以下、本発明に係る駆動回路、照明用光源及び照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る駆動回路について説明する。
図1は本実施の形態に係る駆動回路の概略構成を示すブロック図である。なお、図1には、駆動回路1に交流信号を供給する交流電源2と、調光度に応じた調光信号を生成する調光器3と、駆動回路1により点灯される発光素子(ここでは、LEDモジュール4)も併せて図示されている。
駆動回路1は、調光器3から入力される調光信号に応じた明るさ(以下、輝度とも言う)で発光素子(ここでは、LEDモジュール4)を点灯させる回路であって、ダイオードブリッジ5、逆流防止用のダイオード6、調光対応回路7及び制御信号生成部8を備える。
交流電源2は、交流を供給する電源であって、例えば100Vの商用電源である。
調光器3は、交流電源2から供給された交流信号を、交流電圧波形の一部が欠けた信号である調光信号に変換する、位相制御式の調光器である。この調光器3は、調光度に応じて交流信号を位相制御することにより、調光信号に変化する。より具体的には、入力された交流信号を、調光度に応じた位相角範囲において電圧がゼロとなる信号である調光信号を生成する。
例えば、調光器3は、図2に示すような調光信号を生成する。図2は、調光器3で生成された調光信号の波形の一例を示すグラフである。
同図に示すように、調光器3は、入力された交流信号の電圧を、指示された調光度に対応する位相角範囲において0Vとすることにより、調光信号を生成する。具体的には、交流電圧が0Vとなったとき(ゼロクロスとも言う)の位相である位相角0°を基準として、この位相角から、指示された調光度に対応する位相角(例えば45°)までの範囲において電圧を0Vとする。そして、指示された調光度に対応する位相角において、調光信号の電圧を、交流電源2から供給された交流信号の電圧まで立ち上げる。このような調光器3が調光信号を立ち上げる位相角をON位相角という。
なお、調光器3により生成される調光信号は、図2に示すような、調光度に応じて交流信号の立ち上がりが欠ける信号であるリーディングエッジ方式に限らない。具体的には、調光信号は、位相制御式の調光信号であればよく、例えば、トレーリングエッジ方式であってもよい。
LEDモジュール4は、発光素子の一態様であって、駆動回路1から供給される電流に対応する明るさの光を放出する。つまり、LEDモジュール4は、駆動回路1から供給される電流に対応する輝度で発光する。このLEDモジュール4は、例えば、実装基板の片面上に複数個実装されたLEDチップである。なお、発光素子としては、LED以外でもよく、例えば、半導体レーザ、有機EL素子又は無機EL素子を用いてもよい。
次に、図3を用いて、図1に示した駆動回路1の詳細な構成について説明する。図3は、駆動回路1の詳細な構成を示す回路図である。なお、図3には、図1と同様に、交流電源2、調光器3及びLEDモジュール4も併せて図示されている。
ダイオードブリッジ5は、調光器3から出力された調光信号を整流し、整流した調光信号を後段の制御信号生成部8へ出力する。つまり、ダイオードブリッジ5の入力端子間に調光器3及び交流電源2が接続され、ダイオードブリッジ5の出力端子間に制御信号生成部8が接続されている。なお、駆動回路1内の各回路(ダイオードブリッジ5、ダイオード6、調光対応回路7、及び、制御信号生成部8)は、ダイオードブリッジ5の低電位側の出力端子の電位を基準電位とする。
逆流防止用のダイオード6は、入力端子がダイオードブリッジ5の高電位側の出力端子及び制御信号生成部8に接続され、出力端子が調光対応回路7に接続されている。これにより、ダイオード6の後段回路である調光対応回路7からダイオード6の前段回路である制御信号生成部8への電流の逆流を防止する。
調光対応回路7は、制御信号生成部8で生成された制御信号が示す電圧を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール4に供給することにより、LEDモジュール4を発光させる回路である。この調光対応回路7は、ノイズフィルタおよび平滑回路10、点灯回路20、制御回路30、及び、スイッチング素子40を備える。なお、調光対応回路7は第1発光制御回路の一態様である。
ノイズフィルタおよび平滑回路10は、ダイオード6から出力された整流後の調光信号のノイズを除去し、さらに、平滑化する回路であり、コイル11と、コンデンサ12及び13とを有する。
点灯回路20は、ノイズフィルタおよび平滑回路10から出力された、平滑化された整流後のDC電圧を入力とし、LEDモジュール4に供給する電流を生成する。具体的には、点灯回路20は、入力された信号電圧をチョッピングするためのチョークコイル21、そのチョークコイル21に蓄積されたエネルギーを回生させるためのダイオード22、及び、平滑化用のコンデンサ23を有する。チョークコイル21、ダイオード22及びLEDモジュール4は、回路ループを形成するように接続されている。コンデンサ23は、LEDモジュール4と並列に接続され、この点灯回路20の出力電圧(及び出力電流)を平滑化する。
制御回路30及びスイッチング素子40は、制御信号生成部8から出力される制御信号に応じて、点灯回路20が有するチョークコイル21に流す電流を駆動する。具体的には、制御回路30は、制御信号生成部8から出力された制御信号の電圧に応じてスイッチング素子40をオン・オフすることで、チョークコイル21に流れる電流をオン・オフする。例えば、制御回路30は、入力される制御信号に応じた周波数を有するPFM(Pulse Frequency Modulation)信号を生成する回路であり、制御信号の電圧が高いほど高い周波数を有するPFM信号を生成する。これにより、スイッチング素子40は、PFM信号が示す周波数が高いほどチョークコイル21に蓄積されるエネルギーが増えることになる。
したがって、制御信号生成部8から制御回路30に入力される制御信号の電圧が高いほど、制御回路30及びスイッチング素子40は多くの電流をチョークコイル21に流す。つまり、制御信号の電圧が高いほどLEDモジュール4に流れる電流が多くなるので、LEDモジュール4の輝度は高くなる。すなわち、制御信号の電圧が高いほどLEDモジュール4は明るく点灯する。
なお、制御回路30は、入力された制御信号の電圧が高いほどデューティ比の高いPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成することにより、スイッチング素子40をオン・オフしてもよい。
制御信号生成部8は、ダイオードブリッジ5で整流された調光信号のうち、第1電圧以上かつ調光信号の最大電圧より低い第2電圧以下の電圧を抽出し、抽出した電圧を積分する。そして、積分した電圧を制御信号として、制御回路30へ出力する。具体的には、制御信号生成部8は、ダイオードブリッジ5の高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に介在接続され、高電位側の出力端から次の順に直列接続されたツェナーダイオード81、抵抗82、抵抗83、及び、抵抗84と、抵抗84に並列に接続されたコンデンサ85と、抵抗83及び抵抗84に並列に接続されたツェナーダイオード86と、抵抗83と抵抗84との接続点に接続され、制御信号を出力する出力端子87とを有する。
ツェナーダイオード81は、逆バイアス接続され、所定の降伏電圧(例えば36V)を有する。これにより、ツェナーダイオード81は、両端の電圧が所定の降伏電圧を超えた場合に、その両端の電圧を所定の降伏電圧に維持する定電圧回路として機能する。一方、両端の電圧が所定の降伏電圧以下の場合は電流を流さない。具体的には、ツェナーダイオード81のカソードはダイオードブリッジ5の高電位側の出力端に接続され、ツェナーダイオード81のアノードは抵抗82の一端に接続されている。
抵抗82、抵抗83及び抵抗84は、この順でツェナーダイオード81に直列接続され、抵抗84の一端はダイオードブリッジ5の低電位側の出力端に接続されている。
コンデンサ85は、抵抗84と並列に接続されており、具体的には、コンデンサ85の一端は抵抗83と抵抗84との接続点に接続され、コンデンサ85の他端はダイオードブリッジ5の低電位側の出力端に接続されている。これにより、コンデンサ85は、抵抗83と抵抗84との接続点の電圧を充電する。したがって、制御信号生成部8の出力端子87には、コンデンサ85で充電された電圧が制御信号としてあらわれる。
ツェナーダイオード86は、抵抗83及び抵抗84に並列、かつ、逆バイアスに接続され、所定の降伏電圧(例えば22V)を有する。これにより、ツェナーダイオード86は、両端の電圧が所定の降伏電圧を超えた場合に、その両端の電圧を所定の降伏電圧に維持する定電圧回路として機能する。一方、両端の電圧が所定の降伏電圧以下の場合は電流を流さない。具体的には、ツェナーダイオード86のカソードは抵抗83と抵抗84との接続点に接続され、ツェナーダイオード86のアノードはダイオードブリッジ5の低電位側の出力端に接続されている。
