JP5560624B2 - ズームレンズ及び投射型表示装置 - Google Patents
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(1) 7.0 ≦ TL/fw ≦ 8.0
(2) 1.9 ≦ bw/fw ≦ 2.4
(3) 0.5 ≦|fw/fI|≦ 0.72
(4) 0.34 ≦ fw/fIII ≦ 0.52
ただし、
TL:第1レンズ群の最も拡大側の面から像面までの距離
(ただし、第4レンズ群の最も縮小側の面から像面までは空気換算距離)
fw :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
(第1レンズ群の最も拡大側の面からの物体距離1700mmに合焦の状態)
bw :広角端における第4レンズ群の最も縮小側の面から像面までの空気換算距離
fI :第1レンズ群の合成焦点距離
fIII:第3レンズ群の合成焦点距離
条件式(1)は、光学系の全長に関する条件であり、すなわち小径化の条件となる。上限を超えると全長が大きくなり、したがってレンズが大口径になり、小型、薄型化を損ねてしまう。下限を超えると、諸収差のバランスを取ることが困難となる。条件式(2)は、第4レンズ群の縮小側の広角端における間隔条件である。いわゆるバックフォーカスに相当する部分であるがライトバルブを照明するための光学系との共用スペースである為、この間隔を確保することが必要となる。従って下限を超えると照明系のスペースが不足し投射型表示装置として設計困難となる。条件式(3)は、第1レンズ群のパワーに関する条件である。第1レンズ群は強い負のパワーを有しており、前述のDMD等のライトバルブを照明するための光学系を配する為の空間を第4レンズ群とDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCGとの空気間隔(照明光学系との関連において第5レンズ群が構成されている場合には、第5レンズ群との空気間隔部分)に実際に確保するための条件である。上限を超えると、第1レンズ群の負のパワーが小さくなり、第4レンズ群と第5レンズ群の空気間隔を必要量確保するのが困難になり、下限を超えると負のパワーが大きくなり第2レンズ群以降の正レンズ群のパワーを強めなければならず、諸収差のバランスを取ることが困難になる。条件式(4)は、主に変倍を司っている第3レンズ群のパワーに関する条件である。目的の変倍比を確保するためには第3レンズ群のパワー及び移動量が適切に与えられなければならない。条件式(4)の上限を超えるとレンズパワーが大きくなり諸収差が悪化し、下限を超えると変倍のために移動量を大きくしなければならず、広角端から望遠端にかけてバランス良く諸収差を良好に補正することが難しくなる。
(5) −0.38 ≦ fw/fI1≦ −0.25
(6) 0.7 ≦ fw/rI2≦ 0.92
(7) 0.3 ≦ fw/fI2≦ 0.4
(8) 1.64 ≦ NI≦ 1.81
ただし、
fI1:第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの焦点距離
rI2:第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
fI2:第1レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの焦点距離
NI :第1レンズ群を構成するレンズのd線における屈折率の平均値
条件式(5)は、第1レンズ群の最も拡大側に配置されるレンズのパワーに関する条件であり、前述のように第1レンズ群の拡大側に配置されるレンズの負パワーを増大することは、広角端における第4レンズ群とDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCGとの空気間隔を確保し、かつ小型化に有効であるが、条件式(5)の上限を超えるとレンズの負パワーが強くなり色収差と像面湾曲が発生し、収差の補正が困難になり、下限を超えるとレンズの負パワーが弱くなり第4レンズ群とDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCGとの空気間隔、いわゆるバックフォーカスに相当する部分を長く取ることが困難になる。条件式(6)は、レンズ全系の歪曲収差とコマ収差補正のための条件式である。第1レンズ群の最も拡大側に配置されるレンズの縮小側の面形状に関するもので、強いパワーを持たせながら、拡大側の光線束に対して概ね同心的形状とすることで、根本的に収差の発生を抑えた形状としている。したがって上限を超えると、球面収差、コマ収差が補正不足となり、下限を超えると逆に補正過剰になる。条件式(7)は、第1レンズ群の拡大側より二番目に配置される正レンズのパワーに関するものである。