JP5550881B2 - 太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池の電極形成用導電性ペースト、特に単結晶シリコン又は多結晶シリコン等の結晶系シリコンを基板として用いた結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペースト、その電極形成用導電性ペーストを用いる太陽電池の製造方法及びその製造方法によって製造される太陽電池並びに太陽電池モジュールに関する。
単結晶シリコンあるいは多結晶シリコンを平板状に加工した結晶系シリコンを基板に用いた結晶系シリコン太陽電池は、近年、その生産量が大幅に増加している。これらの太陽電池は、発電した電力を取り出すための電極を有する。
一例として、結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を図1に示す。結晶系シリコン太陽電池では、一般に、p型結晶系シリコン基板4の光入射側である表面にn型拡散層(n型シリコン層)3を形成する。n型拡散層3の上には、反射防止膜2を形成する。さらに、スクリーン印刷法などによって導電性ペーストを用いて光入射側電極1(表面電極)のパターンを反射防止膜2上に印刷し、導電性ペーストを乾燥及び焼成することによって光入射側電極1が形成される。この焼成の際、導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーすることによって、光入射側電極1は、n型拡散層3に接触するように形成することができる。なお、ファイアースルーとは、絶縁膜である反射防止膜を導電性ペーストに含まれるガラスフリット等でエッチングし、光入射側電極1とn型拡散層3とを導通させることである。p型シリコン基板4の裏面側からは光を入射させなくてもよいため、一般的に、裏面側のほぼ全面に裏面電極5を形成する。p型シリコン基板4とn型拡散層3の界面にはpn接合が形成される。太陽光等の光は、反射防止膜2及びn型拡散層3を透過して、p型シリコン基板4に入射し、この過程で吸収され、電子−正孔対が発生する。これらの電子−正孔対は、pn接合による電界によって、電子は光入射側電極1へ、正孔は裏面電極5へと分離される。電子及び正孔は、これらの電極を介して、電流として外部に取り出される。
結晶系シリコン太陽電池において、変換効率等の太陽電池特性に及ぼす電極の影響は大きく、特に光入射側電極の影響は非常に大きい。この光入射側電極は、n型拡散層との界面での接触抵抗が十分に低く、オーミックに電気的接触することが必要である。また、電極自体の電気抵抗も十分に低いことが必要であり、したがって、電極材料自体の抵抗(導体抵抗)が低いことも重要となる。また、生産性の向上及び長寿命化のためには、電極材料にはんだ付けされるインターコネクト用の金属リボンの接着強度が高いことがさらに重要である。
従来の太陽電池、特に結晶系シリコン太陽電池の電極形成には、導電性粒子、ガラスフリット、有機バインダ、溶剤及びその他の添加物を含む導電性ペーストが用いられている。導電性粒子としては、主に銀粒子を用いる。このような導電性ペーストを用いて製造される太陽電池の電極(コンタクト)の例として、例えば、特許文献1及び2には、所定の混合物(導電性ペースト)から製造される太陽電池コンタクトが開示されている。また、特許文献1及び2には、所定の混合物が、固体部分及び有機部分を含み、該固体部分が、約85〜約99重量%の銀成分及び約1〜約15重量%のガラス成分を含み、該ガラス成分が、約15〜約75mol%のPbO、約5〜50mol%のSiOを含み、Bを含まないことを特徴とすることが記載されている。
また、特許文献3には、多結晶Si太陽電池用の導電性ペーストにおいて、該ペーストに含まれる低融点ガラスの組成が、質量%でSiOを1〜10、Bを5〜15、Alを1〜15、PbOを68〜89、CuOを0〜10、TiOを0〜10含むSiO−B−Al−PbO系低融点ガラスであることを特徴とする導電性ペーストが開示されている。
特表第2008−520094号公報 国際公開第2006/055126号 特開2009−99781号公報
結晶系シリコン太陽電池の生産量の増加に伴い、生産性の高い製造方法が求められている。また、結晶系シリコン太陽電池の製造コストを下げることも求められている。そのためには、結晶系シリコン太陽電池の各製造工程の単位時間当たりの生産量を向上することが求められている。しかしながら、結晶系シリコン太陽電池の電極を形成する工程において、従来の導電性ペーストを用いた場合には、電極と結晶系シリコン基板との間の接触抵抗を下げ、かつ電極と結晶系シリコン基板との間の高い接着強度を得るためには、一定時間以上の焼成時間を必要としている。結晶系シリコン太陽電池の電極の形成を、さらに短時間で行うことができれば、単位時間当たりの生産量を向上することができ、低コストで結晶系シリコン太陽電池を生産することができる。
そこで、本発明は、優れた太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池の電極の形成を、短時間で行うことのできる結晶系シリコン太陽電池の製造方法を得ることを目的とする。また、本発明は、優れた太陽電池特性を有しかつ低コストの結晶系シリコン太陽電池及び太陽電池モジュールを得ることを目的とする。
