JP5566762B2 - 床暖房装置 - Google Patents

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Description

本発明は床面の暖房を行う床暖房装置に関するものである。
住生活の快適環境を図る観点から、建物(家屋)のフローリング等の床暖房を行う床暖房装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
図7には本出願人が開発している床暖房装置の一例が示されている。同図に示すように、床暖房装置は、熱源器20と放熱マット(暖房マット)11とを有している。放熱マット11は、板状のマット本体としてのマット材12を有しており、マット材12は、四角形状をした発泡スチロール等により形成されている。マット材12の互いに対向する辺側からマット材12の長手方向(対向辺の辺長方向)に間隔を介して、互い違いに相手側の辺方向に伸張するスリットが複数形成され、その各スリットに骨材としての小根太13と小小根太15が収容配置されている。小根太13や小小根太15は、通常、横断面が四角形状を呈した木材の棒状の角材が使用されるが、合成樹脂であってもよい。
マット材12の上面側には、放熱用(暖房用)の熱媒体である温水を通すパイプ(熱媒体流通パイプ)6が、小根太13を迂回する形態で1本以上(図7に示す例ではパイプ6aとパイプ6bの2本)引き回し配設されている。なお、通常は、マット材12の表面にパイプ6を配線するための溝が形成され、その溝にパイプ6が収容されて配線敷設されている。
また、マット材12の上面にはパイプ6と根太(小根太13および小小根太15)とを覆うように、シート状の放熱部材であるアルミ箔(同図には図示せず)が接着形成されている。前記マット材12の端部側にはパイプ6と外部配管18とを連通接続するヘッダ1が設けられており、ヘッダ1には外部配管18(外部往管18aと外部戻り管18b)を介して熱源器20が接続されている。
熱源器20は給水される水を加熱して温水(湯)を作り出す給湯機能を備えた熱源器であり、熱源器20で作り出された温水は外部往管18aを通してヘッダ1に供給される。ヘッダ1は熱源器20から供給される温水を放熱マット11に導くと共に、放熱マット11から戻ってくる温水(湯温が低下した温水)を、外部戻り管18bを通して、再加熱のために熱源器20へ戻す役割を担う。
このような床暖房装置において、床温度を制御するためには、従来は、実際に床温度を測定するための計測器を床面に取り付ける方法や、床面からの放射温度を離れたところから計測して床温を測定する方法、熱源器20から放熱マット11側へ導入される往きの温水温と放熱マット11側から熱源器20側に戻る戻りの温水温から相関的に床温度を測定する方法等を用いて床温度を測定し、その測定値に基づいて床温度を制御していた。
実開平6―40718号公報
しかしながら、床温度を直接測定するための計測器を設ける構成においては、計測器を貼り付けるための作業性が悪かったり、取り付けた計測器が邪魔になったりするといった問題があった。また、放射温度を測定する方法においては、測定する箇所に絨毯などが敷かれてしまうと正確に床温を検出することが難しいといった問題があった。さらに、往きと戻りの温水温の差に基づいて床温を検出する方法においては、気温の変化や暖房の開始時と開始からしばらくたった時間とに応じて暖房負荷が変わったり、温水の循環流量が変化したりすると正確に床温を検出することができず、制御性に難があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、床に邪魔な計器を設けなくてもすむ簡単な構成で的確に床温を制御できる床暖房装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、板状のマット本体を有して、該マット本体には放熱用の熱媒体を通すパイプが配設されている放熱マットと、該放熱マットの前記パイプに通す熱媒体を供給する熱源器と、前記放熱マットが床に配設される部屋の室温を検出する室温検出手段とを備え、前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを変えたときの前記室温と前記部屋の床温との関係データを予め与えておき、該関係データと前記室温検出手段によって検出される室温検出値とに基づいて、前記部屋の床温が予め設定される設定床温になるように前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを制御する制御手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
