JP5548698B2 - ハイブリッドアルファ‐アミラーゼ - Google Patents
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Description
配列番号1から27を含む配列表を添付し、参照によりその全体が取り込まれる。
本出願は、2008年12月15日出願の米国仮出願番号61/122,628に対して優先権を主張し、参照により、本明細書に取り込まれる。
本発明は、古細菌(archae)アルファ‐アミラーゼ及びターマミル(Termamyl)様アルファ‐アミラーゼ配列を含むハイブリッドアミラーゼを提供する。ハイブリッドアミラーゼは、野生型ターマミル様アミラーゼと比較して、改変された特性を有してよい。
共通の機能を有する関連酵素は、顕著な配列同一性を有してよくあるいは有さなくてよい。例えば、バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼ(1,4−α−D-グルカン グルカノヒドロラーゼ、EC 3.2.1.1)は、それらのアミノ酸配列が、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アルファ‐アミラーゼに対して60%以上の同一性を有する場合、“ターマミル様”として区分される。WO 96/23874を参照願いたい。ハイブリッドアミラーゼは、62%以上の配列同一性を共有するアミラーゼとの間で創製される。Gray他、 J. Bacteriology 166: 635-43 (1986); 米国特許第6,143,708を参照願いたい。例えば、バシルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)の1−300残基及びバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)の301−483残基を含むキメラアミラーゼは、組み換えにより発現し結晶化された。Brzozowski他、Biochemistry 39: 9099-107 (2000)を参照願いたい。また、WO 96/23874; WO 97/41213も参照願いたい。しかしながら、バシルス スブチリス(B. subtilis)及びバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)など、25%未満の配列同一性を共有するアミラーゼであっても、共通の触媒機能及び全体的に保存される3次元(3D)の折りたたみを共有できる。
ターマミル様アルファ‐アミラーゼの3D構造が、ガイドとして用いられ、新規なハイブリッドアルファ‐アミラーゼを構築する。ハイブリッドアミラーゼにおいては、ターマミル様N末端の一部が古細菌アミラーゼ由来の配列で置き換わる。二つのアミラーゼは、保存される3D構造を共有する。さらにアミラーゼ間の配列同一性は、60%未満でよい。ある実施態様においては、ハイブリッドアミラーゼは、約400から約500アミノ酸残基を含む。ハイブリッドアミラーゼにおいては、全アミノ酸の約10%と約80%の間が古細菌アルファ‐アミラーゼにより寄与される。ハイブリッド酵素における置換された部分は、ターマミル様アミラーゼと全部又は一部が構造的に保存される3D構造を有するように予測される。ある実施態様においては、少なくとも古細菌アミラーゼ配列のC末端残基(残基「x」)とターマミル様アミラーゼ配列のN‐末端残基(残基「y」)が構造的に保存される。ハイブリッドアミラーゼは、構成要素であるアミラーゼ配列の所望の特性、例えば組み換え発現の改変されたレベル、改変された溶解度、及び所望の性能特性、例えば最適pH活性プロファイル、基質特異性、生産物の特性及び特異的活性などを有利に組み合わせてよい。
A−x−y−B (I)
ここで、
Aは、古細菌アルファ‐アミラーゼ由来第一アミノ酸配列、
Bは、野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼ又はその変異体由来第二アミノ酸配列、
xは、第一アミノ酸配列のC末端残基、及び
yは、第二アミノ酸配列のN末端残基である、
ハイブリッドアミラーゼを提供する。ターマミル様アルファ‐アミラーゼ変異体は、野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼに少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、又は約99%配列同一性を有してよい。第一及び第二アミノ酸配列が共に約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、又は約500のアミノ酸残基を含んでよい。ハイブリッドアミラーゼ中アミノ酸の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、又は約80%が、古細菌アルファ‐アミラーゼにより寄与されてよい。残基x及びy両方が、野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼと比較してハイブリッドアミラーゼ中に構造的に保存される。ハイブリッドアミラーゼは、配列番号1−8のいずれか一つを示すアミノ酸配列を含んでよい。さらなる態様においては、ハイブリッドアミラーゼを精製してよい。
