JP5548574B2 - ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 - Google Patents
ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5548574B2 JP5548574B2 JP2010222646A JP2010222646A JP5548574B2 JP 5548574 B2 JP5548574 B2 JP 5548574B2 JP 2010222646 A JP2010222646 A JP 2010222646A JP 2010222646 A JP2010222646 A JP 2010222646A JP 5548574 B2 JP5548574 B2 JP 5548574B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- polystyrene
- polystyrene resin
- particles
- resin particles
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を一旦発泡させて予備発泡粒子を作製し、この発泡粒子を金型内で加熱することによって断熱性容器などの発泡成形品を作製することが従来行われている。
この種の用途に利用される発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、下記特許文献1に示されているように、発泡剤を含有していないポリスチレン系樹脂粒子を予め作製した後に発泡剤を含浸させる方法や、押出機で発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練して、得られた溶融混練物を水中に押出しつつペレット状に切断する方法などによって作製されている。
しかし、界面活性剤を表面塗布した場合、ポリスチレン系樹脂粒子を収容する容器や、ポリスチレン系樹脂粒子を利用する装置にこの界面活性剤が付着するという問題を発生させるおそれを有する。
また、界面活性剤を練り込んだ場合でも、界面活性剤はポリマー中における拡散速度が大きいために時間の経過とともにポリスチレン系樹脂粒子表面に滲出し、所謂“ブリードアウト”という現象を引き起こし、表面塗布した場合と同じ結果になるおそれを有する。
この高分子型帯電防止剤としては、アイオノマー樹脂などを用いたものが知られており、このようなアイオノマー樹脂は、界面活性剤などの低分子量のものと違ってポリマー中における移行性が低いことから、このアイオノマー樹脂を高分子型帯電防止剤として用いることで付着物を生じるおそれを抑制させうる。
本発明は、前記アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤をポリスチレン系樹脂粒子の帯電防止に利用しつつ、その配合量を抑制させて十分な帯電防止効果を得ることを課題としており、ひいては、当該ポリスチレン系樹脂粒子が発泡されてなる予備発泡粒子や発泡成形品に良好なる帯電防止性能を付与することを課題としている。
そして、ポリスチレン系樹脂中に分散しているアイオノマー樹脂粒子は、その中心部分よりも表面部分の方が帯電防止に有効であり、中心部分を他の一般的な樹脂に置換しても帯電防止性能をあまり低下させないことを見出して本発明を完成させるに至った。
しかも、コアシェル状に分散されている樹脂は、シェル部がアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤であり、コア部がポリオレフィン系樹脂、及び、ポリ乳酸系樹脂の内のいずれかである。
すなわち、本発明のポリスチレン系樹脂粒子においては、アイオノマー樹脂系高分子型の多くが帯電防止に特に有効となる状態で含有されている。
したがって、本発明によればアイオノマー樹脂系高分子型の使用量を抑制しつつもポリスチレン系樹脂粒子の帯電防止を図り得る。
また、このようなポリスチレン系樹脂粒子を利用することで、予備発泡粒子や発泡成形品にも優れた帯電防止効果が発揮されることになる。
まず、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を形成するためのポリスチレン系樹脂組成物について説明する。
前記ポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及び、アクリル系樹脂は、通常、前記ポリスチレン系樹脂に対して非相溶性を示す樹脂であり、前記ポリスチレン系樹脂と海島構造を形成させるための成分である(以下「非相溶性樹脂」ともいう)。
また、前記アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤(以下、単に「アイオノマー樹脂」ともいう)も通常、前記ポリスチレン系樹脂に対して非相溶性を示す樹脂であり、前記ポリスチレン系樹脂と海島構造を形成させるべく前記ポリスチレン系樹脂組成物に含有されている。
さらに、本実施形態の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂組成物には、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱発泡させるための発泡剤としてブタンやペンタンなどの炭化水素がさらに含有されている。
しかも、前記非相溶性樹脂でコア部が形成されるとともに前記アイオノマー樹脂でシェル部が形成されたコアショル状の分散相を形成させることがアイオノマー樹脂の使用量を抑制しつつ優れた帯電防止効果をポリスチレン系樹脂粒子に発揮させる上において重要である。
さらに、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物は、上記のようなホモポリマーやコポリマーを複数種類混合してベース樹脂を構成させることができる。
なお、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)とは、前記スチレン系単量体など以外にブタジエンなどのゴム成分を含有するものであり、例えば、該ゴム成分がスチレン系単量体と共重合しているコポリマーや、該コポリマーと他のホモポリマーあるいはコポリマーとのブレンド樹脂などが挙げられる。
また、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)とは、添加剤等を除いた樹脂成分が実質上スチレンモノマーのみで構成されたものである。
これらのポリスチレン系樹脂は、いずれも、多くの種類が市販されており、求める特性のものが入手容易であるばかりでなく比較的安価である点においても好適である。
