本発明は、前記したような従来技術の問題を解決するために、新しい方式による二液型反応液の同時吐出装置を提供するものである。二液型反応液のA液とB液の二液を同時に吐出させるためには、装置の基本構成として、
それぞれ先端部に易破断性の閉鎖端面を有し、好ましくは保護キャップが被冠されている吐出筒部を有する2つの筒状案内体を備えた筒状本体と、上記各筒状案内体内に後端部側から同時に作動しえる状態でそれぞれ摺動自在に挿入されている2つのピストンとを有し、上記2つの筒状案内体のいずれか1つに上記A液が収容され、他の1つに上記B液が収容されている注入器具と;
後端部が上記筒状本体の先端部に接続される筒状連結部材と;
後端部が鋭角に形成された2つの針状接続管を有し、上記各筒状案内体の閉鎖端面(保護キャップ)側に向かって各針状接続管の鋭角な端部が配向するように上記筒状連結部材内に配設される接続部材
とを備えていることが必要となる。
また、二液型反応液を注入もしくは充填するための二液型反応液の同時吐出装置においては、さらに、上記接続部材の2つの針状接続管の各先端部に接続される2つの流路を有し、後端部に上記筒状連結部材に接続される接続部を有する吐出管を備えていることが必要となる。
このような本発明の二液型反応液の同時吐出装置によれば、2つの筒状案内体内に後端部側からそれぞれ摺動自在に挿入されている2つのピストンを同時に作動して押すことにより、2つの筒状案内体のいずれか1つに収容されたA液と、他の1つに収容されたB液は、上記吐出管を通して同時に吐出できる。従って、上記二液型反応液のA液とB液を作業性良く、簡単且つ確実に同時に吐出できる。例えば、二液型反応液として二液型発泡性ウレタン組成物を用いた場合、隙間や凹部内に注入されたイソシアネートとポリオールは直ちに反応して発泡し、無数の細かい気泡、好ましくは連続気泡からなるウレタンフォームを形成し、隙間や凹部内の凹凸面の細かい部分にも隙間なく充填し、壁面に密着して即座に硬化し、硬質ウレタンフォームとなり、隙間や凹部を完全に封止することができる。
保管時に二液型反応液のA液とB液がそれぞれ収容されている2つの筒状案内体からの液漏れを確実に防止するためには、使用前には筒状案内体の吐出筒部の開口部を封止した状態としておき、使用時に吐出管を筒状案内体と連通させることが好ましい。そのため、後端部側から同時に作動しえる状態でそれぞれピストンが摺動自在に挿入されている2つの筒状案内体のそれぞれの先端は易破断性の閉鎖端面とし、好ましくは先端吐出筒部に易破断性の保護キャップを被冠した状態で筒状本体内に配設すると共に、吐出管が接続される筒状連結部材内に配設される接続部材は、後端部が鋭角に形成された2つの針状接続管を有し、上記各筒状案内体の閉鎖端面(保護キャップ)側に向かって各針状接続管の鋭角な端部が配向するように上記筒状連結部材内に配設する。このような構成を採用することにより、使用開始時に、吐出管が接続された上記接続部材を筒状連結部材を介して上記筒状本体の先端部に接続する簡単な操作で、上記接続部材の2つの針状接続管の鋭角な端部が各筒状案内体の閉鎖端面(吐出筒部の保護キャップ)を突き通し、上記針状接続管に接続された吐出管の2つの流路が上記各筒状案内体内と連通状態となる。保護キャップの形態としては、剥離可能なシールシートで覆う形態、薄いプラスチックフィルムで筒状案内体の吐出筒部を覆い、接着、熱収縮等により接合する形態や、予めキャップ状に成形された軟質プラスチック製の保護キャップを嵌合もしくは接合する形態などが可能であるが、A液やB液の充填作業性、保護キャップの装着作業性等の点からは、予め成形した保護キャップを嵌合もしくは接合する形態が好ましい。
前記吐出管は、前記接続部材の2つの針状接続管の各先端部に接続される2つの流路を有し、後端部に上記筒状連結部材に接続される接続部を有する形態であればよく、特定の形態に限定されるものではない。例えば、吐出管内部に2つの流路が一体的に形成され、該2つの流路から接続部材の2つの針状接続管の各先端部に接続される管状部が突出した形態であってもよく、また、その内部に2つの流路を構成する2つのチューブを有する形態の吐出管であってもよい。その中でも、2つの流路を有する吐出管の製造が容易であり、製造コストを低減できる点、及び2つの針状接続管の各先端部への接続操作性の点からは、その内部に2つの流路を構成する2つのチューブを有する形態の吐出管が好ましい。
また、二液型反応液のA液とB液は2つの流路の先端から同時に吐出する形態でもよいが、注入後速やかに硬化や発泡をさせるためには、二液型反応液のA液とB液を撹拌・混合した状態で吐出することが好ましい。このためには、2つの流路を通して押し出されるA液とB液がノズル部材の1つの吐出流路の個所で合流する構造とすることが好ましい。このような構造としては、吐出管の先端部には、上記2つのチューブもしくは流路の先端部が接続される接続管状部と、該接続管状部と連通する1つの吐出流路が形成されているノズル部材が嵌挿されている形態が好ましい。
また、処理装置の吐出口部は、A液とB液を撹拌・混合するような構造とすることが好ましい。このような攪拌・混合機構としては、好適には、前記ノズル部の吐出流路内面に、邪魔板部を、好ましくは少なくとも一対の邪魔板部を互いに対向するように、軸線方向に対して所定の角度で突設する構成を採用できる。また、前記ノズル部の吐出流路内面に螺旋状の邪魔板部を形成し、渦流を生じさせるようにすることもできる。このような攪拌・混合機構をノズル部の吐出流路に設けることにより、吐出流路内において前記A液とB液の混合が行われ、混合された状態の二液型反応液が吐出されるため、二液型反応液のA液とB液の反応が速やかに生じ、硬化や発泡を速やかに起こさせることができる。
また、吐出管の形態は、非直線的な隙間や凹部内へ挿入できるように、可撓性もしくは柔軟性のある直管状形態あるいは先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部を有する形態のいずれの形態とすることもできる。このような形態とすることにより、非直線的な隙間や凹部内へも吐出管を簡単に挿入でき、二液型反応液を迅速に注入・充填できる。さらに、吐出管の挿入に熟練を要することなく、常に一定した施用部位に吐出口部が位置して二液型反応液を注入・充填することができるようにするためには、所定位置に挿入停止マークやカラー表示等を付することもでき、また、吐出管の接続部もしくはその近傍に半径方向外側に突出したストッパ部を設けることもできる。このようなストッパ部を設けることにより、常に一定した施用部位に確実に吐出口部が位置するように挿入することができる。