コンピューター実行方法において、古細菌アルファ‐アミラーゼ及び野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼの3D構造をアライメントする工程、
構造的に保存されるアミノ酸残基x及びyを選択する工程、及び
ハイブリッド酵素をコードする核酸を設計する工程、
を含む。コンピューター実行方法がコンピューターモニター上に3次元構造アライメントを表示することを含んでよい。野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼ3D構造と比較して残基xとyにおけるアルファ炭素間の二乗平均平方根距離が、約0.5Å、約0.4Å、約0.3Å、約0.2Å、又は約0.1Å以下である。
本発明は、例えば、バシルス(Bacillus)アミラーゼなど、野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼの全部又は部分的に保存された3D構造を共有するハイブリッドアルファ‐アミラーゼを提供する。ハイブリッドアミラーゼにおいては、ターマミル様アルファ‐アミラーゼのN末端部分が、古細菌アルファ‐アミラーゼ由来の配列で置き換わる。その二つのアミラーゼの間の配列類似性は、60%未満でよい。ハイブリッドアルファ‐アミラーゼにおける野生型3D構造を保存することは、酵素的に活性なアミラーゼを得ることを容易にする。ある実施態様においては、一つ又は両方のアミラーゼ配列が、Bドメインへの残基に寄与し、特に有益な特性をもたらす。例えば、ターマミル様アルファ‐アミラーゼのBドメイン中のCa2+結合部位をCa2+を結合しない古細菌アルファ‐アミラーゼのBドメインを用いた置換が、Ca2+非存在下で完全に活性であるハイブリッドを生成することができる。
本明細書の詳細な説明に従って、次の略語及び定義を適用する。本明細書にて使用する単数形「a」「an」及び「the」は、内容が明らかに他の事を指し示していない限り、複数の指示対象を含む。すなわち、例えば、「酵素」の意味は該当酵素の複数を含み、「製剤(the formulation)」の意味は一以上の製剤及び当業者に公知のこれらに均等な製剤を含む。
本明細書にて用いる「古細菌(Archae)」は、原核生物及び真核生物と異なる界の単細胞有機体をいう。古細菌は、好熱細菌、好塩性生物、及びメタン細菌を含む。
次の略語は、他に示していない限り、以下の意味を有する。
3-D又は3D 3次元の
ADA アゾジカルボナミド(azodicarbonamide)
AmyS バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)(a/k/a ゲオバシルス ステアロテルモフィルス(Geobacillus stearothermophilus))アミラーゼ
AmyS n AmySの残基n、配列番号9のナンバリング配列を用いる
AmyS n-483 AmyS 残基n-483, 配列番号9のナンバリング配列を用いる
cDNA 相補DNA
DEAE ジエチルアミノエタノール(diethylamino ethanol)
DNA デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)
EC 酵素委員会(Enzyme Classification designation)
HPLC 高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography)
mRNA メッセンジャーリボ核酸(messenger ribonucleic acid)
PCR ポリメレースチェーン反応(polymerase chain reaction)
PDB プロテインデータベース(protein database)
PEG ポリ(エチレングリコール)(poly (ethyleneglycol))
ppm 百万分の一(parts per million)
RMSD 二乗平均平方根距離(root mean square distance)
RT-PCR リバーストランスクリプターゼポリメラーゼチェーン反応(reverse transcriptase polymerase chain reaction)
SDS-PAGE ドデシル硫酸ナトリウム‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動(sodium dodecyl sulfate−polyacrylamide gel electrophoresis)
1X SSC 0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0
t1/2 半減期(half life)
Tm 50%の対象タンパク質が溶解する融点(melting temperature) (℃)
ΔTm 融点での℃変化
