JP5552975B2 - ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムを有する有機電子デバイス - Google Patents

ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムを有する有機電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリアフィルム及び有機電子デバイスに関し、更に詳しくは、電子デバイス等のパッケージ、または有機EL素子や太陽電池、液晶等のプラスチック基板と言ったディスプレイ材料に用いられるガスバリアフィルム、及びガスバリアフィルムを用いた有機電子デバイスに関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を作製したガスバリアフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
また、包装用途以外にも液晶表示素子、光電変換素子(太陽電池)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)基板等で使用されている。
この様なガスバリアフィルムを作製する方法として、TEOSに代表される有機珪素化合物を用いて減圧下の酸素プラズマで酸化しながら基板上に成膜する化学体積法(プラズマCVD)や半導体レーザーを用いて金属Siを蒸発させ酸素の存在下で基板上に堆積するスパッタ法が知られている。
これらの方法は正確な組成の薄膜を基板上に作製できるためSiOをはじめとする金属酸化物薄膜の作製に好ましく使われてきたが、減圧下での成膜となるため、減圧及び大気開放に時間を要すること、連続生産が難しいこと、設備が大型化することなど著しく生産性が悪いという問題点があった。
かかる問題を解決するため、生産性の向上を目的に、珪素含有化合物を塗布し、その塗膜を改質することで酸化ケイ素薄膜を作製する方法、及び同じCVD法でも大気圧下でプラズマを発生し大気圧下で成膜する試みが行われており、ガスバリアフィルムにおいても検討されている。
一般的に湿式塗布プロセスで作製可能な酸化ケイ素膜としては、アルコキシド化合物を原料として、ゾル−ゲル法と呼ばれる方法で作製する技術が知られている。
このゾル−ゲル法は一般的に高温に加熱する必要があり、更に脱水縮合反応の過程で大きな体積収縮が起こり、膜中に多数の欠陥が生じやすいという問題がある。
これを防ぐために原料溶液に酸化物の作製に直接関与しない有機物などを混合する手法なども見いだされてはいるが、これらの有機物が膜中に残存することによって膜全体のバリア性の低下が懸念されている。
これらのことから、ゾル−ゲル法で作製する酸化膜をそのままフレキシブル電子デバイスの保護膜として用いるのは困難であった。
その他の方法としては原料にシラザン構造(Si−N)を基本構造とするポリシラザン化合物を用いて酸化ケイ素を作製することが提案されており、この場合の反応は脱水縮重合ではなく窒素から酸素への直接的な置換反応であるため、反応前後の質量収率が80%から100%以上と大きく、体積収縮による膜中欠陥が少ない緻密な膜が得られることが知られている。
しかしながら、シラザン化合物の置換反応による酸化ケイ素薄膜の作製には450℃以上の高温が必要であり、プラスチック等のフレキシブル基板に適応することは不可能である。
このような問題の解決の手段として、ポリシラザンの塗膜に真空紫外線照射を施すことにより、シリカ膜の形成時における加熱温度を低下し、また加熱時間を短縮できることが知られて(例えば、特許文献1参照)いる。
しかしながら、シリカ膜を形成するのに要する真空紫外線のエネルギー量が多量に必要であり、しかもJIS K−7129における水蒸気透過率は高々0.01g/m/day未満であり、液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)基板などには、その性能や寿命が低下するという問題があり各種電子デバイスの耐久性を確保できるのに十分なバリア性を得ることが出来なかった。
このようなシリカ膜を形成するのに要する真空紫外線のエネルギー量を下げられる技術としては、ポリシラザン化合物塗布液中に有機または無機の触媒を添加する技術が知られて(例えば、特許文献2参照)いる。
しかしながら、このような触媒は、無機物の場合はシリカ膜中に残存することで、緻密な構造で、高いガスバリア性を有する層を形成することは困難となる。また揮発性の高い有機系の触媒を添加した場合には、塗布、乾燥工程で塗布溶媒と一緒に揮発しやすく、十分な反応促進効果が得られなかった。
また、上述の技術のようにガスバリア性の高いガスバリアフィルムを得るためには、複数のガスバリア層を形成することが有効であるが、一方、真空紫外線を用いたポリシラザンによるシリカ膜の形成は、真空紫外線の波長の短さのゆえ、雰囲気中の酸素を活性化し、ポリシラザン膜の真空紫外線が照射される表面側から反応が進行することが知られて(例えば、非特許文献1参照)いる。
そのため、ポリシラザン膜のエキシマ改質層の内部側に、シリカ膜へ十分改質が進んでいない領域が残留することが本発明者らの検討によって判明した。
このような低改質領域は、長期保存や加熱により改質反応が追加的に進行したり、高温にさらされた場合には、ポリシラザンから分解生成するアンモニアガスなどの揮発性成分が気化することで、ガスバリア層が部分的に破壊されて、ガスバリア性を低下すると考えられている。
特開2009−255040号公報 特表2009−503157号公報
Journal of Ceramic Society of Japan 112[11]599−603(2004)
本発明の目的は、上記問題点を鑑がみ、極めて高いガスバリア性能と高い耐久性を達成できるガスバリア層を有するガスバリアフィルム、該ガスバリアフィルムを用いた有機電子デバイスを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に、少なくとも1層のポリシラザンを含有するガスバリア層を有し、かつ、該ガスバリア層は、それぞれ、100〜200nmの波長成分を含む真空紫外線を照射することにより表面側が改質されている改質部分を有しているガスバリアフィルムであって、少なくとも最上層に該ガスバリア層を有し、更に、該最上層のガスバリア層の改質部分を、前記真空紫外線によって温度80℃の条件下、積算光量3000mJ/cmで追加処理を行った際、該改質部分の膜厚変化が0nm〜10nmであることを特徴とするガスバリアフィルム。
2.前記ガスバリア層は少なくとも1層のポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥することにより形成された層であって、かつ、それぞれの膜厚が30nm以上150nm以下であることを特徴とする前記1記載のガスバリアフィルム。
3.前記改質部分の膜厚が30nm以上60nm以下であることを特徴とする前記1又は2記載のガスバリアフィルム。
4.前記ポリシラザンを含有し、改質部分を有するガスバリア層を少なくとも2〜5層有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のガスバリアフィルム。
5.前記1〜4のいずれか1項記載のいずれかのガスバリアフィルムを有することを特徴とする有機電子デバイス。
本発明によれば、極めて高いガスバリア性能と高い耐久性を達成できるガスバリア層を有するガスバリアフィルム、該ガスバリアフィルムを用いた有機電子デバイスを提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、さらに検討を行った結果、最上層にポリシラザンを含有し真空紫外線照射することにより形成されたガスバリア層中の改質層の真空紫外線の追加処理前後での該層の膜厚変化が0nm〜10nm以下だと長期保存や加熱に対して安定なガスバリアフィルムが得られることを見出した。このような効果が発現される機構としては、その後の(温度、湿度、紫外線)での変動を抑制するため十分に改質が進んでいるためと推定している。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
《ガスバリアフィルム》
本発明のガスバリアフィルムについて説明する。
本発明のガスバリアフィルムは、プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に、少なくとも1層のポリシラザンを含有するガスバリア層を有するガスバリアフィルムにおいて、該ポリシラザンを含有するガスバリア層は、100nm〜200nmの波長成分を有する真空紫外線で改質され、かつ、該ガスバリア層の中で最上層にあるガスバリア層はポリシラザンを含有するガスバリア層であって、更に、温度80℃、積算光量3000mJ/cmでの真空紫外線による追加処理前後での膜厚変化が0nm〜10nmのガスバリアフィルムである。
本発明に係るポリシラザンより形成したシリカ薄膜は、前述のように真空紫外線の波長の短さのゆえ、ポリシラザン膜の紫外線が照射される表面側から反応が進行することから、低改質層をなるべく少なくするため、前記ガスバリア層の膜厚が100nm以下であることが好ましく、特に好ましくは膜厚が60nm以下である。
