JP5548574B2 - ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 Download PDF

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Description

本発明は、帯電防止剤を含有するポリスチレン系樹脂粒子、このようなポリスチレン系樹脂粒子を発泡させた予備発泡粒子や発泡成形品に関する。
従来、ポリスチレン系樹脂組成物からなる発泡性のポリスチレン系樹脂粒子をビーズ発泡成形した発泡成形品は、“発泡スチロール”などと呼ばれて断熱材や緩衝材として広く利用されている。
例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を一旦発泡させて予備発泡粒子を作製し、この発泡粒子を金型内で加熱することによって断熱性容器などの発泡成形品を作製することが従来行われている。
この種の用途に利用される発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、下記特許文献1に示されているように、発泡剤を含有していないポリスチレン系樹脂粒子を予め作製した後に発泡剤を含浸させる方法や、押出機で発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練して、得られた溶融混練物を水中に押出しつつペレット状に切断する方法などによって作製されている。
前記発泡剤としては、従来、炭化水素が用いられることが多く、例えば、発泡性のポリスチレン系樹脂粒子を保管する容器内やポリスチレン系樹脂粒子を搬送する搬送経路において静電気などによる火花が発生するとポリスチレン系樹脂粒子から放出された炭化水素ガスに引火するおそれを有することから、従来、界面活性剤などの帯電防止剤をポリスチレン系樹脂粒子の原材料に配合したり、ポリスチレン系樹脂粒子の表面に塗布したりすることが行われている。
また、一般に樹脂粒子を使用して樹脂製品を作製する際においては、配管中を空気搬送して樹脂粒子を製造装置に供給するような搬送方法が採用されているため、静電気を帯びて搬送途中の意図せぬ箇所に付着してしまうと、材料切り替えを行って同じ装置で別製品を作製するのに際して異物となって混入してしまうおそれを有する。
このような理由から発泡性のポリスチレン系樹脂粒子のみならず、発泡剤を含んでいないポリスチレン系樹脂粒子であっても帯電防止性を付与することが従来求められている。
しかし、界面活性剤を表面塗布した場合、ポリスチレン系樹脂粒子を収容する容器や、ポリスチレン系樹脂粒子を利用する装置にこの界面活性剤が付着するという問題を発生させるおそれを有する。
また、界面活性剤を練り込んだ場合でも、界面活性剤はポリマー中における拡散速度が大きいために時間の経過とともにポリスチレン系樹脂粒子表面に滲出し、所謂“ブリードアウト”という現象を引き起こし、表面塗布した場合と同じ結果になるおそれを有する。
特開2006−206753号公報
近年、界面活性剤などのような低分子型の帯電防止剤に代えて分子量が1000を超え、数万に及ぶような高分子量の物質を主成分とする、所謂“高分子型帯電防止剤”の利用が検討されている。
この高分子型帯電防止剤としては、アイオノマー樹脂などを用いたものが知られており、このようなアイオノマー樹脂は、界面活性剤などの低分子量のものと違ってポリマー中における移行性が低いことから、このアイオノマー樹脂を高分子型帯電防止剤として用いることで付着物を生じるおそれを抑制させうる。
しかし、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤は、比較的、大量に配合しないと効果が発揮されず、しかも、一般にポリスチレン系樹脂に比べて高価であるため大量配合するとポリスチレン系樹脂粒子の材料コストを増大させてしまいやすく当該ポリスチレン系樹脂粒子によって作製される製品の価格を向上させてしまうおそれを有する。
しかし、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤を少ない量で有効に作用させるための検討は行われておらず上記のような問題を解決するための手段はいまだ確立されてはいない。
本発明は、前記アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤をポリスチレン系樹脂粒子の帯電防止に利用しつつ、その配合量を抑制させて十分な帯電防止効果を得ることを課題としており、ひいては、当該ポリスチレン系樹脂粒子が発泡されてなる予備発泡粒子や発泡成形品に良好なる帯電防止性能を付与することを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤を、ポリスチレン系樹脂中に分散させると海島構造となり、前記ポリスチレン系樹脂からなるマトリックス相中に、前記アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤からなる分散相が形成されることを見出した。
そして、ポリスチレン系樹脂中に分散しているアイオノマー樹脂粒子は、その中心部分よりも表面部分の方が帯電防止に有効であり、中心部分を他の一般的な樹脂に置換しても帯電防止性能をあまり低下させないことを見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記課題を解決するためのポリスチレン系樹脂粒子に係る本発明は、ポリスチレン系樹脂組成物からなるポリスチレン系樹脂粒子であって、ポリスチレン系樹脂中に他の樹脂をコアシェル状に分散させた海島構造が少なくとも表面部に形成されており、コアシェル状に分散している前記樹脂は、コア部となる部分がポリオレフィン系樹脂、及び、ポリ乳酸系樹脂の内のいずれかで、且つ、該コア部を形成する樹脂の前記ポリスチレン系樹脂組成物に占める割合が5〜20質量%であり、シェル部となる部分がアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤で、該アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーであることを特徴としている。
本発明のポリスチレン系樹脂粒子は、少なくとも表面部において海島構造が形成されており、ポリスチレン系樹脂中にコアシェル状に樹脂を分散させた海島構造が形成されている。
