以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。また、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、実際のものとは異なる。
[実施形態1]
図1に、本実施形態1に係る液晶表示装置1の模式的平面図を、図2に、液晶表示装置1の一部を拡大したII−II切断線における模式的断面図を示す。本実施形態1に係る液晶表示装置1は、スイッチング素子としてTFT(薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor))を有するアクティブマトリクス型の表示装置である。ここでは、TN(Twisted Nematic)液晶を用いる縦電界モードの透過型の液晶表示装置について説明する。
液晶表示装置1は、図2に示すように、第1基板としてのスイッチング素子基板10と、スイッチング素子基板10に対向配置される第2基板としてのカラーフィルタ基板20を備える。そして、この一対の基板間の周縁に形成されたシールパターン3により両基板が貼り合わされ、その間に液晶層7が配設されている。
スイッチング素子基板10は、光透過性を有するガラス基板等からなる第1絶縁性基板11を備える。第1絶縁性基板11のカラーフィルタ基板20との対向面には、液晶層7中の液晶分子を配向させるための第1配向膜16が形成され、外側主面には第1偏光板17が配設されている。第1配向膜16の下層には、液晶を駆動する電圧を印加する画素電極15、画素電極15に電圧を供給するTFT等のスイッチング素子12、スイッチング素子12に信号を供給する配線(不図示)等を備える。
また、スイッチング素子12、配線を覆う絶縁膜14、スイッチング素子に供給する信号を外部から受け入れる端子電極13、端子電極13から入力された信号を後述する共通電極24へ伝達するためのトランスファ電極18等を備える。スイッチング素子基板10には、その名称の如く画素電極15やスイッチング素子が画素毎にアレイ状に配置されている。
カラーフィルタ基板20は、光透過性を有するガラス基板等からなる第2絶縁性基板21を備える。第2絶縁性基板21のスイッチング素子基板10との対向面には、液晶層7中の液晶分子を配向させるための第2配向膜26が形成され、外側主面には第2偏光板27が配設されている。第2配向膜26の下層には、スイッチング素子基板10上に設けられた画素電極15との間に電界を印加して液晶を駆動する共通電極24を備える。共通電極24の下部には、カラーフィルタ層23、遮光層22等を備える。
共通電極24は、スイッチング素子基板10とカラーフィルタ基板20間に形成されたトランスファ材6を介して、スイッチング素子基板10上に配置されたトランスファ電極18と電気的に接続されるように構成されている。そして、外部から端子電極13に入力された信号は、トランスファ電極18及びトランスファ材6を介して共通電極24に伝達するように構成されている。これにより、共通電極24に共通電位が供給され、画素電極15と共通電極24の間で電界を印加して液晶を駆動することができる。
スイッチング素子基板10上には、矩形状に形成された表示領域8と、この外側に枠状に形成された額縁領域9を有する(図1参照)。表示領域8には、複数のゲート配線(不図示)と複数のソース配線(不図示)が形成されている。ゲート配線とソース配線は、絶縁層(不図示)を介して互いに交差するように配設されている。ゲート配線とソース配線の交差点付近には、マトリクス状にTFTからなるスイッチング素子12が設けられている(図2参照)。そして、隣接するゲート配線とソース配線とで囲まれた領域に画素電極15が形成され、この領域が画素として機能する。画素電極15は、例えば、ITO(Indium Thin Oxide)などの透明導電性薄膜から形成されている。
スイッチング素子基板10とカラーフィルタ基板20との間隙における周縁領域には、シールパターン3が形成されている(図1参照)。シールパターン3は、図1に示すようにメインパターン31、引出パターン32を有する。シールパターン3のうち、先に説明を行った矩形上の表示領域8を取り囲むように配設された閉ループ状のパターンがメインパターン31である。メインパターン31に囲まれた領域に液晶層7が封入されている。また、メインパターン31を含む外側の領域が周縁領域に相当する。メインパターン31は、液晶表示パネル2の短辺、長辺に対して平行に規則正しく配置されている。
