以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、本発明の一実施形態に係る歯科用補綴物作製システム1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る歯科用補綴物作製システムの構成図である。歯科用補綴物作製システム1は、三次元計測装置2と、作製支援装置3と、切削加工装置4とを有する。三次元計測装置2と作製支援装置3とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等のケーブル5により接続され、両者間でデータ送受信が可能となっている。また、作製支援装置3と切削加工装置4とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等のケーブル6により接続され、両者間でデータ送受信が可能となっている。
なお、作製支援装置3と三次元計測装置2とをケーブル5で直接接続するようにしていたが、本発明はこれに限られず、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続するようにしてもよい。また、作製支援装置3と切削加工装置4との間についても、LAN、WAN等のネットワークを介して接続するようにしてもよい。
三次元計測装置2は、支台歯模型を、例えば、レーザによって三次元計測することにより、支台歯模型の三次元形状データを作成し、当該三次元形状データを作製支援装置3に送信する。三次元計測装置2では、例えば、模型における、中心を通り、かつ支台歯の向いている方向(天然歯ならば萌出方向)にほぼ対応する軸を、測定時のZ方向の基準軸とし、その軸に垂直な面内に、互いに垂直なX軸及びY軸をとり、これらの3軸における三次元座標を三次元形状データとして作成している。作製支援装置3は、例えば、PC(Personal Computer)等によって構成されており、三次元計測装置2から送信された三次元形状データを利用し、オペレータからの指示入力に応じて、支台歯に適合する歯科用補綴物を作製するための作製用データを生成する処理を行い、生成した作製用データを切削加工装置4に送信する。切削加工装置4は、作製支援装置3から送信された作製用データに従って、例えば、セラミックス等の素材を切削して歯科用補綴物を作製する。
次に、三次元計測装置2により計測される三次元形状データについて、図2を用いて説明をする。図2(1)は、支台歯模型Tにおける基準軸Zを含む断面TSの一例を示している。レーザによる計測線LHは、この断面上にありまた基準軸Zに垂直である。複数の計測線LHは、等間隔に並び、間隔は0.05〜0.5mmの範囲にある。複数の計測線LHのうち、最も咬合側の計測線LHの、基準軸Z上の位置は、任意に設定することができる。支台歯模型Tの表面と計測線LHの交点DFから三次元形状データを作製する。レーザによる計測線LIは、この断面上にありまた最も咬合側の計測線LHと基準軸Zの交点を通る。複数の計測線LIは、最も咬合側の計測線LHと基準軸Zがなす90°の間で等角度に位置し、90°の間で合計50〜200の範囲にある。支台歯模型Tの表面と計測線LIの交点DFから三次元形状データを作製する。なお、隣り合う2つの交点DFの間隔を1単位とし、この間隔の数を「αメッシュ数」とする。例えば、交点DFが3つ連続するときは、αメッシュ数が2である。図2(2)は、支台歯模型Tにおける基準軸Zに垂直な面の一例を示している。複数の断面TSは、基準軸Zの周りで等角度に位置し、合計で200〜360の範囲にある。支台歯模型Tの表面と断面TSの交わる点に交点DFが存在する。なお、隣り合う2つの交点DFの間隔を1単位とし、この間隔の数を「θメッシュ数」とする。例えば、交点DFが3つ連続するときは、θメッシュ数が2である。
次に、作製支援装置3についてより詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る作製支援装置の構成図である。作製支援装置3は、装置本体10と、表示装置11と、入力装置12とを有する。表示装置11は、例えば、液晶ディスプレイや、CRTディスプレイ等の画像を表示する装置である。入力装置12は、例えば、マウス、キーボード等の作製支援装置3のオペレータからの入力を受け付けるための装置である。装置本体10において、CPU(Central Processing Unit)13と、ROM(Read Only Memory)14と、RAM(Random Access Memory)15と、ハードディスクドライブ16と、表示処理部17と、入力インターフェース18と、コンボドライブ19と、外部インターフェース20、21とがバス22を介して接続されている。
ROM14は、ブートプログラム等の基本プログラムを記憶する。RAM15は、プログラムやデータを記憶する領域として、或いは、CPU13による処理に使用しているデータを格納する作業領域として利用される。本実施形態では、RAM15は、形状データ記憶手段の一例であり、処理対象の支台歯模型の三次元形状データを記憶する。また、本実施形態では、RAM15は、マージンライン記憶手段の一例であり、処理によって設定されたマージンラインの三次元位置情報を記憶する。表示処理部17は、CPU13の制御により、表示装置11に画像を表示させるための表示用データを生成し、表示装置11に出力する。
コンボドライブ19は、複数種類の記録媒体23からのデータ、プログラムの読み込み、記録媒体23へのデータ等の書き込みを行う。記録媒体23としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、DVD−RAM等がある。ハードディスクドライブ16は、OS(オペレーティングシステム)や、各種プログラムや、各種データベースを読み出し可能に記憶する。本実施形態では、ハードディスクドライブ16は、歯科用補綴物の作製を支援する作製支援プログラム、複数の支台歯模型の三次元形状データを記憶する。
入力インターフェース18は、入力装置12と接続可能であり、入力装置12からの信号をデータとして、CPU13、RAM15に渡す。外部インターフェース20は、外部の装置とのデータのやりとりの仲介を行う。本実施形態では、外部インターフェース20は、ケーブル5を介して接続された三次元計測装置2との間でデータのやりとりを行う。外部インターフェース21は、外部の装置とのデータのやりとりの仲介を行う。本実施形態では、外部インターフェース21は、ケーブル6を介して接続された切削加工装置4との間でデータのやりとりを行う。