本願発明者らが鋭意努力をした結果、太陽電池の電極形成用導電性ペーストとして所定の組成のものを用い、所定の焼成条件を用いて導電性ペーストの焼成を行うことにより、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行うことができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、無機材料を含む結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストであって、無機材料が導電性粒子とガラスフリットとからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%含み、Alを含まない、導電性ペーストを用意する工程と、結晶系シリコン基板の表面及び/又は裏面に、導電性ペーストを塗布する工程と、焼成のピーク温度(Tp[℃])から600℃を差し引いた温度(Δ=Tp−600[℃])と、600℃以上での焼成時間(t[秒])との積の1/2の値である擬似積分値(S=Δ・t/2[℃・秒])が、95〜1150℃・秒となるような焼成温度及び焼成時間によって、塗布された導電性ペーストを焼成する工程とを含む、結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法を用いると、焼成時間が短時間であっても、優れた性能のものを得ることができる。そのため、単位時間当たりの太陽電池生産量を向上することができ、結晶系シリコン太陽電池を低コストで生産することができる。
本発明の製造方法の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)導電性ペーストを焼成する工程において、焼成のピーク温度(Tp[℃])が700〜850℃であり、600℃以上での焼成時間(t[秒])が1〜12秒である。このような焼成条件を用いることによって、良好な特性(FF特性)の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
(2)ガラスフリットが、PbO及びSiOからなる。ガラスフリットがこのような組成であると、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行った場合でも、優れた太陽電池特性及び十分に高い接着強度を得ることができる。
(3)ガラスフリットが、PbO、SiO及びBからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、Bを0超〜5重量%含む。ガラスフリットがこのような組成であると、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行った場合でも、優れた太陽電池特性及び十分に高い接着強度を得ることを確実にできる。
(4)導電性粒子100重量%中、Agの含有量が60重量%以上である。Agを主成分とする導電性粒子を用いることにより、電極自体の抵抗(導体抵抗)を小さくすることができるので、オーミックロスの少ない優れた性能の太陽電池電極を得ることができる。
また、本発明は、上述の製造方法で製造される、結晶系シリコン太陽電池である。本発明の製造方法を用いるならば、優れ太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池を低コストで得ることができる。
また、本発明は、上述の結晶系シリコン太陽電池を含む太陽電池モジュールである。本発明の結晶系シリコン太陽電池を用いるならば、低コストで優れた性能の太陽電池モジュールを得ることができる。
本発明により、優れた太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池の電極の形成を、短時間で行うことのできる結晶系シリコン太陽電池の製造方法を得ることができる。また、本発明により、優れた太陽電池特性を有しかつ低コストの結晶系シリコン太陽電池及びその製造方法を得ることができる。
結晶系シリコン太陽電池の表面電極付近の断面模式図である。 導電性ペーストを焼成するときの焼成温度プロファイルを模擬的に示して、擬似積分値の計算方法を説明するための図である。 擬似積分値と、太陽電池特性(FF値)との関係を示す図である。
本発明は、優れた太陽電池特性を有しかつ低コストの結晶系シリコン太陽電池の製造方法に関する。本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、太陽電池の電極形成用導電性ペーストとして所定の組成のものを用い、所定の焼成条件を用いて導電性ペーストの焼成を行うことにより、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行うことができるので、優れた太陽電池特性を有しかつ低コストの結晶系シリコン太陽電池を製造することができる。
本明細書において、「結晶系シリコン」は、単結晶シリコン及び多結晶シリコンを包含する。
また、「結晶系シリコン基板」とは、電気素子又は電子素子の形成のために、結晶系シリコンを平板状など、素子形成に適した形状に成形した材料のことをいう。結晶系シリコンの製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、単結晶シリコンの場合にはチョクラルスキー法、多結晶シリコンの場合にはキャスティング法を用いることができる。また、その他の製造方法、例えばリボン引上げ法により作製された多結晶シリコンリボン、ガラス等の異種基板上に形成された多結晶シリコンなども結晶系シリコン基板として用いることができる。
また、「結晶系シリコン太陽電池」とは、結晶系シリコン基板を用いて製造された太陽電池のことをいう。
また、太陽電池特性を表す指標として、光照射下での電流−電圧特性の測定から得られる曲線因子(フィルファクター、以下、「FF」ともいい、フィルファクターの値を「FF値」という)を用いる。