メインパターン31は、4つのコーナー部のうちの1つに封止部35を備える。封止部35は、シールパターン3同士が重なり合う、若しくは接触することによって封止されている。引出パターン32は、メインパターン31の封止部35から、液晶表示パネル2の角部の方向に延在するラインに実質的に配設されている。なお、後述する実施形態のように、引出パターンは、メインパターン31の封止部35から、液晶表示パネル2の角部の方向に延在するラインに少なくとも一部が実質的に配設され、基板端までパターンが形成されていればよく、図1の構成に限定されない。
シールパターン3は、滴下注入方式により形成する。具体的には、ディスペンサを用いてメインパターン31と引出パターン32を一筆書きで連続して描画することにより得る。
本実施形態1に係る引出パターン32は、矩形状の額縁領域9の4つの端辺近傍のうちの隣接する2つの端辺近傍の領域に端子電極13を配置し、これらの端子電極13が配設された辺を含まない角部C1に向かって形成されている。換言すると、封止部35は、角部C1から最も近接する位置のメインパターン31のコーナー部に設けられている。このように構成することにより、シール材が端子電極13に付着することを防止することができる。また、端子電極13に対向するカラーフィルタ基板20を端材として除去し、端子電極13を露出させる際に、この端材がシールパターン3によりスイッチング素子基板10に接着されることを防止することができる。そして、端材の除去を容易化するとともに、品質、及び信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。その結果、歩留まりを高めることができる。
なお、端子電極13が液晶表示パネル2の額縁領域9の1つの端辺に亘って形成されている場合にも、前述と同様の理由から、端子電極13が形成されていない端辺の角部に配置することが好ましい。但し、引出パターンを、端子電極13と同一の端辺に配設することを排除するものではなく、端子電極13と引出パターンの離間距離を十分に取れるなどの場合においては、端子電極13と同一の端辺に引出パターンを配設してもよい。
スイッチング素子基板10は、図2に示すように、カラーフィルタ基板20より外径寸法が大きく、カラーフィルタ基板20との非対向領域に、端子電極13が配置されている。スイッチング素子基板10とカラーフィルタ基板20との間隙は、面内スペーサである球状スペーサ(不図示)によって、所定の間隔となるように保持されている。なお、面内スペーサとして、球状スペーサに代えて柱状スペーサを用いてもよい。
液晶表示装置1は、上記の他、各種駆動信号を発生する制御基板51、制御基板51と端子電極13を電気的に接続するFFC(Flexible Flat Cable)52、バックライトユニット(不図示)等も備えている。バックライトユニットは、液晶表示パネル2の背面側から光を照射するように、液晶表示装置1の反視認側に配置されている。さらに、液晶表示パネル2とバックライトユニット間には、光の偏光状態や指向性などを制御する光学シートが配置されている。液晶表示パネル2は、バックライトユニット等と共に表示部分が解放された筺体(不図示)の中に収納されている。
次に、本実施形態1に係る液晶表示装置1の動作について説明する。制御基板51から電気信号が入力されると、各種信号がFFC52を介して端子電極13に供給される。そして、端子電極13から、走査信号や表示信号が配線(不図示)に供給される。これにより、スイッチング素子12と電気的に接続された画素電極15に表示電圧が印加される。また、端子電極13から入力された信号がトランスファ電極18及びトランスファ材6を介して共通電極24に伝達し、共通電極24に共通電位が供給される。これにより、画素電極15及び共通電極24間に電界が発生する。
画素電極15と共通電極24との間の電界に応じて液晶層7の液晶分子の方向が変わる。そして、バックライトユニットの発する光がスイッチング素子基板10、液晶層7、カラーフィルタ基板20を介して外部へ透過あるいは遮断されることにより、液晶表示装置1に映像等が表示される。
続いて、本実施形態1に係る液晶表示装置用セルについて説明する。図3Aは、本実施形態1に係る液晶表示装置用セルに用いられるマザー基板の模式的平面図である。液晶表示装置用セルは、スイッチング素子基板を形成するためのマザー基板と、カラーフィルタ基板20を形成するための基板を貼り合わせることにより得られる。図3Aにおいては、貼り合わせ前のカラーフィルタ基板20を形成するためのマザー基板50を図示している。なお、図3Aの例においては、説明の便宜上、マザー基板50の他、シールパターン3、全周シール4のみを図示する。
液晶表示装置用セルは、後述する分断工程において、一対のマザー基板を分断することにより複数の液晶表示パネルが得られる。図3Aの例においては、矩形状の一対のマザー基板に、4×4個の液晶表示パネル2(図3A中の点線で囲まれた領域)が形成される。液晶表示パネル2は、マザー基板50の短辺、長辺に対して平行に規則正しく配置されている。マザー基板50において、液晶表示パネル2の間の領域は、後述するセル分断工程において切り落とされる分断領域55である。
