以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図、図2は、自動原稿給紙装置3の外観を示す斜視図、図3は、画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として胴内排紙型の複写機を例示しているが、画像形成装置1は、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間(胴内排紙部24)を備えた装置本体2、装置本体2の上面に配置された自動原稿給紙装置3(シート給紙装置)、及び装置本体2の下側に組み付けられた増設給紙ユニット4を含む。
装置本体2は、シートに対して画像形成処理を行う。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容され、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための各種機器が収容されている。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための排出口961が設けられている。
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、排出口961から排出されたシートが積載される。
上部筐体22の前面には、操作パネルユニット25が突出して設けられている。操作パネルユニット25は、テンキー、スタートキーなどを含む操作キー251及びLCDタッチパネル252などを備え、ユーザからの各種の操作指示の入力を受け付ける。ユーザは、操作パネルユニット25を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。
下部筐体21には、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット211が装着されている。増設給紙ユニット4もまた、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット41、42を含む。これら給紙カセット211、41、42は、自動給紙用に設けられたカセットであり、大量の記録シートをサイズ別に収容することができる。また、給紙カセット211、41、42は、下部筐体21又は増設給紙ユニット4の前面から手前方向に引出可能である。なお、図3では、下部筐体21の給紙カセット211のみを描いている。
装置本体2の右側面には、ユーザに手差し給紙を行わせるためのマルチトレイユニットMが装着されている。マルチトレイユニットMは、手差しの記録シートが載置される給紙トレイ43と、前記記録シートを下部筐体21内の画像形成部へ搬入する給紙ユニット44とを含む。給紙トレイ43は、その下端部において下部筐体21に対して開閉自在に取り付けられており、不使用時は閉状態とされる。ユーザは、手差し給紙を行う場合、給紙トレイ43を開き、その上に記録シートを載置する。
自動原稿給紙装置3は、装置本体2の上面に、その後側において回動自在に取り付けられている。なお、図3では、この自動原稿給紙装置3の記載を省いている。自動原稿給紙装置3は、装置本体2における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス222が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給紙する。一方、ユーザが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス223の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給紙装置3は上方に開けられる。
図2を参照して、自動原稿給紙装置3は、本体ハウジング30、原稿給紙トレイ31、原稿搬送部32、原稿排紙トレイ33及び原稿反転トレイ31Bを備える。本体ハウジング30は、自動原稿給紙装置3に備えられている各種の機構を収容する筐体であって、原稿搬送部32を収容する左側部分に、上方に隆起した前壁部301及び後壁部302を有すると共に、右側部分に、ほぼフラットな低層部分を備えている。
原稿給紙トレイ31は、画像読取位置へ給送される原稿シートが載置されるトレイであって、本体ハウジング30の給送口30Hから延出するように、本体ハウジング30に付設されている。原稿給紙トレイ31には、載置された原稿シートの幅合わせを行うための一対のカーソル311が備えられている。
原稿搬送部32は、原稿給紙トレイ31上の原稿シートを、画像読取位置を経由して原稿排紙トレイ33まで搬送する搬送路及び搬送機構を備える。原稿搬送部32は、本体ハウジング30の前壁部301及び後壁部302の間の開口に嵌め込まれる上部カバーユニット32Uを含む。これら詳細については、図4他に基づいて後記で詳述する。
