JP5554173B2 - 熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の内装材や家電部品などに使用される熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材に関し、特に、そのトップコート層が、耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性、耐熱性に優れ、より好ましくは、そのトップコート層が均一な艶消し皮膜を形成している熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材に関する。
近年におけるゴミ問題および環境問題の深刻化に鑑み、車両内装材(インストルメントパネル、ドアトリムなど)や家電部品においては、使用後における廃材をできるだけ低減するため、その構成部材に対し、リサイクル化が強く要望されている。この観点から、上記部材の形成材料には、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂(以下、PP樹脂と略す)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、TPO樹脂と略す)などが使用されている。しかしながら、これら熱可塑性ポリオレフィン樹脂は、表面の、接着性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性が従来使用されていた塩化ビニル樹脂などに比べて劣るという問題があり、これらの問題を改善するために、表面に機能性を付与する必要があった。また、高級感を与える意匠性を実現するために、或いは、自動車内装材においては運転者への防眩性の配慮などを考慮して、熱可塑性ポリオレフィン基材に種々の塗装を施すことが行われている。
従来、これらの塗装に使用される塗料には、PP樹脂、TPO樹脂などのポリオレフィン系樹脂基材に対して接着性のよい、塩素化ポリプロピレン樹脂を用いる方法が提案されてきた。具体的には、例えば、塩素化ポリプロピレン変性アクリル樹脂をバインダー樹脂とし、これに無機系体質顔料(シリカ、タルク)、アクリル樹脂粒子などの艶消し剤を配合した塗料を用いることや、塩素化ポリプロピレン系プライマーを塗布し、その上にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を塗布することで、ポリオレフィン系樹脂基材表面に機能性を付与する方法が提案されてきた。
さらに、上記に加えて、最近では、環境問題の高まりから、環境対策に積極的に取り組むメーカーが多くなり、環境保全性に優れた材料を用いて製品を構成する動きがある。例えば、前記塗料に使用する有機溶剤から特定の溶剤(トルエンなど)を選択しない検討や、有機溶剤の代わりに水系樹脂を使用してVOC(揮発性有機化合物)排出量をできるだけ抑制する検討なども盛んに行われている(特許文献1〜3参照)。しかし、現在の地球規模での環境保全性には、まだ不十分である。
また、新たな環境問題として、近年、増加の一途をたどる二酸化炭素に起因すると考えられる地球の温暖化現象は、世界的な問題となっており、二酸化炭素の排出量低減は、全世界的に重要な技術課題である。さらに、枯渇性石化資源(石油)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への転換が世界的潮流となっている。これに対し、非特許文献1、2に見られるように、二酸化炭素を原料とするポリヒドロキシポリウレタン樹脂が以前から知られている。しかし、その特性は十分なものとは言い難く、応用展開は進んでいないのが実情である。
特開2006−307015公報 特開2004−51901公報 特開2006−176615広報
N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198 N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polmer Chem.,1993,31(11),2765
このような状況下、車両内装材や家電部品に使用される熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材に関し、より一層の表面の耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性および耐熱性に優れ、さらには均一な艶消し効果にも優れると共に、地球規模での環境保全性を持った環境対応製品の開発が要望されている。ここで、熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材とは、熱可塑性ポリオレフィン樹脂製のシート基材の表面に、表面の機能性を付与する目的で、直接またはプライマー層を介してトップコート層が形成されてなるものを意味する。
従って本発明の目的は、その表面が、耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性および耐熱性に優れ、さらに好ましくは均一な艶消し効果にも優れると共に、地球環境の観点からも、二酸化炭素を取り入れた材料の使用を可能とする、地球温暖化ガスの削減にも寄与し得る、環境対応製品となり得る熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接またはプライマー層を介して形成されてなるトップコート層とを有してなり、かつ、該トップコート層が、分子中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなる樹脂組成物によって形成されたものであることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を提供する。
本発明の好ましい実施形態としては、下記のものが挙げられる。前記マスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であり、熱処理することによってマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応して自己架橋するものであること;前記自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリヒドロキシポリウレタン樹脂を変性剤によって変性してなるものであること;該5員環環状カーボネート化合物が、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られること;前記自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その構造中に、前記反応させた原料に由来する二酸化炭素を1〜25質量%取り入れてなること;前記トップコート層を形成する樹脂組成物が、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末および無機系微粉末から選ばれる一種または二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合してなること;前記トップコート層を形成する樹脂組成物が、さらに、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂以外のバインダー樹脂を含んでなることが挙げられる。
