JP5562810B2 - 距離測定方法 - Google Patents
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距離=v×(S_max_i+S_max_k×fb/fa´+Noff)/fb
により距離を算出する距離算出工程(例えば、後述の図3中S23に示す処理、および図7中S73に示す処理)と、を含むことを特徴とする。
ここで、特に本発明では、測定データとの相互相関値を算出する相関用データとして、比較的細かくサンプリングして生成された標本データをダウンサンプリングすることにより、互いに位相の異なるものを複数準備する。このように、互いに位相の異なる複数の相関用データと測定データとの相互相関値のピークを検索することにより、測定データおよび相関用データのサンプリング周波数より実質的に高い精度で距離を算出することができる。すなわち、本発明によれば、単純に単一の測定データと相関用データとに基づいて測定波の到達時刻、ひいては距離を算出する従来の方法と比較して、測定精度を落とすことなくサンプリング周波数を小さくすることができる。したがって、従来と比較して、測定精度を落とすことなく測定データおよび相関用データのデータ量を減らし、相互相関値の計算量を減らすことができるので、短時間での距離の測定が可能となる。
図1は、本実施形態に係る距離測定方法が適用された距離測定システム1の構成を示す模式図である。
距離測定システム1は、超音波を送信する送信器2と、送信器2から送信された超音波を受信する受信器3と、受信器3からの出力信号を処理する信号処理装置4と、信号処理装置4から送信されたデータに基づいて各種演算を行う演算装置5と、を含んで構成される。この距離測定システム1では、送信器2から所定のタイミングで送信された超音波を受信器3で受信するとともに、信号処理装置4および演算装置5により受信器3における超音波の到達時刻を相互相関値の計算に基づいて特定し、この到達時刻と既知の超音波の伝播速度から送信器2と受信器3との間の距離を測定する。
図2は、送信器により送信される超音波の波形形状の具体例を示す図であり、受信器で受信した超音波から生成した後述の波形データをプロットした図である。本実施形態では、図2に示すように略中心において周波数が最大となるように周波数変調された波形形状の超音波を用いるが、本発明はこの形状に限るものではない。
信号処理装置4は、所定のタイミングでトリガ信号を送信器2に送信し、送信器2から超音波を送信させる。また、信号処理装置4は、受信器3からの出力信号を所定のサンプリング周波数の下でサンプリングし、受信器3で受信した超音波の波形を数値化した波形データを生成し、演算装置5に送信する。
演算装置5は、信号処理装置4から送信された波形データに基づいて、以下に示す各種演算処理を行うことにより距離を算出する。
先ずS21では、S22およびS23に示す本測定工程に先立つ準備工程として、複数の相関用データを生成する。より具体的には、送信器および受信器により超音波である参照波を送受信し、受信器で受信した参照波に基づいて複数の相関用データを生成する。ここで送受信する参照波の波形形状としては、上述の図2に示すものが用いられる。なお、これら複数の相関用データ生成の詳細な手順については、後に図4および図5を参照して説明する。
先ず、S41では、複数の相関用データの元となる波形データを生成し、S42に移る。より具体的には、このS41では、送信器および受信器により参照波を送受信し、受信器で受信した参照波について第1サンプリング周波数faの下でサンプリングし、波形データを生成する。本実施形態では、例えば、第1サンプリング周波数faを200MHzとし、参照波の周波数最大となる中心を含むように4000000点にわたって波形データを生成する。
F2[j]=F[j] (j=0) (1)
F2[j]=(F[20×j−10]+…+F[20×j+10])/21
(j=1〜9999) (2)
このS45では、ノイズが除去された標本データF2[j]を第1サンプリング周波数faおよび上記サンプリング周波数fa´よりも小さい第2サンプリング周波数fbのデータにダウンサンプリングし互いに位相の異なる複数の相関用データを生成する。より具体的には、相関用データの種類ごとに位相をずらしながら第2サンプリング周波数fbの下で標本データF2[j]を間引くことにより、位相の異なる複数の相関用データf[k,l]を生成する。ここで、“k”は、相関用データの種類を示す指数であり、“l”は、第2サンプリング周波数fbの下で離散化した時間におけるサンプリング時刻を示す。