前記したように、二液型反応液のA液とB液の二液を同時に吐出させるためには、注入器具の2つの筒状案内体内に後端部側から摺動自在に挿入されている各ピストンは同時に作動しえる状態に係合している必要がある。この係合状態は、当業者にとって適宜選定可能な任意の構成を採用できるが、好適には、前記各ピストンの後端にそれぞれ横方向に拡張された押圧部が形成されていると共に、各押圧部の基部には、それぞれ対向する他方のピストンと係合する手段が設けられ、好ましくは、それぞれ対向する他方のピストンの押圧部の下まで延在するように突出する係合片と、該係合片が嵌挿される穴部がそれぞれ形成されている。このような構成とすることにより、一方の押圧部を押しても係合する他方の押圧部も押すので、2つのピストンが同時に押される。即ち、このような簡単な構造で、2つの筒状案内体内に摺動自在に挿入されているそれぞれのピストンが係合し同時に作動しえる状態を実現でき、単一の押圧操作で二液型反応液のA液とB液を同時に作業性良く、簡単且つ確実に吐出できる。
別の好適な態様においては、前記筒状本体は、その後端部もしくは近傍に、半径方向外側に突出した指を引っ掛けるための一対の鍔部を有する。このような鍔部を設けることにより、これに指を引っ掛けることができるため、押出操作がし易くなる。
また、注入器具の2つの筒状案内体は筒状本体内に移動しないように固定されている必要がある。これは、ねじ止め、接着等の従来公知の各種固定方法で実現することも可能であるが、好適には、前記筒状本体の後端部内周部に略環状の凹部を形成し、前記各注入器の筒状案内体の後端部には上記凹部に嵌挿されるフランジ部を形成し、上記凹部に上記フランジ部を嵌め込むという簡単な構造により実現できる。
前記した吐出管の太さ及び長さを適宜設定することにより、種々の深さや大きさの隙間や凹部内に二液型反応液を注入・充填するための装置としても用いることができる。
さらに、本発明の注入器具はダブル注入器という特殊構造のため、一般の注射器と間違える恐れは少ないが、注入器具の筒状本体のみを着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器具とすることにより、一般の注射器と間違えずに容易に判別でき、あるいはまた施用場所を鮮明に把握できるようにすることができる。
本発明で用いる二液型接着剤としては、従来公知の各種二液型接着剤を用いることができ、特定の二液型接着剤に限定されるものではない。例えば、特開平7−3233号公報に開示されているような(A)高分子成分と乳化剤とを含む水性エマルジョン液であって、該高分子成分及び乳化剤のうち少なくとも1方がアニオン基を含有するものと、(B)アミノ基を有するアクリル系共重合体を含有する溶液とからなる二液型接着剤、特開平8−81671号公報に開示されているような(a)ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有鎖伸長剤とポリイソシアネート化合物とを反応して得られるカルボキシル基を有する末端水酸基含有ポリウレタンポリマーを、三級アミンの存在下で水中に自己乳化させて分散したpH5.0〜8.5のポリカーボネート・ウレタン系ディスパージョン及び(b)合成樹脂もしくは合成ゴムの水性エマルジョンからなる主剤と、硬化剤としてポリイソシアネート化合物から成る二液型水性接着剤、特開平8−295869号公報に開示されているようなアニオン系自己乳化型ウレタン水性エマルジョン及び塩化ビニルを20〜70重量%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル−エチレン共重合体又はその変性物のエマルジョンからなる主剤と、ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤から成る水性二液型接着剤、特開平7−166146号公報に開示されているような(a)少なくともエチレンオキサイド部を含有するポリエーテルポリオールと(b)ポリエーテルポリオールのメラミン変性体を併用し、これらの有機ポリイソシアネート化合物を反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーからなる主剤に、硬化剤として水を組合せた二液型ウレタン系接着剤、特開平6−322342号公報に開示されているような(A)分子内にカルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有する高分子化合物の水性溶液並びに(B)分子内にアミノ基を有するアクリル系共重合体の水性溶液からなる二液型接着剤組成物などが挙げられる。
また、特開平9−183950号公報に開示されているような(メタ)アクリル酸エステルに有機過酸化物とエチレンアクリルゴムとを含有する組成物Aと、(メタ)アクリル酸エステルに還元剤とエチレンアクリルゴムとを含有する組成物Bとから成り、組成物A及び/又は組成物Bに、N−置換マレイミド化合物とを含有させた二液型アクリル系接着剤組成物、特開平10−1653号公報に開示されているようなアニオン性クロロプレンラテックスを主成分とする主剤と、中性ないしはアルカリ性の無機金属塩(例、硝酸マグネシウム)を主成分とする硬化剤とする分別塗布型の二液型水系接着剤、特開平11−20063号公報に開示されているようなエポキシ樹脂からなる室温で液状の主剤と、エポキシ樹脂を硬化させうる成分からなる室温で液状の硬化剤から構成され、主剤及び硬化剤のいずれにも粒子状揺変性付与剤を配合してコンクリート構造体の補修・補強に有用な二液型エポキシ樹脂接着剤、特開平11−131024号公報に開示されているような少なくとも一方の液には反応性アクリル系モノマーを含有する二液からなる接着剤組成物であって、一方の液には重合開始剤としての有機過酸化物を含有し、他方の液には硬化促進剤としての平均粒径1μm以下の金属フタロシアニン化合物を含有している二液型アクリル系接着剤組成物、特開平11−349911号公報に開示されているようなエポキシ変性水性エマルションを含む水性組成物、水性エマルション及びエポキシ樹脂用硬化剤を含む水性組成物からなる二液型接着剤であって、該エポキシ変性水性エマルション及び該水性エマルションの少なくとも一方がシアノ基を有する二液型接着剤などを用いることもできる。
