JP5552510B2 - 酸化触媒及び酸化反応生成物の製造方法 - Google Patents

酸化触媒及び酸化反応生成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は不活性なsp3C−H結合を酸化するための酸化触媒及び酸化反応生成物の製造方法に関する。
sp3C−H結合は不活性であり、これを酸化することは一般に困難であるが、生体内では、このような酸化反応が温和な条件で進行している。シトクロム450やメタンモノオキシゲナーゼが関与する生体内の酸化反応はその好例である。
このような生体内でのsp3C−H結合の酸化反応のメカニズムを元に、sp3C−H結合の酸化を触媒する金属錯体触媒の設計が種々試みられている(例えば、特許文献1参照)。
また、本発明者らは、アルカンC−H結合を過酸化水素で選択的に水酸化するための金属錯体触媒として、2−[ビス(ピリジン−2−イルメチル)]アミノ−N−キノリン−8−イル−アセトアミダートの鉄(III)錯体が優れていることについて報告している(非特許文献1参照)。
米国特許出願公開第2009/0221083号明細書
人見穣、外3名、「An Iron(III) Monoamidate Complex Catalyst for Selective Hydroxylation of Alkane C-H Bonds with Hydrogen Peroxide」、Angewandte Chemie International Edition、2012、51(14)、p.3448-3452
しかし、従来の金属錯体触媒では、sp3C−H結合の酸化反応の選択性において、未だ改良の余地があった。
また、選択性のほかに、触媒回転数を向上させることも重要である。
そこで、本発明は、高い選択性及び触媒回転数を可能とする酸化触媒及び酸化反応生成物の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、特定の金属錯体触媒を、カルボン酸の共存下で酸化触媒として用いることとすれば、高い選択性及び触媒回転数が発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる酸化触媒は、下記一般式(1)で表される金属錯体触媒からなることを特徴とする。
また、本発明にかかる酸化反応生成物の製造方法は、sp 3 C−H結合を酸化し得る酸化剤によってsp 3 C−H結合を有する化合物を酸化してsp 3 C−H結合が酸化された酸化反応生成物を製造する方法において、前記酸化を、酸化触媒として下記一般式(1)で表される金属錯体触媒を用い、かつ、カルボン酸の共存下で行うことを特徴とする。
なお、以下では、上記本発明にかかる酸化触媒を用いてカルボン酸の共存下でsp 3 C−H結合を酸化することを、「本発明にかかるsp 3 C−H結合の酸化方法」又は「本発明の酸化方法」と称することがある。
Figure 0005552510
(式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、Mは鉄、マンガン又はコバルトであり、Lは任意の配位子であり、Xは対イオンであり、nは0、1又は2である。)
本発明によれば、sp3C−H結合の酸化を、高い選択性、高い触媒回転数で行うことができる。
以下、本発明にかかるsp3C−H結合の酸化方法の実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔金属錯体触媒〕
本発明の酸化反応で用いる金属錯体触媒は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0005552510
上式(1)中、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
Mは鉄、マンガン又はコバルトであり、好ましくは鉄である。
Lは、四座配位子である複素環化合物の他にMに配位する任意の配位子であり、例えば、アセトニトリル、ヒドロキソ、クロライド、トリフラート、アクアなどが挙げられる。
Xは対イオンであり、好ましくはClO4 -である。
nは0、1又は2である。
〔金属錯体触媒の製造方法〕
上記金属錯体触媒について、好ましい製造方法の一例を挙げるが、本発明で用いる金属錯体触媒は、下記の製造方法で得られるものに限定されるものではない。
例えば、まず、8−アミノキノリンを出発原料として用いて、下記反応(2)、(3)を行う。
Figure 0005552510
Figure 0005552510
ここで、X1、X2はハロゲン原子であり、好ましくはいずれもが臭素原子である。
反応(2)はアミノ基のアミド化反応であり、反応(3)はハロゲン化アルキルによるアミンのN−アルキル化反応である。
また、反応(3)で用いるアミンは、例えば、2−ピコリルアミンのアミノ基を、従来公知の方法によってモノアルキル化すれば、容易に合成することができる。
具体的には、例えば、下記反応(4)、(5)によって合成することができる。
Figure 0005552510
Figure 0005552510
反応(5)において、Rは上記一般式(1)で表される金属錯体触媒におけるRに対応し、また、X3はハロゲン原子であって、通常は臭素又はヨウ素原子である。