また、第2の発明は、板状のマット本体を有して、該マット本体には放熱用の熱媒体を通すパイプが配設されている放熱マットと、該放熱マットの前記パイプに通す熱媒体を供給する熱源器と、前記放熱マットが床に配設される部屋の室温を検出する室温検出手段と、前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とに応じて変化する前記床の熱流量を検出する熱流量検出手段とを備え、前記部屋の床温から室温を差し引いた差と前記熱流量との関係データを予め与えておき、該関係データと、前記室温検出手段によって検出される室温検出値と、前記熱流量検出手段によって検出される熱流量検出値とに基づいて前記部屋の床温を推測し、該推測値が予め設定される設定床温になるように前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを制御する制御手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
第1の発明によれば、熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを変えたときの前記室温と前記部屋の床温との関係データを予め与えておくことにより、この関係データと室温検出手段によって検出される室温検出値とに基づいて、そのときの部屋の床温を推測でき、予め設定される設定床温になるように、制御手段によって、熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを制御することにより、床温が設定床温になるようにきめ細かく制御できる。しかも、その制御に際し、温水の流量制御は不要で、温水の温度と流す時間を制御することのみでよいため、非常に簡単に制御でき、装置構成も簡単である。
また、第2の発明によれば、部屋の床温から室温を差し引いた差と床の熱流量との関係データを予め与えておくことにより、この関係データと、室温検出手段によって検出される室温検出値と、熱流量検出手段によって検出される熱流量検出値とに基づいて前記部屋の床温を推測でき、該推測値が予め設定される設定床温になるように、制御手段によって前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを制御することにより、床温が設定床温になるようにきめ細かく制御できる。しかも、その制御に際し、温水の流量制御は不要で、温水の温度と流す時間を制御することのみでよいため、非常に簡単に制御でき、装置構成も簡単である。
本発明に係る床暖房装置の一実施例の制御構成を示すブロック図である。 実施例の床暖房装置の要部構成を説明するための模式的な説明図である。 実施例の床暖房装置の放熱マットに設けられているヘッダの通路形成例と温度対応開閉弁の構成および動作を説明するための断面説明図である。 実施例の床暖房装置に与えられる暖房の制御のためのデータ例を示すグラフである。 その他の実施例の床暖房装置に設けられる制御構成を示すブロック図である。 図5に示す制御構成を有する床暖房装置により暖房の制御を行うために与えるデータ例を示すグラフである。 放熱マットの一例を示す説明図である。 敷設面積を切り替える構成を備えた放熱マットの提案例を示す説明図である。 敷設面積を切り替える構成を備えた放熱マットの別の例を示す模式的な説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付してある。