原稿排紙トレイ33は、原稿画像が光学的に読み取れた後の原稿シートが排出されるトレイである。本体ハウジング30の右側における前記低層部分の上面が、原稿排紙トレイ33とされている。原稿反転トレイ31Bは、両面に原稿画像を有する原稿シートの読取の際に、当該原稿シートが一時的に排出されるトレイである。
続いて、図3に基づいて、装置本体2の内部構造を説明する。下部筐体21の内部には、上方から順に、トナーコンテナ99Y、99M、99C、99K、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、及び上述の給紙カセット211が収容されている。
画像形成部93は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを備える。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲に配置された、帯電器12、現像装置13、一次転写ローラ14及びクリーニング装置15とを含む。
感光体ドラム11は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム11としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム11の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。
現像装置13は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム11の周面にトナーを供給する。現像装置13は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラ16、17、磁気ローラ18、及び現像ローラ19を含む。攪拌ローラ16、17は、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラ18の周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラ19の周面には、磁気ローラ18と現像ローラ19との間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラ19上のトナーは、感光体ドラム11の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
一次転写ローラ14は、中間転写ユニット92に備えられている中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム11とニップ部を形成し、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置15は、トナー像転写後の感光体ドラム11の周面を清掃する。
イエロー用トナーコンテナ99Y、マゼンタ用トナーコンテナ99M、シアン用トナーコンテナ99C、及びブラック用トナーコンテナ99Kは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCK各色に対応する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置13に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの各々に設けられた感光体ドラム11の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム11からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、給紙カセット211から供給される記録シートに、二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラ922及び従動ローラ923は、下部筐体21によって回転自在に支持される。
給紙カセット211(41、42)は、複数の記録シートが積層されてなるシート束を収納する。給紙カセット211の右端側の上部には、ピックアップローラ212が配置されている。ピックアップローラ212の駆動により、給紙カセット211内のシート束の最上層の記録シートが1枚ずつ繰り出され、搬入搬送路26へ搬入される。一方、給紙トレイ43に載置された手差しの記録シートは、給紙ユニット44の給紙ローラ45の駆動によって、搬入搬送路26へ搬入される。
