JP5547517B2 - ベルトモール - Google Patents

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Description

本発明は、車両ドアに対して昇降するスライドガラスの表面に摺接することによりスライドガラス表面の汚れや水分を除去したり、傾いたスライドガラスを支持するベルトモールに関する。
特許文献1の車両ドアのドアパネルの上縁部にはベルトモールが取り付けてある。このベルトモールは図4に示すように、硬質樹脂材料を用いて成形した本体部と、本体部の車外側面に軟質樹脂材料を用いて一体的に成形した表皮部と、本体部の車内側に位置する部分の表面に軟質樹脂材料を用いて一体的に成形したウェザーストリップと、本体部の車内側に位置する部分の下端部Aに軟質樹脂材料を用いて一体的に成形したスタビライザ突起と、を備えており、押出成形によって一体的に成形される。
ウェザーストリップは弾性変形した状態でスライドガラスの表面に接触するので、スライドガラスが昇降するとウェザーストリップによってスライドガラス表面のゴミや水分が除去される。またスタビライザは通常状態においてはスライドガラスから離間しており、スライドガラスが傾いたときにはスライドガラスの表面に接触して、スライドガラスのそれ以上の傾きを規制する。
特許文献1のベルトモールの本体部の剛性を高めるために、本体部の内部全体に金属(例えばSUS)からなる芯材を埋設することがある(図4の仮想線参照)。しかしスタビライザ突起の寸法を小さくするために本体部の下端部Aを車内側に大きく湾曲する断面形状としてあるため、この本体部に金属芯材を埋設すると、金属芯材の車内側の下端部も車内側に大きく湾曲した断面形状となり、その結果、必要な金属芯材の量が多くなる。金属からなる芯材は高価であるため(特にSUSを用いた場合)、コスト抑制の観点からは、金属芯材の断面積をできるだけ小さくするのが好ましい。
そこで、図4の仮想線で示すように本体部の下端部Aの車外側の凹みを上記硬質樹脂材料による中実部B(Lが中実部Bの車外側の端面)に設計変更した上で、金属芯材の車内側の下端部を中実部Bの内部に通せば、金属芯材の車内側の下端部の断面積を小さくできる。
特開2007−131016号公報
金属芯材を具備する構成のベルトモールを成形するには、まずロール成形により金属芯材を成形し、この金属芯材が冷却されて形状が定まった後に、金属芯材を芯材として利用した押出成形によって金属芯材の表面に上記本体部、表皮部、ウェザーストリップ、及び、スタビライザ突起を一体成形し、本体部、表皮部、ウェザーストリップ、及び、スタビライザ突起を冷却して完全に固化させる。
しかし、図4に示すように本体部の下端部A(中実部Bも含む)は断面積が大きくなるめ、押出成形後に下端部Aが完全に冷却するまでには長い時間が必要となる。下端部Aの冷却に要する時間が長くなると、冷却に伴う下端部Aの歪み量が大きくなり、さらにこの歪み変形に伴って金属芯材における車内側の下端部(下端部Aによって囲まれた部分)にも歪みが生じるため、完成時におけるベルトモールの形状(特に車内側の下端部の形状)が設計形状から大きくずれた形状となるおそれがある(成形性が悪化するおそれがある)。
本発明は、金属製の芯材を利用した押出成形によって芯材の周囲に断面積が大きい樹脂部を形成した場合であっても成形性を良好にできるベルトモールを提供することを目的とする。
本発明のベルトモールは、車両ドアのパネル上縁に沿って固定され、機械的強度を向上させる補強材として機能し、該上縁の車外側に位置する車外側部と車内側に位置する車内側部とを有する金属製の芯材と、上記車内側部と上記車外側部のうちスライドガラス側に位置するものである対向部から突出し、該スライドガラスに接触することにより弾性変形するガラス接触突部材と、を有するベルトモールにおいて、上記ガラス接触突部材が、上記対向部に接続し、かつ上記アウタパネル上縁と同方向に延びる貫通孔を有する樹脂材料からなる基部と、該基部の先端から上記スライドガラス側に延び、かつ、上記樹脂材料より柔らかい樹脂材料からなるガラス側端部と、を具備することを特徴としている。
上記基部における上記貫通孔の下方に位置する部分の厚みを、上記基部における上記芯材より上記スライドガラス側に位置しかつ上記貫通孔を形成した部分の車幅方向寸法より小さくしてもよい。
このようにすれば、貫通孔を形成しないときの基部の車幅方向寸法に比べて薄い部分を貫通孔の下方に形成できるので、押出成形によって基部を形成したときにこの部分から基部に蓄積された熱が放熱され易くなる。そのため、ベルトモールの成形性がより向上する。
