ところで、オブジェクトの構造強度など、CAE(Computer Aided Engineering)解析を実行する際には、例えば、時間経過又は周波数と変位とを解析条件として与え、その解析条件に基づいて構造体の変化などを市販のシミュレーションプログラムにより解析することがある。このような場合、シミュレーションプログラムで定義されている形式で解析条件のデータを作成する必要があり、データの並びなどに専門的な知識を要したり、解析条件データの作成に長時間かかるなど、CAE解析を実行することが容易でないことがあった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を提供することを主目的とする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の情報処理プログラムは、
有限要素法により構造体をCAE解析するプログラムであるCAE解析実行プログラムの実行条件入力を支援する情報処理プログラムであって、
CAE解析を行う対象である構造体のデータである構造体データを指定する構造体データ指定領域と、構造体へ与える変動値と変動項目とを含む変動条件を入力する変動条件入力領域と、を1つの画面に配置し各々の領域に対応する設定値を入力可能な解析条件設定画面を表示する表示制御モジュールと、
前記解析条件設定画面において、構造体データ指定領域で前記構造体データがユーザーにより指定され、CAE解析に用いる変動項目と変動値との関係をユーザーが認識可能な形式で該変動項目と該変動値とを格納した変動元条件データに格納されている前記変動項目及び変動値の情報が前記変動条件入力領域へユーザーにより入力されたあと、該入力された内容と、変動元条件データとに基づいて、前記変動値の記述状態を前記CAE解析実行プログラムにより定義され該CAE解析実行プログラムのCAE解析の実行条件が記述されている解析条件データの形式に変更して該解析条件データを生成する解析条件データ生成モジュールと、
前記生成した解析条件データを出力する出力モジュールと、
を備えたものである。
この情報処理プログラムは、構造体データを指定する構造体データ指定領域と、構造体へ与える変動条件を入力する変動条件入力領域と、を1つの画面に配置し各々の領域に対応する設定値を入力可能な解析条件設定画面を表示する。次に、解析条件設定画面において、構造体データがユーザーにより指定され、変動項目、変動値などの変動条件がユーザーにより入力されたあと、入力内容と変動元条件データとに基づいて、ユーザーが認識可能な形式の変動元条件データを解析条件データの形式に変更して生成する。そして、生成した解析条件データを出力する。このように、ユーザーが認識可能である形式の変動元条件データを用いるため、より容易に変動元条件データを作成することができる。また、変動元条件データからCAE解析実行プログラムの形式に合わせて解析条件データを出力するため、例えばユーザーが手作業で行うのに比して、より容易に解析条件データを作成することができる。したがって、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。ここで、変動元条件データは、人工的に作成されたデータとしてもよいし、実際の構造体を測定して得られたデータとしてもよい。また、変動項目は、変動値が与えられる構造体の位置と対応しているものとしてもよい。
なお、本発明の情報処理プログラムは、1以上のコンピュータに実現させるものとしてもよい。即ち、この情報処理プログラムは、1つのコンピュータに実行させてもよいし、複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させるものとしてもよい。また、この情報処理プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。
本発明の情報処理プログラムにおいて、前記解析条件データ生成モジュールは、前記解析条件データを生成するに際して、変動値の時間値及び/又は周波数値と該変動値とを各変動項目ごとに配列して表示可能な変動元条件データから、CAE解析実行プログラムに定義され該時間値及び/又は周波数値と該変動値とが混在して配列して表示される前記解析条件データを、該時間値及び/又は周波数値と該変動値との配列を組み替えることにより該解析条件データを生成するものとしてもよい。こうすれば、変動値の時間値や周波数値と変動値との関係などを確認しやすいため、変動元条件データを作成しやすい。また、このように、CAE解析実行プログラムに定義された解析条件データが時間値や周波数値と該変動値との配列が混在するという作成が困難である場合に、解析条件データをより容易に作成することができ、ひいては、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。
本発明の情報処理プログラムにおいて、前記解析条件設定画面の変動条件入力領域は、前記構造体の節点情報と変動方向と変動種別と前記変動元条件データの変動値の参照列とを含む入力セルをマトリックス状に配置しているものとしてもよい。こうすれば、変動条件の入力位置をユーザーがより確認しやすく、解析条件データをより容易に作成することができ、ひいては、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。ここで、構造体の節点情報は、変動を加える構造体の位置に対応付けられているものとしてもよい。
本発明の情報処理プログラムにおいて、前記解析条件設定画面には、CAE解析を行う種別を設定する解析種別設定領域と、前記解析種別に対応する前記構造体の拘束条件を入力可能な拘束条件付加入力欄と、が配置されており、前記解析条件データ生成モジュールは、前記解析種別設定領域で解析種別がユーザーにより設定され、前記拘束条件付加入力欄に拘束条件がユーザーにより入力されたあと、該設定された解析種別と、該入力された拘束条件とを用いて前記解析条件データを生成するものとしてもよい。こうすれば、例えば構造体データ側で拘束条件を設定していない場合であっても、解析条件データ側で拘束条件を設定可能であるため、構造体データ側での拘束条件の変更を伴わずに済み、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。