図3Bに、図3Aにおける1つの液晶表示パネル2近傍を拡大した模式的説明図を示す。シールパターン3は、前述したように、メインパターン31と引出パターン32を備える。引出パターン32は、始点端部33からメインパターン31までに亘って形成された引出パターン32Aと、メインパターン31から終点端部34までに亘って形成された引出パターン32Bを有する。引出パターン32A、32Bは、一対のマザー基板を貼り合わせる工程前は、図3Bに示すように、互いに近接位置に非接触の状態でマザー基板50上に形成されている。
シールパターン3の始点端部33は、液晶表示装置用セルの分断領域55に形成する。シールパターン3の終点端部34も同様である。始点端部33と終点端部34は、液晶表示パネル2の同一角部領域から引き出され、互いに隣接位置に配置されている。引出パターン32は、液晶表示パネル2の額縁領域9及び分断領域55に設けているので、液晶表示パネル2に設けられた表示領域8に影響を及ぼすことがない。しかも、後述するセル分断工程により、分断領域55に配置された始点端部33と終点端部34は、切り落とされ製品には残らない。
一対のマザー基板間における周縁領域は、全周に亘って全周シール4により封止されており、全周シール4は、封止手段として機能する。これにより、マザー基板を薄型加工する場合に、水やエッチング液等が侵入することを防止する。
次に、本実施形態1に係る液晶表示装置1の製造方法について図4のフローチャート図を用いて説明する。
まず、各マザー基板にそれぞれ複数のスイッチング素子基板部、カラーフィルタ基板部を作製する(ステップS1)。具体的には、ガラス基板からなる第1絶縁性基板11の一主面に、スイッチング素子12、端子電極13、絶縁膜14、画素電極15、トランスファ電極18等を形成する。また、ガラス基板からなる第2絶縁性基板21の一主面に、遮光層22、着色層23、及び共通電極24をパターン形成する。これらは、成膜、フォトリソグラフィー法によるパターニング、エッチング等により得ることができる。マザー基板から多数の液晶表示装置1が効率よく製造できるように、各マザー基板の短辺、及び長辺と平行に液晶表示装置の面付けが並ぶように規則正しく配置する。
次に、基板洗浄工程において、スイッチング素子基板部が形成されているマザー基板を洗浄する(ステップS2)。そして、配向膜形成工程において、マザー基板の画素電極15が形成された面に、第1配向膜16を形成する(ステップS3)。この工程では、例えば印刷法により有機膜からなる第1配向膜16を塗布し、ホットプレートなどにより、焼成処理して乾燥させる。その後、ラビング工程において、第1配向膜16にラビングを施すことにより配向処理を行う(ステップS4)。
カラーフィルタ基板部が形成されているマザー基板50についても、上記ステップS2からステップS4と同様の工程、すなわち、基板洗浄、第2配向膜26形成、及びラビング処理を行う。なお、第2絶縁性基板21の場合、共通電極24が形成された面に、第2配向膜26を形成する。
続いて、シール材塗布工程において、ディスペンサを用いてマザー基板のいずれかの一方の対向面に、シール材によりシールパターン3、全周シール4を形成する(ステップS5)。本実施形態1においては、カラーフィルタ基板部を有するマザー基板50側にシールパターン3、全周シール4を形成する。厚さ0.6mmのマザー基板50上に、ディスペンサを用いて、シール材30を供給することによりシールパターン3及び周辺シール4を形成する。なお、本実施形態においては、シール材の吐出量を始点端部から終点端部に至るまで、ほぼ一定になるように設定した。
シールパターン3のメインパターン31は、液晶表示パネル2の面付けに対応するよう、液晶表示パネル2の周縁部において、マザー基板50の短辺、長辺にそれぞれ平行となるよう規則正しく形成する。
図5に、図3Aの点線Aで囲まれた領域のシールパターン3を基板上に形成した際の模式的拡大図を示す。引出パターン32は、図5に示すように、マザー基板50上に形成した際には、始点端部33からメインパターン31までの引出パターン32Aと、終点端部34からメインパターン31までの引出パターン32Bとが、互いに近接位置において、非接触の状態で配設されている。また、メインパターン31と引出パターン32Aの切り替え部は、R形状とする。メインパターン31と引出パターン32Bについても同様である。
