JP5562567B2 - フラン系樹脂 - Google Patents
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上記一般式(1)又は(2)において、Pは、CO、O、S、OCOO又はNHCOOのいずれかであり、上記一般式(2)において、R及びR’は、CmHm(mは10以下の正の整数)である。
本発明が供する樹脂を構成する単量体成分の代表的な例としてフラン構造の2位及び/又は5位に置換基が導入された下記の化合物〔A〕から化合物〔N〕を例示する。これらの例以外に2位〜5位に1以上の置換基を導入したものを用いることができる。これらの単量体成分は、全て植物由来の農業廃材を原料に製造可能なフラン誘導体である。
前記〔1〕に記載された樹脂は、ポリケトン、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリスルホン、ポリカーボネート、および、ポリウレタンと総称される樹脂である。
以下に、最も好ましい形態であるフラン構造の2位と5位に置換基を導入した各樹脂の製造方法を示す。
本発明が供するポリケトン樹脂(単位構造の一般式(1)及び(2)のPがCOの場合)の合成法としては次の反応が例示できる。2−フランカルボン酸クロライド(化合物〔F〕)をAlCl3に代表される触媒でFriedel−Craft反応を進行させることで得られる。また、フラン(化合物〔A〕)と2、5−フランジカルボン酸クロライド(化合物〔G〕)にAlCl3に代表される触媒でFriedel−Craft反応を進行させることでも得られる。
本発明が供するポリエーテル(単位構造の一般式(1)及び(2)のPがOの場合)の合成法としては次の反応が例示できる。2、5−ジメチロールフラン(化合物〔I〕)を、NaHを用いて水酸基をNaO−(ナトリウムアルコラート)に変成した後、2、5−ジハロメチルフラン(化合物〔M〕)と反応させて、脱塩NaX(Xはハロゲン原子を示す)を進行させて縮合することで得られる。
また、2、5−ジメチロールフラン(化合物〔I〕)を、NaHを用いて水酸基をNaO−(ナトリウムアルコラート)に変成した後、2、5−ジハロフラン(化合物〔L〕)と反応させて、脱塩NaX(Xはハロゲン原子を示す)を進行させて縮合することでも得られる。
ポリエーテルは、ポリエステルと比較した場合、加水分解性が低く、熱加工成型性に優れているという特徴を有する。
本発明が供するポリチオエーテル(単位構造の一般式(1)及び(2)のPがSの場合)の合成法としては次の反応が例示できる。2、5−ジハロフラン(化合物〔L〕)をNa2Sの存在下、脱塩NaX(Xはハロゲン原子を示す)を進行させて縮合することで得られる。
また、2、5−ジメチロールフラン(化合物〔M〕)に塩素を反応させることで得られた2,5−ジクロロメチルフランをNa2Sの存在下、脱塩NaClを進行させて縮合することでも得られる。
ポリチオエーテルは、ポリエステルと比較した場合、加水分解性が低く、耐熱性や機械的強度が高く、さらに、他の材料との相溶性に優れているという特徴を有する。
本発明が供するポリカーボネート(単位構造の一般式(1)および(2)のPがSO2の場合)の合成法としては次の反応が例示できる。
2、5−ジメチロールフラン(化合物〔I〕)をホスゲンと反応させて脱塩化水素しながら縮合することで得られる。
<<ポリウレタン>>
次に、前記〔1〕に記載の一般式(1)及び/又は(2)の単位構造を2以上有するように共重合したことを特徴とするフラン系樹脂の代表的な合成法を示す。
本発明が供するポリケトン(単位構造の一般式(1)および(2)のPがCOの場合)とポリエーテル(単位構造の一般式(1)および(2)のPがOの場合)の共重合体の合成法として次の反応が例示できる。2、5−ジメチロールフラン(化合物〔I〕)を、NaHを用いて水酸基をNaO−(ナトリウムアルコラート)に変成した後、ジ(2−ハロフラニル)ケトン(化合物〔N〕)と反応させて、脱塩NaX(Xはハロゲン原子を示す)を進行させて縮合することで得られる。
本発明が供するポリケトン(単位構造の一般式(1)および(2)のPがCOの場合)とポリチオエーテル(単位構造の一般式(1)および(2)のPがSの場合)の共重合体の合成法として次の反応が例示できる。ジ(2−ハロフラニル)ケトン(化合物〔N〕)をNa2Sの存在下、脱塩NaX(Xはハロゲン原子を示す)を進行させて縮合することで得られる。
