以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる半導体発光装置を表す断面模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる半導体発光装置の色度ずれを説明するための模式図である。
また、図3は、比較例にかかる半導体発光装置を表す断面模式図である。
また、図4は、比較例にかかる半導体発光装置の色度ずれを説明するための模式図である。
なお、図2(a)は、本実施形態にかかる半導体発光装置における視野角度を例示する断面模式図であり、図2(b)は、本実施形態にかかる半導体発光装置の色度ずれを例示するグラフ図である。
また、図4(a)は、比較例にかかる半導体発光装置における視野角度を例示する断面模式図であり、図4(b)は、比較例にかかる半導体発光装置の色度ずれを例示するグラフ図である。
本実施形態にかかる半導体発光装置1の製造方法では、例えば、複数の半導体発光装置1が一体的に形成された後、各半導体発光装置1が個片化される。これにより、半導体発光装置1の生産性を向上させることができる。図1は、一体的に形成された複数の半導体発光装置1のうちの2つの半導体発光装置1が並列した状態を例示している。
図1に表したように、半導体発光装置1は、発光部20と、透光部30と、波長変換部40と、第1の導電部60と、第1の接続部材70と、第2の導電部90と、第2の接続部材110と、絶縁部120と、封止部130と、固定部150と、を備える。
発光部20は、第1の半導体部21と、第2の半導体部22と、活性部23と、を有する。また、発光部20は、第1の主面25と、第1の主面25の反対面を形成する第2の主面27と、第2の主面27上に形成された第1の電極部50および第2の電極部80と、を有する。
第1の半導体部21は、例えばn形となるようにドープされた半導体(n形半導体)などにより形成されている。この場合、第1の半導体部21は、例えばn形の窒化物半導体などにより形成されている。窒化物半導体としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、InGaN(窒化インジウムガリウム)などが挙げられる。
第2の半導体部22は、例えばp形となるようにドープされた半導体(p形半導体)などにより形成されている。この場合、第2の半導体部22は、例えばp形の窒化物半導体などにより形成されている。窒化物半導体としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、InGaN(窒化インジウムガリウム)などが挙げられる。
活性部23は、第1の半導体部21と第2の半導体部22との間に設けられている。
活性部23は、例えば、正孔および電子が再結合して光を発生する井戸層と、井戸層よりも大きなバンドギャップを有する障壁層(クラッド層)と、を含む量子井戸構造などを有する。この場合、活性部23は、単一量子井戸(SQW;Single Quantum Well)構造を有してもよいし、多重量子井戸(MQW;Multiple Quantum Well)構造を有してもよい。また、活性部23は、複数の単一量子井戸構造が積層された構造を有してもよい。
単一量子井戸構造としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)を有する障壁層と、InGaN(窒化インジウムガリウム)を有する井戸層と、GaN(窒化ガリウム)を有する障壁層と、がこの順で積層された構造などが挙げられる。
多重量子井戸構造としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)を有する障壁層と、InGaN(窒化インジウムガリウム)を有する井戸層と、GaN(窒化ガリウム)を有する障壁層と、InGaN(窒化インジウムガリウム)を有する井戸層と、GaN(窒化ガリウム)を有する障壁層と、がこの順で積層された構造などが挙げられる。
この場合、第1の半導体部21が障壁層として機能してもよい。
なお、活性部23は、量子井戸構造を有することに限定されるわけではなく、発光可能な構造を適宜有することができる。
発光部20は、例えば、ピークの発光波長が約380nm〜530nm程度の発光ダイオードなどである。また、発光部20は、例えば、発光波長の帯域が約350nm〜600nm程度の発光ダイオードなどであってもよい。
透光部30は、発光部20の第1の主面25上に形成され、凹状の面31を有する。凹状の面31の上方には、開口部35(第2の開口部)が形成されている。透光部30は、発光部20から出射した光を透過させるとともに、色度ずれを抑制する。発光部20から出射した光を透過させやすいように、透光部30の透過率は、例えば、420nm〜720nmの波長領域において例えば90%以上であることがより望ましい。また、透光部30の屈折率は、例えば1.2以上、1.9以下であることがより望ましい。
透光部30は、半導体発光装置1を見る方向によって色度が異なる色度ずれを抑制するために設けられている。すなわち、透光部30を設けることで、波長変換部40の内部における光路長が発光部20の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなっている。但し、透光部30が設けられた場合でも、色度ずれが比較的大きくなる場合がある。これについては、後に詳述する。
透光部30を形成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂、ウレタン樹脂、SiO2、TiO2などが挙げられる。
この場合、発光部20から出射する光が波長の短い紫外から青色の光であり、輝度が高い場合には、透光部30を形成する材料が劣化するおそれがある。そのため、透光部30を形成する材料としては、青色光などによる劣化が生じにくいものであることが好ましい。青色光などによる劣化が生じにくい樹脂としては、例えば、屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーンなどが挙げられる。
ただし、透光部30を形成する材料は、例示をしたこれらの材料に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
波長変換部40は、発光部20の第1の主面25の側に設けられ、透光部30を覆うように設けられている。波長変換部40は、波長変換可能な蛍光体41と、蛍光体41と混合された樹脂43と、を有する。蛍光体41は、例えば粒子状を有する。半導体発光装置に使用される粒子状の蛍光体41の粒子径は、一般的に、約数μm〜100μm程度である。
