JP5565370B2 - 火花点火式エンジンの制御方法および火花点火式エンジン - Google Patents

火花点火式エンジンの制御方法および火花点火式エンジン Download PDF

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Description

本発明は、火花点火をきっかけにした正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象であるプリイグニッションを検出するための検出手段と、筒内に直接燃料を噴射するインジェクタと、有効圧縮比を可変的に設定する可変機構とを備えた火花点火式エンジンを制御する方法等に関する。
従来、下記特許文献1に示されるように、プリイグニッションが発生し易い特定の運転領域で、プリイグニッションの抑制のために有効圧縮比を低下させるようにしたエンジンの制御方法が知られている。具体的に、この特許文献1の技術では、エンジン回転速度が所定値以下で、かつ要求トルクの増大方向の変化量が所定値以上である場合に、プリイグニッションが発生し易い条件にあると判断する。そして、このような条件下で、吸気弁の閉時期を変更することにより、エンジンの有効圧縮比を低下させる。
特開2001−159348号公報
上記特許文献1のように、プリイグニッションが発生し易い条件下で有効圧縮比を低下させるようにした場合には、有効圧縮比の低下に伴って主に圧縮端圧力(圧縮上死点付近での筒内圧力)が下がり、このことが混合気の自着火に対し抑制方向に働く結果、プリイグニッションの発生が抑制される。
ここで、有効圧縮比を低下させるには、例えば上記特許文献1のように吸気弁の閉時期を変更する必要があり、吸気弁の閉時期を変更するには、バルブタイミングを可変的に設定する機構(可変バルブタイミング機構)を作動させる必要がある。可変バルブタイミング機構は、一般に、機械的な動作によりバルブタイミングを徐々に変化させるものであるから、吸気弁の閉時期を目標時期まで遅らせて有効圧縮比を所望の量だけ低下させるまでには、ある程度の時間を要する。
このように、有効圧縮比を低下させる制御には応答遅れがつきものである。しかしながら、プリイグニッションという異常燃焼は、これを放置すると徐々に発展するという性質をもった重大な異常燃焼であるから、上記のような制御の応答遅れは、できる限り短くすることが望ましい。そのために、可変バルブタイミング機構をより応答性に優れたものに改良することも考えられるが、応答遅れを完全になくすことは不可能であり、また、コスト面からの制約もある。このような事情から、ある程度の応答遅れは許容しながらも、プリイグニッションを迅速に抑制できる技術が求められていた。
なお、有効圧縮比を低下させる制御としては、上記のように吸気弁の閉時期を変更するものに限らず、例えばリンク機構等を用いてピストンのストローク量を実際に変更する(つまりエンジンの幾何学的圧縮比そのものを変更する)ことによって、有効圧縮比を低下させることも可能である。ただし、この場合でも、ピストンのストローク量を目標値まで低下させる際にある程度の応答遅れが生じるという事情は同じである。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、有効圧縮比を低下させる制御の応答遅れにかかわらず、プリイグニッションを迅速かつ効果的に抑制することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、複数の気筒と、火花点火をきっかけにした正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象であるプリイグニッションを検出するための検出手段と、筒内に直接燃料を噴射するインジェクタと、有効圧縮比を可変的に設定する可変機構とを備えた火花点火式エンジンを制御する方法であって、上記検出手段の検出値に基づきプリイグニッションが検出された場合に、上記可変機構を用いて全気筒の有効圧縮比を所定量低下させるステップと、上記有効圧縮比の低下が完了するまでの過渡期に、上記インジェクタから噴射された燃料に基づく筒内の空燃比を一時的にリッチにするステップとを含み、上記空燃比をリッチにするステップでは、燃焼順序が遅い気筒ほどリッチ化の幅を小さくすることを特徴とするものである(請求項1)。
また、本発明は、複数の気筒と、火花点火をきっかけにした正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象であるプリイグニッションを検出するための検出手段と、筒内に直接燃料を噴射するインジェクタと、有効圧縮比を可変的に設定する可変機構とを備えた火花点火式エンジンであって、上記インジェクタおよび可変機構の動作を制御する制御手段を備え、上記制御手段は、上記検出手段の検出値に基づきプリイグニッションが検出された場合に、上記可変機構を作動させて全気筒の有効圧縮比を所定量低下させる制御を実行するとともに、その制御が完了するまでの過渡期に、上記インジェクタから噴射された燃料に基づく筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御を実行し、上記空燃比をリッチにする制御では、燃焼順序が遅い気筒ほどリッチ化の幅が小さくされることを特徴とするものである(請求項7)。
これらの発明では、プリイグニッションが検出されたときの対策として有効圧縮比を低下させながら、その制御が完了するまでの過渡期に、筒内の空燃比を一時的にリッチにすることにより、有効圧縮比を低下させ始めてから実際に有効圧縮比を所定量低下させるまでの間に応答遅れによる時間が必要であったとしても、その応答遅れの期間中は、空燃比のリッチ化による冷却効果(必要以上の燃料の気化潜熱が筒内温度を低下させる効果)が働くため、上記のような制御の応答遅れにかかわらず、プリイグニッションの抑制を迅速に図ることができる。そして、有効圧縮比が実際に所定量低下し、それに伴って圧縮端圧力(圧縮上死点付近での圧力)が下がれば、その状態で空燃比のリッチ化を解除することにより、プリイグニッションの抑制効果を担保しながら、必要以上の時間に亘って空燃比がリッチ化されることを回避して、燃費およびエミッション性の悪化を最小限に抑えることができる。
本発明の制御方法において、好ましくは、上記可変機構を用いて有効圧縮比を所定量低下させた後、なおもプリイグニッションが検出された場合には、上記有効圧縮比をさらに低下させるとともに、その有効圧縮比の低下が完了するまでの過渡期に、再び筒内の空燃比を一時的にリッチにする(請求項2)。
本発明の火花点火式エンジンにおいて、好ましくは、上記制御手段は、上記可変機構を作動させて有効圧縮比を所定量低下させた後、なおもプリイグニッションが検出された場合には、上記有効圧縮比をさらに低下させる制御を実行するとともに、その制御が完了するまでの過渡期に、再び筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御を実行する(請求項8)。
これらの態様によれば、有効圧縮比を1回低下させただけではプリイグニッションが回避されなかったとしても、その後に有効圧縮比の低下量が段階的に増大されることにより、プリイグニッションを確実に回避することができる。また、このようにプリイグニッションの有無を確認しながら段階的に有効圧縮比を低下させることにより、有効圧縮比の低下量がプリイグニッションを回避し得る適正な量に設定されるため、プリイグニッションの程度にかかわらずエンジン出力が急減するといったことがなく、ドライバビリティの悪化を最小限に抑えることができる。しかも、有効圧縮比を低下させるたびに空燃比が一時的にリッチにされるため、有効圧縮比を低下させる制御の応答遅れを毎回確実にカバーすることができる。
