JP5551719B2 - 床擦れ低減及び加熱能力を持つ自己限定的電気手術用リターン電極 - Google Patents

床擦れ低減及び加熱能力を持つ自己限定的電気手術用リターン電極 Download PDF

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Description

本発明は、一般に、電気手術用システムに関する。特に、本発明は、その上に位置決めされる患者の快適度を高めるように適合された電気手術用リターン電極に関する。より具体的には、本発明は、床擦れ低減及び加熱能力を持つ自己限定的電気手術用リターン電極に関する。
関連出願の相互参照
この出願は、2010年2月10日出願の「SELF-LIMITING ELECTROSURGICAL RETURN ELECTRODE WITH PRESSURE SORE REDUCTION AND HEATING CAPABILITIES」という名称の米国特許出願第12/703,475号の優先権及び便益を主張するものであり、それは、2009年2月26日出願の「SELF-LIMITING ELECTROSURGICAL RETURN ELECTRODE WITH HEATING CAPABILITIES」という名称の米国仮特許出願第61/155,687号の優先権を主張するものであり、それらの開示は、この参照により本明細書に組み込まれる。
電気手術の領域では、組織を切断する及び/又は漏出血管を焼灼する医療処置は、ラジオ周波数(RF)電気エネルギーを利用することによって行われる。医療技術分野の当業者には周知であるように、電気手術は、広く使用され、切断及び凝固の両方に単一の手術道具を使用することの利点を含む多くの利点を提供する。RFエネルギーは、波動発生器によって生成され、外科医によって操作される手持ち式の電極を通じて患者の組織に送られる。そのような技術の歴史的観点及び詳細については、D’Amelio他に発行された「Electrosurgical Probe Apparatus」という名称の特許文献1が、参照され、それの開示は、この参照により組み込まれる。
あらゆる単極性電気手術用発生器システムは、手術を行うべき手術部位で外科医が患者に当てる活性電極及び患者から発生器へ戻るリターン経路を有しなければならない。患者と接触する点での活性電極は、組織を切断する又は凝固させる手術効果を発揮するために、高電流密度を生成するようにサイズが小さくなければならない。活性電極と同じ電流を運ぶリターン電極は、低密度電流が患者からリターン電極へ流れるように、患者と通じている点での実効表面積が十分大きくなければならない。もし比較的高い電流密度が、リターン電極で生成されるならば、患者の皮膚及び組織の温度は、この領域で上昇することになり、望ましくない患者のやけどをもたらす可能性がある。周知の医療検査機関、Emergency Care Research Instituteによると、壊死のしきいまでの体内組織の加熱は、電流密度が1平方センチメートル当たり100ミリアンペアを越えるときに生じる。さらに、Association for the Advancement of Medical Instrumentation(「AAMI」)は、電気手術用リターン電極に隣接する最大患者表面組織温度は、規定検査条件下でセ氏6度(6°)を越えて上昇しないものとすることを要求する規格を公表した。
過去30年にわたって、業界は、より安全なリターン電極の医療ニーズに応えて2つの主要な方法で製品を開発してきた。まず最初に、それらの製品は、患者の臀部、大腿部、肩部、又は重力が柔軟な電極への十分な接触面積を保証できる任意の場所の下に置かれる、導電性ゲルを被覆された小さな、約12×7インチ(30.5×17.8cm)の平坦なステンレス鋼平板から始まった。一般にステンレス鋼平板とほぼ同じサイズである、これらの柔軟な電極は、導電性又は誘電性ポリマーを被覆され、それらの電極上に粘着性の境界を有し、その結果それらの電極は、重力の援助なしに患者に付着されたままとなる。電気手術処置が完了すると、これらの平坦で、柔軟な電極は、捨てられる。1980年代前半までに、United Statesの大部分の病院は、この種類のリターン電極を使用することに切り替えた。これらのリターン電極は、古い鋼平板に優る改善であり、より少ない患者のリターン電極やけどをもたらしたが、しかし、毎年数千万ドルのUnited Statesでの追加の手術費をもたらした。この改善があっても、病院は、なお、手術中に患者から偶然落ちる又は部分的に離れることになる電極によって引き起こされるいくらかの患者やけどを経験していた。
その後、さらなる改善、すなわち、患者と接触している電極の接触面積を監視し、不十分な接触面積があるときはいつでも電気手術用発生器のスイッチを切ることになる電極接触品質監視システム(Electrode Contact Quality Monitoring System)が、提案された。そのような回路は、例えば、Newtonに発行された「Safety Monitoring Circuit for Electrosurgical Unit」という名称の特許文献2で示され、それの開示は、この参照により組み込まれる。このシステムは、患者のリターン電極やけどのさらなる低減をもたらしたが、しかし特別な使い捨て電極及び処置当たりの費用をより高くにさえする発生器での追加回路を必要とする。このシステムが最初に導入されてから20年後でも、それの高い費用のために、United Statesで行われたすべての手術の40パーセント未満が、このシステムを使用しただけである。
さまざまな進歩が、電気手術の技術分野でなされたけれども、改善の余地は、残されたままである。より詳しくは、システム及びデバイスは、患者のリターン電極やけどの数を低減するなどによって、電気手術処置を受けている患者の安全性を高めるように開発されてきたが、電気手術処置の前の、間の、及び後のこれらの患者の快適性は、欠けたままである。
患者の不快感の1つの原因は、病院で、特に電気手術処置が行われる手術室で維持される比較的低い温度である。手術室温度は、典型的には約18.5〜21℃(65.3〜69.8°F)の間に維持される。多くの患者にとって、この温度範囲は、寒すぎる感じがする。加えて、手術処置中に、患者は、物体を実際よりもさらに冷たく感じさせる物理的性質を有する物体に接触することもある。例えば、金属手術室台及びリターン電極は、良好な熱伝導体であることもある。手術室台又はリターン電極の熱伝導性は、患者が上記の温度範囲内である手術室台又はリターン電極と接触するとき、熱が容易に患者から離れて伝導される原因となる。患者から手術室台又はリターン電極への熱の移動は、患者が手術室温度よりもさらに寒く感じる原因となり、それによって患者の不快感を増加させる。
患者を暖めるためのいくつかの一般的な解決策は、加熱空気又は流体循環システムの使用を含んでいる。加熱循環システムは、手術処置中に患者の真下に又は上部に位置決めされるパッドに組み込むことができる。循環システムは、一般に、空気、水、又は別の流体がそれを通って循環できる管又は導管を含んでいる。これらのシステムは、また、流体又は空気を循環させるためのポンプならびに空気又は流体が管又は導管を通って循環される前に空気又は流体を加熱するための加熱素子も含んでいる。そのようなシステムは、手術処置中に患者に熱を提供することができるが、システムは、また、欠点に悩まされもする。例えば、加熱循環システムは典型的には、患者に均等な加熱を提供しない。それどころか、管又は導管に直接隣接する領域の温度はしばしば、管又は導管の間の領域よりも著しく高い。
患者を暖めるための別の一般的な解決策は、1つ又は複数の加熱毛布の使用を含む。加熱毛布は、例えば、患者にかけられることもあり、又は患者と手術室台との間に位置決めされることもある。加熱毛布は、電気加熱毛布又は加温ボックスで暖められた綿又は羊毛でできた毛布であることもある。
欠点及び困難は、電気加熱毛布及び暖められた毛布の両方の使用で生じる。例えば、加温ボックスで暖められた毛布は、比較的短時間の間それらの温度を維持する。いったんそれらが冷えたなら、毛布は、新たに暖められた毛布と交換しなければならない。特に非常に長い処置中に毛布を何度も交換しなければならないときは、電気手術処置中に毛布を交換することは、不便である可能性がある。さらに、電気手術処置中に患者を動かし、再位置決めすることが困難なために、毛布が患者と手術室台との間に置かれているとき、冷えた毛布を交換することは、実行できない可能性がある。加えて、無菌フィールドは、手術処置の全体にわたって維持されなければならない。手術処置中に冷えた毛布を交換することは、無菌フィールドを損なうこともあり、それは、患者の感染及び他の合併症につながる可能性がある。その上、患者にかけられる毛布は、加熱されようと暖められようと、処置中に患者から移動する又は落下することもあり、それによって手術室職員からの追加の注意を必要とする。
寒い温度は、電気手術処置を受けている患者への不快感の唯一の原因ではない。それどころか、患者が、長期の不動状態中に床擦れとしてもまた周知の褥瘡性潰瘍を発症することもあることは、医療分野では周知である。典型的には、床擦れは、寝たきりである又はさもなければ動きが制限されている高齢の患者に発症する。床擦れは、長期の圧力が通常下にある骨ばった隆起を覆う患者の組織に加えられる患者の体のそれらの領域で生じる。長期の圧力は、32mmHgの正常な毛細血管血圧よりも上の血圧の持続に起因して、虚血性障害及び組織壊死を引き起こす。床擦れは典型的には、長期間にわたって1つの位置にとどまるそれらの患者に生じるけれども、床擦れは、さまざまな手術処置などの間に、短期間、約2時間にわたって局所領域に加えられる強い圧力の印加から生じることもある。
一般に、床擦れを防止するために、患者は、手術処置中に圧力低減マットレス又はパッドの上に置かれて、組織が下にある骨ばった隆起を覆うような体の敏感な領域に加えられる力を低減する又は実質的に除去する。手術シナリオで床擦れを防止するために使用されることもある1つのデバイスは、発泡体パッドであり、高さが約3〜4インチ(7.6〜10.2cm)で、手術台と患者との間に置かれる。発泡体パッドは、安価で、軽量であるなどの多くの利点を有するけれども、発泡体パッドは、床擦れの発症を助けることもある体熱を閉じ込めながら患者に最小の起伏を提供する。さらに、熱を閉じ込めることによって、発泡体パッドは、患者の組織温度の増加を助けることもあり、その結果電気手術処置中に、組織温度は、AAMIによって制定されたセ氏6度(6°)の温度上昇しきいよりも上に上昇することもある。加えて、発泡体パッドは典型的には、それらを殺菌し、洗浄することが困難であるので、手術処置の後に捨てられる。さらに、発泡体パッドを形成する材料は、もし火が付くと燃焼中に致死ガスを放出することもある。
代替の圧力低減マットレス又はパッドは、手術台に置かれる羊皮の層である。あいにく、羊皮は、患者に十分な保護を提供せず、患者が横たわっている全表面にわたって患者の圧力を効果的に分布させない。上で論じた発泡体パッドと同様に、羊皮は、手術処置の後に殺菌し、洗浄することが困難である。
なお別の種類の圧力低減デバイスは、空気を所望の圧力に充填したビニールスリーブを含む空気膨張マットレスである。あいにく、空気マットレスは、マットレスが置かれる底部表面に患者が触れるのを防止するために著しく加圧されなければならない。患者が底部表面に触れる場合には、床擦れの発症の可能性がある。加えて、所要の圧力を維持するために、典型的には、ポンプが、マットレスに接続されて、マットレス内に含まれる空気の圧力を監視し、必要に応じてマットレスに追加の空気をポンプで入れる。可動空気マットレスに患者が置かれ、そのマットレスが次には手術台に載っている状態では、患者は、2つの柔軟な表面に横たわっている。患者はそれによって、手術処置中は不安定で、危ない位置に置かれる。加えて、空気型マットレスは、所要の空気圧を維持するためにポンプが必要であることに起因して、維持するのに費用がかかる。さらに、空気マットレスは、容易に穴があくこともあり、それによって空気が漏れ、マットレスが置かれる表面から遠位に患者を保持するマットレスの有効性を低減する。
空気充填マットレスと同様の圧力低減デバイスは、水型マットレスである。水型マットレスは、空気マットレスの形態と同様の形態を有するが、しかしながら、空気よりもむしろ水が、マットレスにポンプで入れられる。あいにく、水型マットレスは、空気型マットレスの制限の多くに悩まされる。加えて、水マットレスが漏れる場合には、大量の水が、患者の周囲の床に排出されることになり、それによって個人が患者に近接近して歩き、作業することを危険にする。
上述の制限の多くは、病院内での一般的使用では軽減されるけれども、列挙された各床擦れデバイスは、電気手術処置中のそれらの使用に関してさまざまな欠点を有する。例えば、発泡体型マットレスが電気手術処置中に使用される場合には、発泡体パッドは、火が付くこともあり、それによって患者をやけどさせ、また手術室内に致死ガスも放出するという可能性がある。
空気及び水型マットレスに関しては、長期間にわたって所望の圧力を維持するために所要のポンプを含むことは、手術室内に必ず保管される機器の量を増加させる。制限されたスペース内により多くの機器があると、外科医の動き回る能力が、低減される。水マットレスから水漏れがある場合には、手術室での患者ならびに/又は医師及び看護師の感電死の可能性だけでなく、電気手術用リターン電極の短絡の可能性もある。
従って、加熱能力を提供し、床擦れ発症の可能性を低減することによって、患者の快適性を高めながら、自己限定的である電気手術用リターン電極を提供することは、現在の電気手術の技術分野における進歩であることになる。
