以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)射出成形機監視装置の全体構成
図1において、1は射出成形機本体を示し、可動側型2が固定側型3に圧接した型締め状態において導管4を通じて合成樹脂材料を射出することにより、可動側型2及び固定側型3内に射出成形製品を成形する。
この射出成形製品は、可動側型2が固定側型3からガイド5に沿って離間した型開状態になったとき、可動側型2の内面に付着した状態で型開位置にまで持ち来され、その後可動側型2の後方から突出しピン(図示せず)が突出し動作をすることによって可動側型2から突き落とされる。
かかる射出成形機本体1の射出成形サイクルは射出成形機本体駆動制御装置6に設けられているシーケンサによって自動的に制御される。
射出成形機本体1の射出成形動作は射出成形機監視装置10に設けらされている撮像手段としてのテレビジョンカメラ11によって撮像され、そのビデオ信号VD1が画像入力回路12においてビデオデータDATA1に変換されて画像処理回路13に入力されて保持される。
画像処理回路13に保持されたビデオデータは、バス15を介してプログラムメモリ16のプログラムによって処理動作をする中央処理ユニット(CPU)17に、バス15を介してユーザの操作に応じて操作入力部25から入力される操作指令に応じて、所定のタイミングで取り込まれると共に、各画素ごとにバス15を介してフレームメモリ18に格納される。
この実施の形態の場合、CPU17がフレームメモリ18に画像データDATA1を格納するタイミングは、第1に、射出成形機監視装置10が監視動作に入る前のテストモード時であり、第2に、射出成形機本体1が型開動作をした1次監視モード時であり、第3に、射出成形機本体1が突出し動作をした2次監視モード時である。
CPU17は、この3つの監視モード時にフレームメモリ18に格納されたビデオデータDATA1に基づいて、異常の発生の有無を判定し、当該判定結果を表す判定結果画像データDATA2をバス15を介して画像処理回路13に与える。
画像処理回路13は、この判定結果画像データDATA2を画像表示回路19に与えることにより、画像表示回路19においてテレビジョンカメラ11から供給されるビデオ信号VD1に重畳して表示画像信号VD2としてモニタ20に与える。
かくしてモニタ20は、入力ビデオ信号VD1に基づいて現在テレビジョンカメラ11が撮像している射出成形機本体1の画像に対して、CPU17が判定した異常状態(又は正常状態)を表す判定結果画像データDATA2に基づいて、異常が発生した画像部分に異常発生表示を表示してなる監視画面をユーザに提示する。
CPU17は、監視モードのタイミングを射出成形機本体駆動制御装置6から制御信号入出力部21を介して与えられる監視制御信号S1によって監視処理動作をすべきタイミングを判知して判定動作をすると共に、当該判定動作及び判定結果に基づいて制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6にシーケンス制御信号S2を与えることにより、射出成形機本体1を射出成形機監視装置10の監視動作と同期動作させるような制御を実行する。
かくしてCPU17は、射出成形機本体1の射出成形サイクルの動作と同期しながら、以下に述べる監視処理動作を実行する。
(2)通常監視処理
(2−1)基準データの取得処理
ユーザが操作入力部25を介して通常監視処理モードを指定すると、CPU17は、図2の通常監視処理ルーチンRT1に入って、先ずステップSP01及びSP02において明るさ設定処理及び監視点の設定処理した後、ステップSP1において型開限信号がオンになるのを待ち受ける状態になる。
ステップSP02の監視点の設定処理において、CPU17は、ユーザが操作入力部25を用いて、型開動作時の監視対象画像部分及び突出動作時の監視対象部分の画像表示エリア(これを監視領域と呼ぶ)の表示位置を、ユーザが操作入力部25を用いて設定入力したとき、これを監視領域位置データD12としてフレームメモリ18(図3)の監視領域位置データメモリエリア18Jに格納する。
この実施の形態の場合、画像入力回路12から取込まれるビデオデータDATA1に対して、図7(A)に示すように、1フレーム分の画像DIP内に複数の監視対象画像部分J1〜J4の表示位置P1〜P4として設定される。
続いてCPU17は、ステップSP1において、射出成形機本体1が型開状態になるのを確認してその後の動作を実行するタイミングを射出成形機本体1に合わせるような処理をし、これにより、射出成形機本体駆動制御装置6は、射出成形機本体1の可動側型2を型開位置にまで後退させたとき、監視制御信号S1としてオン状態に遷移した型開限信号を制御信号入出力部21を介してCPU17に与える。
このときCPU17は、次のステップSP2に移ってシーケンス制御信号S2として型締めインターロック設定信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより、射出成形機本体1を型締め動作させないように射出成形機本体駆動制御装置6を制御し、これにより射出成形機本体1を型開状態のまま保持させる。
このように射出成形機本体1が型開状態を保持している状態において、CPU17は、次のステップSP3において、現在テレビジョンカメラ11から得られている入力ビデオ信号VD1(型開状態にある射出成形機本体1のキャビティ内の映像を表している)を、画像入力回路12を介して1フレーム分の入力ビデオデータDATA1として画像処理回路13に入力する。
続いてCPU17はステップSP4において画像処理回路13に入力された型開状態を表す1フレーム分の画像データを1次監視基準画像データD1としてフレームメモリ18(図3)の1次監視基準画像データメモリエリア18Aに登録する。
かくしてフレームメモリ18に登録された画像データは、射出成形機本体1が正常動作をしている時には、可動側型2に射出成形製品が付着した状態で可動側型2が型開位置に移動している状態を表しており、CPU17はこの型開状態の1フレーム分の画像データを、1次監視時の異常発生の有無を判断する際に用いる基準データとしてフレームメモリ18に取得したことになる。
続いてCPU17は、ステップSP5に移って、シーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより、射出成形機本体1の突出し動作の開始を許すと共に、次のステップSP6において射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1としてオン状態に遷移した突出し完了信号が制御信号入出力部21を介して到来するのを待ち受ける状態になる。
やがてオン状態に遷移した突出し完了信号が到来すると、CPU17は次のステップSP7に移って現在テレビジョンカメラ11から得られている入力ビデオ信号VD1(射出成形機本体1が突出し完了状態にあることを表している)に基づいて1フレームの入力ビデオデータDATA1を2次監視画像データとして画像処理回路13に入力させる。
続いてCPU17はステップSP8に移って当該1フレーム分の画像データを2次監視基準画像データD2としてフレームメモリ18の2次監視基準画像データメモリエリア18B(図3)に登録する。
このステップSP8の処理は、射出成形機本体1が突出し動作をすることにより可動側型2に付着していた射出成形製品が落下した状態にある時の2次監視画像データを以後の処理動作時に基準データとして用いることを意味する。
続いてCPU17は、次のステップSP9に移ってシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を制御信号入出力部21から射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより射出成形機本体1に対して突出し動作をさせない状態に制御した後、ステップSP10においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック解除信号を射出成形機本体駆動制御装置6に与え、これにより射出成形機本体1の型締め動作を許す状態に制御する。