Ultrathin 受託番号AAM48115.1(配列番号10)としてGenBank(商標)に開示の古細菌アミラーゼ
UT n 配列番号10のナンバリング配列をもちいるUltrathinアミラーゼの残基n
UT 1-n 配列番号10のナンバリング配列を用いるUltrathin残基1‐n
UT 1-x: AmyS y-483 AmyS残基y-483に融合Ultrathin残基1-x
w/v 重量/体積(weight/volume)
w/w 重量/重量(weight/weight)
ハイブリッド酵素を作成するために似ていないアミノ酸配列を融合するとき、特に二つの配列がドメインの中央に結合される時、ドメイン構造は、崩壊されうる。順々にドメイン構造の崩壊は、低い活性及び/又はタンパク質の折りたたみの困難性をもたらし得、発現融合タンパク質の収量の減量の結果となる。この問題は、第一のタンパク質由来のアミノ酸配列とバシルス(Bacillus)タンパク質由来のアミノ酸配列間で融合の適切なポイントを選択することにより対処される。すなわち、二つの配列が、二つのアミラーゼ配列の3D構造が保存されるポイントで融合される。このようにして、その二つの配列が、ハイブリッド酵素中に結合される時、最少の3D構造の変化が生じる。さらに、このアプローチは、アミラーゼが60%未満配列同一性を共有するときでさえ、活性ハイブリッドの構築に役立つ。
A−x−y−B (I)
ここで、
Aは、古細菌アルファ‐アミラーゼ由来第一アミノ酸配列、Bは、野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼ又はその変異体由来第二アミノ酸配列、xは、第一アミノ酸配列のC末端残基、及びyは、第二アミノ酸配列のN末端残基である。ある実施態様においては、少なくとも残基x及びyが、野生型ターマミル様アルファ‐アミラーゼと構造的に保存される。つまり、残基x及びy中のアルファ炭素のRMSDが、約1Å以下である。別の実施態様においては、残基x及びy中のアルファ炭素のRMSDが、約0.5Å以下である。
バシルス(Bacillus)アミラーゼは三つの球状ドメインA、B、及びCから形成される。WO 96/23874の詳細な説明を参照願いたい。ドメインは、ドメインAとして、残基1−103と206−395、ドメインBとして残基104−205、及びドメインCとして残基396−483として定義され、残基の数字は、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アルファ‐アミラーゼに基づく。バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼは長い分子であり、最も長い軸は、約85Åである。この軸に垂直な最も広いポイントは、約50Åであり、セントラルドメインAに及ぶ。バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アルファ‐アミラーゼの活性部位残基は、D323、D231及びE261である。
ドメインAは、最も大きなドメインであり、酵素表面に深い割れ目中に3つのアミノ酸残基のクラスターを含む活性部位含む。すべて知られているアルファ‐アミラーゼ構造のドメインAは、同じ全体的な折りたたみ、すなわち、8つのセントラルβ‐ストランド及び8つのフランキングα‐ヘリックスを伴う(β/α)8バレルを有する。β‐ストランド1のC末端は、ループ1で示されるループによりヘリックス1へ接続し、同一のパターンが、他のループでみられる。これらのループは、サイズにいくつか変化があり、幾つかは、かなり広くてよい。
ドメインBは、多くの荷電した残基を含むコンパクトなドメインである。Bドメインは、ドメインAのストランド3及びヘリックス3の間のループの延長として生じ、少なくとも一つの長いループ構造を含み、‐1、+3、‐1X、+2の結合性を有する5‐ストランド逆平行β‐シート構造を含む。Richardson, Adv. Protein Chem. 34, 167-339 (1981)を参照願いたい。
ドメインCは、アミノ酸394−483からなるタンパク質のC末端部分である。ドメインCは、もっぱらβ‐ストランドからなり、それ自身で折りたたむ単一な8−ストランドシート構造を形成する。従って、そのシート構造は、β‐サンドウィッチ構造として記載されてよい。ストランド6及び7がゆるく接続しているのみであるが、連結性は、+1,+1,+5,−3,+1,+1,−3である。β‐シートのある部分は、ドメインAの接触部分を形成する。
カルシウムイオンの一つが、大変弱い配位を表すけれども、ターマミル様アルファ‐アミラーゼの構造は、4つのカルシウム結合部位及び一つのナトリウム‐結合部位を含む。カルシウムイオンの二つは、三つのイオンの直線クラスターの部分を形成し、中央のイオンは、ドメインAとBの接合点に存在するナトリウムに寄与する。