本発明の制御方法において、好ましくは、上記有効圧縮比を可変的に設定する可変機構として、吸気弁の動作タイミングを可変的に設定する可変バルブタイミング機構を用い、上記有効圧縮比を低下させるステップとして、上記可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉時期を上記有効圧縮比の低下量に応じた所定の目標時期まで変更し、上記空燃比をリッチ化するステップを、上記吸気弁の閉時期が上記目標時期に到達するまでの過渡期に実行する(請求項3)。
本発明の火花点火式エンジンにおいて、好ましくは、上記有効圧縮比を可変的に設定する可変機構は、吸気弁の動作タイミングを可変的に設定する可変バルブタイミング機構であり、上記制御手段は、上記有効圧縮比を低下させる制御として、上記可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉時期を上記有効圧縮比の低下量に応じた所定の目標時期まで変更する制御を実行し、上記空燃比をリッチ化する制御を、上記吸気弁の閉時期が上記目標時期に到達するまでの過渡期に実行する(請求項9)。
これらの態様によれば、例えばピストンのストローク量を変更してエンジンの幾何学的圧縮比そのものを低下させる場合と異なり、より簡単な構成で有効圧縮比を低下させることができる。また、吸気弁の閉時期が目標時期に到達するまでの応答遅れの間に空燃比をリッチ化することで、実際に有効圧縮比が低下するまでの間、空燃比のリッチ化を適正に継続させてプリイグニッションを抑制することができる。
本発明の火花点火式エンジンおよびその制御方法において、好ましくは、少なくともエンジン温間時における低回転かつ高負荷域に設定された特定運転領域で、上記検出手段を用いてプリイグニッションを検出し、検出された場合に上記有効圧縮比の低下および空燃比のリッチ化を実行する(請求項4,10)。
この態様によれば、筒内が高温・高圧化し易く、しかもそのような環境下に燃料が晒される実時間(受熱期間)が長くなる運転条件、つまり最もプリイグニッションが起き易い運転条件のときに、適正にプリイグニッションの有無を監視し、その抑制を図ることができる。
上記特定運転領域では、上記インジェクタから噴射すべき燃料の少なくとも一部を圧縮行程の中期以降に噴射することが好ましい(請求項5,11)。
この態様によれば、圧縮行程の中期以降に噴射される燃料の気化潜熱により筒内が効果的に冷却されるため、プリイグニッションが最も起き易い運転条件のときにこれを未然に抑制することができる。
上記特定運転領域では、火花点火のタイミングを圧縮上死点よりも遅れたタイミングに設定することが好ましい(請求項6,12)。
この態様のように、火花点火のタイミングを遅らせて、圧縮上死点のさらに遅角側で燃焼を開始させるようにした場合には、その後の燃焼過程で未燃混合気(エンドガス)の自着火が起き難くなるため、プリイグニッションだけでなく、ノッキングの発生をも効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本発明の火花点火式エンジンおよびその制御方法によれば、有効圧縮比を低下させる制御の応答遅れにかかわらず、プリイグニッションを迅速かつ効果的に抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる火花点火式エンジンの全体構成を示す図である。 上記エンジンに備わるイオン電流センサの構成を説明するための模式図である。 上記エンジンの制御系を示すブロック図である。 プリイグニッションが起き易い特定運転領域の説明図である。 プリイグニッションの検出方法を説明するための図である。 上記特定運転領域で実行される制御動作を示すフローチャートである。 図5のフローチャートに含まれるプリイグ回避制御の具体的内容を示すサブルーチンである。 燃料の噴射時期を示す図であり、(a)が通常時の噴射時期を、(b)が特定運転領域での噴射時期を示している。 上記プリイグ回避制御の動作例を時系列で示すタイムチャートである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるエンジンは、ガソリンを燃料とする火花点火式の多気筒ガソリンエンジンであり、紙面に直交する方向に並ぶ複数の気筒2(図中ではそのうちの1つのみを示す)を有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3上に設けられたシリンダヘッド4とを含むエンジン本体1を有している。また、このエンジンは、車載用エンジンであり、車両を駆動するための動力源として図外のエンジンルームに配設されている。
上記エンジン本体1の各気筒2には、ピストン5が往復摺動可能に挿入されている。ピストン5はコネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されており、上記ピストン5の往復運動に応じて上記クランク軸7が中心軸回りに回転するようになっている。
上記シリンダブロック3には、上記クランク軸7の回転速度をエンジンの回転速度として検出するエンジン回転速度センサ30が設けられている。
上記ピストン5の上方には燃焼室6が形成され、燃焼室6に吸気ポート9および排気ポート10が開口し、各ポート9,10を開閉する吸気弁11および排気弁12が、上記シリンダヘッド4にそれぞれ設けられている。吸気弁11および排気弁12は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト(図示省略)等を含む動弁機構13,14によりクランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。
上記吸気弁11用の動弁機構13には、VVT15が組み込まれている。VVT15は、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing Mechanism)と呼ばれるものであり、吸気弁11の動作タイミングを可変的に設定するための可変機構である。
上記VVT15としては、既に様々な形式のものが実用化されて公知であるが、例えば、液圧式の可変機構を上記VVT15として用いることができる。なお、図示は省略するが、この液圧式の可変機構は、吸気弁11用のカムシャフトに対し同軸に配置された被駆動軸と、カムシャフトと被駆動軸の間に周方向に並ぶように配置された複数の液室とを有しており、これら各液室間に所定の圧力差が形成されることにより、上記カムシャフトと被駆動軸との間に位相差が形成されるようになっている。そして、この位相差が所定の角度範囲内で可変的に設定されることにより、吸気弁11の動作タイミングが連続的に変更されるようになっている。
なお、上記VVT15として、バルブリフト量を変更することにより吸気弁11の閉時期を変更するタイプの可変機構を設けてもよい。また、このようなリフト式の可変機構と、上述した位相式の可変機構とを組み合わせて用いてもよい。
上記エンジン本体1のシリンダヘッド4には、点火プラグ16およびインジェクタ18が、各気筒2につき1組ずつ設けられている。