以上のように、制御信号生成部8は、ダイオードブリッジ5の出力端子間に直列接続された抵抗82〜84と、抵抗84に並列接続されたコンデンサ85と、抵抗83及び84に並列接続され、抵抗82に直列接続されたツェナーダイオード86とを有し、コンデンサ85に充電された電圧に応じた電圧を制御信号として出力する。また、制御信号生成部8は、さらに、抵抗82〜84に直列接続され、ツェナーダイオード86に直列接続されたツェナーダイオード81を有する。
なお、抵抗82〜84は、この順に、第1〜第3抵抗の一態様であり、ツェナーダイオード86は第1ツェナーダイオードの一態様であり、ツェナーダイオード81は第2ツェナーダイオードの一態様である。
このように構成される制御信号生成部8は、以下の特徴的な機能を有する。
まず、説明のために、制御信号生成部8において、ツェナーダイオード81及び86とコンデンサ85とが無い場合における出力端子87の電圧について説明する。この場合、出力端子87の電圧は、入力される整流後の調光信号の電圧が、抵抗82〜84によって分圧された電圧となる。なお、以下、整流前の調光信号と整流後の調光信号とを特に区別せず、単に調光信号と記載する。
次に、このように抵抗82〜84で構成される回路に対して、ツェナーダイオード81を設けた場合における、出力端子87の電圧について説明する。
上述したように、ツェナーダイオード81は、両端にかかる電圧が降伏電圧より高い場合には定電圧回路として機能する。よって、調光信号の電圧がツェナーダイオード81の降伏電圧より高い場合、出力端子87の電圧は、ツェナーダイオード81の降伏電圧より電圧の高い調光信号の電圧からツェナーダイオード81の降伏電圧を引いた電圧を、抵抗82〜84で分圧した電圧となる。一方、調光信号の電圧がツェナーダイオード81の降伏電圧以下の場合、出力端子87の電圧は実質的に0Vとなる。
言い換えると、出力端子87の電圧は、調光信号の位相角において、調光信号の電圧がツェナーダイオード81の降伏電圧より高くなる位相角範囲では、調光信号の電圧からツェナーダイオード81の降伏電圧を引いた電圧が分圧された電圧となる。一方、出力端子87の電圧は、調光信号の位相角において、調光信号の電圧がツェナーダイオード81の降伏電圧以下となる位相角範囲では、実質的に0Vとなる。
次に、このようなツェナーダイオード81及び抵抗82〜84で構成される回路に対して、さらにツェナーダイオード86を設けた場合における、出力端子87の電圧について説明する。
上述したように、ツェナーダイオード86は、両端にかかる電圧が降伏電圧より高い場合には定電圧回路として機能する。よって、抵抗82と抵抗83との接続点であるノード88の電圧は、ツェナーダイオード86の降伏電圧より高くなることはない。言い換えると、ノード88の上限電圧はツェナーダイオード86の降伏電圧によって規定される。また、出力端子87の電圧は、ノード88の電圧を抵抗83及び84で分圧した電圧である。
その結果、出力端子87の上限電圧は、ツェナーダイオード86の降伏電圧を抵抗83及び84で分圧した電圧となる。
次に、このようなツェナーダイオード81及び86と抵抗82〜84とで構成される回路に対して、コンデンサ85を設けた場合における、出力端子87の電圧について説明する。
上述したように、コンデンサ85を設けることにより出力端子87の電圧は充電される。つまり、出力端子87の電圧は、調光信号の位相角に対する電圧の積分となる。
以上のことから、出力端子87の電圧、すなわち制御電圧は、図4を用いて以下のように説明される。図4は、制御信号生成部8で生成される制御信号の電圧を説明するためのグラフである。同図には、調光信号の電圧Vdimが示されている。
まず、制御信号生成部8がコンデンサ85を有さないと仮定した場合の出力端子87の電圧について説明する。
上記説明したように、出力端子87の電圧は、調光信号の電圧がツェナーダイオード81の降伏電圧より高くなる位相角範囲では、調光信号の電圧からツェナーダイオード81の降伏電圧を引いた電圧が分圧された電圧となる。
具体的には、図4中の40°以上165°以下の位相角範囲において、出力端子87の電圧は、ツェナーダイオード81の降伏電圧によって規定される下限電圧V1を基準とした調光信号の電圧Vdimに対応する。より具体的には、下限電圧V1を基準とした調光信号の電圧Vdimを、抵抗82〜84で分圧した電圧となる。
しかしながら、上記説明したように、ノード88の電圧はツェナーダイオード86の降伏電圧より高くなることはない。つまり、出力端子87の電圧は、ツェナーダイオード86の降伏電圧を抵抗83及び84で分圧した電圧を超えることはない。
つまり、図4に示すように、出力端子87の電圧は、ツェナーダイオード86の降伏電圧によって規定される上限電圧V2を超えることはない。
したがって、出力端子87の電圧は次のようになる。
すなわち、出力端子87の電圧は、調光信号の電圧がツェナーダイオード81の降伏電圧より高くなる位相角範囲(図4中の40°以上165°以下の範囲)において、調光信号の電圧Vdim及び上限電圧V2のうち低い電圧と、下限電圧V1との差分電圧に対応する。一方、出力端子87の電圧は、調光信号の電圧Vdimがツェナーダイオード81の降伏電圧以下となる位相角範囲(図4中の40°以上165°以下の範囲外)において、実質的に0Vとなる。
ここまで、制御信号生成部8がコンデンサ85を有さないと仮定した場合の出力端子87の電圧について説明した。次に、制御信号生成部8がコンデンサ85を有する場合の出力端子87の電圧について説明する。
上記説明したように、制御信号生成部8がコンデンサ85を有する場合、出力端子87の電圧は、コンデンサ85を有さない場合に出力端子87に出力される電圧がコンデンサ85により積分された電圧となる。
すなわち、出力端子87の電圧は、図4のVdim、V1及びV2で囲まれた領域Aの面積に対応する。
言い換えると、制御信号生成部8から出力される制御信号の電圧は、位相角に対する調光信号の電圧Vdimと、ツェナーダイオード81の降伏電圧によって規定される下限電圧V1と、ツェナーダイオード86の降伏電圧によって規定される上限電圧V2に応じた電圧とによって決定される。つまり、制御電圧は、図4の領域Aの面積に対応する。
このように、本実施の形態に係る駆動回路1において、制御信号生成部8は、ダイオードブリッジ5により全波整流された調光信号のうち、下限電圧V1以上、かつ、調光信号の最大電圧より低い上限電圧V2以下の電圧を積分することにより、LEDモジュール4の輝度を制御する制御信号を生成する。
さて、上述したように、調光信号は調光度に応じてON位相角が変化する。このとき、図4からわかるように、調光信号のON位相角が変化するに従って、領域Aの面積も変化する。また、上述したように、調光対応回路7は、制御信号生成部8から入力される制御信号の電圧を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール4に供給することにより、LEDモジュール4を発光させる。したがって、調光度に対してLEDモジュール4の明るさの急激な変化を抑制するためには、ON位相角の変化に対して、領域Aの面積の変化ができるだけリニアであることが要求される。
以下、比較例としてON位相角の変化に対して領域の面積の変化がリニアでない場合について説明しながら、本実施の形態に係る駆動回路1の効果について述べる。
<比較例>
まず、本実施の形態に係る駆動回路の比較例について、図5A及び図5Bを用いて説明する。図5Aは、実施の形態1の比較例における制御信号生成部の構成を示す回路図であり、図5Bは、実施の形態1の比較例における制御信号生成部980で生成される制御信号の電圧を説明するためのグラフである。図5Bには、調光信号の位相角に対する調光信号の電圧Vdimと、ツェナーダイオード981及び986の降伏電圧によって決定される下限電圧V21とが示されている。
図5Aに示す比較例における制御信号生成部980は、図3に示した本実施の形態に係る駆動回路1が有する制御信号生成部8と比較して、2つのツェナーダイオード981及び986の配置が異なる。
具体的には、比較例における制御信号生成部980は、ダイオードブリッジ5の高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に介在接続され、高電位側の出力端から次の順に直列接続されたツェナーダイオード981、ツェナーダイオード986、抵抗983及び抵抗984と、抵抗984に並列に接続されたコンデンサ985と、抵抗983と抵抗984との接続点に接続され、制御信号を出力する出力端子987とを有する。ツェナーダイオード981、抵抗983、抵抗984及びコンデンサ985は、実施の形態1に係る駆動回路1における制御信号生成部8が有するツェナーダイオード81、抵抗83、抵抗84及びコンデンサ85と同様である。つまり、制御信号生成部980は、制御信号生成部8と比較して、ツェナーダイオード986が抵抗983及び984に直列接続されている点が主に異なる。
比較例における制御信号生成部980は、実施の形態1に係る駆動回路1の制御信号生成部8と同様に、コンデンサ985に充電された電圧を制御信号の電圧として出力する。つまり、コンデンサ985により積分された電圧を制御信号の電圧として出力する。