搬入搬送路26の下流側には、二次転写部98、後述する定着ユニット97及び排紙ユニット96を経由して排出口961まで延びるシート搬送路28が設けられている。シート搬送路28の上流部分は、下部筐体21に形成された内壁と、反転搬送ユニット29の内側面を形成する内壁との間に形成されている。なお、反転搬送ユニット29の外側面は、両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路291の片面を構成している。シート搬送路28の、二次転写部98よりも上流側にはレジストローラ対27が配置されている。シートは、レジストローラ対27にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部98に送り出される。
連結筐体23の内部には、定着ユニット97と排紙ユニット96とが収納されている。定着ユニット97は、加熱ローラと加圧ローラとを含み、二次転写部98においてトナー像が二次転写された記録シートを加熱及び加圧することで、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付の記録シートは、定着ユニット97の下流に配置されている排紙ユニット96により、排出口961から胴内排紙部24に向けて排出される。
上部筐体22の上面には、第1コンタクトガラス222と第2コンタクトガラス223とが嵌め込まれている。第1コンタクトガラス222は、自動原稿給紙装置3から自動給送される原稿シートの読取用に設けられている。第2コンタクトガラス223は、手置きされる原稿シートの読取用に設けられている。
上部筐体22の内部には、原稿シートの原稿情報を光学的に読み取るための走査機構224と撮像素子225とが収容されている。走査機構224は、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含み、原稿からの反射光を撮像素子225に導く。撮像素子225は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路(図略)でデジタル電気信号に変換された後、露光ユニット94に入力される。
続いて、図4〜図8に基づき、自動原稿給紙装置3の内部構造について詳述する。図4は、自動原稿給紙装置3の要部(原稿搬送部32)の断面図である。原稿搬送部32は、原稿シートの搬送経路となる第1〜第5搬送路341〜345と、これら第1〜第5搬送路341〜345の適所に配置された第1〜第5搬送ローラ対351〜355と、原稿給紙トレイ31の載置された原稿シートを原稿搬送部32内へ送り込む原稿給送ユニット5とを備える。図5は、原稿給送ユニット5を拡大して示す斜視図、図6は、原稿給送ユニット5を下面側から見た斜視図、図7は、上述の上部カバーユニット32Uを下面側から見た斜視図、図8は、内面のガイド部材321を取り除いた状態の上部カバーユニット32Uの斜視図である。
第1、第2及び第3搬送路341、342、343は、上述の給送口30Hから、原稿画像の光学的な読取位置Xを経由して、原稿シートを原稿排紙トレイ33に排紙する排紙口30Eまで延びる、U字型に湾曲した搬送路を構成している。一方、第4及び第5搬送路344、345は、両面に原稿画像を有する原稿シートの読取の際に、当該原稿シートを反転させるために用いられるスイッチバック搬送路である。
第1搬送路341は、原稿給紙トレイ31に連なって給送口30Hから左方に、やや先下がりに延びる搬送路であり、原稿給送ユニット5から送り出された原稿シートが最初に通過する搬送路である。この第1搬送路341の上側搬送面は、上部カバーユニット32Uのガイド部材321(図7参照)により画定されている。第2搬送路342は、第1搬送路341の下流端から、原稿読取位置Xである第1コンタクトガラス222との対向位置まで延びる、円弧状の搬送路である。この第2搬送路342の一方の搬送面も、上部カバーユニット32Uのガイド部材321で画定されている。第3搬送路343は、第1コンタクトガラス222との対向位置から右方に、排紙口30Eまでやや先上がりに延びる搬送路である。なお、第1コンタクトガラス222との対向位置には、原稿シートを第1コンタクトガラス222に摺接させる接面ガイド36が配置されている。
第4搬送路344は、第3搬送路343から分岐して上方右に延びる搬送路である。第3搬送路343と第4搬送路344との分岐部には振り分けレバー37が配置されている。振り分けレバー37は、通常の片面読取の場合は原稿シートを第3搬送路343へ案内するが、原稿シートの両面読取が実行される場合において、片面読取を終えた当該原稿シートを表裏反転させる必要が有るときに、原稿シートを第4搬送路344へ案内する。第5搬送路345は、第4搬送路344及び第1搬送路341と原稿反転トレイ31Bとに連通した略水平な搬送路であり、表裏反転させる原稿シートを第4搬送路344から受け入れ、第1搬送路341にスイッチバック搬送するための搬送路である。
