源(暖房用熱源)として、循環回路2から所定の湯が熱交換器73の熱源側に循環供給されるようになっている。すなわち、開閉弁29aを開作動させることにより循環回路2の分岐点24から分岐した熱源供給路29を通して所定の湯が熱交換器73に対し暖房用熱源として供給され、液−液熱交換により温度低下した湯が開閉弁29aを経て循環回路2に対し導出され、この循環回路2を介して種々の経路を経て循環されることになる。
風呂追い焚き回路9は、追い焚きポンプ91を作動させることにより浴槽92内の湯水を追い焚き循環路93を通して熱交換器94との間で循環させ、この熱交換器94での液−液熱交換により追い焚き加熱するようになっている。熱交換器94の熱源側には、補助熱源機6の下流側の循環回路2の分岐点25から分岐した熱源供給路95を通して所定の湯が風呂追い焚き加熱用熱源として供給され、液−液熱交換により温度低下した湯が開閉弁95aを経て、暖房回路7と同様に、貯湯槽3の底部32と第1混合弁52との間の循環回路2に対し導出され、この循環回路2を介して循環されることになる。
以上の各回路2,5,7,9の運転作動は、リモコン101からの入力設定信号や操作信号の出力や、種々の温度センサ31,46,55,62,63等からの検出信号の出力を受けて、コントローラ10により作動制御されるようになっている。コントローラ10は、そのような作動制御のために、排熱貯湯運転制御手段や、給湯制御手段に加え、外部熱負荷制御手段としての暖房制御手段又は/及び追い焚き制御手段等の種々の制御手段を備えている。
排熱貯湯運転制御手段による排熱貯湯運転制御の基本はガスエンジン1が駆動中でエンジン冷却水が所定温度以上になっていることを条件に開始され、第1混合弁52の取り出し回路部51側を0%、つまり閉止し、貯湯槽3の底部32からの循環回路2の側を100%の開度とする一方、熱媒循環路11の循環ポンプ12と、循環回路2の循環ポンプ22とを共に作動させる。すると、貯湯槽3内の湯水は、底部32から循環回路2により取り出され、第1混合弁52及び液−液熱交換器21を通過して、補助熱源機バイパス路61,分岐点26,頂部側回路部27を経て貯湯槽3の頂部33に戻されるという循環を繰り返すことになる。一方、前記の液−液熱交換器21には、熱媒循環路11を通してガスエンジン1からエンジン冷却水が供給されるため、液−液熱交換器21において循環回路2の循環湯水はエンジン冷却水との液−液熱交換によって熱交換加熱され、加熱された湯水が貯湯槽3の頂部33に順次戻されて貯湯槽3内の貯湯温度が上昇することになり、これが繰り返されて蓄熱されることになる。
次に、給湯制御手段による給湯制御について図2〜図4を参照しつつ説明する。給湯制御手段による給湯制御としては前記の貯湯単独給湯モード、補助加熱給湯モード及び本実施形態における特徴的なポスト循環制御モードを備えている。まず、給湯栓50が開操作された場合、貯湯槽3内の蓄熱量が十分であれば、具体的には貯湯温度が設定給湯温度との対比で所定値以上高温(例えば設定給湯温度+6度以上の高温)であれば貯湯単独給湯モードがスタートし、給水回路4からの給水圧に基づき貯湯槽3の頂部から貯湯が頂部側回路部27及び給湯回路53を通して給湯されることになる(図2に流れが生じる部分を太い破線で表示;併せて二点鎖線の矢印参照)。一方、貯湯槽3内の蓄熱量が不足していれば、具体的には貯湯温度が設定給湯温度との対比で所定値以上高温でなければ補助加熱給湯モードがスタートし、補助熱源機6により補助加熱した上で給湯されることになる(一例として図2に流れが生じる部分を太い実線で表示;併せて一点鎖線の矢印参照)。すなわち、図2に太い実線で例示するものの場合には、循環ポンプ22を作動させると共に、第1混合弁52の変更調整量として、貯湯槽3の底部32からの循環回路2の側を100%の開度(つまり全開)にし、取り出し回路部51側を0%の開度(つまり全閉)に変更することで、貯湯槽3の底部32からの湯水及び/又は給水回路4からの給水を補助熱源機6に供給し、補助熱源機6で加熱した上で給湯回路53に給湯する。