本発明の情報処理プログラムにおいて、前記解析条件設定画面には、CAE解析の計算を行う範囲を設定する計算範囲設定領域と、CAE解析を実行した計算結果のデータ容量の予測値である予測容量を表示する予測容量表示欄とが配置されており、前記解析条件データ生成モジュールは、前記計算範囲設定領域で前記計算範囲がユーザーにより入力されると、計算範囲と予測容量との対応関係を含む予測容量対応情報と、前記計算範囲とを用いて、該計算範囲に対応する予測容量を求め、前記表示制御モジュールは、該求めた予測容量を前記予測容量表示欄に表示させるものとしてもよい。CAE解析では、計算範囲によっては、計算結果を得るのに予想外に膨大な時間がかかったり、計算結果が予想外に膨大なデータ容量となることがある。ここでは、予測容量対応情報を用いて予測容量を表示するため、専門知識がなくとも計算範囲の妥当性を判断しやすく、ひいては、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。このとき、前記解析条件設定画面には、CAE解析により出力する内容を設定する出力要素設定領域が配置されており、前記解析条件データ生成モジュールは、前記出力要素設定領域で前記出力要素がユーザーにより入力されたあと、前記予測容量対応情報と、前記計算範囲と、前記出力要素の情報を用いて、該計算範囲に対応する予測容量を求めるものとしてもよい。CAE解析では、出力要素の種類の大小によっても、計算時間やデータ容量に影響することがある。ここでは、出力要素を加味して予測容量を表示するため、専門知識がなくとも出力要素の妥当性をより判断しやすく、ひいては、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。ここで、前記予測容量対応情報と、前記計算範囲と、前記出力要素の情報を用いて、該計算範囲に対応する予測容量を求めるに際して、複数の出力要素の各々に対して前記予測容量対応情報と前記計算範囲とを用いて出力要素ごとの予測容量を求め、該予測容量を加算して前記計算結果のデータ容量の予測値である予測容量を求めるものとしてもよい。
本発明の情報処理プログラムにおいて、前記解析条件設定画面には、現在入力されているCAE解析の実行条件のうち変動項目及び変動値に関する情報を用い、変動項目及び変動値に関する情報を格納した変動条件データを保存実行する保存実行キー、が配置されており、前記解析条件データ生成モジュールは、前記変動条件入力領域に対して、前記変動元条件データに格納されている前記変動項目及び変動値の情報が入力され前記保存実行キーが押下されると、現在入力されているCAE解析の実行条件のうち変動項目及び変動値に関する情報を用いて変動条件データを作成し、保存するものとしてもよい。こうすれば、現在の変動項目及び変動値をあとで利用することが可能であるため、より容易に解析条件データを作成することができ、ひいては、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。ここで、「キー」とは、例えば、マウスのクリックやキーボードのエンターキーの押下など、入力装置の選択操作に応じて予め定められた処理を開始するものをいい、例えばボタンやアイコンなどの画像、ハイパーリンクなどの文字などを含む。また、変動条件データは、データを記憶可能な記憶手段に記憶されるものとしてもよい。このとき、前記解析条件設定画面には、既に保存されている前記変動条件データを読み出す読出実行キー、が配置されており、前記解析条件データ生成モジュールは、前記読出実行キーが押下されると、前記保存されている変動条件データに格納されている前記変動項目及び変動値に関する情報を読み出し、該読み出した情報を前記変動条件入力領域へ入力するものとしてもよい。こうすれば、変動条件データを利用して変動項目及び変動値を解析条件データに入力可能であるため、更に容易に解析条件データを作成することができ、ひいては、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。このとき、読出実行キーを押下したのち1以上の変動条件データを選択可能なメニューを表示し該メニューで選択された変動条件データの内容を読み出して変動条件入力領域へ入力するものとしてもよい。
本発明の情報処理プログラムにおいて、前記解析条件設定画面は、CAE解析を行う対象である構造体のデータである構造体データを指定する構造体データ指定領域と、CAE解析を行う種別を設定する解析種別設定領域と、構造体へ与える変動値と変動項目とを含む変動条件を入力する変動条件入力領域と、CAE解析の計算を行う範囲を設定する計算範囲設定領域と、CAE解析により出力する内容を設定する出力要素設定領域と、を含み、前記構造体データ指定領域、前記解析種別設定領域、前記変動条件入力領域及び、前記計算範囲設定領域又は前記出力要素設定領域の入力手順に従って1つの画面に配置されているものとしてもよい。こうすれば、各設定値を入力しやすく、より容易に解析条件データを作成することができる。また、例えば複数の画面を切り替えるものに比して内容を確認しやすく、ユーザーの操作をより抑制することができる。このとき、上記各領域は、入力手順に従って配置されていれば特に限定されず、上段から下段に向かって順に配置されるものとしてもよいし、左側から右側へ向かって順に配置されるものとしてもよいし、右側から左側に向かって順に配置されているものとしてもよい。また、計算範囲設定領域及び出力要素設定領域の配置順はどちらを先としてもよい。
本発明の情報処理方法は、
有限要素法により構造体をCAE解析するプログラムであるCAE解析実行プログラムの実行条件入力を支援する情報処理方法であって、
(a)CAE解析を行う対象である構造体のデータである構造体データを指定する構造体データ指定領域と、構造体へ与える変動値と変動項目とを含む変動条件を入力する変動条件入力領域と、を1つの画面に配置し各々の領域に対応する設定値を入力可能な解析条件設定画面を表示するステップと、
(b)前記解析条件設定画面において、構造体データ指定領域で前記構造体データがユーザーにより指定され、CAE解析に用いる変動項目と変動値との関係をユーザーが認識可能な形式で該変動項目と該変動値とを格納した変動元条件データに格納されている前記変動項目及び変動値の情報が前記変動条件入力領域へユーザーにより入力されたあと、該入力された内容と、変動元条件データとに基づいて、前記変動値の記述状態を前記CAE解析実行プログラムにより定義され該CAE解析実行プログラムのCAE解析の実行条件が記述されている解析条件データの形式に変更して該解析条件データを生成するステップと、
前記生成した解析条件データを出力するステップと、
を含むものである。
この情報処理方法は、上述した情報処理プログラムと同様に、ユーザーが認識可能な形式の変動元条件データを用いるため、より容易に変動元条件データを作成することができる。また、変動元条件データからCAE解析実行プログラムの形式に合わせて解析条件データを出力するため、例えばユーザーが手作業で行うのに比して、より容易に解析条件データを作成することができる。したがって、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。なお、この情報処理方法において、上述した情報処理プログラムの種々の態様を採用してもよいし、また、上述した情報処理プログラムの各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明の情報処理装置は、