CPU13は、ROM14の基本プログラムやハードディスクドライブ16に格納されているOSやプログラムをRAM15に読み出して実行することにより各種処理を実行する。また、CPU13は、各部14〜21の動作を制御する。
本実施形態では、CPU13が、ハードディスクドライブ16に格納されたOS及び作製支援プログラムを実行することにより、検出範囲受付手段及び厚さ受付手段の一例としての受付部13aと、表示手段の一例としての表示制御部13bと、接点検出手段の一例としての接点検出部13cと、マージンライン決定手段の一例としてのマージンライン決定部13dと、外形決定手段の一例としてのコーピング処理部13eと、加工設定処理部13fと、通信処理部13gとが構成される。
受付部13aは、表示制御部13bにより表示された各種ウインドウに対する、オペレータの入力装置12を利用しての操作に応じて各種指示を受け付ける。本実施形態では、受付部13aは、メインウインドウ31(図5参照)、マージンライン作成ウインドウ51(図8参照)、コーピングウインドウ61(図12参照)、内形作成ウインドウ71(図20参照)、外形作成ウインドウ81(図24参照)に対する、オペレータの入力装置12を利用しての操作に応じて各種指示を受け付ける。
表示制御部13bは、メインウインドウ31、マージンライン作成ウインドウ51、コーピングウインドウ61、内形作成ウインドウ71、外形作成ウインドウ81を表示処理部17により表示装置11に表示させる。例えば、表示制御部13bは、RAM15に記憶された支台歯模型の三次元形状データに基づいて、支台歯模型の立体的な画像を表示装置11に表示させる処理を行う。また、表示制御部13bは、受付部13aによって受け付けられたオペレータの指示に応じて、表示させる支台歯模型の立体的な画像の表示態様を変更する。接点検出部13cは、受付部13aにより受け付けたオペレータの指定に基づいて、基準軸Zを含む断面での支台歯模型の外形部分における接点を検出する。マージンライン決定部13dは、接点検出部13cによって検出された接点等に基づいて、マージンラインを決定する。
コーピング処理部13eは、マージンラインの三次元位置データと、受付部13aにより受け付けたオペレータの指定とに基づいて、コーピングCの内面CI及び外形(外面COと、端部面CE)を含む形状の三次元形状データを生成する。加工設定処理部13fは、コーピングCの形状と、受付部13aにより受け付けたオペレータの指定とに基づいて、コーピングCを切削加工装置4で作製するための作製用データを生成するとともに、生成した作製用データを、通信処理部13gにより切削加工装置4に送信させる。通信処理部13gは、外部インターフェース20を介して、三次元計測装置2から支台歯模型の三次元形状データを受信し、ハードディスクドライブ16に格納する。また、通信処理部13gは、外部インターフェース21を介して、生成された作製用データを切削加工装置4に送信する。
次に、本発明の一実施形態に係る作製支援装置により実行される処理について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。このメイン処理は、オペレータが入力装置12によって作製支援プログラムの起動を指示した場合に開始される。メイン処理が開始されると、表示制御部13bがメインウインドウ31を、表示処理部17によって表示装置11に表示させ(ステップS1)、後述する表示関連処理(図6参照)を開始する(ステップS2)。次いで、受付部13aが、メインウインドウ31に対して所定の作業ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS3)、押下されていない場合には、ステップS3を繰り返し実行する一方、押下された場合には、押下された作業ボタンに応じて処理開始する。
すなわち、受付部13aが、計測データ登録ボタン32が押下されたことを検出した場合には、データ登録処理を開始する(ステップS4)。データ登録処理においては、表示制御部13bが、処理を行う対象となる支台歯模型の三次元形状データのファイル名の指定を受け付けるウインドウを表示し、当該ウインドウに対するオペレータの入力操作を受付部13aが受け付ける。次いで、表示制御部13bが、受付部13aにより受け付けられたファイル名の三次元形状データをハードディスクドライブ16から取得して、RAM15に記憶させ、当該三次元形状データに基づいて、メインウインドウ31の画像表示領域37に当該支台歯模型の立体画像を表示させる。
また、受付部13aが、マージンライン作成ボタン33が押下されたことを検出した場合には、後述するマージンライン作成処理(図7参照)を開始する(ステップS5)。また、受付部13aが、内形作成ボタン34が押下されたことを検出した場合には、後述する内形作成処理(図19参照)を開始する(ステップS6)。また、受付部13aが、外形作成ボタン35が押下されたことを検出した場合には、後述する外形作成処理(図23参照)を開始する(ステップS7)。
そして、いずれかの処理(ステップS4、S5、S6、S7)が開始された後に、受付部13aは、終了指示があったか否か、すなわち、終了ボタン41が押下されたか否かを判定し(ステップS8)、終了指示があった場合には、処理を終了する一方、終了指示がない場合には、ステップS3からのステップを繰り返し実行する。
次に、ステップS1において開始されるメインウインドウ表示について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るメインウインドウを示す図である。メインウインドウ31には、計測データ登録ボタン32と、マージンライン作成ボタン33と、内形作成ボタン34と、外形作成ボタン35と、画像表示領域37と、画像移動ボタン38と、画像表示方向ボタン39と、移動量ボタン40と、終了ボタン41とが表示される。
計測データ登録ボタン32は、作製支援を行う支台歯模型の三次元画像データを当該ソフトで処理可能に登録するためのデータ登録処理の開始の指示を受け付けるボタンである。マージンライン作成ボタン33は、マージンライン作成処理を開始する指示を受け付けるボタンである。内形作成ボタン34は、内形作成処理を開始する指示を受け付けるボタンである。外形作成ボタン35は、外形作成処理を開始する指示を受け付けるボタンである。画像表示領域37は、データ登録処理により登録された支台歯模型及び当該支台歯模型に関する画像を表示する領域である。なお、同図においては、既に、処理対象の支台歯模型が登録されている場合を示しており、当該支台歯模型Tが立体的な画像として表示されている。
