JP5563871B2 - アスピレータ - Google Patents

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Description

本発明は、車両用空調装置に用いられるアスピレータに関するものである。
従来から、車室内の状況や乗員の要求等に応じて自動で吹出温度を設定するように構成されたオートタイプの車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この空調装置には、吹出目標温度を決定するにあたっての条件の一つとなる車室内の空気温度(内気温度)を検出するための内気温度センサと、内気温度センサに車室内の空気を導くためのアスピレータとが設けられている。アスピレータは、空調装置のケースに取り付けられる外筒部材と、外筒部材の端部に挿入される内筒部材とを備えている。外筒部材は、ケースの内部に連通しており、ケース内の空気が外筒部材へ流入するようになっている。内筒部材の一端部には、車室内に連通するホースが接続されている。ホースの上流端近傍に内気温度センサが配設されている。
そして、空調装置の作動時には、ケース内の空気が外筒部材に流れ込んで外筒部材と内筒部材との間を通って外筒部材の端部から流出し、このときに外筒部材内で発生する負圧力によってホースに車室内の空気が吸い込まれる。これにより、内気温度センサに車室内の空気が導かれて温度検出が行われる。
特開2005−280433号公報
しかしながら、特許文献1のアスピレータでは、内筒部材に別部材のホースを接続するようにしている。従って、部品点数が多く、組み付け工数が増大するとともに、各部品を成形するための型費が多くかかるという問題がある。
また、組み付け時にアスピレータの内筒部材とホースとの接続が緩いとアスピレータが機能しなくなり、空調装置の制御が正常になされなくなるという問題が発生する懸念もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホースを含むアスピレータの部品点数を低減して低コスト化を図るとともに、ホースとの接続不良が起こらないようにしてアスピレータの機能不良を未然に防止することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、アスピレータの内筒部材にホース部を一体成形するようにした。
第1の発明は、車両用空調装置の内気温度センサに車両の室内空気を導くためのアスピレータにおいて、外筒部材と、上記外筒部材の内部において該外筒部材の軸線方向に延びるように配設される内筒部材とを備え、上記外筒部材は、該外筒部材の内面に開口して上記空調装置のケース内部に接続される管部を有するとともに、該ケース内の空気を該管部から該外筒部材に流入させて内部に負圧力を発生させるように構成され、上記内筒部材の軸方向一端部には、上記外筒部材の軸方向一端部から該外筒部材の外方へ延びるホース部の基端部が一体成形され、上記ホース部の先端部は、車室内に開口しており、上記外筒部材と上記内筒部材との少なくとも一方には、他方に接して該内筒部材を該外筒部材に対し径方向に位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とするものである。
この構成によれば、内筒部材にホース部を一体成形したことで、ホース部を有する内筒部材が1つの部品となる。よって、部品点数が削減されて、組み付け工数が減少するとともに、型費が低減される。また、内筒部材とホース部とが一体であるため、従来のように別部材のホースを内筒部材に接続するという作業が不要になり、よって、両者の接続不具合が起こることはない。
また、内筒部材が外筒部材に対し径方向に位置決めされるので、内筒部材と外筒部材との隙間を一定に保つことが可能になる。
第2の発明は、第1の発明において、外筒部材の内周面には、該外筒部材内で負圧力を発生させるためのベンチュリー部が一体成形されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、外筒部材にベンチュリー部を設けたことで、内筒部材の形状をシンプルにすることが可能になる。これにより、ホース部を内筒部材に一体成形するにあたって成形が容易に行えるようになる。
第3の発明は、第1または2の発明において、内筒部材の軸方向一端部には、該内筒部材の径方向外方へ突出して外筒部材の外周面に沿って延び、該外周面に嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とするものである。