米国特許第4,936,842号明細書 米国特許第4,231,372号明細書 米国特許第4,088,133号明細書 米国特許第6,544,258号明細書 米国特許第6,814,889号明細書 PCT公開第2008/013459号明細書 米国特許第6,160,246号明細書 米国特許第6,723,967号明細書 米国特許第6,852,956号明細書 米国特許第6,875,963号明細書 米国特許第6,963,055号明細書 米国特許第7,038,177号明細書
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、床擦れ低減及び加熱能力を持つ自己限定的電気手術用リターン電極を提供することにある。
本発明は、高価な使い捨て電極及び特殊RF発生器での監視回路の必要性なく患者のやけどを排除し、一方でまた患者を暖めるために加熱能力を提供し、電気手術処置を受けている患者のために床擦れの発症を最小限にもするリターン電極を提供することによって従来技術の欠点を克服する。
簡潔には、本明細書の発明の好ましい実施形態による改善されたリターン電極は、前に開示された又は手術で使用された他のリターン電極よりも大きい実効表面積を含んでいる。そのリターン電極は、非常に大きく、患者の体に対して位置決めするのに非常に適しているので、そのリターン電極は、導電性又は誘電性ゲルの必要性を排除する。その上、露出面は、反復使用のための簡単で、素早い調整を容易にするために、すぐに洗濯でき、消毒でき、かつ/又は殺菌できる材料から成る。そのリターン電極は、典型的に使用される電気手術用周波数でのインピーダンス特性が、そのリターン電極が電流密度(及び対応する温度上昇)を安全なしきいに自己限定するような特性となる形状及び材料を用い、さもなければ電極の作業表面の実効面積が、望ましいレベルより下に低減されるはずである。それに応じて、特殊RF発生器での先述の高価な監視回路の必要性は、排除される。加えて、改善されたリターン電極は、比較的寒い環境で患者を暖めるために加熱素子を含む。さらに、改善されたリターン電極は、患者とリターン電極との間の電流移動を助けながら、床擦れの形成を防止する1つ又は複数の床擦れパッドを組み込む。
本発明の特徴によると、電気手術用リターン電極は、医療処置で使用される典型的な電気手術用周波数で十分に低い電気インピーダンス及び低い電流密度を提示するように十分に大きくされて、隣接患者組織での過剰な温度上昇の可能性を低減し、(すなわち、温度(「T」)上昇をセ氏6度(6°)より下に維持することによって)それによって組織壊死又は他の望ましくない患者の外傷を回避する。
本発明のなお別の特徴によると、電極の作業表面(患者と接触する又は近接近する電極表面)は、面積が十分に大きくされ、その結果正常な使用では、電流フローは、手術部位で手術を行う外科医の能力を妨げる点まで低減されないことになる。
本発明のなお別の特徴によると、電気手術用リターン電極は、電極及び1つ又は複数の床擦れパッドを含む多層構成を有する。
本発明のなお別の特徴によると、一実施形態では、制御された電気伝導度は、導電糸又はカーボンブラックなどの導電性材料をその中に含むことによって電極に与えられ、このようにして伝導度を表面積の関数としてそれを通る電流の通過を安全な値に制限するレベルに調整する。
本発明のなお別の特徴によると、一実施形態では、電気手術用リターン電極は、電極の上部に配置される床擦れパッドを含む。そのため、床擦れパッドを形成する材料は、別法として導電層又は絶縁層としての役割を果たす。
本発明のさらに別の特徴によると、電気手術用リターン電極は、手術処置中に患者を暖めるために加熱能力を含んでいる。
本発明の別の特徴によると、電気手術用リターン電極は、褥瘡性潰瘍又は床擦れの発症の低減を助ける2つの床擦れパッド、及び手術処置中に患者を暖めるために加熱能力を提供するための加熱素子を含んでいる。
本発明のなお別の特徴によると、別の実施形態では、水分を通さない作業表面は、患者の体の隣接面に隣接して位置決めするために提供され、このようにして電気手術用電極の洗浄及び再使用を容易にする。
本発明のなお別の特徴によると、前述の水分を通さない作業表面は、通常接触する洗浄、消毒、及び殺菌薬剤に耐性があるようにされ、このようにして洗浄及び再使用をさらに容易にする。
本発明のなお別の特徴によると、別の実施形態では、スリーブは、電気手術用電極との共同使用のために提供され、このようにして例えば電極表面又は床擦れパッド(複数可)との活性電気手術器具の偶発的接触から生じることもある不慮の損傷から電極及び床擦れパッド(複数可)を保護する。
本発明のなお別の特徴によると、電極の作業表面の中の及び隣接する材料の電気インピーダンスは、作業表面での電流密度を患者組織外傷のしきいより下のレベルに制限するように十分に高められ、このようにして自己限定的特性を提供して、電極の実効作業表面の偶発的低減の場合に患者外傷を防止する。
本発明のなお別の特徴によると、一実施形態では、電気手術用電極は、電気手術処置が行われるべき手術台にぴったり合わされ、このようにして本発明の他の特徴の実現を容易にする。
本発明の追加の特徴及び利点は、次に来る記述で説明されることになり、ある程度その記述から明らかとなり、又は本発明の実施によって学ばれてもよい。本発明のこれらの及び他の特徴は、次の記述及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになり、又は以下の本明細書で説明されるような本発明の実施によって学ばれてもよい。
本発明によれば、床擦れ低減及び加熱能力を持つ自己限定的電気手術用リターン電極を提供することができる。
本発明の上記の及び他の利点ならびに特徴をさらに明確にするために、本発明のより詳しい記述が、添付の図面で例示されるそれらの具体的な実施形態を参照することによって与えられることになる。これらの図面は、本発明の例示される実施形態だけを描写し、従って本発明の範囲を限定すると考えるべきでないことが、理解される。本発明は、以下の付随する図面の使用を通じて具体性及び詳細が追加されて述べられ、説明されることになる。
手術処置中に電気手術用発生器に提示されるようなラジオ周波数電流フローの動作経路に実効的に含まれる典型的なインピーダンスを例示する簡略化した電気配線図である。 本発明の原理を例示する広域分布電気手術用リターン電極の上面図である。 図2Aの電気手術用リターン電極のセグメントの拡大図である。 図2Bの切断線2C−2Cに沿って取得され、2Bのセグメントによって表される実効回路インピーダンスを例示する横断面図である。 リターン電極の実効表面積と電極で展開される実効ラジオ周波数電流密度との間の関係をグラフ形状で例示するチャートを示す図である。 本発明による電気手術用リターン電極がそれの上部表面に配置された状態の手術台を示す斜視図である。 本発明による電気手術用リターン電極がそれのシートの表面に配置された状態の手術用いすを例示する正面図である。 本発明による電気手術用リターン電極の上面図である。 図6の線7−7に沿って取得される断面図である。 図7の断面図に似ているが、しかし患者の手術着によって提示される静電容量を例示する断面図である。 図6乃至図8の実施形態のいずれかを包むのに適しているカバーの斜視図である。 図9のカバー内に包まれる図6乃至図8の実施形態の1つを例示する図である。 患者との実効接触面積が実質的に物理的電極サイズ未満であるときのシミュレーション条件を例示する本発明による電極の斜視図である。 実効患者接触面積が全電極面積よりもはるかに小さいときの電極内の電流フロー密度を例示する図である。 異なる電気手術用発生器周波数について電極厚さの関数として抵抗層のバルク抵抗率の変化をグラフに示す図である。 さまざまな電気手術用周波数において本発明による電気手術用電極の厚さで割った面積の関数としてバルク抵抗率をグラフに示す図である。 本発明による電極のオーム性及び容量性領域と動作的に関連する患者の回路等価物を分析の目的のために例示する斜視図である。 図15に等価な簡単な電子回路図である。 異なる電気手術用動作周波数について抵抗層のバルク抵抗率の関数としてパーセント容量性電力伝導をグラフに示す図である。 本発明の一実施形態による電気手術用電極の部分的分解図を例示する図である。 電気手術用電極の構成を示す図18の電気手術用電極の構成要素のいくつかの分解図を例示する図である。
本発明の電気手術用リターン電極は、典型的に使用される電気手術用周波数でのインピーダンス特性が、そのリターン電極が電流密度(及び対応する温度上昇)を安全なしきいに自己限定するような特性となる形状及び材料を用い、さもなければ患者と電極の実効作業表面との間の接触面積が、望ましいレベルより下に低減されるはずである。加えて、自己限定的電気手術用電極は、電極上に位置決めされる患者を暖める能力がある。さらに、自己限定的電気手術用電極は、患者が電極上に位置決めされている間に患者の床擦れの形成を防止するように適合される。
本発明のさまざまな態様ならびに実例となる実施形態及び特徴の理解を助けるために、自己限定的特性を提供する電気手術用電極の構造及び特徴に関する議論が、最初になされることになる。そのような議論に続いて、加熱及び床擦れ防止能力を持つ自己限定的リターン電極の実例となる実施形態の詳細な記述が、提供されることになる。その中に一体的に形成された加熱及び/又は床擦れ防止能力を有する電気手術用電極は、1つのデバイスが、患者の快適性を高めながら、電気手術処置に必要な自己限定的特性を含むことを可能にする。このようにして、本発明の新規な電気手術用電極は、患者を電気手術処置中にやけどすることから保護し、比較的寒い環境で患者を暖め、床擦れが生じるのを防止する。
図1は、手術処置中に電気手術用発生器に提示されるようなラジオ周波数電流フローの動作経路に実効的に含まれる典型的なインピーダンスを例示する簡略化した電気配線図で、手術処置中に電気手術用発生器に提示されるようなラジオ周波数電流フローの動作経路に実効的に含まれる典型的なインピーダンスを例示する簡略化した電気配線図を描写することがわかる。一定の電力、電圧及び/もしくは電流又は可変の電力、電圧及び/もしくは電流の発生器などだが限定されない、従来のラジオ周波数電力発生器100があるのがわかる。電力発生器100に接続されるのは、従来の電気導体102及び104であり、それらはそれぞれ、発生器100をインピーダンスz1によって表される外科医の用具及びインピーダンスz3によって表される電気手術用リターン電極に接続する。インピーダンスz2は、手術部位とリターン電極との間に位置する患者の組織によって提示されるインピーダンスを表すために提供される。電気導体102及び104は、リターン電極への電気的接続を形成するための接続手段の機能を果たす能力がある1つの実例となる構造を代表する。しかしながら、さまざまな他の構造が、適しており、所望の機能を果たす能力があることは、当業者には理解されてもよい。
図1に示した配線図は、本発明の原理を明瞭にかつ簡潔に例示するために、簡略化され、手術器具、患者の体及びリターン電極が寄与するリアクタンスを含む主要な抵抗の観点から回路素子を一般に考えるけれども、実際には、ある他のパラメーター、すなわち本明細書の原理の例示での明瞭さの目的で比較的小さいと見なされ、その結果この記述では現在のところ考慮されない分布インダクタンス及び分布容量などのパラメーターに出会うことになることを理解すべきである。しかしながら、以下で説明されるように、絶縁スリーブが電極と患者の体との間に挿入されるときの一実施形態では、容量性リアクタンスの重要な素子が、Z3のインピーダンスに含まれてもよい。図1乃至10は、本発明の原理を簡潔に提示するために意図的に簡略化されることにもまた留意すべきである。図11乃至17の議論は、自己限定的特徴を達成するために使用される理論的基礎ならびに例となる形状及び材料を含む、本発明の自己限定的特徴のより詳細なかつ完全な記述を含んでいる。
本明細書の最初の実施形態は、組み合わされた抵抗性及び/又は容量性モードで動作する電極の実施形態である。それに応じて、もし比較的小さな浮遊容量性及び誘導性リアクタンスが、無視されるならば、回路の全実効インピーダンスは、個々のインピーダンスz1、z2及びz3の合計に等しいことになり、本質的に同じ電流が3つすべてを通過することになるので、RF発生器100が発生する電圧は、インピーダンスz1、z2及びz3を横切ってそれらのそれぞれの値に正比例して配分されることになる。それ故に、そのような構成要素の各々で放出されるエネルギーもまた、それらの値に正比例することになる。
放出エネルギーは、外科医の用具が患者の組織に接触する領域に集中されることが望まれるので、z1によって表されるインピーダンスの抵抗成分が、実質的であることならびにそれを通過する電流(及び結果として生じるエネルギー放出)が、非常に小さな領域に集中されることが望ましい。後者は、手術部位で患者と接触する領域を非常に小さくすることによって達成される。
前述の直列回路と対照的に、組み合わされた抵抗性及び容量性リアクタンスの構成要素が、並列に接続されるとき、公式
Figure 0005551719
によって与えられる全実効インピーダンスを提示することは、周知である。それ故に、もし各々が100オームの100個の類似のインピーダンスが、並列に接続されるならば、実効インピーダンスZeffは、1オームに等しいことになる。もしそのようなインピーダンスの半分が、実効的に切り離されるならば、残りの実効インピーダンスは、2オームであることになり、もしインピーダンスの1つだけが、回路でアクティブならば、残りの実効インピーダンスは、100オームであることになる。これらの考察ならびに本明細書の電極を自己限定的及びフェイルセーフにするためにそれらの考察を用いることの重要性は、図2A、図2B、図2C及び図3で例示される素子の次の記述から明らかとなる。