しかも、コアシェル状に分散されている樹脂は、シェル部がアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤であり、コア部がポリオレフィン系樹脂、及び、ポリ乳酸系樹脂の内のいずれかである。
すなわち、本発明のポリスチレン系樹脂粒子においては、アイオノマー樹脂系高分子型の多くが帯電防止に特に有効となる状態で含有されている。
したがって、本発明によればアイオノマー樹脂系高分子型の使用量を抑制しつつもポリスチレン系樹脂粒子の帯電防止を図り得る。
また、このようなポリスチレン系樹脂粒子を利用することで、予備発泡粒子や発泡成形品にも優れた帯電防止効果が発揮されることになる。
ポリスチレン系樹脂フィルムにおけるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂と高分子型帯電防止剤(MK400)の分散状態を観察したTEM像。 実施例で行ったポリスチレン系樹脂粒子の体積固有抵抗の測定方法を説明する構成図である。 ポリスチレン系樹脂粒子におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂と高分子型帯電防止剤(MK400)の分散状態を観察したTEM像。
本発明のポリスチレン系樹脂粒子について、ビーズ発泡成形に利用可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を例示しつつ以下に説明する。
まず、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を形成するためのポリスチレン系樹脂組成物について説明する。
本実施形態における前記ポリスチレン系樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂の内の少なくとも1種からなるベース樹脂と、ポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及び、アクリル系樹脂の内のいずれかと、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤を含有している。
前記ポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及び、アクリル系樹脂は、通常、前記ポリスチレン系樹脂に対して非相溶性を示す樹脂であり、前記ポリスチレン系樹脂と海島構造を形成させるための成分である(以下「非相溶性樹脂」ともいう)。
また、前記アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤(以下、単に「アイオノマー樹脂」ともいう)も通常、前記ポリスチレン系樹脂に対して非相溶性を示す樹脂であり、前記ポリスチレン系樹脂と海島構造を形成させるべく前記ポリスチレン系樹脂組成物に含有されている。
さらに、本実施形態の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂組成物には、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱発泡させるための発泡剤としてブタンやペンタンなどの炭化水素がさらに含有されている。
本実施形態においては、このような非相溶性樹脂をアイオノマー樹脂とともにポリスチレン系樹脂組成物に含有させることによって少なくとも前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面部に海島構造を形成させ、前記ベース樹脂を含んでなるマトリックス相と、該マトリックス相中に分散された分散相とを形成させることが重要である。
しかも、前記非相溶性樹脂でコア部が形成されるとともに前記アイオノマー樹脂でシェル部が形成されたコアショル状の分散相を形成させることがアイオノマー樹脂の使用量を抑制しつつ優れた帯電防止効果をポリスチレン系樹脂粒子に発揮させる上において重要である。
本実施形態に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のベース樹脂となる前記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂としては、上記スチレン系単量体に対して共重合可能なビニル単量体と上記スチレン系単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性単量体などが挙げられる。
なお、前記ポリスチレン系樹脂は、上記に例示の各種の単量体成分の内のいずれかのみから構成されるホモポリマーであっても、上記に例示する各種単量体成分を複数組み合わせてなるコポリマー(共重合体)であってもよい。
さらに、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物は、上記のようなホモポリマーやコポリマーを複数種類混合してベース樹脂を構成させることができる。
本発明で用いられるポリスチレン系樹脂としては、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(以下「HIPS」ともいう)か、又は、汎用ポリスチレン樹脂(以下、「GPPS」ともいう)のいずれかが好適である。
なお、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)とは、前記スチレン系単量体など以外にブタジエンなどのゴム成分を含有するものであり、例えば、該ゴム成分がスチレン系単量体と共重合しているコポリマーや、該コポリマーと他のホモポリマーあるいはコポリマーとのブレンド樹脂などが挙げられる。
また、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)とは、添加剤等を除いた樹脂成分が実質上スチレンモノマーのみで構成されたものである。
これらのポリスチレン系樹脂は、いずれも、多くの種類が市販されており、求める特性のものが入手容易であるばかりでなく比較的安価である点においても好適である。
なお、前記ポリスチレン系樹脂は、通常、JIS K 7210(条件H:試験温度200℃、公称荷重5.00kg)によるメルトフローレート(MFR)が、20g/10min以下のものを採用することができ、15g/10minであることが前記アイオノマー樹脂による帯電防止効果をより顕著に発揮させやすい点において好ましく、特にメルトフローレートが1g/10min〜3g/10minであることが好ましい。
