JP5570623B2 - 船舶構造 - Google Patents

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Description

本発明は、化学薬品によりバラスト水に含まれる微生物等を殺滅するバラスト水処理装置を装備した船舶に関する。
従来、船舶にはバラスト水を処理するためのバラスト水処理装置の装備が要求される。これは、環境の異なる国を往復する船舶によってバラスト水の注排水が行われると、バラスト水に含まれる微生物により沿岸生態系に悪影響を及ぼすという問題があるためである。この問題を解決するために、例えば、特開2006−123577号公報に開示のものが知られている。
特開2006−123577号公報の開示は、発明名称「バラスト水処理方法および装置」に係り、「バラスト水に含まれる有害生物を殺滅するために化学薬品を利用するとともに、低濃度で長時間かつタンク内で均一に殺滅効果を保持するようにしたバラスト水処理方法およびその装置を提供する」ことを目的としており(同公報明細書段落番号0007参照)、「バラストタンクにバラスト水を漲水後、バラスト水循環回路によりバラスト水を前記バラストタンクの底部から吸い込み、上部から注入するようにバラスト水を循環しながら、バラスト水に含まれる有害生物を殺滅するための化学薬品を前記バラスト水循環回路に注入する」等の手段により(同公報明細書段落番号0008等参照)、「バラストタンクにバラスト水を漲水後、バラスト水循環回路によりバラスト水を循環させながら、バラスト水に含まれる有害生物を殺滅するための化学薬品をバラスト水循環回路に注入するようにしたので、バラストタンク内の化学薬品濃度を低濃度で長時間一定に保つことができ、これによってバラスト水に含まれる有害生物を完全に殺滅することができる」ことの効果を有するものである(同公報明細書段落番号0013参照)。
図5は、当該特開2006−123577号公報に図1として示される開示発明のバラスト水処理装置の概要を示す側面図であり、図5において、符号110は、バラスト水循環回路、111は、バラストポンプ、112は、吸水口、113は、吸水管、114は、注水口、115は、送水管、116は、注水管、117、118、119は、電磁弁、120は、ポンプ駆動モータ、130は、化学薬品注入回路、131は、化学薬品注入機、132は、化学薬品注入管、133は、電磁弁、134は、濃度計、140は、海水循環回路、141は、海水吸入口、142は、海水循環ポンプ、143は、フィルター、144、145、146、147は、電磁弁、150は、バラストタンク、151は、上甲板である(なお、符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁に変更して説明した。)
しかしながら、当該特開2006−123577号公報に開示の発明は、図5から明らかなように、バラスト水処理装置が機関室内に設けられているため、バラスト水に含まれる有害生物を殺滅するための化学薬品が含まれるバラスト水が漏れた場合に、通常、機関室内で作業している船員がバラスト水中の化学薬品に接触してしまうという危険に晒されるという問題があった。
特開2006−123577号公報
そこで、本願発明は、バラスト水処理装置のバラスト水が漏れたとしても船員がバラスト水中の化学薬品に接触するという危険に晒される恐れのない船舶構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、船舶構造において、船舶船首端バラストタンクのタンクトップに当該船舶船首端バラストタンク上のボースンストアの床面に開口するレセスを設け、当該レセス内に化学薬品により水中有害生物を殺滅するバラスト水処理装置を設け、当該バラスト水処理装置は、前記船舶船首端バラストタンク内のバラスト水を吸い込むシーチェスト及び没水型バラストポンプからバラスト水が吸い込まれ、当該バラスト水処理装置で薬品処理されたバラスト水を前記船舶船首端バラストタンク内に排水する排水口を設けてなる循環型バラスト水処理装置からなることを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の船舶構造において、前記レセス内の所定位置に漏水を知らせ、周囲に警報する浸水警報装置を設けると共に、同浸水警報装置からの信号基づいて作動する浸水警報表示機を操舵室に設けたことを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、船舶構造において、船舶