シール材には、例えば紫外線硬化型樹脂を用いる。紫外線硬化型樹脂に代えて、熱硬化型樹脂を用いたり、両者を併用するタイプを用いたり、他の公知の材料を適用したりすることができる。次に、トランスファ材塗布工程において、一対のマザー基板のいずれかの対向面に、トランスファ材6の塗布処理を行う(ステップS6)。なお、トランスファ材6の塗布処理については、シール材中に導電性の粒子などを混在させることにより、シール材にトランスファ材の機能を兼ね備えるようにしてもよく、この場合には、ステップS6の工程を省略することができる。
続いて、スペーサ散布工程において、一対のマザー基板のいずれかの面に基板間隔を所定の距離に保持するスペーサを散布する(ステップS7)。この工程は、例えば、湿式法や乾式法によりスペーサを分散させることにより行われる。ここでは、スイッチング素子基板10側であるマザー基板上に、粒径4.0μmの球状スペーサを散布し、150℃にて30分の加熱を行い密着させた。なお、スペーサの散布は、前記の加熱工程が必要であることから、先に説明を行ったシール材やトランスファ材6を塗布するマザー基板と異なる側の基板に対して独立して行うとよい。また、同じマザー基板に行う場合には、シール材やトランスファ材6を塗布する工程より先に本ステップS7の工程を行うとよい。また、スペーサとして、柱状スペーサも好適に適用することができる。柱状スペーサを用いる場合には、一対のマザー基板のいずれかの上に有機樹脂膜をパターニング等することにより得ることができる。この場合、ステップS7の工程は省略することができる。
その後、液晶滴下工程において、マザー基板50上の表示領域8内に所定量の液晶を液滴状態で滴下する(ステップS8)。次いで、貼り合わせ工程において、マザー基板同士を貼り合わせる(ステップS9)。この工程では、まず、貼り合わせ装置内に、シールパターン3と液滴状態の液晶を載せたマザー基板50と、スイッチング素子が形成されたマザー基板をセットする。そして、真空排気を行い、真空中にてマザー基板同士を貼り合わせる。これにより、複数の液晶表示パネルがアレイ状に形成される。
図6に、図3Aの点線Aで囲まれた領域における、マザー基板同士を貼り合わせた後の模式的拡大図を示す。図6に示すように、貼り合わせ工程により、シールパターン3が潰され、幅が広がって、互いに接触して接合することにより封止部35が封止される。これにより、シールパターン3の閉ループが形成される。封止部35の先端接合部F1は、外周パターン31の内周壁31Yよりも外側に配置されるようにする。
次いで、シール硬化工程において、マザー基板同士を貼り合わせた状態で、シールパターン3及び全周シール4を完全に硬化させる(ステップS10)。この工程は、例えば用いるシール材の材質に合わせて熱を加えることや、紫外線を照射することにより行われる。ここでは、大気中において、シールパターン3及び全周シール4に、紫外線を5000mJ照射した後に、120℃で1時間加熱を行い、シールを硬化させる。シール硬化後、一対のマザー基板のいずれか一方、若しくは両基板に対してガラス加工を施す工程を加えてもよい。このようにして液晶表示装置用セルが製造される。
次に、セル分断工程において、貼り合わされた一対のマザー基板を多数の個別のセル(液晶表示パネル)に分断する(ステップS11)。この分断工程において、同時に形成された複数の液晶表示パネルのセルを個別に分断する。また、スイッチング素子基板10の端子13の形成される部分が露出するように、カラーフィルタ基板20部分を分断して端材として除去する。
その後、偏光板貼付工程において、液晶セルに第1偏光板17、第2偏光板27を貼り付け(ステップS12)、制御基板実装工程において、制御基板51を実装する(ステップS13)。上記工程を経て、液晶表示パネル2が完成する。液晶表示パネル2に対し、光学シートを介してバックライトユニットを配設し、表示面部分が解放された筺体に収納することにより、本実施形態1に係る液晶表示装置1が完成する。
ここで、本発明の効果を説明するために、まず、比較例1に係る液晶表示パネルについて説明する。図17Aに、比較例1に係る液晶表示パネル上のシールパターンの形状を説明するための模式的平面図を示す。また、図17Bに、シールパターンのコーナー部の部分拡大平面図を示す。
シールパターン503は、メインパターン531と引出パターン532を備える。図17A及び図17Bにおいては、一対のマザー基板が貼り合わされ後のシールパターン503を図示している。
メインパターン531は、4つのコーナー部のうちの1つに封止部535を備える。封止部535は、シールパターン503同士が重なり合う、若しくは接触することによって封止されている。引出パターン532は、メインパターン531の封止部535から、液晶表示パネル502の短辺と平行な方向に延在するように設けられている。