このように構成される制御信号生成部980の出力端子987の電圧について説明するために、まず、制御信号生成部980がコンデンサ985を有さないと仮定した場合の出力端子987の電圧について説明する。
上記説明したように、ツェナーダイオード981及び986は、両端にかかる電圧が降伏電圧より高い場合には定電圧回路として機能する。
したがって、制御信号生成部980がコンデンサ985を有さない場合、出力端子987の電圧は、調光信号の電圧Vdimと、ツェナーダイオード981の降伏電圧とツェナーダイオード986の降伏電圧とを加算した電圧と、抵抗983及び984による分圧によって決定される。
例えば、調光信号の電圧Vdimが、調光信号が40°以上150°以下の位相角範囲において、ツェナーダイオード981の降伏電圧とツェナーダイオード986の降伏電圧とを加算した電圧より高くなる場合、出力端子987の電圧は、調光信号の電圧Vdimからツェナーダイオード981の降伏電圧とツェナーダイオード986の降伏電圧とを加算した電圧を引いた電圧を、抵抗983及び984で分圧した電圧となる。
一方、出力端子987の電圧は、調光信号の電圧Vdimがツェナーダイオード981の降伏電圧とツェナーダイオード986の降伏電圧とを加算した電圧以下となる位相角範囲(例えば、40°以上150°以下の範囲以外)において、実質的に0Vとなる。
ここまで、制御信号生成部980がコンデンサ985を有さないと仮定した場合の出力端子987の電圧について説明した。次に、制御信号生成部980がコンデンサ985を有する場合の出力端子987の電圧について述べる。
上記説明したように、制御信号生成部980がコンデンサ985を有する場合、出力端子987の電圧は、コンデンサ985を有さない場合に出力端子987に出力される電圧がコンデンサ985により積分された電圧となる。
すなわち、出力端子987の電圧は、図5BのVdim及びV21で囲まれた領域Bの面積に対応する。
言い換えると、制御信号生成部980から出力される制御信号の電圧は、位相角に対する調光信号の電圧Vdimと、ツェナーダイオード981の降伏電圧とツェナーダイオード986の降伏電圧とを加算した電圧によって決定される下限電圧V21とによって決定される。つまり、制御電圧は、図5Bの領域Bの面積に対応する。
<実施の形態1と比較例との対比>
次に、図6〜図8を参照して実施の形態1と比較例とを比較し、実施の形態1に係る駆動回路1の効果について説明する。
図6は、調光信号のON位相角に対する制御信号のシミュレーション結果を示すグラフである。具体的には、図4及び図5Bにおいて、調光信号のON位相角を変化させた場合の領域A及びBの面積を示すグラフである。
図6に示すように、ON位相角の変化に対する面積率の変化は、比較例よりも実施の形態1がリニアに応答していることがわかる。
すなわち、領域Aは、上限電圧V1が調光信号の電圧Vdimよりも低くなる位相角範囲(図4では40°以上140°以下)では、調光信号のON位相角の変化に対して、面積がリニアに変化する。これに対して、領域Bは、いずれの位相角範囲においても、調光信号のON位相角の変化に対して、面積がリニアに変化する領域がない。
その結果、図6に示すように、ON位相角の変化に対する面積率の変化は、比較例よりも実施の形態1がリニアに応答する。
図7は、調光位相角に対して制御信号の電圧である制御電圧を示すグラフである。ここで、調光位相角とは、図6に示すON位相角に対して面積率が変化し始めるON位相角を0°とした位相角である。つまり、調光位相角の範囲は、調光度を調整可能な範囲である調光範囲に相当する。
図7に示すように、実施の形態1及び比較例のいずれの場合も、調光位相角が大きくなるに従って、制御電圧が低くなる。これは、上述したように、制御電圧は、領域A及びBの面積に対応するので、図6に示すようにON位相角が大きくなるに従い面積率が小さくなれば、制御電圧が低くなるからである。
このとき、実施の形態1の制御電圧は、調光位相角の変化に対して、ほぼ線形に変化していく。すなわち、実施の形態1に係る駆動回路1における制御信号生成部8は、調光器3の調光度にほぼリニアに応答する制御電圧を生成する。
これに対して、比較例の制御電圧は、調光位相角の変化に対して、極めて非線形に変化する。具体的には、比較例の制御電圧は、調光位相角60°以上90°以下において、急激に低下する。すなわち、比較例における制御信号生成部980は、調光器3の調光度にリニアに応答する制御電圧を生成できない。
このように生成された制御電圧が後段の調光対応回路7に入力され、調光対応回路7により制御電圧に対応する電流がLEDモジュール4に供給される。その結果、LEDモジュール4は、図8に示すような特性で発光する。
図8は、調光位相角に対するLEDモジュール4の明るさ比率を示すグラフである。
同図に示すように、実施の形態1では、調光位相角の変化に対してLEDモジュール4の明るさ比率は緩やかに変化する。すなわち、実施の形態1に係る駆動回路1は、調光器3の調光度に対して、LEDモジュール4の明るさの急激な変化を抑制することができる。
これに対して、比較例では、調光位相角の変化に対してLEDモジュール4の明るさ比率が急激に変化する箇所がある。具体的には、図8中のXで示す箇所において、調光位相角のわずかな変化に対して、明るさ比率が約30%低下する。すなわち、比較例では、調光器3の調光度の変化に対して、LEDモジュール4の明るさが急激に暗くなる。
[まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る駆動回路1は、調光度に応じて位相制御された交流信号である調光信号を用いてLEDモジュール4を発光させる駆動回路であって、調光信号が整流された信号のうち、下限電圧以上かつ調光信号の最大電圧より低い上限電圧以下の電圧を積分することにより、LEDモジュール4の輝度を制御する制御信号を生成する制御信号生成部8を備える。
これにより、調光度に対するLEDモジュール4の明るさの急激な変化を抑制することができる。
また、駆動回路1は、さらに、調光信号を整流するダイオードブリッジ5を備え、制御信号生成部8は、ダイオードブリッジ5の出力端子間に直列接続された抵抗82〜84と、抵抗84に並列接続されたコンデンサ85と、抵抗83及び抵抗84に並列接続され、抵抗82に直列接続されたツェナーダイオード86とを有し、コンデンサ85に充電された電圧に応じた電圧を制御信号として出力してもよい。
これにより、ノード88の電圧は、ツェナーダイオード86の降伏電圧によって規定される上限電圧V2を超えることがない。よって、コンデンサ85に充電される電圧である制御信号の電圧を、調光信号のON位相角に対してリニアに応答させることができる。つまり、調光度に対するLEDモジュール4の明るさの急激な変化を抑制することができる。
また、制御信号生成部8は、さらに、抵抗82〜84に直列接続され、ツェナーダイオード86に直列接続された定電圧回路を有してもよく、定電圧回路は、ツェナーダイオード86に対して高電位側に接続されていてもよい。
これにより、出力端子87の電圧は、調光信号の電圧が定電圧回路の電圧より高くなる位相範囲において、調光信号の電圧Vdim及び上限電圧V2のうち低い電圧と、定電圧回路の電圧との差分電圧に対応する。一方、出力端子87の電圧は、調光信号の電圧が定電圧回路の電圧以下となる位相範囲において、実質的に0Vとなる。よって、コンデンサ85に充電される電圧である制御信号の電圧を、調光信号のON位相角に対して一層リニアに応答させることができる。つまり、調光度に対するLEDモジュール4の明るさの急激な変化を一層抑制することができる。
例えば、定電圧回路は、ツェナーダイオード81であってもよい。
これにより、定電圧回路を簡易な回路構成で実現することができる。
また、制御信号生成部8で生成された制御信号が示す電圧を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール4に供給することにより、LEDモジュール4を発光させる調光対応回路7を備えてもよい。
(実施の形態1の変形例)
本変形例に係る駆動回路は、実施の形態1に係る駆動回路1とほぼ同じであるが、制御信号生成部の構成が異なる。以下、本変形例に係る駆動回路が備える制御信号生成部について、実施の形態1に係る駆動回路1が備える制御信号生成部8と異なる点を中心に説明する。
図9は、本変形例に係る駆動回路が備える制御信号生成部180の構成を示す回路図である。
同図に示す制御信号生成部180は、図3に示す制御信号生成部8と比較してほぼ同じであるが、次の点が異なる。すなわち、制御信号生成部180は、ツェナーダイオード81に代わり、抵抗82〜84に直列接続されたスイッチング素子181と、ダイオードブリッジ5による整流後の電圧を分圧する、抵抗182及び183から構成される分圧回路とを備え、スイッチング素子181は、分圧回路によって分圧された電圧に応じてオン又はオフする点が異なる。