船首端バラストタンクのタンクトップに当該船舶船首端バラストタンク上のボースンストアの床面に化学薬品により水中有害生物を殺滅するバラスト水処理装置を設け、当該バラスト水処理装置は、前記船舶船首端バラストタンク内のバラスト水を吸い込むシーチェスト及び没水型バラストポンプからバラスト水が吸い込まれ、当該バラスト水処理装置で薬品処理されたバラスト水を前記船舶船首端バラストタンク内に排水する排水口を設けてなる循環型バラスト水処理装置からなり、当該バラスト水処理装置の周囲に所定高さの漏水防護壁を設けたことを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、船舶構造において、船舶船首端バラストタンクのタンクトップに当該船舶船首端バラストタンク上のボースンストアの床面に開口するレセスを設け、当該レセス内に化学薬品により水中有害生物を殺滅するバラスト水処理装置を設け、当該バラスト水処理装置は、前記船舶船首端バラストタンク内のバラスト水を吸い込むシーチェスト及び当該バラスト水処理装置内またはその外部設けたくみ上げ式ポンプからバラスト水が吸い込まれ、当該バラスト水処理装置で薬品処理されたバラスト水を前記船舶船首端バラストタンク内に排水する排水口を設けてなる循環型バラスト水処理装置からなることを特徴とする。
本発明は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
ボースンストア内に船員は常駐していないので、バラスト水処理装置からバラスト水が漏れても、船員が微生物殺滅の化学薬品を含むバラスト水に接触するという危険にさらされることがないという効果を有する。
図1は、実施例1に係る船舶構造の概略を示す船首部側断面図 図2は、実施例1に係る船舶構造の概略を示す船首部横断面図 図3は、実施例2に係る船舶構造の概略を示す船首部側断面図 図4は、実施例2に係る船舶構造の概略を示す船首部横断面図 図5は、当該特開2006−123577号公報に図1として示される開示発明のバラスト水処理装置の概要を示す側面図である。
本発明に係る船舶構造を実施するための形態として一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1、図2は、船首端バラストタンク内に没水型バラストポンプを配置し、かつ、前記船首端バラストタンク上部に配置されるボースンストア内にバラストタンクのタンクトップに窪みを設け、当該窪み内にレセスを設けて、バラスト水処理装置を配置し、前記没水型バラストポンプからのバラスト水を当該バラスト水処理装置で処理する実施例1に係る船舶構造の概略を示す船首部側断面図及び船首部横断面図である。
図1、図2において、符号1は、船舶船首部、2は、船首端バラストタンク、3は、ボースンストア、4は、サクション、5は、前記船首端バラストタンク2のタンクトップ、6は、レセス、7は、前記船首端バラストタンク2内に設けられるバラスト水取り込みのシーチェスト、8、8は、バルブ、9は、没水型バラストポンプ、10は、モータ、11は、バラスト水処理装置、12は、前記船首端バラストタンク2内に処理後のバラスト水を排出する排水口、13は、船底外板、14は、カーゴホールド、15は上甲板である。
本実施例1に係る船舶構造は、図1、図2から明らかなように、前述の特開2006−123577号公報に示されるバラスト水処理装置と同様の化学薬品を利用してバラスト水に含まれる有害生物を殺滅する循環型バラスト水処理装置である。
そして、本実施例1に係る船舶構造では、バラストポンプとして、前記没水型バラストポンプ9を使用した。これは、パラストポンプを吸い込み位置である前記シーチェスト7に近い高さ位置に設置するためである。バラストポンプを前記バラスト処理装置11内、あるいは、前記バラスト水処理装置11に隣接して設けるとすると、サクションヘッド(吸込揚程)が必要となるため、より大きな能力のバラストポンプを必要とすることになり、非効率的だからである。しかしながら、これは、サクションヘッド(吸込揚程)が確保できれば、水没型バラストポンプ9に限るものではなく、前記バラスト水処理装置11内又はその近隣に設ける通常のくみ上げ式ポンプであっても良いものである。