画像移動ボタン38は、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像を移動させる指示を受け付けるボタンであり、左移動ボタン38aと、右移動ボタン38bと、下移動ボタン38cと、上移動ボタン38dと、Xプラスボタン38eと、Xマイナスボタン38fと、Yプラスボタン38gと、Yマイナスボタン38hと、Zプラスボタン38iと、Zマイナスボタン38jとを有する。左移動ボタン38aは、支台歯模型の画像を左方向に移動させる指示を受け付けるボタンである。右移動ボタン38bは、支台歯模型の画像を右方向に移動させる指示を受け付けるボタンである。下移動ボタン38cは、支台歯模型の画像を下方向に移動させる指示を受け付けるボタンである。上移動ボタン38dは、支台歯模型の画像を上方向に移動させる指示を受け付けるボタンである。
Xプラスボタン38eは、支台歯模型の基準軸Z方向からみてX軸プラス方向に傾ける指示を受け付けるボタンである。Xマイナスボタン38fは、支台歯模型の基準軸Z方向からみてX軸マイナス方向に傾ける指示を受け付けるボタンである。Yプラスボタン38gは、支台歯模型を基準軸Z方向からみてY軸プラス方向に傾ける指示を受け付けるボタンである。Yマイナスボタン38hは、支台歯模型を基準軸Z方向からみてY軸マイナス方向に傾ける指示を受け付けるボタンである。Zプラスボタン38iは、支台歯模型の基準軸Z方向咬合側からみて反時計回りに回転させる指示を受け付けるボタンである。Zマイナスボタン38jは、支台歯模型の基準軸Z方向咬合側からみて時計回りに回転させる指示を受け付けるボタンである。
画像表示方向ボタン39は、画像表示領域37に表示されている支台歯模型の画像の向き及びサイズに対する指示を受け付けるボタンであり、咬合側ボタン39aと、遠心側ボタン39bと、舌側ボタン39cと、唇側・頬側ボタン39dと、近心側ボタン39eと、底側ボタンfと、拡大ボタン39gと、縮小ボタン39hとを有する。咬合側ボタン39aは、支台歯模型を咬合側を正面として表示させる指示を受け付けるボタンである。遠心側ボタン39bは、支台歯模型を遠心側を正面として表示させる指示を受け付けるボタンである。舌側ボタン39cは、支台歯模型を舌側を正面として表示させる指示を受け付けるボタンである。唇側・頬側ボタン39dは、支台歯模型を唇側・頬側を正面として表示させる指示を受け付けるボタンである。近心側ボタン39eは、支台歯模型を近心側を正面として表示させる指示を受け付けるボタンである。底側ボタン39fは、支台歯模型を基準軸Z方向下から表示させる指示を受け付けるボタンである。拡大ボタン39gは、支台歯模型を拡大して表示させる指示を受け付けるボタンである。縮小ボタン39hは、支台歯模型を縮小して表示させる指示を受け付けるボタンである。
移動量ボタン40は、画像移動ボタン38及び画像表示方向ボタン39によるボタンに対する指示における移動量の単位を受け付けるボタンである。移動量ボタン40は、5.0ボタン40aと、1.0ボタン40bと、0.5ボタン40cと、0.1ボタン40dとを有する。5.0ボタン40aは、画像移動ボタン38及び画像表示方向ボタン39に対する指示時において、5.0とすることを受け付けるボタンである。1.0ボタン40bは、画像移動ボタン38及び画像表示方向ボタン39に対する指示時において、1.0とすることを受け付けるボタンである。0.5ボタン40cは、画像移動ボタン38及び画像表示方向ボタン39に対する指示時において、0.5とすることを受け付けるボタンである。0.1ボタン40dは、画像移動ボタン38及び画像表示方向ボタン39に対する指示時において、0.1とすることを受け付けるボタンである。
終了ボタン41は、作製支援プログラムによる処理を終了する指示を受け付けるボタンである。終了ボタン41が押下されると、表示制御部13bによりメインウインドウ31が閉じられる。
マウスカーソルMは、入力装置12の一例であるマウスに対するオペレータの操作により、ウインドウ上を移動可能であり、ウインドウ上の所定の位置を指し示すマークの一例である。なお、マウスカーソルMの形状は、処理の状況に応じて変更されて表示される。なお、マウスカーソルMは、メインウインドウ31の範囲を超えても移動可能である。マウスによってマウスカーソルMを移動させて、マウスに設けられた例えば、左側ボタンをオペレータが押下する(いわゆる左クリックする)。ことにより、受付部13aは、当該マウスカーソルMが指し示す対象に対する指示入力を受け付ける。メインウインドウ31においては、受付部13aはウインドウの各種ボタン32〜41の押下等の指示入力を受け付ける。
次に、ステップS2において開始される表示関連処理を説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る表示関連処理のフローチャートである。表示関連処理において、表示制御部13bは、受付部13aによって画像移動ボタン38のいずれかのボタンの押下が受け付けられたか否かを判定し(ステップS11)、受け付けられた場合には、押下されたボタンに応じて、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像を移動させて表示させる(ステップS12)。一方、受け付けられていない場合には何もしない。次いで、表示制御部13bは、受付部13aによって画像表示方向ボタン39のいずれかのボタンの押下が受け付けられたか否かを判定し(ステップS13)、受け付けられた場合には、押下されたボタンに応じて、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像の正面を変えて、或いは表示されている画像を拡大または縮小して表示させる(ステップS14)。一方、受け付けられていない場合には何もしない。
次いで、表示制御部13bは、受付部13aによって移動量ボタン40のいずれかのボタンの押下が受け付けられたか否かを判定し(ステップS15)、受け付けられた場合には、押下されたボタンに応じて、画像移動ボタン38、画像表示方向ボタン39による移動量の単位を設定する(ステップS16)。一方、受け付けられていない場合には何もしない。その後、表示制御部13bは、受付部13aによって終了指示が受け付けられたか否か、すなわち、終了ボタン41が押下されたか否かを判定し(ステップS17)、終了指示があった場合には、表示関連処理を終了する一方、終了指示がない場合にはステップS11からのステップを繰り返し実行する。