また、より高いガスバリア性を得るためには前記ポリシラザンを含有する層を改質して形成したガスバリア層を少なくとも2層以上有することが好ましい。
この場合、所望のガスバリア性を損なわない範囲で、ポリシラザン以外の材料、例えば後述の平滑層のような感光性樹脂層からなる中間層があってもよい。
なお、本願において、「ガスバリア性」とは、JIS K 7129B法に準拠した方法で測定された水蒸気透過率(60±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であり、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過率が、1×10−3ml/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである)以下であることをいう。
<水蒸気透過率の測定>
前述のJIS K 7129B法に従った水蒸気透過率の測定には種々の方法が提案されている。例えば、カップ法、乾湿センサー法(Lassy法)、赤外線センサー法(mocon法)が代表として挙げられるが、ガスバリア性が向上するに伴って、これらの方法では測定限界に達してしまう場合がある。水蒸気透過率の測定方法は特に限定するところではないが、本発明に於いてはCa法による評価を行った。水蒸気透過率の測定方法は、測定可能な方法であれば特に限定するところではないが、本発明に於いてはCa法による評価を行った。Ca法とは、ガスバリアフィルムに金属Caを蒸着し、該フィルムを透過した水分で金属Caが腐食される現象を利用する方法である。腐食面積とそこに到達する時間から水蒸気透過率を算出する。他にも、例えば、(株)MORESCOの提案する方法(例えば、平成21年12月8日NewsRelease参照)、A−Star(シンガポール)の提案する方法(例えば、WO05/95924号参照)等により水蒸気透過率を測定することも可能である。
(ガスバリア層)
本発明におけるガスバリア層は、ポリシラザンを含有する塗膜に真空紫外線を照射する方法で改質された改質部分を有する。
(真空紫外線を用いたポリシラザンを含有する塗膜の改質処理)
ガスバリア層は、ポリシラザンを含有する溶液を基材上に塗布した後、ポリシラザンを含む塗膜に真空紫外線を照射する方法で改質処理されて得られる。
真空紫外線としては、100nm〜200nmの真空紫外線が好ましく用いられる。
真空紫外線の照射は、照射される塗膜を担持している基材がダメージを受けない範囲で照射強度および/又は照射時間を設定する。基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、基材表面の強度が10mW/cm〜300mW/cmになるように基材−ランプ間距離を設定し、0.1秒〜10分間、好ましくは0.5秒〜3分の照射を行うことが好ましい。
真空紫外線照射装置は、市販のランプ(例えば、ウシオ電機(株)製)を使用することが可能である。
真空紫外線照射はバッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、被塗布基材の形状によって適宜選定することができる。
例えば、バッチ処理の場合には、ポリシラザン塗膜を表面に有する基材(例、シリコンウェハー)を、真空紫外線発生源を具備した真空紫外線焼成炉で処理することができる。真空紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、ウシオ電機(株)製を使用することができる。また、ポリシラザン塗膜を表面に有する基材が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような真空紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に真空紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。
該真空紫外線はほとんどの物質の原子間結合力より大きいため、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断することが可能であるため好ましく用いる事ができる。
この作用を用いる事により、加水分解を必要とせず低温でかつ効率的に改質処理が可能となる。
真空紫外線光源としては、エキシマ発光を用いる希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
エキシマ発光を得るには誘電体バリア放電を用いる方法が知られている。また、本発明において真空紫外線を照射した側の面を表面側という。
誘電体バリア放電とは両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電で、micro dischargeのストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。
このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため肉眼でも分る光のチラツキを生じる。
また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリア放電以外に無電極電界放電でも可能である。
《真空紫外線の照射強度》
照射強度が高ければ、光子とポリシラザン内の化学結合が衝突する確率が増え、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため改質膜厚の増加および/または膜質の良化(高密度化)が可能である。
但し、照射時間を長くしすぎると平面性の劣化やガスバリア性フィルムの他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間の積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
従って、本発明では真空紫外線照射工程において、基材のダメージ、ランプやランプユニットの部材のダメージを抑制し、改質効率を上昇させ、ガスバリア性能を向上の両方を併せて達成する観点から、少なくとも1回は50mW/cm〜200mW/cmの最大照射強度を与える改質処理を行うことが好ましい。
(真空紫外線の照射時間)
真空紫外線を照射する照射時間は、任意に設定可能であるが、基材ダメージや膜欠陥生成の観点および生産性の観点から、光照射工程での照射時間は0.1秒〜1分間が好ましく、更に好ましくは、0.5秒〜0.5分である。
(真空紫外線照射時の酸素濃度)
真空紫外線を照射する際の、酸素濃度は300ppm〜10000ppm(1%)とすることが好ましく、更に好ましくは、500ppm〜5000ppmである。
前記の酸素濃度の範囲に調整することにより、後述するような酸素過多のガスバリア膜の生成を防止してガスバリア性の劣化を防止することができる。
また、大気との置換時間が不必要に長くなるのを防ぎ、同時に、ロール・トゥ・ロールの様な連続生産を行う場合にウエッブ搬送によって真空紫外線照射庫内に巻き込む空気量(酸素を含む)の増大を防ぎ、酸素濃度の調整不能になることを防ぐことができる。
また、ポリシラザン含有塗膜中には、塗布時に酸素及び微量の水分が混入し、更には塗膜以外の支持体にも吸着酸素や吸着水があり、照射庫内に敢えて酸素を導入しなくとも改質反応に要する酸素を供給する酸素源は十分にあることが分かった。
むしろ、酸素ガスが多く(数%レベル)含まれる雰囲気で真空紫外線を照射した場合、酸素により吸収され、膜面に到達する172nmの光量が減少してしまい、光による処理の効率を低下しやすい。
真空紫外線照射時にこれら酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。
酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
(真空紫外線の照射エネルギー)
真空紫外線)の照射エネルギー(積算光量)が100mJ/cm以上8400mJ/cm以下の範囲であることが、膜厚方向の改質勾配が小さく、高性能で安定なガスバリア層の形成が可能となる。
(真空紫外線照射時の基材温度)
真空紫外線を照射する際の基材温度は、室温から150℃以下の温度で加温することが好ましい。更に好ましくは基材が熱変形し難い、基材のTg(ガラス転移温度)以下の温度で行うことが好ましい。ただし、バックロールやテンタークリップ等で機械的に基材の変形を抑制できる状態であればTg以上の温度にすることも可能である。また、改質処理時の熱による基材変形及び変動のガスバリア性層成膜への影響を極力抑制するために、基材をあらかじめ処理時の温度まで昇温しておき、熱的な平衡状態にしておくことも改質処理時の基材の熱変動を抑制することも有効である。
150℃よりも高い温度にすることも可能であるが、汎用の樹脂基材を用いることができる温度範囲としては150℃以下の温度が好ましい。
(追加処理の条件)
本発明における追加処理は、複数のガスバリア層の最上層の改質部分を真空紫外線によって温度80℃及び積算光量3000mJ/cmで追加処理を行う。照射時間は、任意に設定可能であるが、0.1秒〜1分間が好ましく、更に好ましくは、0.5秒〜0.5分である。また、真空紫外線照射時の酸素濃度は、300ppm〜10000ppm(1%)とすることが好ましく、更に好ましくは、500ppm〜5000ppmである。