本発明のハイブリッドアミラーゼは、単離された及び/又は精製されたものでよい。ハイブリッドアミラーゼは、第一のアルファ‐アミラーゼのN末端フラグメント及び第二のアルファ‐アミラーゼであって、バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼのC末端フラグメントを含む。ある実施態様においては、バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼは、ターマミル様アミラーゼである。具体的な実施態様においては、バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼは、AmySである。ある実施態様においては、第一の及び第二のアミラーゼは、約60%未満の配列同一性を共有してよい。例えば、それらのアミラーゼは、約50%、40%、30%、又は20%未満の配列同一性を共有してよい。第一のアルファ‐アミラーゼ配列は、ハイブリッドアミラーゼのアミノ酸配列の少なくとも約10%、しかし80%以下を含む。多様な実施態様においては、第一のアルファ‐アミラーゼ配列は、ハイブリッドアミラーゼのアミノ酸残基の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は10%−80%の間の任意の整数値を含む。
ハイブリッドA: UT 1-104: AmyS 100-483 (配列番号1);
ハイブリッドB: UT 1-113: AmyS 109-483 (配列番号2);
ハイブリッドC: UT 1-128: AmyS 140-483 (配列番号3);
ハイブリッドD: UT 1-145: AmyS 161-483 (配列番号4);
ハイブリッドE: UT 1-163: AmyS 203-483 (配列番号5);
ハイブリッドF: UT 1-175: AmyS 215-483 (配列番号6);
ハイブリッドG: UT 1-191: AmyS 228-483 (配列番号7);及び
ハイブリッドH: UT 1-209: AmyS 246-483 (配列番号8)。
ある実施態様においては、ハイブリッドアミラーゼを含む配列は、天然の又は野生型配列の変異体である。ある態様においては、第一アミラーゼに対応するハイブリッドのフラグメントのみが、同じ隣接する残基についてその天然配列に対して変異体である。別の態様においては、バシルス (Bacillus)アミラーゼに対応するハイブリッドのフラグメントのみが、同じ隣接する残基についてその天然配列に対して変異体である。例えば、AmyS配列は、配列番号11に記載のC末端欠失を有するAmySから選択されてよく、欠失は、デンプン結合ドメインを除去している。いくつかの実施態様においては、宿主細胞は、配列番号1−8と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一性を有するアミノ酸配列を用いて折りたたみセグメント融合変異体を発現するように遺伝子組み換えされる。
5.1 ベクター
いくつかの実施態様においては、上記に記載のものなど、ハイブリッドアミラーゼの変異体を含むハイブリッドアミラーゼをコードする核酸を含むDNA構築体は、ハイブリッドアミラーゼコード配列に作動可能に結合する調節配列を含む発現ベクターの宿主細胞に形質転換される。ベクターは、宿主細胞へ組み込むことができる及び宿主細胞へ導入される時複製することができる任意のベクターでよい。好適な発現及び/又は組み込みベクターの追加的例は、Sambrook他、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); Bennett他、MORE GENE MANIPULATIONS IN FUNGI, Academic Press, San Diego (1991), pp. 396-428; 及び米国特許第5,874,276に記載される。ベクターの例は、pFB6、pBR322、PUC18、pUC100及びpENTR/D、pDON(商標)201、pDONR(商標)221、pENTR(商標)、pGEM(商標)3Z及びpGEM(商標)4Zを含む。細菌細胞中で用いる例は、pBR322及びpUC19を含み、大腸菌(E. coli)及びpE194に複製でき、例えば、バシルス(Bacillus)中に複製できる。
宿主細胞へDNA構築体又はベクターの導入は、形質転換、エレクトロポレーション、核マイクロインジェクション、形質導入、例えば、リポフェクション仲介トランスフェクション及びDEAE‐デキストリン仲介トランスフェクションのようなトランスフェクション、リン酸カルシウムでインキュベーションするDNA沈殿、DNAコートマイクロプロジェクタイルを用いる高速衝撃、及びプロトプラスト融合などの方法を含む。一般的な形質転換技術は、当分野で周知である。Ausubel他、(1987), 上記, chapter 9; Sambrook他、 (2001), 上記; 及びCampbell他、 (1989) Curr. Genet. 16: 53-56を参照願いたい。トリコデルマ(Trichoderma)における異種のタンパク質の発現は、例えば、米国特許第6,022,725;米国特許第6,268,328; Harkki他、(1991) Enzyme Microb. Technol. 13: 227-233; Harkki他、(1989) BioTechnol. 7: 596-603; EP 244,234; 及びEP 215,594に記載される。ある実施態様においては、一般的に好適な形質転換体は、ベクター系で構築され、それによりハイブリッドアミラーゼをコードする核酸が宿主細胞染色体へ安定的に組み込まれる。形質転換体は、それから周知の方法により精製される。