上記インジェクタ18は、燃焼室6を吸気側の側方から臨むように設けられており、図外の燃料供給管から供給される燃料(ガソリン)を先端部から噴射する。そして、エンジンの吸気行程等において上記インジェクタ18から燃焼室6に対し燃料が噴射され、噴射された燃料が空気と混合されることにより、燃焼室6に所望の空燃比の混合気が生成されるようになっている。
上記点火プラグ16は、燃焼室6を上方から臨むように設けられており、図外の点火回路からの給電に応じて先端部から火花を放電する。そして、圧縮上死点付近に設定された所定のタイミングで上記点火プラグ16から火花が放電され、これをきっかけに混合気の燃焼が開始されるようになっている。
上記点火プラグ16には、燃焼室6で混合気が燃焼することにより生じる火炎を検出するためのイオン電流センサ34が内蔵されている。このイオン電流センサ34は、図2に示すように、点火プラグ16の電極に所定のバイアス電圧(例えば100V程度)を印加することにより、上記電極周りに火炎が形成されたときに生じるイオン電流を検出するものである。
上記イオン電流センサ34を用いることで、火花点火による正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火するプリイグニッションを検出することができる。すなわち、点火プラグ16による火花点火が行われると、通常は、所定の遅れ時間の後に燃焼が開始されるが、燃焼室6の温度および圧力が過度に上昇するなどした場合には、上記正常な燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火することがある。そこで、このような混合気の自着火による異常燃焼(プリイグニッション)を検出すべく、火炎に基づくイオン電流を上記イオン電流センサ34により検出し、その検出タイミング(火炎の発生タイミング)が正常な燃焼開始時期に比べて早過ぎる場合に、プリイグニッションが発生したと判断する。以上のことから、当実施形態では、火炎発生時に生じるイオン電流を検出するイオン電流センサ34が、本発明にかかる「プリイグニッションを検出するための検出手段」に相当する。
上記イオン電流センサ34を用いたプリイグニッションの検出方法を図5のグラフに基づき具体的に説明する。このグラフにおいて、実線の波形J0は、火花点火IGをきっかけに混合気が正常に燃焼した場合の熱発生率の分布(時間変化)を示している。この正常燃焼時の波形J0において、イオン電流センサ34で火炎を検出できる程度まで燃焼が進行した時点(実質的な燃焼開始時期)をt0とすると、この時点t0は、火花点火IGの時点よりも所定のクランク角分だけ遅くなる。なお、図例では、火花点火IGのタイミングが圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程の間の上死点)TDCよりもわずかに遅角側に設定さており、これよりもさらに遅角側にずれたタイミングt0で実質的な燃焼が開始されている。
一方、プリイグニッションが発生したときの熱発生率の分布は、1点鎖線の波形J1のようになる。このJ1の波形からも明らかなように、プリイグニッションが起きると、正常な燃焼開始時期t0よりも早く(図例では圧縮上死点TDCよりもわずかに早い時点t1で)燃焼が始まるようになり、これに伴って燃焼が急峻化する。そこで、当実施形態では、正常な燃焼開始時期t0よりも所定時間以上早い時点で上記イオン電流センサ34が火炎を検出したときに、プリイグニッションが起きていると判断し、必要な措置を講ずるようにする。
ここで、プリイグニッションは、図5の矢印Xに示すように、これを放置すると徐々に発展していくという性質がある。図中の破線で示す波形J1’は、上記波形J1よりもさらに発展したプリイグニッションを表しており、この程度までプリイグニッションが発展すると、火花点火IGよりもかなり早い時点t1’で燃焼が開始され、極端に燃焼が急峻化するため、エンジンにかなり大きな騒音や振動が発生し、ピストン等の損傷にもつながる。そこで、このような重度のプリイグニッション(J1’)に発展する前に、プリイグニッションが発生していると判断することが望まれる。
上記の点を考慮すれば、プリイグニッションと判断するための境界時期(火炎の検出タイミングがそれ以上早くなればプリイグニッションと判断する時期)は、正常時の燃焼開始時期t0から進角側にあまり大きく離さない方がよい。しかしながら、上記境界時期を正常時の開始時期t0にあまりに近づけると、当該時期t0より少しでも早く火炎が検出されればプリイグニッションと判断されてしまい、制御の安定性に欠くし、そもそも、火花点火IGの直前から火花点火IGの後所定時間を経過するまでの間(図5の期間Z)は、火花点火IGを行うために点火プラグ16の電極間の電圧が大きく変動する期間であり、その期間Z中はイオン電流を検出することが不可能である。そこで、このような制御の安定性およびシステム上の制約を考慮して、当実施形態では、イオン電流センサ34による火炎の検出タイミングが、上記電圧変動期間Zよりも若干早い時期(例えば時点t1程度)にまで早まれば、プリイグニッションが発生していると判断する。
再び図1に戻って、エンジンの全体構成について説明する。上記エンジン本体1のシリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、冷却水が流通するウォータジャケット(図示省略)が設けられており、このウォータジャケット内の冷却水の温度を検出するためのエンジン水温センサ33が、上記シリンダブロック3に設けられている。
上記エンジン本体1の吸気ポート9および排気ポート10には、吸気通路20および排気通路21がそれぞれ接続されている。すなわち、燃焼用の空気(新気)が上記吸気通路20を通じて燃焼室6に供給されるとともに、燃焼室6で生成された既燃ガス(排気ガス)が上記排気通路21を通じて外部に排出されるようになっている。
上記吸気通路20には、エンジン本体1に流入する吸入空気の流量を調節するスロットル弁22と、吸入空気の流量を検出するエアフローセンサ31とが設けられている。
上記スロットル弁22は、電子制御式のスロットル弁からなり、運転者により踏み込み操作される図外のアクセルペダルの開度に応じて電気的に開閉駆動される。すなわち、上記アクセルペダルにはアクセル開度センサ32(図3)が設けられており、このアクセル開度センサ32により検出されたアクセルペダルの開度(アクセル開度)に応じて、図外の電気式のアクチュエータがスロットル弁22を開閉駆動するように構成されている。
上記排気通路21には、排気ガス浄化用の触媒コンバータ23が設けられている。触媒コンバータ23には例えば三元触媒が内蔵されており、排気通路21を通過する排気ガス中の有害成分が上記三元触媒の作用により浄化されるようになっている。
(2)制御系
図3は、エンジンの制御系を示すブロック図である。本図に示されるECU40は、エンジンの各部を統括的に制御するための制御手段であり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
上記ECU40には、各種センサ類からの検出信号が入力される。すなわち、ECU40は、上記エンジン回転速度センサ30、エアフローセンサ31、アクセル開度センサ32、エンジン水温センサ33、およびイオン電流センサ34と電気的に接続されており、これら各センサ30〜34による検出値として、エンジン回転速度Ne、吸入空気量Qa、アクセル開度AC、冷却水温Tw、およびイオン電流値Ioといった情報が、上記ECU40に逐次入力されるようになっている。
