以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の説明において、本発明に係るカバーとして、天井等の部材の装着孔に装着される照明装置の化粧枠を例示して説明する。なお、照明装置としては、ダウンライトを例示する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る化粧枠1の平面図である。図2は、図1のII−II線による断面図であり、図3は、図1のIII−III矢視から見た側面図である。
化粧枠1は、天井等の部材に開口された装着孔に装着された被装着体及び装着孔の内面間の隙間を被覆すべく用いられる。詳細については後述する。化粧枠1は、円筒部11と、円筒部11の一端から直交する方向に径方向両側に延設された鍔部12とを備えている。なお、本実施の形態に係る化粧枠1は、射出成形により一体成形された樹脂製であり、耐衝撃性等の機械的強度が大であり、難燃性材料であるポリカーボネート樹脂製が望ましい。
円筒部11は、周方向の3カ所に軸長方向の全長に亘って径方向内側に凹ませてなる固定部13,13…を有しており、固定部13,13…の軸長方向に鍔部12と逆側に延設された延設部13a,13a…には、貫通孔13b,13b…が夫々設けてある。
円筒部11の一端に設けられた鍔部12は、中央に開口を有する円板状であり、円筒部11側の一面12aが略平面に、他面12bが径方向の内側から外側に向けて緩やかに傾斜する傾斜面になるように形成してある。円筒部11及び鍔部12間には、直角三角形状の複数(図において6つ)の補強板14,14…が円筒部11及び鍔部12夫々に直角をなし、周方向に等配をなして設けてある。該補強板14,14…により、取外し時に鍔部12に加わる力により鍔部12が変形することを防止することができる。なお、化粧枠1は、被装着体が装着される装着孔の縁部に鍔部12の一面12aが離隔して対向するように、被装着体又は部材に取付けられる。この鍔部12の形状及び寸法は、天井等の部材に開口された装着孔、該装着孔に装着された被装着体及び装着孔の内面間の隙間等に応じて適切に設定してある。
また鍔部12の他面12bには、円筒部11と略同一直径の環状の溝12cが同心をなして設けてある。これは、化粧枠1を射出成形により製造する際に、溶融樹脂が固まる速度が肉厚に応じて異なることに起因して生じる凹みであるヒケが万一生じた場合に、該ヒケを目立たなくするためである。従って、溝12cは、円筒部11の形状に対応した形状であればよく、本実施の形態のように環状に限定されない。
鍔部12の一面12aの側の外周縁には、該一面12aに直交し、円筒部11に平行をなして全周に亘って突設されてなる扁平な円筒状の被覆部である突設部15が設けてある。突設部15の径方向の厚みは、後述の如く、天井等の部材の装着孔に被装着体が装着されたときに、部材から受ける反作用力により変形しない程度の剛性を保ちつつ、装着孔の縁部近傍と対向する面積を確保すべく可能な限り薄い方が望ましい。なお、突設部15の高さは、化粧枠1が用いられる天井等の部材の材質、部材に設けられる装着孔の孔径等に応じて適切に設定してある。
突設部15の天井と対向する面には、扁平な直方体状の凹状を有する複数(図において3つ)の切欠き部15b,15b…が、固定部13,13…と同一周方向位置に設けてある。なお、切欠き部15b,15b…の深さは、化粧枠1を部材に取付けた状態にて薄肉板状の工具を切欠き部15b,15b…に挿入することができる範囲内にて可能な限り浅くしてあり、例えば、0.5mmである。切欠き部15b,15b…の突設部15の周方向の長さは、工具の寸法を考慮して適切に設定してある。
図4は、化粧枠1の切欠き部15b,15b…近傍の部分拡大外観斜視図であり、簡易化した概略図である。図1及び図4に示すように、鍔部12の一面12aには、切欠き部15b,15b…に対応した部分、即ち切欠き部15b,15b…と同一周方向位置の切欠き部15b,15b…及び固定部13,13…間の鍔部12の径方向の全長に亘って、補強部16,16…が夫々設けてある。補強部16,16…の上面は、切欠き部15b,15b…の底面と面一にしてある。