給湯栓50が閉操作されて給湯使用が停止すると、前記の補助加熱給湯モードに引き続いてポスト循環モードがスタートすることになる。すなわち、図3に示すように給湯栓50が閉操作されたか否かを監視しておき(ステップS1でNO)、閉操作されたことが例えば給湯流量センサ57からの出力により把握されると(ステップS1でYES)、ポスト循環モードがスタートされる。このスタートにより、給湯栓50が閉操作された時点(ポスト循環モード開始時点)での補助熱源機6から出湯される湯水温度である出口温度を出口温度センサ63により検出し、検出された閉時点での出口温度Tecをコントローラ10の記憶部に記憶設定する(ステップS2)。これと併せて、循環ポンプ22の作動や補助熱源機6の燃焼作動を継続させつつ、ポスト循環に回路切換し、以後、入口温度センサ62により検出される入口温度の検出値を監視する(ステップS2,ステップS3でNO)。
ポスト循環への回路切換は次のようにして実行する。すなわち、第1混合弁52の変更調整量として、貯湯槽3の底部32からの循環回路2の側を0%の開度(つまり全閉)にし、取り出し回路部51側を100%の開度(つまり全開)に変更することで、図4に太い実線及び点線の矢印で流れの状態を示すように、貯湯槽3の底部32側からの湯水の供給を遮断する一方、補助熱源機6から出湯した湯を分岐点26から頂部側回路部27に流入させ、続いて取り出し回路部51及び循環ポンプ22を通して再び補助熱源機6に戻すようにループ状循環回路を構成する経路に循環させる。
そして、監視している入口温度Teの検出値が閉時点の出口温度Tecと等しいか高温になれば、ポスト循環モードを終了させる。あるいは、入口温度センサ62による温度検出に伴う誤差・ばらつき等を考慮して入口温度Teの検出値に所定温度値αを加えた値が閉時点の出口温度Tecと等しいか高温になれば(ステップS3でYES)、循環ポンプ22の作動を停止し、補助熱源機6の燃焼を停止させることによりポスト循環モードを終了させる(ステップS4)。例えば閉時点の出口温度Tecの検出値が60度であれば、その検出誤差が60度プラスマイナス1度として、前記のαとしてはその1度分を設定し、入口温度Teが59度になれば、ポスト循環モードを終了させればよい。要するに、ステップS3の判定の成立(ステップS3でYES)は、閉時点で出口温度センサ63を通過した湯水が頂部側回路部27や取り出し回路部51を通過して再び入口温度センサ62に戻ってきた、つまりそれまでに頂部側回路部27等の内部に滞留していた湯水が全て置換されたことを意味する。
以上より、補助加熱給湯モードからポスト循環モードに移行することで、それまでの補助加熱給湯モードでは頂部側回路部27内に滞留し放熱により低温状態になっていた内部水が、補助熱源機6を通過して加熱された所定温度以上の湯水と置換され、ポスト循環モードの終了段階では、頂部側回路部27等のループ状循環回路内が前記のような所定温度以上の湯水で充満された状態にすることができる。これにより、次回の給湯使用の際には、給湯栓50の開操作に伴い、まず頂部側回路部27内の湯水が分岐点26及び給湯回路53を通して給湯栓50の側に流動したとしても、冷水サンドイッチ現象の発生を回避することができるようになる。しかも、従来の冷水サンドイッチ現象の発生の回避対策(図8参照)と比べ、循環ポンプ22の作動や補助熱源機6の燃焼を継続させる必要時間を飛躍的に短縮することができる。例えば従来が30秒間であるのに対し、本実施形態では5秒間で済むようになる。