第1、第2、第3、第4及び第5搬送ローラ対351、352、353、354及び355は、それぞれ、原稿シートを搬送する回転駆動力を発生する駆動ローラ351A、352A、353A、354A及び355Aと、これに当接されて従動回転する従動ローラ351B、352B、353B、354B及び355Bとの組み合わせからなる。
第1搬送ローラ対351は、第1搬送路341と第2搬送路342との間に配置され、大きく湾曲している第2搬送路342に向けて原稿シートを給送する。第2搬送ローラ対352は、原稿読取位置Xの直上流に配置され、この原稿読取位置Xへ原稿シートを送り込む。第3搬送ローラ対353は、原稿読取位置Xの直下流に配置され、画像読取後の原稿シートを、第3搬送路343又は第4搬送路344へ送り出す。第4搬送ローラ対354は、排紙口30Eの近傍に配置され、原稿シートを原稿排紙トレイ33に向けて排出する。第5搬送ローラ対355は、正転及び逆転が可能なローラ対であって第5搬送路345に配置され、原稿反転トレイ31Bを活用して、原稿シートのスイッチバック搬送を実行する。
原稿給送ユニット5は、ピックアップローラ51と、ピックアップローラ51よりもシート搬送方向の下流側に配置される原稿給紙ローラ52と、原稿給紙トレイ31に載置された原稿シートの給紙方向先端を規制する一対のストッパ53と、これら部材を保持するホルダ50と、駆動機構56と、ジョイント部60と、ホルダ50に回転力を与える捻りコイルバネ57とを含む。図7及び図8に示す通り、原稿給送ユニット5は、上部カバーユニット32Uに組み付けられている。
ホルダ50は、平板状の上板500と、この上板500と一体のリブ部材からなる前板501、後板502及び中板503とを含む、箱状の部材である。前板501及び後板502には、同軸上に並ぶ前筒状部504及び後筒状部505が突設されている。ホルダ50は、この前筒状部504及び後筒状部505の筒心回りに揺動する。
ピックアップローラ51は、その軸回りに回転する回転力が与えられ、原稿給紙トレイ31に載置された原稿シートを、1枚ずつ原稿搬送部32(第1搬送路341)に向けて送り出す。ピックアップローラ51の回転軸は、後板502及び中板503の右端側で回転自在に支持されている。ピックアップローラ51は、ホルダ50の前筒状部504及び後筒状部505の筒心回りの揺動によって、原稿給紙トレイ31上の原稿シートの上面に接触する給紙位置と、原稿シートの上面から上方に離間した退避位置との間で位置変更する。
図5に示すように、原稿給紙トレイ31の下流端312には、ピックアップローラ51と対向する位置には捌きパット313が配置されている。ピックアップローラ51が給紙位置にあるとき、ピックアップローラ51と捌きパット313との間にニップ部が形成されることとなる。
原稿給紙ローラ52は、ピックアップローラ51から送り出された1枚の原稿シートを、さらに第1搬送路341に向けて搬送する。原稿給紙ローラ52の従動回転軸521(従動軸)は、ホルダ50の前板501及び後板502で回転自在に支持されている。原稿シートの給紙動作を行う際、従動回転軸521には回転駆動力が与えられ、原稿給紙ローラ52は回転する。なお、図4に示す通り、この原稿給紙ローラ52に対向して、本体ハウジングには従動ローラ350が配置されている。上述したホルダ50の前筒状部504及び後筒状部505は、従動回転軸521の軸回りに回転可能に取り付けられている。つまり、従動回転軸521の軸心とホルダ50の前筒状部504及び後筒状部505の筒心とは同軸であり、このため原稿給紙ローラ52は、ホルダ50が揺動しても上下動せず、常時従動ローラ350と給紙ニップ部を形成している。
一対のストッパ53は、ピックアップローラ51と原稿給紙ローラ52との間の略中間に位置するよう、ホルダ50の前板501及び後板502の外面側にそれぞれ取り付けられている。ストッパ53は、ホルダ50に係合する係合部531と、原稿給紙トレイ31に載置された原稿シートの給紙方向先端を当止するストッパ片532と、ストッパ片532を係合部531に対して回動自在に支持するピン533とを含む。なお、ストッパ片532は、前方視で時計方向への回動に対しては係合部531に当止され、反時計方向のみ回動自在である。
ストッパ片532は、ピックアップローラ51が退避姿勢にあるとき、図5に示すように、原稿給紙トレイ31の下流端312に突出して、原稿シートの給紙方向先端を規制する。一方、ホルダ50が揺動してピックアップローラ51が給紙位置にあるとき、ストッパ片532はホルダ50の右端が下降するのに連動して、その下端が持ち上げられ、原稿シートの給紙方向先端の規制を解除する。原稿シートの搬送中にジャムが生じ、ユーザが原稿シートを給紙方向とは逆方向に引き抜く動作を行った場合、ストッパ片532はピン533回りに反時計方向に回動する。このため、原稿シートの引き抜き動作を阻害しない。