本発明によれば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を構成するトップコート層に、少なくとも、分子中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることによって、その表面が、耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性および耐熱性に優れ、さらに好ましくは均一な艶消し効果にも優れると共に、地球環境の観点からも、二酸化炭素を取り入れた材料の使用を可能とする、地球温暖化ガスの削減にも寄与し得る、環境対応製品となり得る熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材が提供される。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接またはプライマー層を介して形成されてなるトップコート層を有し、かつ、該トップコート層が、分子中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなる樹脂組成物によって形成されたものであることを特徴とする。より具体的には、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート上に、上記特定の構成からなる樹脂組成物を直接塗布してトップコート層を形成し、或いは、上記樹脂シート上にプライマー層を形成し、該プライマー層上に上記特定の構成からなる樹脂組成物を塗布してトップコート層を形成して構成される。そして、該トップコート層を、分子中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなる樹脂組成物によって形成してなることを特徴とする。
本発明を特徴づける変性した自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、例えば、少なくとも1個の遊離のイソシアネート基と、マスキングされたイソシアネート基とを有する変性剤を用い、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と反応させることで得ることができる。さらに、このポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応から誘導された樹脂であることが好ましい。該5員環環状カーボネート化合物は、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られるため、環境保全性にも資する材料となる。以下に、各成分について説明する。
[自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂]
(変性剤)
本発明で用いる自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造において使用する変性剤の構成成分について説明する。該変性剤としては、有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物が用いられる。この際に使用する有機ポリイソシアネート化合物は、脂肪族或いは芳香族化合物中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物であり、従来からポリウレタン樹脂の合成原料として広く使用されている。これらの公知の有機ポリイソシアネート化合物はいずれも本発明において有用である。特に好ましい有機ポリイソシアネート化合物を挙げれば、以下の通りである。
例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。さらに、これらの有機ポリイソシアネート化合物と他の化合物との付加体、例えば、下記構造式のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 0005554173
本発明で使用する変性剤は、上記した有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物であるが、マスキング剤としては、下記のものが使用できる。アルコール系、フェノール系、活性メチレン系、酸アミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、ピリジン系化合物などがあり、これらを単独あるいは混合して使用してもよい。具体的なマスキング剤としては下記の通りである。
アルコール系として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、シクロヘキサノールなど、フェノール系として、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ノニルフェノールなど、活性メチレン系として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなど、酸アミド系として、アセトアニリド、酢酸アミド、カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなど、イミダゾール系として、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなど、尿素系として、尿素、チオ尿素、エチレン尿素など、オキシム系として、ホルムアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなど、ピリジン系として、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンなどが挙げられる。
<変性剤の合成方法>
上記に列挙した有機ポリイソシアネート化合物と上記に列挙したマスキング剤とを反応させて、本発明で好適に用いる、少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有し、他はマスキングされたイソシアネート基を有する変性剤を合成する。合成方法は特に限定されないが、上記の如きマスキング剤と上記有機ポリイソシアネート化合物とを、1分子中でイソシアネート基が1個以上過剰になる官能基比で、有機溶媒および触媒の存在下または不存在下で、0〜150℃、好ましくは20〜80℃の温度で30分〜3時間反応させることによって容易に得ることができる。
(ポリヒドロキシポリウレタン樹脂)
本発明で用いる上記したような特定の変性剤によって変性されてなる自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、例えば、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応によって得られるポリヒドロキシポリウレタン樹脂から誘導される。以下に、この際に用いる各成分について説明する。
<5員環環状カーボネート化合物>
上記5員環環状カーボネート化合物は、下記[式−A]で示されるように、エポキシ化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。さらに詳しくは、エポキシ化合物を、有機溶媒の存在下または不存在下、および触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で、常圧または僅かに高められた圧力下、10〜20時間二酸化炭素と反応させることによって得られる。
Figure 0005554173
上記で使用し得る、エポキシ化合物としては、例えば、次の如き化合物が挙げられる。
Figure 0005554173
Figure 0005554173
Figure 0005554173
Figure 0005554173
以上列記したエポキシ化合物は、本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂を得るために使用できる好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他、現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