その後CPU17は、次のステップSP11に移って、1次監視画像データから2次監視画像データを減算してその絶対値を求める演算を実行し、当該差データが所定のしきい値より大きい画素位置を、キャビティを表すキャビティ監視領域データD3としてフレームメモリ18のキャビティ監視領域データメモリエリア18C(図3)に登録すると共に、次のステップSP12における明るさ修正処理をした後監視サイクル処理ルーチンRT2において、射出成形機本体1の固定側型3及び可動側型2によって次の射出成形製品を射出成形するための射出成形サイクルを実行させる。
そこで、1次監視画像データは型開時に可動側型2に射出成形製品が付着している状態の画像を表す画像データであるのに対して、2次監視画像データは突出し時に可動側型2から射出成形製品が落下して付着していない状態の画像を表す画像データであるから、|1次監視画像データ−2次監視画像データ|の明るさの変化をもつ画素の位置は、型開時に射出成形製品が存在していた空間、すなわち図6(A)に示すように、1フレーム分の画像DIPのうちキャビティが存在する範囲AR1であることを意味している。
そこで、フレームメモリ18のキャビティ監視領域データメモリエリア18Cの監視領域データD3が表す位置データは、1フレーム画像のうちキャビティが存在する位置を表していることになる。
かくしてCPU17は、ステップSP1〜SP11の処理を実行することにより、型開時の1次監視基準画像データD1及び突出し完了時の2次監視基準画像データD2を登録すると共に、これらの基準画像データに基づいて、キャビティの位置を表す監視領域データD3を自動的に取得できることになり、この監視領域データD3を用いて監視サイクル処理ルーチンRT2を実行する。
(2−2)1次監視異常時の処理及び2次監視条件の確認処理
CPU17は、図4及び図5に示す監視サイクル処理ルーチンRT2を実行することにより、射出成形機本体1が射出成形製品を1つずつ射出成形するごとに当該射出成形動作に異常が生じたか否かの監視処理を実行する。
監視サイクル処理ルーチンRT2に入ると、CPU17は、ステップSP21において射出成形機本体1が現在射出成形した射出成形製品についてオン状態に遷移した型開限信号が射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1として到来するのを待ち受ける状態になると共に、オン状態の型開限信号が到来したとき次のステップSP22において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締めインターロック設定信号を与え、これにより射出成形機本体1が型開状態になったことを確認すると共に、型締め動作をさせない状態に射出成形機本体1を制御する。
この状態においてCPU17は、次のSP22Xにおいて再確認処理した後、ステップSP23において1フレーム分の入力ビデオデータDATA1を1次監視検出画像データD6として画像処理回路13を介してフレームメモリ18の1次監視検出画像データメモリエリア18Fに入力する。
このときCPU17は、フレームメモリ18のキャビティ監視領域データメモリエリア18Cのキャビティ監視領域データD3を用いて、モニタ20の表示画面DIPにキャビティ領域AR1(図6(A))を一時的に表示することにより、十分な輝度差が得られていること及び検出データD6を1次監視検出画像データメモリエリア18Fに入力できたことをユーザに知らせる。
続いてCPU17は、次のステップSP24において1次監視検出画像データメモリエリア18Fの1次監視検出画像データD6と、1次監視基準画像データメモリエリア18Aに登録されている1次監視基準画像データD1とを比較する1次監視処理を実行した後、ステップSP25において比較結果が異常か否かの判定をする。
このときCPU17は、ステップSP25において1次監視検出画像データD6の各画素データのうち、キャビティ監視領域データD3によって表される画素の画素データが、1次監視基準画像データD1の対応する画素のデータと一致するか否かを判定し、一致しない画素の数が所定数以上になったとき異常が生じたとして、ステップSP25Xを介してステップSP26に移る。
この実施の形態の場合、ステップSP25においてCPU17は、図7(B)において1つの監視対象画像部分J1だけについて示すように、1フレーム分の画像DIPの各監視対象画像部分J1(J2〜J4)について実際に得られた画像データでなる実画像部分K1(K2〜K4)に外接する判定エリアM1(M2〜M4)内に含まれる画素からなる基準画像データ及び検出画像データを、1次監視画像基準データメモリエリア18Aの1次監視画像基準データD1及び1次監視検出画像データメモリエリア18Fの1次監視検出画像データD6から得、この基準画像データと検出画像データとの偏差を各画素について求め、当該偏差が所定のしきい値を超えた画素の数を各実画像部分K1(K2〜K4)ごとに集計する。
当該集計値が所定の許容値を超えたとき、1次監視において当該実画像部分K1〜K4に異常が生じたと判断する。
このような判断をする際に、CPU17は、一致しない画素が所定の画素数以上(この数は操作入力部25においてユーザが指定入力できる)隣接して連結しているときに異常と判定するようになされ、これにより小さいごみなどのノイズがあってもこれを無視するようになされている。
この実施の形態の場合、CPU17は、ステップSP26において異常判定回数をカウントし、当該カウント結果が所定回数、例えば3回以上(3回目を含む)であるか否かの判断をし、否定結果が得られたとき(すなわち1回目又は2回目であるとき)上述のステップSP22Xに戻ってステップSP22X、SP23、SP24、SP25の処理を繰り返す。
かくしてCPU17は、射出成形機本体1の型開動作時の異常検出結果が1回目又は2回目だけであって、3回目には正常であると判断できたときには、当該射出成形製品に対する型開動作に異常は生じなかったと判断するようにし、これにより射出成形機監視装置10が何らかの外乱によって一時的に不安定な異常検出動作をしたとき(例えばキャビティの明るさが一時的に変化したような場合)、これに応動しないようになされている。
かくしてステップSP26において肯定結果が得られると、このことは3回の異常判定処理の結果3回ともに異常であると判定したことを意味し、このときCPU17はステップSP27において異常警告出力を送出する。
ここで異常警告出力の送出方法として、CPU17は、ステップSP25において異常と判定した画素の位置データをフレームメモリ18の1次監視異常画像データメモリエリア18Hに1次監視異常画像データD8として記憶し、この1次監視異常画像データD8を含むフレームデータを画像処理回路13、画像表示回路19を介してビデオ信号VD1にスーパーインポーズしてモニタ20上に表示させるようにし得、かくして射出成形機本体1における異常の発生箇所をモニタ20の表示画面に表示する(例えば異常箇所を高輝度の白色で表示する)ことにより、ユーザが異常の発生箇所を容易かつ確実に判知できるようになされている。
このようにCPU17は、ステップSP27において異常警告出力を送出した後、ステップSP28に移って監視領域の更新が必要か否かの判断をし、ユーザが操作入力部25を用いて監視領域の更新が必要であることを入力したとき、CPU17はステップSP29に移って1次監視領域の更新処理を実行する。
この1次監視領域の更新は、図6(A)に示すように、1フレーム分の画像データDIP内にキャビティを表す監視領域AR1のデータが監視領域メモリエリア18Cに登録されている状態のとき、図6(B)に示すように、監視領域AR1内に外乱映像DTが生じた場合(キャビティ内にある部品の一部が異常に明るい反射を生じたような場合)に、当該外乱映像を簡易に除去できれば、正しい監視動作をすることができる点に着目し、当該外乱映像DTを囲む判定除外領域ARXを設定するような処理をステップSP29の1次監視領域更新処理としてユーザが入力操作部25を操作することにより、フレームメモリ18の1次監視領域データメモリエリア18Dに1次監視領域データD4として記憶する。