第1レンズ群の特に拡大側については強い負のパワーを有するが、群内の諸収差の補正には拡大側に条件式(7)の範囲で適切なパワーを有する正レンズが必要である。上限を超えると正レンズのパワーが過大となり下限を超えると逆に過小となり色収差を始めとする諸収差のバランスが崩れ良好な性能を得ることが出来ない。条件式(8)は第1レンズ群に配置されるレンズの屈折率の平均値を表している。第1レンズ群は条件式(3)で示されるような量の負のパワーを有するので、下限を超えて低屈折率材料を使用するとそのレンズの曲率が強くなると同時にペッツバール和も過小となり高次収差の発生や像面湾曲が悪化する。上限を超えると色収差を適切に補正する材料の組み合わせが出来ず性能を満足させる色収差補正が出来ない。
(9) 0.5 ≦ fw/fI5≦ 0.6
(10) VI5≦ 53
(11) |rI10/rI9|≦ 0.9
ただし、
fI5 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの焦点距離
VI5 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのアッベ数
rI9 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
rI10:第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
条件式(9)は、第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのパワーに関する条件である。第1レンズ群拡大側からの強い発散光束を第2レンズ群に入射する前に緩和する働きを持っている。この為の適切なパワーが条件式(9)の範囲で設定されることが必要で、上限を超えるとパワーが過大となり単レンズである為色収差、球面収差が悪化、上限を超えるとパワーが過小となり、第2レンズ群での収差補正の負担が増大してしまう。条件式(10)は、第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのアッベ数に関しており、条件式(9)のパワーで色収差も適切に補正するための条件で、条件式の上限値以下のアッベ数とするのが良い。上限を超えると第1レンズ群での色収差の補正が不十分となる。条件式(11)は、条件式(9)と共に、球面収差コマ収差を良好に補正するための条件である。また、縮小側の曲率半径を拡大側の曲率半径よりも小さくすることで発散状態で入射してくる光束の球面収差を無理なく補正している。上限を超えると球面収差、コマ収差ともにアンダーとなる。
(12) 0.05 ≦ fw/fII≦ 0.15
(13) −1.35 ≦ fw/fII2≦ −0.85
(14) 0.28 ≦ fw/rII1≦ 0.6
(15) −1.2 ≦ fw/rII3≦ −0.4
ただし、
fII :第2レンズ群の合成焦点距離
fII2:第2レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの焦点距離
rII1:第2レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
rII3:第2レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
条件式(12)は、第2レンズ群の群パワーに関する条件である。第2レンズ群は、第1レンズ群で発生する収差を補正し、第3レンズ群以降に伝達する働きをもつ。この為第2レンズ群全体としては条件式(12)のように小さなパワーを有する構成としている反面第2レンズ群内の各レンズについては強いパワーを持たせて、主に諸収差の補正を目的としている。従がって上限または下限を超えて第2レンズ群がパワーを持つと、第2レンズ群の変倍時の移動に伴う収差変動が発生してしまう。条件式(13)は、第2レンズ群を構成する拡大側から二番目に配置されるレンズの負のパワーに関する条件である。第2レンズ群は正、負、正の3枚から成るいわゆるトリプレットの構成であり、球面収差や色収差などの補正には、拡大側から二番目に配置されるレンズの負のパワーが重要となる。下限を超えて過大となるとオーバーの球面収差、色収差が発生し、上限を超えて過小になるとトリプレットとしての収差補正効果がなくなってしまう。条件式(14)は、第2レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズにより球面収差、コマ収差補正の為の形状に関する要件である。第1レンズ群からの発散光束を球面収差、コマ収差の発生を最小とする形状であることが重要である。上限、下限のどちらを超えても球面収差のアンダー傾向が大きくなる。条件式(15)は、第2レンズ群を構成する拡大側から二番目に配置されるレンズの形状に関する要件である。正パワーの拡大側のレンズ、及び縮小側のレンズと共に第2レンズ群全体で球面収差、コマ収差を最適に補正しており、上下限を超えると、共に拡大側面半径または縮小側面半径が過小となり球面収差がオーバーとなる。