6.1. ハイブリッドアミラーゼを精製する方法
一般的に、細胞培養で生成されるハイブリッドアミラーゼは、培地へ分泌され、例えば、細胞培養培地から不必要な成分を除去することにより、精製及び単離されてよい。ある場合、ハイブリッドアミラーゼは、細胞溶解物から除かれてよい。そのような場合、ハイブリッドアミラーゼは、当業者により通常使用される方法を用いてハイブリッドアミラーゼが細胞内で生成された細胞から精製される。タンパク質精製の例は、親和性クロマトグラフィー、高分解能イオン交換を含むイオン交換クロマトグラフィー法、疎水性相互作用クロマトグラフィー、二相分配、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上又はDEAEなど陽イオン交換樹脂上のクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム、及び例えばセファデックスG−75を用いるゲルろ過を含むが、これらに限定されない。タンパク質精製の他の方法は、当分野で周知であり、広く入手可能である。
宿主細胞中のハイブリッドアミラーゼの発現を評価するために、アッセイを発現タンパク質、対応するmRNA、又はアルファ‐アミラーゼ活性を測定するために用いることができる。アッセイの例は、ノーザン及びサザンブロッティング、RT−PCR(リバーストランスクリプターゼポリメラーゼチェーン反応)、及び適切なラベル化ハイブリダイズプローブを用いるインサイチュ(in situ)ハイブリダイゼーションを含む。また、アッセイは、サンプル中のハイブリッドアミラーゼ活性を測定することも含む。発現されたハイブリッドアミラーゼのエキソ‐活性用のアッセイは、ベタミル(商標)(Betamyl)アッセイ(Megazyme, Ireland)を含むが、これに限定されない。ハイブリッドアミラーゼのエンド‐活性の好適なアッセイは、ファデバス(商標)(Phadebas)アミラーゼ試験(Magle Life Sciences)を含むが、これに限定されない。アッセイは、ハイブリッドアミラーゼ存在下で調製される液体のHPLC分析も含む。HPLCは、アッセイの他の成分からDP−3及びDP−4を分離することによりアミラーゼ活性を測定するために用いることもできる。
ハイブリッドアミラーゼは、それらの核酸及びプライマリーポリペプチド配列により、3次元構造モデリングにより、及び/又はそれらの特異的活性により特徴づけられ得る。ハイブリッドアミラーゼの追加的な特徴は、例えば、安定性、pH範囲、酸化安定性、及び熱安定性を含む。発現及び酵素活性のレベルは、当業者に知られる標準アッセイを用いて評価され得る。別の態様においては、変異体は、高温、例えば、65−85℃にて、改善された安定性など、野生型酵素と比較して、改善された性能特性を実証される。ハイブリッドアミラーゼは、液化又は焼成など高温を要求する他の方法において用いるのに有用である。例えば、熱安定性ハイブリッドアミラーゼは、約55℃から約85℃以上の温度にてデンプンを分解できる。
本明細書に記載の方法によって生成されかつ精製されたハイブリッドアミラーゼは、様々な工業的利用に有用である。特定のハイブリッドアミラーゼを使用するのがどれ程望ましいかは、特定用途における必要性に関してハイブリッドアミラーゼによって表示される全体的な特性に依存するだろう。
1.1. アミラーゼ構造のアライメント
予備段階において、バイロコッカス ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)アミラーゼ(PDP 受託番号 1MXG)の3D構造をAmyS(PDB 受託番号 1HVX)の3D構造とアラインした。それから、古細菌アルファ‐アミラーゼdes−Met Ultrathin (GenBank(商標)受託番号AAM48115.1; 配列番号9)3D構造をガイドとしてバイロコッカス ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)構造を用いて決定した。ウルトラシン(Ultrathin)は、正確な3D構造モデルの構築を容易にする、バイロコッカス ヴェッセイ(Pyrococcus woesei)アミラーゼと高いレベルの配列同一性(86.7%)を共有している。モデリングをClustalWプログラムで実施した。Thompson他、Nucleic Acids Res. 22: 4673-46 (1994)を参照願いたい。
ハイブリッドアミラーゼをコードする核酸を設計し、構築した。この実施例においては、配列番号1−8のハイブリッドアミラーゼは表2に示す省略形を有する。残基数の前及び後の括弧は、融合タンパク質において結合するアミノ酸残基を示す。ウルトラシン及びAmySの完全長配列に関してこれらの残基の位置は、それぞれ、図3及び図4に示す。括弧内のウルトラシン残基は、式(I)、A−x−y−B中の残基xを表し、ここで、括弧内のAmyS残基は、式(I)中の残基yを表す。