なお、メルトフローレートが、20g/10minを超えるようなポリスチレン系樹脂は一般的に溶融張力が低く、発泡させるには不適なものとなることがある点においても、前記ポリスチレン系樹脂は、メルトフローレートが20g/10min以下であることが好ましい。
前記非相溶性樹脂としては、一般的に市販されているポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及び、アクリル系樹脂の内のいずれかであれば、通常、上記のようなポリスチレン系樹脂に対して非相溶性を示すことから、市販品の中から適宜1種類以上を選択して前記ポリスチレン系樹脂組成物に含有させることができる。
なお、通常、Fedorsの式によって求められる溶解度パラメータ(SP値)の値の差が0.5〜1.0以下のポリマーどうしは極性等を近似させており相溶性を示すといわれている。
一方でこれ以上SP値が離れると非相溶性を示すようになるといわれている。
したがって、非相溶性樹脂として用い得るかどうかの確認が必要であればそのSP値に基づいて確認することができる。
例えば、Fedorsの式によれば、一般的なポリスチレン系樹脂は、8.5〜10程度の値を示すとされている。
例えば、ベース樹脂として用いられるポリスチレン系樹脂よりSP値の小さな非極性の樹脂や、前記ポリスチレン系樹脂よりもSP値の大きな極性樹脂を非相溶性樹脂として採用することができる。
なお、非相溶性樹脂やベース樹脂の分子構造を十分特定できないために溶解度パラメータの値を正確に計算することが困難な場合であれば、実際に、選択した樹脂どうしを溶融混合して非相溶性を示すかどうかを直接確認することができる。
例えば、非相溶性樹脂として選択した樹脂とベース樹脂とをT−ダイが装着された押出機に供給して樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察してこれらの樹脂の相溶性を確認することができる。
この非相溶性樹脂として前記ポリオレフィン系樹脂を用いる場合であれば、例えば、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)などが採用可能である。
これらの内でも、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)は、良好なる分散状態で分散相を形成させ得る点において好適である。
特に、分散相を形成させるためのEVAとしては、JIS K6924−2によって求められる酢酸ビニル含有量が3〜30質量%であることが好ましい。
また、JIS K7121のDSC法によって求められる融点が60〜120℃であることが好ましい。
さらに、JIS K6924−2(190℃、21.18N)によって求められるメルトフローレイト(MFR)が0.2〜3g/10minのものが好ましい。
なお、前記非相溶性樹脂としてポリエチレン系樹脂(PE)を採用する場合であれば、例えば、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、高圧法によって得られる長鎖分岐を有する低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)などが採用可能である。
このポリエチレン系樹脂(PE)の中では、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)が好適である。
また、ポリプロピレン系樹脂(PP)も前記非相溶性樹脂として好適なものである。
該ポリプロピレン系樹脂(PP)としては、プロピレン成分のみからなるホモポリプロピレン樹脂、プロピレン成分以外にエチレンなどのオレフィン成分を含有するランダム共重合体やブロック共重合体を採用することができる。
なお、ポリプロピレン系樹脂(PP)として共重合体を採用する場合には、プロピレン以外のオレフィンを共重合体中に0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜10質量%の割合で含有させたものを用いることが望ましい。この場合のオレフィン成分としては、エチレン、あるいは、炭素数4〜10のα−オレフィンを挙げることができる。
特に、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂が好ましく、例えば、特許第2521388号公報に記載されているものが好適に使用されうる。
また、前記ポリ乳酸系樹脂(PLA)を用いる場合であれば、例えば、ポリD−乳酸樹脂、ポリL−乳酸樹脂、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸樹脂、ポリD−乳酸樹脂とポリL−乳酸樹脂との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体を採用することができる。
さらに、前記アクリル系樹脂を用いる場合であれば、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリロニトリルを主たるモノマー成分として得られる重合物を用いることができる。
なお、この“(メタ)アクリル”との用語は、本明細書中においては“メタクリル”と“アクリル”との両方を含む意味で用いている。
より、具体的には、前記アクリル系樹脂を構成する単量体(モノマー成分)としては、アクリル酸、メタクリル酸:アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル:例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸パルミチルまたはアクリル酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸パルミチル及びメタクリル酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭素数が1〜18程度のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