なお、メルトフローレートが、20g/10minを超えるようなポリスチレン系樹脂は一般的に溶融張力が低く、発泡させるには不適なものとなることがある点においても、前記ポリスチレン系樹脂は、メルトフローレートが20g/10min以下であることが好ましい。
一方でこれ以上SP値が離れると非相溶性を示すようになるといわれている。
したがって、非相溶性樹脂として用い得るかどうかの確認が必要であればそのSP値に基づいて確認することができる。
例えば、Fedorsの式によれば、一般的なポリスチレン系樹脂は、8.5〜10程度の値を示すとされている。
例えば、ベース樹脂として用いられるポリスチレン系樹脂よりSP値の小さな非極性の樹脂や、前記ポリスチレン系樹脂よりもSP値の大きな極性樹脂を非相溶性樹脂として採用することができる。
例えば、非相溶性樹脂として選択した樹脂とベース樹脂とをT−ダイが装着された押出機に供給して樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察してこれらの樹脂の相溶性を確認することができる。
特に、分散相を形成させるためのEVAとしては、JIS K6924−2によって求められる酢酸ビニル含有量が3〜30質量%であることが好ましい。
また、JIS K7121のDSC法によって求められる融点が60〜120℃であることが好ましい。
さらに、JIS K6924−2(190℃、21.18N)によって求められるメルトフローレイト(MFR)が0.2〜3g/10minのものが好ましい。
このポリエチレン系樹脂(PE)の中では、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)が好適である。
該ポリプロピレン系樹脂(PP)としては、プロピレン成分のみからなるホモポリプロピレン樹脂、プロピレン成分以外にエチレンなどのオレフィン成分を含有するランダム共重合体やブロック共重合体を採用することができる。
なお、ポリプロピレン系樹脂(PP)として共重合体を採用する場合には、プロピレン以外のオレフィンを共重合体中に0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜10質量%の割合で含有させたものを用いることが望ましい。この場合のオレフィン成分としては、エチレン、あるいは、炭素数4〜10のα−オレフィンを挙げることができる。
特に、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂が好ましく、例えば、特許第2521388号公報に記載されているものが好適に使用されうる。
なお、この“(メタ)アクリル”との用語は、本明細書中においては“メタクリル”と“アクリル”との両方を含む意味で用いている。
さらに、本実施形態においては、上記モノマー成分以外に他のモノマー成分を含有するコポリマーをアクリル系樹脂として用い得る。
このようなアイオノマー樹脂としては、例えば、三井デュポンポリケミカル社から、商品名「エンティラMK400」、商品名「エンティラSD100」などとして市販されている市販品を採用することができる。
なお、当該アイオノマー樹脂としては、前記ベース樹脂に非相溶性を示すのみならず、前記非相溶性樹脂にも非相溶であることが好ましい。
なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率は、1×109Ω/□〜1×1012Ω/□のいずれかとさせることがより好ましく、1×109Ω/□〜1×1011Ω/□のいずれかとさせることが最も好ましい。
このような表面抵抗率の値を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子により確実に付与しうる点において、通常、ポリスチレン系樹脂組成物の全ての樹脂成分に占める非相溶性樹脂の割合を5〜20質量%とすることが好ましく、5〜15質量%のいずれかとすることがより好ましい。
このアイオノマー樹脂の下限値が、1質量%とされているのは、これよりも少ない含有量の場合には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に十分な帯電防止効果が発揮されないおそれを有するためであり、上限値が30質量%とされているのは、これを超えてアイオノマー樹脂を含有させても、その含有量に見合う帯電防止効果が得られにくいばかりでなく発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の材料コストを増大させてしまうおそれがあるためである。
なお、このような観点からは、前記アイオノマー樹脂は、ポリスチレン系樹脂組成物の全ての樹脂成分に占める割合が3〜20質量%の内のいずれかとなるように含有されることが好ましく、4〜15質量%の内のいずれかとなるように含有されることが特に好ましい。
また、さらなる帯電防止効果の向上を図るべく、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤や、その他の界面活性剤又はアルカリ金属塩などの低分子型帯電防止剤を併用してもよい。
ただし、これらの低分子型帯電防止剤の添加によって、溶出イオン量が増加することがあるので、低分子型帯電防止剤は、ポリスチレン系樹脂組成物に含有される帯電防止剤(高分子型帯電防止剤+低分子型帯電防止剤)の合計量に占める割合が0.5質量%未満となるように含有させることが好ましい。
本実施形態における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、従来、ビーズ発泡成形用の樹脂粒子を作製するのに用いられている方法を採用することができ、一旦発泡剤を含有していないポリスチレン系樹脂粒子を作製した後に該ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる含浸法や、発泡剤を含んだポリスチレン系樹脂組成物を冷却水中に押し出す押出法を採用することができる。
この押出法においては、一旦、ストランド(紐)状に押し出した後にペレタイズする方法、水中でホットカットして造粒する所謂水中ホットカット法のいずれをも採用可能である。
通常、球状の場合の粒径は、通常、直径0.3〜2.0mm程度であり、円柱状の場合は、直径0.5〜1.5mm、長さ2.0〜8.0mm程度の大きさとされる。
このとき、GPPSに対して非相溶性を示すアイオノマー樹脂がこの分散相とマトリックス相との界面に集合して、この界面に沿っての電気抵抗の低い領域を形成させる。
すなわち、高分子型帯電防止剤によって覆われた状態でLDPEがGPPSに分散されることになる。
このことによって、例えば、1μm長さを超える細長い粒子を分散相に形成させることで表面抵抗率を顕著に低下させることができる。