このようにしてステップSP28及びSP29において監視領域の更新をすれば、例えば金型を変更したような場合や、外乱光に経時変化が生じたような場合に、1次監視領域データD4の領域については判定動作をしないように除去することにより、その後の監視動作を安定させることができる。
このように1次監視モード時に異常が発生したとき、実際上ユーザは射出成形機本体1の安全扉を開いて手動操作パネル31を操作することにより射出成形機本体1を手動で動作させ、これにより異常の発生原因を手動で除去し、当該作業が終了したとき安全扉を閉めて再度自動監視サイクルに戻す。
ここで射出成形機本体1の安全扉が閉められたとき、射出成形機本体駆動制御装置6は監視制御信号S1としてオン状態に遷移したリセット信号を制御信号入出力部21を介してCPU17に送る。
このときCPU17は、ステップSP30においてオン状態に遷移したリセット信号を受けてステップSP31に移って異常警告出力を消去すると共に、以下に述べるような2次監視動作の確認処理を実行する。
2次監視動作の確認処理において、まずCPU17は、ステップSP32において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を与えることにより、射出成形機本体1を突出し動作させる。
CPU17は、その後ステップSP33においてオペレータが射出成形機本体1の安全扉を閉めることにより射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1としてオフ状態に遷移したリセット信号が与えられたとき、ステップSP34に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を与える。
かくして射出形成機本体1が突出し動作をなし得ない状態にした後、CPU17は、ステップSP34Xにおいて再確認処理をすると共にステップSP35に移ってテレビジョンカメラ11の入力ビデオ信号VD1に基づく入力ビデオデータDATA1として1フレーム分の2次監視検出画像データD7を2次監視検出画像データメモリエリア18G(図3)に入力する。
続いてCPU17は、ステップSP36において2次監視画像処理を実行する。この2次監視画像処理は、CPU17が、2次監視検出画像データメモリエリア18Gに取り込んだ2次監視検出画像データD7を、2次監視基準画像データメモリエリア18Bに格納されている2次監視基準画像データD2と比較するもので、各画素ごとに異常又は正常を表すデータ(「1」又は「0」)をフレームメモリ18の2次監視異常画像データメモリエリア18I(図3)に2次監視異常画像データD9として記憶する。
続いてCPU17はステップSP37において2次監視検出画像データD7に基づいて異常か否かの判断をする。
このときCPU17は異常を表す画素数(異常画像の大きさを表す)が所定値より大きいか否かの判定をし、大きいとの判定結果が得られたとき異常が生じたとしてステップSP38において異常警告出力を送出する。
ここでCPU17は、異常警告出力として、2次監視異常画像データD9のうち異常画素を高輝度にした判定結果画像データDATA2を入力ビデオ信号VD1にスーパーインポーズしてモニタ20上に表示し、これにより1次監視処理の場合と同様にしてオペレータが異常箇所を容易に把握できるようになされている。
その後CPU17は、ステップSP39においてユーザが監視領域の更新処理を指定入力したか否かの判断をし、肯定結果が得られたときステップSP40において2次監視領域の更新処理を実行する。
この2次監視領域の更新処理は、上述のステップSP29において1次監視時の更新処理について上述したと同様にして、2次監視領域データD5を2次監視領域データメモリエリア18Eに記憶することにより、外乱映像を除去するような処理を実行し、これにより1次監視に続いて2次監視においても安定性の高い処理が行えるような条件をユーザが設定できるようになされている。
CPU17は、ステップSP39において否定結果が得られたときには、ステップSP40の2次監視領域更新処理をジャンプする。
かくして2次監視処理結果の確認及び2次監視領域の更新処理が終了し、CPU17はステップSP41において射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1としてオン状態に遷移したリセット信号が到来するのを待ち受け、到来したときステップSP42に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を与えることにより射出成形機本体1を突出し動作させると共に、ステップSP43において射出成形機本体駆動制御装置6の監視制御信号S1としてオフ状態に遷移したリセット信号が到来するのを待ち受け、到来したときステップSP44において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を与える。
かくしてCPU17は、射出成形機本体1を突出し完了時の状態に設定した後、上述のステップSP35に戻ることになる。
このようにしてCPU17は、2次監視処理の結果を再確認すると共に、異常警告出力並びに監視領域更新処理を再確認するような処理を実行する。
やがてCPU17は、ステップSP37において2次監視処理結果が正常であると判断すると、ステップSP45に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締インターロック解除信号を与えた後、上述のステップSP21(図4)における1次監視検出画像データ入力処理に戻る。
(2−3)1次監視正常時の処理及び2次監視処理
CPU17は、図4のステップSP25において1次監視処理の結果が正常であると判断したとき、ステップSP50に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を与えると共に、次のステップSP51において射出成形機本体駆動制御装置6からの監視制御信号S1としてオン状態に遷移した突出し完了信号が到来するのを待ち受ける。
この状態において射出成形機本体1は型開状態から突出し動作をする。
その結果突出し完了信号がオン状態に遷移すると、CPU17は、ステップSP52に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を与えることにより射出成形機本体1を突出し状態のまま保持させる。
続いてCPU17は、ステップSP52Xを介してステップSP53においてテレビジョンカメラ11の入力ビデオ信号VD1に基づいて突出し状態における2次監視検出画像データD7をフレームメモリ18の2次監視検出画像データメモリエリア18Gに取り込んだ後、ステップSP54において2次監視画像処理を実行する。
この2次監視画像処理は、上述のステップSP35及びSP36において上述したと同様にして、2次監視検出画像データメモリエリア18Gの2次監視検出画像データD7を2次監視基準画像データメモリエリア18Bに格納されている2次監視基準画像データD2と画素ごとに比較してその偏差が所定のしきい値を超えたとき異常としかつ超えないとき正常とする2次監視異常画像データD9を2次監視異常画像データメモリエリア18Iに格納するような処理を実行する。
続いてCPU17はステップSP55において2次監視画像処理結果が異常か否かの判断をする。
この判断は、2次監視異常画像データメモリエリア18Iに格納されている2次監視異常画像データD9のうち、異常を表す画素の数(異常部分の大きさを表す)が所定の値より大きいか否かの判断をし、大きいとき異常が生じたと判断して、CPU17は、ステップSP55Xを介してステップSP56に移る。
この実施の形態の場合、ステップSP55においてCPU17は、図7(B)において上述したように、1フレーム分の画像DIPの各監視対象画像部分J1〜J4に対応する画像データでなる実画像部分K1〜K4の外接矩形を有する判定エリアM1〜M4内に相当するエリアに含まれる画素からなる基準画像データ及び検出画像データを、2次監視画像基準データメモリエリア18Bの2次監視画像基準データD2及び2次監視検出画像データメモリエリア18Gの2次監視検出画像データD7から得、この基準データと検出画像データとの偏差を各画素について求め、当該偏差が所定のしきい値を超えた画素の数を各監視対象画像部分J1〜J4ごとに集計する。