これにより、循環ポンプ22の作動エネルギーや補助熱源機の燃焼エネルギーの消費を飛躍的に低減させて、大幅な省エネルギー化を実現させることができるようになる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る給湯システムの例を示す。同図中の符号1aは外部熱源として太陽熱を集熱する集熱器、11aは集熱器1aでの集熱を利用する集熱利用循環回路、2は貯湯槽3等の湯水を循環等させる循環回路であり、以下、第1実施形態と同様に、4は外部から水道水等を給水する給水回路、5は貯湯槽3からの貯湯又は補助熱源機6からの補助加熱後の湯を用いて給湯栓50に給湯する給湯回路、7は循環回路2からの湯を暖房熱源とする外部熱負荷としての暖房回路、9は循環回路2からの湯を追い焚き熱源とする他の外部熱負荷としての風呂追い焚き回路、10aはこの給湯システムの作動制御を行うコントローラである。以下、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同じ符号を付して重複した詳細説明を省略し、第1実施形態とは異なる構成について主に説明することにする。
集熱利用循環回路11aは、集熱器1aでの集熱を貯湯槽3内に設置した熱交換コイル14との間で循環させることで貯湯槽3内の湯水を熱交換加熱して蓄熱する蓄熱循環回路15と、前記集熱器1aでの集熱で暖房回路7の戻り温水を液−液熱交換式の熱交換器16で熱交換加熱する直接循環回路17とを備え、これらの回路15,17は切換弁18により切換られて循環ポンプ12の作動によりいずれかが運転されるようになっている。そして、熱交換後に低温となった熱媒は膨張タンク13を経て集熱器1aに供給されるようになっている。このように熱回収のための手段が貯湯槽3内に設置した熱交換コイル14である点で第1実施形態と大きく異なり、その他は、第1実施形態とほぼ同様構成を備えている。従って、コントローラ10aは、第1実施形態のそれでは排熱貯湯運転制御手段による排熱貯湯運転制御を備えているのに代えて、集熱器1aでの集熱を利用して貯湯として蓄熱するための蓄熱制御手段により蓄熱制御を備えており、その他、給湯制御手段、外部熱負荷制御手段としての暖房制御手段又は/及び追い焚き制御手段等の種々の制御手段を備えている点は第1実施形態と同様である。
そして、この第2実施形態の給湯システムにおいても、給湯制御手段の給湯制御が有する貯湯単独給湯モード、補助加熱給湯モード及びポスト循環制御モードによって第1実施形態と同様の制御が実行され、これにより、冷水サンドイッチ現象を確実に回避し得る対策を実行しつつも、その対策に要するエネルギー消費を飛躍的に低減させることができるようになる。すなわち、図3のフローチャートに示される各ステップS1〜S4が実行され、ポスト循環モードでは頂部側回路部27や取り出し回路部51等により構成されるループ状循環回路に補助熱源機6で加熱された湯水が、図6に流れが生じる経路を太い実線で示すように循環され、特に頂部側回路部27内の滞留水が前記の加熱された湯水により置換された状態でポスト循環モードが終了される。これにより、次回の給湯使用の際には、給湯栓50の開操作に伴い、まず頂部側回路部27内の湯水が分岐点26及び給湯回路53を通して給湯栓50の側に流動したとしても、冷水サンドイッチ現象の発生を回避することができるようになる上に、従来の冷水サンドイッチ現象の発生の回避対策(図8参照)と比べ、循環ポンプ22の作動や補助熱源機6の燃焼を継続させる必要時間を飛躍的に短縮することができる。