また、上記ECU40は、上記VVT15、点火プラグ16、インジェクタ18、およびスロットル弁22とも電気的に接続されており、これらの装置にそれぞれ駆動用の制御信号を出力するように構成されている。
上記ECU40が有するより具体的な機能について説明すると、上記ECU40は、その主な機能的要素として、記憶手段41、プリイグ判定手段42、点火制御手段43、噴射制御手段44、および圧縮比制御手段45を有している。
上記記憶手段41は、エンジンを制御する際に必要な各種データやプログラムを記憶するものである。その一例として、上記記憶手段41には、図4に示される特定運転領域Rの範囲が記憶されている。この特定運転領域Rは、プリイグニッションが発生する可能性のある運転領域であり、最高負荷ラインWOTの近傍(つまり高負荷)で、かつ低回転寄りに設定されている。
すなわち、プリイグニッションは、上述したように、火花点火による正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象であるから、燃焼室6内の空気が高温・高圧化し、しかも燃料の受熱期間(燃料が高温・高圧環境下に晒される実時間)が長くなる低回転かつ高負荷域で、最もプリイグニッションが発生し易い。そこで、図4に示すように、エンジン回転速度Neが比較的低く、かつ負荷Ceが高い領域を、プリイグニッションが発生する可能性のある特定運転領域Rとして設定している。
なお、エンジンが冷間状態にあるときは、燃焼室6の壁温が低いため、高回転かつ高負荷域であっても、そもそもプリイグニッションは起こり得ない。このため、上記のような特定運転領域Rが設定されたマップ(領域判定マップ)が使用されるのは、エンジンの温間時(エンジンの冷却水温が高いとき)のみである。
上記プリイグ判定手段42は、上記イオン電流センサ34の検出値に基づいて、プリイグニッションが起きているか否かを判定するものである。具体的に、プリイグ判定手段42は、エンジンの運転状態が上記特定運転領域Rにあるときに、上記イオン電流センサ34の検出値から火炎の発生タイミング(実質的な燃焼開始時期)を特定し、これを正常な燃焼開始時期と比較することで、プリイグニッションが起きたか否かを判定する。なお、正常な燃焼開始時期の情報は、実験もしくは演算等により予め求められ、上記記憶手段41に記憶されている。
上記点火制御手段43は、エンジンの運転状態に応じ予め定められた所定のタイミングで点火プラグ16の点火回路に給電信号を出力することにより、上記点火プラグ16が火花点火を行うタイミング(点火時期)等を制御するものである。
例えば、エンジンの低回転かつ高負荷域に設定された上記特定運転領域Rでは、例えば図5に示したように、圧縮上死点(TDC)よりも少し遅れたタイミングで火花点火(IG)が行われるように、上記点火プラグ16が制御される。このように、プリイグニッションが起き易い特定運転領域Rで、火花点火のタイミング(点火時期)を圧縮上死点よりも遅らせるのは、ノッキングの発生を抑制するためである。ここで、ノッキングとは、火花点火をきっかけに混合気が燃焼(火炎伝播燃焼)を開始した後、その火炎が周囲に伝播していく過程で、混合気の未燃分(エンドガス)が自着火してしまう異常燃焼である。プリイグニッション(混合気の過早着火)が発生し易い上記特定運転領域Rでは、当然にノッキングも起き易いため、この領域Rでのノッキングを防止するために、点火時期を圧縮上死点よりも遅らせるようにしている。
上記噴射制御手段44は、上記インジェクタ18から燃焼室6に噴射される燃料の噴射量や噴射時期を制御するものである。より具体的に、上記インジェクタ制御手段44は、エンジン回転速度センサ30から入力されるエンジン回転速度Neやエアフローセンサ31から入力される吸入空気量Qa等の情報に基づいて、目標とする燃料の噴射量および噴射時期を演算し、その演算結果に基づいてインジェクタ18の開弁開始時期および開弁期間を制御する。
特に、プリイグニッションが起き易い上記特定領域Rにおいて、上記噴射制御手段44は、プリイグニッションの発生を未然に抑制するために(つまりプリイグニッションの発生の有無にかかわらず)、インジェクタ18から噴射すべき燃料(1燃焼サイクル中にインジェクタ18から噴射されるべき燃料)の一部を圧縮行程の中期以降にまで遅らせて噴射する制御を実行する(図8(b)参照)。
ただし、上記のような一部燃料の圧縮行程噴射(分割噴射)を実行しても、上記特定運転領域Rでプリイグニッションが発生してしまう場合があり得る。このような場合、上記噴射制御手段44は、インジェクタ18からの燃料噴射量を増大させて筒内の空燃比(燃焼室6に形成される混合気の空燃比)を一時的にリッチにすることにより、プリイグニッションの抑制を図るようにする。
上記圧縮比制御手段45は、上記VVT15を駆動して吸気弁11の閉時期を変更することにより、エンジンの有効圧縮比を可変的に設定するものである。すなわち、吸気弁11の閉時期は、通常、吸気下死点の遅角側の近傍(吸気下死点を少し過ぎたタイミング)に設定されており、このようなタイミングに上記閉時期が設定されることで、一旦吸入された空気が吸気ポート9にほとんど吹き返されることがなく、エンジンの実質的な圧縮比(有効圧縮比)が幾何学的圧縮比とほぼ同じ値に維持される。これに対し、吸気弁11の閉時期が吸気下死点よりも大幅に遅く設定された場合には、エンジンの有効圧縮比が低下し、吸気の吹き返しが起きるようになる。上記圧縮比制御手段45は、VVT15を駆動して上記吸気弁11の閉時期のリタード量(遅角量)を増減させることにより、エンジンの有効圧縮比を可変的に設定する。
特に、上記特定運転領域Rにおいてプリイグニッションが検出された場合、上記圧縮比制御手段45は、プリイグニッションを抑制すべく、吸気弁11の閉時期をリタードさせて有効圧縮比を低下させる制御を実行する。
なお、上記説明でいうところの「吸気弁11の閉時期」とは、リフトカーブのランプ部(リフト量が緩やかに立ち上がる緩衝区間)を除いた区間をバルブの開弁期間として定義した場合における閉時期であって、吸気弁11のリフト量が完全にゼロになる時期を指すものではない。
(3)プリイグ回避のための制御動作
次に、以上のように構成されたECU40により行われる制御動作について説明する。ここでは、上記特定運転領域Rでプリイグニッションが検出された場合に行われる制御動作を中心に説明する。
図6および図7は、上記制御動作を説明するためのフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理がスタートすると、まず、各種センサ値を読み込む制御が実行される(ステップS1)。具体的には、上記エンジン回転速度センサ30、エアフローセンサ31、アクセル開度センサ32、エンジン水温センサ33、およびイオン電流センサ34から、それぞれ、エンジン回転速度Ne、吸入空気量Qa、アクセル開度AC、エンジン水温Tw、およびイオン電流値Ioが読み出され、ECU40に入力される。
次いで、上記ステップS1で読み込まれたエンジン水温Twが所定の閾値(例えば80℃)以上か否かに基づいて、エンジンが温間状態にあるか否かが判定される(ステップS2)。
上記ステップS2でYESと判定されて温間状態であることが確認された場合には、さらに、現在のエンジンの運転ポイントが、図4に示した特定運転領域R内にあるか否かが判定される(ステップS3)。具体的には、上記ステップS1で読み込まれたエンジン回転速度Neと、吸入空気量Qa(またはアクセル開度AC)から演算されるエンジン負荷Ceとが、ともに図4の特定運転領域Rの範囲に含まれるか否かが判定される。