ピックアップローラ51の回転軸には、外周面に多数の溝が形成された第1ホイール541が固定されている。また、原稿給紙ローラ52の従動回転軸521には、同様な溝を備えた第2ホイール542が固定されている(図6参照)。これら第1、第2ホイール541、542は、それぞれピックアップローラ51、原稿給紙ローラ52の後方側の位置に配置されている。第1、第2ホイール541、542に対して、動力伝達用の無端ベルト55が架け渡されている。無端ベルト55の内周面には、第1、第2ホイール541、542が備える溝と係合する多数の突起が形成されている。原稿給紙ローラ52の従動回転軸521に原稿シートを送り出す方向の回転駆動力(正方向の回転駆動力;前方向から見て時計方向の回転駆動力)が与えられると、その回転力は、無端ベルト55を通して、ピックアップローラ51の回転軸に伝達される。その結果、ピックアップローラ51及び原稿給紙ローラ52の双方が同期回転する。
駆動機構56は、原稿給紙ローラ52の従動回転軸521に対して正方向または逆方向の回転駆動力を伝達するための機構である。駆動機構56は、図6に示すように、モータ7と、駆動軸562と、駆動入力部563とを含む。モータ7は、正方向及び逆方向の回転駆動力を発生する。このモータ7としては、DCモータ、スッテッピングモータ等を用いることができる。駆動入力部563には、モータ7から図略のギア機構を介して回転駆動力が与えられる。駆動軸562は、駆動入力部563と一体化されているので、前記回転駆動力によって駆動軸562が回転する。
ジョイント部60は、駆動機構56の駆動軸562と原稿給紙ローラ52の従動回転軸521とを機械的に連結して、駆動軸562の回転駆動力を従動回転軸521に伝達する。ジョイント部60による駆動力の伝達により、従動回転軸521が従動回転し、原稿給紙ローラ52が回転する。従動回転軸521の回転に伴い、ピックアップローラ51は無端ベルト55を介して回転して原稿シートを送り出す。ジョイント部60の詳細は、後で図9〜図13を参照して説明する。
捻りコイルバネ57は、そのコイル部が一定の保持力を持って従動回転軸521と一体のボス571に挿通されると共に、ホルダ50に対する正方向係合部及び逆方向係合部を備える。捻りコイルバネ57は、ホルダ50と従動回転軸521とをバネクラッチの態様で連結する部材であって、ホルダ50の揺動が規制されない範囲では従動回転軸521の回転力をホルダ50に伝達するが、ホルダ50の揺動が規制された状態では従動回転軸521の回転力をホルダ50に伝達しない機能を果たす部材である。なお、この捻りコイルバネ57に代えて、トルクリミッタを用いることもできる。
従動回転軸521に正方向の回転駆動力が与えられると、前記保持力によって捻りコイルバネ57は従動回転軸521と一体回転し、前記正方向係合部がホルダ50に回転力を伝達する。結果として、ホルダ50は従動回転軸521の軸心回りに時計方向に回動し、ピックアップローラ51は、原稿給紙トレイ31に載置された原稿シートの上面に接触する給紙位置に移動する。ピックアップローラ51が原稿給紙トレイ31に当止された後は、捻りコイルバネ57の従動回転軸521に対する巻き付け力が緩み、従動回転軸521(ボス571)が捻りコイルバネ57に対して空転するようになる。これにより、給紙位置に移動された後に従動回転軸521の回転力はホルダ50に伝達されない。
従動回転軸521に逆方向の回転駆動力が与えられた場合も同様である。この場合、前記逆方向係合部がホルダ50と係合し、ホルダ50を従動回転軸521の軸心回りに反時計方向に回動させる。これにより、ピックアップローラ51は、原稿シートの上面から上方に離間した退避位置に移動する。図4及び図5は、ピックアップローラ51が退避位置に移動している状態を示している。ホルダ50が、上部カバーユニット32Uの天板320に当止された後は、同様に従動回転軸521が捻りコイルバネ57に対して空転するようになり、退避位置に移動された後に従動回転軸521の回転力はホルダ50に伝達されない。
次に、図9〜図13を参照して、ジョイント部60について説明する。図9は、図6の一部拡大図であり、ジョイント部60を示す。ジョイント部60は、上述したように駆動機構56の駆動軸562と原稿給紙ローラ52の従動回転軸521とを連結するものであって、接触防止部材61(接触防止手段)と、カップリング62と、押圧ばね63とを含む。図10は、ジョイント部60からカップリング62を取り外した状態を示す斜視図である。図11は、接触防止部材61が駆動軸562に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図12は、接触防止部材61の斜視図であり、図13は、駆動軸562における接触防止部材61が取り付けられる軸端部の斜視図である。なお、本実施形態では、ジョイント部60、駆動機構56の駆動軸562および原稿給紙ローラ52の従動回転軸521がジョイント機構を構成している。