当該集計値が所定値を超えたとき、2次監視において実画像部分K1〜K4に異常が生じたと判断する。
続いてステップSP56において当該2次監視回数が3回目になったか否かの判断をし、否定結果が得られたとき上述のステップSP53に戻って再度2次監視検出画像データD7の入力及び2次監視画像処理を実行する。
かくしてCPU17は、テレビジョンカメラ11の入力ビデオ信号VD1に基づく入力ビデオデータDATA1を2次監視検出画像データD7として3回目までフレームメモリ18に取り込むような処理を実行する。
その結果、射出成形機本体1が突出し動作をした後に、射出成形機本体1内に射出成形製品が引っ掛かって1回目の突出し動作では落下しなかったようなときに、2回目、3回目の監視動作をすることにより、当該引っ掛かった射出成形製品を落下させるような処理ができることになり、その結果1回の判定結果によって直ちに異常処理をするのではなく、3回の異常確認処理を繰り返すことにより正常判断結果が得られれば、これを正常として処理し、これにより効率良く2次監視の判定処理を実行できるようになされている。
ステップSP56において肯定結果が得られると、このことは、3回目の2次監視動作をしたときにまだ異常であると判定したことを意味し、このときCPU17はステップSP57に移って異常警告出力を送出する。
このときの異常警告出力は、2次監視異常画像データメモリエリア18Iに記憶している2次監視異常画像データD9のうち、異常を表している画素を高輝度にしてなる判定結果画像データDATA2を画像処理回路13から送出することにより、モニタ20上に突出し状態になっている射出成形機本体2の映像のうち、異常が生じた箇所を高輝度で表示した画像を表示し続けることにより、オペレータが異常の発生箇所を容易に把握できるようにする。
この状態においてCPU17は、ステップSP58に移ってオペレータが異常監視領域の更新を必要としているか否かを判断し、肯定結果が得られたときステップSP59においてフレームメモリ18の2次監視領域データメモリエリア18Eの2次監視領域データD5を、オペレータの更新処理に応じて変更して上述のステップSP52Xに戻る。
かくしてCPU17は、射出成形機本体1が突出し状態において、異常を表す2次監視画像が得られたとき、3回の監視動作を繰り返した後それでも異常な場合に初めて2次監視領域の更新処理を実行する。
この実施の形態の場合、ステップSP59において2次監視領域更新処理を実行した後、CPU17は上述のステップSP30〜SP45の2次監視条件の確認処理を実行するようになされている。
これに対してステップSP55(図4)において正常であるとの結果が得られたとき、このことは射出成形機本体1が型開動作モード時の1次監視画像処理時及び突出しモード時の2次監視画像処理の両方において正常であるとの判定結果が得られたことになり、このときCPU17はステップSP60及びSP61(図5)に移って登録画像の更新処理を実行する。
この登録画像の更新は、現在1次監視基準画像データメモリエリア18Aに格納されている1次監視基準画像データD1を、1次監視検出画像データメモリエリア18Fに格納されている1次監視検出画像データ18Fによって登録し直すと共に、2次監視基準画像データメモリエリア18Bに格納されている2次監視基準画像データD2を、2次監視検出画像データメモリエリア18Gに記憶されている2次監視検出画像データD7によって更新する。
かくして正常動作をしたときの検出画像データを基準データとして保持することにより、例えば外囲光が時間と共に変化したり、射出成形サイクルを繰り返したとき金型の位置が少しずつずれて行くような現象が生じても、当該現象に追従するように基準データを変更して行くことができることにより、実用上十分な精度で射出成形機の監視を続けることができる。
かくして1回の射出成形サイクルが終了したので、CPU17は、ステップSP62において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締インターロック解除信号を与えることにより射出成形機本体1が型締動作をして射出成形工程に入ることができるような状態にした後、上述のステップSP21(図4)に移って次の射出成形サイクルに対する監視動作に入る。
ユーザが操作入力部25を操作することにより射出成形サイクルを終了させる場合には、CPU17はステップSP60(図5)において肯定結果を得ることにより、監視サイクル処理ルーチンRT2のすべての処理を終了して、ステップSP63からメインルーチンすなわち通常監視処理ルーチンRT1(図2)にリターンし、その後ステップSP64において当該通常監視処理ルーチンRT1のすべての処理を終了する。
(3)監視領域の位置補正処理
CPU17は上述の監視サイクル処理ルーチンRT2(図4及び図5)のステップSP22X−SP23−SP24−SP25−SP25X−SP26−SP22Xの一時監視判定サイクルと、ステップSP52X−SP53−SP54−SP55−SP55X−SP56−SP52Xの2次監視判定処理サイクルの処理をする際に、特にステップSP25X及びSP55Xにおいて、図8及び図9に示すような手順で監視領域を位置補正する。
この監視領域の位置補正は、型開動作時及び突出し動作時においてテレビジョンカメラ11の入力ビデオ信号VB1に基づいて得られるビデオデータVATA1において得られる画像データのうち、監視対象となる射出成形製品の位置が多少ずれた場合にも、その影響を受けることなく本来の正常判定結果を得るようにすることにより、異常判定性能を向上させたものである。
1次監視及び2次監視において、図7(A)について上述したように、通常監視処理ルーチンRT1(図2)のステップSP02においてオペレータがテレビジョンカメラ11を設定することにより、1次監視及び2次監視における型開動作時及び突出し動作時に、4つの監視対象画像部分J1〜J4が映出される1フレーム分の画像DIPが得られるように、表示位置P1〜P4の設定をする。
この監視点の設定の後、ステップSP3及びSP7において型開動作時及び突出し動作時の画像データを得ることにより、図7(A)において設定した画像内容を有する1次監視基準画像データD1及び2次監視基準画像データD2をフレームメモリ18に取り込むことができる(ステップSP4及びSP8)。
この1次監視基準画像データD1及び2次監視画像基準データD2に基づいて、CPU17はステップSP25X又はSP55X(図4)に入ると、図7(B)に示すように(4つの監視対象のうちの1つK1のみが示されている)、実際に映出された監視対象の画像、すなわち実画像部分K1(K2〜K4)について、判定エリアM1(M2〜M4)を設定する。
この判定エリアM1(M2〜M4)の設定において、CPU17は図8(A)に示すように、実画像部分K1(K2〜K4)について、これに上下方向から外接する2本の水平方向外接線LH1及びLH2と左右方向から外接する2本の垂直方向外接線LV1及びLV2を求め、図8(B)に示すようにこれら4本の外接線LH1及びLH2並びにLV1及びLV2で囲まれた画像部分を監視対象基準となるテンプレート画像データTPとして得る。
CPU17は、この監視対象基準となる画像データを、テンプレートデータD10としてフレームメモリ18(図3)のテンプレートデータメモリエリア18Kに保持する。
次にCPU17は、図9に示すように、1次又は2次監視検出データD6又はD7(図4のステップSP23又はSP53においてフレームメモリ18に保持されている)について、表示位置P1〜P4の周辺にサーチ範囲SHを設定し、当該サーチ範囲SH内をテンプレート画像データTPによってサーチすることにより、テンプレート画像データTPと1次又は2次監視検出画像データD6又はD7との相関を求める。