照射強度としては、50mW/cm〜200mW/cmの最大照射強度で行うことが好ましい。また、複数のガスバリア層の最上層と光源との距離は、1mm〜5mmであることが好ましい。
なお、例えば積算光量1000mJ/cmを3回に分けて、合計積算光量3000mJ/cmとして追加処理を行うことも可能だが、その場合、3回とも温度は80℃により行う。
(改質部分の膜厚測定方法)
改質部分の膜厚の測定は、任意の方法により可能であるが、例えば断面TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて測定することができる。断面TEMによる観察の場合、観察により得られたTEM写真において、電子線ダメージを受ける部分とそうでない部分にコントラスト差が現れるため、その領域を測定することで算出できる。本発明において、ガスバリア層の最上層の改質部分における膜厚変化は、断面TEMを用いて追加処理前と追加処理後のTEM写真を観察して、改質部分の任意の場所における膜厚変化を測定することで求めることができる。
《ポリシラザンを含有する塗布液による塗布膜》
本発明に係るポリシラザンを含有する塗膜について説明する。
本発明に係るポリシラザンを含有する塗膜は、本発明に係るポリシラザンを含有する塗布液をプラスチックフィルム上に塗布することにより作製される。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚みは、乾燥後の厚みが好ましくは5nm〜1μm程度、さらに好ましくは30nm〜150nm程度となるように設定され得る。
本発明のガスバリアフィルムの製造においては、ポリシラザンを含有する塗布液の塗布乾燥から真空紫外線照射で酸化処理する工程の温度としては特に限定はないが、使用するプラスチックフィルム基材の耐熱性にもよるが、概ね150℃以下であることが好ましい。当該範囲であれば、密着性が向上するためである。
乾燥時間は乾燥温度と塗布膜厚によるが、溶剤が蒸発してケイ素化合物層が形成できればよく、概ね数秒〜数分である。
尚、ポリシラザンを含む溶液を塗布して塗膜を形成する工程〜該塗膜を改質処理する工程については、後に詳細に説明する。
(ポリシラザンを含有する塗膜の低湿化処理)
本発明のガスバリアフィルムの製造おいては、改質処理前に加水分解反応が進行し、膜内に多量のSi−OHを含む塗膜を真空紫外線等で改質処理しても、経時でガスバリア性が劣化することがあるため、真空紫外線照射による改質処理前に、ポリシラザンの加水分解反応を起こさないかポリシラザンを含有する塗膜の低湿化処理することが好ましい。
低湿化処理としては、ポリシラザンを含有する塗膜を一旦、湿度の高い状態に晒してしまうと、その塗膜から脱水するのは困難なこと、更には加水分解反応が進行をはじめてしまうことから、低湿化処理としては、特に、ポリシラザン含有溶液塗布から真空紫外線照射による改質処理までの間を露点10℃(25℃39%RH)以下の雰囲気、更に好ましくは露点8℃(25℃10%RH)以下の雰囲気で保管若しくは取り扱うことが好ましい。
尚、露点温度とは雰囲気中の水分量を表す指標であり水蒸気を含む空気を冷却したとき、凝結が始まる温度をいう。
露点温度計により直接測定を行うか、気温と相対湿度から水蒸気圧を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることにより得ることができる。相対湿度が100%の場合は現在の温度がそのまま露点温度にある。
前記ガスバリア層少なくとも1層の酸化処理雰囲気としては、特に酸素濃度が他のガスバリア層と異なることが好ましく、より好ましくは、後述のようにその酸素濃度が1%以下で処理される。この時ガスバリア層少なくとも1層が0.01%〜1%で処理されれば良い。
さらにガスバリア層の複数積層において、プラスチックフィルムに近い方のガスバリア層の酸化処理の酸素濃度が、遠い方のガスバリア層の酸化処理の酸素濃度より高いことが更に好ましい。
この場合、必ずしもガスバリア層の全層の酸素濃度が異なる必要はなく1層でも異なっていれば良い。また、例えば3層で考えた場合、下層と上層を高酸素濃度で処理して形成する酸化ケイ素の膜を低酸素濃度で処理した中層を挟むことよって、高ガスバリアかつ高耐久性のガスバリア膜を形成することも可能である。
また別の態様としては、前記ガスバリア層の少なくとも1層の酸化処理雰囲気の水蒸気濃度が他のガスバリア層と異なることが好ましく、更に、その雰囲気の水蒸気濃度が1%〜10%相対湿度で処理されることがより好ましい。
さらにガスバリア層の複数積層において、プラスチックフィルムに近い方のガスバリア層の酸化処理雰囲気の水蒸気濃度が、遠い方の層の酸化処理雰囲気の水蒸気濃度より高いことが更に好ましい。
〈ポリシラザン〉
本発明で用いられるポリシラザンとは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si、及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
フィルム基材を損なわないようにするには、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(1)で表されるものを好ましく用いることができる。
Figure 0005552975
式中、R、R、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。パーヒドロポリシラザンは、R、R、Rの全てが水素原子であり、オルガノポリシラザンは、R、R、Rのいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基である。本発明では得られるガスバリア膜としての緻密性から、R、R、Rの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
パーヒドロポリシラザンは直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、液体または固体の物質であり、分子量により異なる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのまま塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、前記のケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)以外に、上記一般式(1)で表されるポリシラザンにグリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等が挙げられ、目的のガスバリア性を損なわない範囲で添加することができる。
ポリシラザンを含有する液体を調製する有機溶媒としては、特にポリシラザンと容易に反応するようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの溶剤は、ポリシラザンやアルコキシシランの溶解度や溶剤の蒸発速度等、目的にあわせて選択し、複数の溶剤を混合してもよい。
ポリシラザンを含有する塗布液中のポリシラザン濃度は、目的とするシリカ膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度である。
本発明においては、オルガノポリシラザンを併用することが好ましい。本発明において好ましく用いられるオルガノポリシラザンは、前記一般式(1)で、R、R、Rのいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基である。R、R、Rとしては、アルキル基、特に最も分子量の小さいメチル基を有することにより下地基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいシリカ膜に靭性を持たせることができ、膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる。
オルガノポリシラザンの市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ MHPS等が挙げられる。
(ポリシラザンを含有する塗布液に含有される反応触媒の濃度)
低温でシリカへの転化を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的なパーヒドロポリシラザンの市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120、NN110、NN120、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明に係るポリシラザンを含有する溶液(塗布液とも云う)中には、必要に応じて、反応触媒が、ポリシラザンの質量に対して5質量%で含有されることが好ましい。
尚、ポリシラザンを含有する溶液(塗布液)の塗布時の調湿度とも密接な関係が有るが、加水分解・脱水縮合を適切に促進するためには、反応触媒の添加量をポリシラザンの質量に対して5質量%以下に含有するように調整することにより、Si−OH基の生成速度の大幅な変化を防ぎ、過剰なSi−OH基により経時変化が大きな膜になることを効果的に防止することができる。