また、本実施例1に係る船舶構造では、前記バラスト水処理装置11を前記船首端バラストタンク2のタンクトップ5に前記レセス6を設け、当該レセス6は前記ボースンストア3の床面に開口し、その内部に前記バラスト水処理装置11を設ける船舶構造とする。船舶におけるレセスとは、一般に、錨、VDS(Vertical Depth Sonar: 可変深度ソナー)などを格納する窪み(場所)をいい、また、ボースンストア(Boatswain's store)とは、通常船首部揚錨機の下部等に設けられる甲板部倉庫をいい、航海関係の索具、修理用工具、予備品等を格納するために使用する倉庫である。これらレセス6及びボースンストア3は、通常では船舶接岸の際等に使用されるだけで、通常は船員が常駐する場所ではない。したがって、前記バラスト水処理装置11等で漏水が発生したとしても、船員等に接触する機会は少ないし、さらに、前記船首端バラストタンク2のタンクトップ5にタンク内に凹む前記レセス6を設け、当該レセス6内に前記バラスト水処理装置11を設けることで、サクションヘッド(吸込揚程)の軽減を図り、効率化を考慮したものである。
また、本実施例1に係る船舶構造は、前記船首端バラストタンク2内のバラスト水を前記バラスト水処理装置で化学薬品で循環処理するものであるが、前記船首端バラストタンクは、バラスト配管で船尾部バラストタンクや船底バラストタンクに送り込むことができ、船舶航行中であっても、全てのバラストタンク内のバラスト水を化学薬品により水中有害生物の殺滅が可能となる。
このとき、前記レセス6内に前記バラスト水処理装置11を設けることで、当該バラスト水処理装置11から漏水が発生したとしても、漏れでたバラスト水は、当該レセス6からあふれ出るまでの時間を要し、漏水による被害を最小限に食い止めることができる。
このため、本実施例1に係る船舶構造においては、当該レセス6内の所定位置に漏水を知らせる浸水警報装置(図示外)を設け、周囲に警報すると共に、同浸水警報装置からの信号の基づいて作動する浸水警報表示機(図示外)を操舵室(図示外)に設けるようにする。
本実施例1に係る船舶構造においては、バラスト水処理装置11を機関室等通常は船員が常駐しない場所に配置したので、バラスト水処理装置からバラスト水が漏れても、船員が微生物殺滅の化学薬品を含むバラスト水に接触するという危険にさらされることがない。また、バラストタンクのタンクトップ5にレセス6を設け、当該レセス6内にバラスト水処理装置11を配置したので、バラスト水が漏れても、当該レセス6から漏れ出たバラスト水があふれ出るまでに時間を要し、漏水の被害を最小限に食い止めることができる。
このように本実施例1に係る船舶構造においては、前記船首端バラストタンク2内のバラスト水に対し、水中の有害生物を薬品処理により殺滅する循環型のバラスト水処理装置とするので、航行中に有害生物の殺滅処理を可能とするばかりか、いざ、漏水が生じた場合にも船員に危害が及ぶおそれが少ないため、バラスト水中の有害生物の殺滅に関し、前述の特開2006−123577号公報に示されるバラスト水処理装置よりも強い薬効の化学薬品を使用することができ、効率的なバラスト水処理が可能となる。
前記実施例1に係る船舶構造においては、上述するように、バラストポンプ能力及びバラスト水が漏れ出た場合の船員への危害を考慮して、前記バラスト水処理装置11を前記船首端バラストタンク2のタンクトップ5に前記レセス6を設け、当該レセス6内に前記バラスト水処理装置11を設ける船舶構造としたが、大きな容量のポンプを用い、船員への漏水の接触が防げるような構造であれば、上記実施例1の船舶構造に限るものではない。
例えば、次に説明する実施例2に係る船舶構造であっても良いものである。
図3、図4は、実施例2に係る船舶構造の概略を示す船首部側断面図及び船首部横断面図であり、上記実施例1に係る船舶構造を説明した図1及び図2に相当するものである。
図3,図4から明らかなように、本実施例2に係る船舶構造は、前記船首端バラストタンク2のタンクトップ5に前記レセス6を設けず、レセスに替えて、前記ボースンストア3の床面に前記バラスト水処理装置11を設置し、その周囲に漏水防護壁16を設けたものである。
本実施例2に係る船舶構造においては、前記バラスト水処理装置11が前記ボースンストア3の床面に配置されるので、上記実施例1に係る船舶構造に比し、サクションヘッド(吸込揚程)に関しては非効率的となるかも知れない。しかしながら、これは、容量の大きな水没型バラストポンプ9を使用し、または、前記バラスト水処理装置11内あるいはその近隣に配置する通常のくみ上げ式ポンプを使用して解消することができる。
そして、バラスト水が漏れだした場合の対策として、図3、図4から明らかなように、前記ボースンストア3の床面に配置される前記バラスト水処理装置11その周囲に漏水防護壁16を設けるようにしたものである。