本発明で用いる二液型発泡性組成物としては、特開平5−117357号公報、特開平10−212332号公報、特開平11−105057号公報等に開示されているような、従来公知の各種二液型発泡性ウレタン組成物を用いることができる。二液型発泡性ウレタン組成物は、できるだけ速やかに反応・発泡し、硬化し得るものであればよく、特定の組成に限定されるものではなく、例えば、主剤としてポリオール類を主成分とするA液と、硬化剤としてのポリイソシアネート化合物を主成分とするB液とからなり、上記A液に発泡剤や必要に応じて触媒を配合した二液型発泡性ウレタン材料などが挙げられる。上記主剤と硬化剤の反応比率は種々変えることができるが、通常、主剤の活性水素(OH基)と硬化剤のNCO基の当量比が1:0.8〜10、好ましくは1:0.9〜5の範囲内となるように選定すればよい。
ウレタンフォームには軟質、硬質、半硬質品がある。軟質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームは発泡開始に時間を要するが、硬質ウレタンフォームは数秒で発泡し、数秒で硬化するので、使用目的に応じて適宜選定すればよい。
上記ポリオール類としては、例えば、多価アルコール、ビスフェノール類や、脂肪族アミン、芳香族アミン、芳香環を有する脂肪族アミン、脂環族アミンなどの活性水素含有化合物に、アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイドの1種又は2種以上)を付加反応させて得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコールなどの2価のアルコール;トリメチロールプロパン、グリセリンなどの3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジグリセリン、ソルビトール、ショ糖などの4価もしくはそれ以上のアルコールが挙げられる。
上記ビスフェノール類としては、例えばハイドロキノン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
上記脂肪族アミンとしては、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリメチレンジアミン(エチレンジアミン、ジアミノブタン、ジアミノプロパン、ヘキサンジアミン、ドデカンジアミンなど)、ポリエチレンポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。上記芳香族アミンとしては、例えば2,4−もしくは2,6−ジアミノトルエン(TDA)、粗製TDA、1,2−、1,3−もしくは1,4−フェニレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、粗製MDA、1,5−ナフタレンジアミン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルシクロヘキサン等が挙げられる。上記芳香環を有する脂肪族アミンとしては、例えば1,2−、1,3−もしくは1,4−キシレンジアミン等が挙げられる。上記脂環族アミンとしては、例えば4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、メンセンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(−5,5−)ウンデカン等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオール以外に、2個以上のヒドロキシル基を有するオリゴマー、例えばポリエステルポリオール(ポリカルボン酸とポリヒドロキシル化合物の縮合物)、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、さらにポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール、エチレン性不飽和単量体で変性された重合体ポリオール等も使用することができる。なお、上記ポリエステルポリオールの原料であるポリカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が、またポリヒドロキシル化合物としては、上述のポリエステルポリオールに用いる多価アルコールやポリエステルポリオールそのもの等が例示される。
前記硬化剤としてのポリイソシアネート化合物としては、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(トリメチロールプロパン、ひまし油、しょ糖などポリオール付加変性物、カルボジイミド変性物、アロファネート変性物、ウレア変性物、ビューレット変性物、イソシアヌレート変性物、オキサゾリドン変性物など)、ポリオール類と過剰のポリイソシアネート化合物の反応によって得られる末端NCO基含有ウレタンプレポリマー等が挙げられる。上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば1,3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタン−2,4'−及び/又は4,4'−ジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4',4"−トリイソシアネート等が挙げられる。上記脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物のうち、好ましいものはMDI、粗製MDI、ショ糖変性TDI及びカルボジイミド変性MDIである。
前記発泡剤(通常、主剤としてのA液に配合)としては、水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤、低沸点炭化水素類、水、水ガラス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用する。発泡剤の使用量は、形成されるウレタンフォームの比重が0.6〜0.01、好ましくは0.5〜0.03となるように調整することが好ましい。
前記触媒(通常、主剤としてのA液に配合)としては、例えばアミン系触媒(トリエチレンジアミン、ペンタメチレンジエチルテトラミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7など)や金属系触媒(オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛など)を使用することができる。触媒量は、通常の量的割合で充分であり、一般に、全量中0.0001〜5質量%が適当である。
