JP5573522B2 - 穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置及び画像形成装置 - Google Patents

穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置及び画像形成装置に関する。
DCモータなどを駆動源として穿孔ピンのダイ穴に対する往復運動を行って用紙を穿孔する穿孔装置では、用紙が厚い程或いは用紙の枚数が多い程、当該用紙に穴をあける際の負荷が大きくなる。大きな負荷に対応するためには、大きなトルクが得られるDCモータなどを駆動源に用いる必要があるが、動作音、電流値の増大、装置の大型化、及びコストアップなどの問題が生じるため、好ましくない。このため、例えば特許文献1には、パンチの刃先部を2段のシャー角で形成し、外側の小さいシャー角でシート材を鋭利に穿孔することで、穿孔時の負荷を低下させ、モータトルクを下げる技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、パンチピンの刃頂部の高さ方向の位置を互いにずらすことで、刃頂部がシート材に食い込むタイミングをずらし、穿孔時の負荷を低下させる技術が開示されている。
国際公開第2006/038291号パンフレット 特開平10−109299号公報
ところで、用紙を穿孔する際に発生する負荷で駆動源に対する大きな負荷となるのが、穿孔ピンの刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び穿孔ピンの刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷である。しかしながら、上述した従来技術では、いずれも穿孔ピンの刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷の低減しか考慮されておらず、穿孔ピンの刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷の低減については考慮されていない。
また、図22に示すように、用紙の厚み・枚数によって中折れした用紙を穿孔する際、従来の逆U字状やV字谷状の刃先線では、その刃先線のうち刃頂部が食い込んだ後、さらに刃先線が切り込んでいくと、刃谷部の底部が用紙に達する前に用紙の強度が限界に達して、その刃谷部の両端の一方でちぎれ、他方はちぎれて支えを失った紙片を切り落とそうとするため不完全な切り抜き方となってしまうことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができるとともに、ちぎれたりするといった不完全な切れ方や、バリ・切れ残りが発生することがない穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置及び画像形成装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の穿孔ピンは、用紙を穿孔する穿孔ピンであって、前記用紙に食い込む刃頂部と前記用紙を切り抜く刃谷部とを備えた刃先部が形成され、対向する前記刃頂部の間に前記刃谷部が位置する前記刃先部の側面視において、前記刃頂部から前記刃谷部に向かう刃先線は、前記刃頂部側の第1円弧と第2円弧と第3円弧とを組み合わせ、前記刃先線に対して前記第1円弧と前記第3円弧との中心が前記本体部の軸線側に位置し、前記第2円弧の中心が反対側に位置することでS字状曲線が形成され、そのS字状曲線が前記本体部の前記軸線を中心に左右対称をなしており、前記軸線に対称をなす前記S字状曲線は、前記第3円弧を共通として連続して、前記刃谷部が形成されることを特徴とする。
このようにすれば、刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減できるという効果を奏する。具体的には、刃頂部で用紙に食い込んだ後も、第1円弧及び第2円弧の曲線で破れることなく切り抜いていき、残りの部分で中折れが発生しても第3円弧によって刃谷部の全面で切り抜くことができる。したがって、ちぎれたりバリが発生する等の不完全な穿孔になることがなく、きれいな穿孔穴を形成することができ、スムーズに穿孔できるから、一定のスピードで穿孔動作を行っても駆動源の負荷をかけることなく穿孔できるという効果を奏する。
また、本発明において、前記軸線に対称をなす前記S字状曲線は、前記第1円弧を共通とする。
このようにすれば、本体部の軸線に対して左右対称に刃先部が形成されるので、両側から均等に切り込んでいくことができ、一方に切り残しを発生させることなく、形の整った穿孔穴で用紙を切り抜くことができる。