有限要素法により構造体をCAE解析するプログラムであるCAE解析実行プログラムの実行条件入力を支援する情報処理装置であって、
画像を表示する表示手段と、
CAE解析を行う対象である構造体のデータである構造体データを指定する構造体データ指定領域と、構造体へ与える変動値と変動項目とを含む変動条件を入力する変動条件入力領域と、を1つの画面に配置し各々の領域に対応する設定値を入力可能な解析条件設定画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記解析条件設定画面において、構造体データ指定領域で前記構造体データがユーザーにより指定され、CAE解析に用いる変動項目と変動値との関係をユーザーが認識可能な形式で該変動項目と該変動値とを格納した変動元条件データに格納されている前記変動項目及び変動値の情報が前記変動条件入力領域へユーザーにより入力されたあと、該入力された内容と、変動元条件データとに基づいて、前記変動値の記述状態を前記CAE解析実行プログラムにより定義され該CAE解析実行プログラムのCAE解析の実行条件が記述されている解析条件データの形式に変更して該解析条件データを生成する解析条件データ生成手段と、
前記生成した解析条件データを出力する出力手段と、
を備えたものである。
この情報処理装置は、上述した情報処理プログラムと同様に、ユーザーが認識可能な形式の変動元条件データを用いるため、より容易に変動元条件データを作成することができる。また、変動元条件データからCAE解析実行プログラムの形式に合わせて解析条件データを出力するため、例えばユーザーが手作業で行うのに比して、より容易に解析条件データを作成することができる。したがって、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。なお、この情報処理装置において、上述した情報処理プログラムの種々の態様を採用してもよいし、また、上述した情報処理プログラムの各機能を実現するような構成を追加してもよい。
本発明の情報処理装置は、前記解析条件データと前記構造体データとを用いて有限要素法により前記構造体をCAE解析するCAE解析実行手段、を備えたものとしてもよい。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である情報処理装置としてのCAE解析装置20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、アプリケーションプログラムの機能構成の一例を示すブロック図であり、図3は、自動車の排気管モデル10の構成の概略を表す説明図である。このCAE解析装置20は、構造体の位置に応じた変位、応力及び加速度などを計算により求め、表示する機能を備えている。ここでは、具体例の一例として、構造体として図3に示す排気管モデル10を用い、時間経過に伴う所定位置(節点)の変位について解析するものとし、自動車の排気管の耐久性などを把握する場合について説明する。
CAE解析装置20は、図1に示すように、情報処理装置として構成された汎用パソコンであり、装置全体の制御を司るコントローラ21と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリである記憶装置25と、を備えている。コントローラ21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、情報を記憶消去可能であり各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するフラッシュROM23と、一時的にデータを記憶するRAM24とを備えている。RAM24には、CPU22が計算したデータを一時的に格納するバッファが設けられている。また、CAE解析装置20は、ユーザが各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置27や、各種情報を画面表示するディスプレイ28などを備え、ディスプレイ28に表示されたカーソル等をユーザが入力装置27を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラ21や記憶装置25、入力装置27及びディスプレイ28は、バス29によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。なお、記憶装置25は、HDD、フラッシュメモリ、NASなど、情報を記憶可能なものであればよい。
記憶装置25には、構造体データ25a、加振元条件データ25b、解析条件データ生成プログラム25c、解析条件データ25d、CAE解析実行プログラム25e及びCAE解析結果データ25fなどが記憶されている。また、記憶装置25には、ディスプレイ28に表示する画面として、解析条件設定画面40、解析種類設定画面70及び出力要素設定画面80なども記憶されている。構造体データ25aは、CAE解析を行う対象である構造体のデータであり、3次元空間における構造材の存在点を定義して予め作成されている(図3参照)。ここでは、排気管モデル10の構造体データ25aが記憶装置25に記憶されているとして説明するが、このほか、複数種別の排気管モデルの構造体データを複数記憶してもよい。加振元条件データ25bは、CAE解析に用いる変動項目と変動値との関係をユーザーが認識可能な形式、具体的には、変動値とその時間値とを項目ごとに配列して表示可能に格納したデータである。ここでは、排気管の複数の所定位置を変動項目とし、各位置における変位値を変動値としている。この加振元条件データ25bは、排気管モデル10の実物の排気管を用い、予め定めた位置での変位について実車で測定したデータであるものとした。なお、この加振元条件データ25bは、これに限らず、ユーザーにより人工的に作成したものとしてもよい。解析条件データ生成プログラム25cは、CAE解析実行プログラム25eにより定義されCAE解析実行プログラムのCAE解析の実行条件が記述されている解析条件データを、構造体データ25a及び加振元条件データ25bに基づいて生成するプログラムである。解析条件データ25dは、CAE解析実行プログラム25eによってその形式が定義されたデータであり、CAE解析実行プログラム25eがCAE解析を実行する際に利用されるデータである。この解析条件データ25dは、詳しくは後述するが、時間値と変動値との配列が混在して表示されるものであり、データ形式に対して専門的な知識を有していないユーザーでは変動項目と変動値との関係を容易に認識できない形式となっている。この解析条件データ25dには、設定された解析種別や出力要素が記述されているデータ定義領域16や、構造体のどの位置にどのような変位を加えるかという加振条件を記述した加振条件記述領域17、パラメータ定義や構造体データ25aのファイル名が記述されているパラメータ領域18などが格納されている(後述図10参照)。CAE解析実行プログラム25eは、構造体データ25aと解析条件データ25dとを用い、有限要素法により構造体をCAE解析するプログラムである。このプログラムは、例えば、Nastranとしてもよい。CAE解析結果データ25fは、CAE解析を実行した結果を格納したデータであり、このデータを解析することにより、構造体の各位置での挙動を把握することができる。