図5は、実施の形態1に係る化粧枠1を備える照明装置10の模式的外観斜視図である。図6は、照明装置10の側面図であり、一部を部分断面にて示している。図7は、図6のVII−VII矢視から見た図であり、一部を部分断面にて示している。図8は、図6のVIII−VIII矢視から見た図であり、一部を部分断面にて示している。
図において10aは、照明装置本体である。照明装置本体10aは、アルミニウム等の金属製の放熱器2を備えている。放熱器2は、略円板状の伝熱板21を有しており、伝熱板の一面21aには、矩形板状の複数(図において10個)の放熱板22,22…が平行をなして立設してあり、これら複数の放熱板22,22…の略中央を通り、該複数の放熱板22,22…に直交するように連結板23が立設してある。なお、連結板23は、図7に示す如く、伝熱板21の中央部を避けるように形成してあり、伝熱板21の中央部には配線用の貫通孔21cが設けてある。後述するLEDモジュールを伝熱板21の周方向に複数配設する照明装置においては、伝熱板21の中央部に配線用の貫通孔21cを設けることにより、LEDモジュールへの配線が容易となる。
伝熱板21の周縁部には、複数のネジ穴21d,21d…が設けてある。また、放熱器2の伝熱板21の周縁部には、矩形板状の取付部24,24…が伝熱板21の径方向に直交するように、周方向に3等配をなして立設してある。取付部24,24…は、複数の放熱板22,22…に夫々連設されて一体的に構成されており、一つの取付部24が放熱板22,22…に直角をなして連設されるように配してある。取付部24,24…の外面24a,24a…は平面に形成してあり、取付部24には、ネジ穴24b,24cが上下に並設してある。なお、本実施の形態において、放熱器2は、ダイキャストにより一体成形してあるが、これに限定されず、押出加工又は切削加工により形成してもよい。
放熱器2の伝熱板21の他面21bには、図8に示す如く、光源としての複数(図において4つ)のLEDモジュール3,3…が周方向に等配をなして取付けてある。LEDモジュール3,3…は、矩形のセラミック(例えば、酸化アルミニウム)基板31,31…と、該セラミック基板31,31…の一面の中央部に密集して実装された複数(例えば、36個)のLED素子及び該複数のLED素子を封止し、蛍光体が分散された封止樹脂を有する発光部32,32…と、入力端子及び出力端子とを備えてなる。LEDモジュール3,3…の入力端子及び出力端子には、リード線33,33…が接続してある。なお、LEDモジュール3,3…と伝熱板21との間には、熱伝導シート又はグリースを介装する方が望ましい。これらLEDモジュール3,3…の点灯に伴い該LEDモジュール3,3…にて発生する熱は、放熱器2の伝熱板21、放熱板22,22…及び連結板23に伝達され、自然対流により外部へ放散されることになる。なお、放熱器2の表面は、黒色等にする方がふく射放熱の促進の観点から望ましい。
放熱器2の伝熱板21の他面21bの側には、反射板4が設けてある。反射板4には、該反射板4を放熱器2に取付けたときにLEDモジュール3,3…に対応する位置に、LEDモジュール3,3…を取り囲むように、略半球状の凹部を有する複数の反射部41,41…が形成してある。反射板4は、ステンレス等の金属、反射率の高い塗料を塗布された金属又は高全反射率(約98%)及び高拡散反射率(約95%)という光学特性を有する超微細発泡光反射材(例えば、MCPET(登録商標))、あるいは光散乱性の金属酸化物(例えば二酸化チタン)等の材料を充填した樹脂材料(例えばポリカーボネート)により形成されている。