また、真空紫外線照射の様な分子結合を切断するのに十分なエネルギーを与えた場合、特にアミン系触媒は分解、蒸発してしまうことがあり、触媒の分解、蒸発が起こると改質膜内に不純物や空隙が含まれることになり、ガスバリア性は劣化する等の問題点が起こる場合もある。
そのような観点から、本発明では、触媒による過剰なシラノール作製、及び膜密度の低下、膜欠陥の増大を避けるため、ポリシラザンに対する反応触媒の含有量を5質量%以下に調整することが好ましいが、更に好ましくは、Si−OH生成を抑制する観点から、ポリシラザンを含有する塗布液は反応触媒を含有しない(反応触媒を添加しないともいう)ことが好ましい。
ここで、ポリシラザンを含有する塗布液が反応触媒を含有しないとは、塗布液中の反応触媒の含有量が0質量%〜0.0001質量%の範囲の場合を示す。
本発明では、前記膜中で残留したSiOH基の経時による脱水縮合反応による課題に対して、アルコキシシランを併用しても良い。前記SiOHとアルコキシシランが優先的に反応し、ポリシラザン由来のSiOH同士の反応を抑制することが考えられるが、本発明で用いられるアルコキシシランとしては、例えば下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2) (R4−nSi(OR
式中、Rは水素原子、アルキル基またはアシル基を表し、Rは水素原子、アルキル基または芳香族基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができ、アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基等を挙げることができる。メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましく、最も好ましくはエチル基である。nは2〜4が好ましく、3〜4が特に好ましく、4が最も好ましい。従って、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランが特に好ましく、テトラエトキシシランが最も好ましい。nが2及び3の場合は、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜18、好ましくは1〜5のアルキル基等を挙げることができ、芳香族基としてはフェニル基等を挙げることができる。
本発明のアルコキシシランは、塗布組成物の不揮発固形分に対して5〜40質量%含有することが好ましい。より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは15〜25質量%が好ましい。5質量%より少ないと熱、湿度、経時でのガスバリア性の劣化が見られ、シリカへの転化反応を抑制するには不十分なためと推定される。40質量%より多いと熱、湿度、経時でのガスバリア性変化は小さいものの、初期のガスバリア性が不十分であった。
〈プラスチックフィルム〉
次に本発明のガスバリアフィルムで基材として用いられるプラスチックフィルム(樹脂フィルム支持体)について説明する。
基材である樹脂フィルム支持体は、前述のガスバリア層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、さらには前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、無機層、ガスバリア層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。支持体の厚みは5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。
また、本発明に係る樹脂フィルム支持体は透明であることが好ましい。支持体が透明であり、支持体上に形成する層も透明であることにより、透明なガスバリアフィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた樹脂フィルム支持体は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる樹脂フィルム支持体は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の支持体を製造することができる。また、未延伸の支持体を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、支持体の流れ(縦軸)方向、または支持体の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸支持体を製造することができる。この場合の延伸倍率は、支持体の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明においては、ガスバリア層を形成する前に樹脂フィルム支持体をコロナ放電処理してもよい。
さらに、本発明に係る支持体表面には、蒸着膜との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
(平滑層)
本発明において、基材樹脂フィルム上には平滑層が設けられていることが好ましい。
平滑層は、突起等が存在する透明樹脂フィルム支持体の粗面を平坦化し、あるいは、透明樹脂フィルム支持体に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性樹脂を硬化させて形成される。
平滑層の感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂の組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
平滑層の形成方法は特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて平滑層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。この範囲よりも値が小さい場合には、後述のケイ素化合物を塗布する段階で、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合に、塗布性が損なわれる場合がある。また、この範囲よりも大きい場合には、ケイ素化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
(平滑層の添加剤)
好ましい態様のひとつは、前述の感光性樹脂中に表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むものである。ここで光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。また感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。また感光性樹脂としては、このような反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いることによって、防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層を形成し易くなる。尚、このような効果をより得易くする観点からは、さらに平均粒子径として0.001〜0.01μmのものを用いることがより好ましい。本発明に用いられる平滑層中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%以上60%以下含有することが好ましい。20%以上添加することで、ガスバリア層との密着性が向上する。また60%を超えると、フィルムを湾曲させたり、加熱処理を行った場合にクラックが生じたり、ガスバリアフィルムの透明性や屈折率等の光学的物性に影響を及ぼすことがある。
本発明では、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
本発明における平滑層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、平滑層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面にのみ設けた場合における平滑フィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
(ブリードアウト防止層)
ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、フィルム支持体中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染してしまう現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。
ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層に含ませることが可能な、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
ここで多価不飽和有機化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を併せて使用することができる。