この構成によれば、内筒部材を外筒部材に組み付けると、内筒部材の嵌合部が外筒部材の外周面に嵌合して両部材が一体化する。このとき嵌合部が外筒部材の外周面に沿って延びているので、内筒部材が外筒部材に対し安定する
第1の発明によれば、外筒部材の内部に配設される内筒部材にホース部を一体成形したことで、内筒部材とホース部とが1つの部品となる。よって、部品点数を低減して低コスト化を図ることができるとともに、両者の接続不具合が起こることはなく、アスピレータの機能不良を未然に防止できる。
また、内筒部材を外筒部材に対し径方向に位置決めできるので、両者の隙間を一定に保つことができ、空気の流れを設計通りにすることができる。
第2の発明によれば、外筒部材の内周面にベンチュリー部を一体成形したことで、内筒部材の形状をシンプルにすることができ、ホース部と内筒部材とを一体成形するにあたり成形を容易にすることができる。
第3の発明によれば、内筒部材に、外筒部材の外周面に沿って延びる嵌合部を設けたので、内筒部材がホース部を有していても、該内筒部材を外筒部材に組み付けた状態で安定させることができ、アスピレータを正常に機能させることができる
本発明の実施形態にかかるアスピレータの使用状態を説明する図である。 アスピレータの側面図である。 アスピレータをホース部側から見た図である。 図3のIV−IV線断面図である。 アスピレータを分解した状態の図4相当図である。 変形例1にかかる図4相当図である。 変形例1にかかる内筒部材を下流側から見た図である。 変形例2にかかる図4相当図である。 図8のIX−IX線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかるアスピレータ10が車両用空調装置1に組み付けられた状態を示す図である。空調装置1は、自動車等の車室の前端部に配設されたインストルメントパネル(図示せず)の内部に収容されている。空調装置1は、車室内または車室外の空気が導入されるケース2を備えている。ケース2内には、図示しないが、冷却用熱交換器、加熱用熱交換器、温度調節ダンパ、吹出方向切替ダンパ等が配設されている。また、ケース2内へは、図示しない送風ファンによって空気が圧送されるようになっている。
アスピレータ10は、ケース2の壁部に組み付けられており、このケース2内の空気を利用して負圧力を発生させ、内気温度センサSに車室内の空気を導くように構成されている。
図2〜4に示すように、アスピレータ10は、外筒部材20と内筒部材30とを備えている。外筒部材20は、樹脂材の一体成形品であり、略円筒形状の本体部21と、本体部21の外周面から突出する管部22とを備えている。図4及び図5に示すように、本体部21の内周面には、ベンチュリー部23が一体成形されている。ベンチュリー部23は、外筒部材20内において負圧力を発生させるためのものであり、本体部21の空気流れ方向下流側の部分から本体部21の内方へ膨出するように形成されている。ベンチュリー部23の始点(上流端)近傍は、本体部21の内方へ向かって大きく膨出している。ベンチュリー部23は、始点近傍から終点(下流端)に向かってなだらかに拡径するように形成されている。ベンチュリー部23の終点は、本体部21の下流端に位置している。
管部22は、本体部21のベンチュリー部23よりも上流側の部分から該本体部21の径方向に突出している。管部22の軸線と本体部21の軸線とは略直交している。管部22の断面は、略円形である。管部22の一端部は、本体部21の内周面に開口している。図4に示すように、管部22の他端部はケース2に形成された貫通孔2aに挿入され、該ケース2内に連通している。
管部22の長さは、ケース2の貫通孔2aに挿入された状態で、他端部がケース2内へ突出するように十分な長さとされている。
管部22の外周面のうち、本体部21に近い側には、径方向に突出して周方向に延びる板部24が一体成形されている。この板部24は、ケース2の貫通孔2aの周縁部にケース2外方から接触するようになっており、この板部24によって管部22のケース2への挿入深さが設定される。
図3にも示すように、管部22の軸線方向中間部には、2つの爪部25,25が周方向に間隔をあけて形成されている。爪部25は、管部22の外周面から外方へ突出しており、ケース2の貫通孔2aの周縁部に対し、ケース2内方から係合するようになっている。また、爪部25は、管部22の内方へ向かって弾性変形するようになっている。
内筒部材30は、ホース部31を有しており、樹脂材の一体成形品である。内筒部材30の本体部32は、外筒部材20の本体部21よりも小径の略円筒状に形成されており、外筒部材20の本体部21内において、該本体部21と略同軸上に配設されて本体部21の軸線方向に延びている。