反射板4には、反射板4を放熱器2に取付けたときに伝熱板21に設けられたネジ穴21d,21d…に対応する位置に、略円柱状の凹部を有する固定部42,42…が設けてある。また、反射板4の周縁には、周壁43が立設してあり、反射板4は周壁43の端面を伝熱板21に当接させて、ネジ45,45…を反射板4の固定部42,42…に設けられた貫通孔に挿通させ、伝熱板21に設けられたネジ穴21d,21d…に螺合させることにより放熱器2に固定してある。LEDモジュール3,3…からの光は、この反射板4の反射部41,41…にて反射されて、LEDモジュール3,3…の光軸となす角度が所定角度以下になる範囲に含まれることになり、照明機器の直下照度が強くなるように配光特性が制御された光が照明装置から出射されることになる。
以上のように構成された照明装置本体10aの放熱器2の伝熱板21の側には、前述した本発明に係る化粧枠1が設けてある。なお、固定部13,13…の貫通孔13b,13b…は、化粧枠1を放熱器2に取付けたときに放熱器2の取付部24,24…に設けられたネジ穴24c,24c…に対応する位置に夫々設けてある。この化粧枠1は、円筒11に反射板4を内嵌させて、固定部13,13…の延設部13a,13a…を放熱器2の取付部24,24…の外面24a,24a…に当接させた状態にて、ネジ17,17…を貫通孔13b,13b…に挿通させ、ネジ穴24c,24c…に螺合させることにより放熱器2に固定してある。化粧枠1の内側の鍔部12の内面には、LEDモジュール3,3…を覆うように、円板状の樹脂製の透過板5が取付けてある。透過板5は、例えば、ポリカーボネート樹脂製である。
また、放熱器2の伝熱板21の側には、複数(図において3つ)の板ばね6,6…が設けてある。板ばね6は、ステンレス鋼等の金属製であり、細長い矩形板を屈曲させて、図6に示すようにV字状に形成してある。板ばね6の一側には、矩形板状の取付部61が設けてあり、屈曲部62を挟んだ板ばね6の他側には、取付部61の側に凸状に湾曲し、板ばね1の長手方向に沿う断面形状が円弧状である第1の押圧部63及び第2の押圧部64が連設してある。なお、第1の押圧部63と第2の押圧部64の湾曲の曲率半径は異なっており、第2の押圧部63の曲率半径R2は第1の押圧部63の曲率半径R1よりも大(R1<R2)である。また、板ばね6の他側の端部には、第2の押圧部64に連設された腕部65の端部から該腕部65に角度をなして取付部61の逆側に折り曲げられてなる抜止部66が設けてある。
このような板ばね6,6…は、ネジ25,25…を板ばね6,6…の取付部61,61…に設けられた貫通孔に挿通させ、放熱器2の取付部24,24…に設けられたネジ穴24b,24b…に螺合させることにより、取付部24,24…の外面24a,24a…に板ばね6,6…の取付部61,61…を密着させた状態にて、周方向に3等配をなして放熱器2に固定してある。なお、放熱器2の取付部24,24…に前述した化粧枠1が固定部13,13…を当接させた状態にて固定してあり、化粧枠1の切欠き部15b,15b…は、このように取付けられた板ばね6,6…と同一の周方向位置になるように設けてある。
なお、抜止部66は、板ばね61の第1の押圧部63及び第2の押圧部64が天井に当接しない状態において、照明装置10の落下を防止するために設けてある。また、放熱器2の外側の放熱板22,22には、貫通孔(図示せず)が夫々設けてあり、該貫通孔には、ワイヤーの一端がフック等により掛止されるとともに、他端は建屋の梁に固定されている。これにより、例えば、地震等の災害時に、抜止部66が照明装置10を保持できずに照明装置10が天井に設けられた装着孔から脱落した場合に、照明装置10が下まで落下することを防止することができる。なお、ワイヤーだけでは脱落時の衝撃が大きすぎる場合は、間にひっぱりコイルばねを設けてもよい。
放熱器2の外側から二枚目の放熱板22,22には、取付板71,71が夫々放熱板22,22と平行をなしてネジ72,72…により固定してある。取付板71,71の上部には、該取付板71,71に直角をなして円板73が取付けてある。この円板73により、照明装置本体10a、特に放熱板22,22…の間に埃等の異物が入り込まないようにすることができると共に、断熱材により照明装置本体10aの上部を覆った場合に、放熱器2の放熱板22,22…及び連結板23の表面から熱伝達により暖められた空気が外部に流出する通風路を確保することができる。また、外部からの埃や上の階からの水滴等に対する保護としても有効に機能する。