ここで無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
またブリードアウト防止層には、ハードコート剤及びマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
また電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマー等の1種または2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に電離放射線(紫外線または電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、マット剤、及び必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、当該塗布液を支持体フィルム表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。尚、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
本発明におけるブリードアウト防止層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、フィルムとしての耐熱性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面に設けた場合におけるガスバリアフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
(封止工程)
本発明の封止方法について、有機電子素子を例に示す。本発明に係る封止工程では、有機電子素子に、本発明のガスバリアフィルムを、有機電子素子とガスバリア層とを接触させて封止する。
(有機電子素子)
本発明に係る有機電子素子は、光を電気に、または電気を光に変換する機能を有する有機機能層および電極を有する素子である。
本発明の有機電子デバイスの製造方法では、上記のように有機電子素子に、ガスバリアフィルムを、有機電子素子とガスバリア層とを接触させて封止して有機電子デバイスを製造する。
有機電子デバイスは、支持体上に上記有機電子素子を有する構成を有するが、本発明に係るガスバリアフィルムは、当該支持体として用いてもよいし、有機電子素子を封止する封止部材として用いてもよい。
ガスバリアフィルムを、支持体として用いた場合の例を以下に示す。
ガスバリアフィルムのガスバリア層上に、例えば、ITO等の透明導電性薄膜を透明電極として設ける。この場合には、ガスバリア層上に下記のように電極を直接設けることで、有機電子素子とガスバリア層とを接触させて封止する、態様となる。
例えば、ガスバリアフィルムの上に設けられたITO透明導電膜を陽極としてこの上に多孔質半導体層を設け、更に金属膜からなる陰極を形成して、有機電子素子である有機光電変換素子を形成し、この上に別の封止材料または当該ガスバリアフィルムと同じ組成の封止材料を重ねて、前記ガスバリアフィルムと周囲を接着、素子を封じ込めることで有機光電変換素子を封止することができ、これにより外気の湿気や酸素等のガスによる素子への影響を封じることができる。
透明導電膜の形成は、真空蒸着法やスパッタリング法等を用いることにより、またインジウム、スズ等の金属アルコキシド等を用いたゾルゲル法等塗布法によっても製造できる。
また、透明導電膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の透明導電膜が好ましい。
次いで、有機電子素子として、太陽電池などに用いられる、有機光電変換素子について説明する。
有機光電変換素子としては特に制限がなく、陽極と陰極と、両者に挟まれた発電層(p型半導体とn型半導体が混合された層、バルクヘテロジャンクション層、i層とも言う)が少なくとも1層以上あり、光を照射すると電流を発生する素子であればよい。
有機光電変換素子の層構成(太陽電池の好ましい層構成も同様である)の好ましい具体例を以下に示す。
有機光電変換素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発電層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発電層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発電層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/p型半導体層/発電層/n型半導体層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/第1発電層/電子輸送層/中間電極/正孔輸送層/第2発電層/電子輸送層/陰極。
ここで、発電層は、正孔を輸送できるp型半導体材料と電子を輸送できるn型半導体材料を含有していることが必要であり、これらは実質2層でヘテロジャンクションを作製していてもよいし、1層の内部で混合された状態となっているバルクヘテロジャンクションを作製してもよいが、バルクヘテロジャンクション構成のほうが光電変換効率が高いため、好ましい。発電層に用いられるp型半導体材料、n型半導体材料については後述する。
有機EL素子同様、発電層を正孔輸送層、電子輸送層で挟み込むことで、正孔および電子の陽極・陰極への取り出し効率を高めることができるため、それらを有する構成((ii)、(iii))の方が好ましい。
また、発電層自体も正孔と電子の整流性(キャリア取り出しの選択性)を高めるため、(iv)のようにp型半導体材料とn型半導体材料単体からなる層で発電層を挟み込むような構成(p−i−n構成とも言う)であってもよい。
また、太陽光の利用効率を高めるため、異なる波長の太陽光をそれぞれの発電層で吸収するような、タンデム構成((v)の構成)であってもよい。
以下に、これらの層を構成する材料について述べる。
(有機光電変換素子の材料)
有機光電変換素子の発電層(光電変換層ともいう)の形成に用いられる材料について説明する。
(p型半導体材料)
有機光電変換素子の発電層(バルクヘテロジャンクション層)として好ましく用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマー・オリゴマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、およびこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また、上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェンおよびそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開第08/000664号パンフレットに記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロールおよびそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレンおよびそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、且つ乾燥後は、結晶性薄膜を作製し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
また、発電層上に電子輸送層を塗布で成膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いてもよい。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号明細書、および特開2008−16834号公報等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって、可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料等を挙げることができる。
(n型半導体材料)
バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物や、そのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
しかし、各種のp型半導体材料と高速(〜50fs)、且つ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
(正孔輸送層・電子ブロック層)
有機光電変換素子は、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層を、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層としては、スタルクヴイテック製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリンおよびそのドープ材料、国際公開第06/19270号パンフレット等に記載のシアン化合物、等を用いることができる。
なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する電子ブロック機能が付与される。