次に、以上のようにして得られた複素環化合物を金属に配位させることで、目的の金属錯体触媒が得られる。その方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、溶剤中、錯体を形成し得る条件で上記複素環化合物と所定の金属イオンとを共存させればよく、具体的には、上記複素環化合物を、塩基性化合物とともに溶剤に溶解し、ここに、所定の金属イオン溶液を添加することにより、錯体の微結晶を形成することができる。
ここで、前記溶剤としては、メタノール、アセトニトリルなどの極性有機溶剤が好適である。前記塩基性化合物としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが好適である。
錯体形成後に、メタノールなどの溶剤で洗浄することで高純度の金属錯体触媒を得ることができる。
〔金属錯体触媒によるsp3C−H結合の酸化〕
本発明の酸化方法は、上記金属錯体触媒を酸化触媒として用いて、カルボン酸の共存下でsp3C−H結合を酸化する。
本発明の酸化方法によれば、sp3C−H結合を選択的に酸化することができるが、ここで、選択的とは、具体的には、特定のsp3C−H結合が他のsp3C−H結合に優先して酸化されることを意味する。このとき、複数のsp3C−H結合のうち、いずれのsp3C−H結合が酸化されるかは、通常、各sp3C−H結合における結合解離エネルギーの大きさによって決まる。すなわち、通常、結合解離エネルギーが小さいsp3C−H結合が優先して酸化される。
本発明の酸化方法において、必須に用いられるカルボン酸は、酸化反応の選択性と触媒回転数の向上に貢献するものであり、例えば、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などが好適に用いられ、好ましくは、酢酸である。
酸化反応を行うための酸化剤としては、例えば、過酸化水素、オゾン、m−クロロ過安息香酸(mCPBA)、2−ヨードキシ安息香酸エステル(IBXエステル)、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。副生物が酸素や水などの環境負荷が少ないものである点で、過酸化水素やオゾンが好ましく挙げられる。
また、酸化反応における溶剤としては、例えば、アセトニトリル、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でも、高活性である点でアセトニトリルが好ましい。
本発明の酸化方法は、選択性に優れ、かつ、触媒回転数も十分であるので、少量の添加で効率的かつ経済的に酸化反応を行うことができる。
例えば、酸化条件や原料の種類にもよるが、モル基準で、金属錯体触媒:基質(酸化対象となる物質)=1:200程度とすることができる。
本発明の酸化方法によれば、例えば、アルコールを製造することができる。また、さらに酸化反応を進めてケトンを製造することもできる。
特に、アルコールは、その水酸基を反応基点としてエステルやエーテルなどの誘導体を容易に製造することができ、さらに、ビニル基を有する酸でエステル化するなどすれば、モノマーとしての展開も可能であり、多様な応用展開が期待できる。このように、アルカンからアルコールを直接かつ高選択的に合成することの意義は極めて大きい。
より具体的な例を挙げれば、例えば、アダマンタン誘導体は医薬やフォトレジスト材料などの用途においての有用性が注目されているが、本発明の酸化方法によれば、アダマンタンから、1−アダマンタノールを選択的に高い収率で得ることができ、さらに、その水酸基を反応基点として、様々なアダマンタン誘導体を効率的に製造することができる。
以下、実施例を用いて、本発明の酸化方法について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔合成例1〕
下記反応(6)により、N−((ピリジン−2−イル)メチル)ホルムアミドを合成した。
Figure 0005552510
具体的には、まず、クーゲルローアにて精製した2−ピコリルアミン(4.01g,37.0mmol)を100ml二口ナスフラスコに秤量し、トルエン50mlを加えた。さらにギ酸(3.48g,74.0mmol)を加え、ディンスタック管を取り付けた後に110℃で加熱還流を行った。ディンスタック管にたまった溶液を取り除きトルエンを加えることを数回繰り返した。5時間後、TLC(Al23,酢酸エチル:ヘキサン=10:1)にて反応終了を確認した。濃縮した後、炭酸ナトリウム水溶液とジクロロメタンにより分液操作を行い、有機相を濃縮したところ、茶褐色の油状物質が得られた。
得られた茶褐色の油状物質は、収量3.15g、収率56.7%であり、下記の同定結果からN−((ピリジン−2−イル)メチル)ホルムアミドであることが確認できた。
1H NMR(500MHz,CDCl3,δ):8.54(d,J=4.6Hz,1H),8.33(s,1H),7.68(dt,J=7.7,1.7Hz,1H),7.28(d,J=7.5Hz,1H),7.22(dd,J=7.5,5.2Hz,1H),7.03(br,1H),4.62(d,J=5.2Hz,2H).