以上のように構成された照明装置10は、透過板5の側を下側にして、天井に設けられた装着孔に板ばね6,6…を介して固定され、所謂ダウンライトとして用いられる。照明装置10は、例えば、直径が125mmである天井の装着孔に、照明装置本体10aと装着孔の内面とを適長離隔した状態にて天井に装着されている。図9は、天井に照明装置10を装着した状態を示す図である。
照明装置10は、板ばね6,6…の腕部65の側を照明装置本体10aの側に押し付けた状態にて、天井100に設けられた装着孔100aに下側から挿入し、板ばね6,6…から手を離し照明装置本体10aをさらに押し込むことにより、図9に示す如く、天井100の装着孔100aに固定される。より詳しくは、装着孔100aへの装着時に照明装置本体10aの側に押し付けられ、弾性変形した板ばね6が、押付力の解除に伴い図6に示す自然状態に復帰しようとしたときに、板ばね6の第1の押圧部63が円弧の略中央近傍にて装着孔100aの上縁部に斜め上側から当接し、これにより、部材である天井100の設置面に対して垂直方向である下方向の分力が作用して天井100の上面100bが第1の押圧部63により下方向に押圧されると共に、照明装置本体10aに上方向の分力が作用して天井100の下面100cが化粧枠1の鍔部12の上面により上方向に押圧されることになる。この結果、照明装置10は天井100を第1の押圧部63及び、天井100との鍔部12により挟持した状態にて天井100に固定されることになる。
このように天井100に照明装置10が固定されたとき、本実施の形態に係る化粧枠1を用いることにより、天井100の装着孔100aの縁部に離隔して対向する対向部である化粧枠1の鍔部12により、照明装置本体10a及び装着孔100aの内面間の隙間が被覆される。また、鍔部12の上面12aは、天井の下面100cと適長離隔しており、これにより、装着孔100aの縁部近傍にバリ、天井100の下面100cに貼られた化粧紙の剥離等が生じたときに、バリ、化粧紙の剥離等を隠すことができる。鍔部12の上面12a及び天井の下面100c間の間隔が、鍔部12の内縁側(円筒部11の側)から外縁側(突設部15の側)の広い範囲に亘って一定に保たれているから、バリ、化粧紙の剥離等が装着孔100aの縁部のごく近傍に留まらない場合においても、バリ、化粧紙の剥離等を隠すことができる。また、化粧枠1の突設部15が天井100との間に隙間を生じることなく略全周に亘って天井100の下面100cに当接してあるから、化粧枠1の外周縁に沿って濃淡の異なる影が生じることなく、設置状態での品位が損なわれず美観に資する。
このように天井100に装着された照明装置10は、LEDモジュール3,3…に、照明装置本体10aの外部に設けられた電源部を介して外部電源から電力が供給されるように構成してある。
LEDモジュール3,3…には、伝熱板21の中央部に設けられた貫通孔21cを挿通させた複数(図において4つ)のリード線33,33…の一端が接続してあり、リード線33,33…の他端は、図7に示す如く、メスコネクタ81に接続してある。メスコネクタ81側のリード線33,33…は、保護チューブ82により一本に纏められており、該保護チューブ82の外周面には、金属製の保護スプリング83が外嵌させてある。これにより、ネズミ等の害獣によりリード線33,33…が齧られることを防止することができる。
扁平な直方体状のメスコネクタ81は、後述するオスコネクタの凸部に嵌合可能な凹部を有する接続端子であり、コネクタカバー84により保護される。図10は、コネクタカバー84の外観図である。図10(a)は、コネクタカバー84の正面図を、図10(b)は図10(a)のX−X矢視から見た図である。