また、本発明において、前記第1円弧と前記第2円弧と前記第3円弧の少なくとも1つは、楕円形状であり、前記楕円形状は前記本体部の前記軸線に直交する方向の円弧の直径が大きいとされている。
このようにすれば、例えば第1円弧と第2円弧とを楕円形状にすると、刃先部が本体部に対して低い位置に形成されて、刃先部が用紙に食い込む深さを小さくさせることができる。したがって用紙に中折れが発生しにくく、短時間で穿孔できるため駆動源の負荷を低減させることができる。また、例えば第3円弧を楕円形状とすれば、刃谷部が本体部に対して低い位置に形成されるとともに、用紙に中折れが発生しても、破れる前に刃谷部の全面に用紙が接しやすくなるのでより確実な穿孔が可能となる。
また、本発明の別の態様に係る穿孔装置は、上記穿孔ピンを有する穿孔機構と、前記穿孔機構を駆動させる動力を生成する駆動源と、前記動力を前記穿孔機構に伝達して、前記穿孔ピンをダイ穴に対して往復移動させる伝達手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係る用紙処理装置は、前記穿孔装置を備えるとともに、該穿孔装置によって穿孔された用紙を、内部の所定経路に沿って搬送し、かつ外部へ排出することを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係る画像形成装置は、前記用紙処理装置を備えるとともに、原稿から画像データを読取り、読み取った前記画像データに所定の画像処理を施し、前記画像処理を施した画像データが示す画像を印刷することを特徴とする。
これらの穿孔装置、用紙処理装置、画像形成装置によれば、穿孔ピンの刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができるとともに、ちぎれたりする不完全な切れ方や、バリのような切れ残りが発生することがないという効果を奏する。
第1実施形態の穿孔装置を含む複写システムの一例を示す模式図。 第1実施形態の穿孔装置が備えるガイド機構の例を示す斜視図。 第1実施形態の穿孔装置が備える穿孔機構及び駆動機構の例を示す斜視図。 図3に示す穿孔機構の円4の部分の拡大図。 図3に示す穿孔機構の円5の部分を矢印aの方向から見た拡大図。 駆動ギヤの回転前の状態を、図3に示す穿孔機構及び駆動機構の円6の部分を矢印bの方向から見た場合の拡大図。 駆動ギヤの回転中の状態を、図3に示す穿孔機構及び駆動機構の円6の部分を矢印bの方向から見た拡大図。 第1実施形態の穿孔ピンの正面図。 図8の穿孔ピンの側面図。 図8の穿孔ピンの平面図。 図8の穿孔ピンの底面図。 図8の穿孔ピンの斜視図。 図8の刃先部を示す部分拡大図。 図8の穿孔ピンの第1円弧、第2円弧、第3円弧の形状を楕円形状にした例を示す部分拡大図。 刃頂部が用紙に食い込んだ状態を示す部分拡大図。 第1円弧で用紙を穿孔する状態を示す部分拡大図。 第2円弧で用紙を穿孔する状態を示す部分拡大図。 第3円弧によって用紙の穿孔が完了した状態を示す部分拡大図。 穿孔装置を備える第2用紙処理装置の一例を示す模式図。 穿孔装置を備える複写装置の一例を示す模式図。 穿孔装置を備える第2用紙処理装置を備える複写装置の一例を示す模式図。 従来技術の一例を示す逆U字状及びV字谷の刃先部を有する穿孔ピンの正面図。
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置、及び画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。なお本実施形態では、画像形成装置として複写装置を例に取り説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、複写機能に加え、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくともいずれかの機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であってもよい。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態の穿孔装置110を備える画像形成装置複写システム100の概要について説明する。
図1は、第1の実施形態の穿孔装置110を含む複写システム100の一例を示す模式図である。図1に示すように、複写システム100は、複写装置101と、穿孔装置110を含む第1用紙処理装置102と、第2用紙処理装置103と、を備える。