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係るポスト循環モードの制御フローチャートである。この第3実施形態に係るポスト循環モードは、第1実施形態又は第2実施形態のコントローラ10,10aが有する給湯制御手段による給湯制御に含まれるポスト循環モードの代わりに用いられるものである。すなわち、第1又は第2実施形態におけるポスト循環モードでは、頂部側回路部27内の滞留水が加熱された循環湯水により置換された時点をその制御終了時点とし、それを入口温度センサ62からの検出値と、給湯栓50の閉時点での出口温度センサ63による検出値との対比によって把握するようにしていたが、これを第3実施形態では設定時間tsの経過時点をもって前記の置換された時点と把握して制御を終了させるようにしているのである。
すなわち、第3実施形態に係る給湯制御手段はタイマを備えており、まず、給湯栓50が閉操作されたか否かを監視し(ステップS11でNO)、閉操作されたことが例えば給湯流量センサ57からの出力により把握されると(ステップS11でYES)、ポスト循環モードの制御をスタートさせる。すなわち、タイマをスタートさせると同時に、循環ポンプ22の作動や補助熱源機6の燃焼作動を継続させつつ、ポスト循環に回路切換する(ステップS12,ステップS13でNO)。
ポスト循環への回路切換は第1実施形態において説明したと同様であり、第1混合弁52の連通状態を、貯湯槽3の底部32からの循環回路2の側が全閉に、取り出し回路部51側が全開になるように変更する。これにより、図3又は図6に太い実線及び点線の矢印で流れの状態を示すように、貯湯槽3の底部32側からの湯水の供給を遮断する一方、補助熱源機6から出湯した湯を分岐点26から頂部側回路部27に流入させ、続いて取り出し回路部51及び循環ポンプ22を通して再び補助熱源機6に戻すようにループ状循環回路を構成する経路に循環させる。
そして、設定時間tsが経過してタイマがタイムアップすれば(ステップS13でYES)、循環ポンプ22の作動を停止し、補助熱源機6の燃焼を停止させることによりポスト循環モードを終了させる(ステップS14)。前記の設定時間Tsとしては、頂部側回路部27や取り出し回路部51の配管長さ,配管容量や配管抵抗等や、循環ポンプ22のポンプ能力等を考慮して、補助熱源機6で加熱された湯水が循環により少なくとも第1混合弁52位置又は簡易には補助熱源機6まで戻ってくるまでに要する時間値(例えば5秒)を設定すればよい。又、ポスト循環モードは、少なくとも頂部側回路部27の内部に滞留する低温水を押し出すことができればその目的を果たすことができるため、設定時間tsの設定を、前記の補助熱源機6で加熱された湯水が循環により頂部側回路部27を通過するに要する時間値を設定すればよく、これにより最短の設定時間tsを設定することができ、ポスト循環モードを実行する時間を可及的に短縮することができる。なお、この場合、補助熱源機6の上流側の水は、次回の給湯の際に補助熱源機6で加熱されて出湯されることになるため、低温水のまま残っても不都合は生じない。
このように設定時間tsの経過によりポスト循環モードの制御を終了させるという構成を採用することにより、第1又は第2実施形態での入口温度の検出に基づく場合よりも制御の簡略化を図ることができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、貯湯槽3に貯湯して蓄熱する排熱回収の対象である外部熱源を第1又は第3実施形態ではガスエンジン(エンジン冷却水排熱)、第2又は第3実施形態では太陽熱(太陽熱集熱)を利用した場合を示したが、これに限らず、外部熱源として、燃料電池(冷却水排熱)、あるいは、ヒートポンプ(冷媒の排熱)を用いて、貯湯として蓄熱するようにしてもよく、このような場合においても本発明を適用することができる。
前記第1又は第3実施形態では、補助熱源機バイパス路61を備え、排熱貯湯運転制御において循環湯水を補助熱源機バイパス路61に通しているが、これに限らず、補助熱源機バイパス路61を省略し、排熱貯湯運転制御においては循環湯水を非燃焼状態の補助熱源機6に素通りさせるようにしてもよい。