抵抗182と抵抗183とは、直列接続され、ダイオードブリッジ5の出力端子間に介在接続されている。これにより、抵抗182と抵抗183との接続点の電圧は、ダイオードブリッジ5で整流された調光信号の電圧が抵抗182及び183で分圧された電圧となる。
スイッチング素子181は、定電圧回路の一態様であり、ダイオードブリッジ5の高電位側の出力端と抵抗82との間に挿入されている。このスイッチング素子181は、抵抗182及び183によって分圧された電圧に応じてオン又はオフし、具体的には、抵抗182及び183によって分圧された電圧がスイッチング素子181の閾値以上の場合にオンし、閾値未満の場合にオフする。
以上のような構成により、制御信号生成部180は、スイッチング素子181がオフしている場合には、出力端子87の電圧が0Vとなる。
一方、スイッチング素子181がオンしている場合には、実施の形態1と同様に、調光信号の電圧が高い場合であっても、ノード88の上限電圧はツェナーダイオード86の降伏電圧によって規定される。上述したように、出力端子87の電圧は、ノード88の電圧を抵抗83及び84で分圧した電圧である。したがって、出力端子87の上限電圧は、ツェナーダイオード86の降伏電圧によって規定される。
このように、本変形例に係る駆動回路では、制御信号生成部180が、ダイオードブリッジ5による整流後の電圧を分圧する分圧回路(抵抗182、183)を備え、定電圧回路が、分圧回路によって分圧された電圧に応じてオン又はオフする、抵抗82〜84に直列接続されたスイッチング素子181を有する。
これにより、制御信号生成部180は、実施の形態1に係る駆動回路1が備える制御信号生成部8と同様に、調光度にほぼリニアに応答する制御電圧を生成する。したがって、本変形例に係る駆動回路は、実施の形態1に係る駆動回路1と同様に、調光度に対するLEDモジュール4の明るさの急激な変化を抑制することができる。
(実施の形態2)
まず、本発明の実施の形態2に係る駆動回路について説明する。
図10は本実施の形態に係る駆動回路の概略構成を示すブロック図であり、図11は駆動回路101の詳細な構成を示す回路図である。なお、図10及び図11には、駆動回路101に交流信号を供給する交流電源102と、調光度に応じた調光信号を生成する調光器103と、駆動回路101により点灯される発光素子(ここでは、LEDモジュール104)も併せて図示されている。
駆動回路101は、調光器103から入力される調光信号に応じた明るさ(以下、輝度とも言う)で発光素子(ここでは、LEDモジュール104)を点灯させる回路であって、ダイオードブリッジ105と、コンデンサ106、抵抗107、抵抗108及びスイッチ109を有する誤作動防止回路110と、逆流防止用のダイオード111と、発光制御モジュール112とを備える。ここで、抵抗108とスイッチ109とは、抵抗107のバイパス経路であるバイパス回路113を構成する。この駆動回路101の構成の詳細については、後述する。
交流電源102は、交流を供給する電源であって、例えば100Vの商用電源である。
調光器103は、交流電源102から供給された交流信号を、交流電圧波形の一部が欠けた信号である調光信号に変換する、位相制御式の調光器である。この調光器103は、調光度に応じて交流信号を位相制御することにより、調光信号に変化する。より具体的には、入力された交流信号を、調光度に応じた位相角範囲において電圧がゼロとなる信号である調光信号を生成する、例えばトライアック等で構成される。
調光器103は、例えば図12に示すような調光信号を生成する。図12は、調光器103で生成された調光信号の波形の一例を示すグラフである。
同図に示すように、調光器103は、入力された交流信号の電圧を、指示された調光度に対応する位相角範囲において0Vとすることにより、調光信号を生成する。具体的には、交流電圧が0Vとなったとき(ゼロクロスとも言う)の位相である位相角0°を基準として、この位相角から、指示された調光度に対応する位相角(例えば45°)までの範囲において電圧を0Vとする。そして、指示された調光度に対応する位相角において、調光信号の電圧を、交流電源102から供給された交流信号の電圧まで立ち上げる。このような調光器103が調光信号を立ち上げる位相角をON位相角という。
なお、調光器103により生成される調光信号は、図12に示すような、調光度に応じて交流信号の立ち上がりが欠ける信号であるリーディングエッジ方式に限らない。具体的には、調光信号は、位相制御式の調光信号であればよく、例えば、トレーリングエッジ方式であってもよい。
LEDモジュール104は、発光素子の一態様であって、駆動回路101から供給される電流に対応する明るさの光を放出する。つまり、LEDモジュール104は、駆動回路101から供給される電流に対応する輝度で発光する。このLEDモジュール104は、例えば、実装基板の片面上に複数個実装されたLEDチップである。なお、発光素子としては、LED以外でもよく、例えば、半導体レーザ、有機EL素子又は無機EL素子を用いてもよい。
次に、図11を用いて、図10に示した駆動回路101の詳細な構成について説明する。
ダイオードブリッジ105は、調光器103から出力された調光信号を整流し、整流した調光信号を後段の発光制御モジュール112へ出力する。なお、駆動回路101内の各回路(ダイオードブリッジ105、誤作動防止回路110、ダイオード111、及び、発光制御モジュール112)は、ダイオードブリッジ105の低電位側の出力端子の電位を基準電位とする。
誤作動防止回路110は、調光信号を整流するダイオードブリッジ105の出力端間に接続されたコンデンサ106と、コンデンサ106に並列接続された抵抗107と、抵抗107に並列接続されたバイパス回路113とを備え、バイパス回路113は、直列接続された抵抗108とスイッチ109とを有し、スイッチ109は、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧以下の場合にオンする。
これにより、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧まで低下した場合、コンデンサ106に充電されていた電荷を、バイパス回路113を介して速やかに放電することが可能となる。その結果、調光信号を供給する調光器103の誤作動を抑制することができる。なお、この誤作動防止回路110により調光器103の誤作動を抑制できる理由についは後述する。
バイパス回路113は、具体的には、抵抗108の一端が抵抗107の一端に接続され、抵抗108の他端がスイッチ109を介して抵抗107の他端に接続されている。これにより、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧まで低下した場合、抵抗108は抵抗107と並列接続された状態、すなわち抵抗108はコンデンサ106と並列接続された状態となる。したがって、コンデンサ106に充電されていた電荷を、抵抗108及びスイッチ109を介して速やかに放電できる。
逆流防止用のダイオード111は、入力端子が、ダイオードブリッジ105、誤作動防止回路110、電圧検出回路206及び制御信号生成部208に接続され、出力端子が調光対応回路207に接続されている。これにより、ダイオード111の後段回路である調光対応回路207からダイオード111の前段回路である誤作動防止回路110、電圧検出回路206及び制御信号生成部208への電流の逆流を防止する。
発光制御モジュール112は、調光器103から供給された調光信号を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール104に供給することにより、LEDモジュール104を発光させる。これにより、調光度に応じた明るさでLEDモジュール104を発光させることができる。この発光制御モジュール112は、具体的には、電圧検出回路206と、調光対応回路207と、制御信号生成部208とを備える。
電圧検出回路206は、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧を検出し、検出した電圧に応じてスイッチ109をオン・オフする。具体的には、電圧検出回路206は、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧以下の場合にスイッチ109をオンし、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧より高い場合にスイッチ109をオフする。この電圧検出回路206及びスイッチ109は、例えば、電圧検出回路206を複数の抵抗により構成される分圧回路とコンパレータとで構成し、スイッチ109をMOSトランジスタで構成することにより実現される。
調光対応回路207は、制御信号生成部208で生成された制御信号が示す電圧を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール104に供給することにより、LEDモジュール104を発光させる回路である。この調光対応回路207は、ノイズフィルタおよび平滑回路210、点灯回路220、制御回路230、及び、スイッチング素子240を備える。