上記アミン系触媒としては、−NH2基及びNH−基の少なくとも1個を有するアミン化合物が使用でき、例えば前記ポリエーテルポリオールの原料として例示した脂肪族アミン、芳香族アミン及び脂環族アミン並びにこれらのアミンと上記ポリエステルポリオール原料のポリカルボン酸との縮合反応によるポリアミドやその他変性物等が挙げられ、さらにこれらのアミン化合物のアルキレンオキシド付加物も使用して差し支えない。
本発明に用いる二液型反応液は、必要に応じて、さらに殺菌剤、防カビ・防腐剤、消臭剤、香料等の他の添加剤を少量含有することができる。また、着色剤(色素、染料、顔料)を含有することも可能であり、その配合量、色調の選択など特に限定されるものではなく、任意に設定できる。さらにまた、必要に応じて、通常の整泡剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、老化防止剤、抗酸化剤などの添加成分を適量範囲で加えてもよい。これらの添加剤は、前記二液型反応液のA液及びB液のいずれか一方又は両方、好ましくは反応性の低い方の液に添加する。
また、二液型反応液の使用量は、施用部位に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではない。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る二液型反応液の同時吐出装置の好適な実施態様について説明するが、本発明が下記実施態様に限定されるものでないことはもとよりである。
図1は、隙間や穴部への注入に適した本発明の二液型反応液の同時吐出装置1の一実施例を示しており、注入器具2、筒状連結部材7、接続部材8及び吐出管(吐出チューブ)9とからなる。注入器具2、筒状連結部材7及び接続部材8は、いずれも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ABS樹脂、アセタール樹脂等のプラスチックから作製され、全体的に透光性を有し、注入器具2内に収容されている内容物がある程度視認できるように構成されているが、中が見えないように着色されていても構わず、また他の任意のプラスチック材料から作製することもできる。一方、吐出管9は、隙間や穴部に挿入した際、隙間や穴部の形状に沿って撓む柔軟性を有するポリエステルエラストマー、軟質塩化ビニル樹脂、ゴム等の可撓性の合成樹脂から作製することが好ましい。
注入器具2は、図2〜図9に示されるように、筒状本体3と、該筒状本体3内に配設された2つの注入器4を備え、各注入器4は、それぞれ先端部に易破断性の保護キャップ52が被冠されている吐出筒部51を有する筒状案内体5と、各筒状案内体5内に後端部側から同時に作動しえる状態でそれぞれ摺動自在に挿入されているピストン6とを有し、上記2つの筒状案内体5のいずれか1つに前記二液型発泡ウレタン組成物などの二液型反応液のA液が収容され、他の1つにB液が収容されている。尚、筒状本体3は、2分割形式の上部材と下部材とを組み合わせたものであり、図2及び図3には、判り易いように上部材を取り除いた状態で示されている。尚、本実施態様では、筒状案内体5の先端部の吐出筒部51に易破断性の保護キャップ52が被冠されているが、後述する針状接続管84により突き通せる易破断性の閉鎖端面であればよく、例えば易破断性の薄いフィルムを吐出口部端面に貼着したり、吐出筒部51に被冠したりすることもできるが、生産性や組立て等の面からは、易破断性の保護キャップ52を用いることが好ましい。また、保護キャップ52の吐出筒部51への被冠方法としては、嵌合、接着、螺合等の任意の手段を採用できる。
筒状本体3は、図2〜図9に示されるように、本体部31と、軸線方向に複数のスリット33が形成された先端接続部32とからなり、本体部31の後端部には、上部材(図示せず)と下部材にそれぞれ、半径方向両側(図2では、上下方向)に突出した指を引っ掛けるための一対の鍔部34が形成されていると共に、本体部31と先端接続部32との間には、上記鍔部34と同じ方向に突出している上記鍔部34と類似の形状のフランジ部35が形成されており、このフランジ部35は筒状連結部材7を接続する際のストッパ部として機能する。また、先端接続部32の各スリット33間に位置する上下の並行板部内面には、それぞれ軸線方向に平行に延在する2本の案内リブ36が形成されている。この案内リブ36は、前記接続部材8を安定して案内するためのものであり、接続部材8との係合状態については後に説明する。
筒状本体3の上部材と下部材は、それぞれの本体部31の周壁の端面に、図3に示されるように、一方の周壁には外縁部側がへこんで内縁部側に突状内縁部37を有する段差部が形成され、他方の周壁には外縁部側が突出して内縁部側がへこんで上記突状内縁部37に対応する断面形状の凹状内縁部38を有する段差部が形成されていると共に、一方の周壁端面の所定位置複数個所にはピン39が立設され、他方の周壁端面の上記ピン39に対応する所定位置複数個所には穴部40が穿設されている。開いた状態の筒状本体3の上部材と下部材における上記突状内縁部37、凹状内縁部38、ピン39及び穴部40の位置関係は同一である。筒状本体3の上部材と下部材は、上記一方の周壁端面に立設されたピン39が他方の周壁端面に形成された穴部40に嵌め込まれると共に、一方の周壁の突状内縁部37が他方の周壁の凹状内縁部38に嵌め込まれることによって組み立てられる。一方の周壁は他方の周壁に接着剤等によって接合することもできる。尚、符号47は、他方の周壁内面の複数個所に形成されたガイドリブであり、該ガイドリブ47と他方の周壁との間の凹状内縁部38の個所に凹部が形成されることによって、この凹部に一方の周壁の突状内縁部37を受け入れ、安定して筒状本体3の上部材と下部材を組み立てることができるようにしたものである。
前記鍔部34は、筒状本体3の上部材と下部材の本体部31の後端部からそれぞれ立設された略三日月状の鍔本体部41と、該鍔本体部41の先端から後方に軸線方向と平行に延出する周壁部42とからなる。また、図3、図5、図8、図9に示されるように、各本体部31の後端部内周部には、それぞれ後端部両側から内側に向かって対抗して突出している一対のストッパーリブ43が上記鍔本体部41と所定の間隔をあけて設けられていると共に、図5、図8、図9に示されるように、上記鍔本体部41の後側面には、鍔本体部41側の上端に切り欠き凹部45が形成された2本のリブ44が上下方向に延在している。上記ストッパーリブ43と鍔本体部41との間の隙間及び上記リブ44の切り欠き凹部45が、筒状案内体5の後端部に形成されたフランジ部53が嵌まり込む凹部を形成している。尚、フランジ部53が嵌まり込む凹部は、上記のような構造に限定されるものではなく、例えば、上部材と下部材の各本体部31の鍔部34の周壁部42に筒状案内体5のフランジ部53が嵌まり込む略半環状の溝部を形成してもよく、筒状本体3の上部材と下部材の間に組み込まれた筒状案内体5の抜け止めを行えるような構造であれば、任意の構造であってよい。