また、CAE解析装置20は、図2に示すように、機能構成として、指令内容処理部31と数値列変換部36により構成される解析条件データ生成部38と、入力条件対応情報32、予測容量対応情報33、加振マトリックスデータ34、表示制御部35及びデータ出力部37などを有している。指令取得部30は、入力装置27などによりユーザーが入力した指令を取得し、取得した指令内容を指令内容処理部31へ出力する処理を行う。指令内容処理部31は、構造体データ25a、加振元条件データ25b、入力条件対応情報32、予測容量対応情報33及び加振マトリックスデータ34などを利用して指令取得部30から受けた指令内容のデータ処理を行う。入力条件対応情報32は、変動値として入力する種類、例えば、荷重(LOAD)、変位(DISP)、速度(VELO)及び加速度(ACCE)などに対して、入力する単位を対応付けた情報であり、設定された入力種類に応じてその単位を表示する際に用いられる。予測容量対応情報33は、CAE解析での計算範囲(例えば計算点の数など)と計算結果のデータ容量とを対応付けた情報であり、解析条件に基づいて計算結果のデータ容量の予測値(予測容量)を求める際に用いられる。加振マトリックスデータ34は、解析条件データ25dのうち、変動値の時間値と変動値とを含む加振条件を、マトリックス状に表示可能な形式で保存されたデータであり、例えば、保存した1つの加振条件で複数の構造体をCAE解析するときに用いるデータである。表示制御部35は、指令内容処理部31から受けた指令に基づき記憶装置25に記憶された画面をディスプレイ28に表示出力する処理を行う。数値列変換部36は、指令内容処理部31からの指令に基づき、CAE解析実行プログラム25eの定義にしたがって、加振元条件データ25bから解析条件データ25dへ数値列の変換処理を行う。データ出力部37は、数値列変換部36により生成した解析条件データ25dを、例えばファイル保存したり図示しないネットワークを介して他のPCへデータ出力する処理を行う。なお、解析条件データ生成部38は、加振元条件データ25bから解析条件データ25dを生成する処理を実行する。CAE解析装置20では、CAE解析実行指令や、入力指令、表示選択指令を受けると、指令取得部30がこの指令を指令内容処理部31へ出力する。これを受けた指令内容処理部31や数値列変換部36が構造体データ25a、加振元条件データ25b、入力条件対応情報32、予測容量対応情報33及び加振マトリックスデータ34などを適宜用いて指令に応じた処理内容を実行する。そして、実行結果などを受けた表示制御部35やデータ出力部37がその実行結果に基づいて表示出力したり、ファイル出力したりする。
次に、こうして構成された本実施形態のCAE解析装置20の動作、特に排気管モデル10での時間経過に伴う変位に関する加振元条件データ25bから解析条件データ25dを生成し、CAE解析を実行する処理について説明する。まず、実車に搭載した排気管の構造から構造体データ25aを作成する。構造体データ25aの一例を図3に示している。この構造体データ25aには、解析条件データ生成プログラム25cに定義された形式で、節点(GRID)と3次元空間での構造体が存在する位置との関係が記述されている。また、拘束条件などの情報も記述されている場合がある。次に、加振元条件データ25bを作成する。ここでは、実車に装着した排気管の、予め定めた複数位置(節点に相当する位置)に加速度センサーを取り付け、実際に悪路走行などを行い、各節点の変位を実際に測定し、時間経過に伴う変位値を各節点(変動項目)ごとに配列した加振元条件データ25bを作成するものとした(後述図9の下段参照)。なお、変位は、得られた加速度を2回積分して計算することができる。ここでは、図3に示すように、GRID11に対してX方向,Y方向,Z方向,RX方向,RY方向及びRZ方向の変位を定義し、GRID51,52に対してZ方向の変位を定義し,GRID53,54に対してZ方向及びY方向の変位を定義した。このように用意した構造体データ25a及び加振元条件データ25bを記憶装置25へ記憶させる。続いて、これらのデータと解析条件データ生成プログラム25cを用いて、解析条件データ25dの生成を行う。
図4は、コントローラ21のCPU22により実行される解析条件データ生成ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶装置25に記憶され、ユーザーによるプログラム実行指令の入力に基づいてCPU22により実行される。なお、以降に説明する処理は、CPU22の指令等により指令取得部30、指令内容処理部31、表示制御部35、数値列変換部36、データ出力部37などが具体的処理を適宜行うものとする。図4の解析条件データ生成ルーチンが開始されると、CPU22は、まず、解析条件設定画面40をディスプレイ28へ表示する処理を行う(ステップS100)。
ここで、解析条件設定画面について説明する。図5は、解析条件設定画面40の一例を表す説明図である。解析条件設定画面40には、構造体データを指定する構造体データ指定領域としての構造体データ名指定欄41や、CAE解析を実行する加振条件などの実行条件を設定する計算条件設定領域50、CAE解析を実行する計算範囲を設定する計算範囲設定領域56、例えば変位、速度及び加速度などのいずれの要素について出力するかを設定する出力要素設定領域62などが1つの画面に配置され、各々の領域に対応する設定値を入力可能となっている。また、解析条件設定画面40には、拘束番号を入力する拘束番号入力欄42や、ヘルプ画面を表示するときに押下されるヘルプキー43、加振条件をマトリックス状に読出可能な形式のデータ(加振マトリックスデータ34)として保存するときに押下される表形式保存キー44、排気管を搭載した車両の種別などを切り替える際に押下される切替キー45などが画面の上段側に配置されている。また、解析条件設定画面40には、解析条件データ25dを生成する際に押下される作成実行キー46などが画面の下段側に配置されている。構造体データ名指定欄41は、記憶装置25に格納されている構造体データのファイルを読み出して参照する参照キー41aが配置されると共に、直接ファイル名を入力しても指定可能である。