さらに、前記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸の側鎖に水酸基を有するアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸の側鎖にアルコキシル基を有するアルキルエステル;アクリル酸アリルやメタクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル;アリルオキシエチルアクリレートやアリルオキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルケニルオキシアルキルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、並びにアクリル酸メチルグリシジルやメタクリル酸メチルグリシジル等のアクリル酸の側鎖にエポキシ基を有するアルキルエステル;アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸のモノ−又はジ−アルキルアミノアルキルエステル;側鎖としてシリル基、アルコキシシリル基または加水分解性アルコキシシリル基などを有するシリコーン変性(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
加えて、前記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、アクリルアミド類またはメタクリルアミド類:例えばアクリルアミド;メタクリルアミド;N−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミド等のメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド;N−アルコキシメチロールアクリルアミド(例えば、N−イソブトキシメチロールアクリルアミド等)、及びN−アルコキシメチロールメタクリルアミド(例えば、N−イソブトキシメチロールメタクリルアミド等)等のアルコキシメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド;N−ブトキシメチルアクリルアミドやN−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の各種のアクリル系単量体も前記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として挙げることができる。
本実施形態における前記アクリル系樹脂は、上記に例示の各種のモノマー成分の内のいずれかのみから構成されるホモポリマーであっても、上記に例示する各種モノマー成分を複数組み合わせてなるコポリマー(共重合体)であってもよい。
さらに、本実施形態においては、上記モノマー成分以外に他のモノマー成分を含有するコポリマーをアクリル系樹脂として用い得る。
この、上記例示以外のモノマー成分としては、上記モノマー成分と共重合体を形成するものであれば特に制限されず、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、乳酸ビニル、酪酸ビニル、バーサティック酸ビニル及び安息香酸ビニルなどのビニル系単量体、ブタジエン、スチレン等を挙げることができる。
本実施形態におけるアクリル系樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)が好適であり、PMMAは安価な市販品を入手することが容易である点などからも好適である。
上記非相溶性樹脂とともに前記分散相を形成させるための前記アイオノマー樹脂としては、ベース樹脂に非相溶性を示すものであれば特に限定がされるものではないが、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーが好ましく、エチレン−(メタ)アクリル酸ランダム共重合体のカリウムアイオノマーが特に好ましい。
このようなアイオノマー樹脂としては、例えば、三井デュポンポリケミカル社から、商品名「エンティラMK400」、商品名「エンティラSD100」などとして市販されている市販品を採用することができる。
なお、当該アイオノマー樹脂としては、前記ベース樹脂に非相溶性を示すのみならず、前記非相溶性樹脂にも非相溶であることが好ましい。
本実施形態の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる前記発泡剤としては、ブタンやペンタンなどといったビーズ発泡成形法において用いられている発泡剤を適宜採用することができる。
また、本実施形態の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を形成させるための前記ポリスチレン系樹脂組成物には、さらに、気泡調整剤を含有させることができ、例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズなどの無機化合物からなる微粒子、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機化合物からなる微粒子を前記気泡調整剤として含有させ得る。
前記ポリスチレン系樹脂組成物における前記ベース樹脂と前記非相溶性樹脂との配合割合や、アイオノマー樹脂の含有量などは特に限定されるものではないが、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率は、1×108Ω/□〜1×1013Ω/□のいずれかであることが好ましいことから、このような表面抵抗率を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に付与させ得るものの中で、よりアイオノマー樹脂の含有量の低減が可能な配合割合を選択することが好ましい。
なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率は、1×109Ω/□〜1×1012Ω/□のいずれかとさせることがより好ましく、1×109Ω/□〜1×1011Ω/□のいずれかとさせることが最も好ましい。
このような表面抵抗率の値を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子により確実に付与しうる点において、通常、ポリスチレン系樹脂組成物の全ての樹脂成分に占める非相溶性樹脂の割合を5〜20質量%とすることが好ましく、5〜15質量%のいずれかとすることがより好ましい。
また、前記アイオノマー樹脂は、通常、ポリスチレン系樹脂組成物の全ての樹脂成分に占める割合が、1〜30質量%の内のいずれかとなるように含有される。