このような正孔輸送層は電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。
また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を作製する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。バルクヘテロジャンクション層を作製する前に、下層に塗布膜を作製すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
(電子輸送層・正孔ブロック層)
有機光電変換素子は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間には電子輸送層を作製することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
また、電子輸送層としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様にバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する正孔ブロック機能が付与される。
このような電子輸送層は正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。
このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、および酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物およびフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。
また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を作製する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
(その他の層)
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層等を挙げることができる。
(電極(第1電極))
有機機能層を挟む電極としては、有機光電変換素子の場合少なくとも一つは透明電極であることが好ましい。
透明電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、好ましくは透明電極を陽極として用いることである。
例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380nm〜800nmの光を透過する電極である。
材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレンおよびポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて透明電極とすることもできる。
(対電極(第2電極))
対電極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。対電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子の取り出し性能および酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
対電極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を作製させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
対電極の導電材として金属材料を用いれば、対電極側に来た光は反射されて第1電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
また、対電極は、金属(例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法により作製でき好ましい。
また、対電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウムおよびアルミニウム合金、銀および銀化合物等の対電極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性対電極とすることができる。
(中間電極)
また、タンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記透明電極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
電極に用いられる材料としては、上記の他に、導電性繊維を用いることができる。
導電性繊維としては、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤー、炭素繊維、カーボンナノチューブ等を用いることができるが、金属ナノワイヤーが好ましい。
金属ナノワイヤーとはnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
金属ナノワイヤーとしては、1つの金属ナノワイヤーで長い導電パスを作製するために、また、適度な光散乱性を発現するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、更には3μm〜500μmが好ましく、特に3μm〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。
また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤーの平均直径として10nm〜300nmが好ましく、30nm〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
金属ナノワイヤーの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)および鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。
また、導電性と安定性(金属ナノワイヤーの硫化や酸化耐性、およびマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤーが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤーの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤー全体が同一の金属組成を有していてもよい。
金属ナノワイヤーの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。
例えば、Agナノワイヤーの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤーの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤーの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤーの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.およびChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤーの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤーを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤーの製造方法として好ましく適用することができる。
金属ナノワイヤーが互いに接触し合うことにより3次元的な導電ネットワークを作製し、高い導電性を発現するとともに、金属ナノワイヤーが存在しない導電ネットワークの窓部を光が透過することが可能となり、更に金属ナノワイヤーの散乱効果によって、有機発電層部からの発電を効率的に行うことが可能となる。第1電極において金属ナノワイヤーを有機発電層部に近い側に設置すれば、この散乱効果がより有効に利用できるのでより好ましい実施形態である。
(光学機能層)
有機光電変換素子は、例えば太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてもよい。光学機能層としては、例えば、反射防止層、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層等を設けてもよい。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また、光拡散層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物等のナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層等を挙げることができる。
(成膜方法・表面処理方法)