計算条件設定領域50には、動解析以外の解析や動解析などを含むCAE解析を行う解析種別を設定する際に押下され解析種別設定領域としての解析種別設定キー51や、解析結果の識別子を表示する解析結果識別子表示欄52、保存済みの加振マトリックスデータ34を読み出す際に押下される既存加振条件読出キー53などが配置されている。なお、「動解析以外の解析」とは、「動解析」に対して、刻一刻と変化しない解析をいい、例えば静解析を含むものをいう。更に、計算条件設定領域50には、節点番号や変動方向などを含む加振条件を入力する変動条件入力領域としての加振条件入力領域54、加振元条件データ25bのヘッダ行の位置を入力するヘッダ列入力欄55、CAE解析の計算範囲を設定する計算範囲設定領域56などが配置されている。加振条件入力領域54には、節点番号を入力する節点番号入力欄54aや、変位の方向を入力する方向入力欄54b、変動項目としての入力種別を設定する入力種類設定欄54c、加振元条件データ25bの変動値の参照列を指定するデータ指定欄54d、入力データの整合を確認する際に押下される確認入力キー54e、変動値をどのように与えるかを入力する倍率・位相・拘束条件付加入力欄54fなどが配置されている。入力種類設定欄54cにユーザーにより入力種別が設定されると、指令内容処理部31は、入力条件対応情報32を用いて与えられた入力種類に対応する単位を読み出して入力種類設定欄54cに格納して表示する。なお、確認入力キー54eを押下することにより、入力種類設定欄54cの単位とデータ指定欄54dのチャンネル名の表示が更新されて入力内容の整合を逐次確認することができる。倍率・位相・拘束条件付加入力欄54fには、変動値をどのように与えるかを設定する「倍率入力欄」、人為的に一部に位相遅れを設定する「位相遅れ入力欄」及びCAE解析の種別に対応する構造体の拘束条件を入力可能な「拘束条件付加入力欄」などが配置されている。例えば、「倍率入力欄」について、加振元条件データ25bで作成した変動値の単位と、入力種類設定欄54cで指定された変動値の単位とが異なる際に、単位合わせ用の適切な倍率をここに入力すればよく、データの書き換えなどを行うことなく加振元条件データ25bを作成することができる。次に、「拘束条件付加入力欄」について説明する。例えば、CAE解析を行う解析種別に応じてこの拘束条件を変更することがあることから、構造体データ25a側で拘束条件を設定していない場合がある。また、構造体データ25aの作成時に、拘束条件を設定し忘れることがある。ここでは、拘束条件付加入力欄に拘束条件を入力すれば、解析条件データ25d側で拘束条件が設定されるから、構造体データ25a側で逐次、拘束条件を設定する手間を省略することができる。この加振条件入力領域54には、構造体の節点情報としての節点番号と、変動方向としての変位方向、変動種別としての入力種別、加振元条件データ25bの変動値の参照列とを含む入力セルなどがマトリックス状に配置されている。このため、ユーザーが加振条件入力領域54に格納した内容をより確認しやすい。計算範囲設定領域56には、加振範囲をユーザーが設定する加振範囲入力欄57や、変動項目における変動値の時間の刻み値を入力する刻値入力欄58、固有モードを計算する固有モード計算入力欄59、加振範囲を刻み値で除算して得られる計算点数を表示するステップ数表示欄60、CAE解析の実行結果の予測データ量を表示する予測容量表示欄61などが配置されている。この予測容量をユーザーが確認すると、設定した計算範囲の妥当性をより簡便に確認することができる。
出力要素設定領域62には、出力要素の設定時に押下される出力要素設定キー63や、出力要素としての変位のパラメータを入力する変位入力欄64、出力要素としての応力のパラメータを入力する応力入力欄65、出力要素としての加速度のパラメータを入力する加速度入力欄66などが配置されている。変位入力欄64には、変位を範囲指定する変位指定範囲入力欄64aと入力した変位範囲での計算点数を表示する計算点数表示欄64bとが含まれている。同様に、応力入力欄65には応力指定範囲入力欄65a及び計算点数表示欄65b、加速度入力欄66には加速度指定範囲入力欄66a及び計算点数表示欄66bが含まれている。
この解析条件設定画面40では、構造体データ指定領域としての構造体データ名指定欄41と、解析種別設定領域としての解析種別設定キー51と、変動条件を入力する加振条件入力領域54と、CAE解析の計算を行う範囲を設定する計算範囲設定領域56と、出力要素を設定する出力要素設定領域62とが入力手順に従って上段から下段側に向かって順に1つの画面に配置されている。即ち、ユーザーは、上段から順に各設定値を入力すればよいため、効率よく入力することができる。この解析条件設定画面40を表示して各設定値の入力を行うのである。
さて、ステップS100で解析条件設定画面40を表示すると、CPU22は、ユーザーからの入力があったか否かを入力装置27の操作に基づいて判定する(ステップS110)。入力がないときには、そのまま待機し、入力があったときには、CPU22は、構造体データが指定されたか否かを判定する(ステップS120)。構造体データが指定されたときには、指定された構造体データに関する情報、例えば構造体データが記憶されているパス名や構造体データのファイル名などをRAM24の所定領域に格納する(ステップS130)。
ステップS130のあと、またはステップS120で構造体データが指定されていないときには、CPU22は、解析種別設定キー51が押下されたか否かを判定する(ステップS140)。解析種別設定キー51が押下されたときには、CPU22は、解析種類設定画面70をディスプレイ28へ表示させる(ステップS150)。図6は、解析種類設定画面70の一例を表す説明図である。ここでは、解析種別設定キー51上にカーソル12が配置され、入力装置27のマウスなどでクリックすると、解析条件設定画面40の上に重ねて解析種類設定画面70をウインドウ表示するものとした。この解析種類設定画面70には、動解析以外の解析における線形静解析、実固有値解析、分担荷重算出などをチェックボックスで選択可能な解析入力欄72と、動解析における周波数軸又は時間軸の直接法応答解析、モーダル応答解析などをチェックボックスで選択可能な動解析入力欄74と、選択内容を確定する適用実行キー78とが配置されている。この解析種類設定画面70にユーザーが解析種類を設定すると、CPU22は、設定された解析種類をRAM24の所定領域へ格納する(ステップS160)。
ステップS160のあと、またはステップS140で解析種別設定キー51が押下されていないときには、CPU22は、加振条件が加振条件入力領域54へ入力されたか否かを判定する(ステップS170)。加振条件が入力されたときには、CPU22は、入力された加振条件をRAM24の所定領域へ格納する(ステップS180)。ここでは、例えば、既存加振条件読出キー53が押下されると、CPU22は、既存の加振マトリックスデータ34から加振条件を読み出し、加振条件入力領域54へ入力するものとした。また、ユーザーにより、加振条件入力領域54へ何らかの入力がなされた場合は、その入力内容をRAM24へ格納するものとした。