前記筒状本体3の上部材と下部材の内部には、それぞれ2箇所、図6に示されるように、2つの半円形が連なったような形状の頂端面(内側端面)を有する支持リブ46が軸線方向と直角方法に突設されている。この支持リブ46は、筒状案内体5を安定して支持するのに供される。また、前記各筒状本体3の先端接続部32の各スリット33間に位置する上下の並行板部外面のフランジ部35近傍の中央部には、後方に向かってなだらかに立ち上がり、後端縁が鋭角(直角)となっている突部48が形成されている。この突部48は、筒状連結部材7を筒状本体3に連結する際に、筒状連結部材7の上下後端部に形成された中央開孔76aに嵌め込まれ、連結状態が容易に解除されないようにするためのロック機構として作用するものである。
前記したように、注入器具2の各注入器4は、いずれも高密度ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックから作製された筒状案内体5とその内部に摺動自在に挿入されているピストン6とから構成されている。図5に示されているように、各筒状案内体5は、その先端部が縮径されて本体よりも小さな外径及び内径の吐出筒部51を有し、該吐出筒部51には易破断性の保護キャップ52が被冠されている。また、各筒状案内体5の後端部には、上下方向に突出する全体的に細長い略楕円形のフランジ部53が形成されている。このフランジ部53は、筒状本体3の上部材と下部材の間に各注入器4を組み込む際に、前記ストッパーリブ43と鍔本体部41との間の隙間及び上記リブ44の切り欠き凹部45に嵌まり込み、一旦各注入器4を筒状本体3内に組み込んだ後は容易に抜けないような構造となっている。尚、筒状案内体5には、どの位置で内容物の容量がどの程度であるかを示す目盛を付けることができる。
一方、各ピストン6は、各注入器4の上記筒状案内体5に、後端部側から摺動自在に挿入されている。ピストン6の長さは、内容物を全て押し出せるように、筒状案内体5の本体部長さよりも長くなるように設計されている。各ピストン6は、断面十字形のピストンロッド61を有し、その先端部には、図5に示されるように、該ピストンロッドの断面寸法よりも若干大きな直径の円形フランジ部62aが形成されている。該円形フランジ部62aの先端面から突出して形成された略キノコ型のフランジ部63の周囲には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン、プロピレンコポリマー等の軟質合成樹脂や、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等の各種エラストマー、ゴム等から作製されたガスケット64が被冠されている。尚、反応性の高い液を収容した筒状案内体内に挿入されるピストンロッドのガスケット材料としては、耐薬品性に優れたポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン、プロピレンコポリマー等の軟質合成樹脂を用いることが好ましい。
一方、各ピストンロッド61の後端には、ピストンロッド61を指で押圧し易いように、上下に細長い略楕円形状の指を当てる押圧部65が形成されている(図2参照)。各ピストン6は、筒状案内体5に後端部側から挿入したときに、上記ガスケット64が筒状案内体5の内周面に接触した状態で筒状案内体5内を摺動するように構成されている。さらに、筒状案内体5の後端部近傍の内周面には僅かに内方に突出したリング状の突条部54が形成されており(図5参照)、この突条部54にピストンロッド61の円形フランジ部62a(62b,62c)が当たることによって、ピストン6が筒状案内体5から容易に抜け出ないように構成されている。また、ピストンロッド61には、円形フランジ部62aから所定の間隔でさらに同じような円形フランジ部62b及び62cが形成されている。これらの円形フランジ部62b及び62cは、筒状案内体5内に内容液を充填する際に、一旦ピストンロッド61を筒状案内体5の吐出筒部51に突き当たる迄入れた状態で、ピストンロッド61を引いて吐出筒部51から内容液を筒状案内体5内に吸引するときに、充填した内容液の量を知る目盛としての機能を有すると共に、ピストンロッド61を補強する補強用リブとしての機能も有する。例えば、円形フランジ部62cが上記突条部54に当接する位置で充填した内容液の量は2cm3、円形フランジ部62bが上記突条部54に当接する位置で充填した内容液の量は2.5cm3、円形フランジ部62aが上記突条部54に当接する位置で充填した内容液の量が3cm3となるような間隔に設定するなどの利用が可能である。なお、本実施態様ではピストンロッド61は断面十字形であるが、断面円形等の棒状であってもよい。また、各ピストン6のピストンロッド61とガスケット64は別体であるが、一体成型されたものであってもよい。
また、各ピストンロッド61の断面十字形の左右方向の片66aは押圧部65に近い所定位置で途切れており、この左右方向の片66aがない部分では上下方向の片66bは幅が狭くなっており、この幅が狭くなっている上下方向の片66bの各端面に延在するようにそれぞれ2枚の平板リブ67が押圧部65から平行に突設され、上下方向の片66bの上端面及び下端面になだらかに収束している。また、図2、図3、図9に示されるように、各ピストンロッド61の対向する平板リブ67上面の押圧部65の基部には、一方のピストンロッド61では他方のピストンロッド61側に開口する筒状部68が形成されており、他方のピストンロッド61では上記筒部68に嵌め込まれるピン69が一方のピストンロッド61側に突出するように形成されている。これとは逆に、各ピストンロッド61の対向する平板リブ67下面の押圧部65の基部には、一方のピストンロッド61ではピン69が他方のピストンロッド61側に突出するように形成されており、他方のピストンロッド61では一方のピストンロッド61側に開口する筒状部68が形成されている。従って、上下一対の上記ピン69を筒状部68に嵌め込むことにより、一方のピストンロッド61は他方のピストンロッド61に係合した状態となり、2つのピストンを一体的に同時に押すことができる。即ち、上下一対のピン69を筒状部68に嵌挿することにより、2つのピストンが係合し同時に作動しえる状態となる。尚、上記筒状部68とそれに嵌め込まれるピン69は、係合部とそれに係合する係合片の組合せや、それぞれ対向する他方のピストンの押圧部の下まで延在するように突出する係合片をそれぞれ形成するなど、一方のピストンを押すと他方のピストンも押されるような、2つのピストンが係合し同時に作動しえる状態であればよい。