ここで監視対象基準となるテンプレート画像データTPは、実際にテレビジョンカメラ11によって撮像して得たビデオデータDATA1に基づいて得た実画像部分K1(K2〜K4)に対する水平方向及び垂直方向外接線LH1及びLH2並びにLV1及びLV2によって囲んだ大きさの画像データであるので、1次又は2次監視動作時に得た1次又は2次監視検出画像データD6及びD7において監視対象として取得されている取得画像データOBの大きさのほぼ同じ大きさになるから、当該取得画像データOBの周囲に適切な広さのサーチ範囲SHを設定すれば、取得画像データOBの監視対象画像部分J1〜J4の表示位置P1〜P4から監視対象が多少位置ずれしたとしても、サーチ範囲SH内の位置ずれとして確認できる。
この実施の形態の場合、サーチ範囲SHの大きさは、表示位置P1〜P4に監視対象基準としてのテンプレート画像データTPをおいたときに、その外接線LH1及びLH2並びにLV1及びLV2に対して上下8画素分の領域をサーチ範囲SHとして設定し、このサーチ範囲SH内を順次1画素ずつずらせながらテンプレート画像データTPを水平サーチ方向d1及び又は垂直サーチ方向d2方向にサーチして行き、各サーチ位置において次式
によって取得画像データOBとテンプレート画像データTPとの近似度を表す相関値Rを求める。
(1)式は正規化相関関係を求める式で、相関値Rをテンプレート画像データTPの各画素の濃度値T(これを明るさ値とも呼ぶ)と、当該テンプレート画像の各画素位置にあるサーチ範囲SH内の1次又は2次監視検出画像データD6又はD7の濃度値(すなわち明るさ値)Sとの相関関係を、テンプレート画像データTPを構成する画素数Nについて求めるものである。
かくしてCPU17は、各サーチ位置において(1)式によって求めた相関値Rのうち、もっとも大きい相関値が得られたサーチ位置に取得画像データOBがあるものとして判定し、当該サーチ位置に1次又は2次監視動作時に監視対象が存在するものとして、図7(C)に示すように監視データの取得位置を監視対象画像部分J1〜J4を設定した表示位置P1〜P4から位置合せ位置P1X〜P4Xに位置合わせをする。
以上の構成において、CPU17は1次監視又は2次監視動作モード時点ステップSP23又はSP53において画像データを取り込んだ後、ステップSP25又はSP55において異常があると判定したとき、ステップSP25X又はSP55Xにおいて、テンプレート画像データによるサーチ処理をすることにより検出された取得画像データOBに位置ずれがあれば、当該位置ずれした監視対象に追従するように監視プレート画像データTPを移動させて再度異常の有無の判定をする。
以上の構成によれば、型開動作時又は突出し動作時における1次又は2次監視をする際に、監視対象が多少ずれたとしても、これに追従するようにテンプレート画像データの位置を補正させるようにしたことにより、監視対象それ自体は正常であるのに位置ずれをしたためにそれが原因で異常と判定するおそれを有効に回避できることにより、一段と異常判定性能を高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
(4)画像データの明るさ修正処理
CPU17は、図4及び図5の監視サイクル処理のステップSP23において1次監視検出画像データを入力したとき、又はステップSP35若しくはSP53において2次監視検出画像データを入力したとき、この1次又は2次監視検出画像データ(以下これを取得画像データとも呼ぶ)と、1次又は2次監視基準画像データ(以下これを基準画像データとも呼ぶ)とを比較処理する)ステップSP24又はSP35若しくはSP53において)前に、画像データの明るさをほぼ一致させるような明るさ修正処理を実行する。
この明るさ修正処理は、基準画像データと取得画像データとをフレームメモリ18に取り込んだ時の外光の明るさに変化があった場合に、これを放置すると当該明るさの変化が比較結果に影響が出るおそれがあるから、これを回避するため、基準画像の明るさと取得画像の明るさが異なる場合には、暗い方の画像の明るさを明るい方の明るさとほぼ同等になるように明るさを修正することにより明るさを互いに合わせた後、比較処理を行うようにする。
(4−1)有効画像データの抽出処理
CPU17は、図10(A)〜(D)に示す手順により基準画像及び取得画像についてそれぞれ画素の明るさ分布を表すヒストグラムに基づいて適正な範囲にある明るさをもつ画像について平均明るさデータを取得するようにする。
すなわち、CPU17は、まず図10(A)に示すように、基準画像データ又は取得画像データから明るさに基づくヒストグラム曲線HOを求める。
このヒストグラム曲線HOは、基準画像又は取得画像を構成する各画素の現実的な明るさの度数分布を得たものであるから、当該基準画像又は取得画像の画像内容を表している。
このヒストグラム曲線HOに対してCPU17は、図10(B)に示すように、明るさ下限値B1以下の画素に対応する曲線部分を削除したヒストグラム曲線HO1を得、これにより異常判定をするについて特徴的ではない画像部分のデータを除去する。
またCPU17は図10(C)に示すように、ヒストグラム曲線HOのうち、明るさ上限値B2以上の曲線部分の画像データを削除して図10(D)に示すヒストグラム曲線HO2を得る。
この明るさ上限値B2より明るい画像部分は、テレビジョンカメラ11によって撮像した撮像対象のうち、極端に明るい部分については、ビデオデータDATA1が飽和していることが多く、そのため撮像対象の明るさ情報に対応した明るさではない可能性が大きい部分であるので、これを削除して処理すべきデータ量の適正化を図る。
かくしてCPU17は図10(D)に示すように、不要部分を削除したヒストグラム曲線HO3を得、当該ヒストグラム曲線HO3に基づいて全ての画素についての明るさの総和値を求めると共に、これを基準画像又は取得画像の画素数で乗算することにより明るさ平均値を求め、これを当該基準画像又は取得画像の明るさとして規定する。
(4−2)キャビティ除去処理
この実施の形態の場合、当該平均明るさデータの取得処理は、図11(A)に示す基準画像データIM1について、この基準画像データIM1に含まれているキャビティ部分CV1を除去したキャビティ除去基準画像データIM1Xについて行う。
また図11(B)に示す取得画像データIM2についても、そのキャビティ部分CV2を除去したキャビティ除去基準画像データIM2Xについて平均明るさデータの取得処理を行う。
ここで基準画像データIM1は上述の通常監視処理ルーチンRT1(図2)のステップSP4又はSP8において登録された1次監視画像データ(型開時の画像データ)又は2次監視画像データ(突出し動作時の画像データ)を示す。
また図11(B)の取得画像データIM2は、上述の監視サイクル処理ルーチンRT2(図4及び図5)のステップSP23における1次監視検出画像データ(型開動作時の画像データ)又はステップSP35若しくはSP53における2次監視検出画像データ(突出し動作時の画像データ)を表す。
この基準画像データIM1又は取得画像データIM2において、異常の判定は、キャビティ部分CV1及びCV2における画像の変化、すなわち取得画像データIM2内のキャビティ部分CV2の画像が基準画像データIM1のキャビティ部分CV1の画像からの変化の有無を検出するものであり、そのため基準画像データIM1と取得画像データIM2との差を求めている。
従って基準画像データIM1と取得画像データIM2との間に画像の明るさに差があれば当該画像の明るさの差がキャビティ部分CV1及びCV2の比較の際に影響を生ずる。
ここで基準画像データIM1及び取得画像データIM2の明るさの差は、可動側型2の画像のうちキャビティ部分CV1及びCV2以外の金型表面部分SA1及びSA2の明るさによって決まるので、明るさ修正処理には、キャビティ除去基準画像データIM1X及びキャビティ除去取得画像データIM2Xのように、基準画像データIM1及び取得画像データIM2からキャビティ部分CV1及びCV2を除去した画像データを用いる。
かくしてキャビティ除去基準画像データIM1X及びキャビティ除去取得画像データIM2Xの平均明るさ値に基づいて次式
によって変換比Mを求める。
(2)式においてDAはキャビティ除去基準データIM1X及びキャビティ除去取得データIM2Xのうち、明るい方の平均明るさ値を示し、DBは暗い方の平均明るさ値を示す。