図2には、本発明に係る放熱マットの一実施例の床暖房装置が模式的に示されている。本実施例は図7に示した従来例と同様に、放熱マット11と熱源器20とを外部配管により接続しており、放熱マット11はマット本体12とヘッダ1とを有し、マット本体12にはパイプ6が配設されている。ただし、本実施例に適用されている放熱マット11においては、ヘッダ1の通路(図2には図示せず)に、マット本体12の予め定められた設定領域A(マット本体12の中央部であって、例えば部屋に敷設時は部屋中央部)に温水を流してヘッダ1に戻す設定領域内配設パイプ6Aと、マット本体12の設定領域A以外の領域B,C(マット本体12の周辺部であって、例えば部屋敷設時は家具等が置かれる可能性の高い場所)に温水を流してヘッダ1に戻す設定領域外配設パイプ6B,6Cとが接続されている。なお、領域A,B,Cは、図の鎖線により区切られた領域であり、また、図2には示されていないが、本実施例でも、図7に示した放熱マット11と同様に、小根太13等が設けられている。
図3には、ヘッダ1の通路のうち、一端側が設定領域外配設パイプ6Bに接続されている通路2と、一端側が設定領域内配設パイプ6Aに接続されている通路4とが模式的な断面図により示されている。通路2は、その他端側が、分岐部5を介して通路4の他端側とに接続されており、通路4の他端側は外部配管18に接続されている。通路2には温度対応開閉弁3が介設されており、この温度対応開閉弁3は、ヘッダ1側からパイプ6側に流れる温水の温度が予め定めた設定温度(例えば50℃)以上のときには開いて、前記温水の温度が前記設定温度未満の時には閉じる弁である。
また、同図には示されていないが、例えば通路4における温度対応開閉弁3の配設位置よりも下流側の位置に分岐部が形成され、この分岐部に、設定領域内配設パイプ6Cに接続されている通路が接続され、この通路にも温度対応開閉弁3が介設されている。
温度対応開閉弁3は、本実施例では、ヘッダ1側からパイプ6A,6B,6C側に流れる(ここでは、通路4を流れる)温水の温度が前記設定温度以上のときには、図3(a)に示すように、開状態と成す。そして、このことにより、温水を設定領域内配設パイプ6Aと設定領域外配設パイプ6B,6Cの両方に流すことにより、温水をマット本体12の全体領域に流す構成としている。また、ヘッダ1側からパイプ6A,6B,6C側に流れる(ここでは、通路4を流れる)温水の温度が前記設定温度未満のときには、図3(b)に示すように、温度対応開閉弁3が閉じ、温水の設定領域外配設パイプ6B,6C側への流れを遮断し、温水を前記設定領域にのみ流す構成としている。
なお、温度対応開閉弁3の構成は特に限定されるものではないが、その一例として図3に示す構成が適用されるものであり、以下に、この温度対応開閉弁3の構成について簡単に説明する。この温度対応開閉弁3は、ボディ28に、入口流路26と、出口流路27と、これらの流路26,27を連通する弁室29を設けて形成されており、弁室29には、環状の弁座30が設けられている。また、弁室29には、弁体31がピストン32と共に進退移動自在に設けられており、ピストン32は、ワックスサーモエレメント33を駆動部として(この図では上下方向に)進退移動する。また、弁31は、バネ34によって図の下側に付勢されている。
ヘッダ1側からパイプ6A,6B,6C側に流れる温水の温度が前記設定温度以上(例えば60℃)の時には、通路4を流れる温水の温度が前記設定温度(例えば50℃)以上となるので、図3(a)に示すように、サーモエレメント33が伸長作動して、ピストン32が、バネ34の付勢力に抗して図の上側に移動した状態となり、弁体31が弁座30から離れて温度対応開閉弁3が開状態となる。そのため、図の矢印に示すように、分岐部5を介して通路2に温水が流れ込み、温度対応開閉弁3を通り、設定領域外配設パイプ6B側へ流れる。同様に、設定領域外配設パイプ6C側へも温水が流れる。したがって、設定領域Aおよび設定領域A以外の領域B,Cに温水が流れ、放熱マット11の全体領域の暖房が行われる。
一方、ヘッダ1側からパイプ6A,6B,6C側に流れる温水の温度が前記設定温度未満(例えば40℃)の時には、通路4を流れる温水の温度が前記設定温度未満となるので、図3(b)に示すように、サーモエレメント33が収縮して、ピストン32がバネ34の付勢力によって図の下側に移動した状態となり、弁体31が弁座30に当接し、温度対応開閉弁3が閉状態となる。そのため、図の矢印に示すように、分岐部5を通った温水は通路4側にのみ流れ、設定領域内配設パイプ6Aを通って設定領域A内にのみ流れ、この領域Aの暖房が行われる。