図2Aは、本発明の原理を例示する広域分布電気手術用リターン電極の上面図である。図2Aを参照すると、本発明の原理を例示する広域分布電気手術用リターン電極110の上面図の概略描写が、見られることになる。図の右側には、図1の導体104などの電気リターン導体への接続を容易にするための電気接続端子112が、示される。
リターン電極110の表面114は、好ましくは滑らかで、均質であり、薄い抵抗性及び/又は誘電性の層を含む。別法として、リターン電極110の表面114は、リターン電極110の特定の動作に応じて、容量性及び/又は誘導性の層を含んでもよい。この記述の教育的目的のためにかつリターン電極110の数学的モデル化を助けるために、電極110は、領域116、116a、116b、116c・・・116nによって表されるような複数の均一サイズの領域又はセグメントを含むと考えられてもよい。しかしながら、リターン電極110は、不連続な領域もしくはセグメントを含んでもよく又は含まなくてもよいが、電極110は、連続的なセグメントを有することが好ましいことは、当業者には理解されよう。
図2Bは、図2Aの電気手術用リターン電極のセグメントの拡大図である。領域/セグメント116は、それが表す抵抗性インピーダンスz3’と同様のスケールであるために、図2Bではより大きく示される。それ故に、セグメント116・・・116nに対応する電極110のセグメントの各々は、インピーダンスz3’のものと同様のインピーダンスを提示する能力を本質的に有することが今では明らかとなる。しかしながら、回路内で並列に実効的にアクティブであるそのようなセグメントの数は、電極の上に位置する患者の表面積の直接的関数である。それ故に、その体が電極の上部表面の50パーセント(50%)と実効的に接触する大きなあおむけの患者の場合には、セグメント116〜116nに対応するセグメントの50パーセントは、回路で実効的に並列にされて、図1のインピーダンスz3によって表されるインピーダンスを形成することになり、それに応じて、もし電極110が、各々100オームの100個のセグメントを含有するならば、電極素子の実効50パーセントによって動作可能に提示される実効インピーダンスは、2オームであることになる。2オームは、素子z1及びz2によって表されるインピーダンスと比較して非常に小さいので、非常に少しのエネルギーしか、患者と電極との間の接触領域で失われず、また電極の比較的大きな実効作業面積にも起因して、電流密度及び温度上昇は、上で述べた危険しきいより下に維持される。
次に、もし何らかの理由で、患者と電極との間の実効接触面積が、セグメント116〜116nの1つだけの表面に低減されることになるならば、そのとき実効インピーダンス(考察中の例では組み合わされた容量性リアクタンス及び抵抗)は、100オームまで増加することになり、接触面積の低減のある時点で、実効インピーダンスは、電気手術器具の部位で提示されるインピーダンスに対して、手術器具の電気手術効果を減少させる又はさもなければ外科医による器具の効果的な使用を妨げるようなレベルまで上昇することになり、それ故にリターン電極と接触するより大きな表面積を提示するように患者を再位置決めすべきであると外科医に合図する。同時に、全回路インピーダンスは、増加することになり、その結果もし外科医が患者を再位置決めすることなく彼の器具を用いようとするならば、流れることになる全電流は、患者に望ましくない外傷を引き起こすことになるより下の値まで低減されることになる。それに応じて、前述の別個の回路監視及び制御回路の必要性なく使用上の安全性を高める自己限定的特徴が、提供される。
図2Cは、図2Bの切断線2C−2Cに沿って取得され、2Bのセグメントによって表される実効回路インピーダンスを例示する横断面図で、2Bのセグメント116によって表される実効回路インピーダンスz3を例示する。図2Cでは、小さなセグメント116が見られ、それの上部患者接触表面118は、端子120によって電気的に表され、それの下部表面122は、電気端子112によって表される。この記述の目的のために(及びこの実施形態の根底にある原理を明瞭に提示するために)、インピーダンスz3は、端子120と112との間に存在すると考えられてもよい。もちろん、薄いがしかし高導電性の層が電極110の下部表面に沿って含まれる実施形態では、残りのセグメントによって表されるインピーダンスの各々は、端子112に並列にそれらの下部先端で接続されるが、もしそのような高導電性の層がないならば、そのとき、各セグメントの上部領域と下部領域との間に位置する材料によって表されるインピーダンスに加えて、電流が端子112に達するために電極を横方向に又は側方に通過しなければならない材料によって表される追加のインピーダンス(図示されず)があることになることは、当業者には明らかであろう。
もし側方インピーダンスが、前述の薄い導電層の提供によって最小化されるならば、又はもし領域116の材料の下側部分での実効伝導度が、他の方法で増加されるならば、リターン電極によって提示される実効インピーダンスは、患者と接触している電極の実効上部表面に反比例することになることは今では明らかなはずである。
図3はリターン電極の実効表面積と電極で展開される実効ラジオ周波数電流密度との間の関係をグラフ形状で例示するチャートを示す図である。しかしながら、そのようなチャートの考察へ進む前に、チャートは、本発明の根底にある原理を例示するために簡略化され、実質的に変化することもある実際のデータを表さないことに留意すべきである。図3では、RF電流密度対電極実効表面積のプロットが見られ、後者(今では当業者には明らかなはずであるような)は、患者の体と実効的に電気接触するリターン電極の表面のその部分である。前述の議論から期待されることになるように、実効面積が大きいときは、外科医の器具における電流は、高く(グラフの点線124)、リターン電極を横切る対応する電流密度は、非常に低い(グラフの実線126)。これは、もちろん、電気手術を行うのに望ましい条件である。しかしながら、もし回路全体にわたって一定の電流を仮定するならば、実効表面積が減少するにつれて、リターン電極を横切る電流密度(グラフの実線126)は、外科医の器具における電流(グラフの点線124)の対応する減少とともに増加する。実効表面積が、ある所定の点まで低下するとき、電気手術を効果的に行うのに不十分な電流が、手術器具に残ることになる。
電流密度及び外科医に利用可能な電流の変化が、実効表面積の変化と同時に生じてもよく又は生じなくてもよいことは、当業者には理解されてもよい。本発明のさまざまな実施形態は、電流密度及び利用可能な電流の実質的に同時の変化を有してもよく、一方で本発明の他の実施形態は、それらの間に遅延期間を含んでもよい。
材料及び電極寸法のために選択されるパラメーターは、電流密度及びリターン電極に隣接する対応する組織温度上昇が、本明細書の序論で述べた限界を越えないように選択される。そのようなパラメーターの適切な選択によって、リターン電極は、自己限定的にされ、それによって上で言及した追加の監視回路の必要性を取り除くことが、今ではわかることになる。
本発明の根底にある原理の記述を容易にするために、前述のことは、主要な構成要素が抵抗及び容量性リアクタンスであるインピーダンスの観点から述べられる。しかしながら、本発明の原理はまた、インピーダンスが抵抗性、容量性及び/又は誘導性インピーダンスの任意の組合せを含む他の実施形態にも適用可能である。
本明細書の発明は、次に、実効誘電体層が、例えば、(i)電極の上部表面上の物理的誘電体層、(ii)患者が身に着ける手術着の材料、(iii)患者とリターン電極との間に挿入されるベッドシーツ又は他の手術室リネン、(iv)リターン電極を覆って取り付けられる保護スリーブの材料、(v)又はそれらの任意の組合せによって表される応用に関連してさらに述べられる。
図4は、本発明による電気手術用リターン電極がそれの上部表面に配置された状態の手術台を示す斜視図である。図4が参照され、その図は、それの上部表面に配置される本発明による電気手術用リターン電極132を備える手術台130を遠近法で例示し、台130のエッジは、参照番号134によって識別される。手術台130は、図示されるように車輪又はローラーを取り付けられてもよい従来の脚部136a〜136dを有するように示される。台130は、治療中に患者を支持するための支持手段の機能を果たす能力がある1つの構造である。しかしながら、支持手段のさまざまな他の構成が、可能であり、所要の機能を果たす能力があることは、当業者には理解されてもよい。例えば、支持手段は、いす、平板、ベッド、カート、及び同様のものを含んでもよいが、限定されない。
図4では、台130の全上部表面は、リターン電極132で覆われているように示されるけれども、全被覆は、本発明の原理を実施するために決して必要とされないことを理解すべきである。それ故に、従来の電気手術用発生器とともに使用されるとき、リターン電極は、同時に望ましくない組織損傷を避けながら手術を行う外科医の能力を妨げないように、典型的に用いられるRF周波数において適切な抵抗性、容量性、又は誘導性結合を提供するのに十分である実効作業表面積を提示する必要があるだけである。従来の電気手術用周波数において、これは、およそ手術台に横たわっている成人患者の胴部の半分の投影輪郭又は図5で例示されるなどのいすに座っている患者の臀部よりも大きくない実効作業表面積だけを必要とすることが見いだされた。しかしながら、実効作業表面積は、いくつかの幾何学的構成では、及び手術室リネンのさまざまな層が電極を覆って置かれる場合には、使用される材料に応じて変化することになる。本明細書の原理は、首尾よく用いられてもよく、リターン電極の実効作業表面積は、日常の実験によってそのような状況で決定されてもよい。ある条件下では、実効作業表面は、約7平方インチ(又は約45平方センチメートル)と同じほど小さくてもよい。
その上、図6乃至図8及び図10で示されるリターン電極は、形が長方形であるように描写されるけれども、リターン電極は、長円形である、又は例えば患者の体の胴部又は他の主要部のシルエットに従うように輪郭を形成されることもあり得ることが明らかとなる。前述のことから明らかとなるように、電極が使用されるとき、(1)患者の表面でのリターン電流密度は、十分に低い、(2)電極と患者との間の電気インピーダンスは、十分に低く、その結果電気エネルギーは、電気リターン経路の任意の場所で患者の皮膚をセ氏6度(6°)よりも大きくだけ加熱するほど十分に集中されない、ならびに(3)材料及び形状の特性は、もし電極の実効面積が、選択しきいレベルより下に低減されるならば、外科医が用具をそれの電気手術モードで効果的に使用し続けるのに不十分なエネルギーが、外科医の用具で消散されることになるような特性であるように、電極を構成することが、重要である。
当業者には認識されるように、容量性リアクタンス(患者の体と電極との間の距離によって表される)は、もし手術着などの何かが患者の体及び電極を分離するならば導入されることになるけれども、そのような容量性リアクタンスは、z3として識別されるインピーダンスを破壊するよりもむしろ変更することになるので、電極が一般に前述の記述に従って機能するために、患者の皮膚と本明細書のリターン電極との間に直接的オーム性接触がある必要はない。
当業者には周知であるように、交流電流回路(例えば、電気手術で使用されるそれらなど)では、インピーダンスの容量性リアクタンスは、静電容量及びリアクタンスに提示される交流電流電気信号の周波数の両方の関数である。それ故に、容量性リアクタンス(オーム単位で)の公式は、
Figure 0005551719
であり、ただし、Xcは、オーム単位での容量性リアクタンスであり、πは、3.14159であり、fは、ヘルツ単位での周波数であり、Cは、ファラッド単位での静電容量である。
平行平板コンデンサでの静電容量の公式は、
Figure 0005551719
であり、ただしCは、ファラッド単位での静電容量であり、κは、コンデンサの実効平板間に位置する材料の比誘電率であり、Aは、平方メートル単位でのコンデンサの実効平板の最小のものの面積であり、tは、メートル単位での実効平板の表面の距離であり、ε0は、ファラッド/メートル単位での空気の誘電率である。それ故に、電極回路静電容量が実質的である実施形態での最大許容温度上昇基準を満たすために、電極の異なる最小サイズは、電気発生器源の周波数、電極からの患者の体の距離、及び電極の実効導電性領域と隣接体表面との間に位置する材料に応じて必要とされてもよいことがわかることになる。それに応じて、本発明の原理は、電気手術用エネルギーの広範囲の周波数に適用可能であるけれども、リターン電極の最小サイズについて本明細書で説明する考察は、従来の電気手術用エネルギー発生器で典型的に用いられる周波数を具体的に熟考する。
現在使用される使い捨てリターン電極に関しては、電極の実効サイズを約3平方インチ(19.4平方センチメートル)まで低減することは、手術を行う外科医の能力を妨げることになるレベルまでRF電流フローを低減せず、また患者外傷を引き起こすレベルまで電流を集中させもしないことは、当業者には周知である。しかしながら、患者の体から電極のいくからの間隔を提供するためには、本明細書の発明によるリターン電極は、手術着によって提供される又は介在する手術着が全くないなどで患者の皮膚からの比較的小さい距離を持つ約7から約11平方インチ(約45cm2から約70cm2)の間の最小実効面積を必要とすることになる。そのような実効面積は、もし患者が彼らの上部胴部のサイズ又はより大きい電極上に位置決めされるならば、得ることが容易である。