上記ステップS3でNOと判定されて特定運転領域Rから外れていることが確認された場合には、プリイグニッションは起こり得ないため、後述するステップS7,S8の制御(プリイグ回避制御や復帰制御)が必要になることはなく、通常の運転が維持される(ステップS9)。すなわち、燃料の噴射量や噴射時期、吸気弁11の動作タイミング等が、運転状態に応じて予め定められた通常の目標値に沿って制御される。
上記ステップS3でYESと判定されて特定運転領域Rにあることが確認された場合には、インジェクタ18から噴射すべき燃料の一部を圧縮行程中に噴射する制御が実行される(ステップS4)。すなわち、図8に示すように、特定運転領域R以外のほとんどの領域では吸気行程中に全ての燃料が噴射されるところ(同図(a)のF参照)、上記特定運転領域Rでは、噴射すべき燃料の一部の噴射時期が圧縮行程の中期以降にリタードされることにより、吸気行程と圧縮行程とに分割して燃料が噴射される(同図(b)のF1,F2参照)。
上記のような一部燃料の圧縮行程噴射(分割噴射)は、プリイグニッションの発生を未然に防止するために行われる。上述したように、低回転かつ高負荷域に設定された上記特定運転領域Rは、筒内が高温・高圧化し易く、しかもそのような環境下に燃料が晒される実時間(受熱期間)が長くなるため、最もプリイグニッションが起き易い領域である。そこで、上記特定運転領域Rにおいて、噴射すべき燃料の一部を圧縮行程の中期以降に噴射する制御を実行し、その燃料の気化潜熱によって圧縮端温度(圧縮上死点付近での筒内温度)を低下させるとともに、燃料の受熱期間を短縮することにより、プリイグニッションが発生する可能性を予め低減させるようにしている。
また、上記燃料の分割噴射と合わせて、特定運転領域Rでは、点火プラグ16による火花点火のタイミング(点火時期)を、圧縮上死点以降にリタードさせる制御が実行される(ステップS4)。このように、点火時期を遅めに設定することで、圧縮上死点のさらに遅角側で(つまり筒内温度・圧力がより低下した状態で)燃焼が開始されることになるため、その後の燃焼過程において、未燃混合気(エンドガス)の自着火が起き難くなり、ノッキングが抑制される。
上記ステップS4(燃料の分割噴射および点火リタード)を実行した後は、上記ステップS1で読み込まれたイオン電流値Ioに基づいて、プリイグニッションが発生しているか否かが判定される(ステップS5)。具体的には、上記イオン電流値Ioから、火炎の発生タイミングが特定され、そのタイミングが、予め記憶された正常な燃焼開始時期よりも所定時間以上早くなっている場合(例えば図5の時点t1程度にまで早まった場合)に、プリイグニッションが発生したと判定される。
上記ステップS5でYESと判定されてプリイグニッションの発生が確認された場合には、これを回避するための制御として、プリイグ回避制御が実行される(ステップS7)。
次に、上記ステップS7のプリイグ回避制御の具体的内容について、図7を参照しつつ説明する。このプリイグ回避制御が開始されると、まず、現在設定されている吸気弁11の閉時期(IVC)が、後述するステップS11で最大限にリタードされたときの閉時期(最遅時期)であるTxよりも早いか否かを判定する制御が実行される(ステップS10)。なお、ここでの判定閾値である最遅時期Txは、吸気の吹き返しが起きてエンジンの有効圧縮比が幾何学的圧縮比に対し十分に低下するような時期(例えば吸気下死点の通過後110°CA程度)に設定されている。仮に、吸気弁11の閉時期が最遅時期Txよりもさらにリタードされると、エンジンの有効圧縮比が極端に低下して出力が大幅に不足するため、最大限にリタードできる量として、上記最遅時期Txが設定されている。
上記特定運転領域Rでは、当初、吸気弁11の閉時期が、吸気の吹き返しが起きないような時期として、例えば吸気下死点の通過後(ABDC)30°CA前後に設定されている。このため、上記ステップS10での最初の判定は当然にNOとなり、次のステップS11に移行して、吸気弁11の閉時期をリタードさせる制御が開始される。具体的には、吸気弁11の動作タイミングが遅れる方向にVVT15が駆動されることにより、吸気弁11の閉時期が現在の設定値よりも所定量リタードされ、エンジンの有効圧縮比が下げられる。これにより、主に圧縮端圧力(圧縮上死点付近での筒内圧力)が低下し、プリイグニッションの抑制が図られる。
ここで、吸気弁11の閉時期をリタードさせて有効圧縮比を低下させる上記のような制御には、ある程度の応答遅れが伴う。すなわち、有効圧縮比を低下させるには、VVT15(可変バルブタイミング機構)を用いた機械的な動作により徐々に吸気弁11の動作タイミングを変更し、その閉時期を、上記有効圧縮比の低下量に応じた所定の目標時期までリタードさせる必要がある。このため、吸気弁11の閉時期を目標時期までリタードさせて有効圧縮比を所望の量だけ低下させるのには、ある程度の時間が必要になる。
そこで、続くステップS12では、上記有効圧縮比の低下制御(吸気弁の11の閉時期のリタード)が完了するまでの間におけるプリイグニッションの抑制効果を担保すべく、筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御が実行される。具体的には、インジェクタ18からの燃料の噴射量が増大されることにより、筒内の混合気の空燃比が、現在の空燃比よりもリッチでかつ理論空燃比よりもリッチな値に設定される。空燃比が理論空燃比よりもリッチになると、燃料の気化潜熱によって筒内温度が低下するため、燃料の受熱量が減少し、プリイグニッションの発生が抑制される。なお、空燃比をリッチ化するには、インジェクタ18の開弁期間(燃料の噴射時間)を長くするだけでよいため、特に応答遅れもなく瞬時に対応することができる。
上記特定運転領域Rでは、プリイグニッションが起きていない通常時、筒内の空燃比が理論空燃比(14.7)程度に設定されている。このため、上記ステップS12での空燃比のリッチ化により、筒内の空気過剰率λ、つまり、燃焼室6に形成される混合気の空燃比(実空燃比)を理論空燃比で割った値は、1から1未満の所定値(λ<1)にまで低下することになる。例えば、上記ステップS12の制御により、空気過剰率λは、0.75程度(空燃比で約11)にまで下げられる。
上記のようにして空燃比がリッチ化されると、その後は、吸気弁11の閉時期のリタードが完了したか否か、つまり、上記VVT15の作動によりリタードされた吸気弁11の閉時期が目標時期まで到達したか否かが判定される(ステップS13)。なお、ここでの判定は、実際にVVT15の動作角度を検出し、その角度に基づいて判定するものであってもよいし、予め実験等により求めておいた所要時間が経過したか否かをタイマー等を用いて判定するものであってもよい。
上記ステップS13の後は、そこでYESと判定される(IVCのリタードが完了する)のを待ってから、空燃比のリッチ化を解除する制御が実行される(ステップS14)。すなわち、インジェクタ18からの燃料噴射量が低減されることにより、筒内の空燃比が理論空燃比程度に戻される。これにより、空気過剰率λは、上記リッチ化後の値(例えば0.75程度)から、λ=1にまで増加することになる。
なお、当実施形態のような直噴式の多気筒ガソリンエンジンでは、インジェクタ18からの燃料噴射量を気筒別に制御することで、各気筒2の空燃比を、気筒2ごとに個別に設定することが可能である。このため、上記空燃比のリッチ化およびその解除(ステップS12,S14)は、気筒2ごとに独立して実施することも可能であるし、全気筒2を対象に実施することも可能である。なお、前者の場合は、ある気筒でプリイグニッションが検出されると、その気筒の空燃比のみをリッチ化することを意味し、後者の場合は、1つの気筒でプリイグニッションが検出されると、他の気筒でも同様に空燃比をリッチ化する(つまり他の気筒ではプリイグニッションの有無にかかわらず空燃比をリッチ化する)ことを意味する。