ステップS180のあと、またはステップS170で加振条件が入力されていないときには、CPU22は、計算範囲設定領域56に数値入力があり計算範囲を設定したか否かを判定する(ステップS190)。計算範囲が設定されたときには、CPU22は、設定された計算範囲と予測容量対応情報33とを用い、予測容量を求め、表示処理する(ステップS200)。
ステップS200のあと、またはステップS190で計算範囲が入力されていないときには、CPU22は、出力要素設定領域62に入力があり出力要素を設定したか否かを判定する(ステップS210)。ここで、出力要素設定領域62への入力は、変位指定範囲入力欄64a、応力指定範囲入力欄65a及び加速度指定範囲入力欄66aに直接記入することもできるし、出力要素設定キー63を押下して入力することもできる。出力要素設定キー63が押下されると、CPU22は、ディスプレイ28に出力要素設定画面80を表示処理する(ステップS220)。図7は、出力要素設定画面80の一例を表す説明図である。ここでは、出力要素設定キー63をクリックすると、解析条件設定画面40の上に重ねて出力要素設定画面80をウインドウ表示するものとした。この出力要素設定画面80には、解析結果の識別子が表示される解析結果識別子表示欄81や、標準を設定する標準設定キー82、変位のパラメータを入力する変位入力欄83、応力のパラメータを入力する応力入力欄84、加速度のパラメータを入力する加速度入力欄85、出力するファイル形式を設定するOUTファイル設定欄86、選択内容を確定する適用実行キー88が配置されている。即ち、変位、応力及び加速度のうち1以上を出力要素として設定可能となっている。変位入力欄83には、変位を範囲指定する変位指定範囲入力欄83a及び範囲指定などを行うコマンドボックス83bが配置されている。応力入力欄84には、応力を範囲指定する応力指定範囲入力欄84a及び範囲指定などを行うコマンドボックス84bが配置されている。加速度入力欄85には、加速度を範囲指定する加速度指定範囲入力欄85a及び範囲指定などを行うコマンドボックス85bが配置されている。なお、変位指定範囲入力欄83a、応力指定範囲入力欄84a及び加速度指定範囲入力欄85aに入力されると、それぞれ変位指定範囲入力欄64a、応力指定範囲入力欄65a及び加速度指定範囲入力欄66aに入力内容が反映されるものとした。この出力要素設定画面80では、変位入力欄83、応力入力欄84及び加速度入力欄85に各々備えられたチェックボックスがチェックされているときに、コマンドボックス83b,84b,85bに入力可能となるように設定されている。このコマンドボックス83bには、全体を選択する「ALL」や、範囲指定する欄に各々チェックボックスを備えており、範囲指定が選択されているときに更に範囲を指定する数値ボックスの入力が可能となるものとした。この出力要素設定画面80にユーザーが出力要素を設定すると、CPU22は、設定された出力要素の情報をRAM24の所定領域へ格納すると共に、出力要素の情報(計算する出力要素の数)をも加味して予測容量を求め、表示処理する(ステップS230)。ここで、計算結果のデータ容量の予測値である予測容量の算出は、例えば、複数の出力要素の各々に対して予測容量対応情報33と設定された計算範囲とを用いて出力要素ごとの予測容量を求め、この予測容量を加算して行うものとしてもよい。
ステップS230のあと、またはステップS210で出力要素が設定されていないときには、CPU22は、作成実行キー46が押下されたか否かを判定する(ステップS240)。作成実行キー46が押下されていないとき、CPU22は、主としてステップS100以降の処理を実行する。なお、説明の便宜によりフローチャートによる詳細な説明は省略するが、作成実行キー46以外が選択された場合、例えば、ヘルプキー43が押下されたときには、ヘルプ画面を表示するものとし、表形式保存キー44が押下されたときには、加振条件入力領域54に設定されたCAE解析の実行条件のうち変動項目及び変動値に関する情報を用いこれらを格納した加振マトリックスデータ34を保存実行するものとする。一方、作成実行キー46が押下されたときには、CPU22は、CAE解析に用いるすべての条件が設定されたか否かを解析条件設定画面40に設定されている内容に基づいて判定し(ステップS250)、CAE解析のすべての条件が設定されていないときには、ステップS100以降の処理を実行する。一方、CAE解析のすべての条件が設定されているときには、CPU22は、CAE解析実行プログラム25eで定義されたフォーマットに従い、RAM24に格納された情報(解析条件設定画面40に設定された内容)を用いて解析条件データ25dを生成し、生成した解析条件データ25dをファイル出力し記憶装置25に保存する(ステップS260)。そして、CPU22は、すべての処理が終了したか否かをユーザーからの終了指令の入力に基づいて判定し(ステップS270)、すべての処理が終了していないときには、ステップS100以降の処理を実行し、すべての処理が終了したときには、このルーチンを終了する。
図8は、CAE解析条件を設定済みである解析条件設定画面40の説明図である。図9は、解析条件設定画面40での設定内容の概略を表す概念図である。図8に示すように、解析条件設定画面40に各条件が入力された状態で、且つ図9に示すように、各節点における変位の方向や、時間経過に伴う変位値の変化などを入力すると、解析条件データ25dが作成される。時間軸を用いた解析では、倍率・位相・拘束条件付加入力欄54fの位相遅れ入力欄は、図8に示すように黒塗りされ使用しない。この図9下段のデータは、加振マトリックスデータ34に相当する。なお、データのヘッダ部分などが異なる場合があるが、解析条件データ25dも同様の構成とすることができる。そして、CAE解析条件が設定されると、CPU22は、図9下段に示す設定内容を元として解析条件データ25dを生成する。図10は、生成した解析条件データ25dの一例を表す説明図である。ここでは、解析条件データ25dの生成フォーマットとして、設定された計算範囲、出力要素などの情報を格納したデータ定義領域16、加振元条件データ25bの加振条件を格納した加振条件記述領域17、及び構造体データ25aのファイル名やパラメータを格納したパラメータ領域18を含む解析条件データ25dを生成するものとした。加振条件記述領域17では、「+」で区切られた領域内に、時間値、変位値、時間値、変位値の順に、8桁の各値を区切りなく連続した状態で各値を配置する記述フォーマットとなっている。このように作成された加振条件記述領域17では、時間値と変位値とが混在した状態で各値が配置されており、その内容が理解しにくいといえる。なお、加振元条件データ25bでは、例えばカンマ区切り、タブ区切り及びスペース区切りなどにより加振条件である時間値、項目名及び変位値などの各データが格納され、マトリックス状に表示可能であり、ユーザーがその内容を理解しやすい(図9下段参照)。このように、CAE解析装置20では、ユーザーが理解しやすい形式で作成した加振元条件データ25bを用いて、ユーザが理解しにくい形式の加振条件を含む解析条件データ25dを生成するのである。