ノイズフィルタおよび平滑回路210は、ダイオード111から出力された、整流後の調光信号のノイズを除去し、さらに、平滑化する回路であり、コイル211と、コンデンサ212及び213とを有する。
点灯回路220は、ノイズフィルタおよび平滑回路210から出力された、平滑化された整流後のDC電圧を入力とし、LEDモジュール104に供給する電流を生成する。具体的には、点灯回路220は、入力された信号電圧をチョッピングするためのチョークコイル221、そのチョークコイル221に蓄積されたエネルギーを回生させるためのダイオード222、及び、平滑化用のコンデンサ223を有する。チョークコイル221、ダイオード222及びLEDモジュール104は、回路ループを形成するように接続されている。コンデンサ223は、LEDモジュール104と並列に接続され、この点灯回路220の出力電圧(及び出力電流)を平滑化する。
制御回路230及びスイッチング素子240は、制御信号生成部208から出力される制御信号に応じて、点灯回路220が有するチョークコイル221に流す電流を駆動する。具体的には、制御回路230は、制御信号生成部208から出力された制御信号の電圧に応じてスイッチング素子240をオン・オフすることで、チョークコイル221に流れる電流をオン・オフする。例えば、制御回路230は、入力される制御信号に応じた周波数を有するPFM(Pulse Frequency Modulation)信号を生成する回路であり、制御信号の電圧が高いほど高い周波数を有するPFM信号を生成する。これにより、スイッチング素子240は、PFM信号が示す周波数が高いほどチョークコイル221に蓄積されるエネルギーが増えることになる。
したがって、制御信号生成部208から制御回路230に入力される制御信号の電圧が高いほど、制御回路230及びスイッチング素子240は多くの電流をチョークコイル221に流す。つまり、制御信号の電圧が高いほどLEDモジュール104に流れる電流が多くなるので、LEDモジュール104の輝度は高くなる。すなわち、制御信号の電圧が高いほどLEDモジュール104は明るく点灯する。
なお、制御回路230は、入力された制御信号の電圧が高いほどデューティ比の高いPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成することにより、スイッチング素子240をオン・オフしてもよい。
制御信号生成部208は、ダイオードブリッジ105で整流された調光信号のうち、所定電圧以上の電圧を積分し、積分した電圧を制御信号として制御回路230へ出力する回路である。具体的には、制御信号生成部208は、ダイオードブリッジ105の高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に介在接続され、高電位側の出力端から次の順に直列接続されたツェナーダイオード281、ツェナーダイオード286、抵抗283及び抵抗284と、抵抗284に並列に接続されたコンデンサ285とを有する。これにより、制御信号生成部208から出力される制御信号の電圧は、整流後の調光信号の電圧のうち、ツェナーダイオード281の降伏電圧とツェナーダイオード286の降伏電圧とを加算した電圧以上の電圧に対応する。
つまり、制御信号生成部208から出力される制御信号の電圧は、調光信号のON位相角に対応する電圧、すなわち調光度に対応する電圧である。具体的には、制御信号の電圧は、調光信号のON位相角が小さい程(調光度が大きい程)、高くなる。その結果、発光制御モジュール112は、調光度に応じた明るさでLEDモジュール104を発光させることができる。
このように、発光制御モジュール112は、電圧検出回路206によって、整流後の調光信号の電圧が所定の閾値電圧以下の場合に、スイッチ109をオンする。また、制御信号生成部208及び調光対応回路207によって、調光器103から供給された調光信号を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール104に供給することにより、LEDモジュール104を発光させる。
次に、上述の誤作動防止回路110により調光器103の誤作動を抑制できる理由について説明する。
まず、上記のように構成された本実施の形態に係る駆動回路101の内部電荷について、図13A〜図13Cを用いて説明する。図13Aは整流後の調光信号を示すグラフであり、図13Bはゼロクロスにおいて内部電荷がゼロにならない場合のコンデンサ106の電圧を示すグラフであり、図13Cはゼロクロスにおいて内部電荷がゼロになる場合のコンデンサ106の電圧を示すグラフである。
図13Aには、交流電源102から供給される交流信号の電圧波形である電源波形と、調光器103で調光度に応じたON位相角を有する交流信号に変換された後の信号である調光信号の電圧波形とが示されている。
上述したように、調光器103は、入力された交流信号の電圧を、指示された調光度に対応する位相角範囲において0Vとすることにより、調光信号を生成する。具体的には、交流電圧が0Vとなったとき(ゼロクロス)の位相を基準として、この位相角から、指示された調光度に対応するON位相角までの範囲において電圧を0Vとする。したがって、調光器103にとって、交流電圧のゼロクロスを検知することは、調光信号を生成するための重要な要件となる。
ここで、調光器103の動作は、交流電源102だけでなく、調光器103の負荷である駆動回路101によっても影響される。具体的には、交流電圧のゼロクロスのタイミングにおいて駆動回路101が内部電荷を有する場合、調光器103は交流電圧のゼロクロスを検知できない場合がある。調光器103がゼロクロスを検知できなかった場合、調光器103は、次の周期において調光信号を出力できなかったり、次の周期において適切なON位相角で調光信号を生成できなかったり、あるいは、次の周期以降、動作を停止してしまったりする。つまり、調光器103がゼロクロスを検知できない場合、調光器103の誤作動が引き起こされる。
具体的には、交流電源102のゼロクロスのタイミングにおいて、駆動回路101内部に電荷が残っている場合、ゼロクロス以降のある一定期間は、電源電圧よりも駆動回路101内部の電圧が高い状態になる。その結果、調光器103からみた駆動回路101のインピーダンスが非常に高い状態になり、調光器103を動作させるための電流を確保できなくなるため、調光器103内部のトライアックなどのスイッチをオンすることができず、調光器103の誤作動が生じる。
したがって、調光器103の誤作動を抑制するためには、交流電圧のゼロクロスにおいて駆動回路101の内部電荷をゼロにすることが必要である。
また一方で、照明用光源には、この照明用光源が発するノイズが、例えば他の装置に電波干渉を与えないために、ノイズを改善(低減)することが要求されている。
そのため、調光対応型の照明用光源は、照明用光源内部のフィルタとして機能するコンデンサの容量を大きくする必要がある。すなわち、駆動回路101内のコンデンサ106の容量を大きくすることが要求される。
しかしながら、コンデンサ106の容量を大きくする場合、コンデンサ106の放電時間が長くなることにより、交流電圧のゼロクロスにおいて駆動回路101の内部電荷をゼロにすることが難しくなるという問題が生じる。
具体的には、コンデンサ106の容量が大きい場合には、コンデンサ106が蓄積した電荷の放電に要する時間が長くなる。よって、図13Bに示すように、調光信号の電圧がピーク電圧から低下したとき、コンデンサ106の電圧は調光信号の電圧よりも遅れて低下する。すなわち、コンデンサ106の電圧は交流電圧の電圧よりも遅れて低下する。その結果、交流電圧のゼロクロスにおいて、コンデンサ106の電圧がゼロとはならない。すなわち、交流電圧のゼロクロスにおいて、駆動回路101の内部電荷が残ったままとなる。
これにより、調光器103がゼロクロスを検知できずに、誤作動する。つまり、調光器103の誤作動が引き起こされ、それによりLEDモジュール104の発光がチラつくなどの不具合が生じる。
このような調光器103の誤作動を抑制するために、誤作動防止回路110は、コンデンサ106に並列接続された抵抗107と、抵抗107に並列接続されたバイパス回路113とを備え、バイパス回路113は、直列接続された抵抗108とスイッチ109とを有し、スイッチ109は、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧Vth以下となる場合にオンする。
これにより、図13Cに示すように、交流電圧のゼロクロスにおいて駆動回路101の内部電荷をゼロにすることができ、調光器103はゼロクロスを正常に検知できる。つまり、調光器103の誤作動を抑制することが可能となる。
具体的には、コンデンサ106の電圧が閾値電圧Vth以下となった場合に、スイッチ109がオンする。これにより、抵抗108及びスイッチ109を介して、コンデンサ106に蓄積された電荷が放電される。その結果、駆動回路101の内部電荷がスムーズに放電され、交流電圧のゼロクロスにおいて駆動回路101の内部電荷がゼロになる。したがって、調光器103がゼロクロスを正常に検知できる。