13C NMR(125.8MHz,CDCl3,δ):161.5(s),156.2(s),149.0(s),137.0(s),122.5(s),122.1(s),43.1(s).
〔合成例2〕
上記合成例1で得られたN−((ピリジン−2−イル)メチル)ホルムアミドを用いて、下記反応(7)により、N−メチル(ピリジン−2−イル)メタンアミンを合成した。
Figure 0005552510
具体的には、まず、上記合成例1で得られたN−((ピリジン−2−イル)メチル)ホルムアミドを500ml三口ナスフラスコに入れ、さらに、乾燥したテトラヒドロフランを150ml加え窒素置換した。その後、水素化ナトリウム(1.68g,69.6mmol)を加えると、溶液は白色に変化した。1時間半後、ヨードメタン(2.2mL,34.7mmol)をシリンジを用いてゆっくりと加えた。数時間かけて溶液の色は徐々に茶色に変化していった。一晩撹拌後、TLC(Al23,酢酸エチル:ヘキサン=10:1)にて反応終了を確認し、蒸留水40ml、メタノール30mlを加え水酸化ナトリウム4.04gを加え、100℃で一晩加熱還流した。その後、TLC(Al23,酢酸エチル:ヘキサン=10:1)により反応終了を確認した後、濃縮し、塩化ナトリウム水溶液とジクロロメタンにより分液操作を行い、有機相を濃縮したところ、褐色油状物質を得た。
得られた褐色油状物質は、収量2.29g、収率80.8%であり、下記の同定結果からN−メチル(ピリジン−2−イル)メタンアミンであることが確認できた。
1HNMR(500MHz,CDCl3,δ):8.56(d,J=5.2Hz,1H),7.65(dt,J=7.6,1.9Hz,1H),7.31(d,J=7.5Hz,1H),7.16(dd,J=7.7,4.9Hz,1H),3.88(s,1H),2.49(s,1H),1.97(br,1H).