このとき、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率は、その表面積に占めるアイオノマー樹脂粒子の面積割合と、アイオノマー樹脂粒子の粒子間距離に影響される。
すなわち、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に占めるアイオノマー樹脂粒子の面積割合が大きいほど、アイオノマー樹脂粒子の粒子間距離が短いほど表面抵抗率を低下させうる。
ここで、本実施形態においては、コア部がポリスチレン系樹脂に非相溶な樹脂で形成され、シェル部がアイオノマー樹脂で形成された樹脂粒子が形成される。
このことから、このコアシェル状の樹脂粒子の表面を導電性発現に有効利用することができ、アイオノマー樹脂の使用量を抑制しつつも発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面における樹脂粒子の面積割合を増大させうるとともに樹脂粒子間の距離を接近させることができる。
この分散相の大きさについても、SEMやTEMで直接確認することができ、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面部から採取した試料に対して数千倍から数万倍の倍率で無作為に10視野程度の観察を行い、その半数以上の視野において1μm以上の長さの粒子が確認できれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に1μm以上の分散相が形成されていると判断することができる。
すなわち、少なくとも表面部において上記に示したような形で海島構造が形成されていれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面抵抗率を低減させることができ、帯電防止性を発揮させることができる。
例えば、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を常圧下、100℃程度の水蒸気にて加熱する方法を採用して予備発泡粒子を作製することができる(予備発泡工程)。
また、例えば、この予備発泡粒子を成形型に充填し、該成形型内で加熱膨張させて発泡粒子どうしを融着させる型内発泡成形を実施することにより発泡成形品を得ることができる(二次発泡工程)。
しかも、アイオノマー樹脂の使用量を抑制させつつ優れた帯電防止効果が発揮されることから、優れた帯電防止効果を有しつつも、材料コストの抑制された予備発泡粒子や発泡成形品とすることができる。
以下に、アイオノマー樹脂を抑制しつつも優れた帯電防止効果が発揮されることについて、ポリスチレン系樹脂フィルムを作製した事例を参考例として挙げる。
以下に、ポリスチレン系樹脂フィルムの作製に用いた配合剤の略称と、その詳細とを記載する。
(配合剤)
下記表1に示す配合(配合1〜8)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、JIS K 6911:1995「熱硬化性プラスチックー般試験方法」記載の方法により表面抵抗率の値を測定した。
具体的には、一辺が10cmの平面正方形状の試験片を温度22℃、湿度60%の雰囲気下に24時間放置した後、温度22℃、湿度60%の環境下、試験装置(アドバンテスト社製、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試験片に、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500Vの電圧を印加して1分経過後の抵抗値を測定し、次式により算出した。
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs
ただし、
ρs:表面抵抗率(Ω/□)
D:表面の環状電極の内径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、7cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、5cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
結果を、表1に併せて示す。
またアイオノマー樹脂の添加による表面抵抗率の低下効果は、MFRが18.0g/10minを超える「679」よりもMFRが15.0g/10min以下の「HRM18」や「HRM40」の方が顕著であることも上記表1の結果からわかる。
なお、「HRM40」のみからなる帯電防止剤を一切加えていないフィルムの表面抵抗率は、5.3×1015(Ω/□)であり、「HRM18」のフィルムの表面抵抗率は、4.8×1015(Ω/□)であり、「679」のフィルムの表面抵抗率は、5.8×1015(Ω/□)である。
同様に「679」(GPPS、MFR=18.0g/min)90質量%と「MK400」10質量%との混合樹脂フィルムの表面抵抗率を測定したところ1.7×1011(Ω/□)であった。
この評価結果からも、アイオノマー樹脂の添加による表面抵抗率の低下効果は、MFRが15.0g/10minを超える「679」よりもMFRが15.0g/10min以下の「HRM26」の方が顕著であることがわかった。
下記表2に示す配合(配合9〜14)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表2に併せて示す。
また、アイオノマー樹脂単独の添加では、一般に求められる帯電防止性能の獲得が出来ないような添加量においても、非相溶性を示す樹脂成分を更に含有させることで、帯電防止性能の獲得が可能となっていることがわかる。
下記表3に示す配合(配合15〜18)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表3に併せて示す。
下記表4に示す配合(配合19〜23)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、先の配合13とともに表4に併せて示す。
下記表5に示す配合(配合24〜27)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表5に併せて示す。
下記表6に示す配合(配合28〜30)にてポリスチレン系樹脂フィルムを作製した。
また、得られたポリスチレン系樹脂フィルムに対して、先の評価1と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表6に併せて示す。
「HRM18」(GPPS)を65質量%、「LV115」(EVA)を27質量%、「MK400」(アイオノマー樹脂)を8質量%含有させたポリスチレン系樹脂組成物を押出したポリスチレン系樹脂フィルムを用いて作製した薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した様子を図1に示す。