ただし、図13Bに示すように、コンデンサ106の電圧がスイッチ109をオンさせるための閾値電圧Vthまで下がらない場合、スイッチ109がオフ状態のままとなり、内部電荷が残ったままとなってしまう。また、コンデンサ106の電圧が交流電圧のピーク電圧からゼロとなるのに要する時間は、各素子(コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108)の定数によって決定される。
したがって、交流電圧のゼロクロスにおいて駆動回路101の内部電荷をゼロとするために、本実施の形態に係る駆動回路101では、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数を次のようにすることが必要である。
具体的には、コンデンサ106の容量値をC、抵抗107の抵抗値をR1、抵抗108の抵抗値をR2、スイッチ109がオンする閾値電圧をVth、交流信号の振幅をV0、交流信号の周波数をfsとし、
t1=CR1×(lnV0−lnVth)
t2=CR2×(lnVth)
とした場合、C、R1、R2は次の式1を満たす。
t1+t2<1/(3,3×fs) ・・・(式1)
つまり、交流電圧がピーク電圧となってからコンデンサ106の電圧が閾値電圧Vthとなるまでの期間において、コンデンサ106の電圧の時定数は、コンデンサ106の容量値と抵抗107の抵抗値とによって決定される。また、コンデンサ106の電圧が閾値電圧Vthとなることによりスイッチ109がオンしてからコンデンサ106の電圧が0Vとなるまでの期間において、コンデンサ106の電圧の時定数は、コンデンサ106の容量値と抵抗108の抵抗値とによって決定される。なお、抵抗108の抵抗値R2と比較して、抵抗107の抵抗値及びスイッチ109のオン抵抗は十分小さい。
したがって、交流電圧がピーク電圧となってからコンデンサ106の電圧が閾値電圧Vthとなるまでの時間に対応する時間t1と、コンデンサ106の電圧が閾値電圧Vthとなってからコンデンサ106の電圧が0Vとなるまでの時間に対応する時間t2との合計が、交流信号の1/3.3周期より短い場合に、交流電圧のゼロクロスにおいて駆動回路101の内部電荷をゼロとすることができる。
以上のように、本実施の形態に係る駆動回路101は、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数を上記の式1を満たす値にすることにより、調光器103の誤作動を抑制することができる。
一方、上述したように、駆動回路101はノイズを改善することが要求されている。
そこで、駆動回路101は、調光器103の誤作動を抑制し、かつ、ノイズを低減するために、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数が上記の式1を満たすとともに、コンデンサ106の容量を大きくする必要がある。
以下、比較例1としてコンデンサ106の容量が小さい場合について説明し、比較例2としてコンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数が上記の式1を満たさない場合について説明しながら、本実施の形態に係る駆動回路101の効果について述べる。
<比較例1>
まず、比較例1に係る駆動回路の動作と、この比較例1に係る駆動回路を調光器103に接続した場合に発生するノイズについて説明する。
比較例1に係る駆動回路は、図11に示す本実施の形態に係る駆動回路101と同様の構成を有するが、コンデンサ106の容量が小さい点が主に異なる。具体的には、比較例1に係る駆動回路は、コンデンサ106の容量値Cが0.047μF、抵抗107の抵抗値R1が100kΩ、抵抗108の抵抗値R2が2kΩである。
図14は、比較例1に係る駆動回路の動作を説明するためのグラフであり、(a)は比較例1におけるコンデンサ106の電圧を示すグラフであり、(b)は比較例1においてコンデンサ106の電圧が図14の(a)のようになった場合の調光器103の出力波形の電圧を示すグラフである。
図14の(a)に示すように、コンデンサ106の電圧は、この電圧が閾値電圧Vthとなってから速やかに低下する。
ここで、図14の(a)におけるAで示す箇所において、コンデンサ106の電圧は0Vになっていない。これは調光器103がオフしている期間において、制御信号生成部208で生成された制御信号が、抵抗108及びスイッチ109を介してコンデンサ106に流れることによるものである。
つまり、上記図13A〜図13Cで説明したように、交流電圧のゼロクロスで駆動回路101の内部電荷がゼロとなる、すなわちコンデンサ106の電圧がゼロとなるのが理想的ではあるが、実際には、コンデンサ106の電圧は周辺回路の影響でゼロにはならない。よって、理想的な回路において、交流電圧のゼロクロスで駆動回路101の内部電荷がゼロになるとは、実際の回路において、交流電圧のゼロクロスから調光信号のON位相角までの位相角範囲(以下、調光器103のオフ期間と記載する)で、駆動回路101の内部電荷が時間依存性を有さないことに相当する。
調光器103のオフ期間において、駆動回路101の内部電荷がゼロにならない理由については、次のように説明される。調光器103は、調光器103のオフ期間であっても、次の周期で動作して調光信号を立ち上げるため、調光器103内部のスイッチ(たとえば、トライアック)を動作させるために必要な電源を調光器103外部から供給しておく必要がある。具体的には、電源供給の電流を、調光器103に直列接続された駆動回路101及びLEDモジュール104を含むランプを介して一定量流す必要がある。このとき、上記電流が抵抗108を流れることにより、抵抗108には電圧降下による電圧が発生する。したがって、抵抗108に並列接続されたコンデンサ106にも、抵抗108の電圧降下に相当する電圧が発生する。このように、調光器103のオフ期間においてコンデンサ106に発生する電圧により、駆動回路101の内部電荷はゼロにはならない。
したがって、図14の(a)のAに示すように、交流電圧のゼロクロスにおいてコンデンサ106の電圧がゼロでなくても、調光器103のオフ期間にコンデンサ106の放電がない場合、調光器103は交流電圧のゼロクロスを正常に検知することができる。
図14の(b)のAに示す箇所において、調光器103の出力電圧はオフセットされている。これは、調光器103のオフ期間において、コンデンサ106の電圧が0Vとなっていないことによるものであるが、上述したように、この電圧のオフセットは調光器103による交流電圧のゼロクロスの検知には影響を与えない。
その結果、比較例1に係る駆動回路は調光器103の誤作動を抑制できる。
次に、比較例1に係る駆動回路を調光器103に接続した場合に発生するノイズについて説明する。
図15は、比較例1に係る駆動回路と調光器103とを接続した場合に生じるノイズを示すグラフであり、横軸は周波数、縦軸は雑音強度を示す。
なお、同図には、雑音強度の許容レベルの一例が示されている。この許容レベルとは、例えば、電気用品安全法等の許容値である。
図15から、比較例1に係る駆動回路と調光器103とを接続した場合、周波数が約800kHz以上の周波数において、雑音強度が許容レベル未満となるが、周波数が約800kHz未満の周波数において、雑音強度が許容レベル以上となる。
以上のように、容量が小さいコンデンサ106を有する比較例1に係る駆動回路の構成では、調光器103の誤作動を抑制できるものの、低周波領域(例えば、800kHz以下)におけるノイズに関しては改善が見られない。
<比較例2>
駆動回路を調光器103に接続した場合のノイズを低減するためには、コンデンサ106の容量を大きくすることが考えられる。そこで、比較例2に係る駆動回路として、比較例1におけるコンデンサ106よりも容量の大きいコンデンサ106を有する駆動回路について検討する。以下、この比較例2に係る駆動回路の動作について説明する。
比較例2に係る駆動回路は、比較例1に係る駆動回路と比較して、容量が大きいコンデンサ106を有する点が異なる。具体的には、比較例2に係る駆動回路は、コンデンサ106の容量値Cが0.1μF、抵抗107の抵抗値R1が100kΩ、抵抗108の抵抗値R2が2kΩである。つまり、比較例2に係る駆動回路は、コンデンサ106の容量は大きいが、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数が上記の式1を満たさない構成である。
図16は、比較例2に係る駆動回路の動作を説明するためのグラフであり、(a)は比較例2におけるコンデンサ106の電圧を示すグラフであり、(b)は比較例2においてコンデンサ106の電圧が図16の(a)のようになった場合の調光器103の出力波形の電圧を示すグラフである。
図16の(a)を図14の(a)と比較すると、コンデンサ106の電圧は、この電圧が閾値電圧Vthとなってから速やかに低下していくことについては同様であるが、調光器103のオフ期間であっても、コンデンサ106の電圧が一定電圧とならずに、引き続き低下していく点が異なる。
