JP5553201B2 - セサミンとセサモリンの製造方法 - Google Patents
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Description
本明細書で使用する用語「収率」は、産物重量と原料重量との%比率を意味する。
本明細書で使用する用語「含量」は、産物中の各成分の重量と産物重量との%比率を意味する。
本明細書で使用する用語「回収率」は、産物中に回収されたセサミン及び/又はセサモリンの重量と原料中に含有されるセサミン及び/又はセサモリンの重量との%比率を意味する。
本発明によるセサミンとセサモリンの製造方法は、操作が簡便で、且つ、純化効果が優れているだけではなく、回収率が高いという特徴も有するので、関連業界にとっては、実用上極めて有用である。
以下、本発明の特定した具体的な実施例について更に詳細に説明するが、当業者は、本明細書に記載の内容より、本発明のその他の特徴と効果とを理解できるものと確信する。
1.セサミンとセサモリンの検量線の作製
異なる濃度のセサミン(0.2〜2mg/ml)溶液とセサモリン(0.2〜2mg/ml)溶液を調製し、それぞれHPLC(High performance liquid chromatographyの略称)により分析し、得られた吸収ピーク面積と対応する濃度について標準曲線方程式を求めた。
1gのゴマ油又は0.01gの産物試料を精確に秤量し、酢酸エチル(EtOAcとも略称)に溶解し、10mlの定量液を調製した。均一に混合した後、その中から1mlを取り出してミクロ遠心管(Eppendorf)に移し、遠心分離処理した後、HPLCを用いて分析し、前記の標準曲線方程式により、それぞれの化合物含量を求めた。
カラム:Waters PolarityTM dC18 (5 μm,250 × 4.6 mm)
移動相:70% メタノール
流速:1.0 ml/min
試料注入量:20 μL
検出器:290 nm (スペクトロ モニター(登録商標)3200)
50gのゴマ油(セサミン含量0.65%;セサモリン含量0.31%)を計り取り、50mlのn-ヘキサンを加えて均一に混合した。この均一な混合溶液をシリカゲル(10g,70〜230メッシュ)を充填したカラム(22mm x 55mm)に通し、n−ヘキサンを用いてカラム内に残留する油脂を溶出した。通過した液と溶出液とを共に集めて、減圧下でn−ヘキサンを蒸発させた後、HPLCにより分析した。この分析結果から、該油脂中には、セサミンとセサモリンが検出されず、即ち、セサミンとセサモリンは完全にシリカゲルに吸着され、n-ヘキサンを用いても溶出できなかったことが明らかとなった。次に、酢酸エチルを用いてカラムに吸着されたものを溶出し、溶出液が無色になる迄溶出を続けた。減圧下で溶出液から溶剤を除去し、残留物を計量したところ、収率は4.9%であった。残留物を酢酸エチルに溶かした後、適当な濃度に希釈してHPLCにより分析した結果、セサミンとセサモリンの回収率の合計は97.9%であり、その結果を下記の表1に示した。
溶出に用いた溶剤の酢酸エチルをそれぞれアセトン、メタノール、エタノール又はn-ヘキサンと酢酸エチルとの混合液(1:1)(V/V)に替えた以外は、実施例1と同様の方法を行って、セサミンとセサモリンの回収率の合計を求めた。その結果はそれぞれ95.8%、95.8%、89.6%と95.8%であり、その結果を整理して下記の表1に示した。
n-ヘキサンの替わりに石油エーテルを用いた以外は、すべて実施例1と同様の方法により行った。得られた産物のセサミンとセサモリンの回収率の合計は96.4%であった。
シリカゲル(70〜230メッシュ)100gをn-ヘキサンでバランスし、カラム(4.4 cm x 14cm)に充填した。ゴマ油500gを計り取り、n-ヘキサン500mlを加え、均一に混合させた後カラム内に通した。次に、n-ヘキサンを用い溶出液が無色になる迄溶出を続けた。さらに、酢酸エチルを替わりに用い、溶出液が無色になる迄溶出を続けた。減圧下で溶剤を除去し、油状物を得た。該油状物を一夜静置し、結晶の沈殿物を生成させた。濾過により該沈殿物を収集し、n-ヘキサンにより油脂を洗い除き、粗結晶1.7gを得た。更に、HPLCにより分析した結果、セサミン含量は77.5%、セサモリン含量は16.8%、その含量の合計は94.3%であった。
実施例7にしたがい得られた粗結晶をそれぞれ10g計り取り、50℃で、酢酸エチル、アセトン、メタノール又はエタノールといった異なる溶剤をそれぞれゆっくり加えて、粗結晶が完全に溶解するまで続けた。それぞれの溶液を室温(27℃)に2日間静置して、再結晶化した析出物を得た。この結晶を濾過収集し、減圧下で溶剤を揮発により除去し、白色の結晶を得た。更に、HPLCにより分析した。その結果は、下記の表2に示したように、セサミン含量はすべて92%以上であった。