この図1からも、EVAがアスペクト比の高い分散相を形成し、その周囲に高分子型帯電防止剤であるアイオノマー樹脂が集合されてシェルを形成していることがわかる。
このことからも、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂粒子において高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図り得ることがわかる。
すなわち、ポリスチレン系樹脂フィルムの厚み方向の断面における表面側近傍の様子を押出し方向に直交する方向から観察したものである。
(評価7:実施例1〜5、比較例1)
下記表7に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれていないポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られたポリスチレン系樹脂粒子は、以下のようにして体積固有抵抗値を測定した。
図2は体積固有抵抗測定に用いた装置構成を示す図であり、(a)は装置の構成図、(b)は電極板30aの上面図である。図2中、符号30aは電極板、30bはガード電極、30cは対向電極、31はフッ素系シート、32はポリスチレン系樹脂粒子、33は銅板、34は試験装置である。図2(a)に示す測定装置は、底面が銅板33、周囲がフッ素系樹脂板31にて構成された円柱状の容器内にポリスチレン系樹脂粒子32を充填し、電極板30aと対向電極30cの間に挟んで配置し、これらの電極板30aと対向電極30cの間の抵抗値を接続した試験装置34で測定するようになっている。図2中の各部A及びBの寸法は、A=50mm、B=11mmとしている。銅板33の厚みは1mmである。なお、銅板33の体積抵抗の値は、本評価で測定を行うポリスチレン系樹脂粒子の体積抵抗の値に比べ、はるかに小さい値を示すため、無視できるものとする。
体積固有抵抗ρ=17.8×R (Ωcm)
このようにして求められた体積固有抵抗の値を、併せて、表7に示す。
下記表8、9に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれていないポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られたポリスチレン系樹脂粒子は、評価7と同様の方法にて体積固有抵抗値を測定した。求められた体積固有抵抗の値を表8、9に示す。
また、この評価結果から、アイオノマー樹脂の添加による体積固有抵抗率の低下効果は、MFRが15.0g/10minを超える「679」よりもMFRが15.0g/10min以下の「HRM18」や「HRM26」の方が顕著であることがわかる。
下記表10に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれていないポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られたポリスチレン系樹脂粒子は、評価7と同様の方法にて体積固有抵抗率を測定した。求められた体積固有抵抗率の値を先の実施例2とともに表10に示す。
下記表11に示す配合物を押出法(水中ホットカット)によって造粒し、発泡剤の含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(粒径、約1mm)を作製した。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を蒸気を用いた発泡機にて発泡させ、予備発泡粒子(粒径、約3mm、発泡かさ倍率、約20倍)を得た。
得られた予備発泡粒子は、評価7と同様の方法にて体積固有抵抗率を測定した。求められた体積固有抵抗率の値を表11に示す。
「HRM26」(GPPS)を85質量%、「LV115」(EVA)を3質量%、「MK400」(アイオノマー樹脂)を12質量%含有させたポリスチレン系樹脂組成物を用いて押出法で作製したポリスチレン系樹脂粒子から切り出した薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した様子を図3に示す。
この図3からも、ポリスチレン系樹脂粒子に海島構造が形成されており、EVAでコア部が形成され、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤でシェル部の形成されたアスペクト比の高い分散相が形成されていることがわかる。
このことからも、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂粒子において高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図り得ることがわかる。
Claims (6)
- ポリスチレン系樹脂組成物からなるポリスチレン系樹脂粒子であって、
ポリスチレン系樹脂中に他の樹脂をコアシェル状に分散させた海島構造が少なくとも表面部に形成されており、コアシェル状に分散している前記樹脂は、コア部となる部分がポリオレフィン系樹脂、及び、ポリ乳酸系樹脂の内のいずれかで、且つ、該コア部を形成する樹脂の前記ポリスチレン系樹脂組成物に占める割合が5〜20質量%であり、シェル部となる部分がアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤で、該アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーであることを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子。 - 前記ポリスチレン系樹脂のJIS K 7210の条件H(試験温度:200℃、公称荷重5.00kg)によるメルトフローレートが、15g/10min以下である請求項1記載のポリスチレン系樹脂粒子。
- ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、並びに、低密度ポリエチレン樹脂の内のいずれかで前記コア部が形成されている請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂粒子。
- 加熱発泡させ得るように発泡剤が含有されている発泡性ポリスチレン系樹脂粒子である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項4記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られることを特徴とする予備発泡粒子。