このアイオノマー樹脂の下限値が、1質量%とされているのは、これよりも少ない含有量の場合には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に十分な帯電防止効果が発揮されないおそれを有するためであり、上限値が30質量%とされているのは、これを超えてアイオノマー樹脂を含有させても、その含有量に見合う帯電防止効果が得られにくいばかりでなく発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の材料コストを増大させてしまうおそれがあるためである。
なお、このような観点からは、前記アイオノマー樹脂は、ポリスチレン系樹脂組成物の全ての樹脂成分に占める割合が3〜20質量%の内のいずれかとなるように含有されることが好ましく、4〜15質量%の内のいずれかとなるように含有されることが特に好ましい。
なお、前記アイオノマー樹脂とともにアイオノマー樹脂以外の高分子型帯電防止剤を含有させてもよい。
また、さらなる帯電防止効果の向上を図るべく、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤や、その他の界面活性剤又はアルカリ金属塩などの低分子型帯電防止剤を併用してもよい。
ただし、これらの低分子型帯電防止剤の添加によって、溶出イオン量が増加することがあるので、低分子型帯電防止剤は、ポリスチレン系樹脂組成物に含有される帯電防止剤(高分子型帯電防止剤+低分子型帯電防止剤)の合計量に占める割合が0.5質量%未満となるように含有させることが好ましい。
また、ここでは詳述しないが、本実施形態の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の形成に用いられるポリスチレン系樹脂組成物には、一般的なビーズ発泡成形用の樹脂粒子の形成に用いられる配合剤を含有させることができ、例えば、耐候剤や老化防止剤といった各種安定剤、滑剤などの加工助剤、スリップ剤、防曇剤、顔料、充填剤などを添加剤として適宜含有させることができる。
次いで、このようなポリスチレン系樹脂組成物からなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する製造方法について説明する。
本実施形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、従来、ビーズ発泡成形用の樹脂粒子を作製するのに用いられている方法を採用することができ、一旦発泡剤を含有していないポリスチレン系樹脂粒子を作製した後に該ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる含浸法や、発泡剤を含んだポリスチレン系樹脂組成物を冷却水中に押し出す押出法を採用することができる。
この押出法においては、一旦、ストランド(紐)状に押し出した後にペレタイズする方法、水中でホットカットして造粒する所謂水中ホットカット法のいずれをも採用可能である。
例えば、前記含浸法においては、撹拌装置を備えたオートクレーブ内に水系分散剤を入れ、その中に発泡剤を含有していないポリスチレン系樹脂粒子を投入し、さらにペンタン等の発泡剤を導入し、加温加圧下で撹拌し、前記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、冷却し、脱水、乾燥させる方法を採用することができる。
前記押出法においては、例えば、先端に多数の小孔を有するダイが装着された押出機に、ポリスチレン系樹脂、非相溶性樹脂、アイオノマー樹脂、及び、気泡調整剤などの配合剤を投入し、これらを前記押出機内で加熱溶融させた後で前記発泡剤を添加してさらに溶融混練し、溶融混練物を前記ダイからストランド状に押し出し、これを直ちに冷却水槽の冷却水中に導入して硬化させ、該硬化されたストランドをペレタイザーに送って所定長さのペレット状に切断する方法を採用することができる。
また、前記押出法においては、例えば、前記ダイの前方に高速回転刃を設けるとともにこれらを冷却水が循環供給されるカッティング室に配置して、溶融混練物をダイから冷却水中に押し出して硬化させつつ、この硬化物を前記高速回転刃でカットする水中ホットカット法を採用することもできる。
なお、作製する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の形状や大きさは、特に限定されるものではないが、形状としては一般的には球状か円柱状とされる。
通常、球状の場合の粒径は、通常、直径0.3〜2.0mm程度であり、円柱状の場合は、直径0.5〜1.5mm、長さ2.0〜8.0mm程度の大きさとされる。
前記押出機での溶融混練に際して、例えば、ポリスチレン樹脂(GPPS)をベース樹脂とし、前記非相溶性樹脂としてLDPEを含んだポリスチレン系樹脂組成物を作製させる場合を例に説明すると、ポリスチレン系樹脂に対して極性の低いLDPEが非相溶性を示し、該LDPEによる分散相がGPPSからなるマトリックス相に分散された状態となる。
このとき、GPPSに対して非相溶性を示すアイオノマー樹脂がこの分散相とマトリックス相との界面に集合して、この界面に沿っての電気抵抗の低い領域を形成させる。
すなわち、高分子型帯電防止剤によって覆われた状態でLDPEがGPPSに分散されることになる。
しかも、このLDPEをコア部とし、シェル部がアイオノマー樹脂によって形成されたコアシェル形状樹脂粒子は、ダイからの吐出に際して作用するせん断力によって樹脂の流れ方向(押出方向)に沿って長く延び、比較的アスペクト比の高い状態となって発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に分散相を形成することになる。
このことによって、例えば、1μm長さを超える細長い粒子を分散相に形成させることで表面抵抗率を顕著に低下させることができる。
このことについて説明すると、アイオノマー樹脂は、導電性発現に優れたポリマーであり発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に導電性を付与することで表面抵抗率を低下させて帯電防止を行うものであるが、例えば、単独でアイオノマー樹脂をポリスチレン系樹脂に分散させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製した場合にはアイオノマー樹脂が粒状になって発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に海島状に分散されることになる。