本発明が供するフラン系樹脂は、その特性が損なわれない範囲でフラン構造を含まない各種単量体と共重合を行っても良い。フラン構造を含有しない共重合可能な単量体の代表的なものを例示すると、2〜3官能の下記構造式(a)〜(h)に示す化合物群が挙げられる。ただし特性が損なわれない範囲で4〜6官能の化合物群も用いることができる。これらの化合物は単独で用いても複数併用しても良い。
P、Q、および、Rは、-Z-F、-Z-Cl、-Z-Br、-Z-I、-Z-OH、-Z-CHO、-Z-COOH、-Z-COOR、-Z-COCl、-Z-CONHR、-Z-CONRR’、-Z-NH2、-Z-NHR、-ZNRR’、-Z-NO2、-Z-CM、および、-CmH2m+1を表す。 ここで、Zは、なし、-CH2-または-C2H4-を表し、mは0または10以下の自然数を表す。
熱分析:実施例及び比較例で得られた樹脂を用いて熱分析装置(Thermoplus DSC 8230、理学製)にて溶融温度を測定した。
攪拌機、窒素導入口、マントルヒータ、温度計、および、冷却管を装着した反応容器を減圧置換で窒素雰囲気にした後、2−フランカルボン酸100g、キノリン0.5g、および、銅0.5gを攪拌子と共に仕込み、室温で10時間加熱攪拌した。得られた反応液を蒸留して収率70%でフランを得た(43℃、常圧)。冷却管と滴下ロートを装着した丸底フラスコにTHF100mLとフラン10g(147mmol)を仕込み、氷冷下、滴下ロートから臭素23.5g(147mmol)を30分かけて滴下した。さらに室温で5時間攪拌を継続した。得られた反応液を分液ロートに移し、トルエン500mLと純水500mLを加えて良くしんとうした。水層を除去して再び純水500mLを加えて良くしんとうした。有機層を取り出しMgSO4で脱水後、濃縮乾燥した。得られた固形分をトルエン/メタノール混合溶媒で再結晶することで高純度の2,5−ジブロモフランを得た(得量30.3g、収率80% )。攪拌機、窒素導入口、マントルヒータ、温度計、および、冷却管を装着した反応容器を減圧置換で窒素雰囲気にして、得られた2,5−ジブロモフラン20g(77.5mmol)、N−メチルピロリドン200mL、および、Na2S6.0g(77.5mmol)を添加して150℃で10時間加熱を続けた。反応容器内の混合液を大量のメタノールに滴下し発生した沈澱を濾過にて回収した。60℃の通風乾燥機で乾燥後、大量の純水で洗浄した。固形分を濾過にて回収し再度60℃の通風乾燥機で1日乾燥して目的の樹脂を得た(得量4.56g、収率60%)。得られた樹脂の引張弾性率は5800MPa、溶融温度は、300℃以上であった。
攪拌機、窒素導入口、マントルヒータ、温度計、および、冷却管を装着した反応容器を減圧置換で窒素雰囲気にした後、2,5−フランジカルボン酸10g(64.1mmol)に塩化チオニル100mLを加えて80℃で3時間反応させた後、濃縮乾燥し2,5−フランジカルボン酸クロライド12.3gを得た。攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、および、冷却管を装着した反応容器を減圧置換で窒素雰囲気にした後、得られた2,5−フランジカルボン酸クロライド10.0g(51.8mmol)、フラン3.52g(51.8mmol)、N−メチルピロリドン100mL、および、AlCl3、7.64g(57.0mmol)を添加し、70℃で20時間反応を継続した。反応容器内の混合液を大量のメタノールに滴下し発生した沈澱を濾過にて回収した。60℃の通風乾燥機で1日乾燥して目的の樹脂を得た(得量3.16g、収率65%)。得られた樹脂の引張弾性率は5200MPa、溶融温度は、290℃であった。
攪拌機、窒素導入口、マントルヒータ、温度計、および、冷却管を装着した反応容器を減圧置換で窒素雰囲気にした後、ジメチル−2,5−フランジカルボン酸20.0g、1,4−ブタンジオール24.1g、チタンテトラブチレート19.1mg、および、酢酸マグネシウム4水和物11.9mgを仕込んだ。220℃に昇温し2時間反応した後、240℃に昇温し、さらに反応容器内を十分減圧した状態で5時間反応を継続した。得られた樹脂の引張弾性率は1200MPa、溶融温度は170℃であった。
本発明のフラン系樹脂は、各種添加剤を添加した樹脂組成物としても各種に利用できる。また、本発明のフラン系樹脂には、汎用プラスチックに適用される各種成形法が適用でき、それらの成型法によって本発明の樹脂及び樹脂組成物は成型体に加工することができる。
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