〔合成例3〕
上記合成例2で得られたN−メチル(ピリジン−2−イル)メタンアミンを用いて、下記反応(8)、(9)により、2−(N−メチル−N−((ピリジン−2−イル)メチル)アミノ)−N−(キノリン−8−イル)アセトアミド(以下、単に「H−mpaq」という)を合成した。
Figure 0005552510
Figure 0005552510
<合成例3−1:反応(8)>
具体的には、まず、300ml二口ナスフラスコに、8−アミノキノリン(2.70g、18.7mmol)、炭酸ナトリウム(2.79g、26.2mmol)を加え、窒素置換した後に脱水アセトニトリルを100ml加えた。氷浴した後、ブロモアセチルブロミド(2.0ml,22.5mmol)をゆっくりと加えると、溶液は黄色に変化し、固体が生成した。その後、徐々に赤色に変化した。3時間後、TLC(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)により反応終了を確認し、固体生成物をセライトろ過で取り除き、濃縮したところ、赤色の針状固体を得た。
<合成例3−2:反応(9)>
300ml三口ナスフラスコに炭酸ナトリウム(2.79g,26.2mmol)と上記合成例2で得られたN−メチル(ピリジン−2−イル)メタンアミン(18.7g,2.29mmol)を加え、窒素置換を行った。その後、脱水アセトニトリル100ml加え、氷浴した。ここに、上記合成例3−1で合成した赤色の針状固体4.99gをゆっくり加え、一晩撹拌した。その後、TLC(Al23,酢酸エチル:ヘキサン=10:1)により反応終了を確認した後、固体生成物をセライトろ過で取り除き、濃縮したところ、赤色油状物質を得た。この生成物をカラムクロマトグラフィー(Al23,酢酸エチル:ヘキサン=2:1)にて精製した。不純物を含む溶液と、含まない溶液に分けられたので、それらを別々に濃縮し、得られた固体をアセトニトリルで再結晶し、淡黄色の固体を得た。
最終的に得られた淡黄色の固体は、収量2.51g、収率43.7%であり、下記の同定結果からH−mpaqであることが確認できた。
1H NMR(500MHz,CDCl3,δ):11.5(s,1H),8.90(dd,J=4.0,1.7Hz,1H),8.81(dd,J=6.9,1.7Hz,1H),8.55(dd,J=4.3,1.4Hz,1H),8.18(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),8.07(d,J=8.0Hz,1H),7.73(dd,J=7.7,1.7Hz,1H),7.54(m,2H),7.48(dd,J=8.3,4.3Hz,1H),7.19(dd,J=6.9,5.2Hz,1H),3.95(s,2H),3.42(s,2H),2.50(s,3H).
13C NMR(125.8MHz,CDCl3δ):169.6(s),158.9(s),149.1(s),148.4(s),139.1(s),136.7(s),136.4(s),134.4(s),128.2(s),127.5(s),123.2(s),122.4(s),121.8(s),121.6(s),116.7(s),64.3(s),62.6(s),43.6(s).
〔合成例4〕
上記合成例3で得られたH−mpaqを用い、下記反応(10)により、H−mpaqの鉄錯体(以下、単に「Fe(III)−mpaq」という)を合成した。
Figure 0005552510
具体的には、まず、上記合成例3で得られたH−mpaq(0.1g,0.33mmol)と、Fe(ClO43・9H2O(0.20g,0.39mmol)をそれぞれ別のサンプル瓶に秤量し、両方の物質を少量のメタノールにて溶解させた。H−mpaqを溶解させたサンプル瓶にトリエチルアミン(0.04ml,0.33mmol)を加え、Fe(ClO43・9H2Oのメタノール溶液にゆっくりと添加していくと溶液が暗緑色に変化した。そのまま一晩撹拌させ、溶液をメンブレンフィルターによりろ過し、暗青色の固体を得た。収量は0.21gであった。
ESI−MSの分析結果は以下のとおりである。
ESI−MS:ポジティブモード:m/z391.98[Fe(III)−mpaq(CH3O)]+
〔比較用合成例1〕
下式(11)で表される化合物(以下、単に「H−dpaq」という)を、下記反応(12)により合成した。
Figure 0005552510
Figure 0005552510