このとき、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率は、その表面積に占めるアイオノマー樹脂粒子の面積割合と、アイオノマー樹脂粒子の粒子間距離に影響される。
すなわち、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に占めるアイオノマー樹脂粒子の面積割合が大きいほど、アイオノマー樹脂粒子の粒子間距離が短いほど表面抵抗率を低下させうる。
しかし、上記のようにアイオノマー樹脂を単独でポリスチレン系樹脂に分散させたのでは、アイオノマー樹脂は微小な点状粒子となって分散されてしまい、その粒子間の距離をある程度接近させ得るような量で含有させなければ表面抵抗率の低下効果が発揮されない。
ここで、本実施形態においては、コア部がポリスチレン系樹脂に非相溶な樹脂で形成され、シェル部がアイオノマー樹脂で形成された樹脂粒子が形成される。
このことから、このコアシェル状の樹脂粒子の表面を導電性発現に有効利用することができ、アイオノマー樹脂の使用量を抑制しつつも発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面における樹脂粒子の面積割合を増大させうるとともに樹脂粒子間の距離を接近させることができる。
また、このようなアイオノマー樹脂によってシェル部を形成させたコアシェル状粒子を前述のような1μmよりも細長く形成させる具体的な手法としては、押出し時のせん断の加わり方を調整する方法が挙げられる。
この分散相の大きさについても、SEMやTEMで直接確認することができ、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面部から採取した試料に対して数千倍から数万倍の倍率で無作為に10視野程度の観察を行い、その半数以上の視野において1μm以上の長さの粒子が確認できれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に1μm以上の分散相が形成されていると判断することができる。
なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、アイオノマー樹脂を含んだポリスチレン系樹脂組成物で全体を形成させる必要はなく、例えば、当該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子そのものもコアシェル状にして、そのシェル部のみを前記ポリスチレン系樹脂組成物で形成させるとともにコア部をアイオノマー樹脂を含まないポリスチレン系樹脂組成物で形成させることも可能である。
すなわち、少なくとも表面部において上記に示したような形で海島構造が形成されていれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率を低減させることができ、帯電防止性を発揮させることができる。
このような発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、一般的なビーズ発泡成形法における予備発泡工程によって予備発泡粒子とすることができ、引き続き行われる成形型内での二次発泡工程によって発泡成形品とすることができる。
例えば、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を常圧下、100℃程度の水蒸気にて加熱する方法を採用して予備発泡粒子を作製することができる(予備発泡工程)。
また、例えば、この予備発泡粒子を成形型に充填し、該成形型内で加熱膨張させて発泡粒子どうしを融着させる型内発泡成形を実施することにより発泡成形品を得ることができる(二次発泡工程)。
このようにして得られる、予備発泡粒子や発泡成形品においても優れた帯電防止効果が発揮されることになる。
しかも、アイオノマー樹脂の使用量を抑制させつつ優れた帯電防止効果が発揮されることから、優れた帯電防止効果を有しつつも、材料コストの抑制された予備発泡粒子や発泡成形品とすることができる。
なお、本発明は、上記例示に限定されるものではなく、例えば、本実施形態においては、ポリスチレン系樹脂粒子として、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を例示しているが、アイオノマー樹脂の使用量を抑制させつつ優れた帯電防止効果が発揮される点においては、非発泡のポリスチレン系樹脂粒子も同じであり、このようなポリスチレン系樹脂粒子も本発明が意図する範囲のものである。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考例)
以下に、アイオノマー樹脂を抑制しつつも優れた帯電防止効果が発揮されることについて、ポリスチレン系樹脂フィルムを作製した事例を参考例として挙げる。
以下に、ポリスチレン系樹脂フィルムの作製に用いた配合剤の略称と、その詳細とを記載する。
(配合剤)
(評価1)
下記表1に示す配合(配合1〜8)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、JIS K 6911:1995「熱硬化性プラスチックー般試験方法」記載の方法により表面抵抗率の値を測定した。
具体的には、一辺が10cmの平面正方形状の試験片を温度22℃、湿度60%の雰囲気下に24時間放置した後、温度22℃、湿度60%の環境下、試験装置(アドバンテスト社製、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試験片に、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500Vの電圧を印加して1分経過後の抵抗値を測定し、次式により算出した。
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs
ただし、
ρs:表面抵抗率(Ω/□)
D:表面の環状電極の内径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、7cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、5cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
また、測定は3回実施し、それぞれの算術平均値を求めた。
結果を、表1に併せて示す。
上記のようにLDPE、PMMA、PLAなどのGPPSに対して非相溶性を示す樹脂成分を含有させることにより、単にアイオノマー樹脂をGPPSに含有させるよりも表面抵抗率の値を低下させうることがわかる。