前述したように、本実施形態にかかる半導体発光装置1の製造方法では、例えば、複数の半導体発光装置1が一体的に形成される。そのため、半導体発光装置1の取れ高(形成量あるいは形成率)を高めようとすると、半導体発光装置1同士の間の隙間をより狭くして一体的に形成する必要がある。本実施形態では、一体的に形成された複数の半導体発光装置1の透光部30同士の間の隙間3(第1の開口部)は、例えば約100μm程度である。
しかしながら、図3に表した比較例にかかる半導体発光装置1aのように、蛍光体41が分級されず蛍光体41の粒子径が数μm〜100μm程度である場合には、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3と同等あるいはそれよりも大きい粒子径を有する蛍光体41cは、その隙間3に入り込むことができない。一方、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径を有する蛍光体41dは、その隙間3に入り込むことができる。そのため、比較例にかかる半導体発光装置1aでは、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3への蛍光体41の充填が不十分となる場合がある。
なお、蛍光体41の充填が不十分となるおそれのある部分は、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3に限定されるわけではない。蛍光体41を含む樹脂43を塗布あるいは滴下する際に、製造途中の複数の半導体発光装置同士の間に生じている開口部(隙間)においては、蛍光体41の充填が不十分となるおそれがある。本実施形態では、蛍光体41を含む樹脂43を塗布あるいは滴下する際に、製造途中の複数の半導体発光装置1同士の間に生じている最小の開口部が透光部30同士の間の隙間3である場合を例に挙げて説明する。
図3および図4(a)に表したように、隙間3への蛍光体41の充填が不十分である場合には、透光部30の側方すなわち透光部30の側面33の近傍における蛍光体41の充填が十分ではない。つまり、透光部30の側方における蛍光体41の充填率は、透光部30の凹状の面31の上方における蛍光体41の充填率よりも低く十分ではない。そうすると、比較的大きい色度ずれが生ずる場合がある。
図4(b)は、所定の位置から出射し波長変換部40を透過した光をシミュレーション分析したグラフ図である。図4(b)における横軸は、視野角度を表している。図4(a)に表したように、視野角度が0°とは、半導体発光装置を上方正面側から見た場合の角度である。その他の視野角度は、図4(a)に表した如くである。図4(b)における縦軸は色度を表しており、図中の上側になるほど黄色となり、図中の下側になるほど青色となる。また、色度ずれは、視野角度に対する色度の差で表される。そのため、例えば、0°、45°、−45°、60°、−60°、80°、および−80°の少なくとも2つ以上の視野角度の間における色度の差が小さくなるほど色度ずれが小さいことになる。
図4(b)に表したように、比較例にかかる半導体発光装置1aでは、透光部30の側面33から光が出射されるほどに視野角度が大きくなると(例えば、視野角度60°、−60°、80°、−80°を参照)、透光部30の側面33から光が出射されない視野角度(例えば、視野角度0°、45°、−45°を参照)と比較して色度が急激に低下することが分かる。これにより、比較的大きい色度ずれが生ずる。これは、透光部30の側方すなわち透光部30の側面33の近傍における蛍光体41の充填率が十分ではなく、波長変換部40に入射した光の波長が蛍光体41により十分には変換されないためである。
これに対して、本実施形態にかかる半導体発光装置1では、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径を有する蛍光体41が使用されている。言い換えれば、蛍光体41を含む樹脂43を塗布あるいは滴下する際に、製造途中の複数の半導体発光装置1同士の間に生じている最小の開口部よりも小さい粒子径を有する蛍光体41が使用されている。このように分級された蛍光体41が使用されることで、図1に表したように、蛍光体41が分級されない場合(図3参照)よりも隙間3への蛍光体41の充填を十分に行うことができる。
そうすると、図2(a)に表したように、本実施形態にかかる半導体発光装置1の透光部30の側方における蛍光体41の充填率は、比較例にかかる半導体発光装置1aの透光部30の側方における蛍光体41の充填率よりも高くなり十分となる。つまり、透光部30の側方における蛍光体41の充填率は、透光部30の凹状の面31の上方における蛍光体41の充填率と略同じとなる。これにより、色度ずれを抑制することができる。
図2(b)は、図4(b)と同様に、所定の位置から出射し波長変換部40を透過した光をシミュレーション分析したグラフ図である。図2(b)における横軸および縦軸は、図4(b)に関して前述した横軸および縦軸とそれぞれ同様である。また、視野角度は、図2(a)に表した如くである。
図2(b)に表したように、本実施形態にかかる半導体発光装置1では、透光部30の側面33から光が出射されるほどに視野角度が大きくとも(例えば、視野角度60°、−60°を参照)、比較例にかかる半導体発光装置1aのようには色度が急激に低下しないことが分かる。これにより、色度ずれを抑制することができる。これは、本実施形態の透光部30の側方すなわち透光部30の側面33の近傍における蛍光体41の充填率が十分であり、波長変換部40に入射した光の波長が蛍光体41により十分に変換されるためである。
波長変換部40は、例えば、440nm以上470nm以下(青色)、500nm以上555nm以下(緑色)、560nm以上580nm以下(黄色)、600nm以上670nm以下(赤色)にピークの発光波長を持つ蛍光体41の少なくとも1つ以上を含む。あるいは、波長変換部40は、例えば、発光波長の帯域が380nm〜720nmの蛍光体41を含む。
蛍光体41は、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、燐(P)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、アルカリ土類元素、硫化物元素、希土類元素、窒化物元素よりなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。
赤色の蛍光を発する蛍光体41の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる赤色の蛍光を発する蛍光体41は、これらに限定されるわけではない。