- 請求項5記載の予備発泡粒子を型内発泡成形させて得られることを特徴とする発泡成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010222646A JP5548574B2 (ja) | 2010-09-30 | 2010-09-30 | ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010222646A JP5548574B2 (ja) | 2010-09-30 | 2010-09-30 | ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012077162A JP2012077162A (ja) | 2012-04-19 |
JP5548574B2 true JP5548574B2 (ja) | 2014-07-16 |
Family
ID=46237789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010222646A Active JP5548574B2 (ja) | 2010-09-30 | 2010-09-30 | ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5548574B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3565892B2 (ja) * | 1994-01-28 | 2004-09-15 | 三井・デュポンポリケミカル株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP5401083B2 (ja) * | 2008-11-21 | 2014-01-29 | 積水化成品工業株式会社 | 予備発泡粒子、その製造方法及び発泡成形体 |
-
2010
- 2010-09-30 JP JP2010222646A patent/JP5548574B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012077162A (ja) | 2012-04-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5564343B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂フィルム及び積層シート | |
TWI622613B (zh) | 苯乙烯系樹脂發泡性粒子及其製造方法、發泡粒子、發泡成形體及其用途 | |
JP5380379B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂発泡成形体 | |
TWI520996B (zh) | 聚烯烴系樹脂發泡體及使用該樹脂發泡體之聚烯烴系樹脂發泡防塵材 | |
JP5997181B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、その製法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体 | |
JP6421825B2 (ja) | スチレン系発泡シート及びこれを用いる成形体 | |
JP5298073B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂シート | |
JP2009242635A (ja) | 帯電防止性スチレン系樹脂発泡成形体及びその製造方法 | |
JP5409503B2 (ja) | ポリ乳酸系樹脂成形品 | |
JP5860585B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂シート | |
JP5548574B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、発泡成形品 | |
JP2010196052A (ja) | ポリオレフィン系樹脂フィルム及び積層シート | |
JP5220058B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂発泡成形体 | |
US20200094440A1 (en) | Composition for low specific gravity molded foam and method for producing molded foam using the composition | |
JP2010196053A (ja) | ポリオレフィン系樹脂フィルム及び積層シート | |
JP5520682B2 (ja) | ポリ乳酸系樹脂発泡成形体 | |
JP2011231284A (ja) | ポリ乳酸系樹脂フィルム及び積層シート | |
JP2010196054A (ja) | ポリオレフィン系樹脂発泡成形体 | |
JP5918529B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、予備発泡粒子の製造方法、及び、ビーズ発泡成形体の製造方法 | |
JP2008120979A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその成形体 | |
JP5470161B2 (ja) | 成形品及び成形品の製造方法 | |
JP2013060526A (ja) | ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、及び、ビーズ発泡成形品 | |
JPWO2020054536A1 (ja) | 発泡シート | |
JP2013076010A (ja) | ポリスチレン系樹脂フィルム及び積層発泡シート | |
JP5396247B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20130509 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20131024 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140221 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140409 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140502 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140519 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 5548574 |