(16) 1.45 ≦ mIIIt/mIIIw≦ 1.85
(17) −0.6 ≦ rIII2/rIII1≦ −0.1
(18) 54 ≦ VIII
ただし、
mIIIt :望遠端配置における第3レンズ群の合成倍率
mIIIw :広角端配置における第3レンズ群の合成倍率
rIII1 :第3レンズ群のレンズの拡大側面の曲率半径
rIII2 :第3レンズ群のレンズの縮小側面の曲率半径
VIII :第3レンズ群を構成するレンズのアッベ数
条件式(16)は、第3レンズ群の倍率に関する条件である。本発明のズームレンズは第3レンズ群が条件式(4)に示す強い正パワーと大きな移動により、ズームレンズとして焦点距離を大きく変える構成を特徴としている。すなわち第3レンズ群はレンズ全系のバリエータとして機能しており条件式(16)は、この変倍比に関るもので、上限を超えると変倍比が過大となり、収差の劣化、全長の大型化を招き、下限を超えると希望の変倍比が得られなくなる。条件式(17)は、球面収差、コマ収差の発生及び変動を小さくする第3レンズ群のレンズの形状に関する条件で、上限または下限を超えると各々、収差の適切な補正が困難となる。条件式(18)は、第3レンズ群による色収差補正、及び変倍による色収差変動を抑えるための条件である。第3レンズ群は単レンズで構成され強いパワーを有することから、変倍による移動での色収差等の変動を抑えるためには出来るだけアッベ数の大きな材料が好ましく、下限を超えると変倍による色収差変動が過大となる。
(19) 0.15 ≦ nIV1−nIV2
(20) 0.7 ≦ fw/rIV2 ≦ 0.9
(21) nIV3−nIV4≦ −0.12
(22) −0.96 ≦ fw/rIV5≦ −0.66
ただし、
nIV1:第4レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズのd線における屈折率
nIV2:第4レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズのd線における屈折率
rIV2:第4レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径又は拡
大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
nIV3:第4レンズ群において拡大側から三番目に配置されるレンズのd線における屈折率
nIV4:第4レンズ群において拡大側から四番目に配置されるレンズのd線における屈折率
rIV5:第4レンズ群において拡大側から三番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
又は拡大側から四番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
本発明のズームレンズの第4レンズ群は、基本的に対称性のある接合レンズを向かい合わせた構成にして第1レンズ群乃至第3レンズ群で発生し補正した結果、補正しきれず残存した諸収差をキャンセルすることで、最終的に良好な性能を達成している。条件式(19)は、拡大側の接合レンズ、すなわち第4レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズと二番目に配置されるレンズと接合した部分光学系の屈折率差を示しており、接合面には凹面の作用を持たせている。下限を超えるとペッツバール和が過小となり、球面収差、コマ収差が補正困難となる。条件式(20)は、条件式(19)と共に拡大側接合レンズの接合面の凹面の形状に関する条件である。上限を超えると球面収差がオーバーとなり、色収差のバランスも劣化する。下限を超えると接合面、接合レンズの効果が少なくなり色収差の補正が困難となる。条件式(21)は、縮小側の接合レンズの屈折率差で、拡大側から三番目に配置される正レンズと四番目に配置される負レンズを接合した構成で部分光学系を成しており拡大側接合レンズに関する条件式(19)と同様の意味を持っている。下限を超えて屈折率差が小さくなると、ペッツバール和、球面収差、コマ収差の補正が困難となる。同様に条件式(22)は、条件式(21)と共に縮小側接合レンズの形状に関する条件で、拡大側接合レンズにおける条件式(20)と同様の意味をもつ。上限を超えると接合面効果が減少し、色収差補正が困難となる。また下限を超えると接合面の作用が過大となり、球面収差、コマ収差、色補正のバランスがとれなくなる。
(1) 7.0 ≦ TL/fw ≦ 8.0
(2) 1.9 ≦ bw/fw ≦ 2.4
(3) 0.5 ≦|fw/fI|≦ 0.72
(4) 0.34 ≦ fw/fIII ≦ 0.52