Y2O2S:Eu、
Y2O2S:Eu+顔料、
Y2O3:Eu、
Zn3(PO4)2:Mn、
(Zn,Cd)S:Ag+In2O3、
(Y,Gd,Eu)BO3、
(Y,Gd,Eu)2O3、
YVO4:Eu、
La2O2S:Eu,Sm、
LaSi3N5:Eu2+、
α−sialon:Eu2+、
CaAlSiN3:Eu2+、
CaSiNX:Eu2+、
CaSiNX:Ce2+、
M2Si5N8:Eu2+、
CaAlSiN3:Eu2+、
(SrCa)AlSiN3:EuX+、
Srx(SiyAl3)z(OxN):EuX+
緑色の蛍光を発する蛍光体41の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる緑色の蛍光を発する蛍光体41は、これらに限定されるわけではない。
ZnS:Cu,Al、
ZnS:Cu,Al+顔料、
(Zn,Cd)S:Cu,Al、
ZnS:Cu,Au,Al,+顔料、
Y3Al5O12:Tb、
Y3(Al,Ga)5O12:Tb、
Y2SiO5:Tb、
Zn2SiO4:Mn、
(Zn,Cd)S:Cu、
ZnS:Cu、
Zn2SiO4:Mn、
ZnS:Cu+Zn2SiO4:Mn、
Gd2O2S:Tb、
(Zn,Cd)S:Ag、
ZnS:Cu,Al、
Y2O2S:Tb、
ZnS:Cu,Al+In2O3、
(Zn,Cd)S:Ag+In2O3、
(Zn,Mn)2SiO4、
BaAl12O19:Mn、
(Ba,Sr,Mg)O・aAl2O3:Mn、
LaPO4:Ce,Tb、
Zn2SiO4:Mn、
ZnS:Cu、
3(Ba,Mg,Eu,Mn)O・8Al2O3、
La2O3・0.2SiO2・0.9P2O5:Ce,Tb、
CeMgAl11O19:Tb、
CaSc2O4:Ce、
(BrSr)SiO4:Eu、
α−sialon:Yb2+、
β−sialon:Eu2+、
(SrBa)YSi4N7:Eu2+、
(CaSr)Si2O4N7:Eu2+、
Sr(SiAl)(ON):Ce
青色の蛍光を発する蛍光体41の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる青色の蛍光を発する蛍光体41は、これらに限定されるわけではない。
ZnS:Ag、
ZnS:Ag+顔料、
ZnS:Ag,Al、
ZnS:Ag,Cu,Ga,Cl、
ZnS:Ag+In2O3、
ZnS:Zn+In2O3、
(Ba,Eu)MgAl10O17、
(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、
Sr10(PO4)6Cl2:Eu、
(Ba,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al10O17、
10(Sr,Ca,Ba,Eu)・6PO4・Cl2、
BaMg2Al16O25:Eu
黄色の蛍光を発する蛍光体41の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる黄色の蛍光を発する蛍光体41は、これらに限定されるわげではない。
Li(Eu,Sm)W2O8、
(Y,Gd)3,(Al,Ga)5O12:Ce3+、
Li2SrSiO4:Eu2+、
(Sr(Ca,Ba))3SiO5:Eu2+、
SrSi2ON2.7:Eu2+
黄緑色の蛍光を発する蛍光体41の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる黄緑色の蛍光を発する蛍光体41は、これに限定されるわけではない。
SrSi2ON2.7:Eu2+
蛍光体41の混合比率を少なくすると色調が青色に近づき(色温度10000K付近)、蛍光体41の混合比率を多くすると色調が黄色に近づく(色温度6500K〜2800K)。なお、混合する蛍光体41は1種類である必要はなく、複数種類の蛍光体41が混合されるようにしてもよい。例えば、赤色の蛍光を発する蛍光体41と、緑色の蛍光を発する蛍光体41と、青色の蛍光を発する蛍光体41と、黄色の蛍光を発する蛍光体41と、黄緑色の蛍光を発する蛍光体41と、が混合されるようにしてもよい。また、青味がかった白色光、黄味がかった白色光などのように色味を変えるために複数種類の蛍光体41の混合割合を変えるようにすることもできる。
蛍光体41が混合される樹脂43としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。蛍光体41が混合される樹脂43の屈折率は、蛍光体41の屈折率以下であることがより好ましい。また、発光部20から出射する光に対する樹脂43の透過率は、90%以上であることがより好ましい。
発光部20から出射する光が、波長の短い紫外から青色の光であり輝度が高い場合には、波長変換部40を形成する樹脂43が劣化するおそれがある。そのため、波長変換部40を形成する樹脂43は、青色光などによる劣化が生じにくい性質を有することがより好ましい。青色光などによる劣化が生じにくい樹脂としては、例えば、屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンとエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂などが挙げられる。ただし、蛍光体41が混合される樹脂43としては、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
第1の電極部50は、第1の半導体部21に接続され、例えばNi(ニッケル)/Au(金)の二重層などを有する。この場合、例えば、Ni(ニッケル)層の厚みは、約1μm程度であり、Au(金)層の厚みは、約1μm程度である。ただし、第1の電極部50の材料や厚みは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。第1の電極部50の形状は、例えば、円形などである。ただし、第1の電極部50の形状は、円形に限定されるわけではなく、後述する第1の接続部61の断面形状や大きさなどに応じて適宜変更することができる。
第1の導電部60は、封止部130の凹部131の底面と、封止部130の端面と、の間を貫通するようにして設けられている。第1の導電部60は、例えば、円柱状を呈し、Cu(銅)などの金属材料により形成されている。また、第1の導電部60は、封止部130を貫通する部分の断面積よりも小さな断面積を有する第1の接続部61を有する。そして、第1の接続部61は、第1の電極部50に接続されている。これにより、第1の電極部50を介して、第1の導電部60と、第1の半導体部21と、が電気的に接続されている。ただし、第1の導電部60および第1の接続部61の形状および材料などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