複写装置101は、原稿に印刷されている画像を用紙に複写するものである。具体的には、複写装置101は、原稿から画像データを読み取り、読み取った画像データに所定の画像処理を施し、画像処理を施した画像データが示す画像を用紙に印刷し、画像が印刷された用紙を装置外に排出する。
第1用紙処理装置102は、複写装置101の用紙排出側の側面に配置されており、複写装置101から排出された用紙を装置内部の所定の搬送経路(図示省略)で搬送する。当該搬送経路の途中には穿孔装置110が設けられており、第1用紙処理装置102は、穿孔装置110が設けられた位置まで用紙を搬送すると搬送を一時停止し、穿孔装置110による穿孔を行う。そして、第1用紙処理装置102は、用紙の穿孔が完了すると用紙の搬送を再開し、穿孔された用紙は装置外に排出する。
第2用紙処理装置103は、第1用紙処理装置102の用紙排出側の側面に配置されており、第1用紙処理装置102から排出された用紙を装置内部に搬送する。そして、第2用紙処理装置103は、装置内部に貯留された用紙の束に対して丁合処理及び綴じ処理(ステープル処理)などを行い、用紙トレイ104に排出する。
次に、第1の実施形態の穿孔装置110の構成について説明する。
図2に示すように、ガイド機構120は、上ガイドフレーム122と、下ガイドフレーム124と、ダイフレーム126と、右側板128と、左側板130とを、備える。
上ガイドフレーム122、下ガイドフレーム124、ダイフレーム126は、それぞれダイ穴122A、122B、ダイ穴124A、124B、ダイ穴126A、126Bが同間隔で形成されており、両側面から右側板128及び左側板130で挟み込むように固定されている。また、ダイ穴122A、124A、及び126Aは、鉛直方向に並んで位置しており、穿孔ピン200Aの鉛直方向への往復移動をガイドする。同様に、ダイ穴122B、124B、及び126Bも鉛直方向に並んで位置しており、穿孔ピン200Bの鉛直方向への往復移動をガイドする。なお、ダイ穴122A、124A、及び126Aの径は、いずれも穿孔ピン200Aの径に対応しており、ダイ穴122B、124B、及び126Bの径は、いずれも穿孔ピン200Bの径に対応している。
穿孔機構140は、図3〜図5に示すように、スライドアーム142と、支持ピン144A、144Bと、リンク146A、146Bと、穿孔ピン200A、200Bとを、備える。
リンク146Bは、支持ピン144Bを介して穿孔ピン200Bを保持し、穿孔ピン200Bの保持方向の両端に軸状の支点が設けられている。なお、穿孔ピン200Bに設けられている両支点は、ガイド機構120の右側板128及び左側板130によって回転可能に支持され、更に、支点の一方は、スライドアーム142の連結部に連結されている。同様に、リンク146Aは、支持ピン144Aを介して穿孔ピン200Aを保持し、穿孔ピン200Aの保持方向の両端に軸状の支点が設けられている。なお、穿孔ピン200Aに設けられている両支点は、ガイド機構120の右側板128及び左側板130によって回転可能に支持され、更に、支点の一方は、スライドアーム142の連結部に連結されている。
駆動機構150は、図3に示すように、駆動モータ152と、駆動モータギヤ154と、減速ギヤ列156と、駆動ギヤ158A、158Bと、センサーフィラー160と、ホームポジションセンサ162と、パルスカウントセンサ164とを、備える。
駆動モータ152は、穿孔機構140を駆動させる動力を生成する駆動源であり、例えば、DCブラシモータなどにより実現できる。そして、駆動モータ152により生成される駆動力(回転駆動力)は、駆動モータギヤ154に結合されている減速ギヤ列156を経て駆動ギヤ158A、158Bに伝達される。なお、駆動ギヤ158Aに一体化された又は一体的に取付けられたセンサーフィラー160と、ホームポジションセンサ162とは、用紙の穿孔に必要とされる駆動ギヤ158Bの回転数(回転量)を検出し、図示せぬ制御部に通知する。また、パルスカウントセンサ164は、駆動モータ152のパルス数を検出し、前述の制御部が、検出されたパルス数に応じて適切な回転速度となるように駆動モータ152を制御する。
図6に示すように、駆動機構150の駆動ギヤ158Bに設けられた凸部159が、穿孔機構140のスライドアーム142に形成されているD字型の溝143に移動自在に連結されている。駆動モータ152の駆動力が駆動ギヤ158Aから158Bに伝達され、駆動ギヤ158Bが反時計周り(図6の矢印c方向)に回転すると、スライドアーム142が長手方向を往復移動する。具体的には、駆動ギヤ158Bの凸部159が、スライドアーム142の溝143の直線部を押すことにより、図7に示すように、スライドアーム142が矢印d方向に移動した後、再び、図6の状態に戻る。そして、スライドアーム142の長手方向への往復移動により、リンク146A、146Bがそれぞれ往復回転し、穿孔ピン200A、200Bをそれぞれ鉛直方向に往復移動させる。これにより、用紙に2穴が穿孔される。