具体的には、反応容器に炭酸ナトリウム(2.02g、19.4mmol)と8−アミノキノリン(2.00g、13.9mmol)を加え、アルゴン雰囲気下にした後、脱水アセトニトリル40mLを加えた。反応容器を氷浴にて0℃にした後、撹拌下、ブロモアセチルブロミド(3.36mL、16.6mmol)を10分かけて加えた。20分後、白色固体を「Celite500」(登録商標)を用いた吸引濾過によって除去し、濾液をエバポレーターによって濃縮後、真空乾燥し、桃色固体を得た。
得られた桃色固体3.54gと炭酸ナトリウム(2.06g、19.4mmol)を反応容器に入れ、アルゴン雰囲気下にした後、脱水アセトニトリル40mLを加えた。氷浴にて0℃にした後、撹拌下、2,2’−ジピコリルアミン(3.31mL、16.6mmol)を20分かけて加えた。一晩撹拌させた後、セライトを用いて白色固体を吸引濾過によって除去し、濾液をエバポレーターによって濃縮後、真空乾燥した。粗生成物はアルミナカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)にて精製し、白色固体を得た。
得られた白色固体は、収量4.6g、収率86%であり、下記の同定結果からH−dpaqであることが確認できた。
1HNMR(500MHz,CDCl3)による同定結果は以下のとおりである。
δ3.53(s,2H),4.01(s,4H),7.14(dd,J=4.9Hz,J=7.2Hz,2H),7.55−7.50(m,3H),7.64(ddd,J=1.5Hz,J=7.5Hz,2H),7.97(d,J=8.0Hz,2H),8.19(dd,J=1.2Hz,J=8.6Hz,1H),8.51(d,J=5.1Hz,2H),8.76(dd,J=2.6Hz,J=6.0Hz,1H),8.93(dd,J=1.4Hz,J=4.3Hz,1H),11.6(s,1H)
13CNMR(125.8MHz,CDCl3)による同定結果は以下のとおりである。
δ59.6(s),61.3(s),116.8(s),121.8(s),121.9(s),122.6(s),123.6(s),127.7(s),128.3(s),134.7(s),136.6(s),136.8(s),139.1(s),148.3(s),149.4(s),158.5(s),169.8(s)
元素分析による同定結果は以下のとおりである。
計算値(C23215O):C,72.04;H,5.52;N,18.26
測定値:C,72.25;H,5.45;N,18.36
〔比較用合成例2〕
比較用合成例1で合成したH−dpaqを用いて、下式(13)で表されるH−dpaqの鉄錯体(以下、単に「Fe(III)−dpaq」という)を合成した。
Figure 0005552510
すなわち、H−dpaq(0.10g、0.26mmol)およびトリエチルアミン(0.03g、0.30mmol)をメタノール1.0mLに溶解させ、過塩素酸第二鉄(Fe(ClO43・6H2O、0.11g、0.31mmol)のメタノール溶液1.0mLを加えた。反応溶液は緑色に変化した。2時間撹拌した後、メンブランフィルターを用いて沈殿を濾集、真空乾燥し、緑黒色固体を得た。得られた固体をアセトニトリルに溶解させ酢酸エチルを貧溶媒とし気液拡散法によって再結晶すると、空気中で安定なブロック状の緑黒色結晶が得られた。収量0.14g、収率78%であった。
〔実施例1〕
合成例4で得たFe(III)−mpaqを酸化触媒として用いて、下記反応(14)により、アダマンタンの酸化反応を行った。
Figure 0005552510
具体的には、好気下、室温で、Fe(III)−mpaqのアセトニトリル溶液1ml(0.5mM,0.5μmol)に錯体に対して500当量のアダマンタンを加え、しばらく撹拌した後、酢酸(1,000当量)を添加し、その後、過酸化水素のアセトニトリル溶液(0.5ml,0.02M,10μmol)を30分かけて添加し、5分間撹拌した。ニトロベンゼンのアセトニトリル溶液を内部標準として添加し、ガスクロマトグラフィーにて溶液の組成を測定した。測定後20分経過後、再度ガスクロマトグラフィーにて溶液の組成を測定したところ、酢酸を添加した溶液の酸化基質が増加していたため、そのまま1晩撹拌し、ガスクロマトグラフィーにて溶液の組成を測定した。
機器:ガスクロマトグラフ「GC2014」(島津製作所製)
カラム:キャピラリーカラム「InertCap」(60m×0.25mm)(ジーエルサイエンス社製)
測定条件:初期温度100℃で5分間保持、その後220℃まで10℃/minで昇温、220℃に到達後11分間保持
〔実施例2〕
酢酸の添加量を5000当量としたこと以外は、実施例1と同様にしてアダマンタンの酸化反応を行った。