ベータ ラクタマーゼ遺伝子であって、アンピシリン/カルベニシリン耐性を獲得する、
バシルス スブチリス(B. subtilis)AprE(アルカリプロテアーゼ)プロモーターであって、宿主ゲノムへの組み込みを促進するバシルス(Bacillus)宿主染色体に相同的な領域を有する、
バシルス スブチリス(B. subtilis)AprEシグナル配列、
ハイブリッドアミラーゼコード核酸、
バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)LAT(リチェニフォルミス(licheniformis)アミラーゼ熱耐性)ターミネーター、
クロラムフェニコール耐性のためのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、及び
複製の大腸菌(E.coli)オリジン
PstI-NheI-F: ctcagctctgcagctagcgcagcaa (配列番号12)
BssHII-Ethyl Rev: gtgtggaattgtgagcggcca (配列番号13)
PCR反応内容物は、5μLのpFU ウルトラバッファー(UltraBuffer) (10X)、42μLのH2O、0.5μLのプライマー: PstI-NheI-F、0.5μLのプライマー: BssHII-Ethyl Rev、1μLのロッシュ(Roche) dNTP‘s(5mM 保存溶液)、1μLのハイブリッドDNA及び1μLのpFU Ultra HF DNAポリメラーゼを含んだ。PCRプログラムサイクルは、サーマルサイクラー(MJ Research(商標) PTC−200 Peltier)を用いて、95℃にて1分、18x (1分95℃、1分60℃、2分、20秒68℃)、続いて68℃にて7分及び4℃にてホールドであった。
pAprBbsGTG-201-fwd: agcgagagatgatataccta (配列番号14)
pJH101-end-rev: tttcggcgtgggtatggtggc (配列番号15)
各PCR反応由来のDNAをアガロースゲル上で分離し、コロニーPCRがうまくいっていることを確認した。
pAprBbsGTG-201-fwd: agcgagagatgatataccta (配列番号14)
pJH101-end-rev: tttcggcgtgggtatggtggc (配列番号15)
Et538-fwd: ggtggacgccgtcgaagtcaat (配列番号16)
Et1130-F: cgcacgttaatgaccaatacac (配列番号17)
PstI-NheI-F: ctcagctctgcagctagcgcagcaa (配列番号18)
BssHII-Eth-new2R: gacgacgagcgcgcgatcagaag (配列番号19)
PCR反応内容物は、5μLのpFU ウルトラバッファー(UltraBuffer) (10X)、42μLのH2O、0.5μLのプライマー: PstI-NheI-F、0.5μLのプライマー:BssHII-Eth-new2R、1μLのロッシュ(Roche) dNTP‘s(5mM 保存溶液)、1μLのUltra-EthylハイブリッドDNA及び1μLの pFU Ultra HF DNAポリメラーゼを含んだ。PCRプログラムサイクルは、サーマルサイクラー(MJ Research(商標) PTC−200 Peltier)を用いて、95℃にて2分、18x(1分95℃、1分56℃、1分、15秒、68℃にて)、1分、15秒、68℃に続いて4℃にてホールドであった。
pAprBbsGTG-201-fwd: agcgagagatgatataccta (配列番号14)
pJH101-end-rev: tttcggcgtgggtatggtggc (配列番号15)
であった。
pAprBbsGTG-201-fwd: agcgagagatgatataccta (配列番号14)
pJH101-end-rev: tttcggcgtgggtatggtggc (配列番号15)
Et538-fwd: ggtggacgccgtcgaagtcaat (配列番号16)
Et1130-F: cgcacgttaatgaccaatacac (配列番号17)
正しいDNA配列を有するクローンの液体培地を−80℃にて全体積の15%グリセロール中で凍らせた。
2.1. ハイブリッドアミラーゼの調製