第1の接続部材70は、封止部130から露出する第1の導電部60の一方の端面を覆うようにして設けられている。第1の接続部材70は、例えばいわゆるはんだバンプなどである。第1の接続部材70がはんだバンプである場合には、第1の接続部材70の形状は、例えば半球形などを有し、第1の接続部材70の材料は、例えば表面実装に使用されるはんだ材料などである。この場合、表面実装に使用されるはんだ材料としては、例えば、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ、Sn−0.8Cuはんだ、Sn−3.5Agはんだなどが挙げられる。
ただし、第1の接続部材70の形状および材料などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜変更することができる。例えば、第1の接続部材70は、例えば薄膜状などを有し、例えばNi(ニッケル)/Au(金)の二重層などを有する。また、第1の接続部材70は、必ずしも必要ではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜設けることができる。
第2の電極部80は、第2の半導体部22に接続され、例えばNi(ニッケル)/Au(金)の二重層などを有する。この場合、例えば、Ni(ニッケル)層の厚みは、約1μm程度であり、Au(金)層の厚みは、約1μm程度である。ただし、第2の電極部80の材料や厚みは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。第2の電極部80の形状は、例えば、円形などである。ただし、第2の電極部80の形状は、円形に限定されるわけではなく、後述する第2の接続部91の断面形状や大きさなどに応じて適宜変更することができる。
第2の導電部90は、封止部130の凹部131の底面と、封止部130の端面と、の間を貫通するようにして設けられている。第2の導電部90は、例えば、円柱状を呈し、Cu(銅)などの金属材料により形成されている。また、第2の導電部90は、封止部130を貫通する部分の断面積よりも小さな断面積を有する第2の接続部91を有する。そして、第2の接続部91は、第2の電極部80に接続されている。これにより、第2の電極部80を介して、第2の導電部90と、第2の半導体部22と、が電気的に接続されている。ただし、第2の導電部90および第2の接続部91の形状および材料などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
第2の接続部材110は、封止部130から露出する第2の導電部90の一方の端面を覆うようにして設けられている。第2の接続部材110は、例えばいわゆるはんだバンプなどである。第2の接続部材110がはんだバンプである場合には、第2の接続部材110の形状は、例えば半球形などを有し、第2の接続部材110の材料は、例えば表面実装に使用されるはんだ材料などである。この場合、表面実装に使用されるはんだ材料としては、例えば、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ、Sn−0.8Cuはんだ、Sn−3.5Agはんだなどが挙げられる。
ただし、第2の接続部材110の形状および材料などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜変更することができる。例えば、第2の接続部材110は、例えば薄膜状などを有し、例えばNi(ニッケル)/Au(金)の二重層などを有する。また、第2の接続部材110は必ずしも必要ではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜設けることができる。
絶縁部120は、封止部130に設けられた凹部131を埋め込むようにして設けられている。絶縁部120は、絶縁材料から形成されている。例えば、絶縁部120は、SiO2などの無機材料や、樹脂などから形成される。この場合、発光部20から出射する光が、波長の短い紫外から青色の光であり輝度が高い場合には、絶縁部120を形成する樹脂が劣化するおそれがある。そのため、絶縁部120が樹脂から形成される場合には、絶縁部120を形成する樹脂は、青色光などによる劣化が生じにくい性質を有することがより好ましい。青色光などによる劣化が生じにくい樹脂としては、例えば、屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーンなどが挙げられる。
封止部130は、第2の主面27側に設けられ、第1の導電部60の端部および第2の導電部90の端部を露出させつつ第1の導電部60および第2の導電部90を封止する。封止部130は、例えば熱硬化性樹脂などから形成される。封止部130は、発光部20と、第1の電極部50と、第2の電極部80と、を封止する役割を有している。なお、封止部130と絶縁部120とは、一体的に形成されていてもよい。
発光部20に電力を供給する第1の接続部材70と、第1の導電部60と、第1の電極部50と、第2の接続部材110と、第2の導電部90と、第2の電極部80と、は、固定部150により発光部20に固定されている。
次に、半導体発光装置1の作用について例示をする。
第1の導電部60に電圧が印加されると、第1の電極部50を介して第1の半導体部21に電位が与えられる。また、第2の導電部90に電圧が印加されると、第2の電極部80を介して第2の半導体部22に電位が与えられる。そして、第1の半導体部21と第2の半導体部22とに電位が与えられると、活性部23において正孔および電子が再結合して光が発生する。
活性部23から出射した光の一部は、第1の半導体部21および透光部30を透過して波長変換部40に入射する。波長変換部40に入射した光は、蛍光体41により波長が変換され波長変換部40から外部に向けて出射される。例えば、活性部23から出射した青色光と、その光により励起された光(黄色、あるいは、赤色及び緑色)と、が混合され、白色光として波長変換部40から外部に向けて出射される。