ただし、
TL:第1レンズ群の最も拡大側の面から像面までの距離
(ただし、第4レンズ群の最も縮小側の面から像面までは空気換算距離)
fw :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
(第1レンズ群の最も拡大側の面からの物体距離1700mmに合焦の状態)
bw :広角端における第4レンズ群の最も縮小側の面から像面までの空気換算距離
fI :第1レンズ群の合成焦点距離
fIII:第3レンズ群の合成焦点距離
条件式(1)は、光学系の全長に関する条件であり、すなわち小径化の条件となる。上限を超えると全長が大きくなり、したがってレンズが大口径になり、小型、薄型化を損ねてしまう。下限を超えると、諸収差のバランスを取ることが困難となる。条件式(2)は、第4レンズ群の縮小側の広角端における間隔条件である。いわゆるバックフォーカスに相当する部分であるがライトバルブを照明するための光学系との共用スペースである為、この間隔を確保することが必要となる。従って下限を超えると照明系のスペースが不足し投射型表示装置として設計困難となる。条件式(3)は、第1レンズ群のパワーに関する条件である。第1レンズ群は強い負のパワーを有しており、前述のDMD等のライトバルブを照明するための光学系を配する為の空間を第4レンズ群とDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCGとの空気間隔(照明光学系との関連において第5レンズ群が構成されている場合には、第5レンズ群との空気間隔部分)に実際に確保するための条件である。上限を超えると、第1レンズ群の負のパワーが小さくなり、第4レンズ群と第5レンズ群の空気間隔を必要量確保するのが困難になり、下限を超えると負のパワーが大きくなり第2レンズ群以降の正レンズ群のパワーを強めなければならず、諸収差のバランスを取ることが困難になる。条件式(4)は、主に変倍を司っている第3レンズ群のパワーに関する条件である。目的の変倍比を確保するためには第3レンズ群のパワー及び移動量が適切に与えられなければならない。条件式(4)の上限を超えるとレンズパワーが大きくなり諸収差が悪化し、下限を超えると変倍のために移動量を大きくしなければならず、広角端から望遠端にかけてバランス良く諸収差を良好に補正することが難しくなる。
(5) −0.38 ≦ fw/fI1≦ −0.25
(6) 0.7 ≦ fw/rI2≦ 0.92
(7) 0.3 ≦ fw/fI2≦ 0.4
(8) 1.64 ≦ NI≦ 1.81
ただし、
fI1:第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの焦点距離
rI2:第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
fI2:第1レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの焦点距離
NI :第1レンズ群を構成するレンズのd線における屈折率の平均値
条件式(5)は、第1レンズ群の最も拡大側に配置されるレンズのパワーに関する条件であり、前述のように第1レンズ群の拡大側に配置されるレンズの負パワーを増大することは、広角端における第4レンズ群とDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCGとの空気間隔を確保し、かつ小型化に有効であるが、条件式(5)の上限を超えるとレンズの負パワーが強くなり色収差と像面湾曲が発生し、収差の補正が困難になり、下限を超えるとレンズの負パワーが弱くなり第4レンズ群とDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCGとの空気間隔、いわゆるバックフォーカスに相当する部分を長く取ることが困難になる。条件式(6)は、レンズ全系の歪曲収差とコマ収差補正のための条件式である。第1レンズ群の最も拡大側に配置されるレンズの縮小側の面形状に関するもので、強いパワーを持たせながら、拡大側の光線束に対して概ね同心的形状とすることで、根本的に収差の発生を抑えた形状としている。したがって上限を超えると、球面収差、コマ収差が補正不足となり、下限を超えると逆に補正過剰になる。条件式(7)は、第1レンズ群の拡大側より二番目に配置される正レンズのパワーに関するものである。第1レンズ群の特に拡大側については強い負のパワーを有するが、群内の諸収差の補正には拡大側に条件式(7)の範囲で適切なパワーを有する正レンズが必要である。上限を超えると正レンズのパワーが過大となり下限を超えると逆に過小となり色収差を始めとする諸収差のバランスが崩れ良好な性能を得ることが出来ない。条件式(8)は第1レンズ群に配置されるレンズの屈折率の平均値を表している。第1レンズ群は条件式(3)で示されるような量の負のパワーを有するので、下限を超えて低屈折率材料を使用するとそのレンズの曲率が強くなると同時にペッツバール和も過小となり高次収差の発生や像面湾曲が悪化する。上限を超えると色収差を適切に補正する材料の組み合わせが出来ず性能を満足させる色収差補正が出来ない。