これは、コンデンサ106の容量を大きくしたことにより、調光器103のオフ期間、すなわち交流電圧のゼロクロス以降も、コンデンサ106が放電していることを意味する。
その結果、比較例2に係る駆動回路に接続された調光器103の出力電圧は図16の(b)におけるBで示す箇所において、電圧波形がいびつになる。すなわち、調光器103が調光度に応じた調光信号を出力できないという調光器103の誤作動が引き起こされる。
以上のように、比較例2に係る駆動回路は、比較例1と比較してコンデンサ106の容量が大きいことにより、調光器103を接続した場合のノイズは低減できると考えられる。しかしながら、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数が上記の式1を満たさないことにより、交流電圧のゼロクロスにおいて、コンデンサ106の放電が完了しない。その結果、調光器103の誤作動が引き起こされ、調光器103の出力波形がいびつになる。
<実施の形態1の効果>
上記の比較例1及び2に係る駆動回路に対し、本実施の形態に係る駆動回路101では、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数を上記の式1を満たす値とし、さらに、コンデンサ106の容量値Cを
C>0.047μF ・・・(式2)
とする。
これにより、本実施の形態に係る駆動回路101は、調光器103の誤作動を抑制し、かつ、ノイズを低減することができる。以下、本実施の形態に係る駆動回路101の動作と、この本実施の形態に係る駆動回路101を調光器103に接続した場合に発生するノイズについて説明する。
上述したように、本実施の形態に係る駆動回路101は、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数を上記の式1及び式2を満たす値とする。具体的には、本実施の形態に係る駆動回路101は、コンデンサ106の容量値Cが0.1μF、抵抗107の抵抗値R1が47kΩ、抵抗108の抵抗値R2が2kΩである。
図17は、本実施の形態に係る駆動回路101の動作を説明するためのグラフであり、(a)は駆動回路101におけるコンデンサ106の電圧を示すグラフであり、(b)は本実施の形態においてコンデンサ106の電圧が図17の(a)のようになった場合の調光器103の出力波形の電圧を示すグラフである。
図17の(a)を図14の(a)及び図16の(a)と比較すると、コンデンサ106の電圧が、この電圧が閾値電圧Vthとなってから速やかに低下していくことについては同様である。また、調光器103のオフ期間において、図17の(a)では図14の(a)と同様にコンデンサ106の電圧が一定になっている。これにより、図17の(b)に示すように、調光器103のオフ期間において、調光器103の出力電圧もオフセットされる。
比較例1で説明したように、調光器103のオフ期間におけるコンデンサ106の電圧のオフセットは、調光器103による交流電圧のゼロクロスの検知には影響を与えない。
その結果、図17の(b)に示す調光器103の出力電圧の波形には、図16の(b)においてBで示した箇所のような波形がいびつになる箇所が存在しない。すなわち、本実施の形態に係る駆動回路101は、この駆動回路101に接続された調光器103の誤作動を抑制することができる。
次に、本実施の形態に係る駆動回路101で生じるノイズについて説明する。
図18は、本実施の形態に係る駆動回路101と調光器103とを接続した場合に生じるノイズを示すグラフであり、横軸は周波数、縦軸は雑音強度を示す。なお、同図の横軸及び縦軸は図15の横軸及び縦軸と同一スケールであり、図15と同じ許容レベルが示されている。
図18と図15とを比較すると、図18に示す雑音強度は、図15に示す雑音強度よりも全体的に改善し、特に800MHz以下の低周波領域において顕著に改善していることがわかる。例えば、図18に示す雑音強度は、約500kHz以上の周波数領域において許容レベル未満となることが読み取れる。一方、図15に示す雑音強度は、約800kHz未満の周波数領域において許容レベル以上となっている。このように、本実施の形態に係る駆動回路101は、調光器103を接続した場合のノイズが、比較例1に係る駆動回路と比較して、低周波領域において改善することがわかる。
すなわち、本実施の形態に係る駆動回路101は、コンデンサ106の容量値Cを0.1μFとすることにより、比較例1と比較して、低周波領域におけるノイズを改善することができる。
なお、図15及び図18には、すべての周波数領域において許容レベルの一例が示されているが、許容レベルは一部の周波数領域において規定されている場合がある。例えば、許容レベルが電気用品安全法の許容値の場合、許容レベルは周波数が526.5kHz以上の周波数領域において規定されている。すなわち、図15及び図18において、規定範囲外(周波数が526.5kHz未満)の周波数領域における雑音強度が許容レベルを超えていることは問題にならない。
また、本実施の形態に係る駆動回路101は、コンデンサ106の容量値Cを0.1μFとしたが、コンデンサ106の容量値はこれに限らない。具体的には、コンデンサ106の容量値CはC>0.047μFであればよい。C>0.047μFを満たせば、比較例1と比較して、駆動回路101を調光器103に接続した場合に発生するノイズがより低周波領域において許容レベルを下回ることができる。すなわち、低周波領域のノイズを低減できる。
[まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る駆動回路101は、調光度に応じて位相制御された交流信号である調光信号を用いて発光素子を発光させる駆動回路であって、調光信号を整流するダイオードブリッジ105の出力端間に接続されたコンデンサ106と、コンデンサ106に並列接続された抵抗107と、抵抗107に並列接続されたバイパス回路113とを備え、バイパス回路113は、直列接続された抵抗108とスイッチ109とを有し、スイッチ109は、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧以下となる場合にオンし、コンデンサ106の容量値をC、抵抗107の抵抗値をR1、抵抗108の抵抗値をR2、閾値電圧をVth、交流信号の振幅をV0、交流信号の周波数をfsとし、t1=C×R1×(lnV0−lnVth)、t2=C×R2×(lnVth)とした場合、C、R1、R2は上記の式1及び式2を満たす。
このように、コンデンサ106、抵抗107及び抵抗108の定数が、上記の式1を満たすことにより、交流電圧のゼロクロスにおいて、コンデンサ106の電圧を一定電圧にすることができる。すなわち、交流電圧のゼロクロスにおいて、コンデンサ106の放電を完了することができる。したがって、駆動回路101に接続された調光器103の誤作動を抑制することができる。また、コンデンサ106の容量値Cが、上記の式2を満たすことにより、駆動回路101と調光器103とを接続した場合における低周波領域のノイズを低減することができる。すなわち、本実施の形態に係る駆動回路101は、調光器103の誤作動を抑制し、かつ、ノイズを低減することができる。
なお、抵抗107、抵抗108、ダイオードブリッジ105、及び、発光制御モジュール112は、それぞれ、第4抵抗、第5抵抗、第2整流回路、及び、第2発光制御回路の一態様である。
また、抵抗108の一端は抵抗107の一端に接続され、抵抗108の他端はスイッチ109を介して抵抗107の他端に接続されていてもよい。
これにより、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧となった場合、抵抗108は抵抗107と並列接続された状態、すなわち抵抗108はコンデンサ106と並列接続された状態となる。したがって、コンデンサ106に充電されていた電荷を、抵抗108及びスイッチ109を介して速やかに放電できる。
また、駆動回路101は、さらに、調光信号を電流に変換し、変換した電流をLEDモジュール104に供給することにより、LEDモジュール104を発光させる発光制御モジュール112を備えてもよい。
これにより、調光度に応じた明るさでLEDモジュール104を発光させることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る照明用光源は、実施の形態1に係る駆動回路1と、LEDモジュール4とを備える。以下、本実施の形態に係る照明用光源について、図面を参照しながら説明する。
図19は、本実施の形態に係る照明用光源310の概観図であり、図20は、図19における中心軸A−A’を含む面で切断して得られる断面図である。
この照明用光源310は、全方向配光の電球形LEDランプであって、グローブ301と、口金302と、グローブ301と口金302との間に配置される外部ケース303とによってランプ外囲器が構成されている。