<触媒及び反応>
上記したようなエポキシ化合物と、二酸化炭素の反応において使用される触媒としては、下記に挙げるような塩基触媒およびルイス酸触媒が使用できる。
塩基触媒として、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、などの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オクトエートなどの錫化合物が挙げられる。
上記触媒の量は、エポキシ化合物50質量部当たり、0.1〜100質量部、好ましくは0.3〜20質量部とすればよい。上記使用量が0.1質量部未満では、触媒としての効果が小さく、100質量部を超えると最終樹脂の諸性能を低下させる。しかし、残留触媒が重大な性能低下を引き起こすような場合は、純水で洗浄して除去してもよい。
エポキシ化合物と二酸化炭素の反応において、使用できる有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、これら有機溶剤と他の貧溶剤、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノンなどの混合系で使用してもよい。
本発明で用いるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、下記[式−B]で示されるように、上記のようにして得られた5員環環状カーボネート化合物と、アミン化合物とを、有機溶媒の存在下、20℃〜150℃の温度下で反応させることで得ることができる。
Figure 0005554173
<アミン化合物>
本発明で使用するアミン化合物としては、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用でき特に限定されないが、下記に挙げるようなジアミンが好ましい例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4’−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。
以上列記したアミン化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
<物性>
また、本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算値)が、2,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜70,000である。さらに、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基価は20〜300mgKOH/gであることが好ましい。水酸基含有量が上記範囲未満であると、二酸化炭素削減効果が不足であり、一方、上記範囲を超えると、高分子化合物としての諸物性不足となる。
(自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂への変性)
本発明を構成する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、それぞれ上述のようにして得られるポリヒドロキシポリウレタン樹脂と変性剤とによって得られる。具体的には、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と、変性剤中の少なくとも一個の遊離したイソシアネート基とが反応することによって、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が自己架橋型に変性されたものを用いる。
本発明を構成する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の変性剤による変性率は、2〜60%であることが好ましく、さらには、5〜40%であることがより好ましい。この変性率の割合により熱処理後の耐磨耗性、耐薬品性、耐熱性などの性能をある程度制御できる。変性率が2%未満であると、十分な架橋によって得られる、表皮材として必要な耐熱性、耐薬品性などが十分に得られないおそれがあるので、好ましくない。一方で、変性率が60%を超えると、過架橋により本発明の表皮材として好適な折り曲げ白化性が損なわれるとともに、解離したイソシアネート基が樹脂中に反応せずに残存する可能性が増し好ましくない。尚、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基の変性剤による変性率は下記のようにして算出する。
変性率(%)={1−(変性後の樹脂の水酸基÷変性前の樹脂の水酸基)}×100
変性剤とポリヒドロキシポリウレタン樹脂との反応は、有機溶剤および触媒の存在下または不存在下で、0〜150℃、好ましくは20〜80℃の温度で30分〜3時間反応させることによって容易に得ることができる。但し、反応時にはマスキング剤の解離温度より低い温度で反応させる点に注意し、変性された自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、マスキングされたイソシアネート基を有するものとなるようにする。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、上述のようにして得られた自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある。)を、後述する熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート上に、直接またはプライマー層を介して、トップコート層として塗布することによって得ることができる。
[その他の成分]
(艶消剤)
本発明においては、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂以外に、艶消剤を含む樹脂組成物を用いてトップコート層を形成することが好ましい。該艶消剤としては、有機系微粉末および/または無機系微粉末を一種または二種以上を組み合わせて使用する。有機系微粉末としては、特に制限されるものではなく、例えば、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル−ポリウレタン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子などが挙げられる。これら粉末の平均粒径は0.1〜10μmの範囲が好ましく、形状としては、形成される塗膜の艶消性が特に優れることから、球状または略球状が実用上好ましい。
また、無機系微粉末としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデン、水酸化マグネシウム、ベントナイト、黒鉛などが挙げられる。これら粉末の平均粒径は10μm以下が本発明の目的に即するが、できるだけ小さいほうが好ましい。
上記に挙げたような艶消剤の添加量は、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対し1〜150質量部、好ましくは3〜60質量部である。1質量部未満では添加効果が充分に得られず、一方、150質量部を超えると塗膜の機械物性が大きく低下するため好ましくない。
(水または有機溶剤)