例えば、吸気弁11の閉時期を目標時期までリタードさせるのに要する所要時間が、1燃焼サイクルよりも長く2燃焼サイクルよりも短いと仮定する。このようなケースで、気筒2ごとに独立して空燃比をリッチ化させた場合には、ある気筒でのプリイグニッションの発生をきっかけに、そのプリイグニッションが発生した気筒(以下、プリイグ発生気筒という)での次回の燃焼時に当該気筒の空燃比がリッチ化され、そのリッチ化が、上記プリイグ発生気筒での次々回の燃焼時には解除されることになる。一方、全気筒2を対象に空燃比をリッチ化させた場合には、ある気筒でのプリイグニッションの発生をきっかけに、そのプリイグ発生気筒よりも燃焼順序が遅い気筒から順番に空燃比のリッチ化が実施される。そして、少なくともプリイグ発生気筒の次回の燃焼までは各気筒のリッチ化が継続され、プリイグ発生気筒の次々回の燃焼までには上記リッチ化が解除される。このとき、リッチ化の順番が後の気筒ほど有効圧縮比が低下しているため、順番が進むにつれてリッチ化の幅を小さくするようにしてもよい。
上記ステップS14の制御(リッチ化の解除)が終了すると、その後は、プリイグ回避制御の実行/非実行を記録するためのフラグF(そのデフォルト値は0)に、当該制御が実行中であることを表す「1」が入力され(ステップS35)、図6のメインフローにリターンされる。
以上説明したようなステップS10〜S15の制御(プリイグ回避制御)は、プリイグニッションが回避されるまで(つまり図6のステップS5でNOと判定されるまで)繰り返し実行される。そして、このような制御の繰り返しにより、吸気弁11の閉時期が段階的にリタードされ、それに伴って有効圧縮比も段階的に低下していく。
例えば、吸気弁11の閉時期の1回あたりのリタード幅が常に2°CAに設定されるものとすると、上記プリイグ回避制御が実行されることで、吸気弁11の閉時期は、現在の設定値に対しまず2°CAだけリタードされ、それでもプリイグニッションを回避できない場合に、さらに2°CAだけリタードされる。そして、このような2°CA刻みのリタードが、吸気弁11の閉時期が上記最遅時期Txに達しない範囲で継続される(後述する図9のタイムチャート参照)。逆に、最遅時期Txに達する前にプリイグニッションが回避されれば、その時点でリタードは停止される。
すなわち、プリイグニッションの発生時において、吸気弁11の閉時期は、少なくとも1回はリタードされ、そこでプリイグニッションが回避されなければ、リタードが繰り返されることにより、初期状態からのリタード幅が段階的に増大されていく。また、吸気弁11の閉時期をリタードする際には、その都度、空燃比をリッチ化する制御が併せて実行され、上記リタード制御の応答遅れが毎回カバーされるようになっている。なお、上記のような吸気弁11の閉時期のリタードおよび空燃比のリッチ化は、上記吸気弁11の閉時期が最遅時期Txに達する前にプリイグニッションが回避されれば、その時点で停止される。
上記ステップS11で吸気弁11の閉時期が最遅時期Txまでリタードされた後、なおもプリイグニッションが継続して起きる場合には、上記ステップS10でNOと判定されるため、次のステップS16で、エンジンが異常であることを運転者等に報知する所定の警告が発せられる。すなわち、吸気弁11の閉時期を最遅時期Txまでリタードさせても(つまりエンジンの有効圧縮比を最大限に低下させても)、なおもプリイグニッションが継続するという状態は、例えばエンジンの冷却系の故障等によりエンジンが異常に高温になっていることが考えられるため、これ以上運転を継続することは困難である。そこで、このような事態が生じていることを運転者等に報知すべく、所定の警告を発する。なお、警告を発するとともに、エンジン出力を大幅に低下させる制御を実行してもよい。
図9は、上記プリイグ回避制御の実行時に、有効圧縮比の低下制御を複数回実行しなければプリイグニッションが回避されなかったと仮定した場合に、空気過剰率(λ)、吸気弁11の閉時期(IVC)、およびスロットル弁22の開度(スロットル開度)が、時間経過に応じてそれぞれどのように変化するかを示すタイムチャートである。本図からも理解できるように、プリイグニッションが発生すると、吸気弁11の閉時期(IVC)が段階的に(例えば2°CAずつ)リタードされ、それに伴ってエンジンの有効圧縮比が所定量ずつ下げられる。また、各回のIVCのリタード(有効圧縮比の低下)と併せて、一時的に空燃比をリッチ化する制御が実行される。つまり、IVCが目標時期に到達するまでの過渡期(IVCが右上がりに傾斜している区間)に限り、空気過剰率λが1から1未満の所定値にまで下げられる。これにより、空燃比は、リッチ(λ<1)になったり理論空燃比程度(λ=1)になったりを繰り返すことになる。なお、上記空燃比のリッチ化は、筒内に導入される空気の量(吸入空気量Qa)はそのままに、インジェクタ18からの燃料の噴射量を増大させることによって行われる。このため、空燃比のリッチ化のためにスロットル開度が変更されることはなく、例えば図示のような一定の開度に維持される。
最後に、上記プリイグ回避制御(図7、図9)が実行された結果、プリイグニッションが回避された場合の制御動作について説明する。この場合には、図6のステップS5でNOと判定されるため、次のステップS6でフラグFが「1」であるか否かが判定される。上記プリイグ回避制御が実行中のとき、フラグFはF=1であるため、上記ステップS6での判定はYESとなり、その結果、次のステップS8で、上記プリイグ回避制御を解除して通常運転に復帰するための復帰制御が実行される。
上記復帰制御では、図9に示したプリイグ回避制御のときとは逆に、吸気弁11の閉時期(IVC)を段階的にアドバンス(進角)させることにより、有効圧縮比を所定量ずつ上昇させる制御が実行される。そして、IVCがアドバンスされる度に、プリイグニッションの発生の有無が確認され、プリイグニッションが発生していなければ、さらにIVCがアドバンスされる。そして、このような段階的なIVCのアドバンスが、吸気弁11の閉時期が通常時期(吸気の吹き返しが起きないような時期)に達して有効圧縮比が幾何学的圧縮比と略一致するまで継続される。なお、このような復帰制御のときの空燃比は、理論空燃比もしくはその近傍値に維持される。
(4)作用効果等
以上説明したように、当実施形態の火花点火式エンジンでは、イオン電流センサ34(検出手段)の検出値に基づきプリイグニッションが検出された場合に、吸気弁11の閉時期をリタードさせて有効圧縮比を所定量低下させる制御が少なくとも1回実行されるとともに、その制御が完了するまでの過渡期に、筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御が実行される。このような構成によれば、有効圧縮比を低下させる制御の応答遅れにかかわらず、プリイグニッションを迅速かつ効果的に抑制できるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、プリイグニッションが検出されたときの対策として有効圧縮比を低下させながら、その制御が完了するまでの過渡期に、筒内の空燃比を一時的にリッチにすることにより、有効圧縮比を低下させ始めてから実際に有効圧縮比を所定量低下させるまでの間に応答遅れによる時間が必要であったとしても、その応答遅れの期間中は、空燃比のリッチ化による冷却効果(必要以上の燃料の気化潜熱が筒内温度を低下させる効果)が働くため、上記のような制御の応答遅れにかかわらず、プリイグニッションの抑制を迅速に図ることができる。そして、有効圧縮比が実際に所定量低下し、それに伴って圧縮端圧力(圧縮上死点付近での圧力)が下がれば、その状態で空燃比のリッチ化を解除することにより、プリイグニッションの抑制効果を担保しながら、必要以上の時間に亘って空燃比がリッチ化されることを回避して、燃費およびエミッション性の悪化を最小限に抑えることができる。