バシルス スブチリス(B. subtilis)BG6006宿主細胞中にクローン化された異なるハイブリッドアミラーゼの新鮮なグリセロールストックを1%不溶性コーンスターチ+25ppmクロラムフェニコールプレートを含むLBプレート上にストリークし、37℃にて終夜インキュベーションした。翌朝、出発培養物を5mLの25ppmクロラムフェニコールを含む培地中で培養した。出発培養物を37℃にてシェーカー(250rpm)で8時間15分間培養させた。それから、30μLのこの前培養物を25ppmクロラムフェニコールと5mM CaCl2を供給した30mLの培養培地(下記に記載)で満たした250mLフラスコ中に加えた。振盪フラスコを250rpmにて混合しながら、37℃にて60−65時間インキュベーションした。培養培地は主要な窒素源として尿素及び主要な炭素源としてグルコースを用い、丈夫な細胞成長のために1%ソイトンを補給したMOPS緩衝液に基づく富栄養半‐規定培地であった。細胞培養後、培養物を二つのセットに分割した。セット1を本来のpH7に維持し、セット2のpHを約10.5へ上げた。各セット1からの25mLの細胞懸濁液を20分間5000rpmにて遠心分離し、細胞ペレットから上清中のタンパク質を分離した。セット2については、各培養物の1.5mLを2mL遠心管へアリコートし、1−3μLのNaOHを添加しpHを10.5へ上げた。サンプルを5分間14,000rpmにて遠心分離した。上清(目的タンパク質を含む)を清潔なチューブへ移し、アッセイの直前まで冷蔵庫に置いた。
上記にように調製したハイブリッドアミラーゼを比色ファデバスアッセイを用いてアミラーゼ活性として試験し、ここでウルトラシンをコントロールとして用いた。アッセイの結果を図2に記載した。異なるアミラーゼハイブリッド(上記に記載のように調製)の振盪フラスコからの培養上清をデンプン基質結合ファデバス(商標)染色を用いるミリポアマルチスクリーン‐HVプレート(Millipore multiscreen−HV plates)(#MAHVN4550)でアミラーゼ活性を試験した。Magle Life Sciences製ファデバス(商標)アミラーゼアッセイ錠剤を時折5‐10分間ボルテックス混合を用いてアッセイ緩衝液(50mm マレイン酸Na、50mM NaCl、2mM CaCl2、pH5.2)に溶解した。タンパク質サンプルの各セットからの培養上清15μLを96穴プレートの一番上の列にある135μLアッセイ緩衝液に添加し(1:10希釈)、サンプルをピペッティングにより混合した。これらのウェルそれぞれから50μLのアリコートを100μLアッセイ緩衝液を含む下の列に移し(1:3希釈)、ピペッティングにより混合し、それから続けて希釈するために一連の移しの50μLをプレートの下へ行った。基質溶液の100μLを各ウェルに添加した。プレートに蓋をしてプレートローター/ミキサー上で手短に混合し、45分間37℃にてインキュベーターに置いた。このインキュベーション後、プレートをミリポアバキュームマニフォールド(Millipore vacuum manifold)において、内容物を標準平底プレートにろ過し、マイクロプレートリーダーで620nmにて光学密度を測定した。
このアッセイにおいては、異なるアミラーゼハイブリッドを発現する細胞によるアミラーゼ生成を1%不溶性スターチ+25ppmクロラムフェニコールを補ったLAプレート上にバシルス(Bacillus)クローンを移植し、37℃にて終夜(少なくとも16時間)プレートをインキュベーションすることにより試験した。次の日クローンをデンプンプレート上の透明なゾーンの存在を観察し、相対的なハロサイズを評価することにより定量的にランク付けした。ウルトラシンをコントロールとして用いた。ウルトラシンは一般的に37℃にて培養されるが、アッセイプレートをハローをみるために70℃にて培養しなければならなかった。
実施例2.2及び2.3に記載のアッセイの結果を図2及び表3に示し、コントロールとしてウルトラシンを用いる。ハローアッセイの結果を表3の二番目のカラムに示し、比色アッセイの結果を三番目のカラムに示す。
配列番号1:ハイブリッドA: AAM48115.1 A1からI104/ AmyS A100からR483. 残基 1-488.
1-104 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met)残基を太字で示す
105-488 = AmyS残基 100-483
残基 1-488.
1-113 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met) 残基を太字で示す
114-488 = AmyS 残基 109-483
残基 1-472.
1-128 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met) 残基を太字で示す
129-472 = AmyS残基140-483
残基 1-468.
1-145 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met) 残基を太字で示す
146-468 = AmyS 残基 161-483
残基 1-444.
1-163 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met) 残基を太字で示す
164-444 = AmyS残基 203-483
残基 1-444.
1-175 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met) 残基を太字で示す
176-444 = AmyS 残基215-483
残基 1-447.