上述したように、本実施形態では、2穴穿孔を行う場合を例に取り説明したが、穿孔する穴数はこれに限定されるものではない。例えば、所望する穴数に応じたダイ穴、穿孔ピン、支持ピン、及びリンクを穿孔装置に設けることで、所望する穴数の穿孔が可能となる。
次に、第1の実施形態の穿孔ピン200Aの形状について説明する。なお、穿孔ピン200Bの形状は、穿孔ピン200Aの形状と同様であるため説明を省略する。図8〜図12は、それぞれ穿孔ピン200Aの正面図、側面図、平面図、底面図、斜視図を示している。
図8〜図12に示すように、穿孔ピン200Aは円柱状であって、その本体部201の下端に、用紙に食い込む刃頂部202と用紙を切り抜く刃谷部203とを備えた刃先部204が形成されている。なお、穿孔ピン200Aの材質には、重量が軽く硬度が高いセラミックなどの非金属無機材料を用いている。これにより、穿孔ピン200Aの重量が軽くなって、駆動モータ152に対する負荷を小さくすることができる。また、刃先部204にTiN処理などの皮膜処理が施されている。これにより、刃先部204の耐摩耗性及び耐久性を向上させ、多様な紙種又は紙厚な紙を穿孔する場合における穿孔ピン200Aの刃先部204の劣化に対処することができる。
図13に示すように、対向する刃頂部202の間に刃谷部203が位置する刃先部204の側面視において、刃頂部202から刃谷部203に向かう刃先線205は、刃頂部202側の第1円弧210と第2円弧220と第3円弧230とを組み合わせることで形成されている。そして、刃頂部202から刃谷部203へ斜めに延びた刃先線205に対して、第1円弧210と第3円弧230との中心が、本体部201の軸線e側に位置し、第2円弧220の中心が、反対側に位置することでS字状曲線206が形成される。
また、S字状曲線206が本体部201の軸線eを中心に左右対称をなしており、軸線eに対称をなすS字状曲線206は、第3円弧230を共通として連続して刃谷部203が形成される。
より詳細には、S字状曲線206は、本体部201の軸線eを中心に左右対称をなしているから、軸線eの右側には逆S字状曲線207が形成されている。そして、S字状曲線206及びその逆S字状曲線207は、第1円弧210を共通とし、さらに中央で第3円弧230が滑らかに連続して刃谷部203が形成されている。
上記した第1円弧210、第2円弧220、第3円弧230は、それらの円弧を有する第1円211、第2円221、第3円231によってそれぞれ形成されている。また、それらの第1円211、第2円221、第3円231は、それぞれの中心212、222、232を有している。
第1円弧210を有する第1円211の中心212は、本体部201の軸線e上に位置するとともに、刃先部204に対して本体部201の下端側に位置する。一方、第2円弧220を有する第2円221の中心222は、刃先部204に対して本体部201の上端側に位置し、かつ、2つの第2円弧220が本体部201の軸線eに対して左右対称に位置する。
第3円弧230を有する第3円231の中心232は、本体部201の軸線e上に位置するとともに、刃先部204に対して本体部201の下端側に位置する。なお、第3円231の中心232は、第1円211の中心212と第2円221の中心222との間に位置しているともいえる。
また、第1円弧210と第2円弧220と第3円弧230とのうち少なくとも1つは、その円弧の中心の位置に応じて曲率半径が異なり、本実施形態では、これらの3つの円弧において、第3円弧230の曲率半径が最も小さく、続いて第1円弧210、そして、第2円弧220の曲率半径が最も大きく形成されている。よって、第3円弧230の曲率半径が最も小さいとされているので、刃谷部203の底部が狭くなり、用紙を打ち抜く際の駆動モータ152の負荷を低減することができる。
以上、第1の実施形態である穿孔ピン200Aによれば、刃頂部202を鋭利にすることができ、刃頂部202が用紙に食い込む際に発生する負荷及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができる。これにより、駆動モータ152を小型化(小型の駆動モータを採用)することができ、穿孔装置110の小型化、消費電流の低減、低騒音化、及びコストの削減を図ることができる。