上記アウタパネル上縁の車内側面と車外側面のうち上記対向部側に位置するものに、該対向部側に突出する抜止片を突設し、上記対向部の下端部に、該抜止片の下方に向かって突出し、かつその車幅方向寸法が、上記基部における上記芯材より上記スライドガラス側に位置しかつ上記貫通孔を形成した部分の車幅方向寸法より小さい係止片を形成し、該係止片の表面に、上記基部の一部を構成し、かつ上記抜止片に対して下方から係合する係止部を形成してもよい。
このように係止部の車幅方向寸法を短くすれば、係止部をスライドガラス側に突出させた場合であっても係止部の断面積が小さくなるので、芯材の製造に要する金属材料の量を少なくすることが可能になる。
上記貫通孔全体が上記基部の内部に位置し、かつ、上記基部の周面から離間してもよい。
上記車外側部の少なくとも一部が車外側に露出していてもよい。
このようにすれば、芯材がベルトモールの機械的強度を向上させる補強材としての機能だけでなく、意匠材としての機能も発揮できるようになる。
本発明では、金属製の芯材を利用した押出成形によって該芯材の車内側部に断面積が大きい樹脂製の基部を形成したとしても、該基部にはアウタパネル上縁と同方向に延びる貫通孔が形成してあるので、該基部が完全に冷却するまでに要する時間は貫通孔を形成しない場合に比べて短くなる。そのため、冷却に伴う基部の歪み量は貫通孔を形成しない場合に比べて小さくなるので、ベルトモールの成形性は良好となる。
本発明の一実施形態の車両ドアの側面図である。 図1のII−II矢線に沿う断面図である。 変形例の断面図である。 従来技術の図2と同様の断面図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明中の各方向は図中の矢印方向を基準としている。
図1は本発明を適用した車両ドア10を示している。共に金属製であるアウタパネル11とドアサッシュ15の間には窓孔16が形成してあり、窓孔16内にはスライドガラスWが昇降自在に設けてある。
アウタパネル11の上縁部は車内側に折り曲げることにより形成したモール取付部12となっており、モール取付部12の車内側の下縁部には複数の抜止片13が前後方向に並べて切り起こしてある。
図2に示すように、一様断面形状であるベルトモール20は、ロール成形により成形したSUS(ステンレス鋼)からなる長尺物である意匠兼補強材21(芯材)を備えている。意匠兼補強材21はアウタパネル11のモール取付部12に取り付けたときにモール取付部12の車外側に位置する車外側部22と、モール取付部12の車内側に位置する車内側部24(対向部)と、を有している。車外側部22の下端部には車内側部24の上端側に向かって延びる車外側係止片23が突設してあり、車内側部24の下端部には一旦スライドガラスW側に突出した後に車外側部22側に延びる車内側係止片25が突設してある。即ち意匠兼補強材21は構成要素として、車外側部22と、車外側係止片23と、車内側部24と、車内側係止片25と、を具備している。
意匠兼補強材21の表面には、意匠兼補強材21を芯材とした押出成形によって車外側接触突部材28、下端側端部32、ウェザーストリップ35(ガラス接触突部材)、及び、スタビライザ45(ガラス接触突部材)が一体成形してある。
車外側部22の車内側面には車外側接触突部材28が設けてある。この車外側接触突部材28は、後述するパネル側端部30を構成する樹脂材料に比べて相対的に硬い樹脂材料である硬質樹脂材料(例えば、PP、AESなど)からなり、車外側部22の車内側面に固定された基部29と、基部29の下縁部から車内側部24側に向かって突出する、基部29を構成する上記硬質樹脂材料より相対的に柔らかい(弾性変形し易い)樹脂材料である軟質樹脂材料(例えば、TPO、PVCなど)からなるパネル側端部30と、を具備している。
車外側部22の下縁にはパネル側端部30と同じ材質からなる下端側端部32が固定してある。下端側端部32の下端部には斜め下方に向かって延びるリップ部33が突設してある。
車内側部24の車内側面の上半部と車外側部22の車外側面の上端部とに跨る部分には、毛質部40を除く部分がパネル側端部30と同じ材質からなるウェザーストリップ35が設けてある。ウェザーストリップ35は、車外側部22の車外側面の上端部に固定した上端被覆部36と、車内側部24の車内側面の上半部に固定した下方延出部37と、上端被覆部36と下方延出部37の間から車内側に向かって突出する基部38と、基部38の先端から車内側に向かってさらに突出するリップ部39(ガラス側端部)と、リップ部39の先端に設けた毛質部40と、を具備している(毛質部40は上記押出成形後にリップ部39の先端に設ける)。図示するように基部38とリップ部39の間は周辺部に比べて薄肉の薄肉接続部41となっている。