続いて、作成した解析条件データ25dを用いてCAE解析を実行する処理について説明する。図11は、コントローラ21のCPU22により実行されるCAE解析実行ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶装置25に記憶され、ユーザーによるプログラム実行指令の入力に基づいてCPU22により実行される。このルーチンを実行すると、CPU22は、まず、解析条件データ25dが設定されたか否かを判定する(ステップS300)。この判定は、図示しない解析開始画面に解析条件データ25dのファイル名が入力されたか否かにより行うものとした。解析条件データ25dが設定されていないときには、そのまま待機し、解析条件データ25dが設定されたときには、解析条件データ25dに指定されている構造体データ25aを認識する(ステップS310)。ここでは、図10に示した解析条件データ25dの「INCLUDE」で指定した構造体データを認識し、解析を実行する条件として構造体データ25a及び解析条件データ25dを1つのファイルとして扱う処理を行うものとした。次に、CPU22は、設定された構造体データ25a及び解析条件データ25dを解析実行条件とする有限要素法を用いたCAE解析の実行処理を行う(ステップS320)。CAE解析では、構造体(排気管モデル10)を単純な形状の小部分(要素)に分割し、その1つひとつの要素の特性を方程式を用いて近似的に表現したあと、この単純な方程式を組み合わせ、すべての方程式が成立する解を求めることにより、全体の挙動(変位)を求める処理を行う。続いて、CPU22は、得られた解析結果を表示出力し(ステップS330)、得られた解析結果をファイル出力して記憶装置25に保存し(ステップS340)、このルーチンを終了する。
図12は、排気管モデル10における変位経過の一例を表すCAE解析結果の説明図である。ここでは、構成物の位置がずれるほど変位値がより大きく、色が濃いほど応力値がより大きいものとして表すものとした。この解析結果では、時間経過に伴い、排気管モデル10の各位置での変位が色の濃度で変化して画面表示されるものとした。この色の濃度変化を検討することにより、どのような変位が起きるかや、どのような応力が各部にかかるかなどを、事前に把握することができる。このように、解析条件データ25dを簡単な操作で作成することができ、構造体データ25a及び解析条件データ25dを用いて、より短時間に構造体のCAE解析を行うことができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の表示制御部35が本発明の表示制御モジュールに相当し、解析条件データ生成部38が解析条件データ生成モジュールに相当し、データ出力部37が出力モジュールに相当する。なお、本実施形態では、CAE解析装置20の動作を説明することにより本発明の情報処理プログラム及び情報処理方法の一例も明らかにしている。
従来は、専門の知識を持った者であっても適正な解を得るための試行錯誤も含め、解析条件データ25d毎に多くの工数を要していた。また、製品が多様化していく中で、専門の知識を持った者がこれらすべてに対応するのが困難になっている。また、従来は、市販の汎用解析ソフトなどでは、CAE解析の条件設定が複数の画面にわたっており、条件入力する際には、複数の画面を切り替える必要があり、完成したモデルの人為的ミスを直感的に発見しづらかった。また、解析条件を切り離してわかりやすいような形式で保存することができず、ファイル容量の増大や同条件で複数モデルに対して解析を行う際には操作が煩雑であるなどの問題があった。
これに対して、以上詳述した本実施形態のCAE解析装置20によれば、構造体データ名指定欄41と、解析種別設定キー51と、加振条件入力領域54と、計算範囲設定領域56と、出力要素設定領域62とを1つの画面に配置し各々の領域に対応する設定値を入力可能な解析条件設定画面40を表示する。次に、解析条件設定画面40において、構造体データ、変動項目、変動値及び構造体の位置がユーザーにより入力されたあと、入力内容と解析条件データ25dとに基づいて、加振元条件データ25bを解析条件データ25dの形式に変更して生成する。そして、生成した解析条件データ25bをファイル出力する。このように、本実施形態のCAE解析装置20では、ユーザーが認識可能な形式の加振元条件データ25bを用いるため、より容易に加振元条件データ25bを作成することができる。また、加振元条件データ25bからCAE解析実行プログラム25eの形式に合わせて解析条件データ25dを出力するため、例えばユーザーが手作業で行うのに比して、より容易に解析条件データ25dを作成することができる。また、構造体データ名指定欄41や加振条件入力領域54などが1つの画面に配置されているため、例えば複数の画面を切り替えるものに比して内容を確認しやすく、ユーザーの操作をより抑制することができる。また、各設定値の入力領域が、入力手順に従って1つの画面に配置されているため、各設定値を入力しやすく、より容易に解析条件データ25dを作成することができる。
また、変動値の時間値と変動値とを各変動項目ごとに配列して表示可能な加振元条件データ25bから、時間値と変動値とが混在して配列して表示される解析条件データ25dを生成するため、時間値と変動値との関係などを確認しやすく、加振元条件データ25bを作成しやすい。また、CAE解析実行プログラム25eに定義された解析条件データ25dが、時間値と変動値とが混在するという作成が困難である場合に、解析条件データをより容易に作成することができる。更に、解析条件設定画面40の加振条件入力領域54は、構造体の節点位置(GRID)と変動方向と変動種別と変動値の参照列とを含む入力セルをマトリックス状に配置しているため、変動条件の入力位置をユーザーがより確認しやすく、解析条件データ25dをより容易に作成することができる。更にまた、解析種別設定キー51で解析種別がユーザーにより設定され、倍率・位相・拘束条件付加入力欄54fへ拘束条件がユーザーにより入力されたあと、設定された解析種別と入力された拘束条件とを用いて解析条件データ25dを生成するため、例えば構造体データ側で拘束条件を設定していない場合であっても、解析条件データ側で拘束条件を設定可能であり、構造体データ側での拘束条件の変更を伴わずに済み、より容易にユーザーがCAE解析を実行することができる。