〔実施例3〕
酢酸の添加量を20000当量としたこと以外は、実施例1と同様にしてアダマンタンの酸化反応を行った。
〔比較例1〕
酢酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてアダマンタンの酸化反応を行った。
〔比較例2〕
Fe(III)−mpaqのアセトニトリル溶液1ml(0.5mM,0.5μmol)に代えて、比較用合成例2で得たFe(III)−dpaqのアセトニトリル溶液1ml(0.5mM,0.5μmol)を用いたこと、酢酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてアダマンタンの酸化反応を行った。
〔酸化反応の結果〕
上記各実施例1〜3、比較例1,2における各酸化反応について、第3級炭素のC−H結合が酸化されて生成した1−アダマンタノール(目的生成物)、第2級炭素のC−H結合が酸化されて生成した2−アダマンタノール及び2−アダマンタノン(副生成物)の各生成モル量とそれらの値から算出される選択性(3°/2°)、1−アダマンタノールの生成率、及び、触媒回転数(TON)を下表に示す。
Figure 0005552510
なお、選択性(3°/2°)は、第3級炭素のC−H結合の酸化が第2級炭素のC−H結合の酸化に対してどれだけ優先して進行するかを表すもので、アダマンタン1分子あたり、第3級炭素のC−H結合が4個、第2級炭素のC−H結合が12個存在するので、各生成物のモル量から、下式で算出される。
3°/2°=3×{[1−アダマンタノール]/([2−アダマンタノール]+[2−アダマンタノン])}
また、1−アダマンタノールの生成率(%)は、1−アダマンタノール、過酸化水素の各モル量から、下式で算出される値である。
生成率(%)=100×[1−アダマンタノール]/[過酸化水素]
触媒回転数(TON)は、アダマンタンの酸化生成物と触媒の各モル比から、下式で算出される値である。
触媒回転数(TON)=[アダマンタンの酸化生成物]/[触媒]
上記表1から、本発明所定の金属錯体触媒を酢酸の共存下で酸化触媒として用いた実施例1〜3では、酢酸を用いない比較例1と比べて、触媒回転数が非常に高いことが分かった。また、実施例1〜3では、比較例1と比べて、1−アダマンタノールの生成率も高く、極めて効率的に酸化反応が進行することも分かる。
さらに、本発明所定の金属錯体触媒ではないFe(III)−dpaqを用いた比較例2との対比から、実施例1〜3では、高い選択性が発揮されていることも分かる。
本発明の酸化方法は、従来酸化が困難であったアダマンタンなどにおけるsp3C−H結合を選択的に酸化する方法として好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される金属錯体触媒からなる、酸化触媒
    Figure 0005552510
    (式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、Mは鉄、マンガン又はコバルトであり、Lは任意の配位子であり、Xは対イオンであり、nは0、1又は2である。)
  2. Rがメチル基であり、Mが鉄であり、XがClO4 -であり、nが2である、請求項1に記載の酸化触媒
  3. sp 3 C−H結合を酸化し得る酸化剤によってsp 3 C−H結合を有する化合物を酸化してsp 3 C−H結合が酸化された酸化反応生成物を製造する方法において、前記酸化を、酸化触媒として下記一般式(1)で表される金属錯体触媒を用い、かつ、カルボン酸の共存下で行うことを特徴とする、酸化反応生成物の製造方法。
    Figure 0005552510
    (式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、Mは鉄、マンガン又はコバルトであり、Lは任意の配位子であり、Xは対イオンであり、nは0、1又は2である。)
  4. 前記酸化剤が、過酸化水素、オゾン、m−クロロ過安息香酸、2−ヨードキシ安息香酸エステル、t−ブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドから選ばれるものである、請求項3に記載の酸化反応生成物の製造方法。
  5. Rがメチル基であり、Mが鉄であり、XがClO 4 - であり、nが2である、請求項3又は4に記載の酸化反応生成物の製造方法。
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