本発明を構成する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物は、基本的には、前記自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を含んでなる有機溶剤溶液または水分散体(溶液)である。有機溶剤溶液である場合に使用する好ましい有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどが挙げられる。また、有機溶剤中における樹脂の濃度は3〜60質量%であることが好ましい。樹脂濃度が3質量%未満では、成膜性に劣るとともに、皮膜の厚みが不足し、そのため強度不足が生じる。一方、樹脂濃度が60質量%を超えると、乾燥後の皮膜の形成が不完全であるとともに、皮膜中への有機溶剤の残留などの問題が生じる恐れがある。
本発明を構成する自己架橋型ポリヒドロキシウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物を水分散体(溶液)とする場合には、以下のようにして調製することが好ましい。まず、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基またはNH基を、酸無水物で半エステル化または半アミド化することにより樹脂中にカルボキシル基を導入する。その後、該カルボキシル基をアンモニア、有機アミン化合物、無機塩基などで中和し、カルボン酸塩を形成して自己乳化型の水分散体として使用することが好ましい。
上記において使用する酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、有機アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミンなどが挙げられる。また、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、常法に従って界面活性剤により水中に乳化させた水分散体であってもよい。
また、本発明を構成する、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなる樹脂組成物には、上述した艶消剤以外にも、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートに対するスプレー適正およびコーティング適正、成膜性の向上のために、従来公知の各種バインダー樹脂を混合して使用することができる。この際、使用するバインダー樹脂としては、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中のマスキング剤が解離して生成するポリイソシアネート基と化学的に反応し得るものが好ましいが、反応性を有していないものでも本発明に使用することができる。
これらのバインダー樹脂としては、熱可塑性ポリオレフィン樹脂の表皮用に従来から用いられているバインダー樹脂が使用でき、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、アルキッド樹脂、変性セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などを使用することができる。これらのバインター樹脂を併用する場合、その使用量は、機能性との兼ね合いで決定すればよいが、5〜90質量%の範囲で使用することができる。自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂以外のバインダー樹脂を90質量%使用したとしても、十分に環境対応製品といえるものが得られる。しかし、製品をより環境保全性にも資する環境対応製品とするためには、前記した二酸化炭素を原料として用いた、その構造中に二酸化炭素を固定してなる自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂をより多く使用してなる製品とすることが好ましい。
また、本発明を構成する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物には、必要に応じて、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、分散剤、沈降防止剤などの各種塗料用添加剤を配合してもよい。
[熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート]
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート上に、上記した樹脂組成物を直接またはプライマー層を介して塗布したトップコート層を有してなる。上記熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートとしては、低密度〜高密度ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPEなど)、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン、およびエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EDPM)などの熱可塑性ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂シートが挙げられる。優れた機械的強度とともに良好な柔軟性および弾性を有するために、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
また、上記に挙げたような材料からなる熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートは、表面が不活性で、その表面への塗装物との接着性に劣ることが多いため、コロナ放電処理などにより表面を物理的に、或いは化学的に活性化したものを本発明に使用するとよい。そして、このように処理したシート上に、先に説明した樹脂組成物を直接塗布するか、またはプライマー層を塗布した後に、上記樹脂組成物を塗布することによって、トップコート層を設けることが好ましい。該プライマー層を形成する材料としては、塩素化ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂とポリイソシアネート化合物或いはポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物などを用いることができる。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、先に説明した本発明を特徴づける自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂、必要に応じて艶消剤を添加してなる樹脂組成物を用い、下記のようにして得ることができる。まず、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート上に、直接、または該シート上に上記した化合物等によってプライマー層を形成した後、刷毛塗り、スプレー、ロールコート、グラビア、浸漬などの公知の塗布方法で上記樹脂組成物を塗布する。この際、乾燥後の厚みが3〜20μm程度になるように塗布し、乾燥後、80〜170℃の温度で加熱処理することで、良好な表面特性を有するトップコート層が形成される。すなわち、加熱処理することにより、樹脂組成物中の自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂のマスキング剤が解離し、生成したイソシアネート基がポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の遊離水酸基と反応して自己架橋皮膜(トップコート層)が形成される。このようにして得られる本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、真空成形によって所定の形状に加工されて、種々の製品或いは部品になる。