本実施形態においては、波長変換部40の内部における光路長を発光部20の発光特性に応じて適正化するようにしている。すなわち、所定の形状を有する透光部30を設けることで、内部における光路長が発光部20の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなるような面45を有する波長変換部40が形成されている。また、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径に分級された蛍光体41が使用されることで、本実施形態の透光部30の側方における蛍光体41の充填率は、比較例にかかる半導体発光装置1aの透光部30の側方における蛍光体41の充填率よりも高くなっている。そのため、色度ずれを抑制することができる。例えば、白色光を出射する半導体発光装置1を見る方向にかかわらず色度ずれを少なくすることができ、波長変換部40のほぼ全域において白色光が出射されるようにすることができる。
図5は、本発明の他の実施の形態にかかる半導体発光装置を表す断面模式図である。
本実施形態にかかる半導体発光装置1bでは、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも大きく透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35よりも小さい粒子径を有する蛍光体41a(第2の蛍光体)と、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径を有する蛍光体41b(第1の蛍光体)と、が使用されている。言い換えれば、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35に充填される蛍光体41aの粒子径は、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3に充填される蛍光体41bの粒子径よりも大きい。
図5に表したように、隙間3よりも大きく開口部35よりも小さい蛍光体41aは、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35に充填されている。一方、隙間3よりも小さい粒子径を有する蛍光体41bは、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3、言い換えれば透光部30の側方すなわち透光部30の側面33の近傍に充填されている。その他の構造は、図1に関して前述した半導体発光装置1の構造と同様である。
本実施形態によれば、隙間3よりも大きい粒子径を有する蛍光体41aを捨てる必要はなく、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35に充填させる蛍光体41aとして有効に利用することができる。また、図1および図2に関して前述した半導体発光装置1と同様ように、色度ずれを抑制することができる。
次に、本発明の実施の形態にかかる半導体発光装置の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
まず、図1に関して前述した半導体発光装置1の製造方法について説明する。
図6は、本発明の実施の形態にかかる半導体発光装置の製造方法を表すフローチャート図である。
また、図7は、本実施形態の波長変換部の形成方法を例示する断面模式図である。
まず、サファイアなどにより形成された基板上に所定の形状の第1の半導体部21と、活性部23と、第2の半導体部22と、をこの順で積層させる(ステップS101)。この場合、既知の気相成長法などを用いてこれらの積層を行うことができる。気相成長法としては、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、分子線エピタキシャル成長(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
次に、第1の半導体部21上に第1の電極部50を形成し、第2の半導体部22上に第2の電極部80を形成する(ステップS103)。この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や、メッキ法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などと、を組み合わせることで第1の電極部50および第2の電極部80を形成することができる。
次に、このようにして基板上に積層された積層体を覆うようにして所定の形状の絶縁部120を形成する(ステップS105)。この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などと、を組み合わせることで絶縁部120を形成することができる。
次に、絶縁部120を覆うようにして所定の形状の封止部130を形成する(ステップS107)。この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などと、を組み合わせることで封止部130を形成するようにすることができる。
次に、第1の導電部60および第2の導電部90を形成する(ステップS109)。この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や、メッキ法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などと、を組み合わせることで第1の導電部60および第2の導電部90を形成することができる。
次に、第1の導電部60の端面に第1の接続部材70を形成し、第2の導電部90の端面に第2の接続部材110を形成する(ステップS111)。この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や、メッキ法などと、リソグラフィ技術などと、を組み合わせることで第1の接続部材70および第2の接続部材110を形成することができる。
次に、このようにして形成された積層体を基板から剥離させる(ステップS113)。この場合、レーザリフトオフ法などを用いて積層体を基板から剥離させることができる。
次に、剥離させた積層体を反転させ、第1の半導体部21を覆うようにして透光部30を形成する(ステップS115)。この場合、樹脂などを塗布し、これを硬化させることで透光部30を形成することができる。
次に、透光部30を覆うようにして波長変換部40を形成する。ここからは、図7も参照しつつ説明する。
まず、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径に分級した蛍光体41と、波長変換部40を形成する樹脂43と、を混合させる(ステップS117)。続いて、1000Pa(パスカル)以下の真空中においてスキージ印刷法により、透光部30を覆うようにして蛍光体41を含む樹脂43を塗布する(ステップS119)。