接触防止部材61は、駆動軸562の軸端面(以下、第1軸端面565という)と、従動回転軸521の軸端面(以下、第2軸端面523という)とが接触することを防止する部材である。第1軸端面565と第2軸端面523とは、所定の隙間Gを介して互いに対向しており、接触防止部材61は、隙間Gに介在することで、第1軸端面565と第2軸端面523とが接触することを防止する。接触防止部材61は、樹脂やゴム等の材料から形成される弾性部材である。また、接触防止部材61の材料は、絶縁性を備えた材料であることが好ましい。
具体的には、接触防止部材61は、図12に示すように、第1軸端面565を覆う覆い部610と、覆い部610を駆動軸562の軸端部に固定するための一対の係合片613(第3係合部)とを有する。
覆い部610は、偏平な形状を有する部位であって、第1軸端面565に接触した状態で第1軸端面565を覆う第1面611と、第1面611とは反対側の第2面612とを有する。第1面611は、駆動軸562の軸方向に直交する面であり、第2面612は、従動回転軸521の軸方向に直交する面である。第1面611は、第1軸端面565のほぼ全体を覆うことが可能な形状を有する。第2面612は、第2軸端面523と接触する面である。第1面611と第2面612との間の距離、つまり覆い部610の厚みは、隙間Gの寸法に対応しているため、覆い部610は隙間Gを占めるように配置されている。なお、覆い部610の厚み寸法は、駆動軸562の軸方向における寸法である。
一対の係合片613は、互いに対向するように、かつ互いに平行に延びるように、覆い部610の縁部から突出している。各係合片613は、駆動軸562の軸方向に延びている。各係合片613には、覆い部610の縁部から、突出方向先端にかけて延びる係合孔615が形成されている。
接触防止部材61が取り付けられる駆動軸562は、図13に示すように、軸端部において、一対のカット面566を有する。各カット面566は、軸端部を、第1軸端面565から所定の距離だけ軸方向に切削することで形成されている。一対のカット面566は、軸心を挟んで互いに平行に延びるように形成されている。また、一方のカット面566と他方のカット面566との間の距離は、接触防止部材61の一対の係合片613間の距離と略等しくなるように設定されている。そして、一方のカット面566から他方のカット面566にかけて貫通孔567が形成されている。
接触防止部材61は、駆動軸562の軸端部に次のようにして取り付けられる。すなわち、接触防止部材61の一対の係合片613を、対応するカット面566に沿って摺動させて、覆い部610を第1軸端面565に突き当てる。これにより、一方の係合片613の係合孔615と、貫通孔567と、他方の係合片613の係合孔615とが並ぶ。そして、第1係合ピン564(第1係合部)を、一方の係合孔615、貫通孔567、他方の係合孔615の順に圧入することで、図11に示すように、接触防止部材61が駆動軸562の軸端部に固定される。このとき、覆い部610は、第1軸端面565に密着して第1軸端面565の略全体を覆っている。また、第1係合ピン564は、駆動軸562から、駆動軸562の軸方向と直交する方向に延び、両端部が駆動軸562の周面から互いに反対方向に突出した状態となっている。なお、上記のように接触防止部材61を固定する手順に代え、第1係合ピン564を貫通孔567に圧入した後、弾性を備えた接触防止部材61の一対の係合片613を拡げつつ、一方の係合孔615に第1係合ピン564の一方の端部を通すと共に、他方の係合孔615に第1係合ピン564の他方の端部を通すことにより、接触防止部材61の固定を行ってもよい。
カップリング62は、筒状の部材であって、一方の端部において、第1軸端面565が形成された、駆動軸562の軸端部を受容すると共に、他方の端部において、第2軸端面523が形成された、従動回転軸521の軸端部を受容する。
また、カップリング62は、駆動軸562の第1係合ピン564および従動回転軸521の第2係合ピン522(第2係合部)のそれぞれに係合可能な形状を有する。具体的には、第2係合ピン522は、従動回転軸521から、従動回転軸521の軸方向と直交する方向に延びており、両端部が従動回転軸521の周面から互いに反対方向に突出している。カップリング62の筒壁には、軸方向に延びる溝部621が形成されている。溝部621は、従動回転軸521側の端部から駆動軸562側の端部に向かって所定の距離だけ延びている溝部621である。カップリング62、駆動軸562および従動回転軸521は同心に配置されている。そして、溝部621に、駆動軸562の第1係合ピン564と、従動回転軸521の第2係合ピン522とが嵌まり込むことで、カップリング62と、駆動軸562および従動回転軸521との間の係合が達成され、駆動軸562と従動回転軸521とが機械的に連結される。