最初に、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法に用いる導電性ペーストについて詳しく説明する。本発明の製造方法に用いる導電性ペーストは、無機材料を含む結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストであって、無機材料が導電性粒子とガラスフリットとからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%含み、Alを含まない、導電性ペーストである。
本発明の製造方法に用いる導電性ペーストは、無機材料を含む結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストである。一般的な導電性ペーストでは、導電性粒子、ガラスフリット及びその他の無機添加物を無機材料として含む。一方、本発明の製造方法に用いる導電性ペーストでは、無機材料は導電性粒子とガラスフリットとからなり、導電性粒子及びガラスフリット以外の無機材料、例えばZnO粒子等の無機添加物を含まないことに特徴がある。また、本発明の製造方法に用いる導電性ペーストは、有機バインダ、溶剤及びその他の有機材料を、必要に応じてさらに含むことができる。
本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットは、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%、好ましくは70〜89重量%、より好ましくは70〜85重量%含む。ガラスフリットがPbOを所定量含むことにより、ガラスフリットのガラス転移点が低下して好ましい範囲(350〜450℃のガラス転移点)となり、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行うことができる。また、本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットが、SiOをさらに含む場合には、ガラス転移点の制御の自由度が増すので、好ましいガラス転移点の範囲とすることが容易である。
本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットは、PbO及びSiOからなることが好ましい。ガラスフリットがこのような組成であると、ガラスフリットのガラス転移点の低下を確実にすることができるので、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行うことを、より確実にできるためである。PbO及びSiOからなるガラスフリットの場合、ガラス転移点を350〜450℃とすることができる。なお、「ガラスフリットが、PbO及びSiOからなる」とは、不可避的に混入するその他の不純物成分を含むことを妨げるものではない。本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれる他のガラスフリットについても同様である。
本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットは、PbO、SiO及びBからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、Bを0超〜5重量%含むことが好ましい。ガラスフリットがこのような組成であると、ガラスフリットのガラス転移点の低下を確実にすることができるので、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行うことを、さらに確実にできるためである。
本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットには、Alを含まない。ガラスフリットがAlを含む場合には、電極形成の際の導電性ペーストの焼成時間を短時間で行った場合に、太陽電池特性が低下することがあるためである。「Alを含まない」とは、不可避的に混入するAlまでも完全に含まないことを意味するものではなく、Alを実質的に含まないことを意味する。すなわち、本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットは、本発明の目的を妨げない範囲で、不可避的に混入するAlを含むことができる。具体的には、ガラスフリットは、Alを数百ppm程度含むことができ、好ましくはAlを500ppm以下、より好ましくはAlを100ppm以下含むことができる。Al以外の不可避的に混入する成分についても同様である。
ガラスフリットの形状は特に限定されず、例えば球状及び不定形等のものから適宜選択して用いることができる。また、粒子寸法も特に限定されないが、作業性の点等から、粒子寸法の平均値(平均粒子寸法)は0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜1μmの範囲がさらに好ましい。なお、粒子寸法とは、一粒子の最長の長さ部分の寸法をいう。
一般的に、微小粒子の寸法は一定の分布を有するので、すべての粒子が上記の粒子寸法である必要はなく、ガラスフリットの全粒子の積算値50%の粒子寸法(D50)が上記の粒子寸法の範囲であることが好ましい。
また、粒子寸法を、BET値(比表面積)を用いて規定することもできる。本発明の製造方法に用いる導電性ペーストに含まれるガラスフリットのBET値は、0.1〜10m/gであることが好ましい。
本発明の電極形成用導電性ペーストへのガラスフリットの添加量は、導電性粒子100重量部に対し、0.1〜10重量部とすることができ、好ましくは1〜5重量部とすることができる。