現在の実施形態に望まれる誘電体の特性は、選択されたゴム、プラスチック及びリターン電極の材料として満足に用いられてもよい他の関連材料の特性に十分匹敵する。上で述べたように、そのようなリターン電極に関して、もし患者が、必要とされるほどの低いインピーダンスをもたらすのに十分でないリターン電極が患者に近接近するように位置決めされるならば、結果は、電気手術用発生器からの電流フローが、外科医が手術を行うのを困難にするレベルまで低減されるということになる。それ故に、本実施形態では、手術着によって表されるいくらかの追加の静電容量の介在にもかかわらず、上で述べた特徴は、存在し続けることになる。
図5は、本発明による電気手術用リターン電極がそれのシートの表面に配置された状態の手術用いすを例示する正面図である。上で述べたように、図5は、それのシートの上部表面に配置される本発明による電気手術用リターン電極142を備える手術用いす140を例示する正面図である。それに応じて、患者がいすに座っているとき、臀部及び大腿部の上部は、リターン電極142の上に位置し、リターン電極142に十分近接近し、その結果それらの間の結合は、前述の基準を満たすインピーダンスを提示する、すなわち電流密度が十分低く、電気リターン経路の任意の場所で患者の皮膚をセ氏6度(6°)よりも大きいだけ加熱するには不十分な電気エネルギーがリターン電極142を横切って放出されることを提供しながら、リターン電極142と患者との間の電気インピーダンスは、十分低く、外科医が処置を行うことを可能にする。
図6は、本発明による他に電気手術用リターン電極の上面図である。電極の上部露出、又は作業表面はこの場合もやはり、低インピーダンスのための前述の基準を満たすように広大であることに気付くことになる。電極が、手術台の全表面又は歯科もしくは他の患者のいすの全シート表面を覆う必要はないけれども、患者の臀部又は胴部の投影面積のそれよりも大きな表面積を提供し、その結果もし患者が処置の最中に位置を移動させても、患者の十分な部分は、電極表面から外れず、その結果実効インピーダンスは、上述のレベル未満にとどまることになることは、いくつかの場合には有利なことが見いだされた。
この時点では、特にそれの発明となる特徴の理解に関連すると見なされる本明細書の発明による改善された電極の特性を強調することは、有益なこともある。最初に、上で述べたように、電極は、直接か又は介在する導電性又は非導電性ゲルを通じて患者と直接接触している必要はない。加えて、それの広大なサイズの故に、患者の物理的輪郭に一致するように電極をあつらえる必要はない。これに関連して、選択された材料及び形状を使って、本明細書の自己修正的及び自己限定的原理は、作業表面積が約7平方インチ(又は約45平方センチメートル)と同じほど小さい電極で達成されることもあり得るけれども、電極の露出上部作業表面積の好ましい範囲は、約11から1,500平方インチ(又は約70から9,680平方センチメートル)の範囲にあることが見いだされた。電極を以前の提案よりも作業表面積で数倍大きく(典型的には、少なくとも一桁分大きく)することによって、患者の皮膚に直接か又はゲルを通じての直接物理的付着の必要性は、排除される。
図6で例示されるような、本明細書の発明による電極は、導電性プラスチック、ゴム、又は電極に用いられるとき、作業表面の各平方センチメートルによって提示される実効dc抵抗が約8000Ωよりも大きいという結果になる他の柔軟な材料でできていてもよい。シリコーン又はブチルゴムは、柔軟であるだけでなく、容易に洗濯もでき、殺菌もできるので、特に魅力的な材料であることが見いだされた。別法として、リターン電極の本体は、必要な伝導度を提供するように変えられる本質的に比較的高抵抗の柔軟材料でできていてもよい。後者の好ましい例は、炭素繊維などの導電性繊維を含浸させた、又はカーボンブラックなどの多量の他の導電性物質、多量の金、銀、ニッケル、銅、鋼、鉄、ステンレス鋼、真ちゅう、アルミニウム、もしくは他の導体を分布させたシリコーンゴム材料のそれである。
図6のさらなる参照は、電極114に付着される従来の電気コネクタ146の存在を明らかにし、電気手術用ラジオ周波数エネルギー源(図示されず)への従来の電気リターンを提供する。コネクタ146は、リターン電極への電気的接続を形成するための接続手段の機能を果たす能力がある別の構造である。コネクタ146は、所望の機能を果たすための1つの可能な構造の実例にすぎず、さまざまな他の構造が、所要の機能を果たす能力があることは、当業者には理解される。
図7は、図6の線7−7に沿って取得される断面図である。図7は、電極144が薄い高導電性の下部層148を含んで端子146への電流の外部への伝導を容易にすることを除いて、図2A〜2Cの電極110と同様の電極144を示す。好ましい一形態では、電極の厚さは、約1/32インチから1/4インチ(約0.08cmから0.64cm)の範囲にあり、その範囲は、材料の本体のインピーダンスの前述の範囲及び上部誘電体層の容量性リアクタンスに関して、使用及び取り扱いを容易にするための所望の物理的柔軟性と一緒に所要のインピーダンスを提供する。
図8は、図7の断面図に似ているが、しかし患者の手術着によって提示される静電容量を例示する断面図である。しかし、本明細書の発明による患者の手術着によって提示される分離を例示する多層実施形態を提示する。図8では、層150(図7の層144と同様)及び絶縁誘電体層、床擦れパッド、患者の手術着、手術室リネン、保護スリーブもしくはシース、又はそれらの任意の組合せを表す、上に位置する実効的に容量性の層152が、示される。図6及び図7の電極の構成と同様の構成に加えて、図8の導電層154は、金、真ちゅう、アルミニウム、銅、銀、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、導電性カーボン、導電性流体、ゲル、食塩水、及び同様のもののシート又はスクリーンを含むことがあり得ることを理解すべきである。図8のさらなる参照は、層150の下部表面を覆う別の誘電体層156を明らかにする。
図9は、図6乃至図8の実施形態のいずれかを包むのに適しているカバーの斜視図で、スリーブ160の斜視図である。それ故に、その提供は、使用後に電極を単に引き抜き、スリーブを廃棄できる不透水材料のスリーブの使用を通じて電極を汚染から保護することによって電極自体を洗浄する必要性を排除することが望ましい場合に、前述のリターン電極形状の電極を保護包被内に包むためにオプションとしてなされる。当業者には明らかとなるように、そのようなスリーブは好ましくは、ビニールプラスチック、ポリエステル又はポリエチレンなどの、いろいろな周知の材料のいずれかでできていてもよい。
図10は、図9のカバー内に包まれる図6乃至図8の実施形態の1つを例示する図である。スリーブ160の外側表面160aがあるのがわかり、実例となる目的でスリーブ160に包まれて示されるのは、図6の電極144である。
<全電極接地パッドインピーダンス及び自己限定的特徴>
図11は、患者との実効接触面積が実質的に物理的電極サイズ未満であるときのシミュレーション条件を例示する本発明による電極の斜視図で、導電性金属裏打ち172及び半絶縁層174から成る電気手術用電極170を描写する。電極170、及びより具体的には半絶縁層174は、その上の患者を表す別の導電層176と接触している。電気手術用リターン電極170の自己限定的特徴(電流密度をしきいレベルより下に維持する)は、そのようなインピーダンスが半絶縁層174単独から生じようと又は導電性金属裏打ち172及び/もしくは導電層176との組合せで生じようと、電極170の全インピーダンスに起因して生じる。さらに、全インピーダンスは、導電性金属裏打ち172、半絶縁層174及び/又は導電層176のさまざまな抵抗性、誘導性、及び/又は容量性成分から生じてもよい。
半絶縁材料の単一層174を含む電極170は、バルク抵抗率ρ及び厚さtを有する。導電性表面と患者との間に置かれる面積Aは、コンデンサ(C)と並列の抵抗(R)としてモデル化されてもよい。
説明を容易にするために、本発明者らは、電極170がコンデンサと並列の抵抗としてモデル化される純粋に抵抗性のシナリオで自己限定的であるための電極170の抵抗要件を決定することにする。純粋に抵抗性の場合に自己限定的であるための最小限の要件の計算に続いて、そのようなインピーダンスが、抵抗性、容量性及び/又は誘導性成分から生じるかどうかにかかわらず、任意のインピーダンスについて分析を一般化することにする。
そのため、コンデンサと並列の組合せの抵抗に等価な、結果として得られる全インピーダンスは、
Figure 0005551719
であり、ただしjは、リアクタンスの虚数成分であり、ωは、角周波数で、ω=2πfと定義され、ただしfは、電気手術用発生器周波数である。インピーダンスの大きさは、
Figure 0005551719
である。
Figure 0005551719
及び
Figure 0005551719
によって定義される、面積A、厚さt、バルク抵抗率ρ、及び材料の比誘電率κへのR及びCの依存性を代入すると、誘電率定数ε0=8.85×10-12F/mであるとして、全インピーダンスの大きさは、
Figure 0005551719
によって与えられる。AAMI規格によると、電気手術用電極の全インピーダンスは、正常動作条件下で75Ω未満とすべきである。従って、
Figure 0005551719
であることが好ましい。本発明者らは、βを
Figure 0005551719
と定義する。もしβ<<1ならば、電極は、AAMI規格に比べて非常に低いインピーダンスを有することになり、外科医は、電極に起因する電気手術用切断電力のどんな低下にも気付かないことになる。もしβ>>1ならば、電気手術用電極は、非常に大きなインピーダンスを提示することになるので、外科医は、もはや電気手術を行うことができなくなる。上記の不等式でβを使用すると、その式は、等式
Figure 0005551719
になる。
自己限定は、電極が患者と接触する大きな電極面積を有するときに(図15を参照)生じることが好ましいが、しかしながら患者が全電極面積のほんのわずかと接触するだけのときに(図11を参照)自己限定が生じることもまた、必要である。自己限定が適切に機能するためには、電流密度(I/Aによって与えられる)は、Iが電気手術用リターン電極の接触面積Aを通る全電流であるとして、臨界値
Figure 0005551719
を越えないことが必要である。AAMI規格は、正常な電気手術電流がおよそ500〜700mAであることを指示する。もし上記の平均電力手術について期待されるのと同じほどの安全な上限として100mA=Imaxと設定するならば、そのとき、Icriticalを越えることなく電流を電極に戻すためには、従来の電気手術用リターン電極についての接触面積Acontact(min)は、最小サイズ
Figure 0005551719
を有さなければならない。Imaxは、電極が患者と接触している時間、患者の皮膚の電気的特性(すなわち、抵抗率、及び同様のもの)、患者によって伝導される熱量、患者の初期皮膚温度、及び同様のものの変化に起因して、患者ごとに変化してもよいことが理解できる。従来技術に従って設計される電気手術用リターン電極に関しては、患者との接触面積が、Imaxを維持しながらAcontact(min)より下に低減する場合には、(I/A)critical>100mA/cm2であり、それは、やけどしきいであるので、やけどが、結果的に生じることもある。対照的に、本発明は、接触面積が著しく低減されるときは、電気手術処置もまた妨げながら、Acontact(min)より下の接触面積の低減から生じるやけどの可能性を制限する。従って、電極170の適切なインピーダンスを選択することによって、電流Iは、A<Acontact(min)であるときはいつもImaxより下に低減される。
そのため、面積Acontact(min)を持つ小さな電極とより大きな金属フォイルとの間のインピーダンスは、電流が、患者接触面積Acontact(min)のすぐ下でない領域を通って流れることができるので(図12)、絶対に
Figure 0005551719
でない。もし絶縁層の全面積がAcontact(min)であるならば期待されることになるよりも約10〜20%大きい電流が、患者接触面積Acontactを通って流れる。同等に、電極の実効インピーダンスは、もし追加の電流フローをもたらすこれらのエッジ効果が存在しないならば普通期待されることになるよりも10〜20%小さい。
図12は、実効患者接触面積が全電極面積よりもはるかに小さいときの電極内の電流フロー密度を例示する図である。前に述べたように、図12は、患者との上部接触面積が、全電極表面積よりもはるかに小さいときの電極の半絶縁部分を通る電流フロー分布を明らかにする。描写されるように、電流は、接触領域の周辺の並列経路を通って流れ、このようにして電流フローに対する全体のインピーダンスを低減し、それによって実効面積を約10〜20パーセント増加させる。図では、不透明な又は濃く線影の付いた領域は、より多くの電流フローを示し、より明るい又は軽く線影の付いた領域は、より少ない電流フローを示す。
電極が自己限定的であり、AAMI規格によって定義されるのと同じほど有効であるためには、Acontact(min)は、100mAと約2,000mAとの間の電気手術電流について約7cm2から約22cm2の値、より好ましくは約10cm2を有することが好ましい。同様に、βは、約10から約50に及び、より好ましくは約10の値を有することが好ましい。Acontact(min)及びβについてさまざまな値を使用して、上で述べたエッジ効果を説明するために1.2の係数を挿入しながら、異なる電気手術用発生器周波数ωにおいてバルク抵抗率ρの関数として厚さtについて方程式11を解くことが好ましい。本明細書で論じる特定の実例となる実施形態では、1.2の係数は、方程式の抵抗性及びリアクタンスの項に含まれるが、しかしながら、1.2の係数は、抵抗性及びリアクタンスの両方の項について形状依存であり、変化してもよいことが当業者には理解されてもよい。加えて、1.2の値は、現在述べる自己限定的電極の実例となる形状に基づいており、電極の形状が異なるエッジ効果を説明するために変化するにつれて変化してもよい。