1-191 = AAM48115.1 (w/o末端 Met) 残基を太字で示す.
192-447 = AmyS 残基 228-483
残基 1-447.
1-209 = AAM48115.1 (w/o N-末端 Met) 残基を太字で示す
210-447 = AmyS残基246-483
合成配列
ctcagctctgcagctagcgcagcaa
合成配列
gtgtggaattgtgagcggcca
合成配列
agcgagagatgatataccta
合成配列
tttcggcgtgggtatggtggc
合成配列
ggtggacgccgtcgaagtcaat
合成配列
cgcacgttaatgaccaatacac
合成配列
ctcagctctgcagctagcgcagcaa
合成配列
gacgacgagcgcgcgatcagaag
Claims (14)
- 酵素的に活性なハイブリッドアミラーゼであって、N末端からC末端まで式(I)を有するポリペプチドを含み、
A−x−y−B (I)
ここで、
A−xは、古細菌アルファ‐アミラーゼ由来第一アミノ酸配列であり、ここで、xは、第一アミノ酸配列のC末端残基
y−Bは、バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼ又はバシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼに少なくとも90%の配列同一性を有するバシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼの変異体由来第二アミノ酸配列であり、ここで、yは、第二アミノ酸配列のN末端残基であり、
第一及び第二アミノ酸配列が合わせて400から500のアミノ酸残基を含み、
ハイブリッドアミラーゼの全アミノ酸の10%から80%が、古細菌アルファ‐アミラーゼにより寄与され、
バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼ三次元構造との構造アライメントにおいて、残基xとyにおけるアルファ炭素間の二乗平均平方根距離が、1Å以下であり、及び
前記バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼがバシルス ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アルファ‐アミラーゼ、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アルファ‐アミラーゼ、バシルス スブチリス(B. subtilis)アルファ‐アミラーゼ、バシルス種(Bacillus sp.)KSM−K38アルファ‐アミラーゼ、又はバシルス ハルマパルス(B. halmapalus)アルファ‐アミラーゼである、
ことを特徴とするハイブリッドアミラーゼ。 - バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼ三次元構造との構造アライメントにおいて、残基xとyにおけるアルファ炭素間の二乗平均平方根距離が、0.5Å以下であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドアミラーゼ。
- バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼ三次元構造との構造アライメントにおいて、残基xとyにおけるアルファ炭素間の二乗平均平方根距離が、0.3Å以下であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドアミラーゼ。
- バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼが、バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)アルファ‐アミラーゼであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドアミラーゼ。
- バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼが、バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)アルファ‐アミラーゼの変異体であり、デンプン結合ドメインが、バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)アルファ‐アミラーゼのC末端から除かれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のハイブリッドアミラーゼ。
- 古細菌アルファ‐アミラーゼが、配列番号9のアルファ‐アミラーゼであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハイブリッドアミラーゼ。
- (i)第一及び第二アミノ酸配列が60%未満の配列同一性を共有するアミラーゼ由来である;及び/又は
(ii)残基xとyがBドメイン中にある;及び/又は
(iii)第一アミノ酸配列が、Bドメインのアミノ酸残基の少なくとも80%に寄与する;及び/又は
(iv)第一アミノ酸配列が、Zn 2+ 結合部位を含む;及び/又は
(v)バシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼのCa 2+ 結合部位における少なくとも一つのアミノ酸が、第一アミノ酸配列由来のアミノ酸残基で置換される;及び/又は
(vi)ハイブリッドアミラーゼがアルファ‐アミラーゼ活性を有し、ここで、活性が、Ca 2+ 濃度により影響されない、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハイブリッドアミラーゼ。 - ハイブリッドアミラーゼが、配列番号1、2、6、又は8のいずれかひとつのアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドアミラーゼ。
- ハイブリッドアミラーゼが、精製されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のハイブリッドアミラーゼ。
- 請求項1から9のいずれかに記載のハイブリッドアミラーゼをコードする核酸。
- 請求項10に記載の核酸を含むベクター。
- 請求項10に記載の核酸又は請求項11に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 宿主細胞が、細菌又は真菌であることを特徴とする請求項12に記載の宿主細胞。
- 細菌がバシルス種(Bacillus sp.)であることを特徴とする請求項13に記載の宿主細胞。
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