以上のようにして得られる本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることで、そのトップコート層を自己架橋皮膜としているため、その表面特性が、耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性及び耐熱性に優れ、しかも好ましい形態によれば、均一な艶消し効果に優れた性能のものになる。
また、本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、これを用いることは、温暖化ガス削減の観点からも有用である。すなわち、本発明で使用するポリヒドロキシポリウレタン樹脂の合成において使用する5員環環状カーボネート化合物は、その合成原料に二酸化炭素を用いることができるので、上記樹脂中に二酸化炭素を取り入れることができる。このため、本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、従来品では到達できなかった環境対応製品の提供を可能とする。
次に、具体的な製造例、重合例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の各例における「部」および「%」は特に断りのない限り質量基準である。
[製造例1(変性剤の製造)]
トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートHL、NCO=12.9%、固形分75%)100部、酢酸エチル24.5部を100℃で良く攪拌しながら、ε−カプロラクタム25.5部を添加し5時間反応させた。
得られた変性剤の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720)によれば、2270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.1%であるのに対し実測値は1.8%であった。
上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
Figure 0005554173
[製造例2(変性剤の製造)]
ヘキサメチレンジイソシアネートと水の付加体(旭化成社製、ジュラネート24A−100、NCO=23.0%)100部、酢酸エチルを80℃で良く攪拌しながら、メチルエチルケトオキシム32部を添加し5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトルによれば、2270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.9%であるのに対し実測値は2.6%であった。
上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
Figure 0005554173
[製造例3(変性剤の製造)]
トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL、NCO=12.5%、固形分75%)100部、酢酸エチル67.3部を80℃で良く攪拌しながらメチルエチルケトオキシム17.3部を添加し5時間反応させた。
得られた変性剤の赤外吸収スペクトルによれば、2270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.3%であるのに対し実測値は2.0%であった。
上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
Figure 0005554173
[製造例4(5員環環状カーボネート化合物の製造)]
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828;エポキシ当量187g/mol)100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.5部を加え均一に溶解させた後、炭酸ガスを0.5リッター/分の速度でバブリングしながら80℃で30時間加熱攪拌させた。
反応終了後、得られた溶液を300部のn−ヘキサン中に300rpmで高速攪拌しながら徐々に添加し、生成した粉末状生成物をフィルターでろ過、更にメタノールで洗浄し、N−メチルピロリドンおよびヨウ化ナトリウムを除去した。粉末を乾燥機中で乾燥し、白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−A)118部(収率95%)を得た。
Figure 0005554173
得られた生成物の赤外吸収スペクトルは、910cm-1付近のエポキシ基由来のピークが生成物ではほぼ消滅し、1800cm-1付近に原料には存在しない環状カーボネート基のカルボニル基の吸収が確認された。また、生成物の数平均分子量は414(ポリスチレン換算、東ソー;GPC−8220)であった。得られた5員環環状カーボネート化合物(1−A)中には、19%の二酸化炭素が固定化されている。
[製造例5(5員環環状カーボネート化合物の製造)]
製造例4で用いたAの2価エポキシ化合物の代わりに、下記式B(東都化成(株)製、YDF−170;エポキシ当量172g/mol)を使い製造例4と同様に反応させ白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−B)121部(収率96%)を得た。生成物は赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネート化合物(1−B)中には、20.3%の二酸化炭素が固定化されている。
Figure 0005554173
[重合例1(自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)]
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに製造例4で得られた5員環環状カーボネート化合物(1−A)100部を固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンを加え均一に溶解した。次にヘキサメチレンジアミン27.1部を加え、90℃の温度で10時間攪拌し、ヘキサメチレンジアミンが確認できなくなるまで反応させた。次に製造例1の変性剤20部(固形分50%)を添加し、90℃で3時間反応させた。赤外吸収スペクトルによるイソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
[重合例2〜4(自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)]
以下、重合例1と同様に5員環環状カーボネート化合物、ポリアミン化合物、変性剤を組み合わせて表1に記載の自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
[比較重合例1(ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)]
重合例1において、変性剤を用いない以外は、同様にして、変性していないポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
Figure 0005554173
[比較重合例2(ポリエステルウレタン樹脂)]