またアイオノマー樹脂の添加による表面抵抗率の低下効果は、MFRが18.0g/10minを超える「679」よりもMFRが15.0g/10min以下の「HRM18」や「HRM40」の方が顕著であることも上記表1の結果からわかる。
なお、「HRM40」のみからなる帯電防止剤を一切加えていないフィルムの表面抵抗率は、5.3×1015(Ω/□)であり、「HRM18」のフィルムの表面抵抗率は、4.8×1015(Ω/□)であり、「679」のフィルムの表面抵抗率は、5.8×1015(Ω/□)である。
また、「HRM26」(GPPS、MFR=1.4g/min)90質量%と「MK400」10質量%との混合樹脂フィルムについて表面抵抗率を測定したところ、3.3×1010(Ω/□)であった。
同様に「679」(GPPS、MFR=18.0g/min)90質量%と「MK400」10質量%との混合樹脂フィルムの表面抵抗率を測定したところ1.7×1011(Ω/□)であった。
この評価結果からも、アイオノマー樹脂の添加による表面抵抗率の低下効果は、MFRが15.0g/10minを超える「679」よりもMFRが15.0g/10min以下の「HRM26」の方が顕著であることがわかった。
(評価2)
下記表2に示す配合(配合9〜14)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表2に併せて示す。
上記の表からもEVA,LDPE、HDPE、PPなどのGPPSに対して非相溶性を示す樹脂成分を含有させることにより、単にアイオノマー樹脂をGPPSに含有させるよりも大きく表面抵抗率の値を低下させうることがわかる。
また、アイオノマー樹脂単独の添加では、一般に求められる帯電防止性能の獲得が出来ないような添加量においても、非相溶性を示す樹脂成分を更に含有させることで、帯電防止性能の獲得が可能となっていることがわかる。
(評価3)
下記表3に示す配合(配合15〜18)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表3に併せて示す。
上記の表からEVA(LV115)の添加量が多ければ多いほど、表面抵抗率の値を低下させうることがわかる。
(評価4)
下記表4に示す配合(配合19〜23)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、先の配合13とともに表4に併せて示す。
上記の表からアイオノマー樹脂の添加量は、少なくとも1%以上は必要であることがわかる。
(評価5)
下記表5に示す配合(配合24〜27)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表5に併せて示す。
上記の表から基材樹脂であるポリスチレン系樹脂として、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)も有効であることがわかる。
(評価6)
下記表6に示す配合(配合28〜30)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表6に併せて示す。
上記表6に示す結果から、これまでの評価とは異なるアイオノマー樹脂においても、同様の効果が得られることがわかる。
(TEM観察)
「HRM18」(GPPS)を65質量%、「LV115」(EVA)を27質量%、「MK400」(アイオノマー樹脂)を8質量%含有させたポリスチレン系樹脂組成物を押出したポリスチレン系樹脂フィルムを用いて作製した薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した様子を図1に示す。
この図1からも、EVAがアスペクト比の高い分散相を形成し、その周囲に高分子型帯電防止剤であるアイオノマー樹脂が集合されてシェルを形成していることがわかる。
このことからも、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂粒子において高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図り得ることがわかる。
なお、上記TEM観察における試験片は、ポリスチレン系樹脂フィルムを押出し方向に沿ってスライスしたものであり、図1のTEM像は、ポリスチレン系樹脂フィルムの表面に相当する側においてこのスライスされた試験片を観察したものである。
すなわち、ポリスチレン系樹脂フィルムの厚み方向の断面における表面側近傍の様子を押出し方向に直交する方向から観察したものである。
次いでポリスチレン系樹脂粒子についての評価結果を示す。
(評価7:実施例1〜5、比較例1)
下記表7に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれていないポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られたポリスチレン系樹脂粒子は、以下のようにして体積固有抵抗値を測定した。
(体積固有抵抗測定方法)
図2は体積固有抵抗測定に用いた装置構成を示す図であり、(a)は装置の構成図、(b)は電極板30aの上面図である。図2中、符号30aは電極板、30bはガード電極、30cは対向電極、31はフッ素系シート、32はポリスチレン系樹脂粒子、33は銅板、34は試験装置である。図2(a)に示す測定装置は、底面が銅板33、周囲がフッ素系樹脂板31にて構成された円柱状の容器内にポリスチレン系樹脂粒子32を充填し、電極板30aと対向電極30cの間に挟んで配置し、これらの電極板30aと対向電極30cの間の抵抗値を接続した試験装置34で測定するようになっている。図2中の各部A及びBの寸法は、A=50mm、B=11mmとしている。銅板33の厚みは1mmである。なお、銅板33の体積抵抗の値は、本評価で測定を行うポリスチレン系樹脂粒子の体積抵抗の値に比べ、はるかに小さい値を示すため、無視できるものとする。
ポリスチレン系樹脂粒子約500gをポリ袋に入れ、ポリ袋の口を開封した状態で、温度23℃、相対湿度55%及び20%に調節した恒温恒湿室内に24時間放置した後、図2に示す電極板30aと対向電極30cの間をフッ素樹脂シートで絶縁した容器に樹脂粒子を充填し、試験装置(アドバンテスト社製、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を用いて電極板間の抵抗値Rを測定し、次式により樹脂粒子の体積固有抵抗ρを算出した。