かくして暗い方の平均明るさ値DBに対する明るい方の平均明るさ値DAの比率である変換比Mを用いて、基準画像データIM1及び取得画像データIM2のうち暗い方の平均明るさ値DBを有する画像データの各画素について、次式
によって明るさ変換値Viを求める。
(3)式において明るさ値i=0〜255の画素について、これに変換比Mを乗算して当該画素の明るさをViに変換し、これにより基準画像データIM1及び取得画像データIM2の画像の明るさは、明るい方の画像データに一致するような修正がなされる。
この結果基準画像データIM1のキャビティCV1に表示される監視対象が、取得画像データIM2のキャビティ部分CV2内にも存在すれば、キャビティ部分CV1及びCV2の監視対象の明るさは一致することにより異常が生じていないと判定できる。
これに対して基準画像データIM1のキャビティ部分CV1と取得画像データIM2のキャビティ部分CV2の監視対象に明るさの差があれば、取得画像データIM2に異常が発生したと判定できる。
かかる異常の判定をするにつき、キャビティ除去基準画像データIM1X及びキャビティ除去取得画像データIM2Xの金型表面部分SA1及びSA2の明るさの差を(2)式及び(3)式によって修正したことにより、キャビティ部分CV1及びCV2の比較処理に当該明るさの差が含ませないようにできることにより、異常の判定処理精度を一段と高めることができる。
(4−3)金型表面の異常反射画像抑制処理
この画像処理は、図12(A)に示すように、基準画像データIM1のように金型表面部分SA1の中央部分にキャビティ部分CV1を有する基準画像データIM1に対して、金型表面部分SA2内にキャビティ部分CV2によって射出成形製品を射出成形した後の取得画像データIM2を得た際に、取得画像データIM2の金型表面部分SA2に表面の凹凸の反射光に基づいて凹凸部K1が生じたような場合、CPU17はまず基準画像データIM1と取得画像データIM2との絶対値差分画像データIM11を得る。
この絶対値差分画像データIM11は、基準画像データIM1のキャビティ部分CV1と取得画像データIM2のキャビティ部分CV2との絶対値差画像データでなるキャビティ部CV3を有すると共に、取得画像データIM2の金型表面部分にSA2に存在する凹凸部K1に対応する凹凸部K1Xの画像部分も現れる。
この処理とは別に、CPU17は図12(B)に示すように、基準画像データIM1と取得画像データIM2について、対応する画素ごとに明るさの大きい方の明るさ値をもつ最大値画像データIM12を得る。
CPU17はこの最大値画像データIM12に基づいて、図12(C)に示すように、2値化レベル画像データIM13を得る。
この二値化レベル画像データIM13は最大値画像データIM12の各画素の明るさデータに対して〔感度/128〕の値を乗算したものである。
CPU17はこの2値化レベル画像データIM13に対して、図12(D)に示すように、膨脹フィルタ処理を行うことにより、2値化レベル画像データIM13に含まれている画像要素、すなわち金型凹凸部K4と、キャビティ部CV5との画像部分を膨脹処理をしてなる膨脹フィルタ画像データIM14を得る。
この膨脹処理は、膨脹フィルタとしてフィルタサイズ5×5、3×3の2種類のフィルタを1回ずつ使用して、当該フィルタサイズ範囲内の最も明るい画素に対象画素を置き換えるような処理を実行する。
その後CPU17は図12(E)に示すように、図12(A)について上述した絶対値差分画像データIM11から、図12(D)について上述した膨脹フィルタ画像データIM14を減算処理する(各画素ごとに明るさデータの減算処理をする)ことにより、反射部除去画像データIM15を得る。
この減算処理の結果得られる反射部除去画像データIM15は絶対値差分画像データIM11にあるキャビティ部分CV3と、膨脹フィルタ画像データIM14内にあるキャビティ部分CV6との減算結果を表すキャビティ部分CVを含んでいるが、絶対値差分画像データIM11の凹凸部K2に対して最大フィルタ画像データIM14の凹凸部K5を減算することにより、反射部除去画像データIM15には、キャビティ部CV7と比較して凹凸分K6の横幅を大幅に低減することができる。
その後CPU17は、この反射部除去画像データIM15について、図13(A)に示すように所定のしきい値で2値化処理を行うことにより、キャビティ部CV8が鮮明に現れた2値化画像データIM16を得る、当該2値化画像データIM16を取得画像データIM2の代わりに用いて異常判定処理を行うことにより、凹凸部K7の影響を受けない異常判定処理を行い得る。
しかしながら、二値化画像データIM16の凹凸部K7の画像データが十分に低減しきれなかった場合には、CPU17は図13(B)に示すように、当該二値化画像データIM16に対して収縮、膨脹処理を行うことにより、二値化画像データIM16に低減しきれずに残っていた凹凸部K7が除去されて、キャビティ部CV9を鮮明に表示した結果画像データIM17を得ることができる。
以上の構成によれば、基準画像データ及び取得画像データのうちキャビティ部分を除去した画像部分の第1及び第2の画像平均明るさ値に基づいて当該画像部分の平均明るさ値を互いに合わせて基準画像データ及び取得画像データを比較処理をするようにしたことにより、異常判定結果の精度を一段と高めることができる。
かくするにつき、たとえ金型の表面に凹凸部があるために取得画像データIM2に、基準画像データIM1には存在しない凹凸部による反射光に基づく凹凸部K1が混入していたとしてもこれを確実に低減ないし除去することにより異常判定処理の障害にさせないようにできる。
図13(B)の収縮、膨脹処理は処理レベル8近傍で行い、その処理回数は設定値により任意回数(標準は1回)だけ行われる。
この結果キャビティ部CV9の画像部分があらかじめ設定されたNG除去値以下になった場合には、当該射出成形サイクルにおいて製造された製品は不良品として除去することになる。
(5)明るさ設定処理
CPU17は、図2の通常監視処理ルーチンRT1の明るさ設定処理ステップSP01に入ると、図14に示す処理を実行する。
CPU17は、明るさ設定処理ステップSP01に入ると、まずステップSP70において、モニタ20に図15に示すレンズ調整画面DIPXを表示する。
このレンズ調整画面DIPXは、現在テレビジョンカメラ11によって撮像している可動側型2の映像を表示するもので、図15の場合、可動側型2の中央部に設定された金型41の表面が映出される。
金型41に形成されたキャビティ42には射出成形製品は存在しない状態にあり、従ってレンズ調整画面DIPXとしては、可動側型2の表面と、金型41の表面とが映出されている。
この状態において、CPU17はステップSP71において次式
に基づいて、「全画素の明るさ値の総和」を、「全画素数」で割算することにより「平均明るさ値」を求める。
この実施の形態の場合、テレビジョンカメラ11によって撮像されたビデオ信号VD1に基づいて画像入力回路12において得られる画像データDATA1は、横640画素、縦480画素の画像データでなり、その明るさは0〜255の明るさ値に変換され、当該変換結果0〜255の数値がレンズ調整画面DIPXに設けられた明るさ表示欄43に数値表示される。
かくしてユーザは、モニタ20のレンズ調整画面DIPXを見ることにより、現在、可動側型2に全体の明るさを、レンズ調整画面DIPXの明るさ表示欄43に表示された数値を見ることにより、的確にレンズ調整画面DIPXの明るさを読み取ることができる。
続いてCPU17は、SP72に移って当該平均明るさ値を決定するか否かの判断をする。
このステップSP72における判断は、明るさ表示欄43を見たオペレータが、操作入力部25に設けられている決定ボタンを操作したか否かを確認するもので、否定結果が得られたときオペレータが操作をしなかったと判断して、ステップSP73のレンズ調整処理に入る。
このステップSP73のレンズ調整処理は、オペレータがテレビジョンカメラ11のレンズの絞りを操作することにより、テレビジョン映像信号VD1、従ってレンズ調整画面DIPXの全体の明るさを調整する。