駆動軸562の回転駆動力は、次のようにして従動回転軸521に伝達される。すなわち、駆動軸562が回転すると、それに伴い、第1係合ピン564が回転する。第1係合ピン564はカップリング62の溝部621に嵌まり込んでいるので、第1係合ピン564の回転に伴い、カップリング62が回転する。そして、第2係合ピン522は、溝部621に嵌まり込んでいるので、カップリング62の回転に伴って回転する。これにより、従動回転軸521が回転する。このようにして駆動軸562から従動回転軸521に伝わった回転駆動力が原稿給紙ローラ52およびピックアップローラ51を回転させる。
押圧ばね63は、カップリング62の溝部621に嵌まり込んでいる第1係合ピン564が溝部621の終端622によって押圧されるようにカップリング62を第1係合ピン564に向けて押圧する。押圧ばね63は、駆動軸562を囲むコイルを有し、コイルの一端が駆動軸562の周面上に設けられた当止部564に当止されており、他端がカップリング62における駆動軸562側の端面に接触している。押圧ばね63は、カップリング62が駆動軸562側から従動回転軸521側に移動するように付勢力をカップリング62に対して作用させる。この付勢力により、第1係合ピン564が溝部621の終端622に当接する。
以上説明した本実施形態に係る自動原稿給紙装置3によれば、ジョイント部60の接触防止部材61の覆い部610は、駆動軸562の第1軸端面565と従動回転軸521の第2軸端面523との間の隙間Gを占めるように第1軸端面565および第2軸端面523間に介在している。そのため、従動回転軸521の回転動作(原稿給紙ローラ52の回転動作)や駆動軸562の回転動作に伴って、第1軸端面565と第2軸端面523とが接触することが防止される。これにより、第1軸端面565と第2軸端面523との間の接触に起因する音の発生が防止される。
しかも、覆い部610は第1軸端面565を覆っているので、第1軸端面565と第2軸端面523との間の接触を防止することが容易である。また、第1軸端面565と第2軸端面523との間に介在して第1軸端面565を覆うという構成で音の発生を防止しているので、接触防止部材61の構造を簡単化できる。
また、本実施形態に係る自動原稿給紙装置3によれば、従動回転軸521の回転動作(原稿給紙ローラ52の回転動作)や駆動軸562の回転動作に伴って、駆動軸562が従動回転軸521に向かって移動したり、従動回転軸521が駆動軸562に向かって移動したりしても、接触防止部材61は弾性部材であるため、駆動軸562や従動回転軸521の移動は弾性部材によって吸収される。これにより、音の発生が防止される。
さらに、本実施形態に係る自動原稿給紙装置3によれば、例えば、従動回転軸521の回転動作や、原稿給紙ローラ52と原稿シートとの間の摩擦接触に起因して従動回転軸521に静電気が帯電した場合であっても、接触防止部材61は絶縁材料から形成されているので、静電気が駆動軸562に移動することが抑制される。これにより、静電気に起因するノイズが駆動系において発生すること、ひいては特に駆動系において搭載されている電子部品が誤動作したり破損したりすることが抑制される。なお、接触防止部材61の覆い部610の厚み寸法は、静電気が従動回転軸521から駆動軸562に移動可能な距離よりも大きく設定されている。
さらに、本実施形態に係る自動原稿給紙装置3によれば、第1係合ピン564(第1係合部)を、接触防止部材61の一対の係合片613の各係合孔615(第3係合部)に通すだけで、覆い部610を第1軸端面565に容易に取り付けることができる。また、第1係合部をピンで構成していると共に、第3係合部を、ピンが係合可能な孔で構成しているので、構造を簡単化することができる。さらに、第1係合ピン564を係合孔615に挿通させて覆い部610を取り付ける構成は、接着剤や両面テープを用いて覆い部610を取り付ける構成と比較して、覆い部610の第1軸端面565からの脱落を防止することができる。
以上説明した本実施形態では、接触防止部材61を駆動軸562の軸端部に取り付け、覆い部610によって第1軸端面565を覆わせる構成について説明したが、この構成に代えて、接触防止部材61を従動回転軸521の軸端部に取り付け、覆い部610によって第2軸端面523を覆わせる構成を採用してもよい。その場合であっても、上述した効果を得ることができる。