結果として得られる方程式(自己限定に影響を及ぼすパラメーターの相互関係を識別し、定義する)は、
Figure 0005551719
である。
図13は、異なる電気手術用発生器周波数について電極厚さの関数として抵抗層のバルク抵抗率の変化をグラフに示す図である。方程式15を使用して、図13は、κ=5を必要として、電極厚さに関する最小バルク抵抗率の変化を例示する。使用すると想像される最大電極厚さは、約0.5から約4インチ(約1.3cmから約10.2cm)に及び、より好ましくは約1インチ(約2.5cm)厚さとなる。これらの厚さより上では、電極は、広く使用されなくなり、患者にとって不快になることもある。それ故に、自己限定的であるためには、そのような厚さの電極についての最小バルク抵抗率は、約4000Ω・cmである。
前の方程式及び議論は、電極170(図11)が自己限定的であるために必要とされるバルク抵抗率を代表する。しかしながら、上記の分析は、主として容量性もしくは誘導性成分、又は抵抗性、容量性、及び/もしくは誘導性成分の組合せを使用してモデル化される電極について必要な自己限定的インピーダンスを得るために繰り返されてもよいことが理解されてもよい。従って、次に来るのは、そのようなインピーダンスが、インピーダンスの抵抗性、容量性及び/又は誘導性成分から生じるのかどうかにかかわらず、電極170のバルクインピーダンスについての自己限定要件の議論である。
本発明の電気手術用電極の自己限定的挙動は、患者と電気手術用リターン電極との間の接触面積が実質的に低減されるとき、電極部位のやけどを不可能にするのに十分なリターンインピーダンスの存在の結果として生じる。上で示したように、電流密度が100mA/cm2より下に保たれる要件と相まって1000mAの最大電気手術電流の組合せは、10cm2の最小安全接触面積をもたらす。
一般に、この要件は、接触面積が10cm2まで低減されるとき、結果として得られる回路によって提示される全インピーダンスが、約75β以上であるという条件で、コンデンサ、抵抗、及びインダクタさえもの直列及び並列組合せを含む、さまざまな構成で任意の数の電子部品が一緒に接続されることで満たすことができる。
電気手術用発生器のリターン電極と患者との間の回路の全インピーダンスをZTOTと定義する。このインピーダンスは、患者とリターン電極との間に挿入される材料の容量性、抵抗性、及び誘導性の特性によって生成される。本発明者らは、周波数依存である、材料の「バルクインピーダンス」η、材料のインピーダンスの体積非依存尺度を
Figure 0005551719
と定義する。ここでAは、材料の面積であり、tは、厚さである。これは、体積依存オーム性抵抗Rと前に述べた「バルク抵抗率」ρと呼ばれる抵抗性材料の関連する体積非依存特性との間の関係に似ている。
自己限定要件を記述する1つの方法は、ηの観点から
Figure 0005551719
と表現される。従って又は、
Figure 0005551719
前の場合(最小バルク抵抗率仕様)について、本発明者らは、A=Acontact(min)=10cm2(約1.55インチ2)、β=10、及びt=tmax=1インチ(約2.5cm)、ならびにエッジ効果を説明するために1.2の係数を使用して、純粋な抵抗性電気手術用電極について
|η|>4000Ω・cm (19)
であることを見いだした。従って、純粋に抵抗性の場合には、バルクインピーダンス(η)は、電極の導電性材料のバルク抵抗率(ρ)であると確認される。しかしながら、方程式19での結果は、抵抗性、容量性、及び誘導性成分、ならびにそれらの任意の組合せを含む、すべての材料及び電気成分に一般化される。電気手術用電極のバルクインピーダンスが4000Ω・cmより大きい限り、電極は、自己限定的挙動が抵抗性、容量性、誘導性インピーダンス、又はこれらのインピーダンスの任意の組合せに起因するかどうかにかかわらず、自己限定的であることになる。
代替の説明に役立つ例として、自己限定的電気手術用電極は、絶縁性(誘電性)材料で被覆された導電性/抵抗性リターン平板を使用して構成されてもよく、又は患者手術着は、誘電材料から構成され、金属性又は抵抗性リターン電極が、使用されてもよい。これらのデバイスの総合効果は、容量性インピーダンスと直列の抵抗性インピーダンスを生成することとなる。
リターン電極を抵抗性及び容量性インピーダンスの観点からモデル化する、上で定義した説明に役立つ例については、電気手術用電極の全インピーダンスは、抵抗性及び容量性インピーダンスの合計であり、
Figure 0005551719
によって与えられる。材料バルク抵抗率、比誘電率、面積、及び厚さの観点から、全インピーダンスは、
Figure 0005551719
である。方程式の両側に面積Aをかけ、厚さtで割ることによって、本発明者らは、バルクインピーダンスη
Figure 0005551719
を導出することができる。バルクインピーダンスの大きさは、
Figure 0005551719
である。もし本発明者らが、
Figure 0005551719
を必要とするならば、そのとき、
Figure 0005551719
そのため、エッジ効果は、電極のバルクインピーダンスを約10〜20パーセントだけ低減し、それによって自己限定的電極の実効面積の約10〜20パーセントだけの対応する増加を引き起こし、望ましくない電気手術やけどの可能性を低減する。
図14は、さまざまな電気手術用周波数において本発明による電気手術用電極の厚さで割った面積の関数としてバルク抵抗率をグラフに示す図で、さまざまな電気手術用周波数についてA/t対バルクインピーダンスηをプロットする。y軸は、バルクインピーダンスの関数として自己限定的挙動を有するためにA/tの最小比を有する。本発明者らは、いつも4000Ω・cmより大きいバルクインピーダンスを必要とすることに留意されたい。プロットの右側では、曲線はすべて、1つに融合する。この領域では、回路の全インピーダンスは、抵抗性成分によって支配され、それ故に周波数に非依存である。左側では、回路インピーダンスは、電流の容量性伝導によって支配される。この領域で低いオーム性抵抗を持つ十分な全インピーダンスを提供するためには、数百から約10,000の面積対厚さ比が、必要とされる。
従って、結果として得られる最低の可能なバルクインピーダンスは、Twentierに発行された特許文献3によって予想されるそれよりも大きく、その結果、本明細書の発明による自己限定的電極は、周知の従来技術によって教示も示唆もされないように見える。本明細書の発明による製品は、電極面積又は電極厚さに非依存の、絶縁材料のバルク抵抗率などのバルクインピーダンスの簡単なテストを通じて以前の技術から容易に区別することができる。
<形状、材料及び電力源の相互関係>
上で述べたように、図11乃至図17は、前述の自己限定的特性を得るために用いられる形状及び材料の特性を規定するために説明される。なお自己限定的なままでありながら、容量性伝導を利用する電気手術処置に使用されてもよい電極に関連する説明に役立つ情報及び例を提示するための議論が、以下の本明細書でなされることになる。容量性伝導のもとで機能する電気手術用電極に関する議論が、本明細書でなされるけれども、同様の説明に役立つ情報及び例は、当業者には周知であるように、抵抗性及び誘導性伝導について提供されてもよい。
図15は、本発明による電極のオーム性及び容量性領域と動作的に関連する患者の回路等価物を分析の目的のために例示する斜視図で、導電性金属裏打ち172ならびにバルク抵抗率ρ、厚さt及び面積Aを持つ材料の半絶縁層174から成る電気手術用電極170を描写する。電極は、その上の患者を表す別の導電層176と接触している。
図16は、図15に等価な簡単な電子回路図である。回路は、図16で例示されるようにコンデンサCと並列の抵抗Rとしてモデル化できる。抵抗Rは、公式
Figure 0005551719
によってバルク抵抗率ρ、面積A、及び厚さtに関係している。静電容量Cは、次式
Figure 0005551719
の通りに、面積A、厚さt、誘電率定数ε0=8.85×10-12F/m、及び材料の比誘電率κに近似的に関係している。コンデンサインピーダンスの大きさは、
Figure 0005551719
である。抵抗性経路に起因する電流フローに対する容量性経路に起因する電流フローの比Yは、
Figure 0005551719
である。比Yは、電極面積及び厚さに非依存であり、κ及びρだけに依存する。主として容量性結合については、Y>>1であるが、主として抵抗性電流については、Y<<1であり、容量性電流と抵抗性電流との間の境界は、Y=1である。
1=2πfκε0ρ (30)
本発明者らは、κ及びω=2πfの公称値を所与として、ただしfは、電気手術用発生器周波数であるが、ε0の値とともにこれを使用して、容量性伝導に必要なρの値を見いだすことができる。
Figure 0005551719
大部分の絶縁材料について、κは、3から5に及ぶ。市販の電気手術用発生器は現在、200kHzから4MHzに及ぶ動作周波数を有する。κ=5及びf=4MHzについては、電気手術用電極がそれの電流の大部分を容量性結合を通じて戻すためにρ≧1×105Ω・cmであることが好ましい。κ=3及びf=200kHzについては、本発明者らは、ρ≧3×10Ω・cmを必要とする。
容量性結合を通じて導かれる全電流の百分率は、
Figure 0005551719
によって与えられる。
図17は、異なる電気手術用動作周波数について抵抗層のバルク抵抗率の関数としてパーセント容量性電力伝導をグラフに示す図で、さまざまな周波数の電気手術用発生器について容量性結合の百分率(%)を例示する。極値(4MHz)では、105Ω・cmの最小バルクインピーダンスが、電流の大部分が容量性結合を通過するために必要とされる。
<加熱及び圧力低減能力を持つ電極>
図18は、本発明の一実施形態による電気手術用電極の部分的分解図を例示する図で、図19は、電気手術用電極の構成を示す図18の電気手術用電極の構成要素のいくつかの分解図を例示する図である。図18及び図19を参照すると、本発明の代替実施形態が、描写される。図18及び図19で例示される電気手術用電極は、上で述べたように、電気手術処置中に患者のやけどを防止するように自己限定的である。例示される電気手術用電極はまた、電気手術用電極がその上に載っている患者を暖めることを可能にする加熱素子も含む。例示される電気手術用電極はまた、長時間の手術処置中に生じることもある褥瘡性潰瘍又は床擦れ発症の可能性を低減するのに役立つ1つ又は複数のパッドも含んでいる。自己限定的特性を床擦れ低減及び加熱特性と組み合わせることによって、本発明の電気手術用電極は、患者の快適度を高め、患者を床擦れの発症から保護しながら、本明細書で述べるような自己限定的電気手術用電極の便益を提供する。
電気手術用電極の一実施形態で実装される構成要素の例は、図18及び図19で例示される。これらの図は、電気手術用電極を組み立てるために使用される材料を含む電気手術用電極の構成を例示する。図18は、電気手術用電極180の柔軟な性質を例示する部分的分解図を例示し、その電極は、第1のカバー層182、断熱層184、加熱素子186、第1の床擦れパッド188、導電性素子又は電極190、第2の床擦れパッド192、及び第2のカバー層194を含む。電気手術用電極180は、電極190に付着される従来の電気コネクタ196をさらに含み、電気手術用ラジオ周波数エネルギー源(図示されず)への従来の電気リターンを提供する。電気手術用電極180は、また、加熱素子186に付着される電気コネクタ198も含み、電力を加熱素子186に提供する。図18での例の実施形態は、部分的に分解されるように例示されるが、完成した実施形態は、断熱層184、加熱素子186、第1の床擦れパッド188、電極190、及び第2の床擦れパッド192が、第1のカバー層182と第2のカバー層194との間に密封されるように製造されてもよい。
図19は、電気手術用電極180の個々の構成要素をより明瞭に例示するために電気手術用電極180の完全に分解された図を例示する。図19で例示されるように、第1及び第2のカバー層182及び194は全体的に、電気手術用電極180の内部構成要素の反対側に配置される材料の平面シートである。電気手術用電極180の構成中に、第1のカバー層182は、図19で例示されるように位置決めされる。次に、断熱層184は、第1のカバー層182の上部に位置決めされ、加熱素子186は、断熱層184の上部に位置決めされる。第1の床擦れパッド188は次いで、加熱素子186の上部に置かれる。電極190は次いで、第1の床擦れパッド188の上部に位置決めされ、第2の床擦れパッド192は、電極190の上部に置かれる。最後に、第2のカバー層194は、第2の床擦れパッド192の上部に位置決めされる。電気手術用電極180のさまざまな構成要素がそのように位置決めされると、第1及び第2の層182及び194の周囲のエッジは、つなぎ合わされ、密封され、さもなければ閉じられてもよい。
本明細書で述べるように、電気手術用電極180のさまざまな構成要素は、柔軟であり、その結果患者が電気手術用電極180上に位置決めされるとき、電気手術用電極180は、患者の体の形に全体的に一致することができる。加えて、その柔軟性は、電気手術用電極180が使用されないときは丸められる又は畳まれることを可能にし、それによって運搬し、保管することをより容易にする。