体積固有抵抗ρ=17.8×R (Ωcm)

このようにして求められた体積固有抵抗の値を、併せて、表7に示す。

上記のような測定方法によって観測される、一般的なポリスチレン系樹脂粒子が示す体積抵抗率は、1.0×1016Ωcm程度であり、それに対して、実施例1〜5のポリスチレン系樹脂粒子は、低い体積抵抗率を示しており、優れた、帯電防止効果が付与されていることがわかる。また、比較例1の結果から分かるように、アイオノマー樹脂単独の添加では、一般に求められる帯電防止性能の獲得が出来ないような添加量においても、実施例1のように非相溶性を示す樹脂成分を更に含有させることで、帯電防止性能の獲得が可能となっていることがわかる。
(評価8:実施例6〜15、比較例2、3)
下記表8、9に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれていないポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られたポリスチレン系樹脂粒子は、評価7と同様の方法にて体積固有抵抗値を測定した。求められた体積固有抵抗の値を表8、9に示す。
上記の表からもEVAなどのGPPSに対して非相溶性を示す樹脂成分を含有させることにより、単にアイオノマー樹脂をGPPSに含有させるよりも大きく体積固有抵抗率の値を低下させうることがわかる。
また、この評価結果から、アイオノマー樹脂の添加による体積固有抵抗率の低下効果は、MFRが15.0g/10minを超える「679」よりもMFRが15.0g/10min以下の「HRM18」や「HRM26」の方が顕著であることがわかる。
(評価9:実施例16〜20、比較例4)
下記表10に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれていないポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られたポリスチレン系樹脂粒子は、評価7と同様の方法にて体積固有抵抗率を測定した。求められた体積固有抵抗率の値を先の実施例2とともに表10に示す。
上記の表からもEVA、PP、LDPE、HDPE、PMMA、PLAなどのGPPSに対して非相溶性を示す樹脂成分を含有させることにより、単にアイオノマー樹脂をGPPSに含有させるよりも大きく体積抵抗率の値を低下させうることがわかる。
(評価10:実施例21〜23、比較例5)
下記表11に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を蒸気を用いた発泡機にて発泡させ、予備発泡粒子(粒径、約3mm、発泡かさ倍率、約20倍)を得た。
得られた予備発泡粒子は、評価7と同様の方法にて体積固有抵抗率を測定した。求められた体積固有抵抗率の値を表11に示す。
上記の表から、予備発泡粒子においてもEVAなどのGPPSに対して非相溶性を示す樹脂成分を含有させることにより、単にアイオノマー樹脂をGPPSに含有させるよりも大きく体積抵抗率の値を低下させうることがわかる。
(TEM観察)
「HRM26」(GPPS)を85質量%、「LV115」(EVA)を3質量%、「MK400」(アイオノマー樹脂)を12質量%含有させたポリスチレン系樹脂組成物を用いて押出法で作製したポリスチレン系樹脂粒子から切り出した薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した様子を図3に示す。
この図3からも、ポリスチレン系樹脂粒子に海島構造が形成されており、EVAでコア部が形成され、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤でシェル部の形成されたアスペクト比の高い分散相が形成されていることがわかる。
このことからも、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂粒子において高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図り得ることがわかる。
なお、上記TEM観察に用いた薄片試料は、ポリスチレン系樹脂粒子の表面側近傍から採取したものであり、図3は、ポリスチレン系樹脂粒子の表面部の断面構造を観察したものである。

Claims (6)

  1. ポリスチレン系樹脂組成物からなるポリスチレン系樹脂粒子であって、
    ポリスチレン系樹脂中に他の樹脂をコアシェル状に分散させた海島構造が少なくとも表面部に形成されており、コアシェル状に分散している前記樹脂は、コア部となる部分がポリオレフィン系樹脂、及び、ポリ乳酸系樹脂の内のいずれかで、且つ、該コア部を形成する樹脂の前記ポリスチレン系樹脂組成物に占める割合が5〜20質量%であり、シェル部となる部分がアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤で、該アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーであることを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記ポリスチレン系樹脂のJIS K 7210の条件H(試験温度:200℃、公称荷重5.00kg)によるメルトフローレートが、15g/10min以下である請求項1記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  3. ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、並びに、低密度ポリエチレン樹脂の内のいずれかで前記コア部が形成されている請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 加熱発泡させ得るように発泡剤が含有されている発泡性ポリスチレン系樹脂粒子である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 請求項4記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られることを特徴とする予備発泡粒子。
  6. 請求項5記載の予備発泡粒子を型内発泡成形させて得られることを特徴とする発泡成形品。
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