シールパターン503の始点端部533は、液晶表示装置用セルの分断領域555であって、引出パターン532の延在方向に形成されている。終点端部534においても同様である。始点端部533と終点端部534は、互いに接触する位置に配設されている。比較例1に係る液晶表示パネル502は、シールパターン503の構成以外は、上記実施形態1と同様である。
封止部535は、直線形状の引出パターン532A及びメインパターン531と、概ね直角方向にR形状を形成した引出パターン532B及びメインパターン531とにより形成されている。ここで、シールパターン503の封止部535の先端部F2から基板端までの距離をD3,メインパターン531の外側端から基板端までの距離をD4とする。
次に、比較例2に係る液晶表示パネルのシールパターンについて説明する。図18Aに、比較例2に係る液晶表示パネル上のシールパターンの形状を説明するための模式的平面図を示す。また、図18Bに、比較例2に係るシールパターンのコーナー部の部分拡大平面図を示す。
シールパターン603は、メインパターン631と引出パターン632を備える。図18A及び図18Bにおいては、一対のマザー基板が貼り合わされたF後のシールパターン603を図示している。
メインパターン631は、4つの辺のうちの1つの辺の略中央部に封止部635を備える。封止部635は、シールパターン603同士が重なり合う、若しくは接触することによって封止されている。引出パターン632は、メインパターン631の封止部635から、液晶表示パネル602の長辺と垂直な方向に延在するように設けられている。
シールパターン603の始点端部633は、液晶表示装置用セルの分断領域655であって、引出パターン632の延在方向に形成されている。終点端部634においても同様である。始点端部633と終点端部634は、互いに接触する位置に配設されている。比較例2に係る液晶表示パネル602は、シールパターン603の構成以外は、上記実施形態1と同様である。
封止部635は、概ね直角方向にR形状を形成した引出パターン632A及びメインパターン631と、概ね直角方向にR形状を形成した引出パターン632B及びメインパターン631とにより形成されている。ここで、シールパターン603の封止部635の先端部F3から基板端までの距離をD5,メインパターン631の外側端から基板端までの距離をD6とする。
比較例1及び比較例2においては、始点端部、及び終点端部へ向かう引出パターンのシール材が接してシールパターンのループ形状を閉じて封止する封止部の先端部は、ループ形状の他の部分におけるシール材の内端より外側に突出して形成されることになる。その分、封止部から基板端までの距離が短くなり、この距離が極端に短いと内部の液晶が漏れる恐れがある。従って、封止部から基板端までの距離は長くすることが好ましく、信頼性の観点からは、その距離は最低限シール幅以上あることが望ましい。
本実施形態1によれば、始点端部33から表示領域8の周辺を巡ってループ形状のメインパターン31を形成し、封止部35をメインパターン31のコーナー部に配置する。さらに、引出パターン32の延在方向は、液晶表示パネル2の角部に実質的に向かう方向とする。これらの構成により、図6に示すように、シールパターン3の封止部35の先端部F1から基板端までの距離D1を、比較例1に係る距離D3や比較例2に係る距離D5に比して十分に確保することができる。
また、メインパターン31の外側端から基板端までの距離D2を、比較例1に係るD4や比較例2に係るD6に比して十分に小さくすることができる。このため、本実施形態1に係る液晶表示パネル2は、比較例1や比較例2に比して、液晶表示パネル2の額縁領域9の狭額縁化を実現することができる。また、これに付随して、液晶表示パネルの軽量化を図ることができる。
本実施形態1によれば、滴下注入方式により液晶層7を形成しているので、生産性の向上を実現することができる。また、液晶を無駄なく利用することができるので、低コスト化も実現することができる。
また、本実施形態1に係るシールパターン3は、前述したように、シールパターン3の封止部35から基板端までの距離D1を、比較例1に係る距離D3や比較例2に係る距離D5に比して十分に確保することができる。また、メインパターン31の外側端から基板端までの距離D2を、比較例1に係るD4や比較例2に係るD6に比して十分に小さくすることができる。このため、液晶表示パネル2の額縁領域9の狭額縁化を実現することができる。
また、本実施形態1においては、終点端部34と始点端部33、及び2本の引出パターン32A,32Bが、パターン形成時においては、非接触状態で隣接するようにしたので、シール材塗布量過多によるギャップ不良が発生しない。このため、シールパターンの信頼性が高い液晶表示装置を得ることができる。