本発明の結晶シリコン系太陽電池の製造方法において、電極形成用導電性ペーストにZnOが含まれる場合には、太陽電池特性(FF値)が低下し、FF値が0.70未満となってしまう。そのため、本発明の電極形成用導電性ペーストは、不可避的に不純物として混入する以外のZnOを含まないことが必要である。すなわち、本発明の電極形成用導電性ペーストは、ガラスフリット及びその他の無機添加物のいずれにも、不可避的に不純物として混入する以外のZnOを含まない。この結果、本発明の結晶シリコン系太陽電池の製造方法によって製造された結晶シリコン系太陽電池の太陽電池特性(FF値)の低下を防止することができる。
また、本発明の製造方法に用いる導電性ペーストにおいては、導電性粒子100重量%中、Agの含有量が60重量%以上であることが好ましい。Agを主成分とする導電性粒子を用いることにより、電極の導体抵抗を小さくすることができるので、オーミックロスの少ない優れた性能の太陽電池電極を得ることができる。さらにオーミックロスの少ない優れた性能の太陽電池電極を得るために、導電性粒子100重量%中のAgの含有量は、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。本発明の電極形成用導電性ペーストには、太陽電池電極の性能が損なわれない範囲で、銀以外の他の金属を含むことができる。ただし、特に優れた性能の太陽電池電極を得る点から、導電性粒子はAgからなることが特に好ましい。
導電性粒子の粒子寸法は、特に限定されない。粒子寸法は、一粒子の最長の長さ部分の寸法をいう。導電性粒子の粒子寸法は、作業性の点等から、0.05〜20μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがさらに好ましい。
一般的に、微小粒子の寸法は一定の分布を有するので、すべての粒子が上記の粒子寸法である必要はなく、全粒子の積算値50%の粒子寸法(D50)が上記の粒子寸法の範囲であることが好ましい。また、粒子寸法の平均値(平均粒子寸法)が、上記範囲にあってもよい。本明細書に記載されている導電性粒子以外の粒子についても同様である。
導電性粒子の粒子形状は、特に限定されない。粒子形状としては、例えば、球状及びリン片状から選択した1種以上を用いることができる。球状及びリン片状の形状の粒子の割合を制御することにより、導電性粒子の焼結性を制御することができる。
本発明の電極形成用導電性ペーストは、有機バインダ及び溶剤を含むことができる。有機バインダ及び溶剤は、導電性ペーストの粘度調整等の役割を担うものであり、いずれも特に限定されない。有機バインダを溶剤に溶解させて使用することもできる。
有機バインダとしては、セルロース系樹脂(例えばエチルセルロース、ニトロセルロース等)及び(メタ)アクリル系樹脂(例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等)等から選択した1種以上を用いることができる。有機バインダの添加量は、導電性粒子100重量部に対し、0.5〜30重量部とすることができ、好ましくは1〜5重量部とすることができる。
溶剤としては、アルコール類(例えばターピネオール、α−ターピネオール、β−ターピネオール等)及びエステル類(例えばヒドロキシ基含有エステル類、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、ブチルカルビトールアセテート等)等から選択した1種以上を使用することができる。溶剤の添加量は、導電性粒子100重量部に対し、0.5〜30重量部とすることができ、好ましくは10〜25重量部とすることができる。
さらに、本発明の電極形成用導電性ペーストには、添加剤として、可塑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、安定剤及び密着促進剤等から選択した1種以上を、必要に応じて配合することができる。これらのうち、可塑剤としては、フタル酸エステル類、グリコール酸エステル類、リン酸エステル類、セバチン酸エステル類、アジピン酸エステル類及びクエン酸エステル類等から選択した1種以上を用いることができる。
次に、本発明の製造方法に用いる電極形成用導電性ペーストの製造方法について説明する。
本発明の製造方法に用いる電極形成用導電性ペーストは、有機バインダ及び溶剤に対して、所定の導電性粒子及び所定のガラスフリットを添加し、混合し、分散することにより製造することができる。
混合は、例えばプラネタリーミキサーで行うことができる。また、分散は、三本ロールミルによって行うことができる。混合及び分散は、これらの方法に限定されるものではなく、公知の様々な方法を使用することができる。
次に、上述の電極形成用導電性ペーストを用いた結晶系シリコン太陽電池の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、上述の導電性ペーストを用意する工程と、上述の導電性ペーストを塗布する工程と、塗布された上述の導電性ペーストを所定の条件で焼成する工程とを含む。
図1に、結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を示す。図1に示す結晶系シリコン太陽電池は、光入射側(表面)に形成された表面電極1、反射防止膜2、n型拡散層(n型シリコン層)3、p型シリコン基板4及び裏面電極5を有する。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、上述の結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストを用意する工程を含む。