また、本実施例では、図1に示す特徴的な制御構成を有している。つまり、熱源器20の制御装置内に、暖房制御手段8、メモリ部9、時計機構10、燃焼制御手段14を設け、この制御装置を、室温検出手段7に信号接続している。
室温検出手段7は、放熱マット11が床に配設される部屋の室温を検出する手段である。燃焼制御部14は、放熱マット11に供給する温水を作り出すために、熱源器20内に設けられている加熱手段(例えばバーナ)の燃焼制御を行うものである。なお、温水形成のための構成は、特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、バーナの燃焼制御によって適宜の温度の温水を形成してもよいし、バーナの燃焼に加え、水―水熱交換器等を用いて適宜の温度の温水を形成してもよい。
メモリ部9は、温水の温度と温水をパイプ6に通す時間とを変えたときの、前記部屋の室温と前記部屋の床温との関係データを格納するものである。このデータは、例えば図4に示すようなデータである。同図において、特性線aは、60℃の温水を20分間パイプ6に流したときの室温と床温との関係データであり、特性線bは、60℃の温水を10分間パイプ6に流したときの、室温と床温との関係データである。また、特性線c、特性線dは、それぞれ、同様に、温水の温度を60℃として、その温水を、特性線cにおいては6分間、特性線dにおいては3分間、パイプ6に流したときの、室温と床温との関係データである。特性線eは、40℃の温水を3分間パイプ6に流したときの、室温と床温との関係データである。
暖房制御手段8は、図4に示すような関係データと、室温検出手段7によって検出される室温検出値とに基づいて、前記部屋の床温が予め設定される設定床温になるように、温水の温度と温水をパイプ6に通す時間とを制御する制御手段として機能するものである。暖房制御手段8は、時計機構10により検出される時間を取り込み、温水の温度が例えば60℃または40℃になるように燃焼制御手段14に指令を加え、燃焼制御手段14によって適宜の温度の温水を作り出させ、その温水を適宜の時間、放熱マット11側に送ってパイプ6に流す。
例えば、暖房制御手段8は、床温を32℃にしたい場合に、室温が18℃程度の低い状態の時には、特性線aに従って温水の供給を開始する。つまり、燃焼制御手段14に指令を加えて60℃の温水を作るようにし、その60℃の温水を放熱マット11に供給し、供給開始時から20分間継続して温水をパイプ6に流すようにする。なお、このときには、温水の温度が60℃であるので、本実施例の放熱マット11において、図2に示した温度対応開閉弁3は、図3(a)に示した開状態となり、パイプ6A,6B,6Cを通して放熱マット11の全体領域に温水が供給されて暖房が行われる。
そして、放熱マット11に温水を供給することによって部屋の室温が上昇し、21℃を超えると床温が32℃以上となるが、この時点で、特性線bに従って制御を行うと、床温は32℃よりも低くなってしまうので、この時点では、特性線aにしたがって制御を続け、さらに、室温が22.6℃を超えて、特性線bに従う制御においても床温が32℃に達するようになったら、温水供給開始時から20分が経過していなくても、図の実線矢印Aに示すように、特性線bに移り、この特性線bに従い、60℃の温水を、前記温水供給開始時から10分間流すようにする。なお、特性線bに従う制御に移ったときに温水供給開始時から既に10分経過していたときには、一時、温水の供給を停止し、室温から推測される床温が31℃になったら、60℃の温水を10分間継続して流す制御を開始する。
また、特性線bに従う制御をしていても、室温、床温が共に高くなっていき、室温が24.2℃を超えたら、図の実線矢印Bに示すように、特性線cに移り、この特性線cに従い、60℃の温水を前記温水供給開始時から6分間流すようにする。このように、室温検出手段7により検出される室温検出値と、図4に示す関係データとに基づき、特性線a〜eに示す適宜の方法に従い、温水の温度と温水を流す時間を制御する。なお、室温から推測される床温を表示する床温表示手段を設けて、床温を表示するようにしてもよい。床温の表示を行うと、利用者が床温を知ることができるので、利便性を高めることができる。