前記注入器具2の組立てに際しては、筒状本体3の下部材(又は上部材)内に、一方の筒状案内体5内に二液型反応液のA液が収容され、且つピストン6が装着されている注入器4と、他方の筒状案内体5内にB液が収容され、且つピストン6が装着されている注入器4の2つの注入器4を配置する。この際、2つの注入器4は、下部材(又は上部材)の後端部内周部に形成されているストッパーリブ43と鍔本体部41との間の隙間及びリブ44の切り欠き凹部45に、各筒状案内体5の後端部に形成されたフランジ部53が嵌まり込むように配置する(図5参照)。その後、このように2つの注入器4が配設された筒状本体3の下部材(又は上部材)に、上部材(又は下部材)を、一方の周壁に形成された突状内縁部37を他方の周壁に形成された凹状内縁部38に嵌め込み、且つ、一方の周壁端面の所定位置複数個所に立設されたピン39を他方の周壁端面の所定位置複数個所に穿設された穴部40に嵌め込み、必要に応じて接着剤で接合することにより、図1に示すように組み立てる。二液型反応液の同時吐出装置が使い捨て製品として使用される場合には、上記のように一旦組み立てた後は分解できないように接着して組み立てるが、注入器2のみを使い捨てとし、筒状本体3は再利用したい場合には、上部材と下部材を上記ピン39の穴部40への嵌合により組み立て、再度分離できるようにしてもよい。
図10〜13は、前記筒状連結部材7を示している。筒状連結部材7は、前記筒状本体3の先端接続部32に接続される、断面が略楕円形の扁平な筒状部71と、その先端部に形成されたテーパ状接続部72とからなる。テーパ状接続部72は、先端の開口部73に向かって漸次縮径するテーパ状に形成されている。筒状部71の前後部には、前記筒状本体3のフランジ部35と類似の断面形状のフランジ部74,75が半径方向両側(図1では、紙面と垂直方向)に突出して形成されている。図13に示されるように、前側フランジ部74の内寸は後側フランジ部74の内寸よりも小さくなるように縮径されており、テーパ状接続部72の後端の内寸は前側フランジ部74の内寸と同じである(図13参照)。
図10及び図12に示されるように、筒状部71の軸線方向中心線の後側フランジ部75の基部には上下2箇所に中央開孔76aが形成され、該中央開孔76aから後側フランジ部75基部に沿って両側に所定間隔の位置(上下それぞれ2箇所)に側部開孔76bが形成されている。筒状部71の上下内面には、上記側部開孔76bから軸線方向に平行な上下それぞれ2本のガイド溝77が所定の長さ(前述した接続部材8の長さに対応)だけ形成されている(図10及び図13参照)。また、図12及び図13に示されるように、筒状部71の前側フランジ部74内側面のテーパ状接続部72後端近傍の両側から、円筒体を長手方向に2分割したような形状の一対の半筒部78が互いに向き合うように平行に後方へ突設されており、該半筒部78はそれぞれ上下及び側部の3本の略L字形の支持リブ79により筒状部71と一体化されている。上記半筒部78の外径は、後述する接続部材8の筒部81の内径よりも若干小さく、接続部材8の筒部81が半筒部78の外周に沿って配置され、その先端は略L字形の支持リブ79と半筒部78の先端部に形成される段差部に当接するように構成されている。一方、テーパ状接続部72の前側フランジ部近傍の上下両側部には、それぞれ所定の間隔をあけて一対の突部80が形成されている。この突部80は、テーパ状接続部72に後述する吐出管9を接続する際に、吐出管9の接続部92の上下両側部の後端部近傍に形成された一対の開孔95に嵌挿されるロック機構として作用する。
図14〜17は、前記筒状連結部材7内に配設される接続部材8を示している。接続部材8は、2つの筒部81を有し、該2つの筒部81は、その長さ全体にわたって延在する水平な横連結部82と、該横連結部82の後端部に一体的に垂直に形成され、上記筒部81の径とほぼ等しい高さを有する縦連結部83とにより一体的に連結されている。上記各筒部81内には、後端部が鋭角に形成された針状接続管84が配設されており、各筒部81と各針状接続管84は、図17に示されるように、各筒部81の中央部に配された管状リブ85によってそれぞれ一体的に連結されている。上記2つの針状接続管84は、各針状接続管の鋭角な端部が対向し、且つ、筒状連結部材7が前記筒状本体3の先端接続部32に接続されたときに、前記筒状案内体5の吐出筒部51側に向かって配向するような位置関係となるように配設されている。尚、各針状接続管84の鋭角な先端は、安全性の面から筒部81の後端面と同一面又はそれより内側に位置するような長さに設定する必要があるが、注入器4との接続の際に保護キャップ52を充分に突き通すためには筒部81の後端面と同一面となるような長さが好ましい。一方、各針状接続管84の先端部は、図示の実施態様では筒部81の前端面と同一面となるような長さであるが、若干突出していても構わない。
また、各筒部81の上下部には、それぞれ、先端から後端近傍にわたって軸線方向に延在するガイドリブ86が形成され、且つ、各ガイドリブ86の後端部上端内縁部には、後方に向かってなだらかに立ち上がり、後端縁が鋭角(直角)となっている突部87が形成されている。ガイドリブ86の後端と縦連結部83の後端面との間の距離は、前記筒状連結部材7の後側フランジ部75の厚さと等しいかもしくは若干長く、また、上部及び下部の一対のガイドリブ86間の間隔は、前記筒状連結部材7の筒状部71の上部及び下部の一対の側部開孔76b間の間隔及び一対のガイド溝77間の間隔と等しくなっている。それによって、筒状連結部材7内に後側から接続部材8を配設する際に、各筒部81のガイドリブ86が前記筒状連結部材7の各筒状部71のガイド溝77内を摺動して作業性良くスムーズに装着できるように構成されていると共に、上記各突部87が筒状連結部材7の上下後端部に形成された各側部開孔76bに嵌め込まれ、連結状態が容易に解除されないようにロック機構として作用する。また、縦連結部83の上端面及び下端面の所定位置には、それぞれ一対の切り欠き凹部88が形成されている。上端面及び下端面の一対の切り欠き凹部88間の間隔は、前記筒状本体3の先端接続部32の2本の案内リブ36間の間隔と等しくされている。それによって、接続部材8が配設された筒状連結部材7を前記筒状本体3の先端接続部32と接続する際に、上記案内リブ36が接続部材8の切り欠き凹部88内を摺動して作業性良くスムーズに装着できるように構成されている。