例えば、図7(a)に表したように、圧力が1000Pa以下の図示しないチャンバー内において、透光部30の上方にスキージマスク201を設置する。スキージマスク201は、一体的に形成された複数の透光部30の全体に亘って開口している。そして、スキージ211を矢印Aの方向に移動させることで、透光部30を覆うように蛍光体41を含む樹脂43を塗布する。つまり、本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法では、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3と、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35と、に対して蛍光体41を含む樹脂43を一括して塗布する。
このとき、図7(b)に表したように、透光部30を覆う樹脂401は、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3には完全には入り込むことができない。これは、樹脂43が硬化する前に蛍光体41が沈降することを抑えるため、蛍光体41を含む樹脂43の粘度が比較的高いためである。そのため、透光部30を覆う樹脂401は、隙間3には充填されず、空隙が生ずる。
続いて、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させる(ステップS121)。このとき、チャンバー内の圧力は大気圧であってもよい。そうすると、図7(c)に表したように、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3を覆う部分の樹脂401は、図示しないチャンバー内の圧力の上昇により隙間3に充填される(ステップS121)。そのため、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させた後の状態で透光部30を覆っている樹脂403には、凹部405が形成される。
続いて、大気中においてスキージ印刷法により、樹脂403に形成された凹部405を埋めるようにして蛍光体41を含む樹脂43を塗布し平坦かつ適宜設定された厚さに調整する(ステップS123)。例えば、図7(c)に表したように、大気中において、透光部30を覆っている樹脂403の上方にスキージマスク201を設置し、スキージ211を矢印Bの方向に移動させることで、樹脂403に形成された凹部405を埋めるように蛍光体41を含む樹脂43を塗布する。
続いて、蛍光体41を含む樹脂43に紫外線(UV:Ultraviolet)を照射することにより、あるいは蛍光体41を含む樹脂43に熱を加えることにより、蛍光体41を含む樹脂43を硬化させ波長変換部40を形成する(ステップS125、図7(d))。紫外線を照射して硬化させる場合には、樹脂43は、例えば紫外線硬化性樹脂である。一方、熱を加えて硬化させる場合には、樹脂43は、例えば熱硬化性樹脂である。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法によれば、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3における蛍光体41の充填率は、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35における蛍光体41の充填率と略同じとなり、また十分となる。そのため、色度ずれを抑制することができる。
図8は、本発明の実施の他の形態にかかる半導体発光装置の製造方法を表すフローチャート図である。
また、図9は、本実施形態の波長変換部の形成方法を例示する断面模式図である。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法は、図6および図7に関して前述した半導体発光装置の製造方法と同様に、図1に関して前述した半導体発光装置1の製造方法である。
まず、ステップS161〜S175の半導体発光装置1の製造方法は、図6に関して前述したステップS101〜S115の半導体発光装置1の製造方法と同様である。
次に、透光部30を覆うようにして波長変換部40を形成する。ここからは、図9も参照しつつ説明する。
まず、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径に分級した蛍光体41と、波長変換部40を形成する樹脂43と、を混合させる(ステップS177)。続いて、1000Pa以下の真空中においてダイコート法により、透光部30を覆うようにして蛍光体41を含む樹脂43を塗布する(ステップS179)。例えば、圧力が1000Pa以下の図示しないチャンバー内において、ダイコート法により透光部30を覆うようにして蛍光体41を含む樹脂43を塗布する。つまり、本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法では、図6および図7に関して前述した製造方法と同様に、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3と、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35と、に対して蛍光体41を含む樹脂43を一括して塗布する。
このとき、図9(a)に表したように、透光部30を覆う樹脂411は、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3には完全には入り込むことができない。これは、樹脂43が硬化する前に蛍光体41が沈降することを抑えるため、蛍光体41を含む樹脂43の粘度が比較的高いためである。そのため、透光部30を覆う樹脂411は、隙間3には充填されず、空隙が生ずる。
続いて、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させる(ステップS181)。このとき、チャンバー内の圧力は大気圧であってもよい。そうすると、図9(b)に表したように、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3を覆う部分の樹脂411は、図示しないチャンバー内の圧力の上昇により隙間3に充填される(ステップS181)。また、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35を覆う部分の樹脂411は、図示しないチャンバー内の圧力の上昇により開口部35に充填される。そのため、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させた後の状態で透光部30を覆っている樹脂413には、凹部415が形成される。