このステップSP73の調整操作が終わると、CPU17は上述のステップSP70に移って調整後のレンズ調整画面DIPXをモニタ20に表示すると共に、ステップSP71において平均明るさ値を求めて明るさ表示欄43の数値表示を更新する。
かくしてオペレータは絞りの調整結果をレンズ調整画面DIPXの明るさ表示欄43の数字の変化として確認することができる。
この確認の結果オペレータが操作入力部25の決定ボタンを操作すれば、CPU17はステップSP72において肯定結果を得ることにより当該明るさ設定処理ステップSP01を終了してステップSP74からメインルーチンに戻る。
以上の構成によれば、オペレータはレンズ調整画面DIPX上に設けられた明るさ表示欄43に数値表示された明るさを確認しながらレンズ調整画面DIPXの明るさを調整することができることにより、テレビジョンカメラ11による撮像の結果得られる画像データDATA1の明るさを適正に調整できる。
因みに従来この種の射出成形機監視装置10においては、テレビジョンカメラ11の絞りの調整はオペレータの勘に任せていたために、オペレータが変われば必ずしも適正な明るさで以後の以上監視処理を行えなくなる恐れがあるが、レンズ調整画面DIPXの明るさを数値化してオペレータに確認させるようにしたことにより一段と調整精度を向上させることができる。
かくするにつき、(4)式の演算を100〔ミリ秒〕程度の細かい間隔で実行表示させるようにすれば、明るさの調整は一段と応答性良く行うことができることにより、撮像対象となる可動側型2の構成に微妙に適合させた調整を行うことができる。
(6)感度補正表示処理
CPU14は、通常監視処理ルーチンRT1(図2)の感度補正処理ステップSP12において、モニタ20に、図6に示すような感度設定画面DIPYを表示する。
感度設定画面DIPYは、上述のステップSP1〜SP11における処理によって1次監視画像データとして登録された画像データを用いて、図16に示す感度設定画面DIPYを表示する。
感度設定画面DIPYは、監視領域AR1内の監視映像部分について、金型51の映像部分にキャビティ50の映像部分を表示した画像を有する。
これに加えて感度設定画面DIPYは、監視領域AR1の外側に感度設定操作アイテム52を表示する。
感度設定操作アイテム52は上向きの三角表示子でなる感度高上操作子53と、下向き三角表示子でなる感度低下操作子54とを有し、オペレータは感度を上げるときには感度高上操作子53を操作すればよく、これとは逆に感度を低下させるときには感度低下操作子54を操作すればよい。
感度設定画面DIPYは、CPU17が監視サイクル処理ルーチンRT2(図4、図5)において2次監視画像について異常か否かの判断をするステップSP37(図5)又はSP55(図4)における感度を設定するもので、射出成形機本体1が突出し動作をしたとき、キャビティ50に射出成形製品が残っているか(このとき異常と判定する)、又は突き落とされて残っていないか(このとき正常動作したと判定する)かを判断する際に必要な感度を設定するために用いられる。
この2次監視画像処理においては、突出し動作時に取得した画像データを基準データと比較して監視領域AR1に内に明るさの変化が生じたか否かによって異常の判定をするので、適正な感度としては、金型51の表示部分においては輝度差を生ずるような部分はないことが望ましく、部分的に輝度があるような画像が得られたときには、2値化画面処理をするときの2値化処理しきい値レベルを上げることにより、感度を低くする。
これにより、金型51の部分は常に一様に、論理「1」の明るさになる画面が得られる。
これに対して、キャビティ50の画像部分においては、部分的に輝度差があれば、これを見落とすことなく表示できる程度の感度が必要であるので、キャビティ50の部分に輝度差が生じないような感度では不適正であるので、2値化処理しきい値レベルを下げることにより感度を高上させる。
この実施の形態の場合、ユーザが感度設定操作アイテム52を操作することにより感度を上げた場合には、キャビティ50の表示部分の面積が、感度の高さに応じて面積が大きくなるように表示し、これに対して感度を下げた場合には当該下げた感度に応じてキャビティ50の面積を小さくする。
かくしてユーザはキャビティ50の大きさの変化を見て自分の操作に応じて感度が設定されていることを容易に確認できるようになされている。
以上の構成において、感度補正処理SP12に入るとCPU17はモニタ20に感度設定画面DIPYを表示してユーザが感度設定操作アイテム52を操作できるような状態にする。
このとき当該感度設定画面DIPYを表示開始したときのデフォルトの感度は中間値に設定されており、当該デフォルトの感度で良い場合には当該感度補正操作をすることなく感度補正処理を終了させれば良い。
これに対して感度の補正が必要な場合には、ユーザは感度設定操作アイテム52の感度高上操作子53又は感度低下操作子54を、キャビティ50の大きさの変化を見ながら、操作することにより感度調整を行う。
以上の構成によれば、ユーザはモニタ20上に表示された感度設定画面DIPYを見ながら直感的に2次監視時の感度レベルを容易に設定することができる。
(7)再確認処理
CPU17は図4及び図5の監視サイクル処理ルーチンRT2の処理を行う際に、射出成形機本体1が型開動作をしたとき、ステップSP22Xにおいて図17に示す1次監視再確認処理を実行し、また射出成形機本体1が突出し動作をしたとき、ステップSP34X又はSP52Xにおいて図18に示す2次監視再確認処理を実行する。
この再確認処理は射出成形機本体1に、補修作業用に設けられている安全扉が閉動作していることを確認するまで、射出成形機監視装置10の監視動作を行わずに待機させ、これにより射出成形監視動作の一段の安全を図るものである。
CPU17は、監視サイクル処理ルーチンRT2の、ステップSP21において、型開限信号オン待ち状態にある場合に、図17(A)に示すように時点t1において型開限信号IN−1がオン動作したとき(射出成形機本体1が型開動作に入っていることを表す)、ステップSP22に移って型締めインタロック設定信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えた後、ステップSP22Xにおいて再確認処理動作に入る。
すなわちCPU17は、図17(A)に示すように、型開限信号IN−1が時点t1においてオン動作した後、図17(B)に示すように安全扉信号IN−3の動作状態を確認し、当該安全扉信号IN−3が時点t2においてオフ動作した後時点t3においてオン動作するまでの間(安全扉が閉ってから開くまでの間)図17(C)に示すように、1次監視動作をしない動作状態に射出成形機監視装置10を抑制した状態に維持させる。
実際上、安全扉信号IN−3がオフ動作しているときは、射出成形機本体1の安全扉を開いて保守点検作業をしている状態にあり、従って射出成形機監視装置10が自動的に射出成形監視動作を行うと不都合が生ずるおそれがあり、この状態をCPU17は安全扉スイッチ7から送出される安全扉信号IN−3がオフ動作したことに基づいて確認する。
その後の時点t3において安全扉信号IN−3がオン動作したとき、CPU17は、安全扉7が閉じられたことにより当該保守点検作業が終了したことを確認し得、このときCPU17が当該再確認処理ステップSP22Xを終了してSP23に移って以後1次監視動作を実行する。
またCPU17は、射出成形機本体1が突出し動作をするとき、上述のステップSP34において突出しインタロック設定信号を与えた後、ステップSP34Xにおいて再確認処理を実行する。
この場合CPU17は、図18(A)に示すように時点t11において突出し完了信号IN−2がオン状態になった場合(射出成形機本体1が突出し動作に入っていることを表す)、図18(B)に示すように安全扉信号IN−3が時点t12においてオフ状態に切り換わった後時点t13においてオン状態に切り換わるまでの間、図18(C)に示すように、2次監視動作を始動させない状態に維持する。
かくして射出成形機本体1がオペレータが安全扉を開いて保守点検作業をしたような場合には、安全扉スイッチ7がオフ状態になることによりこれをCPU17が安全扉信号IN−3がオフになることにより確認として射出成形機監視装置10を2次監視動作をしないような待機状態に保持させる。