コネクタカバー84は、円筒部84aと、該円筒部84aの一側に連設され、円筒部84aよりも小さな直径を有する縮径部84bと、円筒部84aの他側に連設され、円筒部84aよりも大きな直径を有する拡径部84cとを有している。縮径部84bは、保護チューブ82及び保護スプリング83の外径よりも大きな内径となるように形成してある。円筒部84a及び拡径部84cは、メスコネクタ81を内部に収容可能なように形成してある。拡径部84cには、略L字状に切欠かれた切欠き部84d,84dが周方向に2等配をなして設けてある。
図11は、電源モジュールの外観図であり、一部を部分断面にて示している。電源モジュール9は、直方体状の外形を有する電源カバー90と、該電源カバー90の内部に収容され、トランス、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品を有してなる電源部91と、該電源部91に接続された端子台92と、該端子台92を収容し、電源カバー90の一側に外嵌される端子カバー93とを備えてなる。
電源モジュール9の電源部91には、リード線94,94…の一端が接続してあり、リード線94,94…の他端は、図11に示す如く、オスコネクタ86に接続してある。リード線94,94…は、保護チューブ87により一本に纏められており、該保護チューブ87の外周面には、金属製の保護スプリング88が外嵌させてある。これにより、ネズミ等の害獣によりリード線94,94…が齧られることを防止することができる。
扁平な直方体状のオスコネクタ86は、複数(図において4つ)の凸部を有する接続端子であり、コネクタカバー89により保護される。図12は、コネクタカバー89の外観図である。図12(a)は、コネクタカバー89の正面図を、図12(b)は図12(a)のXII−XII矢視から見た図である。
なお、コネクタのオス、メス形状又は方式は、仕様の異なる機種では異なるものとしてあり、これにより照明装置と電源モジュールとの組み合わせを混同する虞がなくなる。特に2機種のみのラインナップの場合は、A機種照明装置の照明装置本体側のコネクタをオス形状に、電源モジュール側のコネクタをメス形状とし、B機種照明装置の照明装置本体側のコネクタをメス形状に、電源モジュール側のコネクタをオス形状とするだけでもよい。
コネクタカバー89は、円筒部89aと、該円筒部89aの一側に連設され、円筒部89aよりも小さな直径を有する縮径部89bとを有している。縮径部89bは、保護チューブ87及び保護スプリング88の外径よりも大きな内径となるように形成してある。円筒部89aは、オスコネクタ86を内部に収容可能なように形成してある。また、円筒部89aには、半球状に突出する突出部89c,89cが周方向に2等配をなして設けてある。突出部89c,89cの直径は、切欠き部84d,84dの最狭部分の間隔と同一になるように形成してある。
図13は、コネクタカバー84,89の嵌合状態を示す図である。電源モジュール9に接続されたオスコネクタ86をLEDモジュール3,3…に接続されたメスコネクタ81に嵌合させることにより、照明装置本体10aの外部に設けられた電源部91がリード線94,94…,33,33…を介してLEDモジュール3,3…に接続されることになる。この後、図13に示す如く、コネクタカバー84の拡径部84cにコネクタカバー89を突出部89c,89cが切欠き部84d,84dに一致するように差し込み、相対回転させる。相対回転に伴い、切欠き部84d,84dにより切り出された押圧片84e,84eが突出部89c,89cにより径方向外向きの力を受け、僅かに外側に撓み、この撓みに応じて、自然状態に復帰しようとする押圧片84e,84eにより突出部89c,89cに径方向内向きの力が作用するから、コネクタカバー84とコネクタカバー89とが一体化される。これにより、オスコネクタ86及びメスコネクタ81がコネクタカバー84,89の内部に収容されることになり、オスコネクタ86及びメスコネクタ81をネズミ等の害獣から保護することができる。