前記第1又は第3実施形態では、ポスト循環モードにおいて補助熱源機6の燃焼を継続させて循環湯水を加熱しているが、これに限らず、補助熱源機6の燃焼を停止させ、代わりに液−液熱交換器21においてガスエンジン1の冷却水が有する排熱により加熱させるようにしてもよい。この場合、循環湯水は非燃焼状態の補助熱源機6に素通りさせても、あるいは、補助熱源機バイパス路61に通すようにしても、いずれでもよい。
前記第1〜第3実施形態では、補助加熱給湯モードの終了(給湯栓の閉)に引き続いてポスト循環モードを実行するようにし、循環ポンプ22の作動や補助熱源機6の燃焼を継続させるようにしているが、これに限らず、循環ポンプ22の作動を一旦停止してから再度作動させたり、あるいは、循環ポンプ22の作動停止に伴い補助熱源機6の燃焼を一旦停止してから再度燃焼を開始させたりしてもよい。又、補助加熱給湯モードの終了(給湯栓の閉)した後、一旦制御を中断又は終了し、ある時間間隔をおいた上で、ポスト循環モードを実行させるようにしてもよい。
又、前記第1又は第2実施形態では、ポスト循環モードにおいて、頂部側回路部27内の滞留水が加熱後の循環湯水で置換されたか否かの把握を、入口温度センサ62により検出される入口温度に基づいて行うようにしているが、これに限らず、湯水温度の検出はそれ以外のループ状循環回路の他の位置において行うようにしてもよい。例えば、第1混合弁52の上流側位置又は下流側位置、あるいは、取り出し回路部51の適所もしくは頂部側回路部27との連通接続位置において湯水温度の検出を行うようにしてもよい。
1 ガスエンジン(外部熱源)
1a 集熱器(外部熱源)
3 貯湯槽
6 補助熱源機
10,10a コントローラ(給湯制御手段)
22 循環ポンプ(圧送手段)
27 頂部側回路部(給湯回路に延びる回路部,ループ状循環回路)
33 頂部(貯湯槽の上部)
51 取り出し回路部(ループ状循環回路)
53 給湯回路
62 入口温度センサ(湯水温度の検出手段)

Claims (3)

  1. 外部熱源からの熱回収により貯湯として蓄熱するための貯湯槽と、前記貯湯槽に蓄熱された貯湯を前記貯湯槽の上部から取り出して給湯使用させるための給湯回路と、補助熱源機と、前記貯湯槽内の蓄熱量が不足するとき圧送手段を作動させて補助熱源機により補助加熱した上で給湯回路に給湯させる補助加熱給湯モードを有する給湯制御手段とを備えている給湯システムであって、
    前記貯湯槽の上部から給湯回路に延びる回路部に対し前記貯湯槽の近傍位置で連通接続されて前記補助熱源機の入水側に連通接続される一方、前記補助熱源機の出湯側から前記給湯回路に延びる回路部に連通されて前記補助熱源機の入水側に戻るループ状循環回路を備え、
    前記給湯制御手段は、前記補助加熱給湯モードによる給湯使用が停止した後、前記圧送手段を作動させて前記ループ状循環回路に対する湯水循環を行うポスト循環モードを実行するように構成されている、
    ことを特徴とする給湯システム。
  2. 請求項1に記載の給湯システムであって、
    前記給湯制御手段により実行されるポスト循環モードは、前記貯湯槽の上部から給湯回路に延びる回路部内において前記補助加熱給湯モードの実行中に滞留していた湯水が循環湯水により置換されることで制御が終了するように構成されている、給湯システム。
  3. 請求項2に記載の給湯システムであって、
    前記給湯制御手段により実行されるポスト循環モードは、前記補助加熱給湯モードによる給湯使用が停止した後、前記ポスト循環モードの実行開始から設定時間が経過したこと、又は、前記ポスト循環モードの実行開始から前記ループ状循環回路の所定位置の湯水温度が設定温度以上まで昇温したこと、のいずれかの条件が成立することで制御が終了するように構成されている、給湯システム。
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