先ず、S451では、以下の処理により生成する相関用データの種類に相当する変数kを“0”にセットする。その後は、S457において変数kが20以上となるまで、S452〜S455に示す第k番目の相関用データの生成と、S456に示す変数kのインクリメントと、を繰り返し実行する。
S453では、サンプリング時刻lにおける第k番目の相関用データf[k,l]を、下記式(3)に示すように、相関用データの種類ごとに、標本データF2のサンプリング周期1/fa´だけ位相をずらしながら、20点に1つの間隔で間引くことにより定義する。
f[k,l]=F2[20×l+k] (3)
S61では、信号処理装置からトリガ信号を送信器に送信し、送信器から測定波を送信させ、S62に移る。
S71では、測定データg[m]のうち周波数最大となるサンプリング時刻g_max_mを抽出する。以下、この周波数最大となるサンプリング時刻g_max_mを中心時刻という。図7中、S711〜S715には、測定データg[m]から中心時刻g_max_mを抽出する具体的な手順を示す。先ず、S711では、変数mを“0”にセットする。その後、S715において、変数mが10000以上となるまで、S712およびS713に示す処理と、S714に示す変数mのインクリメントとを、繰り返し実行する。S712およびS713では、時刻mにおける測定データの傾きg[m+1]−g[m]を演算し、この傾きが最大となる時刻を中心時刻g_max_mとして抽出する。
このようにして、測定データg[m]の中心時刻g_max_mを予め抽出しておくことにより、周波数が最大となる中心付近において測定データと相関用データとの相互相関値の計算を行うことができるのでピークの検索にかかる計算回数を減らすことができる。
S722〜S734に示す処理では、測定データと第k番目の相関用データとの相対位置を、1サンプリング周期(1/fb)ずつずらしながら、これら相関用データと測定データとの相互相関値を計算し、そのピークを検索する。
先ずS722では、以下の処理において、第k番目の相関用データと測定データとの相対位置を指定する変数iを、g_max_m−50−Noffにセットする。その後、S734において変数iがg_max_m+50−Noffより大きくなるまで、S723〜S732に示す処理と、S733に示す変数iのインクリメントとを、繰り返し実行する。すなわち、本実施形態では、測定データの時刻を100サンプリング周期分の範囲内で第k番目の相関用データとの相互相関値のピークを検索する。なお、変数Noffは、上記S42において定義したオフセット量に相当する正の整数である。
図9は、測定データと相関用データとの間に略半波長分の位相差があり、これらデータの間に明らかに相関がない状態を示す図である。図10は、測定データと相関用データとの位相が略一致しており、これら測定データおよび相関用データの間に相関があると考えられる図である。これら図9および図10において、四角印は測定データを示し、三角印は相関用データを示す。
(f[k,t]−f[k,t+1])/(g[t]−g[t+1])>0 (4)
(f[k,0]−f[k,1])/(g[i]−g[i+1])>0 (5)
(f[k,1]−f[k,2])/(g[i+1]−g[i+2])>0 (6)
(f[k,2]−f[k,3])/(g[i+2]−g[i+3])>0 (7)
(f[k,3]−f[k,4])/(g[i+3]−g[i+4])>0 (8)
(f[k,4]−f[k,5])/(g[i+4]−g[i+5])>0 (9)
(f[k,5]−f[k,6])/(g[i+5]−g[i+6])>0 (10)
(f[k,6]−f[k,7])/(g[i+6]−g[i+7])>0 (11)
以上のような処理を繰り返すことにより、相互相関値の最大値S_maxと、相互相関値のピークにおける測定データと相関用データとの相対位置(以下、「相関最大位置」という)S_max_iと、相互相関値のピークにおける相関用データの種類を示す指数S_max_kと、が特定される。
距離=v×(S_max_i+S_max_k/20+Noff)/fb (13)