より具体的に、上記実施形態では、有効圧縮比を低下させる制御が完了するまでの過渡期に、空気過剰率λを1から1未満の所定値(例えば0.75程度)へと変化させ、有効圧縮比の低下が完了したら空気過剰率λを1に復帰させるようにした。このような構成によれば、有効圧縮比が低下するまでの過渡期に、λ<1にまでリッチにした環境下で筒内温度を適正に低下させられるとともに、有効圧縮比の低下が完了したら直ちにλ=1に復帰させることにより、リッチ状態での燃焼をできるだけ短期間で終了させることができる。
また、上記実施形態では、図9等に示したように、有効圧縮比を所定量低下させた後、なおもプリイグニッションが検出された場合に、有効圧縮比をさらに低下させる制御(吸気弁11の閉時期をさらにリタードさせる制御)を実行するとともに、その制御が完了するまでの過渡期に、再び筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御を実行するようにした。このような構成によれば、有効圧縮比を1回低下させただけではプリイグニッションが回避されなかったとしても、その後に有効圧縮比の低下量が段階的に増大されることにより、プリイグニッションを確実に回避することができる。また、このようにプリイグニッションの有無を確認しながら段階的に有効圧縮比を低下させることにより、有効圧縮比の低下量がプリイグニッションを回避し得る適正な量に設定されるため、プリイグニッションの程度にかかわらずエンジン出力が急減するといったことがなく、ドライバビリティの悪化を最小限に抑えることができる。しかも、有効圧縮比を低下させるたびに空燃比が一時的にリッチにされるため、有効圧縮比を低下させる制御の応答遅れを毎回確実にカバーすることができる。
また、上記実施形態では、エンジンの有効圧縮比を低下させるための機構(可変機構)として、吸気弁11の動作タイミングを可変的に設定するVVT15(可変バルブタイミング機構)を用いるようにした。そして、有効圧縮比を低下させる際には、その低下量に応じた所定の目標時期まで吸気弁11の閉時期を変更し、目標時期に到達するまでの過渡期に、上記空燃比のリッチ化を実行するようにした。このような構成によれば、例えばピストン5のストローク量を変更してエンジンの幾何学的圧縮比そのものを低下させる場合と異なり、より簡単な構成で有効圧縮比を低下させることができる。また、吸気弁11の閉時期が目標時期に到達するまでの応答遅れの間に空燃比をリッチ化することで、実際に有効圧縮比が低下するまでの間、空燃比のリッチ化を適正に継続させてプリイグニッションを抑制することができる。
また、上記実施形態では、エンジン温間時における低回転かつ高負荷域に設定された特定運転領域Rで、上記イオン電流センサ34を用いてプリイグニッションを検出し、検出された場合に上記有効圧縮比の低下および空燃比のリッチ化を実行するようにした。このような構成によれば、筒内が高温・高圧化し易く、しかもそのような環境下に燃料が晒される実時間(受熱期間)が長くなる運転条件、つまり最もプリイグニッションが起き易い運転条件のときに、適正にプリイグニッションの有無を監視し、その抑制を図ることができる。
また、上記実施形態では、上記特定運転領域Rでの運転時に、インジェクタ18から噴射すべき燃料の一部を圧縮行程の中期以降に噴射する制御(分割噴射)を実行するようにした。このような構成によれば、圧縮行程の中期以降に噴射される燃料の気化潜熱により筒内が効果的に冷却されるため、プリイグニッションが最も起き易い運転条件のときにこれを未然に抑制することができる。
また、上記実施形態では、上記特定運転領域Rでの運転時に、点火プラグ16による火花点火のタイミングを圧縮上死点よりも遅れたタイミングに設定したため、プリイグニッションだけでなくノッキングの発生をも効果的に抑制することができる。すなわち、プリイグニッションが起き易い上記特定運転領域Rでは、当然にノッキングも起き易いが、上記のように火花点火のタイミングを遅らせて、圧縮上死点のさらに遅角側で燃焼を開始させるようにすれば、その後の燃焼過程で未燃混合気(エンドガス)の自着火が起き難くなり、ノッキングが抑制される。
なお、上記実施形態では、低回転かつ高負荷の特定運転領域Rのときに、インジェクタ18から噴射すべき燃料の一部を圧縮行程の中期以降に噴射するようにしたが、例えば特定運転領域Rの中でも特にプリイグニッションが起き易い領域では、全部の燃料を圧縮行程の中期以降に噴射するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、プリイグ回避制御で有効圧縮比を低下させる際には、吸気下死点よりも遅角側でかつ吸気の吹き返しが起きないような時期(例えば吸気下死点の通過後30°CA前後)に設定されている通常時の吸気弁11の閉時期を、さらに遅角側に変更する(つまり吸気の吹き返しを起こさせる)ことにより、有効圧縮比を低下させるようにしたが、有効圧縮比を低下させるための方法はこれに限らず、例えば、吸気弁11の閉時期を吸気下死点より進角側まで早めることにより、有効圧縮比を低下させるようにしてもよい。ただし、このようにした場合には、吸気弁11の動作タイミングを大幅に変化させる必要が生じ、VVT15の制御量が増えて、制御の応答性がさらに悪化するという問題がある。また、これを回避すべく、通常時の吸気弁11の閉時期を、吸気下死点と略一致するタイミング等に設定することも考えられるが、このようにすると、吸気慣性を十分に利用することができず、エンジン出力の低下を招いてしまう。
このような点から、やはり上記実施形態のように、通常時(プリイグニッションが発生していないとき)の吸気弁11の閉時期を、吸気下死点よりも遅角側に設定し、有効圧縮比を低下させる際には、吸気弁11の閉時期を上記通常時期に対しリタードさせるようにした方が、通常時のエンジン出力を十分に確保しつつ、必要時に効率よく有効圧縮比を低下させることができる点で有利である。
また、上記実施形態では、プリイグニッションを検出するための検出手段として、点火プラグ16の電極間にバイアス電圧を印加することによって火炎発生時のイオン電流を検出するプラグ内蔵型のイオン電流センサ34を用いたが、点火プラグ16とは別体に設けられたイオン電流センサを、上記検出手段として用いてもよい。
また、上記実施形態では、イオン電流センサ34による火炎の検出タイミングに基づいてプリイグニッションを検出するようにしたが、例えば、ノッキングを検出するときなどに用いられる振動センサ(ノックセンサ)をエンジン本体1に設け、この検出値に基づいてプリイグニッションを検出するようにしてもよい。