次に、ステップS5において開始されるマージンライン作成処理を説明する。図7は、本発明の一実施形態に係るマージンライン作成処理のフローチャートである。マージンライン作成処理は、既に計測データ登録処理が実行され、処理対象の支台歯模型の三次元形状データがRAM15に読み出され、画像表示領域37に該当する支台歯模型Tの画像が表示されている状態において実行される。マージンライン作成処理が開始されると、表示制御部13bがマージンライン作成ウインドウを、表示処理部17によって表示装置11に表示させる(ステップS21)。図8は、本発明の一実施形態に係るマージンライン作成ウインドウを示す図である。マージンライン作成ウインドウ51には、マージン設定ボタン52と、コーピングボタン53と、閉じるボタン54とが表示される。閉じるボタン54は、マージンライン作成処理を終了する指示を受け付けるボタンである。閉じるボタン54が押下されると、表示制御部13bによりマージンライン作成ウインドウ51が閉じられる。
マージンライン作成ウインドウ51においては、マウスによってマウスカーソルMを移動させて、マウスに設けられた左ボタンをオペレータがクリックすることにより、受付部13aは、各種ボタン52、53、54の押下を受け付ける。
図7において、受付部13aが、マージンライン作成ウインドウ51に対して所定の作業ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS22)、押下されていない場合には、ステップS22を繰り返し実行する一方、押下された場合には、押下された作業ボタンに応じて処理開始する。
まず、受付部13aが、マージン設定ボタン52が押下されたことを検出した場合について説明する。受付部13aが、マージン設定ボタン52が押下されたことを検出した場合には、範囲指定受付処理を開始する(ステップS23)。すなわち、受付部13aが接点を検出すべき基準軸Z方向の検出範囲の指定を受け付ける。次いで、接点検出部13cが、接点の検出処理が未処理の断面における支台歯模型Tの、基準軸Z方向に属する複数の点の座標を取得する(ステップS24)。ここで、座標を取得する点としては、計測した時に直接得られている点であってもよく、或いは計測した点に基づいて所定の演算により得られる、計測された点の間に存在する点であってもよい。例えば、計測点間に存在する点は、ペジェ曲線上の点であってもよい。次いで、これら複数の点の中から、接点を検出する処理(接点検出処理)を行い(ステップS25)、当該断面における接点についての三次元座標(三次元位置情報)をRAM15に書き込む(ステップS26)。
その後、接点検出部13cが、基準軸の周囲方向において接点を検出すべき全断面について処理を行ったかを判定し(ステップS27)、全断面について処理を行っていない場合には、ステップS24からの処理を繰り返す。一方、全断面について処理を行った場合(ステップS27のYES)には、RAM15に記憶されている複数の接点の座標に基づいて、当該支台歯模型におけるマージンラインの三次元形状データ(三次元位置情報)を決定する(ステップS28)。ここで、マージンラインは、例えば、複数の接点を所定のアルゴリズムで滑らかに繋いだ線を三次元形状データとして決定される。
次いで、表示制御部13bが決定した三次元形状データに基づいて、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像上に、マージンラインを表示する(ステップS29)。その後、マージンライン決定部13dは、受付部13aによって終了指示が受け付けられたか否か、すなわち、閉じるボタン54が押下されたか否かを判定し(ステップS30)、終了指示があった場合には、マージンライン作成処理を終了する一方、終了指示がない場合には、ステップS22からのステップを実行する。
次に、ステップS23における検出範囲の指定について図面を用いて詳細に説明する。図9は、本発明の一実施形態に係るマージンラインの検出範囲の指定を説明する図である。図9は、検出範囲の指定時におけるメインウインドウ31の画像表示領域37の表示例を使っての説明図である。図9に示すように、メインウインドウ31の画像表示領域37には、支台歯模型Tが立体的に表示されている。検出範囲を指定する際においては、マウスカーソルMは、図9に示すように円形となっている。本実施形態では、入力装置12の一例であるマウスの左ボタンを押下した状態でマウスカーソルMを移動させる操作(ドラッグ操作)によって、受付部13aが接点を検出すべき検出範囲の指定を受け付けるようになっている。ドラッグ操作を行った際に通過したそれぞれの位置における、マウスカーソルMの基準軸Z方向の幅aは、当該位置においてマウスカーソルMの中心点が示す支台歯模型Tの外周の点と、基準軸Zとを含む断面において、接点を探すべき外周の点の範囲を示している。
次に、ステップS25における接点検出処理を図面を用いて詳細に説明する。図10は、本発明の一実施形態に係るマージンラインの接点検出処理を説明する図である。図10は、基準軸Zを含む断面の一例を示している。接点検出処理においては、接点検出部13cは、基準軸Zに平行な線LTと接する支台歯模型Tの外周部分の接点MPを検出する。本実施形態では、接点検出部13cは、検出範囲aに属する支台歯模型Tの外周部分の複数の点を取得し、これら各点と基準軸Zとの距離を算出する。そして、接点検出部13cは、最も距離の遠い点を接点として決定する。本実施形態では、基準軸方向の限られた検出範囲に属する点のみを接点を検出する対象としているので、少ない処理量で接点を検出することができる。また、基準軸Zとの距離のみを算出することにより、接点を検出することができるので、複雑な計算処理を行う必要がない。
なお、基準軸Zとの距離により支台歯模型Tの外周部分の点が接点か否かを判定していたが、本発明はこれに限られず、例えば、外周部分の線の関数を求め、基準軸Zに平行な直線の関数において基準軸Zからの距離を逐次変えつつ、それらの関数同士の関係に基づいて接点を検出するようにしてもよい。また、基準軸Zを用いて接点を検出するようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、支台歯模型Tの検出範囲部分よりも外側の基準軸Zに平行な線を用いて接点を検出するようにしてもよい。なお、この場合には、直線との距離が最小となる点を接点とするようにすればよい。
また、線LTは基準軸Zに平行な線としたが、これに限定されるわけではない。線LTは基準軸Zに対して角度を有する線であってもよい。