そして、計算範囲に対応する予測容量を出力要素を加味して求め、予測容量表示欄61に表示するため、専門知識がなくとも計算範囲の妥当性をより判断しやすく、計算結果を得るのに予想外に膨大な時間がかかったり、計算結果が予想外に膨大なデータ容量となってしまうことをより抑制することができる。そしてまた、表形式保存キー44が押下されると、現在入力されているCAE解析の実行条件のうち変動項目及び変動値に関する情報を用いて加振マトリックスデータ34を作成して保存するため、現在の変動項目及び変動値をあとで利用することが可能であり、より容易に解析条件データを作成することができる。また、既存加振条件読出キー53が押下されると、加振マトリックスデータ34に格納されている変動項目及び変動値に関する情報を読み出し、読み出した情報を加振条件入力領域54へ入力するため、加振マトリックスデータ34を利用して更に容易に解析条件データを作成することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、解析条件設定画面40には解析種別設定キー51、計算範囲設定領域56、出力要素設定領域62を含む解析条件設定画面40としたが、これらのうちいずれか1以上を省略してもよいし、別画面に表示するものとしてもよい。こうしても、解析条件データ生成プログラム25cにより、解析条件データをより容易に作成することができる。なお、解析種別設定キー51としたが、特にキーに限られず、解析種別を設定可能な領域、具体的には、解析種別を設定するチェックボックスやプルダウンメニュー、任意の文字入力が可能で且つ入力内容を参照することができるコンボボックスなどとしてもよい。
上述した実施形態では、加振元条件データ25bは変動値の時間値と変動値とを各変動項目ごとに配列しているものとし、解析条件データ25dは変動値の時間値と変動値との配列が混在しているものとしたが、特にこれに限定されない。なお、解析条件データ25dにおいて時間値と変動値との配列が混在している方が、ユーザーによる解析条件データ25dの作成が困難であり、本発明を適用する意義が高い。
上述した実施形態では、加振条件入力領域54は、構造体の節点情報と変動方向と変動種別と加振元条件データ25bの変動値の参照列とを含む入力セルをマトリックス状に配置しているものとしたが、これらを入力する領域があるものとすれば、特にこれに限定されず、入力セルやマトリックス状など以外のものとしてもよい。
上述した実施形態では、構造体データ名指定欄41、解析種別設定キー51、加振条件入力領域54、計算範囲設定領域56及び出力要素設定領域62の順に上段から入力手順に従って配置されているものとしたが、特にこれに限定されず、左側から右側へ向かって順に配置されるものとしてもよいし、右側から左側に向かって順に配置されているものとしてもよい。また、計算範囲設定領域56及び出力要素設定領域62の配置順はどちらを先としてもよい。
上述した実施形態では、解析種別に応じて拘束条件を入力可能としたが、解析種別に応じずに拘束条件を入力可能としてもよいし、拘束条件を入力可能とする機能を省略してもよい。こうしても、解析条件データをより容易に作成することができる。
上述した実施形態では、計算範囲と予測容量対応情報33と出力要素に基づいて予測容量を求めて表示するものとしたが、例えば出力要素を固定した場合など、出力要素を加味せずに予測容量を算出するものとしてもよい。あるいは、予測容量を求めて表示する機能を省略してもよい。こうしても、解析条件データをより容易に作成することができる。
上述した実施形態では、既存加振条件読出キー53を押下すると、既存の加振マトリックスデータ34から加振条件を読み出し、加振条件入力領域54へ入力するものとしたが、例えば、既存加振条件読出キー53を押下したのち1以上の加振マトリックスデータ34を選択可能なメニューを表示し、このメニューで選択された加振マトリックスデータ34の内容を読み出して加振条件入力領域54へ入力するものとしてもよい。こうしても、ユーザーの入力操作をより抑制することができ好ましい。あるいは、この表形式保存キー44、既存加振条件読出キー53の機能を省略してもよい。
上述した実施形態では、加振条件を変動値として入力するものとして説明したが、特にこれに限定されず、例えば、温度条件を変動値として入力し、解析するものとしてもよい。上述した実施形態では、構造体としての排気管モデル10に対してCAE解析を実行するものとしたが、構造体としては特にこれに限定されず、例えば、自動車のエンジンやミッション、サスペンションなど、自動車に関する構造体としてもよいし、家やビル、橋などの建築物に関する構造体としてもよいし、PCや携帯電話などの電子機器に関する構造体などとしてもよい。
上述した実施形態では、変動値の時間値と変動値とを変動元条件データとして用いるものとして説明したが、特にこれに限定されず、変動値の時間値に代えて又はこれに加えて周波数値と変動値とを変動元条件データとして用いるものとしてもよい。こうしても、周波数値を用いてより容易に加振元条件データ25bを作成することができる。同様に、上述した実施形態では、変動元条件データとして、変動値の時間値と変動値とを各変動項目ごとに配列して表示するものとして説明したが、特にこれに限定されず、変動値の時間値に代えて又はこれに加えて周波数値と変動値とを各変動項目ごとに配列して表示するものとしてもよい。
上述した実施形態では、解析条件データ生成ルーチンにおいて、ステップS110で入力ありの判定を行ったのちに、ステップS120,S140,S170,S190,S210において、構造体データ指定、解析種類指定、加振条件入力、計算範囲設定及び出力要素設定の順に入力確認を行うものとして説明したが、特にこれに限定されず、ステップS110で入力ありの判定を行ったのちに構造体データ指定、解析種類指定、加振条件入力、計算範囲設定及び出力要素設定のいずれかの入力が行われたかを判定し、判定内容に応じた表示及び設定内容の格納処理を行うものとしてもよい。
上述した実施形態では、解析条件設定画面40や、解析種類設定画面70、出力要素設定画面80などにおいて、ボタン形状の「キー」を配置するものとしたが、マウスのクリックやキーボードのエンターキーの押下など、入力装置28の選択操作に応じて予め定められた処理を開始するものであれば特に限定されない。例えば、アイコンなどの画像、ハイパーリンクなどの文字などを配置するものとしてもよい。こうしても、ユーザーは入力しやすい。
上述した実施形態では、CAE解析装置20として説明したが、解析条件データ生成プログラム25cとしてもよいし、この情報処理方法の態様としてもよい。また、上述した実施形態では、CAE解析装置20は1台のPCにより構成されているものとしたが、2以上のPCに分担させて処理を行うものとしてもよい。