電気手術用電極180のさまざまな構成要素のより詳細な記述は、今から提供されることになる。これらの構成要素は、各構成要素に使用できるいくつかの例となる材料を含む、いくらかの具体性を持って述べられることになるが、次の記述は、単に例となるものであることが理解されよう。電気手術用電極180が、本明細書で論じる機能性、すなわち自己限定性、患者の加熱、及び床擦れ防止を提供する限り、電気手術用電極180の構成要素は、本発明の範囲から逸脱することなく別の方法で構成できかつ/又は配置できる。
いくつかの実施形態では、第1及び第2のカバー層182及び194は、洗浄できる、殺菌できる、消毒できる、及び同様の能力があるさまざまな材料から製作されてもよい。従って、第1及び第2のカバー層182及び194は、天然又は合成製品を含む、さまざまな種類の材料から製造されてもよい。例えば、第1及び第2のカバー層182及び194は、ビニールプラスチック、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、柔軟なシートポリマー、ナイロン、及び同様のものを含んでもよい。上で述べたように、電気手術用電極180のさまざまな構成要素がそのように位置決めされると、第1及び第2のカバー層182及び194の周囲のエッジは、つなぎ合わされ、密封され、さもなければ閉じられてもよい。図18及び19で例示されるように、第1及び第2のカバー層182及び194は、電気手術用電極180の内部構成要素のエッジをわずかに越えて広がる。これは、第1及び第2のカバー層182及び194が接着剤、熱溶接、又は別の適切な方法もしくは方法の組合せなどを使用することによって密封されることを可能にする。
電極190は、一構成では、導電性素子として用いられるとき、電気手術用電極180の作業表面(患者と接触している又は近接近している表面)の各平方センチメートルによって提示される実効DC抵抗が約8000オームより大きいという結果になる又は別法として4000Ω・cmより大きいバルクインピーダンスを提供することになる導電性プラスチック、ゴム又は他の柔軟な材料でできている。さまざまな材料が、所要のインピーダンスを与えるのに適切なこともある。例えば、シリコーン又はブチルゴムは、柔軟であるだけでなく、容易に洗濯もでき、消毒もでき、殺菌もできるので、電極190にとって特に魅力的な材料であることが見いだされた。別法として、別の実施形態では、電極190は、必要な伝導度を提供するように変えられる本質的に比較的高抵抗の柔軟な材料でできていてもよい。後者の一例は、カーボンブラック、多量の金、銀、ニッケル、銅、鋼、鉄、ステンレス鋼、真ちゅう、アルミニウム、又は他の導体などの導電性繊維を含浸させたシリコーンゴム材料のそれである。
なお別の代替構成では、電極190は、マイクロ波放射、赤外線(IR)放射、紫外線(UV)放射、X線放射、ラジオ周波数(RF)、及び同様のものなどだが限定されない、電磁放射の1つ又は複数の波長に実質的に透明である材料から製作されてもよい。これは、電気手術用電極180のその他の構成要素が電磁放射の1つ又は複数の波長に透明であるとき、電極190及び電気手術用電極180が、電磁放射の特定の波長を使用するある医療処置の実行中に適当な位置に維持されることを可能にする。
電極190が、電極の機能を果たす能力がある、すなわちそれを通って電流を通過させる能力がある限り、電極190は、さまざまな他の構成を有してもよいことが当業者には理解されてもよい。例えば、別の実施形態では、電極190は、電気手術用ラジオ周波数エネルギー源(図示されず)への電気手術用電極180の接続を容易にする薄い高導電性下部層を含む。別の代替実施形態では、電極190は、多層の導体から構成される。さらになお別の実施形態では、電極190は、前に述べた電気手術用電極に似て、内部導電層を実質的に取り囲む外部誘電体層を含む。
図18及び図19に戻って注意して、電気手術用電極180の床擦れ防止能力が、次に論じられることになる。上で述べたように、電気手術用電極180の例示される実施形態は、第1及び第2の床擦れパッド188及び192を含む。第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、患者が電気手術処置の前に、間に、かつ/又は後に電気手術用電極180に快適に載っていることを可能にするように電気手術用電極180内に構成される。以下でより詳細に論じるように、第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、患者の体の輪郭に一致するように適合され、それによって患者と電気手術用電極180との間の接触面積を増加させる。第1及び第2の床擦れパッド188及び192から結果として生じる接触面積の増加は、患者に包括的で、均一に分布した支持を提供し、それによって床擦れなどの病気を回避する。このように、第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、電気手術用電極180上に位置決めされる患者の体重及び下向きの力を支持し、全リターン電極にわたって分布させて、床擦れ発症の可能性を低減する。第1及び第2の床擦れパッド188及び192に加えて、いくつかの例となる実施形態では、断熱層184もまた、患者に包括的で、均一に分布した支持を提供して、床擦れの発症を防止することができる。従って、以下の議論は、第1及び第2の床擦れパッド188及び192によって果たされる特性、特徴、及び機能に焦点を合わせるが、この議論は、いくつかの実施形態では、断熱層184に同等に適用可能であることが理解されよう。
例示の実施形態によると、第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、電気手術用電極180内に特定の方法で構成され、配置される。特に、第2の床擦れパッド192は、電極190の上部に置かれ、その結果第2の床擦れパッド192は、患者が電気手術用電極180上に位置決めされるとき、患者と電極190との間に位置決めされる。加えて、第1の床擦れパッド188は、電極190と加熱素子186との間に位置決めされる。さらに、図でわかるように、第1の床擦れパッド188は、第2の床擦れパッド192よりも厚い。必須ではないが、第1及び第2の床擦れパッド188及び192のこれらの構成ならびに相対位置は、電気手術用電極180の述べられる機能性に寄与することができる。
限定しない例として、第2の床擦れパッド192の比較的薄いサイズは、電極190と電気手術用電極180に載っている患者との間の容量性結合を容易にすることができる。この容量性結合を通じて、電気手術中に使用される電流は、患者から電極180に通される。本明細書での開示を考慮すると当業者には理解されるように、患者と電極190との間の容量性結合は、電気手術用電極180の自己限定的特性に直接関連付けることができる。それ故に、第2の床擦れパッド192の比較的薄いサイズは、安全で、効果的な電気手術を可能にするように患者と電極190との間の良好な電気的結合に寄与する。
いくつかの実施形態では、第2の床擦れパッド192は、誘電体層の役割を果たして、患者と電極190との間に流れる電流を低減してもよい。別法として、第2の床擦れパッド192は、導電性材料の形をとって、それを通る電流の伝達を助けてもよい。加えて、第2の床擦れパッド192は、電気手術処置中に熱の分布のための熱質量を提供してもよい。上で論じたように、AAMI規格は、電気手術処置中に患者の組織の温度上昇がセ氏6度(6℃)より下にとどまるべきであることを要求する。第2の床擦れパッド192が提供する熱質量は、患者の体全体にわたる熱の分布を助けることができ、電気手術用電極180の自己限定的特性と組み合わせて、患者をやけどさせることもあるホットスポットの可能性を実質的に排除できる。その結果、第2の床擦れパッド192に使用される物質は、電気手術処置中に多機能を果たしてもよい。
上で述べたように、第1の床擦れパッド188は、比較的厚い。第1の床擦れパッド188の比較的厚いサイズは、電気手術用電極180の床擦れ防止能力に寄与することができる。第1の床擦れパッド188は、患者を均一に支持し、患者の体の輪郭にフィットして患者の体重を分布させて床擦れ発症の可能性を低減するのに十分なだけ厚く、反応がよい。加えて、第1の床擦れパッド188の比較的厚いサイズは、電極190と加熱素子186との間の電気絶縁層の役割を果たすことができる。当業者には理解されるように、加熱素子186及び電極190を電気的に絶縁することは、電気手術処置の効果的な実行を助けることができる。
この実施形態の一態様では、第1及び第2の床擦れパッド188及び192、ならびにオプションとして断熱層184は、粘弾性発泡体などの「回復の遅い」又は「記憶性」発泡体で構成される。この発泡体は、熱伝導性とすることができ、熱を加熱素子186から電気手術用電極180上に位置決めされる患者に効果的に伝えるように選択できる。この発泡体はまた、好都合な圧縮特性も実証し、それによって骨ばっている隆起が位置する患者のそれらの部分に加えられる点状の力を減少させる。このように、第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、患者に働く圧力を低減し、それによって床擦れの発症を制限する。
発泡材料が使用される本実施形態によると、第1及び第2の床擦れパッド188及び192の全厚さは、約0.22インチ(0.56cm)から約3.5インチ(8.89cm)の範囲に及ぶことができる。例えば、第1の床擦れパッド188が、粘弾性発泡体で形成されるときは、第1の床擦れパッド188は、約0.20インチ(0.51cm)から約3.0インチ(7.62cm)の間、より好ましくは約0.25(0.64cm)インチから約2.0インチ(5.08cm)の間の厚さを有してもよい。第1の床擦れパッド188をこれらの範囲内で形成することは、上で述べた機能性を提供することができる。例えば、第1の床擦れパッド188をそのような厚さを持つ発泡材料で形成することは、患者への実質的に均一な支持及び患者の体重の分布もまた提供して床擦れ発症の可能性を低減しながら、第1の床擦れパッド188が電極190及び加熱素子186を電気的に絶縁することを可能にできる。
同様に、第2の床擦れパッド192が、粘弾性発泡体で形成されるとき、第2の床擦れパッド192は、約0.02インチ(0.05cm)から約0.5インチ(1.27cm)の間、より好ましくは約0.05(0.13cm)インチから約0.3インチ(0.76cm)の間の厚さを有してもよい。第2の床擦れパッド192をこれらの範囲内で形成することは、上で述べた機能性を提供することができる。例えば、第2の床擦れパッド192をそのような厚さを持つ発泡材料で形成することは、第2の床擦れパッド192が電極190と電気手術用電極180に載っている患者との間の容量性結合を容易にすることを可能にでき、それによって電気手術用電極180の自己限定的特性に影響を及ぼし、このようにして安全で、効果的な電気手術を可能にする。第2の床擦れパッド196はまた、患者への実質的に均一な支持及び患者の体重の分布も提供することができ、床擦れ発症の可能性を低減する。
代替実施形態では、第1及び第2の床擦れパッド188及び192の各々、ならびにオプションとして断熱層184は、本明細書で論じる圧力低減特性を提供する材料で満たされた1つ又は複数のチャンバーを使って形成できる。より具体的には、規定体積の材料が、第1及び第2の床擦れパッド188及び192、ならびにオプションとして断熱層184のチャンバー内に保有されるので、個人が電気手術用電極180に載っているとき、その材料は、患者の下向きの力を材料全体にわたって分布させ、それによって骨ばっている隆起が位置する患者の人体のそれらの部分に加えられる点状の力を減少させる。このように、第1及び第2の床擦れパッド188及び192、ならびにオプションとして断熱層184は、患者に働く圧力を低減し、それによって床擦れの発症を制限する。
第1及び第2の床擦れパッド188及び192が発泡材料で形成される実施形態と同様に、本実施形態での第1及び第2の床擦れパッド188及び192のチャンバーを満たす材料は、誘電体層の役割を果たして、第1又は第2の床擦れパッド188及び192を通って流れる電流を低減してもよい。別法として、その材料は、導電性材料の形をとって、それを通る電流の伝達を助けてもよい。加えて、充填材量は、電気手術処置中に熱の分布のための熱質量を提供して、患者の体全体にわたる熱の分布を助け、電気手術用電極180の自己限定的特性と組み合わせて、患者をやけどさせることもあるホットスポットの可能性を実質的に排除してもよい。その結果、充填材料に使用される物質は、電気手術処置中に多機能を果たしてもよい。
一般に、第1及び第2の床擦れパッド188及び192、ならびにオプションとして断熱層184のチャンバーを満たすために使用される材料は、電気手術用電極180に必要とされる圧力低減、誘電性、及び/又は導電性特性に応じて1つもしくは複数の固体、液体、気体、又はそれらの組合せの形をとってもよい。例えば、実例となる一実施形態では、充填材料は、ソルボセイン(sorbethane)などの、低デュロメータレベルを有するエラストマーゲルである。ソルボセインに加えて、さまざまな他のエラストマーゲルが、使用されてもよく、例えばウレタン、シリコーン、親水性エラストマーもしくはヒドロゲル、ビニール、ビニールアルコールの高分子化学、又は他の同様の材料及び技術に基づくそれらなどだが限定されない。加えて、充填材料は、水、食塩水、水ベースの材料、導電性オイル、及び同様のものの形をとってもよい。