このように天井100の装着孔100aに装着された照明装置10は、交換等により天井100から取外される。取外し作業は、切欠き部15b,15b…に薄肉板状の工具を挿入して力(例えば、照明装置の自重の2〜3倍の力)を加えて、天井100との間に隙間(例えば、1mm程度)を生じさせ、さらに大きな下方向の力(例えば照明装置の自重の5〜6倍の力)を加えて引き抜くことにより行われる。
本実施の形態に係る化粧枠1を備える照明装置10は、化粧枠1の突設部15に、突設部15の周方向の適長に亘って、扁平な直方体状の凹状を有する複数の切欠き部15b,15b…が形成してある。これにより、切欠き部15b,15b…に薄肉板状の工具を挿入して力を加えたときに、照明装置10に十分な下方向の力を容易に加えることができ、天井100から照明装置を容易に取外すことができる。なお、切欠き部15b,15b…の深さは、化粧枠1を天井100に装着した状態にて薄肉板状の工具を切欠き部15b,15b…に挿入することができる範囲内にて可能な限り浅くしてあり、例えば、0.5mmの深さに設定してある。従って、照明装置10を天井100に装着したときに天井100との間に僅かな隙間しか生じないから、化粧枠1の外周縁に沿って生じる影の濃淡が殆ど変わらず、天井との間の隙間も生じないので美観を損ねずにすむ。
また、補強部16,16…は、切欠き部15b,15b…に対応した部分、即ち切欠き部15b,15b…と同一周方向位置の切欠き部15b,15b…及び固定部13,13…間の鍔部12の径方向の全長に亘って、補強部16,16…の上面が、切欠き部15b,15b…の底面と面一になるように鍔部12の一面12aの側に設けてある。これにより、切欠き部15b,15b…に薄肉板状の工具を挿入して、力を加えたときに、補強部16,16…にも加えられた力が分散されることになるから、突設部15の切欠き部15b,15b…を設けている部分及び該切欠き部15b,15b…近傍の鍔部12が変形しないように補強することができる。
また、化粧枠1の突設部15に、照明装置10を組み立てたときに板ばね6,6…と同一周方向位置になるように、切欠き部15b,15b…を設けている。これにより、切欠き部15b,15b…に挿入した薄肉板状の工具により板ばね6,6…の付勢力に抗して化粧枠1に加えられる力が、2つの板ばねの間に切欠き部を設けた場合と比較して小さくなるから、照明装置10を天井100から容易に取外すことができる。
(実施の形態2)
図14は、実施の形態2に係る化粧枠1aの部分拡大外観斜視図であり、簡易化した概略図である。突設部15に設けられた切欠き部15b,15b…は、図14に示す如く、開口側に向けて広がる傾斜面15c,15cを両側に有している。その他の構成は、図4に示す実施の形態1と同様であるため、対応する構成部材に図4と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
本実施の形態に係る化粧枠1aを実施の形態1にて述べた照明装置本体10aに適用したときに、突設部15の端面15aの一部に設けられた切欠き部15b,15b…に開口側に向けて広がる傾斜面15c,15cを設けているから、切欠き部15b,15b…に薄肉板状の工具を挿入して力を加えて天井から一部を離隔させつつ、傾斜面15c,15cに沿って工具をずらせて天井との隙間が生じる範囲を広げることにより、さらに容易に天井から照明装置を取外すことができる。
なお、本実施の形態においては、傾斜面15c,15cを切欠き部15b,15b…の底面から突設部15の端面15aに向けて深さが直線的に減少する傾きが一定の傾斜面としたが、これに限定されず、傾斜面の傾きを切欠き部15b,15b…の底面から突設部15の端面15aに向けて変化させてもよい。また、傾斜面に限定されず、工具を鍔部12の周方向に移動させることが可能なように切欠き部15b,15b…の底面と端面15aとの間を形成してあればよい。