さらに、始点端部33及び終点端部34が液晶表示パネル2より外側に形成するように配置したので、シール材の吐出不安定な領域が製品上に形成されるのを防止できる。具体的には、描き始めに起こりやすいカスレや、描き終わりに起こりやすい糸曵きなどの問題を、ディスペンサの塗出量を厳密に制御せずに製品内に残ることを防止することができる。その結果、品質及び信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。
また、矩形状の額縁領域9の4つの端辺近傍のうちの隣接する2つの端辺近傍の領域に端子電極13を配置し、これらの端子電極13が配設された辺を含まない角部C1に、引出パターン32を形成しているので、前述したように、歩留まり向上を図ることができる。
さらに、ディスペンサによるシール材の吐出量を始点端部33から終点端部34までほぼ一定とすることにより、ディスペンサの設定が容易に行えるため作業性、及び生産性を高めることができる。
上記特許文献1〜3や比較例2のように、メインパターン31の辺の途中に封止部を設ける場合、辺の途中に歪んだ形状が発生する可能性がある。一方、本実施形態1によれば、封止部35をメインパターン31のコーナー部に配置しているので、上記問題を防止することができる。
また、メインパターン31のコーナー部をR形状として、内周壁31Yよりも封止部35の接合先端部F1が外側に配置されるようにしたので、上記特許文献4よりも信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。さらに、引出パターンを封止部35から液晶表示パネル2の角部の方向に延在するようにしたので、比較例1、2、上記特許文献1〜3に比して狭額縁化を図ることができる。
[実施形態2]
次に、上記実施形態とは異なる構造のシールパターンの一例について説明する。なお、以降の説明において、上記実施形態と同一の要素部材は同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
本実施形態2に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係るシールパターン3は、液晶表示パネル2毎に設けられていたが、本実施形態2に係るシールパターンは、隣接する4つの液晶表示パネルに対して1つ設けられている。すなわち、4つの液晶表示パネルに対して一筆書きのシールパターンが形成されている。
図7Aは、本実施形態2に係る液晶表示装置用セルに用いられるマザー基板の模式的平面図である。図7Aにおいては、スイッチング素子基板を形成するためのマザー基板と貼り合わせる前のカラーフィルタ基板20を形成するためのマザー基板50を図示している。なお、図7Aの例においては、説明の便宜上、マザー基板50の他、シールパターン3a、全周シール4のみを図示する。図7Bに、図7Aにおいて、1つの液晶表示パネル2近傍を拡大した模式的説明図を示す。
本実施形態2に係るシールパターン3aは、4つの液晶表示パネルP1〜P4におけるシールパターンを一筆描きで連続して形成する。例えば、液晶表示パネルP1〜P4の概ね中心点である分断領域55を始点端部33aとし、液晶表示パネルP1のシールパターン3aをディスペンサにより塗布し、その後、液晶表示パネルP2、P3、P4の順にシールパターン3aを描画する。そして、始点端部33aと近接位置、若しくは重なる位置に終点端部34aを設ける。
本実施形態2によれば、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、4つの液晶表示パネルに対して、1つのシールパターンを形成するようにしているので、効率的にシールパターンを形成することができるというメリットを有する。
[実施形態3]
本実施形態3に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係るシールパターン3は、液晶表示パネル2毎に設けられていたが、本実施形態3に係るシールパターンは、マザー基板上に形成される液晶表示パネル全体に対して1つ設けられている。すなわち、全ての液晶表示パネルに対して一筆書きのシールパターンが形成されている。
図8は、本実施形態3に係る液晶表示装置用セルに用いられるマザー基板上のシールパターンの構成を説明するための模式的説明図である。図8においては、説明の便宜上、シールパターン3bのみを図示する。