内筒部材30の本体部32と外筒部材20の本体部21との間には、全周に亘って所定の隙間が形成されている。
内筒部材30の本体部32の下流端は、ベンチュリー部23の始点近傍に位置している。本体部32の下流端と、ベンチュリー部23との間には、空気の流通可能な隙間が全周に亘って形成されている。内筒部材30の本体部32の肉厚は、外筒部材20の本体部21の肉厚よりも薄く設定されている。また、内筒部材30の本体部32は、下流端へ向かって徐々に薄くなっている。
内筒部材30の本体部32とホース部31との境界部分には、内筒部材30の径方向外方へ突出し、外筒部材20の本体部21の外周面に沿って延び、該外周面に嵌合する嵌合部34が設けられている。嵌合部34は、本体部32とホース部31との境界部分から径方向に突出して周方向に連続して延びる第1板部34aと、第1板部34aの突出方向先端部から本体部32の下流側へ延びる第2板部34bとを有している。第2板部34bは、周方向に連続しており、外筒部材20の本体部21の外周面に密着して本体部21との間がシールされるようになっている。
ホース部31は、車両において配管する際の柔軟性が確保されるように、肉厚が薄く設定されている。ホース部31の肉厚は、本体部32の上流側の肉厚と略同じである。
図1に示すように、ホース部31の上流端には、内気温度センサSが収容された吸気部材100が取り付けられている。この吸気部材100を介して内気が吸入されるようになっている。
次に、上記のように構成されたアスピレータ10を空調装置1に組み付ける場合について説明する。まず、外筒部材20と内筒部材30とを一体化する。すなわち、内筒部材30の本体部32を、外筒部材20に、該外筒部材20の上流側から挿入する。すると、内筒部材30の本体部32の下流端が外筒部材20のベンチュリー部23近傍に差し掛かったところで、嵌合部34が外筒部材20の外周面に嵌合する。これにより、外筒部材20と内筒部材30とが一体化した状態となるので、従来のように別部材のホースを接続する作業は省略できる。
外筒部材20と内筒部材30とが一体化した状態では、嵌合部34が外筒部材20の外周面に沿って延びているので、内筒部材30は、外筒部材20に対し安定する。また、嵌合部34の第2板部34bが外筒部材20の外周面に全周に亘って密着しているので、外筒部材20と内筒部材30の嵌合部34との間がシールされる。
このアスピレータ10をケース2に取り付ける際には、図4に示すように外筒部材20の管部22をケース2の貫通孔2aに挿入する。このとき、管部22の爪部25が貫通孔2aの周縁部に押されて内方へ弾性変形して管部22の挿入が許容される。管部22が完全に挿入されると、爪部25の形状が復元して貫通孔2aの周縁部に係合する。
そして、空調装置1が運転を開始すると、ケース2内の空気がアスピレータ10の管部22に流入する。管部22に流入した空気は、外筒部材20の本体部21と内筒部材30の本体部32との間に流入して下流側へ流れる。この空気はベンチュリー部23を通過し、このとき、外筒部材20の本体部21内では負圧力が発生する。
この負圧力は内筒部材30の本体部32内に作用し、ホース部31内にも作用する。負圧力により、車室内の空気が吸気部材100を介してホース部31内に吸入されて該ホース部31及び本体部32を通って外筒部材30の本体部21内に達し、本体部21の下流端から排出される。車室内の空気が吸気部材100に吸入される際に、該空気が内気温度センサSに導かれる。これにより、車室内の空気の温度が検出される。
以上説明したように、この実施形態にかかるアスピレータ10によれば、外筒部材20の内部に配設される内筒部材30にホース部31を一体成形したことで、内筒部材30とホース部31とが1つの部品となる。よって、部品点数を低減して低コスト化を図ることができるとともに、両者の接続不具合が起こることはなく、アスピレータ10の機能不良を未然に防止できる。
また、外筒部材20の内周面にベンチュリー部23を一体成形したことで、内筒部材30の形状をシンプルにすることができ、ホース部31と内筒部材30とを一体成形するにあたり成形を容易にすることができる。
また、内筒部材30に、外筒部材20の外周面に嵌合する嵌合部34を設けたので、内筒部材30がホース部31を有していても、該内筒部材30を外筒部材20に対し安定させることができ、アスピレータ10を正常に機能させることができる。