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係る化粧枠1bの部分拡大外観斜視図であり、簡易化した概略図である。図16は、化粧枠1bの切欠き部15b,15b…近傍における模式的部分断面図である。鍔部12の一面12aには、切欠き部15b,15b…に対応した部分、即ち切欠き部15b,15b…と同一周方向位置の切欠き部15b,15b…及び固定部13,13…間の鍔部12の径方向の適長に亘って、補強部16a,16a…が夫々設けてある。補強部16a,16aは、切欠き部15b,15b…から鍔部12の径方向に延設され、延設端が固定部13,13…の外面と適長離隔するように形成してあり、補強部16a,16a…の上面は、切欠き部15b,15b…の底面と面一にしてある。
補強部16a,16a…の延設端には、固定部13,13…と離隔して対向する矩形板状の突起16b,16b…が立設してある。なお、固定部13,13…及び突起16b,16b…間の間隔は、化粧枠1bを照明装置本体10aに取付けたときに、図中に二点鎖線にて示すように、固定部13,13…及び突起16b,16b…間に板ばね6,6…が位置するように設定してある。その他の構成は、図2及び4に示す実施の形態1と同様であるため、対応する構成部材に図2及び4と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
本実施の形態に係る化粧枠1bを実施の形態1にて述べた照明装置本体10aに適用したときに、固定部13,13…と突起16b,16b…との間に板ばね6,6…が位置するから、切欠き部15b,15b…に薄肉板状の工具を挿入したときに、該工具が突起16b,16b…により所定の位置で工具の挿入が止められて移動を制限され、工具が板ばね6,6…まで到達することを避けることができる。これにより、工具に力を加えたときに板ばね6,6…が邪魔にならず、照明装置の取外し作業をスムーズに行うことができる。
なお、本実施の形態において、突起16b,16b…を矩形板状に形成しているが、突起の形状はこれに限定されず、工具が板ばね近傍まで到達しないように工具の挿入を阻害する形状であればよい。
なお、以上の実施の形態1乃至3に係る化粧枠においては、突設部15に3つの切欠き部15b,15b…を鍔部12の周方向に等配をなして設けているが、これに限定されない。切欠き部の数は、板ばねの数に応じて適宜設定される。切欠き部を設ける位置は、板ばねの近傍であればよく、板ばねと同一周方向位置に設ける必要はない。
また、補強部を切欠き部の底面と面一になるように形成しているが、これに限定されない。
さらに、化粧枠を照明装置本体10aに取付けているが、天井100等の部材に取付けるように構成してもよい。
(実施の形態4)
以上の実施の形態1乃至3に係る化粧枠を備える照明装置は、電源の投入に伴い、電源部から整流された所定値の直流電流がLEDモジュール等の光源に供給され、供給された電流に応じて光源が点灯する。一般に用いられている照明装置は、光源の光量を制御することにより照射面での明るさを変化させており、また、光源として発光色が異なる複数の光源を用い、該複数の光源の光量を夫々制御することにより、複数の光源からの光が照射される照射面での光色を変化させている。このような調光方法は、きめ細かい光量及び光色の変更を自動にて行うことが可能となる一方、構成及び制御が複雑になる。そこで、より簡易な構成にて調光が可能な照明装置が望まれている。
図17は、実施の形態4に係る化粧枠1cを用いた照明装置の模式的部分拡大断面図である。図18は、照明装置の模式的部分拡大正面図である。なお、照明装置は、実施の形態1において述べた照明装置と同様に構成してある。
化粧枠1cの鍔部12の内縁部には、該鍔部12と同心をなして円弧状のガイド孔12dが約90°に亘って設けてある。化粧枠1cのその他の構成は、図16に示す実施の形態3と同様であるため、対応する構成部材に図3と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
化粧枠1cの内側の鍔部12の内面には、LEDモジュールを覆うように、樹脂製の透過板5aが設けてある。透過板5aは、凸状に湾曲された略円板形状を有しており、透過板5aの外周縁の一部には、透過板5aに略直交し、透過板5aの突出方向に延びる円柱状の突起50aが設けてある。