上述のように、この電極形成用導電性ペーストは、無機材料を含み、無機材料が導電性粒子とガラスフリットとからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%含み、Alを含まない。結晶系シリコン太陽電池を製造する際に本発明の製造方法に用いる導電性ペーストを用いると、焼成時間が短時間であっても、低い接触抵抗及び高い接着強度を有する太陽電池電極を得ることができる。そのため、単位時間当たりの太陽電池生産量を向上することができ、結晶系シリコン太陽電池を低コストで生産することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、結晶系シリコン基板の表面及び/又は裏面に、上述の電極形成用導電性ペーストを塗布する工程を含む。
本発明の電極形成用導電性ペーストは、表面電極1及び裏面電極5のどちらを形成する場合においても用いることができる。すなわち、本発明の電極形成用導電性ペーストは、太陽電池用基板のn型シリコン上及びp型シリコン上の両方の電極形成用に用いることができる。本発明の電極形成用導電性ペーストを、単結晶シリコン又は多結晶シリコンの太陽電池用基板の表面電極1を形成するために用いる場合には、シリコン基板のn型シリコン層上に直接印刷してもよいし、n型拡散層(n型シリコン層)3上の反射防止膜2上に印刷することもできる。本発明の電極形成用導電性ペーストを、反射防止膜2上に印刷する場合には、後の焼成の際に導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーし、n型拡散層3上に表面電極1が形成される。
なお、高い光電変換効率を得るという観点から、結晶系シリコン基板の光入射側の表面には、ピラミッド状のテクスチャ構造を有することが好ましい。
結晶系シリコン太陽電池を製造するために、本発明の電極形成用導電性ペーストを、スクリーン印刷法等の方法により、表面にn型拡散層3を有する結晶系シリコン基板上、又はn型拡散層3上に形成された反射防止膜2上に、所定の電極パターンとなるように印刷する。
本発明の太陽電池の製造方法では、上述のように太陽電池用基板の表面に印刷した電極形成用導電性ペーストを、100〜150℃程度の温度で数分間(例えば5分間)乾燥させることが好ましい。同様に、太陽電池用基板の裏面に対しても本発明の電極形成用導電性ペースト又はその他の導電性ペースト(例えば、アルミニウムを主成分とした導電性ペースト)をほぼ全面に印刷し、乾燥することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、焼成のピーク温度(Tp[℃])から600℃を差し引いた温度(Δ=Tp−600[℃])と、600℃以上での焼成時間(t[秒])との積の1/2の値である擬似積分値(S=Δ・t/2[℃・秒])が、95〜1150℃・秒となるような焼成温度及び焼成時間によって、塗布された導電性ペーストを焼成する工程を含む。焼成ピーク温度とは、導電性ペーストを焼成する際の焼成温度プロファイルにおける最大焼成温度のことをいう。
太陽電池用基板上に印刷された導電性ペーストの乾燥後、管状炉などの炉を用いて大気中で、擬似積分値(℃・秒)が、95〜1150℃・秒となるような焼成温度及び焼成時間によって焼成することにより、光入射側の表面電極1及び裏面電極5を形成する。反射防止膜2上に本発明の電極形成用導電性ペーストを印刷した場合には、焼成中に高温のペースト材料、特にガラスフリットが反射防止膜2をファイアースルーするために、表面電極1とシリコン基板上のn型拡散層3を電気的に接続することができる。
「擬似積分値(℃・秒)」とは、導電性ペーストを焼成する際の温度の時間変化(焼成温度プロファイル)において、焼成のピーク温度(Tp[℃])から600℃を差し引いた温度(Δ=Tp−600[℃])と、600℃以上での焼成時間(t[秒])との積の1/2の値である。すなわち、擬似積分値とは、600℃以上の焼成温度プロファイルを三角形で近似し、その三角形の面積を、時間−温度曲線の積分値と擬制したものである。例えば、図2に示す模擬的な焼成温度プロファイル(P1)の場合には、図2中の斜線で示す三角形の面積が擬似積分値(S[℃・秒])に相当する。したがって、図2のP1の場合の擬似積分値は(S[℃・秒])、
S=Δ・t/2[℃・秒]=100℃×10秒/2=500℃・秒
のようにして計算することができる。
一般に、結晶系太陽電池の電極形成のための導電性ペーストを焼成は、時間−温度曲線の焼成ピークがスパイク状(急峻なピーク状)になるように行われる。したがって、上述の擬似積分値を用いるならば、結晶系太陽電池の電極形成のための導電性ペーストの焼成の際に、最も重要な部分である600℃以上の焼成温度プロファイル(時間−温度曲線)を、適切に模擬することができる。
また、本願発明者らは、所定の導電性ペーストの焼成の際の擬似積分値が適切な範囲内である場合に、作製した太陽電池の太陽電池特性(FF値)が良好なものとなることを実験的に見出した。本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、擬似積分値を95〜1150℃・秒に制御することによって、低い接触抵抗及び高い接着強度の太陽電池電極を得るための焼成時間をより短時間とすることができる。なお、単位時間当たりの太陽電池生産量をより多くするために、擬似積分値が、100〜1100℃・秒であることが好ましく、100〜1000℃・秒であることがより好ましい。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、導電性ペーストを焼成する工程において、焼成のピーク温度が700〜850℃であることが好ましく、700〜800℃であることがより好ましい。焼成ピーク温度をこの範囲に制御することによって、低い接触抵抗及び高い接着強度の太陽電池電極を得るための焼成時間をさらに短時間とすることができる。