(9) 0.5 ≦ fw/fI5≦ 0.6
(10) VI5≦ 53
(11) |rI10/rI9|≦ 0.9
ただし、
fI5 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの焦点距離
VI5 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのアッベ数
rI9 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
rI10:第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
条件式(9)は、第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのパワーに関する条件である。第1レンズ群拡大側からの強い発散光束を第2レンズ群に入射する前に緩和する働きを持っている。この為の適切なパワーが条件式(9)の範囲で設定されることが必要で、上限を超えるとパワーが過大となり単レンズである為色収差、球面収差が悪化、上限を超えるとパワーが過小となり、第2レンズ群での収差補正の負担が増大してしまう。条件式(10)は、第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのアッベ数に関しており、条件式(9)のパワーで色収差も適切に補正するための条件で、条件式の上限値以下のアッベ数とするのが良い。上限を超えると第1レンズ群での色収差の補正が不十分となる。条件式(11)は、条件式(9)と共に、球面収差コマ収差を良好に補正するための条件である。また、縮小側の曲率半径を拡大側の曲率半径よりも小さくすることで発散状態で入射してくる光束の球面収差を無理なく補正している。上限を超えると球面収差、コマ収差ともにアンダーとなる。
(12) 0.05 ≦ fw/fII≦ 0.15
(13) −1.35 ≦ fw/fII2≦ −0.85
(14) 0.28 ≦ fw/rII1≦ 0.6
(15) −1.2 ≦ fw/rII3≦ −0.4
ただし、
fII :第2レンズ群の合成焦点距離
fII2:第2レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの焦点距離
rII1:第2レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
rII3:第2レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
条件式(12)は、第2レンズ群の群パワーに関する条件である。第2レンズ群は、第1レンズ群で発生する収差を補正し、第3レンズ群以降に伝達する働きをもつ。この為第2レンズ群全体としては条件式(12)のように小さなパワーを有する構成としている反面第2レンズ群内の各レンズについては強いパワーを持たせて、主に諸収差の補正を目的としている。従がって上限または下限を超えて第2レンズ群がパワーを持つと、第2レンズ群の変倍時の移動に伴う収差変動が発生してしまう。条件式(13)は、第2レンズ群を構成する拡大側から二番目に配置されるレンズの負のパワーに関する条件である。第2レンズ群は正、負、正の3枚から成るいわゆるトリプレットの構成であり、球面収差や色収差などの補正には、拡大側から二番目に配置されるレンズの負のパワーが重要となる。下限を超えて過大となるとオーバーの球面収差、色収差が発生し、上限を超えて過小になるとトリプレットとしての収差補正効果がなくなってしまう。条件式(14)は、第2レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズにより球面収差、コマ収差補正の為の形状に関する要件である。第1レンズ群からの発散光束を球面収差、コマ収差の発生を最小とする形状であることが重要である。上限、下限のどちらを超えても球面収差のアンダー傾向が大きくなる。条件式(15)は、第2レンズ群を構成する拡大側から二番目に配置されるレンズの形状に関する要件である。正パワーの拡大側のレンズ、及び縮小側のレンズと共に第2レンズ群全体で球面収差、コマ収差を最適に補正しており、上下限を超えると、共に拡大側面半径または縮小側面半径が過小となり球面収差がオーバーとなる。
(16) 1.45 ≦ mIIIt/mIIIw≦ 1.85
(17) −0.6 ≦ rIII2/rIII1≦ −0.1
(18) 54 ≦ VIII
ただし、
mIIIt:望遠端配置における第3レンズ群の合成倍率