図示するようにウェザーストリップ35の上端被覆部36と下端側端部32の間において意匠兼補強材21の車外側部22が車外側に露出するため、意匠兼補強材21はベルトモール20の機械的強度を向上させる補強材としての機能だけでなく、意匠材としての機能も発揮する。
車内側部24の下半部にはスタビライザ45が設けてある。スタビライザ45は、基部29と同じ材質からなり、かつ車内側部24の下半部の車内側面と車外側面とに跨って固定した基部46と、基部46の車内側端面から車内側に向かって延びるパネル側端部30と同じ材質からなる支持端部48(ガラス側端部)と、支持端部48の先端に設けた毛質部49と、を具備している(毛質部49は上記押出成形後に支持端部48の先端に設ける)。また基部46には図示する断面形状である貫通孔47(ベルトモール20を車両ドア10に取り付けたときに貫通孔47とモール取付部12の延長方向は一致する)が全長に渡って形成してある。
図2に示すように、以上構成のベルトモール20は、車外側部22がモール取付部12の車外側に位置しかつ車内側部24がモール取付部12の車内側に位置するようにして意匠兼補強材21をモール取付部12に上方から被せて、基部46の車外側部の上端突部をモール取付部12の車内側面に弾性変形させながら接触させ、基部46の車外側部の下端部である係止部46aを下方から各抜止片13に係止し、さらにパネル側端部30及びリップ部33を弾性変形させながらモール取付部12の車外側面に接触させることによりモール取付部12に固定する。すると、スタビライザ45(毛質部49)はスライドガラスWから車外側に離間するものの、それまで図2の実線に示す自由状態にあったウェザーストリップ35は、その毛質部40がスライドガラスWに接触することにより仮想線で示す弾性変形状態となる。従って、この状態でスライドガラスWが昇降すると、毛質部40によってスライドガラスW表面のゴミや水分が除去される。ウェザーストリップ35がスライドガラスWからの力によって弾性変形すると、基部38は僅かに弾性変形するのに対して、リップ部39は薄肉接続部41を中心に揺動しながら基部38より大きく弾性変形する。
また、車両ドア10に内蔵したウィンドレギュレータ装置(図示略)のモータの駆動力を利用して全閉位置(上限位置)より下方に位置していたスライドガラスWを全閉位置まで上昇させると、スライドガラスWの上縁部がドアサッシュ15の内面上端に接触した後も当該モータが僅かな時間だけ回転を続けるため、スライドガラスWはドアサッシュ15から反力を受けて図2の位置から僅かに車外側に倒れる(図示略)。するとスライドガラスWの車外側面がスタビライザ45の毛質部49に接触して支持端部48が弾性変形するものの、スタビライザ45の根本部分である基部46は硬質樹脂材料により成形されかつ断面積が支持端部48より大きいため殆ど弾性変形しない(支持端部48より弾性変形量が小さい)。そのため、スライドガラスWの倒れが確実に規制され、上記モータが停止するとスライドガラスWは図2の位置に自動的に復帰する。
上記押出成形はロール成形後に常温まで冷却された意匠兼補強材21を芯材として行うものであり、押出成形の直後においては車外側接触突部材28、下端側端部32、ウェザーストリップ35、及び、スタビライザ45は高温状態となる。そして、車外側接触突部材28、下端側端部32、ウェザーストリップ35、及び、スタビライザ45が冷却されて常温状態となることによりこれら各部材は完全に固化するが、基部46は断面積が大きい部材であるため貫通孔47を形成しない場合は基部46の冷却時間は長時間となり、その結果、ベルトモール20の成形性が悪化するおそれがある(ベルトモール20の完成形状が設計形状からかけ離れた形状になるおそれがある)。
しかし、本実施形態の基部46は貫通孔47を設けることによりその断面積を(貫通孔47を設けない場合に比べて)小さくしているので、押出成形が完了すると(貫通孔47を設けない場合に比べて)速やかに冷却(固化)する。そのため冷却に伴って生じる基部46の歪み量が小さくなるため、貫通孔47を設けない場合に比べてベルトモール20の成形性は良好となる。