また、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、600℃以上での焼成時間が1〜10秒であることが好ましく、1〜5秒であることがより好ましい。このような条件で焼成を行うことにより、短時間の焼成時間でありながら、優れた太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。そのため、単位時間当たりの太陽電池生産量を向上することができ、結晶系シリコン太陽電池を低コストで生産することができる。
本発明の製造方法では、電極形成用導電性ペーストの焼成時間が従来と比べて短時間である。従来のベルト方式焼成炉は、金属メッシュベルト上のシリコン基板を加熱する方式のため、加熱エネルギーがメッシュベルトの昇温に消費され、焼成時間の短縮には限界がある可能性がある。その場合には、メッシュベルトを有しない構造の焼成炉を用いることができる。具体的には、実施例で用いたBOX型引き抜き炉を用いることにより、焼成時間の短縮が可能である。
上述の本発明の製造方法で製造される結晶系シリコン太陽電池は、低い接触抵抗及び高い接着強度の太陽電池電極を得るための焼成時間をさらに短時間とすることができるため、従来のものと比べて低コストのものとなる。
上述の結晶系シリコン太陽電池の製造方法の説明では、図1に示す構造のものを例としたが、本発明の製造方法によって、それ以外の構造の太陽電池を製造することもできる。例えば、全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト構造)や、光入射側電極を基板に設けた貫通孔を通じて裏面に導通させる構造の太陽電池の製造においても、本発明の電極形成用導電性ペーストを用いて電極を形成することができる。
また、p型シリコン基板を用いた結晶系シリコン太陽電池を例に説明したが、n型シリコン基板を用いた結晶系シリコン太陽電池の場合でも、拡散層を形成する不純物をリンなどのn型不純物からホウ素などのp型不純物へ変更し、n型拡散層の代わりにp型拡散層を形成することが異なるだけで、同様のプロセスによって本発明の電極形成用導電性ペーストを用いた太陽電池を製造することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池を用いて太陽電池モジュールを製造することができる。太陽電池モジュールとは、複数の太陽電池を適宜直列及び/又は並列に接続して所定の電流及び電圧を発電するようにし、ガラス板や封止材等を用いて耐環境性を有するようにした太陽光発電用のパネルである。本発明の電極形成用導電性ペーストを用いて太陽電池電極を形成することにより、インターコネクト用の金属リボンの太陽電池電極に対する接着強度が高くなるので、優れた太陽電池モジュール特性を有する長い寿命の太陽電池モジュールを得ることができる。
また、上述のように、本発明の結晶系シリコン太陽電池は低コストであるため、本発明は結晶系シリコン太陽電池を含む太陽電池モジュールも低コストのものを得ることができる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<導電性ペーストの材料及び調製割合>
実験例に用いた導電性ペーストの組成は、下記のとおりである。
・導電性粒子 :Ag(100重量部)
球状、BET値1.0〜1.2m/g。
・有機バインダ :エチルセルロース(5重量部)。
・溶剤 :ブチルカルビトール(5重量部)。
・ガラスフリット:表1又は表2に示す成分からなるガラスフリットを用いた。ガラスフリットの添加量は、導電性粒子100重量部に対し5重量部とした。ガラスフリットのBET値は、4.0〜5.0m/gとした。
次に、上述の所定の調製割合の材料を、プラネタリーミキサーで混合し、さらに三本ロールミルで分散し、ペースト化することによって導電性ペーストを調製した。
<太陽電池用基板の試作>
本発明の電極形成用導電性ペーストの評価は、調整した導電性ペーストを用いて太陽電池を試作し、その特性を測定することによって行った。太陽電池の試作方法は次のとおりである。
基板は、B(ボロン)ドープのP型Si多結晶基板(基板厚み180μm)を用いた。基板サイズは、156mm×156mmの正方形のものを用いた。
まず、上記基板に酸化ケイ素層約20μmをドライ酸化で形成後、フッ化水素、純水及びフッ化アンモニウムを混合した溶液でエッチングし、基板表面のダメージを除去した。さらに、塩酸と過酸化水素を含む水溶液で重金属洗浄を行った。
次に、この基板表面にウェットエッチングによってテクスチャ構造(凸凹形状)を形成した。具体的にはウェットエッチング法(水酸化ナトリウム水溶液)によってピラミッド状のテクスチャ構造を片面(光入射側の表面)に形成した。その後、塩酸及び過酸化水素を含む水溶液で洗浄した。
次に、上記基板のテクスチャ構造を有する表面に、オキシ塩化リン(POCl)を塗布した。この基板を、950℃の温度で30分間の熱処理をすることにより、拡散法によって、リンを基板表面に拡散させ、約0.5μmの深さのn型拡散層を形成した。n型拡散層のシート抵抗は、50Ω/□だった。
次に、n型拡散層を形成した基板の表面に、プラズマCVD法によってシランガス及びアンモニアガスを用いて窒化ケイ素薄膜を約70nmの厚みに形成した。具体的には、NH/SiH=0.5の混合ガス1Torr(133Pa)をグロー放電分解することにより、プラズマCVD法によって膜厚約60nmの窒化ケイ素薄膜(反射防止膜)を形成した。
このようにして得られた太陽電池用基板を、15mm×15mmの正方形に切断して使用した。