次に、マージンライン作成処理によって設定されたマージンラインを図面を用いて説明する。図11は、本発明の一実施形態に係る検出されたマージンラインを説明する図である。マージンライン作成ウインドウ51において、マージン設定ボタン52を押下した後、マウスのドラッグ操作により、支台歯模型Tのマージンラインが存在する範囲の全周に対して、マウスカーソルMを移動させると、図11に示すように、基準軸Zの周囲方向における各断面における接点が検出され、各接点を滑らかに繋いだマージンラインMLがメインウインドウ31の画像表示領域37に表示された支台歯模型Tの画像に重ねあわされて表示される。
次に、受付部13aが、コーピングボタン53が押下されたことを検出した場合について説明する。ここでの処理は、上述したステップS23〜29の一連の処理により、既にマージンラインが作成され、支台歯模型Tのマージンラインの三次元形状データが作成されている状態において実行される。受付部13aが、コーピングボタン53が押下されたことを検出した場合には、表示制御部13bがコーピングウインドウを、表示処理部17によって表示装置11に表示させる(ステップS31)。図12は、本発明の一実施形態に係るコーピングウインドウを示す図である。コーピングウインドウ61には、マージンからの高さの入力を受け付ける高さ入力領域62と、OKボタン63とが表示される。OKボタン63は、コーピングウインドウ61で設定された条件によりマージンラインを作成する指示を受け付けるボタンである。コーピングウインドウ61においては、マウスによってマウスカーソルMを移動させて、マウスに設けられた左ボタンをオペレータがクリックすることにより、受付部13aは、OKボタン63の押下を受け付ける。また、マウスカーソルMを高さ入力領域62上に移動させて、オペレータがクリックを行った後において、入力装置12の一例であるキーボードにおけるキー押下があった場合には、受付部13aは高さ入力領域62に対しての文字入力を受け付ける。なお、コーピングウインドウ61の高さ入力領域62には、例えば、デフォルトの設定値が表示されている。
次いで、マージンライン決定部13dは、受付部13aによって、マージンからの高さの入力が受け付けられたか否かを判定し(ステップS32)、受け付けられた場合には、表示制御部13bによりコーピングウインドウ61に設定条件を表示させる(ステップS33)とともに、当該設定内容をRAM15に記憶させる(ステップS34)。一方、受け付けられていない場合には何もしない。
次に、基点位置指定受付処理を開始する(ステップS35)。すなわち、受付部13aが基点位置の指定を受け付ける。次に、マージンライン決定部13dが設定条件に基づいて、基点、制御点等の三次元座標を算出し、当該座標をRAM15に記憶させる(ステップS36)。次に、表示制御部13bが基点、制御点等を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる(ステップS37)。
次に、制御点位置調整処理を開始する。すなわち、受付部13aが制御点位置の調整を受け付ける。次に、マージンライン決定部13dが制御点等の三次元座標を算出し、当該座標をRAM15に記憶させる。次に、表示制御部13bが制御点等を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる(ステップS38)。次に、RAM15に記憶されている基点、制御点等の三次元座標に基づいて、当該支台歯模型におけるマージンラインの三次元形状データ(三次元位置情報)を決定する(ステップS39)。
次に、表示制御部13bが決定した三次元形状データに基づいて、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像上に、マージンラインを表示する(ステップS40)。その後、マージンライン決定部13dは、受付部13aによって終了指示が受け付けられたか否か、すなわち、閉じるボタン54が押下されたか否かを判定し(ステップS30)、終了指示があった場合には、マージンライン作成処理を終了する一方、終了指示がない場合には、ステップS22からのステップを実行する。
次に、ステップS35における基点位置の指定について図面を用いて詳細に説明する。図13,14は、本発明の一実施形態に係る基点位置の指定を説明する図である。図13,14は、基点位置の指定時におけるメインウインドウ31の画像表示領域37の表示例を使っての説明図であり、一方は近心側を、他方は遠心側を示している。図13,14に示すように、メインウインドウ31の画像表示領域37には、支台歯模型Tが立体的に表示されている。本実施形態では、入力装置12の一例であるマウスの操作によりマウスカーソルをマージンラインML上の任意の位置に静止しマウスの左ボタンを押下することによって、受付部13aが基点BPの位置指定を受け付けるようになっている。
次に、ステップS36における基点、制御点等算出処理について図面を用いて詳細に説明する。図15は、本発明の一実施形態に係る基点、制御点等算出処理を説明する図である。図15は、遠心側または近心側を示しており、裏側の近心側または遠心側では同様な構成になっている。図面の左側が唇側である。マージンラインMLは、実際には曲線であるが、ここではモデル的に直線で表している。図15には、基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMがある。
これらの点のθメッシュ数について説明する。基点BPは、ステップS35において指定された基点である。基点BPと制御点CPEの間のθメッシュ数CEDは10〜20の範囲内にあることが好ましい。基点BPと中間点MPの間のθメッシュ数MPPは2〜8の範囲内にあることが好ましい。複数の制御点CPMは、近心側の制御点CPEと遠心側の制御点CPEの間のθメッシュ数を7〜10分割したところにある。
基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMの各点について、基準軸Z方向のマージンラインMLからの高さについて説明する。基点BPはマージンラインMLの上にある。制御点CPEの高さCEHは、αメッシュ数として4〜16の範囲内にあることが好ましい。中間点MPの高さMPHは、αメッシュ数として3〜15の範囲内にあることが好ましい。ここで、制御点CPEの高さCEHは、中間点MPの高さMPHより大きな値である。制御点CPMの高さCMHは、0.0〜4.0mmの範囲内にあることが好ましい。制御点CPMの高さCMHは、上述のステップS32において入力が受け付けられた値である。なお、制御点CPMの高さCMHは、すべての制御点CPMについて同じ高さにすることに限定されない。各制御点CPMの高さCMHを個別に予め条件を与えて決定してもよい。