その後図18(B)に示すように、時点t13において安全扉信号IN−3がオン状態に切り換わると、CPU17は図18(C)に示すように2次監視動作を監視する。
かくして射出成形機本体1が突出し動作をしたとき、CPU17安全扉が開いた状態では2次監視動作を行わないようにしたことにより、射出成形機本体1の安全を十分に確保することができる。
CPU17はステップSP50〜SP52において突出し動作をする際にも図18(A)〜(C)について上述したと同様に射出成形機本体1の安全の再確認動作をする。
以上の構成によれば、射出成形機本体1が型締動作又は突出し動作状態にあるとき、オペレータが安全扉を開いて保守点検作業した場合に、これをCPU17が確認してその後に続く1次監視処理又は2次監視処理をしない待機状態に射出成形機監視装置10を制御することにより一段と安全性を高めることができる。
(8)2次監視処理の他の実施の形態
(8−1)図19は2次監視処理の他の実施の形態を示すもので、図4の監視サイクル処理ルーチンRT2のうち、ステップSP53−SP54−SP55―SP55X−SP56−SP57の、入結合子T1から出結合子T2及びT3までの間の処理を、図19に示す処理に置き換える。
図19において、CPU17は、入結合子T1から2次監視処理に入ると、まずステップSP71において2次監視タイマを起動する。
2次監視タイマは、射出成形機本体1が型開動作をしてステップSP52(図4)において突出しインターロック設定信号を射出成形機監視装置10から受けている状態において、射出成形機監視装置10が2次監視処理をするために必要な最大許容時間を計時するもので、CPU17は、フレームメモリ18(図3)の2次監視タイマデータメモリ部18Lに予め格納されている2次監視タイマデータD11を減算処理することにより計時動作をする。
2次監視タイマを起動した後、CPU17は、ステップSP72において2次監視検出画像データD7をフレームメモリ18の2次監視検出画像データメモリ部18Gに入力した後、ステップSP73において2次監視基準画像データメモリ部18Bに格納されている2次監視基準画像データD2と比較することにより、2次監視画像処理を行う。
CPU17は、このステップSP73の2次監視画像処理の結果が異常か否かをステップSP74において判定し、異常との判定結果が得られたときステップSP75において判定繰り返し回数が限界回数N回になったか否かを判断し、否定結果が得られたとき上述のステップSP72に戻ってSP72−SP73−SP74−SP75―SP72の異常時の2次監視処理ループ(これを2次監視サイクル手段と呼ぶ)を繰り返す。
かくしてCPU17は、図20(A)において、2次監視タイマ信号S11が起動時点t21においてオフ状態からオン状態に切り換わった後、2次監視終了時点tNXにおいて2次監視タイマ設定時間が経過するまでの間、図20(B1)、(B2)……(BN)に示すように、処理ループ時間信号S121、S122……S12NによってN回の処理を繰り返す。
このようにCPU17がN回の2次監視画像処理を行ったにも関わらずステップSP74において異常との判定結果しか得られなかった場合、CPU17は図20(C)に示すように、判定信号S3として常時異常を表わす信号を出力するとともに、図20(D)に示すように次サイクル起動信号S4として停止を指令する信号を送出し続ける。
この状態のままやがて最後の処理ループ時間信号S12Nが送出された後、2次監視タイマが2次監視終了時点tNXにおいて計時動作を終了すると、CPU17はステップSP76において肯定結果が得られることにより、次のステップSP77において異常警告出力S5を送出し(図20(E))、出結合子T2を介して上述のステップSP58(図4)の処理に移る。
かくしてCPU17は、2次監視タイマが起動した後、2次監視終了時点tNXにおいて計時動作を終了するまでの間、ステップSP74において異常の判定結果が得られたときには、2次監視タイマの計時動作が終了するのを待ってその経過後異常警告出力S5を出力する。
これに対して、CPU17は、図21(A)に示すように、時点t21において2次監視タイマが起動動作することにより、処理ループ時間信号S121、S1222……S12Nを順次発生させようとするとき、ステップSP74において正常であるとの判定結果が得られたとき、CPU17は当該正常との判断結果が得られたタイミングで出結合子T3を介して次の処理ステップに移る(この処理ループを2次監視動作終了手段と呼ぶ)。
図4の実施の形態の場合、CPU17が出結合子T3から次のステップに移ったとき、CPU17の処理は図5のステップSP60において当該監視サイクル処理ルーチンRT2が終了か否かの判断をする状態に移行する。
このステップSP60の処理への移行の条件は、CPU17がステップSP74において正常との判断結果が得られることで、図21(A)の時点t21において2次監視タイマS11が計時動作を開始した後、図21(B)の第1回目の処理ループ時間S121の間のステップSP74の判断が正常であったときには当該1回目の処理ループ時間S121が終了したとき図21(C)に示すように正常を表わす判定信号S3が得られることにより、CPU17はそのタイミングで図21(D)に示すように、次サイクル起動信号S4を起動指示状態に立ち上げることにより、次点t22において直ちに次サイクルの起動動作に入る。
この時CPU17は異常の判断結果が得られたとき実行するステップSP77の処理を行わないことにより、図21(E)に示すように異常警報出力S5を立ち上げないまま当該監視サイクル処理ルーチンRT2を終了させる。
CPU17は、上述のように最初から異常判断ステップSP74において正常であると判断した場合ばかりではなく、処理ループ時間S122、S123、……S12Nのいずれかにおいて正常との判断結果が得られれば、図21(C)において破線で示すように、当該判断結果が得られたタイミングで判定信号S3が正常出力状態に切り換わることにより、そのタイミングで次のステップに移行することができる。
かくして図19ないし図21の構成によれば、図4の入結合子T1から出結合子T2に至るまでの間の2次監視処理動作においてステップSP74の処理のタイミングで正常との判断結果が得られない限りステップSP72−SP73−SP74−SP75−SP72のループの処理を繰り返すが、その結果ステップSP74において正常との判断結果が得られたときそのタイミングで直ちに(2次監視タイマS11が計時動作を終了する時点tNXになる前に)次のステップに移行できることにより、一段と効率よく2次監視処理を実行できる。
もちろん2次監視タイマが計時動作を終了する前に異常検出繰り返し動作が極限回数Nに到達した時には、CPU17はステップSP77において異常警告出力を送出して監視サイクル処理ルーチンRT2の次のステップに移行する(この処理ループを異常警告出力手段と呼ぶ)。
以上の構成によれば、2次監視処理においてCPU17は、正常との判断結果が得られない限り繰り返し異常判定動作を行うのに対して、正常との判断結果が得られた時には、それがたとえ1回目又は2回目などのような早いタイミングであっても直ちに次の処理サイクルに移行できるので、2次監視処理を安全かつ効率的に実行できるといった効果を得ることができる。
(8−2)図22は、監視サイクル処理ルーチンRT2のうち、図5の入結合子T4から出結合子T5及びT6に至るまでの2次監視処理についての実施の形態を示すもので、図19との対応部分に同一符号を付して示すように、CPU17は図5の入結合子T4に入った後出結合子T5から次の処理サイクルに移行するまでの間図19と同じようにステップSP71からステップSP77までの処理を行う。
かくしてステップSP74において正常であるとの判断結果が得られた時CPU17は出結合子T6を介して図19について供述したと全く同様にして次の処理サイクルに移行する。
図22の構成によっても、図19について上述したと同様にCPU17は安全かつ効率よく2次監視処理を行うことができる。