透過板5aは、突起50aを化粧枠1cに設けられた円弧状のガイド孔12dに挿入して、図17の如く、化粧枠1cに取付けられる。この透過板5aの上側には、光学部材としての円板状のフィルター51が内嵌されている。図19は、フィルター51の一例である。
フィルター51は、着色されたポリカーボネート樹脂製であり、図19に示す如く、周方向に色の濃淡を連続的に変化させてある。本実施の形態においては、90°毎に周方向の色の濃淡の変化を繰り返すようにフィルター51を形成してある。このように90°毎に色の濃淡の変化を繰り返すように構成しているのは、周方向に4等配してあるLEDモジュールを光源として備える照明装置に適用しているためであり、繰り返し角度は、LEDモジュール等の光源の数、配置等に応じて適宜設定される。なお、フィルター51は、ポリカーボネート樹脂製に限定されず、アクリル樹脂等の他の樹脂でもよいし、ガラスでもよい。
この構成において、突起50aを化粧枠1cに設けられたガイド孔12dに沿って動かすことにより、突起50aが設けられた透過板5aが回転し、この回転に伴い透過板5aに内嵌されたフィルター51が一体的に回転する。LEDモジュールから出射される光は、フィルター51のLEDモジュール直下の部分を主として透過するから、透過後の光の色の濃淡を、フィルター51の回転に応じて無段階に変化させることができる。
なお、本実施の形態においては、周方向の色の濃淡を変化させるようにフィルター51を形成しているが、これに限定されない。例えば、周方向の色を連続的に変化させるようにフィルターを形成してもよい。この場合、フィルターの回転に応じてフィルターを透過する光の色がフィルターの色に応じて変化するから、照射面での光色を変化させることができる。また、一色に均一に着色したフィルターを用いてもよく、この場合、透過板を着色するよりも製造が容易であるという利点がある。
また、周方向の透過率を高低に連続的に変化させるようにフィルターを形成してもよい。この場合、フィルターの回転に応じてフィルターを透過する光の量が変化するから、照射面での明るさを無段階に変化させることができる。また、周方向位置に応じて光の散乱の度合いを変化させてもよい。
また、光源からの光の出射方向にあるガラス、水面等にて反射する光の量を減少させて光の映り込みを防止すべく、所定方向の光以外をカットする偏光フィルターを用いてもよい。また、異なるレンズやプリズムを周方向に配置してなるシートを用いることにより、光の出射方向を変えるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、色の濃淡、色の種類、透過率の高低等を周方向に変化されるようにフィルター51を形成しているが、フィルター51ではなく透過板を周方向に色の濃淡等を変化させるように形成してもよいし、フィルター及び透過板夫々を異なる特性を持たせるように形成してもよい。
また、本実施の形態においては、化粧枠1cに設けられたガイド孔12dに挿入する突起50aを透過板5aに設けて、透過板5aを回転させることによりフィルター51を回転させるように構成してあるが、これに限定されず、フィルターに突起を設けて、該突起を化粧枠1cに設けられたガイド孔12dに挿入して、フィルターを直接回転させるように構成してもよい。
なお、以上の実施の形態においては、光源として複数のLED素子が実装されてなるLEDモジュール3,3…を用いているが、これに限定されず、高輝度のLEDチップ、EL(Electro Luminescence)、蛍光灯、電球等を用いてもよい。
また、以上の実施の形態おいては、ダウンライトに化粧枠を取付けた例について述べたが、ダウンライトに限定されず、他のタイプの照明装置、照明装置以外の天井等の部材に設置される機器にも本発明に係る化粧枠は適用可能であり、その他、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能であることは言うまでもない。