シリカゲル(70〜230メッシュ)を100g計り取り、n-ヘキサンでバランスしたカラム(4.4 cm x 14cm)内に充填した。ゴマ油を500g計り取り、n-ヘキサンを2000ml加えて均一に混合した後、シリカゲルカラムに通し、続いてn-ヘキサンを用いてシリカゲルに残留した油脂を十分に溶出した。次に、n-ヘキサンと酢酸エチルとの混合液(9:1)(V/V)、酢酸エチル、アセトンを、記載した順序で溶出溶媒として用いて溶出を行った。その内、n-ヘキサンと酢酸エチルとの混合液(9:1)で溶出した際、500ml毎に分けて収集して2つの画分を得た(それぞれ画分-1と画分-2と称した)。次に、1Lの酢酸エチルと1Lのアセトンとをそれぞれ用いて溶出し、各画分を得た。続いて、減圧下で各画分の溶剤を蒸発除去し、その重量を計って収率を求めた。さらに、HPLCにより分析して、各画分のセサミンとセサモリンの収量と回収率を求めた。その内、溶剤を除去した後の画分-1と画分-2の濃縮物を静置し、結晶形成後n-ヘキサンで油脂を洗いさり、主成分のセサモリンの結晶を得た(図1-Aと図1-Bを参照)。溶剤を除去した後の酢酸エチル溶出画分の残留物に約同量の酢酸エチルを加え、混合後一夜静置し、主成分のセサミンの結晶を得た(図1-Cを参照)。なお、アセトン溶出画分の濃縮物量は極めて少なく、収率は僅か0.2%であり、セサミンとセサモリンは検出されなかった。上記の結果を整理して表3に示した。その内、n-ヘキサン-酢酸エチル(9:1)溶出液から高濃度のセサモリンが得られ、その回収率は80.9%に達し、又、酢酸エチルの溶出液から高濃度のセサミンが得られ、その回収率は96.3%であった。その後、これらセサミンとセサモリンの結晶をそれぞれ異なる溶剤(n-ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、メタノール又はエタノール)を用いて再結晶化処理を行い、得られた結晶を図2に示した。この結晶の純度はすべて95%以上であった(表3を参照)。
ゴマを圧さくした後に得られたゴマケーキ500gを粉砕し、次に、4倍量のn-ヘキサンを加え、60℃において2時間加熱かく拌して抽出し、続いて減圧濾過して濾液を集めた。残渣について同様な条件で更に1回抽出し、これら抽出液を合併し、減圧下で溶剤を除去して、油脂43.6gを得た。これをHPLCにより分析したところ、0.48%のセサミンと0.32%のセサモリンを含有することが判った。この油脂40gとn-ヘキサン50mlとを混合し、シリカゲル(10g、70〜230メッシュ)カラム(22mmx55mm)に通し、続いてn-ヘキサンを用いて溶出液が無色になるまで溶出した。シリカゲルカラムを通過した溶液と、n-ヘキサンで溶出した溶出液とを合併し、減圧下で溶剤を除去して、37.8gの油脂を得たが、HPLCで分析したところ、セサミンとセサモリンは検出されなかった。次に、酢酸エチルを用いて溶出液が無色になる迄溶出した。この溶出液を減圧下で溶剤を除去して、1.72gの油状物を得た。HPLCで分析した結果、10.8%のセサミンと7.12%のセサモリンを含有することが明らかとなった。上記の結果よりセサミンとセサモリンの回収率の合計は96.3%であった。
Claims (9)
- セサミンとセサモリンを製造する方法であって、
セサミンとセサモリンを含有する油脂と、C5-8脂肪族炭化水素溶剤との混合溶液をシリカゲルカラムに通し;
C5-8脂肪族炭化水素溶剤を用いてシリカゲルカラムから残余の油脂を溶出し;つづいて、
メタノール、エタノール、アセトン及び酢酸エチルからなる群より選ばれる溶剤を含有する溶剤で、該シリカゲルカラムに吸着されたセサミンとセサモリンを溶出することを特徴するセサミンとセサモリンの製造方法。 - 前記セサミンとセサモリンを含有する油脂がゴマ油であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記セサミンとセサモリンを含有する油脂が、ゴマを圧搾した後のゴマケーキを有機溶剤で抽出した油脂であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記C5-8脂肪族炭化水素溶剤がペンタン、n-ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル及びそれらの混合物からなる群より選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記シリカゲルカラムから溶出したセサミンとセサモリンの溶出液の濃縮物を静置することにより結晶を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記結晶をC5-8脂肪族炭化水素溶剤、メタノール、エタノール、アセトン及び酢酸エチルからなる群より選ばれる有機溶剤に溶解し、静置することにより再結晶化することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
- 請求項5に記載の方法により得られた結晶を、更にC5-8脂肪族炭化水素溶剤、メタノール、エタノール、アセトン及び酢酸エチルからなる群より選ばれる有機溶剤を用いて再結晶化処理することを特徴とするセサミンの製造方法。
- セサミンとセサモリンを含有する油脂と、C5-8脂肪族炭化水素溶剤との混合溶液をシリカゲルカラムに通し;
C5-8脂肪族炭化水素溶剤によりシリカゲルカラムから残余の油脂を溶出し;
つづいて、n-ヘキサンと酢酸エチルとの混合液で該シリカゲルカラムに吸着されたセサモリンを溶出することを特徴とするセサモリンの製造方法。 - セサミンとセサモリンを含有する油脂と、C5-8脂肪族炭化水素溶剤との混合溶液をシリカゲルカラムに通し;
C5-8脂肪族炭化水素溶剤によりシリカゲルカラムから残余の油脂を溶出し;
つづいて、n-ヘキサンと酢酸エチルとの混合液、酢酸エチルの順で該シリカゲルカラムに吸着されたセサミンを溶出することを特徴とするセサミンの製造方法。
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