続いて、大気中においてインプリント法により、予め離型剤を散布したインプリントモールド(凹版)221を透光部30を覆っている樹脂413に押し付ける(ステップS183)。そうすると、図9(c)に表したように、透光部30を覆っていた樹脂413が凹部415に充填される。そして、インプリントモールド221を適宜設定された圧力で押し付けることで、透光部30を覆っている樹脂417を平坦かつ適宜設定された厚さに調整する。
続いて、蛍光体41を含む樹脂43に紫外線を照射することにより、あるいは蛍光体41を含む樹脂43に熱を加えることにより、蛍光体41を含む樹脂43を硬化させ波長変換部40を形成する(ステップS185)。紫外線を照射して硬化させる場合には、樹脂43は、例えば紫外線硬化性樹脂である。一方、熱を加えて硬化させる場合には、樹脂43は、例えば熱硬化性樹脂である。
続いて、図9(d)に表したように、インプリントモールドを波長変換部40から剥離させる(ステップS187)。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法によれば、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3における蛍光体41の充填率は、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35における蛍光体41の充填率と略同じとなり、また十分となる。そのため、色度ずれを抑制することができる。
図10は、本発明の実施のさらに他の形態にかかる半導体発光装置の製造方法を表すフローチャート図である。
また、図11は、本実施形態の波長変換部の形成方法を例示する断面模式図である。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法は、図5に関して前述した半導体発光装置1bの製造方法である。
まず、ステップS201〜S215の半導体発光装置1bの製造方法は、図6に関して前述したステップS101〜S115の半導体発光装置1の製造方法と同様である。
次に、透光部30を覆うようにして波長変換部40を形成する。ここからは、図11も参照しつつ説明する。
まず、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径に分級した蛍光体41bと、波長変換部40を形成する樹脂43と、を混合させる(ステップS217)。続いて、1000Pa以下の真空中においてスキージ印刷法により、透光部30を覆うようにして蛍光体41bを含む樹脂43を塗布する(ステップS219)。
例えば、図11(a)に表したように、圧力が1000Pa以下の図示しないチャンバー内において、透光部30の上方にスキージマスク203を設置する。スキージマスク203は、図7に関して前述したスキージマスク201のようには、一体的に形成された複数の透光部30の全体に亘って開口しているわけではない。スキージマスク203には、半導体発光装置を上方正面側(視野角度0°側)からみたときに、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3と略同じ程度の開口面積を有する開口部203aが形成されている。そして、スキージマスク203は、半導体発光装置を上方正面側(視野角度0°側)からみたときに、開口部203aと隙間3との位置が合うように透光部30の上方に設置される。続いて、スキージ211を矢印Cの方向に移動させることで、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3を覆うように蛍光体41bを含む樹脂43を塗布する。
このとき、図7(b)に表したように、隙間3を覆う樹脂421は、その隙間3には完全には入り込むことができない。これは、樹脂43が硬化する前に蛍光体41bが沈降することを抑えるため、蛍光体41bを含む樹脂43の粘度が比較的高いためである。そのため、透光部30を覆う樹脂421は、隙間3には充填されず、空隙が生ずる。
続いて、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させる(ステップS221)。このとき、チャンバー内の圧力は大気圧であってもよい。そうすると、図11(c)に表した樹脂423のように、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3を覆う部分の樹脂421は、図示しないチャンバー内の圧力の上昇により隙間3に充填される(ステップS221)。
続いて、印刷版を交換する(ステップS223)。例えば、透光部30の上方に設置されたスキージマスク203を、図7に関して前述したスキージマスク201に交換する。
続いて、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも大きく透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35よりも小さい粒子径を有する蛍光体41aと、波長変換部40を形成する樹脂43と、を混合させる(ステップS225)。続いて、1000Pa以下の真空中においてスキージ印刷法により、透光部30を覆うようにして蛍光体41aを含む樹脂43を塗布する(ステップS227)。
例えば、図11(d)に表したように、圧力が1000Pa以下の図示しないチャンバー内において、スキージ211を矢印Dの方向に移動させることで、透光部30を覆うように蛍光体41aを含む樹脂43を塗布する。つまり、本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法では、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3に対して蛍光体41bを含む樹脂43を塗布し、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35に対して蛍光体41aを含む樹脂43を塗布する。言い換えれば、本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法では、隙間3および開口部35に対して蛍光体41bおよび蛍光体41aを含む樹脂43をそれぞれ分割して塗布する。
続いて、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させる(ステップS229)。このとき、チャンバー内の圧力は大気圧であってもよい。そうすると、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35を覆う部分の樹脂は、図示しないチャンバー内の圧力の上昇により開口部35に充填される(ステップS229)。
