JP5554971B2 - 導体パターンの形成方法、導体パターン、導体パターン形成基材 - Google Patents
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Description
この工程では図1(a)のように基材2の平坦な表面に感光性材料を用いてレジスト層3を形成する。ここで、基材2としては、絶縁性のあるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)のほか、ポリメタクリル酸メチルに代表されるアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、JSR株式会社製の商品名「アートン」に代表されるノルボルネン系樹脂、東ソー株式会社製の品番「TI−160」に代表されるオレフィンマレイミド樹脂等にて形成される有機樹脂基体や、ガラスにて形成されるガラス基体、特開平08−148829号公報に記載されているエポキシ樹脂基材等のような、シート状あるいは板状のもの等を挙げることができる。基材2の厚さは、0.001〜20mmであることが好ましく、0.01〜1mmであることがより好ましく、0.025〜0.2mmであることが最も好ましい。また、レジスト層3を形成する感光性材料としては、ドライフィルムや液状のもの等を用いることができる。レジスト層3の厚さは0.01〜500μmであることが好ましい。
この工程では、マスクパターン(図示省略)を用い、紫外線等で露光した後現像することによって、図1(b)のようにレジスト層3に溝4を所定パターン形状に形成する。この溝4は、底面に基材2が露出するように形成される。溝4の幅は0.1〜50μmに設定するのが好ましい。
この工程では、図1(c)のようにレジスト層3の表面に導電性ペースト5を供給し、スキージ6を用いて導電性ペースト5を溝4に充填すると共に、余分な導電性ペースト5をレジスト層3の表面から掻き取って除去する。その後、溝4に充填された導電性ペースト5を50〜150℃、0.1〜180分の条件で加熱して乾燥させる。ここで、導電性ペースト5としては、金属粉、アンチモン−錫酸化物やインジウム−錫酸化物等の金属酸化物粉末、金属ナノワイヤ、グラファイト、カーボンブラック、熱可塑性樹脂、添加剤、溶媒等を配合して調製されたものを用いることができる。金属粉としては、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミニウム粉、鉄粉、マグネシウム粉及びこれらの合金粉もしくはこれらの粉末に異種金属を1層以上コーティングしたものから選ばれるものを用いることができ、また金属ナノワイヤとしては、金、銀、銅、白金等のナノワイヤを用いることができる。これらの配合量は導電性ペースト5全量に対して0〜99質量%であることが好ましい。またカーボンブラック、グラファイトの配合量は0〜99質量%であることが好ましい。なお、少なくとも金属粉、金属ナノワイヤ、カーボンブラック、グラファイトのいずれかを用いる。また熱可塑性樹脂としては、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などや、−COC−骨格、−COO−骨格などを含むこれらの樹脂の誘導体、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体等を用いることができ、この配合量は0.1〜20質量%であることが好ましい。また添加剤としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK333(シリコンオイル)」等の消泡剤・レベリング剤を用いることができ、この配合量は0〜10質量%であることが好ましい。また溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、キシレン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−(2−メトキシ−2−メチルエトキシ)−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び水等をそれぞれ単独で用いたり、任意の割合で混合した混合溶媒として用いたりすることができるものであり、この配合量は0.1〜50質量%であることが好ましい。なお、レジスト層3の表面からスキージ6で掻き取られて除去された余分な導電性ペースト5は再利用することができる。
この工程では、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いて、図1(d)のようにレジスト層3を剥離して除去する。これにより、レジスト層3の溝4に充填されていた導電性ペースト5がそのまま基材2の表面に残り、導体パターン1を形成することができるものである。上記のようにレジスト層3を除去するにあたって、レジスト層3の表面には導電性ペースト5は残っていないので、レジスト層3のみを廃棄することができ、図4に示す従来の導体パターン1の形成方法に比べて廃棄物の量を少なくすることができるものである。そして、上記のように導体パターン1を基材2の表面に設けて形成された導体パターン形成基材8は、具体的にはプリント配線板や電磁波シールド材等として用いることができるものである。
この工程では、図2のように水蒸気加熱装置9を用いて、基材2の表面に所定パターン形状に設けられた導電性ペースト5を水蒸気7により加熱処理する。ここで、水蒸気加熱装置9は、処理室10内に高温の水蒸気7を噴出する蒸気噴出部11を設けて形成されている。そして、導電性ペースト5を乾燥させた後の基材2を処理室10内に入れて、蒸気噴出部11から水蒸気7を噴出させることによって、水蒸気7による加熱処理(水蒸気加熱処理)を行うことができる。このようにして形成された導体パターン1は、水蒸気7により加熱処理されることによって、熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂成分が金属粉等の導電性微粒子間から流れ出して排除され、導電性微粒子間の接触面積が増加するので、表面抵抗が低くなり、導電性が高くなるものである。ここで、水蒸気加熱処理は40〜200℃、湿度50〜100%、0.0001〜100時間の条件で行うのが好ましい。