(1)上記実施形態では、先ず図4に示す準備工程では、一旦、第1サンプリング周波数faの下で比較的細かくサンプリングすることで標本データF[i]を生成し、さらにこの標本データF[i]からノイズを除去し標本データF2[j]を生成した後、この標本データF2[j]から、互いに位相の異なる複数の相関用データf[k,l]を第1サンプリング周波数faより低い第2サンプリング周波数fbのデータにダウンサンプリングすることで生成する。次に、図6に示す測定工程では、上記複数の相関用データf[k,l]と同じ周波数である第2サンプリング周波数fbの下で測定データg[m]を生成する。次に、図7中S71,S72に示すピーク検索工程では、測定データg[m]と複数の相関用データf[k,l]のそれぞれの相対位置を示す変数iをずらしながら、これらデータの相互相関値Sのピークを検索し、相互相関値Sが最大となる相関用データの種類を示す指数S_max_kと相関最大位置S_max_iとを特定し、図7中S73に示す距離算出工程では、特定した指数S_max_kで指定される相関用データf[S_max_k,l]の標本データF2[m]に対する位相差などに基づいて、距離を算出する。
ここで、特に本実施形態では、測定データg[m]との相互相関値Sを算出する相関用データf[k,l]として、比較的細かくサンプリングして生成された標本データF2[j]をダウンサンプリングすることにより、互いに位相の異なるものを複数準備する。このように、互いに位相の異なる複数の相関用データf[k,l]と測定データg[m]との相互相関値Sのピークを検索することにより、測定データg[m]および相関用データf[k,l]のサンプリング周波数fbより実質的に高い精度で距離を算出することができる。すなわち、本実施形態によれば、単純に単一の測定データと相関用データとに基づいて測定波の到達時刻、ひいては距離を算出する従来の方法と比較して、測定精度を落とすことなくサンプリング周波数を小さくすることができる。したがって、従来と比較して、測定精度を落とすことなく測定データg[m]および相関用データf[k,l]のデータ量を減らし、相互相関値Sの計算量を減らすことができるので、短時間での距離の測定が可能となる。
例えば、上記実施形態で挙げたサンプリング周波数fa,fbやデータ数などの具体的な値は一例であり、本発明はこれに限るものではない。
2…送信器
3…受信器
4…信号処理装置
5…演算装置
Claims (2)
- 中心において周波数が最大となるように周波数変調された波形形状の超音波を送信する送信器と、
当該送信器から送信された超音波を受信する受信器と、
当該受信器からの出力信号を所定のサンプリング周波数の下でサンプリングし波形データを生成する信号処理装置と、を備えた距離測定システムにおいて、相互相関値の計算に基づいて距離を測定する距離測定方法であって、
前記送信器および前記受信器により超音波である参照波を送受信し、前記受信器で受信した参照波について、所定の第1サンプリング周波数fa´の下でサンプリングすることで標本データを生成し、当該標本データを前記第1サンプリング周波数fa´よりも小さい第2サンプリング周波数fbのデータにダウンサンプリングするとともに互いに位相の異なる複数の相関用データを生成する準備工程と、
前記送信器および前記受信器により超音波である測定波を送受信し、前記受信器で受信した測定波について、前記第2サンプリング周波数fbの下でサンプリングすることで測定データを生成する測定工程と、
前記測定データと前記複数の相関用データのそれぞれとの相対位置をずらしながら、これらデータの相互相関値のピークを検索し、当該相互相関値が最大となる相関用データの種類S_max_kおよび相対位置S_max_iを特定するピーク検索工程と、
前記ピーク検索工程で特定された相対位置S_max_iに基づいて算出される時間S_max_i/fbと、前記ピーク検索工程で特定された相関用データの種類S_max_kにより指定される相関用データの前記標本データに対する位相差S_max_k×fb/fa´に比例した時間(S_max_k×fb/fa´)/fbと、前記相関用データの始点から周波数が最大となる中心点までの間隔であるオフセット量Noffに比例した時間Noff/fbと、に基づいて、下記式、
距離=v×(S_max_i+S_max_k×fb/fa´+Noff)/fb
により距離を算出する距離算出工程と、を含むことを特徴とする距離測定方法。 - 前記ピーク検索工程では、相互相関値のピークを検索する際、前記測定データおよび前記相関用データそれぞれの波形の傾きの符号が同じであるか否かに基づいて前記測定データと前記相関用データとの明らかな相関の有無を判定し、前記それぞれの波形の傾きの符号が同じで明らかに相関があると判定された場合にのみ相互相関値を算出することを特徴とする請求項1に記載の距離測定方法。
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