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層、および輸送層・電極の作製方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、バルクヘテロジャンクション層の作製方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また、塗布法は製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。更には、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は残留溶媒および水分、ガスの除去、および半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために、加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、バルクヘテロジャンクション層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、バルクヘテロジャンクション層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
発電層(バルクヘテロジャンクション層)は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで作製することが可能となる。
(パターニング)
電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層等は、パターニングして使用されるが、パターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
バルクヘテロジャンクション層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取ってもよいし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしてもよい。
電極材料等の不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行ったり、エッチングまたはリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に作製したパターンを転写することによってパターンを作製してもよい。
以下、有機電子デバイスの一つの形態として、太陽電池の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《ガスバリアフィルム1の作製》
(支持体)
プラスチックフィルム支持体として、両面に易接着加工された125μm厚みのポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4300)を基板として用いた。
ガスバリアフィルムの作製は、上記支持体を20m/分の速度で搬送しながら、以下の形成方法により、片面にブリードアウト防止層、反対面に平滑層を形成した後、粘着性保護フィルムを貼合した、ロール状のガスバリアフィルムを得た。
(ブリードアウト防止層の形成)
上記支持体の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7535を塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用して500mJ/cmで硬化し、ブリードアウト防止層を形成した。
(平滑層の形成)
続けて上記支持体の反対面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用して500mJ/cmで硬化し、平滑層を形成した。
この時の最大断面高さRt(p)は18nmであった。最大断面高さRt(p)は、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さである。
《ガスバリア層の作製》
次に、上記平滑層及びブリードアウト防止層を設けたフィルムの平滑層の上に、下記ポリシラザン塗布液調製し、次いで、脱水ジブチルエーテルによる希釈することにより濃度調整して、23℃50%RH環境下で塗布した後、80℃、1分(工程中の雰囲気を露点温度10℃に調製)乾燥し、乾燥後の膜厚が150nmのポリシラザン層を作製した。
(ポリシラザン塗布液)
アクアミカ NN120−20(パーヒドロポリシラザン、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製、20質量%ジブチルエーテル溶液)
(改質処理A)
前記塗布試料を下記の条件で改質処理を行い、ガスバリア層1層目を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長 172nm、ランプ封入ガス Xe
稼動ステージ上に固定した試料を以下の条件で改質処理を行った。
(改質処理条件)
エキシマ光強度 120mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 3mm
ステージ加熱温度 25℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm(0.1%)
実エキシマ照射時間 5秒
さらにその上に前記ポリシラザン化合物塗布液を脱水ジブチルエーテルによる希釈することにより濃度調整して、23℃50%RH環境下で塗布した後、80℃、1分(工程中の雰囲気を露点温度10℃に調製)乾燥し、乾燥後の膜厚が表1に記載に膜厚になるようにポリシラザン層を作製した。
(改質処理B)
前記塗布2層目を塗布した試料を表1に記載の積算光量とステージ加熱温度(VUV照射時の基板温度)以外は下記条件で改質処理を行い、ガスバリア層2層目を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施しガスバリアフィルム1を得た。
(改質処理装置)
改質処理Aと同一。
(改質処理条件)
エキシマ光強度 120mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 3mm
ステージ加熱温度 表1参照
照射装置内の酸素濃度 1000ppm(0.1%)
ステージ移動速度 10mm/秒の早さで試料を往復搬送
積算光量 ピーク照度を同一条件で搬送しながら172nmに感度を持つ照度計H9535−172(浜松フォトニクス社製)を用いて測定した。それぞれの積算光量は表1に示す。
《ガスバリアフィルム2〜16の作製》
ガスバリアフィルム1の作製において、ポリシラザン化合物層の改質処理条件を表1に記載のように変更した以外は同様にして、本発明のガスバリアフィルム2〜16を各々作製した。
《ガスバリアフィルム、比較1〜3の作製》
ガスバリアフィルム1の作製において、改質処理条件を表1に記載のように変更した以外は同様にして、ガスバリアフィルム、比較1〜3を各々作製した。
《ガスバリアフィルム、比較4の作製》
特開2009−255040号の実施例1記載のようにガスバリア層を2層積層した。
《ガスバリアフィルムの評価》
(最表面ガスバリア層の追加処理)
(処理装置)
株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長 172nm、ランプ封入ガス Xe
稼動ステージ上に固定した試料を以下の条件で追加処理を行った。
(追加条件)
エキシマ光強度 120mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 3mm
ステージ加熱温度 80℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm(0.1%)
ステージ移動速度を10mm/秒の早さで試料を往復搬送し、ピーク照度、積算光量は、同条件で搬送しながら172nmに感度を持つ照度計H9535−172(浜松フォトニクス社製)を用いて測定した値が3000mJ/cmになるように追加処理を行った。
(断面TEM観察)
観察試料を以下のFIB加工装置により薄片作製後、TEM観察を行う。このとき試料に電子線を照射し続けると電子線ダメージを受ける部分とそうでない部分にコントラスト差が現れるため、その領域を測定することで算出できる。改質処理側で密度が高い領域は電子線ダメージを受けにくいが、そうでない部分は電子線ダメージを受け変質が確認される。このようにして確認できた断面TEM観察により、膜厚、改質膜厚の算出が可能になる。
(追加処理前後の改質部分の膜厚変化の算出)
作製した前記ガスバリアフィルムに最表面側から前記追加処理を実施。処理前後での改質膜厚を前記断面TEM観察し、改質部分の膜厚の変化を算出する。
(FIB加工)
装置:SII製SMI2050
加工イオン:(Ga 30kV)
試料厚み:100nm〜200nm
(TEM観察)
装置:日本電子製JEM2000FX(加速電圧:200kV)
電子線照射時間:5秒から60秒
(水蒸気透過率の測定装置)
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
(原材料)
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
(水蒸気バリア性評価用セルの作製)