図18〜21は、前記吐出管の一実施態様を示しており、前記接続部材8が内部に装着された筒状連結部材7と接続した状態で示されている。
吐出管9は、ポリエステルエラストマー、軟質塩化ビニル樹脂、ゴム等の可撓性の合成樹脂から作製されている。吐出管9の長さは、対象とする隙間や穴部に応じた適宜の長さに設定できる。また、可撓性の合成樹脂から作製されているため、実際の使用の際に適宜の長さにハサミ等により容易に切断して用いることができる。また、図示されるように、吐出管9は、後部に後方にやや拡開したテーパ状の接続部92を有する断面が略楕円形状の吐出管本体91と、その先端部に嵌挿されている断面が略楕円形状のノズル部材94と、吐出管本体91内部に配設された2つの流路を構成する2本のチューブ100とを有する。また、接続部92の吐出管本体側の所定位置(好ましくは接続部92の先端部)には、仮想線で示されるように、外周を囲繞するように半径方向外側に突出した断面円形のストッパ部93を形成してもよい。ストッパ部93の直径は、対象とする隙間や穴部に挿入されないようなサイズとする必要がある。
上記吐出管9の接続部92は、前記筒状連結部材7のテーパ状接続部72に接続される部分であり、その後端部近傍の上下両側部には、前記テーパ状接続部72の前側フランジ部74近傍の上下両側部に形成されている一対の突部80と同じ位置関係になるように、それぞれ所定の間隔をあけて一対の開孔95が形成されている。前記筒状連結部材7のテーパ状接続部72に吐出管9を接続すると、この開孔95に突部80が嵌め込まれ、ロックされた状態となる。また、上記吐出管本体91の先端部近傍の上下中央部には、ノズル部材94との連結用の開孔96が形成されている。ノズル部材94は、隙間や穴部に挿入し易いように丸みをおびている先端部に1つの扁平な吐出流路97が形成されていると共に、後半部には、吐出流路97の内寸よりも大きく、2本のチューブ100の合計外寸とほぼ等しい内寸を有し、先端部の外寸よりも若干小さく、吐出管本体91の内寸よりも若干大きな外寸の部分の接続管状部98が形成されている。該接続管状部98の2本のチューブ100の合計外寸とほぼ等しい内寸を有する内部は、チューブ100の先端部の収容部として作用すると共に、そのストッパ部として作用する。また、ノズル部材94の接続管状部98の上下所定位置(上記開孔96と対応する位置)には、上記開孔96に嵌め込まれる突部99が形成されている。
前記吐出管9、2本のチューブ100、筒状連結部材7及び接続部材8の組み立てに際しては、まず、接続部材8の2つの針状接続管84の先端部内にそれぞれ所定の長さのチューブ100の一端部(後端部)を嵌め込んだ状態で、筒状連結部材7の後側からチューブ100及び接続部材8の順に挿入し、接続部材8の各筒部81の後端縁に形成された各突部87が筒状連結部材7の上下後端部に形成された各側部開孔76bに嵌め込まれるまで、接続部材8の各筒部81のガイドリブ86を筒状連結部材7の各筒状部71のガイド溝77内を摺動させる。このようにして、2本のチューブ100が接続された接続部材8を筒状連結部材7に連結し、ロックした状態で、2本のチューブ100の先端部を吐出管9の後側から挿入し、ノズル部材94の接続管状部98内に嵌挿すると共に、吐出管9の接続部92の後端部近傍の上下両側部に形成されている各開孔95に筒状連結部材7のテーパ状接続部72に形成されている各突部80を嵌め込み、ロックした状態とする。あるいは別の方法としては、予め、2本のチューブ100の先端部を吐出管9の後側から挿入し、ノズル部材94の接続管状部98内に嵌挿した状態とし、また、接続部材8を筒状連結部材7に連結し、ロックした状態としておき、吐出管9の後端から突出している2本のチューブ100の後端部を筒状連結部材7の前側から接続部材8の2つの針状接続管84の先端部内にそれぞれ嵌挿すると共に、吐出管9の接続部92に形成されている各開孔95に筒状連結部材7のテーパ状接続部72に形成されている各突部80嵌め込み、ロックした状態としてもよい。また、必要に応じて、筒状連結部材7の後側フランジ部75と筒状本体3のフランジ部35は接着剤等により接合することもできる。
このようにして2本のチューブ100、接続部材8及び筒状連結部材7が組み込まれた吐出管9と、二液型反応液のA液とB液がそれぞれ収容されている2つの注入器4が組み込まれた注入器具2の使用に際しては、注入器具2の筒状本体3の先端接続部32を筒状連結部材7の後側から挿入し、接続する。この際、筒状本体3の先端接続部32に形成された案内リブ36が接続部材8の切り欠き凹部88内を摺動するのでスムーズに挿入できる。さらに挿入することにより、接続部材8の各針状接続管84の鋭角な端部が各注入器4の吐出筒部51に被冠されている保護キャップ52を突き通し、各チューブ100と各注入器4の筒状案内体5内部が連通状態になると共に、筒状本体3の先端接続部32に形成された突部48が筒状連結部材7に形成された中央開孔76aに嵌め込まれ、ロックされた状態となる。
上記の状態で、吐出管9を隙間や穴部に向けて挿入し、ストッパ部93が隙間や穴部の開口端に位置した時点で挿入を停止する。そして、例えば二液型反応液が二液型発泡ウレタン組成物の場合、各注入器4のピストン6を押圧し、一方の注入器内に収容された二液型発泡ウレタン組成物のA液と、他方の注入器内に収容されたB液を、上記吐出管9を通して隙間や穴部内に同時に注入して発泡させ、ウレタンフォームで封止する。この際、吐出管9の先端のノズル部材94には1つの吐出流路97が形成されているため、この部分で上記A液とB液が合流し、混合されて吐出されるので、A液とB液が速やかに反応して発泡し、無数の細かい気泡、好ましくは連続気泡からなるウレタンフォームを形成し、隙間や穴部内の凹凸面の細かい部分にも隙間なく充填し、壁面に密着して即座に硬化し、隙間や穴部を完全に封止することができる。ウレタンフォームを充填した後は、吐出管9を抜き出す。あるいは別の方法として、予め接続部材8及び筒状連結部材7が組み込まれた吐出管9を挿入し、この状態で、注入器具2の筒状本体3の先端接続部32を筒状連結部材7の後側から挿入し、接続してもよいが、作業性の点からは前記した方法が好ましい。