以上の算出から、基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMの各点について、θメッシュ、基準軸Z方向高さに該当する点を支台歯模型T上に求め、三次元形状データのうちから各点に最も近いものを各点の座標と決定する。
基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMの各点を通る関数曲線を算出する。関数曲線としては例えばペジェ曲線等を採用することができる。基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMの各点の三次元座標、及び関数曲線の三次元座標は、RAM15に記憶させる。なお、基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMのうち、中間点MPは省略し、基点BP、制御点CPE,CPMのみ作製してもよい。制御点CPE単独、または制御点CPE及び中間点MPを作製することにより、関数曲線は、近心側及び遠心側において、基準軸Z方向の上方に閉じた湾曲形状を形成する。なお、湾曲形状は関数曲線に限定されない。滑らかに変化する曲線であれば、他の方法により決定してもよい。
次に、ステップS37における基点、制御点等表示について図面を用いて説明する。図16(1),(2)は、本発明の一実施形態に係る基点、制御点等表示を説明する図である。基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMの各点、及び関数曲線の三次元形状データに基づいて、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像上に、基点BP、中間点MP、制御点CPE,CPMの各点、及び関数曲線FLを表示する。
次に、ステップS38における制御点位置調整処理について図面を用いて詳細に説明する。図17は、本発明の一実施形態に係る制御点位置調整処理を説明する図である。マウスのドラッグ操作により、マウスカーソルMを制御点CPMの位置Aから位置Bに移動させると、制御点CPMは位置Bまで移動する。また、制御点CPMの位置Bを通る新たな関数曲線FL1が算出され、表示される。移動した制御点CPMの三次元座標、及び新たな関数曲線FL1の三次元座標は、RAM15に記憶させる。なお、マウスのドラッグ操作による制御点CPMの移動は、基準軸Zを含む断面TS上でかつ支台歯模型T上でのみ可能である。このように、制御点CPMを移動させることができる。このため、立体的な支台歯模型Tの画像における関数曲線FLを確認して、好ましくない制御点CPMについてのみ、新たな制御点CPMを作製するようにして、関数曲線FLを容易に設定し直すことができる。
次に、ステップS39におけるマージンライン決定について説明する。RAM15に記憶されている関数曲線の三次元座標に基づいて、当該支台歯模型におけるマージンラインの三次元形状データ(三次元位置情報)を決定する。ここで、マージンラインは、例えば、関数曲線を分割した座標値と近い三次元形状データの値をマージンラインの座標値として決定される。
次に、ステップS40におけるマージンライン表示について説明する。図18(1),(2)は、本発明の一実施形態に係るマージンライン表示を説明する図である。表示制御部13bが決定した三次元形状データに基づいて、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像上に、マージンラインMLを表示する。
以上のように、唇側のマージンラインを基準軸Z方向の上方に移動させることにより、陶材を盛るスペースを大きくすることができ、コーピングの色調を整えることが容易になる。
また、マージンラインのうち、近心側及び遠心側において、基準軸Z方向の上方に閉じた湾曲形状を形成することにより、コーピングの加工時にマージン部分にチッピングが発生するのを防止することができる。
次に、ステップS6において開始される内形作成処理を説明する。図19は、本発明の一実施形態に係る内形作成処理のフローチャートである。内形作成処理は、既にマージンライン作成処理が実行され、支台歯模型Tのマージンラインの三次元形状データが作成されている状態において実行される。内形作成処理が開始されると、表示制御部13bが内形作成ウインドウ71を、表示処理部17によって表示装置11に表示させる(ステップS41)。
図20は、本発明の一実施形態に係る内形作成ウインドウを示す図である。内形作成ウインドウ71には、セメントスペースCS(図21参照)の開始高さCSH(図21参照)の入力を受け付ける開始高さ入力領域72と、セメントスペースの厚みCST(図21参照)の入力を受け付ける厚み入力領域73と、内形作成ボタン74と、閉じるボタン75とが表示される。内形作成ボタン74は、内形作成ウインドウ71で設定された条件により内面を作成する指示を受け付けるボタンである。閉じるボタン75は、内形作成処理を終了する指示を受け付けるボタンである。閉じるボタン75が押下されると、表示制御部13bにより内形作成ウインドウ71が閉じられる。内形作成ウインドウ71においては、マウスによってマウスカーソルMを移動させて、マウスに設けられた左ボタンをオペレータがクリックすることにより、受付部13aは、各種ボタン74,75の押下を受け付ける。また、マウスカーソルMを入力領域72,73上に移動させて、オペレータがクリックを行った後において、入力装置12の一例であるキーボードにおけるキー押下があった場合には、受付部13aは該当する入力領域に対しての文字入力を受け付ける。なお、内形作成ウインドウ71の各入力領域には、例えば、デフォルトの設定値が表示されている。
次いで、コーピング処理部13eは、受付部13aによって、セメントスペース開始高さ、セメントスペース厚みに関する設定条件の入力が受け付けられたか否かを判定し(ステップS42)、受け付けられた場合には、表示制御部13bにより内形作成ウインドウ71に設定条件を表示させる(ステップS43)とともに、当該設定内容をRAM15に記憶させる(ステップS44)。一方、受け付けられていない場合には何もしない。