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と1,4−ブタンジオール15部とを200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解し、60℃でよく攪拌しながら62部の水添加MDIを171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。この溶液から得られたフィルムは破断強度45MPaで破断伸度480%を有し、熱軟化温度は110℃であった。
[比較重合例3(ポリカーボネートポリウレタン樹脂)]
比較重合例1と同様に、平均分子量約2,000のポリカーボネートジオール(宇部興産(株)製)150部と1,4−ブタンジオール15部とを200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解し、60℃でよく攪拌しながら62部の水添加MDIを171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で1.6MPa・s(25℃)の粘度を有し、この溶液から得られたフィルムは破断強度21MPaで破断伸度250%を有し、熱軟化温度は135℃であった。
[実施例1〜6、比較例1〜4]
重合例1〜4、比較重合例1〜3で得た各樹脂溶液を使用し、表2、3に記載の配合からなるトップコート層形成用塗料をそれぞれ作製した。そして、下記の方法で表面にトップコート層を有する評価用シートを形成し、これを用いて、その成形性、グロス値、接着性、耐擦傷性、耐油性、耐薬品性、耐表面摩耗性、環境対応性について、下記の方法でそれぞれ評価した。
<トップコート層の形成方法>
コロナ放電処理をして、濡れ指数45dyn/cmに表面を活性化した熱可塑性ポリオレフィンの基材シートを用いた。該基材シートに、塩素化ポリプロピレン(スーパークロン;日本製紙(株)製)を、120メッシュのグラビアロールにて、乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥して、プライマー層を形成した。この塗膜の上に、表2に記載のトップコート層形成用塗料を120メッシュのグラビアロールにて乾燥後の厚みが5μmになるように塗布した。その後、150℃で3分間乾燥し、80℃で24時間熟成後、表面温度160℃の凸引型真空成形機で成型して、トップコート層が表面に形成されてなる成形品を得た。得られた成形品を用いて、下記の評価を行った。
<評価>
(成形性)
真空成形後のシート表面を目視で観察し、評価した。
○;良好(成型割れや白化現象なし)
×;不良(成型割れまたは白化現象のどちらかが認められる)
(グロス値)
真空成形後のシート表面を、JIS K5600に準じたグロスメーターにて測定し、グロス値が1.2以下(業界の求める基準値)のものを合格とした。
(接着性)
真空成形後の表皮塗膜面の碁盤目セロハンテープ剥離試験を行って評価した。
○;良好(塗布面に剥離部分がない)
×;不良(塗布面に剥離部位がある)
(耐擦傷性)
真空成形後の表皮塗膜面を爪でこすり、傷跡や白化が生じないかを目視判定で評価した。
○;良好(塗布面の爪傷・白化を判別し難い)
×;不良(塗布面の爪傷・白化跡が明瞭に判別できる)
(耐油性)
表皮塗膜面に牛油(ナカライテク(株))を2cm半径に塗布し、80℃雰囲気で5日間放置した後に、牛油を除去し、塗布面の碁盤目セロハンテープ剥離試験を行って評価した。
(耐薬品性)
表皮塗膜面にエタノールをそれぞれ滴下し、常に濡れている状態を保つため溶剤を追加滴下し、1時間後に拭き取った。
○;塗布面に滴下痕が全く見られない
△;僅かに滴下痕が認められるが目立たない
×;滴下痕が明らかに認められる
(耐表面磨耗性)
平面磨耗試験機を用い、6号帆布を荷重1kgfで擦り、傷が発生するまでの回数を測定した。
○;5000回以上
△;2000回以上〜5000回未満
×;2000回未満
(環境対応性)
二酸化炭素の固定化の有無で○×判断した。
Figure 0005554173
Figure 0005554173
本発明によれば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートのトップコート層が、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物を用いて成形されたものであるため、該トップコート層は、上記樹脂中のマスキングされたイソシアネート基が、熱により解離し、解離したイソシアネート基とポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の遊離水酸基が反応して自己架橋皮膜として形成されるため、耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性及び耐熱性に優れ、さらには均一な艶消し効果に優れた性能のものとなる。
また、温暖化ガス削減の観点からも、二酸化炭素を樹脂中に取り入れることができるため、従来品では到達できなかった環境対応の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材の提供が可能になる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接またはプライマー層を介して形成されてなるトップコート層とを有してなり、かつ、該トップコート層が、分子中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなる樹脂組成物によって形成されたものであることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  2. 前記マスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であり、熱処理することによってマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応して自己架橋するものである請求項1に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  3. 前記自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリヒドロキシポリウレタン樹脂を変性剤によって変性してなるものである請求項1または2に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  4. 前記5員環環状カーボネート化合物が、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られる請求項3に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  5. 前記自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その構造中に、前記反応させた原料に起因する二酸化炭素を1〜25質量%取り入れてなる請求項4に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  6. 前記トップコート層を形成する樹脂組成物が、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末および無機系微粉末から選ばれる一種または二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  7. 前記トップコート層を形成する樹脂組成物が、さらに、自己架橋型ポリヒドロキシポリウレタン樹脂以外のバインダー樹脂を含んでなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
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