このようにすることにより、船員の常駐場所ではない前記ボースンストア3内に前記バラスト水処理装置11を配置したので、バラスト水が当該バラスト水処理装置11から漏れ出た場合でも船員への接触の危険は少なく、さらには、前記ボースンストア3の床面に配置される当該バラスト水処理装置11の周囲に所定高さの漏水防護壁16を設けたので、仮に、バラスト水の漏水が発生したとしても、漏れ出たバラスト水は当該漏水防護壁16を乗り越えてあふれ出るまで時間を要し、被害の拡大を避けることができる。
また、上記実施例1に係る船舶構造と同様に当該漏水防護壁16内の所定位置に漏水を知らせる浸水警報装置(図示外)を設け、周囲に警報すると共に、同浸水警報装置からの信号の基づいて作動する浸水警報表示機(図示外)を操舵室(図示外)に設けるようにすれば、上記実施例1に係る船舶構造と同様に速やかにバラスト水の漏水に対処できることとなる。
このような船舶構造としたので、本実施例2に係る船舶構造は、上記実施例1に係る船舶構造と同様に船舶航行中に有害生物の殺滅処理を可能とするばかりか、いざ、漏水が生じた場合にも船員に危害が及ぶおそれが少なく、バラスト水中の有害生物の殺滅に関しても、上記実施例1に係る船舶構造と同様に、前述の特開2006−123577号公報に示されるバラスト水処理装置よりも強い薬効の化学薬品を使用することができ、効率的なバラスト水処理が可能となる。
本発明は化学薬品を使用するバラスト水処理装置を装備した船舶に利用される。
1 船舶船首部
2 船首端バラストタンク
3 ボースンストア
4 サクション
5 タンクトップ
6 レセス
7 シーチェスト
8 バルブ
9 没水型バラストポンプ
10 モータ
11 バラスト水処理装置
12 排水口
13 船底外板
14 カーゴホールド
15 上甲板
16 漏水防護壁
110 バラスト水循環回路
111 バラストポンプ
112 吸水口
113 吸水管
114 注水口
115 送水管
116 注水管
117、118、119 電磁弁
120 ポンプ駆動モータ
130 化学薬品注入回路
131 化学薬品注入機
132 化学薬品注入管
133 電磁弁
134 濃度計
140 海水循環回路
141 海水吸入口
142 海水循環ポンプ
143 フィルター
144、145、146、147 電磁弁
150 バラストタンク
151 上甲板

Claims (4)

  1. 船舶船首端バラストタンクのタンクトップに当該船舶船首端バラストタンク上のボースンストアの床面に開口するレセスを設け、
    当該レセス内に化学薬品により水中有害生物を殺滅するバラスト水処理装置を設け、
    当該バラスト水処理装置は、前記船舶船首端バラストタンク内のバラスト水を吸い込むシーチェスト及び没水型バラストポンプからバラスト水が吸い込まれ、当該バラスト水処理装置で薬品処理されたバラスト水を前記船舶船首端バラストタンク内に排水する排水口を設けてなる循環型バラスト水処理装置からなることを特徴とする船舶構造。
  2. 前記レセス内の所定位置に漏水を知らせ、周囲に警報する浸水警報装置を設けると共に、同浸水警報装置からの信号基づいて作動する浸水警報表示機を操舵室に設けたことを特徴とする請求項1に記載の船舶構造。
  3. 船舶船首端バラストタンクのタンクトップに当該船舶船首端バラストタンク上のボースンストアの床面に化学薬品により水中有害生物を殺滅するバラスト水処理装置を設け、
    当該バラスト水処理装置は、前記船舶船首端バラストタンク内のバラスト水を吸い込むシーチェスト及び没水型バラストポンプからバラスト水が吸い込まれ、当該バラスト水処理装置で薬品処理されたバラスト水を前記船舶船首端バラストタンク内に排水する排水口を設けてなる循環型バラスト水処理装置からなり、
    当該バラスト水処理装置の周囲に所定高さの漏水防護壁を設けたことを特徴とする船舶構造。
  4. 船舶船首端バラストタンクのタンクトップに当該船舶船首端バラストタンク上のボースンストアの床面に開口するレセスを設け、
    当該レセス内に化学薬品により水中有害生物を殺滅するバラスト水処理装置を設け、
    当該バラスト水処理装置は、前記船舶船首端バラストタンク内のバラスト水を吸い込むシーチェスト及び当該バラスト水処理装置内またはその外部設けたくみ上げ式ポンプからバラスト水が吸い込まれ、当該バラスト水処理装置で薬品処理されたバラスト水を前記船舶船首端バラストタンク内に排水する排水口を設けてなる循環型バラスト水処理装置からなることを特徴とする船舶構造。
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