図22〜図26は、建築物の壁面の少し高い位置にある隙間や穴部あるいは湾曲した穴部内の隙間等に挿入して二液型発泡ウレタン組成物などを注入・充填するために適した吐出管の他の実施態様を示しており、前記接続部材8が内部に装着された筒状連結部材7と接続した状態で示されている。この実施態様の吐出管9aは、吐出管本体91aがその先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部を有する点で前記図18〜図21に示される実施態様と異なる。吐出管本体(湾曲部)9aは、扁平環状の断面を有し、湾曲状に形成されている。尚、本実施態様の場合、吐出管本体91a全体が湾曲状に形成され、その後端部に後方に開拡するテーパ状の接続部92が形成され、筒状連結部材7の前側フランジ部74がストッパ部として機能するが、吐出管本体(湾曲部)91aと接続部92との間に直管部を設け、あるいはさらに前記吐出管9と同様のストッパ部93を設けてもよい。
吐出管本体(湾曲部)91aの先端には、前記図18〜図21に示される実施態様と同様にノズル部材94が嵌挿されるが、この実施態様の場合、前記実施態様とは異なり、ノズル部材94は2分割形態に形成されており、それらの端面に形成された複数のピン(図示せず)を他方の端面に形成された複数の孔部(図示せず)に嵌合することにより組み立てられるが、一体成型してもよい。また、ノズル部材94の接続管状部98は、前記実施態様とは異なり、2本のチューブ100の合計外寸よりも大きな内寸を有し、後端部内周部にはチューブ100を嵌挿するためのガイド突部98aが形成されており、2分割部材に設けられた対向する一対のガイド突部98aにより形成される略楕円形内周面は2本のチューブ100の合計外寸と等しいか若干小さな内寸とされ、その中に2本のチューブ100が嵌挿されるように構成されている。尚、図示の実施態様ではガイド突部98aは1つであるが、2つあるいはそれ以上のガイド突部を所定間隔で設けてもよい。
一方、吐出管9aの後端部の接続部92は、吐出管本体(湾曲部)91aの後端に所定の角度をもって設けられているが、その構造、サイズ等は前記した図18〜図21に示される実施態様と同じである。尚、吐出管本体91aの湾曲方向と、筒状連結部材7のフランジ部74,75の方向、及び筒状本体3の一対の鍔部34とフランジ部35の方向は同一方向(図24に示す状態では上下方向)に配向しており、隙間や穴部への挿入と押出操作が容易に行えるように構成されていると共に、組立てに際しての吐出管9aと筒状連結部材7と筒状本体3の位置合わせを簡便にして、組立てが容易に行えるように構成されている。尚、前記吐出管9aと、2本のチューブ100、筒状連結部材7及び接続部材8の組み立て方法は、前記した実施態様の場合と同様である。
吐出管9aは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の比較的剛性のあるプラスチックから作製され、全体的に透光性を有するが、中が見えないように着色されていても構わず、また他の任意のプラスチック材料から作製することもできる。また、処置する隙間や穴部の曲面形状が多少異なっていても、容易にその曲面形状に追従してスムーズに挿入することができるように、吐出管本体(湾曲部)91aはある程度の可撓性を有することが好ましい。吐出管9aの接続部92が当接する筒状連結部材7の前側フランジ部74は、吐出管本体(湾曲部)91aを挿入する際、ストッパ部として機能し、又は挿入停止位置表示部として機能する。さらに、先端のノズル部材94の吐出口(吐出流路97)が詰まったときの予備開口部となる複数の孔部を、ノズル部材94の先端部側部に設けることもできる。
前記吐出管9aを用いた二液型反応液の同時吐出装置の使用方法は、前記した実施態様と同様である。
図27及び図28は、本発明の二液型反応液の同時吐出装置の他の実施態様を示しており、ピストンの構造及び筒状本体の後端部の構造が前記実施態様の場合と異なる以外、他の構成要素は前記実施態様の場合と同じである。
この実施態様の場合、ピストン6aの断面十字形のピストンロッド61の先端部には、図27に示されるように、該ピストンロッドの断面寸法よりも若干大きな直径の円形フランジ部62aが形成されているが、前記実施態様とは異なり、該円形フランジ部62aの先端面には略キノコ型のフランジ部が突出して形成されておらず、円形フランジ部62aの先端面で直に内容物を押し出すように構成されている。従って、ピストン6aは、低密度ポリエチレン、シリコーン樹脂等の軟質合成樹脂により一体成型でき、コスト面や組立作業が必要でない点で前記実施態様よりも有利である。また、図28に示されるように、筒状本体の後端部は、リブ44が見えないようにカバー部49により覆われており、外観的にスッキリした構造となっている。尚、カバー部49の頂端面は、筒状案内体5の外周を2分割したような半円が2つ連なった形状を有している。
以上、本発明に係る二液型反応液の同時吐出装置について好適な実施態様を示したが、前記した態様の二液型反応液の同時吐出装置に限られることはなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の設計変更が可能である。例えば、前記した各実施態様においては、各フランジ部34,74,75及び鍔部35は略楕円形であるが、六角形、八角形等の多角形など、任意の形状にすることができる。また、例えば筒状本体やピストンを着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器具とすることにより、施用場所を鮮明に把握できるようにすることも可能である。さらに、ノズル部材の一つの吐出流路を形成している先端部内周面には、図32及び図36に拡大して示すように、所定高さ(内容物の流出が困難とならないように、吐出流路の内径の約1/2以下であることが好ましい)の一対の邪魔板部を、互いに対向するように、且つ軸線方向に対して所定の角度(約30〜60°、好ましくは40〜50°程度が望ましい)で突設したり、あるいは前後2箇所に二対の邪魔板部を、例えば前側の一対の邪魔板部と後側の一対の邪魔板部は90°の角度だけ円周方向の位置をずらして突設することもできる。あるいは、短い螺旋状の邪魔板部を形成してもよい。このような邪魔板部を設けることにより、吐出管のノズル部材で二液型反応液のA液とB液を攪拌することができるので、注入後の速やかな硬化や発泡が生起する。但し、隙間や穴部の内壁の凹凸面による攪拌効果も期待できるので、このような邪魔板部を設けなくても差し支えない。