次いで、コーピング処理部13eは、受付部13aによって、内形作成ボタン74の押下が受け付けられたか否かを判定し(ステップS45)、受け付けられた場合には、制御点位置調整処理を開始する。すなわち、コーピング処理部13eが、制御点等の三次元座標を算出し、当該座標をRAM15に記憶させると同時に、表示制御部13bが制御点等を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる。次に、受付部13aが制御点位置の調整を受け付ける。次に、コーピング処理部13eが制御点等の三次元座標を算出し、当該座標をRAM15に記憶させると同時に、表示制御部13bが制御点等を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる(ステップS46)。次に、コーピング処理部13eが設定条件に基づいて、コーピングの内面の三次元座標を算出し(ステップS47)、当該座標をRAM15に記憶させる(ステップS48)。次いで、表示制御部13bがコーピング内面の形状を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる(ステップS49)。なお、内形作成ボタン74の押下が受け付けられていない場合(ステップS45のNO)には、次のステップS50に進む。次いで、コーピング処理部13eは、受付部13aによって終了指示が受け付けられたか否か、すなわち、閉じるボタン75が押下されたか否かを判定し(ステップS50)、終了指示があった場合には、内形作成処理を終了する一方、終了指示がない場合には、ステップS42からのステップを繰り返し実行する。
次に、ステップS46における制御点位置調整処理について図面を用いて詳細に説明する。図21,22は、本発明の一実施形態に係る制御点位置調整処理を説明する図である。セメントスペースCSの開始高さCSHは、図21に示すように、マージンラインMLからセメントスペースCSの始まる位置CISまでの基準軸Z方向の高さのことをいう。また、セメントスペースCSの厚みCSTとは、図21に示すように、支台歯模型Tと、コーピング内面CIとの間の領域CS(実際の場面においては、支台歯に対してコーピングを接着する際のセメントが入り込むための領域(セメントスペース))における最大の厚みのことをいう。また、制御点CPCとは、図21に示すように、セメントスペースCSが厚みCSTとなる点のことをいう。
図22に示すように、複数の制御点CPCがある。これらの制御点CPCのθメッシュ数について説明する。複数の制御点CPCは、基準軸Z周りのすべてのθメッシュ数を等分割したところにある。制御点CPCの数は10〜20の範囲内にあることが好ましい。制御点CPCが存在する断面TSにおいて、基準軸Zと支台歯模型Tの交点である点ZPからマージンラインMLまでのαメッシュ数に対する、点ZPから制御点CPCまでのαメッシュ数の比率は、50〜90%の範囲内にあることが好ましい。
以上の算出から、制御点CPCの各点について、θメッシュ、αメッシュに該当する点を支台歯模型T上に求め、三次元形状データのうちから各点に最も近いものを各点の座標と決定する。次に、制御点CPCの各点を通る関数曲線を算出する。関数曲線としては例えばペジェ曲線等を採用することができる。制御点CPCの各点の三次元座標、及び関数曲線の三次元座標は、RAM15に記憶させる。次に、制御点CPCの各点、及び関数曲線の三次元形状データに基づいて、図22に示すように、画像表示領域37に表示されている支台歯模型Tの画像上に、制御点CPCの各点、及び関数曲線FLを表示する。
次に、マウスのドラッグ操作により、マウスカーソルMを制御点CPCの位置Aから位置Bに移動させると、制御点CPCは位置Bまで移動する。また、制御点CPCの位置Bを通る新たな関数曲線FL1が算出され、表示される。移動した制御点CPCの三次元座標、及び新たな関数曲線FL1の三次元座標は、RAM15に記憶させる。なお、マウスのドラッグ操作による制御点CPCの移動は、基準軸Zを含む断面TS上でかつ支台歯模型T上でのみ可能である。このように、制御点CPCを移動させることができる。このため、立体的な支台歯模型Tの画像における関数曲線FLを確認して、好ましくない制御点CPCについてのみ、新たな制御点CPCを作製するようにして、関数曲線FLを容易に設定し直すことができる。
次に、RAM15に記憶されている関数曲線の三次元座標に基づいて、各制御点CPCを通りかつ支台歯模型T上に座標を有する滑らかな曲線の三次元形状データ(三次元位置情報)を決定する。ここで、滑らかな曲線は、例えば、関数曲線を分割した座標値と近い三次元形状データの値を、滑らかな曲線の座標値として決定される。
次に、ステップS7において開始される外形作成処理を説明する。図23は、本発明の一実施形態に係る外形作成処理のフローチャートである。外形作成処理は、既に内形作成処理が実行され、支台歯模型Tのマージンラインの三次元形状データが作成されているとともに、コーピングの内面の座標が作成されている状態において実行される。外形作成処理が開始されると、表示制御部13bが外形作成ウインドウ81を、表示処理部17によって表示装置11に表示させる(ステップS51)。
図24は、本発明の一実施形態に係る外形作成ウインドウを示す図である。外形作成ウインドウ81には、マージンラインMLからの高さCOH(図25,26参照)の入力を受け付ける高さ入力領域82と、コーピングCの厚みCT(図25,26参照)の入力を受け付けるコーピング厚み入力領域83と、唇側のコーピングCの厚みCTB(図28参照)の入力を受け付けるコーピング厚み(唇側)入力領域84と、設定ボタン85と、閉じるボタン86とが表示される。設定ボタン85は、外形作成ウインドウ81で設定された条件により外形を作成する指示を受け付けるボタンである。閉じるボタン86は、外形作成処理を終了する指示を受け付けるボタンである。閉じるボタン86が押下されると、表示制御部13bにより外形作成ウインドウ81が閉じられる。
外形作成ウインドウ81においては、マウスによってマウスカーソルMを移動させて、マウスに設けられた左ボタンをオペレータがクリックすることにより、受付部13aは、各種ボタン85,86の押下を受け付ける。また、マウスカーソルMを入力領域82〜84上に移動させて、オペレータがクリックを行った後において、入力装置12の一例であるキーボードにおけるキー押下があった場合には、受付部13aは該当する入力領域に対しての文字入力を受け付ける。なお、外形作成ウインドウ81の各入力領域には、例えば、デフォルトの設定値が表示されている。