また、例えば床温を29℃にしたいときに、場合によっては、例えば図の破線矢印A’、B’、C’、D’に示すように、特性線aから順に特性線eまで移っていくことになる。そして、特性線eに従って温水の温度を40℃にした場合には、本実施例の放熱マット11において、図3に示した温度対応開閉弁3は、図3(b)に示した閉状態となり、パイプ6Aを通して放熱マット11の設定領域Aにのみ温水が供給されて部分的に暖房が行われる。
ところで、近年は、従来に比べて高気密、高断熱住宅が多くなり、このような住宅においては、床暖房開始時から時間がたって放熱マット11の定常運転を行うときには、暖房負荷が小さくなる(暖房のための熱量が小さくても、部屋を十分に温めることができる)ために、床暖房によって室温が高くなりすぎてしまうことが懸念されているが、それを防ぐために、室温を一定にしようとして室温のみに基づいて床暖房制御を行おうとすると、床温が低くなってしまうといった問題が生じる。それに対し、本実施例では、前記のように、床温が設定温度になるように制御するので、床温が低くなりすぎることはなく、床暖房のメリットの一つである、素足で床に触れたときに温く感じる気持ちよさを味わえるメリットを損なうことを避けることができる。
また、前記のように、素足で床に触れたときに温く感じるような床暖房の温度を得るためには、放熱マット11に流す温水の温度と流量との積に対応する値が高めになるようにする必要があることが知られている。つまり、温水の温度が高いほど床暖房の温度が高くなることは言うまでもないが、それに加え、温水の流量が大きい方が、放熱マット11内を巡った温水がヘッダ1に流れ込む(戻る)部分の床暖房の温度が高くなる。したがって、例えば床暖房に伴って室温が上がりすぎることを防ぐためには、放熱マット11に流す温水の流量を小さくすることも有効であるが、このようにすると、前記のように、素足で床に触れたときに温く感じることができなくなり、気持ちよさを感じられなくなる。また、温水の流量を制御するためには、例えば熱源器20側にバルブ等を設ける必要があり、その分だけ構成が複雑になるし、制御も難しい。
それに対し、本実施例では、温水の温度を変えるだけで温度対応開閉弁3が自動的に開閉動作を行い、温水を流すパイプ6A,6B,6Cを切り替えることができるので、非常に簡単に放熱マット11における温水を流す面積を切り替えることができるし、以下に述べるように、素足で床に触れたときに温く感じるメリットを損なうこともない。つまり、本実施例において、例えばヘッダ1から全てのパイプ6A,6B,6Cに温水を流す際に、その流量を3リットル/分とすると、温水の温度を40℃にしたときには、その温水が設定領域内配設パイプ6Aにのみ流れるので、流量が大きくなり、例えば6リットル/分となる。
したがって、全てのパイプ6A,6B,6Cに温水を流して放熱マット11全体を加温したときの床暖房の温度は60℃×3リットル/分に対応する値となり、一方、設定領域内配設パイプ6Aにのみ温水を流して設定領域Aのみを加温したときの床暖房の温度は40℃×6リットル/分に対応する値となるので、温水の温度を低くしても、人が長くいるところを設定領域Aとして設定しておくことにより、人がより快適に過ごすことができる。
さらに、前記のように、室温が高くなりすぎることを防ぐために、暖房開始直後と暖房開始からしばらく時間がたってからの床暖房を行う(放熱マット11に温水を流す)面積を、その時々によって変える構成として、従来は、例えば図8に示すような構成が提案されているが、この構成には、以下に示すような問題があった。
つまり、図8に示す構成は、小面積の放熱マット11を複数組み合わせて敷設し、暖房開始時には、熱源器20から外部ヘッダ21を介して全ての放熱マット11に温水を供給し、定常運転時には、例えばどれか一枚の放熱マットのみに熱源器20からの温水を供給するといった構成である。この場合、各放熱マット11にそれぞれ外部往管18aと外部戻り管18bを接続し、これらの外部往管18aと外部戻り管18bをそれぞれ熱源器20に接続するために、長さの長い外部配管18を複数設けなくてはならず、外部配管18を敷設する作業が大変であり、また、外部配管18の形成コストや敷設コストが嵩むといった問題が生じる。