もちろん、単に振動センサによる振動レベルだけを調べても、ノッキング(火花点火後に火炎が伝播する過程でエンドガスが自着火する現象)であるのか、プリイグニッション(火花点火による正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象)であるのかを区別することはできないため、正確にプリイグニッションを検出することは不可能である。このため、振動センサを用いてプリイグニッションを検出するには、例えば点火時期を意図的に変化させて、それに伴う振動センサの検出値の変化を調べるようにするとよい。これにより、ノッキングとプリイグニッションとを正確に区別して検出することが可能になる。
例えば、点火時期が圧縮上死点よりも遅角側に設定される上記特定運転領域Rで、仮にノッキングが起きたとする。すると、振動センサによって大きな振動レベルが検出されるが、このとき、点火時期を上記タイミングに対しリタードさせた場合には、それによってノッキングが抑制されるため、点火時期のリタードに伴って振動レベルは低下することになる。これに対し、プリイグニッションが起きている場合には、点火時期と関係なく自着火が起きるため、点火時期をリタードさせてもプリイグニッションは抑制されず、振動レベルが低下することはない。そこで、このような性質を利用して、点火時期のリタードに伴う振動レベルの変化を調べるようにすれば、振動センサを用いてプリイグニッションを検出することができる。
11 吸気弁
15 VVT(可変バルブタイミング機構)
18 インジェクタ
34 イオン電流センサ(検出手段)
R 特定運転領域

Claims (12)

  1. 複数の気筒と、火花点火をきっかけにした正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象であるプリイグニッションを検出するための検出手段と、筒内に直接燃料を噴射するインジェクタと、有効圧縮比を可変的に設定する可変機構とを備えた火花点火式エンジンを制御する方法であって、
    上記検出手段の検出値に基づきプリイグニッションが検出された場合に、上記可変機構を用いて全気筒の有効圧縮比を所定量低下させるステップと、
    上記有効圧縮比の低下が完了するまでの過渡期に、上記インジェクタから噴射された燃料に基づく筒内の空燃比を一時的にリッチにするステップとを含み、
    上記空燃比をリッチにするステップでは、燃焼順序が遅い気筒ほどリッチ化の幅を小さくすることを特徴とする火花点火式エンジンの制御方法。
  2. 請求項1記載の火花点火式エンジンの制御方法において、
    上記可変機構を用いて有効圧縮比を所定量低下させた後、なおもプリイグニッションが検出された場合には、上記有効圧縮比をさらに低下させるとともに、その有効圧縮比の低下が完了するまでの過渡期に、再び筒内の空燃比を一時的にリッチにすることを特徴とする火花点火式エンジンの制御方法。
  3. 請求項1または2記載の火花点火式エンジンの制御方法において、
    上記有効圧縮比を可変的に設定する可変機構として、吸気弁の動作タイミングを可変的に設定する可変バルブタイミング機構を用い、
    上記有効圧縮比を低下させるステップとして、上記可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉時期を上記有効圧縮比の低下量に応じた所定の目標時期まで変更し、
    上記空燃比をリッチ化するステップを、上記吸気弁の閉時期が上記目標時期に到達するまでの過渡期に実行することを特徴とする火花点火式エンジンの制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御方法において、
    少なくともエンジン温間時における低回転かつ高負荷域に設定された特定運転領域で、上記検出手段を用いてプリイグニッションを検出し、検出された場合に上記有効圧縮比の低下および空燃比のリッチ化を実行することを特徴とする火花点火式エンジンの制御方法。
  5. 請求項4記載の火花点火式エンジンの制御方法において、
    上記特定運転領域では、上記インジェクタから噴射すべき燃料の少なくとも一部を圧縮行程の中期以降に噴射することを特徴とする火花点火式エンジンの制御方法。
  6. 請求項4または5記載の火花点火式エンジンの制御方法において、
    上記特定運転領域では、火花点火のタイミングを圧縮上死点よりも遅れたタイミングに設定することを特徴とする火花点火式エンジンの制御方法。
  7. 複数の気筒と、火花点火をきっかけにした正常の燃焼開始時期よりも前に混合気が自着火する現象であるプリイグニッションを検出するための検出手段と、筒内に直接燃料を噴射するインジェクタと、有効圧縮比を可変的に設定する可変機構とを備えた火花点火式エンジンであって、
    上記インジェクタおよび可変機構の動作を制御する制御手段を備え、
    上記制御手段は、上記検出手段の検出値に基づきプリイグニッションが検出された場合に、上記可変機構を作動させて全気筒の有効圧縮比を所定量低下させる制御を実行するとともに、その制御が完了するまでの過渡期に、上記インジェクタから噴射された燃料に基づく筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御を実行し、
    上記空燃比をリッチにする制御では、燃焼順序が遅い気筒ほどリッチ化の幅が小さくされることを特徴とする火花点火式エンジン。
  8. 請求項7記載の火花点火式エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記可変機構を作動させて有効圧縮比を所定量低下させた後、なおもプリイグニッションが検出された場合には、上記有効圧縮比をさらに低下させる制御を実行するとともに、その制御が完了するまでの過渡期に、再び筒内の空燃比を一時的にリッチにする制御を実行することを特徴とする火花点火式エンジン。
  9. 請求項7または8記載の火花点火式エンジンにおいて、
    上記有効圧縮比を可変的に設定する可変機構は、吸気弁の動作タイミングを可変的に設定する可変バルブタイミング機構であり、
    上記制御手段は、
    上記有効圧縮比を低下させる制御として、上記可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉時期を上記有効圧縮比の低下量に応じた所定の目標時期まで変更する制御を実行し、
    上記空燃比をリッチ化する制御を、上記吸気弁の閉時期が上記目標時期に到達するまでの過渡期に実行することを特徴とする火花点火式エンジン。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンにおいて、
    上記制御手段は、少なくともエンジン温間時における低回転かつ高負荷域に設定された特定運転領域で、上記検出手段を用いてプリイグニッションを検出し、検出された場合に上記有効圧縮比の低下および空燃比のリッチ化を実行することを特徴とする火花点火式エンジン。
  11. 請求項10記載の火花点火式エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記特定運転領域での運転時に、上記インジェクタから噴射すべき燃料の少なくとも一部を圧縮行程の中期以降に噴射することを特徴とする火花点火式エンジン。
  12. 請求項10または11記載の火花点火式エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記特定運転領域での運転時に、火花点火のタイミングを圧縮上死点よりも遅れたタイミングに設定することを特徴とする火花点火式エンジン。
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