また、図6及び図7に示す変形例1のように、内筒部材30の本体部32に、位置決め部39,39,…を設けてもよい。尚、図7は、内筒部材30を空気流れの下流側から見た図である。位置決め部39は、本体部32の外周面における下流側の端部から径方向外方へ突出する突起で構成されている。この変形例1では、4つの位置決め部39が本体部32の周方向に略等間隔に配置されている。各位置決め部39の突出方向先端部は、外筒部材20のベンチュリー部23に対し径方向内方から接している。これにより、内筒部材30の本体部32が、外筒部材20の内部において径方向に位置決めされることになり、ベンチュリー部23で負圧力を安定して発生させることができ、空気の流れを設計通りにすることができる。また、位置決め部39をベンチュリー部23に当てるようにしたことで、位置決め部39の突出高さを低く設定しても位置決め効果を十分に得ることができるので、位置決め部39を形成するための材料を削減できるとともに、位置決め部39が空気の流れの邪魔になるのを最小限に留めることができる。
また、図8及び図9に示す変形例2のように、外筒部材20の本体部21に、位置決め部29,29,…を設けてもよい。尚、図9は、図8におけるIX−IX線断面図である。位置決め部29は、本体部21の内周面におけるベンチュリー部23の始点から径方向内方へ突出する突起で構成されている。この変形例2では、4つの位置決め部29が本体部21の周方向に略等間隔に配置されている。各位置決め部29の突出方向先端部は、内筒部材30の本体部32に対し径方向外方から接している。これにより、内筒部材30の本体部32が、外筒部材20の内部において径方向に位置決めされることになり、ベンチュリー部23で負圧力を安定して発生させることができ、空気の流れを設計通りにすることができる。また、位置決め部29をベンチュリー部23の始点から突出させたことで、位置決め部29の突出高さを低く設定しても位置決め効果を十分に得ることができるので、位置決め部29を形成するための材料を削減できるとともに、位置決め部29が空気の流れの邪魔になるのを最小限に留めることができる。
上記変形例1、2では、位置決め部29,39をそれぞれ4つ設けているが、これに限らず、3つ設けてもよいし、5つ以上設けてもよい。また、変形例1と変形例2を組み合わせて、内筒部材30に位置決め部39を設けるとともに、外筒部材20に位置決め部29を設けてもよい。また、位置決め部29,39の形状は上記に限られるものではなく、内筒部材30や外筒部材20の周方向に延びる突条形状であってもよい。
尚、上記実施形態では、内気温度センサSをホース部31の外側に配設しているが、これに限らず、内気温度センサSを内筒部材30の本体部32やホース部31の内部に配設してもよい。
以上説明したように、本発明にかかるアスピレータは、例えば、車両用空調装置の内気温度センサに室内空気を供給する場合に適用できる。
1 車両用空調装置
2 ケース
10 アスピレータ
20 外筒部材
21 本体部
22 管部
23 ベンチュリー部
24 板部
25 爪部
29 位置決め部
30 内筒部材
31 ホース部
32 本体部
34 嵌合部
39 位置決め部
S 内気温度センサ

Claims (3)

  1. 車両用空調装置の内気温度センサに車両の室内空気を導くためのアスピレータにおいて、
    外筒部材と、
    上記外筒部材の内部において該外筒部材の軸線方向に延びるように配設される内筒部材とを備え、
    上記外筒部材は、該外筒部材の内面に開口して上記空調装置のケース内部に接続される管部を有するとともに、該ケース内の空気を該管部から該外筒部材に流入させて内部に負圧力を発生させるように構成され、
    上記内筒部材の軸方向一端部には、上記外筒部材の軸方向一端部から該外筒部材の外方へ延びるホース部の基端部が一体成形され、
    上記ホース部の先端部は、車室内に開口しており、
    上記外筒部材と上記内筒部材との少なくとも一方には、他方に接して該内筒部材を該外筒部材に対し径方向に位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とするアスピレータ。
  2. 請求項1に記載のアスピレータにおいて、
    外筒部材の内周面には、該外筒部材内で負圧力を発生させるためのベンチュリー部が一体成形されていることを特徴とするアスピレータ。
  3. 請求項1または2に記載のアスピレータにおいて、
    内筒部材の軸方向一端部には、該内筒部材の径方向外方へ突出して外筒部材の外周面に沿って延び、該外周面に嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とするアスピレータ。
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