さらに、第3円弧による緩やかな曲線で形成される刃谷部203は、第1円弧210及び第2円弧220と連続しているので、穿孔の際、刃谷部203の端部で、用紙の中折れした部分の端部を切り抜いていくとともに、中折れした中央の部分を刃谷部203の底部で切り抜くことができる。よって、刃谷部203の端部で用紙がちぎれてしまったりする不完全な状態での切り抜きがなくなる。なお、用紙を穿孔する際の具体的な動作態様及び作用効果については後で詳述する。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態では、刃先が楕円からなる円弧を有する穿孔ピンの形状について説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点である穿孔ピンの形状についてのみ説明を行い、その他の部分は共通であるため説明を省略する。
図14に示すように、穿孔ピン300Aの第1円弧310と第2円弧320と第3円弧330とは、長軸と短軸を備える楕円形状であり、その楕円形状は、本体部301の軸線eに直交する方向の円弧の直径が大きいものとすることができる。
より具体的には、側面視において、刃頂部302から刃谷部303に向かう刃先線305は、刃頂部302側の楕円形状の第1円弧310と、同じく楕円形状の第2円弧320と、同じく楕円形状の第3円弧330とを組み合わせることで形成されている。そして、刃先線305に対して、第1円弧310と第3円弧330との中心が、本体部301の軸線e側に位置し、第2円弧320の中心が、反対側に位置することでS字状曲線306及び逆S字状曲線307が形成される。
また、S字状曲線306が本体部301の軸線eを中心に左右対称をなしており、軸線eに対称をなすS字状曲線306及び逆S字状曲線307は、第3円弧330を共通として滑らかに連続して刃谷部303が形成される。
それぞれの円弧における位置関係や曲率半径の大小については、第1の実施形態に準じるので説明を省略する。
この第2の実施形態である穿孔ピン300Aによれば、第1円弧310と第2円弧320と第3円弧330とは、楕円形状であり、その楕円形状は、本体部301の軸線eに直交する方向の円弧の直径が大きいものであるから、第1の実形態の円弧が円形のものと比べると、刃先部304の位置が、より本体部301の下端側に低く形成されることになる。よって、同じ穿孔動作(穿孔スピード)でも短時間で早く用紙を穿孔することができ、第1円弧(刃頂部302)が短いので、用紙に対する食い込みを減らすことができるため、破れたり中折れが発生しにくくなる。
さらに、楕円形状によって第3円弧310も本体部301に対して低い位置に形成されるので、刃谷部303も低く形成され、より確実に用紙に達して穿孔できる。
以下、この第2の実施形態の穿孔ピン300Aを例にとり、図15〜図18に基いて用紙を穿孔する際の具体的な態様について説明する。なお、図15は刃頂部302が用紙Pに食い込んだ状態を示し、図16は第1円弧310で、図17は第2円弧320で、図18は、第3円弧330で、それぞれ用紙Pを切り抜いている状態を段階的に示している。
図15に示すように、穿孔の際は、穿孔ピン300Aが上方から下方に向かって穿孔動作を開始すると、鋭利な刃頂部302が用紙Pに食い込み、用紙Pにおける穿孔穴308の一部である第1切り込み部308aが形成される。
その後、図16に示すように、刃頂部302から刃谷部303に向かって斜めに連続する第1円弧310で用紙Pを円弧状に切り込んでいく。これによって、第1切り込み部308aより大きい第2切り込み部308bが形成される。また、第1円弧310は刃先線305の中でも最も鋭角な曲線であるから、刃先部304が用紙に食い込みやすく、用紙上の穿孔穴308の両端部を確実に捉えて切り込みを開始することができる。また、穿孔ピン300Aの押し下げによって用紙Pは確実に捉えられて切り込みが進行する。
続いて図17に示すように、第2円弧320で用紙Pを切り込んでいく。より詳細には、第1円弧310で食い込んだ後、第2円弧320でさらに食い込みつつも用紙Pを押し込みながら切り抜いていく。これによって、上記した第1切り込み部308a、第2切り込み部308bよりさらに大きい第3切り込み部308cが形成される。第2円弧320は、第1円弧310と逆方向の円弧を形成しているから、第1円弧310によって連続して用紙の切り込みが進行する時よりも、穿孔ピンが300Aが押し下げられる時の第2円弧320による用紙の切り込みはゆっくり進行し、用紙が破れてしまうことなく、きれいに切り抜いていくことができる。