さらに、第1及び第2の床擦れパッド188及び192、ならびにオプションとして断熱層184を形成できるいろいろな材料は、いろいろな特性を有することができる。例えば、粘弾性発泡体は、患者の快適度に影響を及ぼす可能性がある広範囲の密度を備えて形成できる。加えて、その材料は、さまざまな環境条件に対応するように適合できる。いくつかの実施形態では、例えば、粘弾性発泡体は、熱が加えられるとより柔らかくなるように適合できる。それ故に、患者が電気手術用電極180に載っているときは、患者の体熱及び/又は加熱素子186からの熱は、第1及び第2の床擦れパッド188及び192、ならびにオプションとして断熱層184を柔らかくすることができ、それによって患者の体の輪郭にさらに一致する。
本実施形態は、第1の床擦れパッド188が第2の床擦れパッド192よりも厚い状態で示され、述べられたが、2つの床擦れパッドの例示される構成は、本発明に必要でないことが理解されよう。例えば、第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、実質的に同じ厚さを有してもよく、又は第2の床擦れパッド192は、第1の床擦れパッド188よりも厚くてもよい。同様に、第1及び第2の床擦れパッド188及び192と比べて断熱層184の相対厚さは、本発明の範囲を限定することを意図されない。加えて、第1及び第2の床擦れパッド188及び192ならびに断熱層184は、異なる材料で形成されて所望の機能性を提供してもよい。例えば、第1の床擦れパッド188は、ゲルを満たしたチャンバーを使って形成されてもよく、一方で第2の床擦れパッド192は、粘弾性発泡体で形成されてもよく、又は逆もまた同様である。
第1及び第2の床擦れパッド188及び192ならびに断熱層184の各々のための材料及び特定の構成の選択は、第1及び第2の床擦れパッド188及び192ならびに断熱層184が、本明細書で述べる機能性(すなわち、患者と電極190との間の容量性結合、加熱素子186と電極190との間の電気絶縁、床擦れ防止、及び加熱素子186と手術台との間の断熱)を提供できるように行うことができる。同様に、第1の床擦れパッド188又は第2の床擦れパッド192は、除去されてもよい。例えば、もし加熱素子186が、導電性材料で形成されないならば、第1の床擦れパッド188は、患者及び電極190を容量的に切り離すことなく除去されてもよい。
さらに、電気手術用電極180のさまざまな内部要素は、分離した別個の層であるように例示され、述べられたが、電気手術用電極180のさまざまな内部層は、電気手術用電極180の形成中に一体的に形成できる又は互いに統合できることが理解されよう。例えば、断熱層184ならびに第1及び第2の床擦れパッド188及び192は、これらの層が一体的に形成されるもしくは一緒に結合されて統合ユニットを作るような材料で又はプロセスを通じて形成されてもよい。例えば、断熱層184ならびに第1及び第2の床擦れパッド188及び192は各々、図18及び図19で示されるように配置される発泡材料で形成されてもよい。別法として、例えば、断熱層184ならびに第1及び第2の床擦れパッド188及び192が、ゲルで形成されるとき、これらの層は、別々に注がれて又は型に入れられて各層を形成してもよく、その後にさまざまな層は、一緒になる又は結合される。より具体的には、断熱層184は、注がれて又は型に入れられて断熱層184を形成するゲル材料で形成されてもよい。加熱素子186が次いで、断熱層184上に置かれてもよい。ゲルが次いで、注がれて又は型に入れられて加熱素子186上に第1の床擦れパッド188を形成してもよい。電極190が次いで、第1の床擦れパッド188上に置かれてもよく、ゲルが、注がれて又は型に入れられて電極190上に第2の床擦れパッド192を形成してもよい。このプロセス及び/又は使用される材料は、これらのさまざまな層を一緒に結合させる又は統合させるようになり、その結果層はもはや、分離可能でない。
注意は次に、加熱素子186に向けられる。加熱素子186は、電気手術用電極180上に位置決めされる患者を暖めるための熱を生成するように適合される。本明細書の他のところで述べたように、電気手術用電極180内に加熱素子186を組み込むことには非常に多くの利点がある。その利点のいくつかは、患者を暖めるため及びリターン電極の機能性を提供するための両方に1つのデバイスを使用することの利便性を含む。予熱毛布などの、患者を上側から暖める従来の加温デバイスに優る、電気手術用電極180へ加熱素子186を組み込むことの別の利点は、熱が、患者の真下に提供される包括的な支持体を通じて患者の体により効果的に加えられることである。患者を覆って置かれる予熱毛布は、患者から遠くに毛布から離れて上昇する熱エネルギーを無駄にする。対照的に、電気手術用電極180及び加熱素子186は、患者の真下に位置決めされ、その結果加熱素子186から上昇する熱エネルギーは、自然に患者によって吸収され、無駄にされないことになる。本発明のさらなる利点は、本発明が、患者の温かさを損なうことなく患者への病院職員の完全なアクセスを与えることである。
加熱素子186は、多数の形のいずれか1つをとってもよい。一実装形態では、加熱素子186は、患者を暖めるための熱を生成するシステムを含んでもよい。そのようなシステムは、電気手術用電極180内の1つ又は複数の導管を通って循環される加熱材料を含んでもよい。そのような加熱システムの例は、Fleenor他に発行された「Pressure Sore Pad Having Self-Limiting Electrosurgical Return Electrode Properties and Optional Heating/Cooling Capabilities」という名称の特許文献4で述べられ、それの開示は、この参照により全体として組み込まれる。
別の実装形態では、加熱素子186は、キャリア材料が導電性材料になるようにカーボンを含浸したキャリア材料を含む。いくつかの実施形態では、キャリア材料は、エラストマーポリマーとすることができる。導電性材料上には、導電性材料と電力源との間の電気的接続を容易にする1つ又は複数の導電性レール又はポールがある。そのような構成では、電流は、電力源から導電性レールを通って導電性材料中に通すことができる。キャリア材料全体にわたって分散されるカーボン粒子は、それを通って電流を通すとき熱を発生する。ポリマーキャリア材料は、熱スプレッダの役割を果たして生成熱を導電性材料の表面にわたって均等に広げることができる。発生された熱は、加熱素子から、電気手術用電極180のその他の構成要素を通って、電気手術用電極180上に位置決めされる患者に伝えることができる。そのようなカーボン含浸材料の例は、United Kingdomに位置するInditherm PLCから入手でき、O’Grady他への「Conductive Materials」という名称の特許文献5で述べられ、それの開示は、この参照により全体として組み込まれる。
加熱素子186の他の実施形態は、導電性繊維及びメリノ羊毛、難燃性ポリエステル、又はアラミドを使用して編まれる加熱織物を含み、所望の加熱特性をもたらす。これらの織物は編まれているので、それらは、伸ばすことができ、頑丈である。例えば、これらの織物は、切断され、引き裂かれ、又はそれらの中に穴を有するときも、なお均等に分布した熱を安全に提供することができる。加えて、これらの加熱織物は、厳しい引っ張り、摩擦及び伸張に損傷なく耐えることができる。メリノ羊毛で編まれるとき、これらの加熱織物は、自己消火性であるという追加の安全性を有する。さらに、これらの織物は、容易に洗濯でき、殺菌できる。そのような加熱織物の例は、New Zealandに位置するWeraから入手でき、Wichmanへの「Textile Articles Incorporating an Electrical Heating Element(s)」という名称の特許文献6で述べられ、それの開示は、この参照により全体として組み込まれる。加熱素子186としての使用に適していることもある他の例となる加熱織物は、Lowrence、Massachusettsに位置するMalden Mills Industries、Inc.から入手できる加熱織物を含み、特許文献7、8、9、10、11、及び12の1つ又は複数で述べられる。
さらになお他の実施形態では、加熱素子186は、発熱ストリップ及び熱拡散素子を含んでもよい。発熱ストリップは、例えば電気−熱結合材料又は抵抗素子であってもよい。いくつかの実施形態では、発熱ストリップは、銅、銅合金又は他の導体であってもよい。その導体は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーを周囲の環境に伝えてもよい。別法として、発熱素子は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する能力がある、半導体、セラミック導体、他の複合導体、その他などの別の導体を含んでもよい。発熱ストリップは、電気絶縁及び温度調節のための1つ又は複数の層を含んでもよい。熱拡散素子は、熱を発熱ストリップから離れて伝導し、熱を熱拡散材料の表面にわたって均等に広げるように適合された熱伝導材料であってもよい。いくつかの熱拡散材料の例は、銅及びアルミニウム(又はそれらの合金)などの高伝導性金属、又はグラファイトなどの材料を含んでいる。
とりわけ、本明細書で述べる例となる加熱素子は、電気手術用電極180に組み込むことができる加熱素子の完全なリストであることを意図されない。加熱素子186としての使用に適していることもある他の加熱素子又はシステムはまた、例えば導電性インクを塗布されたポリマー又はタングステンで形成された柔軟な加熱ストリップを含んでもよい。それ故に、他の加熱素子は、本明細書で述べる加熱素子に追加して又は代替物として使用されてもよい。
さらに、電気手術用電極180に組み込まれる任意の加熱素子はまた、加熱素子186が発生する熱量を調節するための制御回路又は他の手段も含むことができる。制御回路は、電気コネクタ−198を介して電力を加熱素子186に提供することができる。制御回路は、オプションとして、加熱素子186の性能を監視して適切な機能性を保証することができる。加熱素子186及び任意の関連する制御回路は、独立して動作させることができる。すなわち、加熱素子186及び任意の関連する制御回路は、電気手術用電極180の他の構成要素の性能に影響を及ぼす又は影響されることなく制御できる。このように、加熱素子186は、たとえ電気手術用電極180が、電気手術電流のためのリターン経路として使用されていなくても、熱を電気手術用電極180に載っている患者に提供するために用いることができる。加熱素子186はまた、追加の安全性特徴を含んでもよい。例えば、加熱素子186は、難燃性材料及び/又は被覆、回路遮断器、ヒューズ、半導体ベースの過電流保護、地絡保護、アーク故障保護、ならびに同様のもので形成される又は含んでもよい。
電気手術用電極180に含めるための加熱素子を選択するとき、さまざまな要因が、考察されてもよい。例えば、柔軟な加熱素子の選択は、性能及び電気手術用電極180を使用し、保管する利便性の両方に寄与することができる。より具体的には、柔軟な加熱素子は、電気手術用電極180が患者の体の形状により容易に合わせることを可能にし、このようにして電極190と患者との間のより良好な容量性結合をもたらすだけでなく、床擦れの発症を防止するのにも役立つ。
電気手術用電極180の大部分の構成要素と同様に、加熱素子186は、耐久性があり、長持ちすべきである。大きなリターン電極、加熱パッド、床擦れ防止パッドは各々、繰り返し使用され、使用の間の保管のためにしばしば畳まれる又は丸められる。それ故に、電気手術用電極180に組み込まれる加熱素子は、繰り返し使用、畳むこと、及び丸めることに耐えることができるべきである。これは、加熱素子186が電気手術用電極180に組み込まれ、加熱素子186を交換することが困難な又は少なくとも不便なこともある本発明に関して特に重要である。従って、加熱素子186は、電気手術用電極180の比較的長寿命に寄与するために柔軟であり、耐久性のあることが望ましい。
電気手術用電極180が、電気手術処置の前に、間に、及び後に使用されるように構成できるという点において、他の医療処置を妨げない材料で電気手術用電極180を形成することは、望ましい可能性がある。例えば、上で論じた電極190と同様に、加熱素子186は、マイクロ波放射、赤外線(IR)放射、紫外線(UV)放射、X線放射、ラジオ周波数(RF)、及び同様のものなどだが限定されない、電磁放射の1つ又は複数の波長に実質的に透明である材料から形成されてもよい。これは、電気手術用電極180のその他の構成要素が電磁放射の1つ又は複数の波長に透明であるとき、加熱素子186及び電気手術用電極180が、電磁放射の特定の波長を使用するある医療処置の実行中に適当な位置に維持されることを可能にする。
加熱素子186のための構成要素を選択するときの他の考察は、構成要素の精度、応答性、及び均一性を、それらが温度に関係するので含む。いくつかの加熱応用、特に工業的応用では、温度の精度、応答性、及び均一性は、あまり重要でない。しかしながら、熱が患者に加えられる医療分野では、温度の精度、応答性、及び均一性は、重要性が高い。従って、加熱素子186に選択される構成要素は、温度制御に対して高応答性であるべきであり、厳重に制御される許容誤差内にある温度を生成すべきである。加えて、加熱素子構成要素は、妥当な時間内に、好ましくは1時間未満内に所望の温度(例えば、32〜40℃)を生成することができるべきである。さらに、患者の安全性ならびに快適性の理由のために、加熱素子は、電気手術用電極の作業表面にわたって実質的に均一な温度を生成すべきである。実質的に均一な温度は、患者にとって不快であるもしくは患者を傷つけることもあり得るホットスポット、又は患者にとってまた不快であることもあり得るコールドスポットがないことを保証する。