また、図9に示すように、外部往管18aと外部戻り管18bを分岐して、その分岐端をそれぞれ、複数の小面積の放熱マット11に接続することで、各放熱マット11を熱源器20に接続し、前記分岐部に設けた切り替えユニット22内の電磁弁によって温水の供給路を切り替え、温水を供給する放熱マット11を切り替えることも考えられる。この構成においては、図8に示す構成に比べると外部配管18の敷設長さは短くできるものの、切り替えユニット22と各放熱マット11とを接続するための外部配管18を設ける必要があるし、切り替えユニット22と熱源器20とを電気的に接続しなければならないために、そのための電気配線23の経路を考慮しなければならない。
しかも、切り替えユニット22は、床下等に設けられるものであり、切り替えユニット22内に設ける電磁弁のメンテナンスを考慮して切り替えユニット22を設置しなければならないため、設置の自由度が低く、さらに、切り替えユニット22のメンテナンス時には、床下等に設けられている切り替えユニット22を取り出してメンテナンスをするために床をはがさなければならないため、メンテナンス作業が大変であるといった問題も生じる。
それに対し、本実施例では、熱源器20から放熱マット11に供給する温水の温度を変えるだけで、マット外部の熱源器20からの電気信号等による制御を行うことなく、温水の流れる流路を切り替えることができ、温水をマット本体の全体領域に流したり、設定領域にのみ流したりすることができるので、図8に示した構成のように、複数の放熱マット11と熱源器20とをそれぞれ接続するために多数の外部配管18を敷設する必要がなく、また、図9に示した構成のように、切り替えユニット22と各放熱マット11とを接続するための外部配管18を設けることも、熱源器20と切り替えユニット22の電磁弁とを接続するための電気配線を設けることも不要である。
したがって、本実施例は、装置構成が簡単で敷設コストも安くできるし、また、温度対応開閉弁3は電気信号により開閉する弁と異なり、短い期間でメンテナンスをする必要はなく、例えば混合水栓等に用いられているように、ほぼメンテナンスフリーで用いることができるため、メンテナンス作業が大変であるといったこともなく、長期信頼性も高くすることができる。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、図5に示すように、図1に示した構成と同様の構成要素に加え、熱流量検出手段16を設けて、熱源器20の制御装置に信号接続した制御構成を適用することもできる。なお、図5に示す例においても、時計機構10と燃焼制御手段14は、図1と同様の機能を有する。
また、図5において、熱流量検出手段16は、床の熱流量(熱流量検出手段16の設置箇所において通過する熱量)を検出する手段であり、この熱流量は、放熱マット11に供給する温水の温度と、その温水をパイプ6A,6B,6Cに通す時間とに応じて変化するものである。熱流量検出手段16は、例えば床下に、その床と放熱マット11との間に挟む態様で設けられる。なお、熱流量検出手段16を床に貼り付けたりしても邪魔にならない場合には、床に設置してもよい。
メモリ部9は、図5に示す構成においては、図6に示すような、部屋の床温から室温を差し引いた差と熱流量との、予め与えられた関係データを格納する。そして、暖房制御手段8は、その関係データと、室温検出手段7によって検出される室温検出値と、熱流量検出手段16によって検出される熱流量検出値とに基づいて前記部屋の床温を推測し、該推測値が予め設定される設定床温になるように、温水の温度と該温水をパイプ6A,6B,6Cに通す時間とを制御する制御手段として機能する。
暖房制御手段8は、時計機構10により検出される時間を取り込み、温水の温度が例えば60℃または40℃になるように燃焼制御手段14に指令を加え、燃焼制御手段14によって適宜の温度の温水を作り出させ、その温水を適宜の時間、放熱マット11側に送ってパイプ6に流す。例えば熱流量が30W/mの時に室温が20℃であれば、床温は室温+約5℃であるので、暖房制御手段8は、このときの床温が25℃であると推測する。そして、例えば設定床温が30℃とすると、床温−室温=10℃となるようにすればよいので、熱流量検出手段16により検出される熱流量が約73W/mとなるように、60℃の温水を10分間流すように制御する。