最後に図18に示すように、第3円弧330、すなわち刃谷部303によって用紙Pを切り抜いていき、穿孔穴308が完全に形成されて穿孔が完了する。この第3円弧330によって形成される刃谷部303は、緩やかな円弧として形成されているから、用紙Pにコシがなくて穿孔時に中折れしてしまっても、用紙Pが刃谷部303の底部の全面に達することができる。つまり、刃谷部303の端部で、用紙の中折れした部分の端部を切り抜いていくとともに、中折れした中央の部分を刃谷部303の底部で切り抜くことができる。これにより、図22に示す従来の逆U字状やV字谷状の刃谷部のように、刃谷部の端部でのみ中折れした用紙を捉えて、刃谷部の底部に用紙が達する前にちぎれてしまうおそれがない。
以上のとおり、鋭い第1円弧310で食い込んでも緩やかな第2円弧320で、破れることなく切り抜いていき、残りの部分で中折れが発生しても第3円弧330によって刃谷部で全てを切り抜くことができる。したがって、用紙に対する一定のスピードの穿孔動作であっても、不完全な穿孔になることがなく、きれいな穿孔穴308を形成することができ、また、一定のスピードで、スムーズに穿孔できるからモータトルクを減少させることができ、駆動源152の負荷をかけることなく穿孔できるという効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、図19に示すように、丁合処理及び綴じ処理などを行う第2用紙処理装置103が上記各実施形態の穿孔装置110を備えるようにしてもよいし、図20に示すように、原稿に印刷されている画像を用紙に複写する複写装置101が上記実施形態の穿孔装置110を備えるようにしてもよい。また、図21に示すように、複写装置101が上記実施形態の穿孔装置110を備えた第2用紙処理装置103を備えるようにしてもよい。
100 複写システム
101 複写装置(画像形成装置)
102 第1用紙処理装置(用紙処理装置)
103 第2用紙処理装置(用紙処理装置)
110 穿孔装置
122A、122B、124A、124B、126A、126B ダイ穴
140 穿孔機構
152 駆動モータ(駆動源)
200A、200B、300A 穿孔ピン
201、301 本体部
202、302 刃頂部
203、303 刃谷部
204、304 刃先部
205、305 刃先線
206、306 S字状曲線
207、307 逆S字状曲線
210、310 第1円弧
211 第1円
212 中心(第1円の中心)
220、320 第2円弧
221 第2円
222 中心(第2円の中心)
230、330 第3円弧
231 第3円
232 中心(第3円の中心)
軸線e
用紙P

Claims (6)

  1. 用紙を穿孔する穿孔ピンであって、
    前記用紙に食い込む刃頂部と前記用紙を切り抜く刃谷部とを備えた刃先部が形成され、
    対向する前記刃頂部の間に前記刃谷部が位置する前記刃先部の側面視において、
    前記刃頂部から前記刃谷部に向かう刃先線は、前記刃頂部側の第1円弧と第2円弧と第3円弧とを組み合わせ、前記刃先線に対して前記第1円弧と前記第3円弧との中心が前記本体部の軸線側に位置し、前記第2円弧の中心が反対側に位置することでS字状曲線が形成され、そのS字状曲線が前記本体部の前記軸線を中心に左右対称をなしており、
    前記軸線に対称をなす前記S字状曲線は、前記第3円弧を共通として連続して、前記刃谷部が形成され
    前記第3円弧の曲率半径は、前記第1円弧の曲率半径よりも小さいことを特徴とする穿孔ピン。
  2. 前記軸線に対称をなす前記S字状曲線は、前記第1円弧を共通とする請求項1に記載の穿孔ピン。
  3. 前記第1円弧と前記第2円弧と前記第3円弧の少なくとも1つは、楕円形状であり、前記楕円形状は前記本体部の前記軸線に直交する方向の円弧の直径が大きい請求項1又は2に記載の穿孔ピン。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の穿孔ピンを有する穿孔機構と、前記穿孔機構を駆動させる動力を生成する駆動源と、前記動力を前記穿孔機構に伝達して、前記穿孔ピンをダイ穴に対して往復移動させる伝達手段と、を備えることを特徴とする穿孔装置。
  5. 請求項4に記載の穿孔装置を備えるとともに、該穿孔装置によって穿孔された用紙を、内部の所定経路に沿って搬送し、かつ外部へ排出することを特徴とする用紙処理装置。
  6. 請求項5に記載の用紙処理装置を備えるとともに、原稿から画像データを読取り、読み取った前記画像データに所定の画像処理を施し、前記画像処理を施した画像データが示す画像を印刷することを特徴とする画像形成装置。
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