mIIIw:広角端配置における第3レンズ群の合成倍率
rIII1:第3レンズ群のレンズの拡大側面の曲率半径
rIII2:第3レンズ群のレンズの縮小側面の曲率半径
VIII :第3レンズ群を構成するレンズのアッベ数
条件式(16)は、第3レンズ群の倍率に関する条件である。本発明のズームレンズは第3レンズ群が条件式(4)に示す強い正パワーと大きな移動により、ズームレンズとして焦点距離を大きく変える構成を特徴としている。すなわち第3レンズ群はレンズ全系のバリエータとして機能しており条件式(16)は、この変倍比に関るもので、上限を超えると変倍比が過大となり、収差の劣化、全長の大型化を招き、下限を超えると希望の変倍比が得られなくなる。条件式(17)は、球面収差、コマ収差の発生及び変動を小さくする第3レンズ群のレンズの形状に関する条件で、上限または下限を超えると各々、収差の適切な補正が困難となる。条件式(18)は、第3レンズ群による色収差補正、及び変倍による色収差変動を抑えるための条件である。第3レンズ群は単レンズで構成され強いパワーを有することから、変倍による移動での色収差等の変動を抑えるためには出来るだけアッベ数の大きな材料が好ましく、下限を超えると変倍による色収差変動が過大となる。
(19) 0.15 ≦ nIV1−nIV2
(20) 0.7 ≦ fw/rIV2≦ 0.9
(21) nIV3−nIV4 ≦ −0.12
(22) −0.96 ≦ fw/rIV5≦ −0.66
ただし、
nIV1:第4レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズのd線における屈折率
nIV2:第4レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズのd線における屈折率
rIV2:第4レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径又は拡
大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
nIV3:第4レンズ群において拡大側から三番目に配置されるレンズのd線における屈折率
nIV4:第4レンズ群において拡大側から四番目に配置されるレンズのd線における屈折率
rIV5:第4レンズ群において拡大側から三番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
又は拡大側から四番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
本発明のズームレンズの第4レンズ群は、基本的に対称性のある接合レンズを向かい合わせた構成にして第1レンズ群乃至第3レンズ群で発生し補正した結果、補正しきれず残存した諸収差をキャンセルすることで、最終的に良好な性能を達成している。条件式(19)は、拡大側の接合レンズ、すなわち第4レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズと二番目に配置されるレンズと接合した部分光学系の屈折率差を示しており、接合面には凹面の作用を持たせている。下限を超えるとペッツバール和が過小となり、球面収差、コマ収差が補正困難となる。条件式(20)は、条件式(19)と共に拡大側接合レンズの接合面の凹面の形状に関する条件である。上限を超えると球面収差がオーバーとなり、色収差のバランスも劣化する。下限を超えると接合面、接合レンズの効果が少なくなり色収差の補正が困難となる。条件式(21)は、縮小側の接合レンズの屈折率差で、拡大側から三番目に配置される正レンズと四番目に配置される負レンズを接合した構成で部分光学系を成しており拡大側接合レンズに関する条件式(19)と同様の意味を持っている。下限を超えて屈折率差が小さくなると、ペッツバール和、球面収差、コマ収差の補正が困難となる。同様に条件式(22)は、条件式(21)と共に縮小側接合レンズの形状に関する条件で、拡大側接合レンズにおける条件式(20)と同様の意味をもつ。上限を超えると接合面効果が減少し、色収差補正が困難となる。また下限を超えると接合面の作用が過大となり、球面収差、コマ収差、色補正のバランスがとれなくなる。
本発明のズームレンズの参考例1について数値例を表1に示す。また図1は、そのレンズ構成図、図2はその諸収差図である。
表中の上段で、fはズームレンズ全系の焦点距離、FnoはFナンバー、2ωはズームレンズの全画角を表し、dと括弧付の数値で表している、例えばd(110)であるが、これは110面が変倍に伴い空気間隔が変化する面であり、その変化する数値を表すものである。また下段のrは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、ndはd線に対する屈折率、νdはd線のアッベ数を示す。諸収差図中の球面収差図におけるCA1、CA2、CA3はそれぞれCA1=550.0nm、CA2=435.8nm、CA3=640.0nmの波長における収差曲線である。非点収差図におけるSはサジタル、Mはメリディオナルを示している。また、全般に亘り特別に記載のない限り、諸値の計算に使用している波長はCA1=550.0nmである。また、物体及び像の関係は101面からの物体距離を1700mmとした合焦状態を表しているものとする。