光入射側(表面)電極用の導電性ペーストの塗布は、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の反射防止膜上に、膜厚が約20μmになるように2mm角バス電極部と100μm幅フィンガー電極部とからなるパターンで印刷し、その後、150℃で約1分間乾燥した。なお、スクリーン印刷法に用いたスクリーンは、325メッシュ、ステンレス線径20μm及び乳剤厚20μmのステンレスメッシュのスクリーンである。スクリーン印刷の条件は、スクリーンと基板との距離を1.8mm、印刷速度を200mm/秒とした。その後、印刷した導電性ペーストを150℃で1分間、熱風乾燥炉で乾燥した。
次に、裏面電極用の導電性ペーストの印刷を、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の裏面に、アルミニウム粒子、ガラスフリット、エチルセルロース、溶剤を主成分とする導電性ペーストを14mm角で印刷した。その後、印刷した導電性ペーストを150℃で1分間、熱風乾燥炉で乾燥した。乾燥後の裏面電極用の導電性ペーストの膜厚は約20μmであった。
上述のように導電性ペーストを表面及び裏面に印刷した基板を、ハロゲンランプを加熱源とするBOX型引き抜き炉(自作)を用いて、大気中で所定の条件により両面同時焼成した。従来のベルト方式焼成炉は、金属メッシュベルト上のシリコン基板を加熱する方式のため、加熱エネルギーがメッシュベルトの昇温に消費され、焼成の高速化には限界があった。そこで、本実験では、以下に述べるBOX型引き抜き炉を用いて焼成を行った。
BOX型引き抜き炉とは、炉内寸法30cm(幅)×30cm(奥行き)×15cm(高さ)の炉内に、集光型ハロゲンランプ等を配置した構造の炉であり、1200℃程度まで加熱可能である。本実験に用いたBOX型引き抜き炉は、集光型ハロゲンランプを炉天井部及び炉底部に配置した構造を有するので、太陽電池基板を両面から加熱することが可能である。また、BOX型引き抜き炉の前面に1cm×15cmのスリット状の開口部を設けられ、この開口部から太陽電池基板の出入を行うことができる。上述のように導電性ペーストを印刷し乾燥した太陽電池基板を、その基板の4辺をピンで支える構造を有するトレーに載せ、BOX型引き抜き炉の開口部から瞬時に炉内へ挿入し、所定温度及び所定時間の焼成後、瞬時に引き抜く方法で焼成を行った。太陽電池基板の4辺をトレーのピンで支えることにより、焼成中の太陽電池基板から周囲への熱流出を低減することができる。前記トレー上には温度測定用のダミー太陽電池基板(寸法15mm×15mm)を配置し、その表面にφ0.5mmの熱電対を固定して、焼成の際の太陽電池基板温度の時間変化を測定した。BOX型引き抜き炉の開口部への基板の挿入及び引き抜き動作は、速度制御可能な自動挿入挿出装置によって行った。なお、本実験で用いたBOX型引き抜き炉は、開口部が一つだけ有する構造であったが、開口部を二つ設け、一つを入り口専用の開口部に、もう一つを出口専用の開口部とする構造とすることもできる。
<擬似積分値>
上述のようにダミー太陽電池基板を用いて太陽電池基板温度の時間変化を測定し、導電性ペースト焼成時の時間−温度曲線(焼成温度プロファイル)を得た。この曲線から、焼成のピーク温度(Tp[℃])及び600℃以上での焼成時間(t[秒])を読み取り、下記の式を用いて擬似積分値(S[℃・秒])を算出した。
S(℃・秒)=(Tp[℃]−600[℃])・t(秒)/2
<太陽電池特性の測定>
太陽電池の電気的特性は、曲線因子(FF)を用いて評価した。曲線因子(FF)の測定は、次のように行った。すなわち、試作した太陽電池の電流−電圧特性を、ソーラーシミュレータ光(AM1.5、エネルギー密度100mW/cm)の照射下で測定し、測定結果から曲線因子(FF)を算出した。なお、試料は10個作製し、測定値は10個の平均値として求めた。
<接着強度の測定>
はんだ付けをした金属リボンの接着強度測定用の試料は以下のように作製し測定した。まず基板として、太陽電池特性測定用と同じ、反射防止膜付き15mm角の太陽電池用基板を用いた。この基板表面のほぼ中央に、幅3mm、長さ12cmのはんだ付けパッドを所定の導電性ペーストを用いて印刷し、乾燥し、焼成して形成した。次に、インターコネクト用の金属リボンである銅リボン(幅1.5mm×全厚み0.16mm、共晶はんだ[スズ:鉛=64:36の重量比]を約40μmの膜厚で被覆)を、フラックスを用いてはんだ付けパッド上に250℃の温度で3秒間はんだ付けした。その後、リボンの一端に設けたリング状部をデジタル引張りゲージ(エイアンドディー社製、デジタルフォースゲージAD−4932−50N)によって基板表面に対して90度方向に引っ張り、接着の破壊強度を測定することによって接着強度の測定を行った。なお、試料は10個作製し、測定値は10個の平均値として求めた。
<実験1>
表1に示すように、ペーストA〜Kとして示す成分及び添加量のガラスフリットを含む導電性ペーストを、太陽電池の表面電極形成用に用いて太陽電池を試作した。
実験1において、太陽電池作製の際の導電性ペーストの焼成は、すべて、ピーク温度が775℃、600℃以上の焼成時間が5秒となるように、焼成温度及び焼成時間を制御して行った。したがって、焼成温度プロファイルから求めた擬似積分値は、437.5℃・秒だった。
表1に、実験1によって得られた太陽電池の太陽電池特性(曲線因子FFの値)及び接着強度の測定結果を示す。表1から明らかなように、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%含む場合に、優れた太陽電池特性(FF値が0.75以上)及び十分に高い接着強度(2.0N以上の接着強度)を得ることができた。また、実験1の結果から、PbOを70〜89重量%(70重量%以上90重量%未満)含む場合にも、優れた太陽電池特性(FF値が0.75以上)及び十分に高い接着強度(2.0N以上の接着強度)を得ることができるといえる。