この工程では、図3のように加熱加圧装置12を用いて、基材2の表面に所定パターン形状に設けられた導電性ペースト5を加圧する。ここで、加熱加圧装置12としては、近接・離間し、対向面が平坦に形成された一対の熱盤13,14を備えたものを用いることができる。上記のようにして形成された導体パターン1は、加圧で圧縮されることによって金属粉等の導電性微粒子間の接触面積が増加するので、表面抵抗が低くなり、導電性が高くなるものである。ここで、加圧は50〜150℃、0.01〜200kgf/cm2(0.98kPa〜19.6MPa)、0.1〜180分の条件で行うのが好ましい。また、加熱加圧終了後に、圧力を保ったまま水冷等で急速冷却、例えば110℃から40℃まで30分で冷却することも導電性ペースト5の圧縮状態を保つ上で有効である。なお、加圧する場合には、図3のように導電性ペースト5が設けられた基材2と各熱盤13,14との間に離型シート15を介在させるようにしてもよい。この離型シート15としては、ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルムにシリコーン樹脂等の剥離剤を塗布して剥離剤層を設けたもの、公知の偏光板等を用いることができる。
この工程では、図2のように水蒸気加熱加圧装置16を用いて、基材2の表面に所定パターン形状に設けられた導電性ペースト5を加圧しながら水蒸気7により加熱処理する。ここで、水蒸気加熱加圧装置16は、耐圧容器で形成された処理室10内に高温の水蒸気7を噴出する蒸気噴出部11及び処理室10内を加圧する加圧手段(図示省略)を設けて形成されている。そして、導電性ペースト5を乾燥させた後の基材2を処理室10内に入れて、蒸気噴出部11から水蒸気7を噴出させると共に加圧手段によって処理室10内を加圧することによって、水蒸気加熱処理を加圧しながら行うことができる。このようにして形成された導体パターン1は、水蒸気加熱処理によって得られる効果に加えて、加圧することによって、熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂成分が金属粉等の導電性微粒子間から流れ出して排除されるのが促進され、導体パターン1を短時間で効率よく形成することができると共に、導電性ペースト5中の金属粉等の導電性微粒子同士を凝集させ、表面抵抗をさらに低くすることができ、導電性をさらに高くすることができるものである。ここで、加圧を伴う水蒸気7による加熱処理(水蒸気加熱加圧処理)は30〜200℃、湿度50〜100%、0.01〜200kgf/cm2(0.98kPa〜19.6MPa)、0.0001〜50時間の条件で行うのが好ましい。
基材2として、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡績株式会社製の品番「A4300」)の表面に厚さ5μmのインク受容層(イーストマンケミカルジャパン株式会社製の品番「CAB551−0.2」)を設けて形成されたものを用い、感光性材料として厚さ20μmのドライフィルム(デュポンMRCドライフィルム株式会社製の品番「リストンFX900」(厚さ25μm))を用いた。
まず図1(a)のように基材2の平坦な表面に感光性材料を用いて厚さ20μmのレジスト層3を形成した。
次にマスクパターン(図示省略するが、線幅/ピッチ=20μm/300μmの格子状パターンが形成されたもの)を用い、紫外線等で露光した後現像することによって、図1(b)のようにレジスト層3に所定パターン形状の溝4を形成した。この溝4の底面においては基材2が露出している。
次に導電性ペースト5として太陽インキ製造株式会社製の品番「AF5200E」を用い、これを図1(c)のようにレジスト層3の表面に供給し、スキージ6を用いて導電性ペースト5を溝4に充填すると共に、余分な導電性ペースト5をレジスト層3の表面から掻き取って除去した。その後、溝4に充填された導電性ペースト5を120℃、30分の条件で加熱して乾燥させた。
次に8%水酸化ナトリウム水溶液(25℃)を用い、図1(d)のようにレジスト層3を剥離して除去した。これにより、レジスト層3の溝4に充填されていた導電性ペースト5がそのまま基材2の表面に残り、導体パターン1を形成することができた。なお、レジスト層3を除去するにあたって、レジスト層3の表面には導電性ペースト5は残っていなかったので、レジスト層3のみを廃棄することができた。
実施例1と同様にして得られた導体パターン1を図2のように水蒸気加熱装置9を用いて85℃、湿度90%、12時間の条件で水蒸気7により水蒸気加熱処理したところ、この導体パターン1のアスペクト比(導体厚さ/導体幅)は0.79となり、かつ幅は20.1μmとなった。また表面抵抗は0.29Ω/□となった。
実施例1と同様にして得られた導体パターン1を図3のように加熱加圧装置12を用いて115℃、2.54kgf/cm2(249kPa)、50分の条件で加熱加圧したところ、この導体パターン1のアスペクト比(導体厚さ/導体幅)は0.07となり、かつ幅は22μmとなった。また表面抵抗は0.23Ω/□となった。
実施例1と同様にして得られた導体パターン1を図2のように水蒸気加熱加圧装置16を用いて115℃、湿度90%、2.54kgf/cm2(249kPa)、50分の条件で加圧しながら水蒸気7により加熱処理したところ、この導体パターン1のアスペクト比(導体厚さ/導体幅)は0.06となり、かつ幅は23μmとなった。また表面抵抗は0.19Ω/□となった。
実施例1と同様の基材2及び感光性材料を用いた。
2 基材
3 レジスト層
4 溝
5 導電性ペースト
6 スキージ
7 水蒸気
8 導体パターン形成基材
Claims (4)
- 基材の表面にレジスト層を形成する工程、前記レジスト層に前記基材が底面に露出する溝を所定パターン形状に形成する工程、導電性微粒子及びバインダー樹脂成分を含む導電性ペーストを前記レジスト層の表面に供給し、スキージを用いて前記導電性ペーストを前記溝に充填すると共に余分な導電性ペーストを前記レジスト層の表面から掻き取って除去する工程、前記レジスト層を除去する工程、前記基材の表面に所定パターン形状に設けられた導電性ペーストを加圧しながら水蒸気により加熱処理する工程をこの順で経ることを特徴とする導体パターンの形成方法。
- 請求項1に記載の方法を使用して形成されていることを特徴とする導体パターン。
- アスペクト比(導体厚さ/導体幅)が0.6以上であることを特徴とする請求項2に記載の導体パターン。
- 請求項2又は3に記載の導体パターンが基材の表面に形成されていることを特徴とする導体パターン形成基材。
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