本発明のズームレンズ系の参考例2について数値例を表2に示す。また図3は、そのレンズ構成図、図4はその諸収差図である。
本発明のズームレンズ系の参考例3について数値例を表3に示す。また図5は、そのレンズ構成図、図6はその諸収差図である。
本発明のズームレンズ系の第1実施例について数値例を表4に示す。また図7は、そのレンズ構成図、図8はその諸収差図である。
本発明のズームレンズ系の参考例4について数値例を表5に示す。また図9は、そのレンズ構成図、図10はその諸収差図である。
Claims (7)
- 拡大側から順に、全体で負の屈折力を有する第1レンズ群、全体で正の屈折力を有する第2レンズ群、全体で正の屈折力を有する第3レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第4レンズ群から構成され、広角端から望遠端への変倍を行うにあたり前記第1レンズ群は固定されており、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群及び前記第4レンズ群は縮小側から拡大側方向へと光軸上を移動し、光学系に関する大きさが下記条件式(1)を満足しており、前記第4レンズ群の縮小側に設定される空間に関して下記条件式(2)を満足しており、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(3)を満足しており、前記第3レンズ群に設定されるパワー関して下記条件式(4)を満足していることを特徴とするズームレンズ。
(1) 7.0 ≦ TL/fw ≦ 8.0
(2) 1.9 ≦ bw/fw ≦ 2.4
(3) 0.5 ≦|fw/fI|≦ 0.72
(4) 0.34 ≦ fw/fIII ≦ 0.52
ただし、
TL:第1レンズ群の最も拡大側の面から像面までの距離
(ただし、第4レンズ群の最も縮小側の面から像面までは空気換算距離)
fw :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
(第1レンズ群の最も拡大側の面からの物体距離1700mmに合焦の状態)
bw :広角端における第4レンズ群の最も縮小側の面から像面までの空気換算距離
fI :第1レンズ群の合成焦点距離
fIII:第3レンズ群の合成焦点距離 - 前記請求項1記載のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、拡大側から順に、拡大側に凸のメニスカス形状で負の屈折力を有するレンズ(以下負レンズ)、正の屈折力を有するレンズ(以下正レンズ)、負レンズ、負レンズ及び正レンズを配して構成され、前記第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズのパワーに関して下記条件式(5)を満足し、その縮小側面の形状に関して下記条件式(6)を満足し、拡大側から二番目に配置されるレンズのパワーに関して下記条件式(7)を満足し、前記第1レンズ群を構成する各レンズの屈折率の関係が下記条件式(8)を満足していることを特徴とする。
(5) −0.38 ≦ fw/fI1 ≦ −0.25
(6) 0.7 ≦ fw/rI2 ≦ 0.92
(7) 0.3 ≦ fw/fI2 ≦ 0.4
(8) 1.64 ≦NI ≦ 1.81
ただし、
fI1:第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの焦点距離
rI2:第1レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
fI2:第1レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの焦点距離
NI :第1レンズ群を構成するレンズのd線における屈折率の平均値 - 前記請求項1及び前記請求項2記載のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群の拡大側より五番目に配置される正レンズの有するパワーについて下記条件式(9)を満足し、屈折率に関して下記条件式(10)を満足し、形状に関して下記条件式(11)を満足していることを特徴とする。
(9) 0.5 ≦ fw/fI5 ≦ 0.6
(10) VI5 ≦ 53
(11) |rI10/rI9|≦ 0.9
ただし、