本実施形態3に係るシールパターン3bは、マザー基板50上の全ての液晶表示パネルにおけるシールパターンを一筆描きで連続して形成する。例えば、マザー基板50の端部に配置された液晶表示パネルの分断領域55を始点端部33bとし、シールパターン3bをディスペンサにより塗布し、その後、隣接する液晶表示パネルを図8に示すように順次一筆書きにより描画する。このように、始点端部33bと終点端部34bは、近接位置に設ける必要はなく、分断領域55内の離間した位置に配設されていてもよい。
本実施形態3によれば、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、全ての液晶表示パネルに対して、1つのシールパターンを形成するようにしているので、効率的にシールパターンを形成することができるというメリットを有する。
[実施形態4]
本実施形態4に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係るシールパターン3は、液晶表示パネル2毎に設けられていたが、本実施形態4に係るシールパターンは、マザー基板上に形成される液晶表示パネル全体に対して1つ設けられている。すなわち、全ての液晶表示パネルに対して一筆書きのシールパターンが形成されている。
図9は、本実施形態4に係る液晶表示装置用セルに用いられるマザー基板上のシールパターンの構成を説明するための模式的説明図である。図9においては、説明の便宜上、シールパターン3cのみを図示する。
本実施形態4に係るシールパターン3cは、マザー基板50上の全ての液晶表示パネルにおけるシールパターンを一筆描きで連続して形成する。例えば、マザー基板50の端部に配置された液晶表示パネルの分断領域55を始点端部33cとし、シールパターン3cをディスペンサにより塗布し、その後、隣接する液晶表示パネルを図9に示すように順次一筆書きにより描画する。
上記実施形態1〜3においては、1つの液晶表示パネル2に対して1つのコーナー部に封止部を設ける例を述べたが、図9に示すように、1つの液晶表示パネル2に対して、2つの封止部35cを設けるようにしてもよい。なお、1つの液晶表示パネル2に対して3以上の封止部を設けてもよい。
本実施形態4によれば、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、全ての液晶表示パネルに対して、1つのシールパターンを形成するようにしているので、効率的にシールパターンを形成することができるというメリットを有する。
[実施形態5]
本実施形態5に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係るシールパターン3の引出パターン32は、封止部35から一対の基板(スイッチング素子基板10とカラーフィルタ基板20)の角部まで、実質的に直線状に形成されていたが、本実施形態5に係るシールパターンの引出パターンは、封止部から一対の基板(スイッチング素子基板10とカラーフィルタ基板20)の角部まで延在する方向の一部の領域に延在された部分Aと、この部分Aから分岐し、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインに対して対称的な形状を成し、一対の基板端まで延在されている部分Bからなる点において相違する。
図10に、図3Aの点線Aで囲まれた領域に相当する本実施形態5に係るシールパターン3dの模式的拡大図を示す。図10に示すように、マザー基板50上に、始点端部33dからメインパターン31dまでの引出パターン32Adと、終点端部34dからメインパターン31dまでの引出パターン32Bdとが、互いに近接位置において、非接触の状態で配設されている。
図11に、図3Aの点線Aで囲まれた領域に相当する本実施形態5に係るシールパターンにおけるマザー基板同士を貼り合わせた後の模式的拡大図を示す。図11に示すように、貼り合わせ工程により、シールパターン3dが潰され、幅が広がることにより接触して接合する。これにより、シールパターン3dの閉ループが形成される。
引出パターン32dは、図11に示すように、封止部35dから、当該封止部35dと最も近接位置に配置された一対の基板の少なくとも一方の基板の角部Cに延在する方向に実質的に延在する部分Aと、部分Aの先端から、液晶表示パネル2を構成する一対の基板の少なくもいずれかの基板端部に形成された部分Bからなる。そして、部分Bは、部分Aの先端から分岐した2つのパターンであり、封止部と角部Cを結ぶラインに対して実質的に対称的な形状を成すように形成されている。