次いで、コーピング処理部13eは、受付部13aによって、マージンラインからの高さ、コーピングの厚み、及びコーピングの厚み(唇側)の設定条件の入力が受け付けられたか否かを判定し(ステップS52)、受け付けられた場合には、表示制御部13bにより外形作成ウインドウ81に設定条件を表示させる(ステップS53)とともに、当該設定内容をRAM15に記憶させる(ステップS54)。一方、受け付けられていない場合には何もしない。
次いで、コーピング処理部13eは、受付部13aによって、設定ボタン85の押下が受け付けられたか否かを判定し(ステップS55)、受け付けられた場合には、コーピング処理部13eがマージンラインからの高さ、コーピングの厚みの設定条件に基づいて、コーピングの外形(外面CO及び端部面CE)の形状の三次元座標を算出し(ステップS56)、当該座標をRAM15に記憶させる(ステップS57)。次いで、表示制御部13bがコーピング外形の形状を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる(ステップS58)。
次に、境界線位置指定受付処理を開始する(ステップS59)。すなわち、受付部13aが境界線位置の指定を受け付ける。次いで、コーピング処理部13eが境界線位置、コーピングの厚み(唇側)の設定条件に基づいて、コーピングの外形(外面CO)の形状の三次元座標を算出し(ステップS60)、当該座標をRAM15に記憶させる(ステップS61)。次いで、表示制御部13bがコーピング外形の形状を支台歯模型Tの画像に合わせて、メインウインドウ31の画像表示領域37に表示させる(ステップS62)。なお、設定ボタン85の押下が受け付けられていない場合(ステップS55のNO)には、次のステップS63に進む。
次いで、コーピング処理部13eは、受付部13aによって終了指示が受け付けられたか否か、すなわち、閉じるボタン86が押下されたか否かを判定し(ステップS63)、終了指示があった場合には、外形作成処理を終了する一方、終了指示がない場合には、ステップS52からのステップを繰り返し実行する。
次に、ステップS56における外形座標算出処理について図面を用いて詳細に説明する。図25,26は、本発明の一実施形態に係る外形座標算出処理を説明する図である。コーピングCの厚みCTとは、図25に示すように、コーピングの内面と外面との間の厚さのことをいう。
コーピングCの外形のうち端部面CEの詳細について、図26を用いて説明する。マージンラインMLからの高さCOHは、図26に示すように、マージンラインMLからの基準軸Z方向の高さのことをいう。まず、コーピングCの内面CIのうち、マージンラインMLからの高さCOHの位置にある点をD点とする。D点における内面CIの接線に対する垂線と、コーピングCの外面COとの交点をE点とする。マージンラインMLからの高さCOHの位置にあり、かつマージンラインMLから外側に距離CODの位置にある点をF点とする。E点とF点は直線にする。距離CODは、高さCOHの0.5倍とする。なお、D点とF点の間の距離が高さCOHより短いときは、D点とF点の間の距離を高さCOHと等しくする。F点とG点(マージンラインML)を結ぶ直線を3等分する。F点及びG点から基準軸Zに垂直で150μm外側に制御点L,Hを作成する。また、2つの分割点J,Kから基準軸Zに垂直で200μm外側に制御点M,Nを作成する。これらの制御点を用い、スプライン曲線を作成する。このスプライン曲線と直線EFとの交点をI点とする。G点、H点、I点及びE点を通る線を端部面CEとする。端部面CEの作成は、基準軸Zを含む断面TS(図2(1)参照)において行う。また、端部面CEの作成は、基準軸Zの周りのすべて断面TSについて行う。
端部面CEの作成は、上記の方法に限定されない。G点から、端部面CEの最外部までを距離RDとし、G点から、端部面CEの曲線の上端までを高さRHとする。端部面CEは、この距離RD及び高さRHを有する、曲線、曲線と直線の組み合わせ、または直線と直線の組み合わせであればよい。距離RDは、高さCOHの0.5倍以上であることが好ましい。高さRHは0.1〜1.2mmの範囲内にあることが好ましい。
コーピングの外形のうち端部面を所定寸法の範囲内にすることにより、コーピングの加工時にマージン部分にチッピングが発生するのを防止することができる。
次に、ステップS59における境界線位置の指定について図面を用いて詳細に説明する。図27は、本発明の一実施形態に係る境界線位置の指定を説明する図である。図27は、境界線位置の指定時におけるメインウインドウ31の画像表示領域37の表示例を使っての説明図である。図27に示すように、メインウインドウ31の画像表示領域37には、コーピングCが表示されている。本実施形態では、入力装置12の一例であるマウスの操作によりマウスカーソルを、基点BPよりも唇側の任意の位置に静止しマウスの左ボタンを押下することによって、受付部13aが境界線BLの位置指定を受け付けるようになっている。
次に、ステップS60における外形座標算出処理について図面を用いて詳細に説明する。図28は、本発明の一実施形態に係る外形座標算出処理を説明する図である。図28は、基準軸Zを含む1つの断面TSについての図である。コーピング厚み(唇側)CTBは、図28に示すように、コーピングの唇側における内面と外面との間の厚さのことをいう。まず、図28(1)に示すように、境界線BLの位置が指定される。コーピングCの外面COと境界線BLとの交点をJ点とする。次に、図28(2)に示すように、J点より唇側のコーピングCの厚みをCTBにする。また、J点から両側に等距離BDの位置にK点、L点をとる。距離BDは0.5〜2mmの範囲内にあることが好ましい。次に、図28(3)に示すように、K点、L点を通る関数曲線を作成する。関数曲線は、例えばペジェ曲線を採用することができる。なお、K点、L点を通る線は関数曲線に限定されない。滑らかに変化する曲線であれば、他の方法により決定してもよい。この外形座標算出処理は、境界線BLと交わる他のすべての断面TSについても行う。
唇側のコーピングの厚みを薄くすることにより、陶材を盛るスペースを大きくすることができ、コーピングの色調を整えることが容易になる。
次に、ステップS62における外形形状表示について説明する。図29は、本発明の一実施形態に係るコーピングCの外形形状表示を説明する図である。表示制御部13bが記憶された三次元形状データに基づいて、画像表示領域37にコーピングCの外形形状を表示する。
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。