なお、この例でも、図1に示す構成を備えた前記実施例と同様に、床温を表示する構成を設けて表示してもよい。図5の制御構成を適用した場合も、前記実施例とほぼ同様の効果を奏することができる。
また、前記実施例では、温水の温度を60℃にするか40℃にするかで切り替えていたが、温水の温度を48℃に切り替える制御を加えると、より快適に過ごせるようになる。つまり、温水の温度を48℃にした場合も前記設定温度(50℃)未満になるので、温度対応開閉弁3が閉状態となり、温水は設定領域内配設パイプ6Aを通って設定領域A内にのみ流れ、この領域Aの暖房が行われる。このとき、温水の温度が48℃であると、人の体温よりも10℃程度高いため、素足で床に触れたときに、より温く感じ、より気持ちよく感じられるし、設定領域Aのみを温めることによって、部屋の温度が高くなりすぎることも防ぐことができる。
さらに、前記実施例では、放熱マット11の領域を3つに分けて、その中央領域を設定領域としたが、設定領域の設定の仕方は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。また、マット本体12の大きさ、配列形態、パイプ6の形態等も特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
さらに、放熱マット11の領域を分けることなく、放熱マット11に温水を供給する際は、その全体領域に温水を供給するようにしてもよい。この場合も、放熱マット11の全体領域に温水を供給した場合の、図4、図6に示すような関係データを与え、図1、図5に示すような構成による前記のような制御を行うことにより、床に邪魔な計器を設けなくても、簡単な構成で的確に床温を制御できる床暖房装置を構成できる。
さらに、放熱マット11に供給する熱媒体は、必ずしも温水とするとは限らず、温水以外の熱媒体を適用してもよい。この場合は、熱媒体に応じて図4、図6に示したような関係データを予め与えて制御することになる。
本発明の床暖房装置は、簡単な構成で、的確に床温を制御でき、快適に過ごすことができるので、家庭用やオフィス用の床暖房装置として利用できる。
1 ヘッダ
2,4 通路
3 温度対応開閉弁
5 分岐部
6 パイプ
6A 設定領域内配設パイプ
6B,6C 設定領域外配設パイプ
7 室温検出手段
8 暖房制御手段
9 メモリ部
10 時計機構
11 放熱マット
12 マット材
14 燃焼制御手段
16 熱流量検出手段
18 外部配管
20 熱源器
29 弁室
30 弁座
31 弁体

Claims (2)

  1. 板状のマット本体を有して、該マット本体には放熱用の熱媒体を通すパイプが配設されている放熱マットと、該放熱マットの前記パイプに通す熱媒体を供給する熱源器と、前記放熱マットが床に配設される部屋の室温を検出する室温検出手段とを備え、前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを変えたときの前記室温と前記部屋の床温との関係データを予め与えておき、該関係データと前記室温検出手段によって検出される室温検出値とに基づいて、前記部屋の床温が予め設定される設定床温になるように前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを制御する制御手段を有することを特徴とする床暖房装置。
  2. 板状のマット本体を有して、該マット本体には放熱用の熱媒体を通すパイプが配設されている放熱マットと、該放熱マットの前記パイプに通す熱媒体を供給する熱源器と、前記放熱マットが床に配設される部屋の室温を検出する室温検出手段と、前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とに応じて変化する前記床の熱流量を検出する熱流量検出手段とを備え、前記部屋の床温から室温を差し引いた差と前記熱流量との関係データを予め与えておき、該関係データと、前記室温検出手段によって検出される室温検出値と、前記熱流量検出手段によって検出される熱流量検出値とに基づいて前記部屋の床温を推測し、該推測値が予め設定される設定床温になるように前記熱媒体の温度と該熱媒体を前記パイプに通す時間とを制御する制御手段を有することを特徴とする床暖房装置。
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