本実施形態5によれば、封止部から、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインに延在されている部分を含み、かつ、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインに対して対称的な形状を成している引出パターンを有しているので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。なお、引出パターンが、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインに対して対称的な形状を成していることにより、角部Cに延在する方向に実質的に延在する部分Aを安定して形成することができるという効果が得られる。また、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインより離れる方向に引き出されることにより、角部Cにシールが付着しないので、切断する際に、基板が斜めに割れたり、突起が発生するなどの切断不良の発生を防止できるという効果が得られる。但し、当該部分Bの構成は必須ではなく、適宜、設計変更可能である。
[実施形態6]
本実施形態6に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係るシールパターン3の封止部35は、液晶表示パネル2に1つ設けられていたが、本実施形態6に係るシールパターンの封止部は、1つの液晶表示パネルに対して2つ設けられている点において相違する。
図12に、図3Aの点線Aで囲まれた領域に相当する本実施形態6に係るシールパターン3eの模式的拡大図を示す。封止部35eは、同図に示すように、矩形状のメインパターン31eの4つのコーナー部の対角位置に2つ配設されている。そして、2つの封止部35eから、それぞれ引出パターン32Ae、32Beが、非接触の状態で近接位置に配置されている。引出パターン32Ae、32Beは、上記実施形態1と同様に、一対のマザー基板の貼り合わせ工程において、押圧により潰れて、幅が広がることにより互いに接触して接合する。
本実施形態6に係るシールパターン3eは、1つの液晶表示パネルに対し、独立した2つのシールパターンを形成している。図12中の右側に配置されたシール材30Yを絶縁性シールパターンにより形成し、図12中の左側に配置されたシール材30Zを導電性シールパターンにより形成する。なお、図12の例は一例であって、種々の変形が可能である。例えば、1つの液晶表示パネルに対し、3つ以上の封止部を設け、独立した3つ以上のシールパターンによりシールパターンを形成してもよい。また、各シールパターンは、同一材料で形成しても、異なる材料で形成してもよい。
本実施形態6によれば、引出パターンは、封止部から、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインに延在されている部分を含み、かつ、封止部と一対の基板の角部を結ぶラインに対して対称的な形状を成している引出パターンを有しているので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態1〜6に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上記実施形態1〜6は、好適に組み合わせて適用することができる。
例えば、上記実施形態1〜6においては、液晶表示装置の一例としてTFT方式の液晶表示装置を例に挙げたが、一例であって、他の公知の方式の液晶表示装置に本発明を広く適用することが可能である。
また、液晶表示装置の動作モードは、TN(Twisted Nematic)モードに限定されるものではなく、STN(Super Twisted Nematic)モード、強誘電性液晶モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multidomain Vertical Alignment)モード等でもよい。駆動方法は、単純マトリクスやアクティブマトリクス等でもよい。さらに、図1において対向基板20に設けた共通電極24をスイッチング素子基板10側に配置して、画素電極15との間に横方向に電界をかける横電界方式(FFS(Fringe Field Switching)モード、IPS(In-Plane Switching)モード等)を用いた液晶表示装置に適用することもできる。
また、上記実施形態1〜6においては、塗布時において2本の引出パターンを非接触状態で隣接するように配設する例について述べたが、塗布時において2本の引出パターンが当接する態様であってもよい。また、2本の引出パターンが重なる態様であってもよい。
また、上記実施形態1〜6においては、分断領域55に配置される引出パターンは、液晶表示パネル2の額縁領域9から延在される方向に形成する例を挙げたが、分断領域55に配置される引出パターンの部分は、セル分断工程において分断され、製品に残らない部分のため、その配設方向、配設形状、配設位置等は、適宜、設計変更可能である。