また、表1の結果から、ガラスフリットが、PbO、SiO及びBからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%含み、Bを0超〜5重量%含む場合に、優れた太陽電池特性(FF値が0.75以上)及び十分に高い接着強度(2.0N以上の接着強度)を得ることができた。
また、ペーストKのように、PbO及びSiOからなるガラスフリットを用いた導電性ペーストの場合にも、優れた太陽電池特性及び十分に高い接着強度を得ることができた。
また、ペーストA及びペーストIのように、ガラスフリットがAlを含む場合には、太陽電池特性が低下することが明らかになった。したがって、ガラスフリットはAlを含まないことが必要である。
Figure 0005550881
表1中の記号は下記の値であることを意味する。
「FF」の欄
○:FF値が0.75以上。
△:FF値が0.70以上0.75未満。
×:FF値が0.70未満。
「接着強度」の欄
○:引張強度が4.0N以上。
△:引張強度が2.0N以上4.0N未満。
×:引張強度が2.0N未満。
<実験2>
表2に示すように、ペーストB−2、C−2、E−2、G−2及びH−2として示す成分及び添加量のガラスフリット並びに添加物としてZnOを含む導電性ペーストを、太陽電池の表面電極形成用に用いて太陽電池を試作した。なお、ペーストB−2等は、表1に示すペーストB等のガラスフリットを含む導電性ペーストに対して、導電性粒子100重量部に対して5重量部のZnOをさらに加えたものである。また、実験2において、ペーストB−2等を用いた以外の条件は、実験1と同じとした。
表2に、得られた太陽電池の太陽電池特性(曲線因子FFの値)及び接着強度の測定結果を示す。添加物としてZnOを添加することによって太陽電池特性(曲線因子FFの値)及び接着強度は低下した。この結果は、添加物としてZnOを含む導電性ペーストの場合には、短時間の焼成プロファイルによる焼成は好ましくないことを示すものである。
Figure 0005550881
表2中の「FF」及び「接着強度」の欄の記号の意味は、表1と同じである。
<実験3>
太陽電池の焼成の際に異なった焼成温度プロファイルを用いることにより、焼成の際のピーク温度、600℃以上での焼成の温度及び時間を変化させ、擬似積分値と、得られた太陽電池特性(FF値)との関係を求めた。導電性ペーストは、表1に示すEの組成のものを用いた。実験3の結果を表3及び図3に示す。
表3及び図3に示す結果から、擬似積分値が100〜1100℃・秒の範囲である場合に、良好な太陽電池特性が得られることがわかった。また、この結果から、擬似積分値が95〜1150℃・秒である場合に、良好な太陽電池特性が得られるといえる。また、これらの良好な太陽電池特性であった太陽電池の金属リボンの接着強度は十分に高いことを確認した。なお、より優れた太陽電池特性を得ることを確実にするには、擬似積分値が100〜1000℃・秒であることがより好ましいといえる。
Figure 0005550881
1 光入射側電極(表面電極)
2 反射防止膜
3 n型拡散層(n型シリコン層)
4 p型シリコン基板
5 裏面電極

Claims (7)

  1. 無機材料を含む結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストであって、無機材料が導電性粒子とガラスフリットとからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、PbOを70〜90重量%含み、Alを含まない、導電性ペーストを用意する工程と、
    結晶系シリコン基板の表面及び/又は裏面に、導電性ペーストを塗布する工程と、
    焼成のピーク温度(Tp[℃])から600℃を差し引いた温度(Δ=Tp−600[℃])と、600℃以上での焼成時間(t[秒])との積の1/2の値である擬似積分値(S=Δ・t/2[℃・秒])が、95〜1150℃・秒となるような焼成温度及び焼成時間によって、塗布された導電性ペーストを焼成する工程とを含む、結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  2. 導電性ペーストを焼成する工程において、焼成のピーク温度(Tp[℃])が700〜850℃であり、600℃以上での焼成時間(t[秒])が1〜12秒である、請求項1記載の製造方法。
  3. ガラスフリットが、PbO及びSiOからなる、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. ガラスフリットが、PbO、SiO及びBからなり、ガラスフリットが、ガラスフリット100重量%中、Bを0超〜5重量%含む、請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 導電性粒子100重量%中、Agの含有量が60重量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. ガラスフリットのガラス転移点が350〜450℃である、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法
  7. 導電性ペーストを焼成する工程において、焼成のピーク温度(Tp[℃])が700〜800℃である、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法
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