fI5 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの焦点距離
VI5 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズのアッベ数
rI9 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
rI10 :第1レンズ群の拡大側より五番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径 - 前記請求項1記載のズームレンズにおいて、前記第2レンズ群は、拡大側から順に正レンズ、負レンズ及び正レンズにて構成され、前記第2レンズ群の有するパワーに関して下記条件式(12)を満足しており、拡大側から二番目に配置されるレンズのパワーに関して下記条件式(13)を満足しており、最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(14)を満足しており、拡大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(15)を満足していることを特徴とする。
(12) 0.05 ≦ fw/fII ≦ 0.15
(13) −1.35 ≦ fw/fII2 ≦ −0.85
(14) 0.28 ≦ fw/rII1 ≦ 0.6
(15) −1.2 ≦ fw/rII3 ≦ −0.4
ただし、
fII :第2レンズ群の合成焦点距離
fII2:第2レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの焦点距離
rII1:第2レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
rII3:第2レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径 - 前記請求項1記載のズームレンズにおいて、前記第3レンズ群は正レンズを配して構成され、倍率に関して下記条件式(16)を満足しており、形状に関して下記条件式(17)を満足しており、分散特性に関して下記条件式(18)を満足していることを特徴とする。
(16) 1.45 ≦ mIIIt/mIIIw ≦ 1.85
(17) −0.6 ≦ rIII2/rIII1 ≦ −0.1
(18) 54 ≦ VIII
ただし、
mIIIt:望遠端配置における第3レンズ群の合成倍率
mIIIw:広角端配置における第3レンズ群の合成倍率
rIII1:第3レンズ群のレンズの拡大側面の曲率半径
rIII2:第3レンズ群のレンズの縮小側面の曲率半径
VIII :第3レンズ群を構成するレンズのアッベ数 - 前記請求項1記載のズームレンズにおいて、前記第4レンズ群は拡大側から順に負レンズ、正レンズ、正レンズ及び負レンズを配して構成されており、最も拡大側及び拡大側から二番目に配置されるレンズの屈折率の関係が下記条件式(19)を満足しており、形状に関する特長が下記条件式(20)を満足しており、拡大側から三番目及び拡大側から四番目に配置されるレンズの屈折率の関係が下記条件式(21)を満足しており、形状に関する特長が下記条件式(22)を満足していることを特徴とする。
(19) 0.15 ≦ nIV1−nIV2
(20) 0.7 ≦ fw/rIV2 ≦ 0.9
(21) nIV3−nIV4 ≦ −0.12
(22) −0.96 ≦ fw/rIV5 ≦ −0.66
ただし、
nIV1:第4レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズのd線における屈折率
nIV2:第4レンズ群において拡大側から二番目に配置されるレンズのd線における屈折率
rIV2:第4レンズ群において最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径又は拡大側から二番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
nIV3:第4レンズ群において拡大側から三番目に配置されるレンズのd線における屈折率
nIV4:第4レンズ群において拡大側から四番目に配置されるレンズのd線における屈折率
rIV5:第4レンズ群において拡大側から三番目に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径又は拡大側から四番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径 - 前記請求項1から前記請求項6の少なくともいずれかの1項に記載されるズームレンズを搭載していることを特徴とした投射型表示装置。
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