グローブ301は、LEDモジュール304から放出される光をランプ外部に放射するための球状の透光性カバーである。LEDモジュール304は、このグローブ301によって覆われている。また、グローブ301は、LEDモジュール304から放出される光を拡散させるために、すりガラス処理等の光拡散処理が施されている。なお、グローブ301の形状は球状のものに限らず、半球、回転楕円体又は偏球体であっても構わない。また、本実施の形態において、グローブ301の材質はガラス材としたが、グローブ301の材質はガラス材に限らず、合成樹脂等でグローブ301を成型しても構わない。
口金302は、二接点によって調光信号を受電するための受電部である。口金302で受電された調光信号はリード線(不図示)を介して回路基板372の電力入力部に入力される。
図20に示すように、本実施の形態に係る照明用光源310は、さらに、LEDモジュール304と、光源取り付け部材305と、駆動回路307とを備える。
LEDモジュール304は、図1に示すLEDモジュール4であり、半導体発光素子からなる光源の一例であって、所定の光を放出するLEDからなる発光モジュール(発光ユニット)である。
光源取り付け部材305は、LEDモジュール304を配置するための金属基板からなるホルダ(モジュールプレート)であり、アルミダイキャストによって円盤状に成型されている。
駆動回路307は、実施の形態1に係る駆動回路1であり、LEDモジュール304を発光させるための回路(電源回路)を構成する回路素子群371と、回路素子群371の各回路素子が実装される回路基板372とを有する。
回路素子群371は、口金302で受電された調光信号から、光源(LEDモジュール304)を発光させるための電力を生成するための複数の回路素子で構成されており、口金302で受電された調光信号を、調光度に応じてリニアに応答する制御信号に変換し、この制御信号が示す電圧に応じた電流をLEDモジュール304に供給する。この回路素子群371には、電解コンデンサ(縦型コンデンサ)である第1容量素子371aと、セラミックコンデンサ(横型コンデンサ)である第2容量素子371bと、抵抗素子371cと、コイルからなる電圧変換素子371dと、IPD(インテリジェントパワーデバイス)の集積回路である半導体素子371eとが含まれる。
回路基板372は、円盤状のプリント基板であり、一方の面に回路素子群371が実装されている。なお、回路基板372には、切欠部が設けられている。この切欠部は、LEDモジュール304に電流を供給するためのリード配線を、回路素子群371が実装された面側から反対側の面に渡すための通路を構成する。
以上のように構成された本実施の形態に係る照明用光源310は、調光度の変化に対して、明るさが急激に変化することを抑制できる。
なお、本実施の形態では、照明用光源310が備える駆動回路307を、実施の形態1に係る駆動回路1であるとして説明したが、駆動回路307は、実施の形態1の変形例に係る駆動回路であっても構わない。
また、駆動回路307は、実施の形態2に係る駆動回路101であっても構わない。このような駆動回路101を備える照明用光源310は、調光器の誤作動を抑制し、かつ、ノイズを低減することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態に係る照明装置は、実施の形態3に係る照明用光源310と、交流電源を用いて調光信号を生成する調光器とを備える。以下、本実施の形態に係る照明装置について、図面を参照しながら説明する。
図21は、本実施の形態に係る照明装置400の概略断面図である。
本実施の形態に係る照明装置400は、例えば、室内の天井500に装着されて使用される。この照明装置400は、照明用光源410と点灯器具420とリモコン430とを備える。照明用光源410は、上記の実施の形態3に係る照明用光源310である。リモコン430は、ユーザによる調光度を指示する操作を受け付け、受け付けた調光度を示す信号を点灯器具420へ送信する。
点灯器具420は、照明用光源410を消灯及び点灯させるものであり、点灯させる際には調光度に応じた輝度で点灯させる。この点灯器具420は、天井500に取り付けられる器具本体421と、照明用光源410を覆うランプカバー422とを備える。
器具本体421は、調光器421aと、照明用光源410の口金411が螺着されるソケット421bを有し、当該ソケット421bを介して照明用光源410に調光信号を給電する。
調光器421aは、図1の調光器3又は図10の調光器103であり、リモコン430から送信された調光度を示す信号を受信し、交流電源から入力された交流信号を、受信した調光度に対応する調光信号に変換する、位相制御式の調光器である。
以上のように構成された本実施の形態に係る照明装置400は、ユーザが指示する調光度に対して、明るさが突然変わることがない。つまり、調光度の変化に対して、明るさが急激に変化することを抑制できる。
なお、本実施の形態では、照明用光源410は実施の形態1に係る駆動回路1を備えるとしたが、駆動回路1に代わり、実施の形態2に係る駆動回路101を備えてもよい。このような駆動回路101を備える照明装置400は、調光器421aの誤作動を抑制し、かつ、ノイズを低減することできる。
以上、本発明に係る駆動回路、照明用光源及び照明装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及び変形例に施したものや、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれる。
例えば、上記説明では、調光器は、ユーザが指示する調光度に応じてON位相角を変化させるとしたが、調光器がON位相角を変化させる方法はこれに限らない。例えば、調光器は光センサを有し、この光センサが受光した光量に応じてON位相角を変化させてもよい。
また、上記説明では、照明用光源が電球形LEDランプである場合を例に説明を行ったが、本発明は、他の形状の照明用光源にも適用できる。例えば、本発明を直管形LEDランプに適用してもよい。
また、上記説明では、照明装置が照明用光源と調光器とを備える場合を例に説明を行ったが、照明装置は、駆動回路1とLEDモジュール4とを備える構成であればよく、グローブや外部ケースといった筐体を備えなくてもよい。
また、上述の照明装置400は、一例であり、交流信号を調光信号に変換する調光器421aと、照明用光源410の口金411を螺着するためのソケット421bとを備える照明装置であれば構わない。また、図21に示す照明装置400は、1つの照明用光源を備えるが、複数、例えば、2個以上の照明用光源を備えても構わない。
また、上記回路図に示す回路構成は、一例であり、本発明は上記回路構成に限定されない。例えば、制御信号生成部8は、図3に示した構成に限らず、ツェナーダイオード81及び抵抗82の位置関係が逆であってもよいし、抵抗82が抵抗84に対して低電位側に接続されていてもよい。また、例えば、誤作動防止回路110は、図10及び図11に示した構成に限らず、抵抗108とスイッチ109の位置関係が逆であってもよい。
つまり、上記回路構成と同様に、本発明の特徴的な機能を実現できる回路も本発明に含まれる。例えば、上記回路構成と同様の機能を実現できる範囲で、ある素子に対して、直列又は並列に、トランジスタ、抵抗素子、又は容量素子等の素子を接続したものも本発明に含まれる。言い換えると、上記実施の形態における「接続される」とは、2つの端子(ノード)が直接接続される場合に限定されるものではなく、同様の機能が実現できる範囲において、当該2つの端子(ノード)が、素子を介して接続される場合も含む。
また、上記説明では、調光信号を整流する整流回路として全波整流回路であるダイオードブリッジ5を備えたが、整流回路の構成はこれに限らず、例えば半波整流回路であっても構わない。
なお、上記説明では、スイッチ109は、ダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が所定の閾値電圧以下の場合にオンし、閾値電圧より高い場合にオフするとした。すなわち、閾値電圧以下となるタイミングでオフからオンに切り替わり、閾値電圧より高くなるタイミングでオンからオフに切り替わると説明した。しかしながら、スイッチ109がオフするタイミングはこれに限らず、交流信号の位相角において、交流信号の電圧がゼロとなる位相角より大きく、調光信号が立ち上がる位相角以下の範囲であればよい。
このような構成であっても、実施の形態1と同様に調光器103の誤作動を抑制することができる。なぜなら、交流信号のゼロクロスにおいてコンデンサ106の放電が完了していることにより、調光器103は、交流電圧のゼロクロスを正常に検知することができるからである。したがって、ゼロクロスより後にスイッチ109がオフすることは、調光器103のゼロクロスの検知に影響を与えることがないからである。
同様に、電圧検出回路206がスイッチ109をオフするタイミングも、上記説明のようにダイオードブリッジ105の出力端間の電圧が閾値電圧より高くなるタイミングに限らず、交流信号の位相角において、交流信号の電圧がゼロとなる位相角より大きく、調光信号が立ち上がる位相角以下の範囲であればよい。