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のガスバリアフィルム1〜16、比較1〜4の各々蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。
その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算した。
(ランク評価)
5:1×10−4g/m/day未満
4:1×10−4g/m/day以上、1×10−3g/m/day未満
3:1×10−3g/m/day以上、1×10−2g/m/day未満
2:1×10−2g/m/day以上、1×10−1g/m/day未満
1:1×10−1g/m/day以上
ランク評価において、実用的な範囲は、ランク3以上である。
(ガスバリアフィルムの耐熱性試験)
作製直後のガスバリアフィルム1〜16、比較1〜4をそれぞれ、85℃環境で7日間保存後に上記と同様にして水蒸気透過率を測定して、熱による劣化(耐久性)を評価した。
(ガスバリアフィルムの耐久性試験)
作製直後のガスバリアフィルム1〜16、比較1〜4をそれぞれ、半径10mmの曲率になるように、180度の角度で100回屈曲を繰り返した後の、ガスバリア性の劣化(耐久性)を、上記と同様に水蒸気透過率で評価した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0005552975
表1から、ガスバリアフィルム比較1〜4に比べて、本発明のガスバリアフィルム1〜16は、ガスバリアフィルム作製後の水蒸気透過率は優れていることが判った。
実施例2
《有機光電変換素子1〜16、比較の有機光電変換素子1〜4の作製》
実施例1で作製したガスバリアフィルム1〜16、及び、ガスバリアフィルム比較1〜4に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(シート抵抗10Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と湿式エッチングとを用いて2mm幅にパターニングし第1の電極を形成した。パターン形成した第1の電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を膜厚が30nmになるように塗布乾燥した後、150℃で30分間熱処理させ正孔輸送層を製膜した。
これ以降は、基板を窒素チャンバー中に持ち込み、窒素雰囲気下で作製した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を150℃で10分間加熱処理した。次に、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した液を調製し、フィルタでろ過しながら膜厚が100nmになるように塗布を行い、室温で放置して乾燥させた。続けて、150℃で15分間加熱処理を行い、光電変換層を製膜した。
次に、上記一連の機能層を製膜した基板を真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下にまで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度0.01nm/秒でフッ化リチウムを0.6nm積層し、さらに続けて、2mm幅のシャドウマスクを通して、蒸着速度0.2nm/秒でAlメタルを100nm積層することで第2の電極を形成し(受光部が2×2mmに成るように第1の電極パターンと直交させて蒸着)、有機光電変換素子を作製した。
得られた有機光電変換素子を窒素チャンバーに移動し、封止用キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が2×2mmサイズの有機光電変換素子を作製した。
また、屈曲前後のガスバリアフィルムでのOPVの加速試験での光電変換効率の変化を確認するために、上記屈曲の処理を行わなかったガスバリアフィルムについても同様に、有機光電変換素子を作製した。
(有機光電変換素子の封止)
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、基板に用いたものと同じ2枚のガスバリアフィルムのガスバリア層を設けた面を内側にして、シール材としてエポキシ系光硬化型接着剤をガスバリア層に塗布し、上記有機光電変換素子をガスバリアフィルム間に挟み込んで密着させた後、片側の基板側からUV光を照射して硬化させた。こうして、ガスバリアフィルム1〜16、及び、比較のガスバリアフィルム1〜4から、それぞれ両面封止済みの有機光電変換素子1〜16、及び、有機光電変換素子、比較1〜4を作製した。
《有機光電変換素子の評価》
〈耐久性の評価〉
作製した有機光電変換素子について、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、I−V特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)及びフィルファクターFF(%)を、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、下記式に従って求めたエネルギー変換効率PCE(%)の4点平均値を見積もった。
PCE(%)=〔Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF(%)〕/100mW/cm
初期電池特性としての変換効率を測定し、性能の経時的低下の度合いを60℃、90%RH環境で700時間保存した加速試験後の変換効率残存率(加速試験後の変換効率/初期変換効率)により、下記基準で評価した。
5:変換効率残存率が90%以上
4:変換効率残存率が70%以上、90%未満
3:変換効率残存率が50%以上、70%未満
2:変換効率残存率が30%以上、50%未満
1:変換効率残存率が30%未満
評価の結果を表2に示す。
Figure 0005552975
表2から、有機光電変換素子、比較1〜4にくらべて、本発明の有機光電変換素子1〜16は、60℃、90%RHという極めて過酷な環境(高温高湿条件下)においても極めて高い耐久性を示すことが分かった。
実施例3
実施例1で作製したガスバリアフィルム1の1層目と同条件で、1層目と2層目を設け、ガスバリアフィルム1の2層目と同条件で、3層目を塗布した試料を表3に記載の積算光量とステージ加熱温度(真空紫外線照射時の基板温度)以外は下記条件で改質処理を行い、ガスバリア層3層目を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施しガスバリアフィルム17〜19を得た。得られたガスバリアフィルム17〜19は実施例1と同様に評価し、結果を表3に示す。
Figure 0005552975
表3から、本発明の3層構成にしたガスバリアフィルムは、水蒸気透過率が優れている上、屈曲試験も優れていることが判る。
上記作製したガスバリアフィルム17〜19を用いて実施例2と同様にして、有機光電変換素子17〜19を作製し、実施例2と同様に評価し、結果を表4に示す。
Figure 0005552975
本発明の有機光電変換素子17〜19は、60℃、90%RHという極めて過酷な環境(高温高湿条件下)においても極めて高い耐久性を示すことが分かった。

Claims (5)

  1. プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に、少なくとも1層のポリシラザンを含有するガスバリア層を有し、かつ、該ガスバリア層は、それぞれ、100〜200nmの波長成分を含む真空紫外線を、照射エネルギー(積算光量)が100mJ/cm 2 以上6000mJ/cm 2 以下の範囲で照射することにより表面側が改質されている改質部分を有しているガスバリアフィルムであって、少なくとも最上層に該ガスバリア層を有し、更に、該最上層のガスバリア層の改質部分を、前記真空紫外線によって温度80℃の条件下、積算光量3000mJ/cm2で追加処理を行った際、該改質部分の膜厚変化が0nm〜10nmであることを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記ガスバリア層は少なくとも1層のポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥することにより形成された層であって、かつ、それぞれの膜厚が30nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項1記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記改質部分の膜厚が30nm以上60nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記ポリシラザンを含有し、改質部分を有するガスバリア層を少なくとも2〜5層有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリアフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のいずれかのガスバリアフィルムを有することを特徴とする有機電子デバイス。
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