続いて、図11(e)に表したように、大気中においてスキージ印刷法により、蛍光体41aを含む樹脂43を塗布し平坦かつ適宜設定された厚さに調整する(ステップS231)。
続いて、蛍光体41a、41bを含む樹脂43に紫外線を照射することにより、あるいは蛍光体41a、41bを含む樹脂43に熱を加えることにより、蛍光体41a、41bを含む樹脂43を硬化させ波長変換部40を形成する(ステップS233)。紫外線を照射して硬化させる場合には、樹脂43は、例えば紫外線硬化性樹脂である。一方、熱を加えて硬化させる場合には、樹脂43は、例えば熱硬化性樹脂である。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法によれば、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3における蛍光体41bの充填率は、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35における蛍光体41aの充填率と略同じとなり、また十分となる。そのため、隙間3よりも大きい粒子径を有する蛍光体41aを有効に利用しつつ、色度ずれを抑制することができる。
図12は、本発明の実施のさらに他の形態にかかる半導体発光装置の製造方法を表すフローチャート図である。
また、図13は、本実施形態の波長変換部の形成方法を例示する断面模式図である。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法は、図10および図11に関して前述した半導体発光装置の製造方法と同様に、図5に関して前述した半導体発光装置1bの製造方法である。
まず、ステップS261〜S275の半導体発光装置1bの製造方法は、図6に関して前述したステップS101〜S115の半導体発光装置1の製造方法と同様である。
次に、透光部30を覆うようにして波長変換部40を形成する。ここからは、図13も参照しつつ説明する。
まず、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも小さい粒子径に分級した蛍光体41bと、波長変換部40を形成する樹脂43と、を混合させる(ステップS277)。続いて、1000Pa以下の真空中においてスキージ印刷法により、透光部30を覆うようにして蛍光体41bを含む樹脂43を塗布する(ステップS279)。
例えば、図11(a)に表したように、圧力が1000Pa以下の図示しないチャンバー内において、透光部30の上方にスキージマスク203を設置する。スキージマスク203の設置形態は、図11(a)に関して前述した如くである。続いて、スキージ211を矢印Eの方向に移動させることで、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3を覆うように蛍光体41bを含む樹脂43を塗布する。
このとき、図11(b)に表したように、隙間3を覆う樹脂431は、その隙間3には完全には入り込むことができない。これは、樹脂43が硬化する前に蛍光体41bが沈降することを抑えるため、蛍光体41bを含む樹脂43の粘度が比較的高いためである。そのため、透光部30を覆う樹脂431は、隙間3には充填されず、空隙が生ずる。
続いて、図示しないチャンバー内の圧力を3000Pa以上に上昇させる(ステップS281)。このとき、チャンバー内の圧力は大気圧であってもよい。そうすると、図13(c)に表した樹脂433のように、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3を覆う部分の樹脂431は、図示しないチャンバー内の圧力の上昇により隙間3に充填される(ステップS281)。
続いて、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3よりも大きく透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35よりも小さい粒子径を有する蛍光体41aと、波長変換部40を形成する樹脂43と、を混合させる(ステップS283)。続いて、1000Pa以下の真空中においてスリットコート法により、透光部30を覆うようにして蛍光体41aを含む樹脂43を塗布する(ステップS285)。
つまり、本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法では、図11および図12に関して前述した製造方法と同様に、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3に対して蛍光体41bを含む樹脂43を塗布し、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35に対して蛍光体41aを含む樹脂43を塗布する。言い換えれば、本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法では、隙間3および開口部35に対して蛍光体41bおよび蛍光体41aを含む樹脂43をそれぞれ分割して塗布する。
続いて、図13(d)に表したように、大気中においてインプリント法により、予め離型剤を散布したインプリントモールド221を透光部30を覆っている樹脂435に押し付ける(ステップS287)。そして、インプリントモールド221を適宜設定された圧力で押し付けることで、透光部30を覆っている樹脂435を平坦かつ適宜設定された厚さに調整する。
続いて、蛍光体41a、41bを含む樹脂43に紫外線を照射することにより、あるいは蛍光体41a、41bを含む樹脂43に熱を加えることにより、蛍光体41a、41bを含む樹脂43を硬化させ波長変換部40を形成する(ステップS289)。紫外線を照射して硬化させる場合には、樹脂43は、例えば紫外線硬化性樹脂である。一方、熱を加えて硬化させる場合には、樹脂43は、例えば熱硬化性樹脂である。
続いて、図13(e)に表したように、インプリントモールドを波長変換部40から剥離させる(ステップS291)。
本実施形態にかかる半導体発光装置の製造方法によれば、一体的に形成された複数の透光部30同士の間の隙間3における蛍光体41bの充填率は、透光部30に設けられた凹状の面31の開口部35における蛍光体41aの充填率と略同じとなり、また十分となる。そのため、隙間3よりも大きい粒子径を有する蛍光体41aを有効に利用しつつ、色度ずれを抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。