図18及び図19に再度注意して、断熱層184が次に、より詳細に論じられる。断熱層184は、熱を反射するもしくは向ける又は熱が電気手術用電極180から望ましくない方向に出るのを防止するために使用されてもよい。例えば、加熱素子186が発生する熱のすべて又は大部分が、電気手術用電極180に載っている患者の方へかつ電気手術用電極180が位置決めされる手術室台から離れるように向けられることが望ましいこともある。図18及び図19で例示される実施形態では、例えば、電気手術用電極180は、第1のカバー層182が手術室台と接触し、第2のカバー層194が、患者がその上に位置してもよいように位置決めされる状態で手術室台上に位置決めされてもよい。この構成では、熱を第1のカバー層182から離れるように向けながら熱を第2のカバー層194の方へ向けることが望ましいこともある。断熱層184は、このタスクを成し遂げるために使用されてもよい。特に、断熱層184を加熱素子186と第1のカバー層182との間に位置決めすることは、加熱素子186が発生する熱を第1のカバー層182から離れて第2のカバー層194の方へ向ける。
断熱層184は、ポリスチレン、精製綿、GORE−TEX(登録商標)、ゲル、ガラス繊維、発泡ゴム、その他のシートを含んでもよい。ある実施形態では、断熱層184は、第1のカバー層182か又は加熱素子186と統合されてもよい。例えば、第1のカバー層182は、2つのナイロン膜の間に位置決めされる絶縁充填物又は詰め物を含んでもよい。本明細書での開示を考慮すると、上で述べたように、断熱層184はまた、第1及び第2の床擦れパッド188及び192と同様の床擦れ防止能力を提供する材料でも形成できることが理解されよう。
本発明のいくつかの実施形態では、断熱層184は、省略されてもよい。より詳しくは、手術台又はいすが、加熱素子186からの熱を第2のカバー層194の方へ向けることになる熱障壁を提供するとき、断熱層184は、この機能を果たすのに必要とされないこともある。そのような場合には、本発明による電気手術用電極は、断熱層なしで形成されることもあり得る。
電極190及び第2の床擦れパッド192を含む、電気手術用電極180を形成する材料は、患者から電極190への電流の通過を制御する。そのため、一実施形態では、第2の床擦れパッド192は、絶縁性であるが、一方で代替構成では、第2の床擦れパッド192は、導電性であってもよく、患者から電極190への電流の通過を助けてもよい。電気手術用電極180の全インピーダンスが、本明細書で規定する限界内である限り、すなわち作業表面の各平方センチメートルが、8000オームより大きい又はバルクインピーダンスが、4000Ω・cmより大きい限り、電気手術用電極180のさまざまな要素、すなわち電極190及び第2の床擦れパッド192は、1つもしくは複数の抵抗性、誘導性、及び/又は容量性インダクタンス成分をバルクインピーダンスに提供してもよい。このように、電気手術用電極180は、加熱能力及び圧力低減特性を提供しながら、自己限定的である。
電気手術用電極180のさまざまな他の構成が、適用可能であることは、当業者には理解されてもよい。例えば、別の構成では、電気手術用電極180は、手術室台中に構築されてもよく、その結果手術台は、自己限定能力に加えて患者加温及び床擦れ低減能力を有する。別の構成では、電気手術用電極180は、電気手術処置に使用される必要はないが、しかし加熱毛布/パッド又は床擦れパッドとしてだけに使用されてもよい。そうすることによって、電気手術用電極180及び本明細書で述べる他の関連する電極の作製は、多くの異なる加熱毛布/パッド、床擦れパッド、及び電気手術用リターン電極を購入し、保管するための医療設備の必要性を低減する。加えて、電気手術用電極は、殺菌でき、洗浄でき、洗濯でき、消毒できるので、何度も使用されてもよい。本発明の別の構成では、電気手術用電極180は、たとえそのような他のデバイスが前に述べたような多数の不都合を有しても、他の加熱毛布及び床擦れデバイスとともに使用されてもよい。
組み合わされた加熱毛布、床擦れパッド、及び電気手術用リターン電極を作製することによって、バルクインピーダンスは、規定され、それによってそのような電気手術用リターン電極が、未知のバルクインピーダンスを持つ他の加熱毛布又は床擦れデバイスと組み合わされるとき、電気手術用リターン電極の有効性が低減する可能性を排除する。
全体的に電極形状であり、一致するパッドを含むことを特徴とする改善された電気手術用リターン電極が、本明細書で述べられたことは、今では明らかであろう。改善された電気手術用リターン電極は、再使用可能であり、容易に洗浄可能であり、導電性ゲル又は補助的な回路監視装置の使用の必要性を取り除きながら自己限定的である特徴を証明し、一方で床擦れの発症を低減し、患者が載ってもよい一致するプラットフォームを提供する。さらに、改善された電気手術用リターン電極は、手術処置中に又は患者の回復中に患者を加熱し、それによって患者を暖める特徴を提供する。同様に、本発明の電気手術用リターン電極は、任意の手術処置中に、手術処置からの患者の回復中に、患者が入院している間に、及び同様の場合に利用できる。
本発明は、それの精神又は本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で実施されてもよい。述べられた実施形態は、すべての点で例示的なだけであり、限定的でないと理解すべきである。従って、本発明の範囲は、先の記述によってよりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び等価の範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。

Claims (19)

  1. 電気手術用電極に載っている患者での1つ又は複数の床擦れの発症を実質的に防止するように構成され、第1の側面と、対向する第2の側面とを有する少なくとも1つのパッドを含む、1つまたは複数のパッドと、
    電流を伝導するように構成され、前記少なくとも1つのパッドの前記第1の側面に隣接して位置決めされる導電性素子と、
    発熱素子及び熱拡散素子を含み、前記導電性素子とは前記少なくとも1つのパッドによって互いに相隔たるように、前記少なくとも1つのパッドと前記対向する第2の側面に隣接して位置決めされ、前記発熱素子は前記電気手術用電極に載っている患者を暖めるための熱を発生するように適合され、前記熱拡散素子は前記熱を前記電気手術用電極の表面領域にわたって均等に分布させるように適合される、加熱素子と
    を含み、前記導電性素子及び前記1つ又は複数のパッドは、約4,000Ω・cm以上の実効バルクインピーダンスを有することを特徴とする電気手術用電極。
  2. 前記少なくとも1つのパッドに対向する前記加熱素子の側面上の、前記加熱素子に隣接して位置決めされた熱絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  3. 前記電気手術用電極は患者を上に載せるように構成された最上面を含み、前記1つまたは複数のパッドの1つは、前記導電性素子の上部に位置決めされ、その結果前記パッドは、前記導電性素子と前記最上面との間に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  4. 前記1つ又は複数のパッドは、粘弾性材料、ゲル、水、食塩水、水ベースの材料、導電性オイル、又はそれらの組合せから成る群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  5. 前記加熱素子は、前記電気手術用電極の底部表面近くに位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  6. 前記加熱素子は、導電性繊維で形成される織物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  7. 前記導電性素子は、電気伝導性繊維を含浸させた通常は絶縁性の材料を含み、前記電気手術用電極が、約4,000Ω・cm以上の実効バルクインピーダンスを有するようにすることを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  8. 前記導電性素子及び前記1つ又は複数のパッドの前記実効バルクインピーダンスは、抵抗、静電容量、インダクタンス、又はそれらの組合せから成る群から選択される電気成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  9. 前記導電性素子は電極を含み、該電極が、
    所定の限定された電気伝導度の第1の層と、
    所定の容量性リアクタンスを有する誘電性材料からなり、前記第1の層に接触し、前記第1の層を覆っている第2の層と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気手術用電極。
  10. 電気手術用電極に載っている患者を暖め、前記患者での床擦れの発症を防止するための電気手術用電極であって、
    電流を伝導するように構成され、第1の導電性素子表面と、対向する第2の導電性素子表面とを有する導電性素子と、
    発熱素子及び熱拡散素子を含み、前記電気手術用電極に載っている患者を暖めるために、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、前記熱エネルギーを均等に分布させるように適合され、第1の電気加熱素子表面と、対向する第2の電気加熱素子表面とを有する電気加熱素子と、
    前記電気手術用電極に載っている患者での1つ又は複数の床擦れの発症を実質的に防止するように適合される第1のパッド及び第2のパッドであって、前記第1のパッドは、前記導電性素子と前記電気加熱素子との間に位置決めされ、前記第1の導電性素子の表面が前記第1のパッドの第1の側面に隣接して位置決めされ、前記第1の電気加熱素子の表面が、前記第1の側面に対向する、前記第1のパッドの第2の側面に隣接して位置決めされ、前記第2のパッドは、前記導電性素子の前記第2の導電性素子表面に隣接して位置決めされ、その結果前記第2のパッドは、前記導電性素子と前記電気手術用電極に載っている患者との間に位置決めされる、第1のパッド及び第2のパッドとを含み、
    約4,000Ω・cm以上の集合的バルク抵抗を有することを特徴とする電気手術用電極。
  11. 前記第1のパッドは、前記第2のパッドよりも実質的に厚いことを特徴とする請求項10に記載の電気手術用電極。
  12. 前記第1のパッド及び前記第2のパッドの少なくとも1つは、粘弾性材料、ゲル、水、食塩水、水ベースの材料、導電性オイル、又はそれらの組合せで形成されることを特徴とする請求項10に記載の電気手術用電極。
  13. 前記第1のパッド及び前記第2のパッドは、熱伝導性であることを特徴とする請求項10に記載の電気手術用電極。
  14. 前記導電性素子は、約4,000Ω・cm以上の実効バルク抵抗率を有する電気伝導性材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の電気手術用電極。
  15. 電気手術中に患者の真下に配置されて、電気手術で使用される電気手術電流のためのリターン経路を提供するように構成される電気手術用電極であって、自己限定的であり、その結果前記電気手術用電流は、しきいレベルより下への接触面積の偶発的低減の場合に前記患者と前記電極との間の前記接触面積での望ましくない患者やけどを防止するように安全なしきいに制限される、電気手術用電極において、
    互いに関連して内側部分を備える包被を形成する第1のカバー層及び第2のカバー層と、
    発熱素子及び熱拡散素子を含み、前記内側部分内に配置され、前記電気手術用電極に載っている前記患者を暖めるために、熱を発生し、前記熱のエネルギーを均等に分布させるように適合される加熱素子と、
    前記包被の前記内側部分内にかつ前記加熱素子の上に配置され、電流を伝導するように構成される導電性素子と、
    前記内側部分内に配置される第1のパッドおよび第2のパッドであって、前記第1のパッドは、前記加熱素子と前記導電性素子との間に位置決めされ、前記第2のパッドは、前記導電性素子と前記第2のカバー層との間に位置決めされ、前記電気手術用電極に載っている前記患者での1つ又は複数の床擦れの発症を実質的に防止するように適合される第1のパッド及び前記第2のパッドと、
    前記第1のカバー層と前記加熱素子との間に配置される断熱層であって、その結果前記断熱層は、熱を前記第1のカバー層から離れて前記加熱素子と前記導電性素子との方へ向ける、断熱層と
    を含み、
    前記第2のパッド及び前記導電性素子の実効バルクインピーダンスは、約4,000Ω・cm以上であることを特徴とする電気手術用電極。
  16. 前記第1のパッド及び前記第2のパッドは、前記加熱素子が発生する熱を前記電気手術用電極に載っている前記患者に伝えるように適合されることを特徴とする請求項15に記載の電気手術用電極。
  17. 前記加熱素子は、導電性繊維及び羊毛、ポリエステル、アラミド又はカーボン含浸ポリマーの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の電気手術用電極。
  18. 前記断熱層は、熱を前記第2のカバー層の方へ向けることを特徴とする請求項15に記載の電気手術用電極。
  19. 前記断熱層は、前記電気手術用電極に載っている前記患者での1つ又は複数の床擦れの発症を実質的に防止するように適合されることを特徴とする請求項15に記載の電気手術用電極。
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