特に本実施形態のベルトモール20では、基部46における貫通孔47の下方に位置する部分の厚み(A)を、基部46における意匠兼補強材21よりスライドガラスW側に位置しかつ貫通孔47を形成した部分(以下、「貫通孔形成部」)と呼ぶ)の車幅方向寸法(B)より小さくしている。そのため、貫通孔47を形成しないときの貫通孔形成部の車幅方向寸法に比べて基部46における貫通孔47の下方に位置する部分が薄くなっているので、押出成形によって基部46を形成したときに、基部46に溜まった熱は貫通孔47の下方に位置する当該部分から速やかに放熱されるので、ベルトモール20の成形性がより向上する。
さらに、意匠兼補強材21の下端部をスライドガラスW側に突出する車内側係止片25としているものの、車内側係止片25の車幅方向寸法(C)は車幅方向寸法(B)より短いので、車内側係止片25の断面積は小さい。そのため、上記硬質樹脂材料及び上記軟質樹脂材料より高価な材料であるSUSの使用量を抑えられるので、意匠兼補強材21の製造コストを低くすることが可能である。
以上上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば図3に示すように、車内側部24側が開放した貫通孔50を基部46の全長に渡って形成してもよい。
また、基部38を上記硬質樹脂材料により構成し、かつ、リップ部39(ガラス側端部)を上記軟質樹脂材料により構成することにより、基部38をリップ部39より弾性変形し難くした上で、基部38に貫通孔47(貫通孔50)に相当する貫通孔を形成してもよい。
また意匠兼補強材21をSUS以外の金属材から構成してもよい。
さらに、意匠兼補強材21の車外側部22の車外側面全体を樹脂材で覆っても良い。
さらに上記実施形態のベルトモール20はそのウェザーストリップ35と基部45が車外側からスライドガラスWに接触するアウターモールであるが、スライドガラスWの車内側に配置したドアパネル(インナパネル)の上縁に固定した、車内側からスライドガラスWに接触するウェザーストリップ35と基部45に相当するガラス接触突部材を備えるインナーモールとして実施することも可能である(この場合は車外側部22が「対向部」となる)。
10 車両ドア
11 アウタパネル(パネル)
12 モール取付部(ドアパネル上縁)
13 抜止片
15 ドアサッシ
16 窓孔
20 ベルトモール
21 意匠兼補強材(芯材)
22 車外側部
23 車外側係止片
24 車内側部
25 車内側係止片
28 車外側接触突部材
29 基部
30 パネル側端部
32 下端被覆材
33 リップ部
35 ウェザーストリップ(ガラス接触突部材)
36 上端被覆部
37 下方延出部
38 基部
39 リップ部(ガラス側端部)
40 毛質部
41 薄肉接続部
45 スタビライザ(ガラス接触突部材)
46 基部
46a 係止部
47 貫通孔
48 支持端部(ガラス側端部)
49 毛質部
50 貫通孔
W スライドガラス

Claims (5)

  1. 車両ドアのパネル上縁に沿って固定され、機械的強度を向上させる補強材として機能し、該上縁の車外側に位置する車外側部と車内側に位置する車内側部とを有する金属製の芯材と、
    上記車内側部と上記車外側部のうちスライドガラス側に位置するものである対向部から突出し、該スライドガラスに接触することにより弾性変形するガラス接触突部材と、
    を有するベルトモールにおいて、
    上記ガラス接触突部材が、
    上記対向部に接続し、かつ上記アウタパネル上縁と同方向に延びる貫通孔を有する樹脂材料からなる基部と、
    該基部の先端から上記スライドガラス側に延び、かつ、上記樹脂材料より柔らかい樹脂材料からなるガラス側端部と、を具備することを特徴とするベルトモール。
  2. 請求項1記載のベルトモールにおいて、
    上記基部における上記貫通孔の下方に位置する部分の厚みを、上記基部における上記芯材より上記スライドガラス側に位置しかつ上記貫通孔を形成した部分の車幅方向寸法より小さくしたベルトモール。
  3. 請求項1または2記載のベルトモールにおいて、
    上記アウタパネル上縁の車内側面と車外側面のうち上記対向部側に位置するものに、該対向部側に突出する抜止片を突設し、
    上記対向部の下端部に、該抜止片の下方に向かって突出し、かつその車幅方向寸法が、上記基部における上記芯材より上記スライドガラス側に位置しかつ上記貫通孔を形成した部分の車幅方向寸法より小さい係止片を形成し、
    該係止片の表面に、上記基部の一部を構成し、かつ上記抜止片に対して下方から係合する係止部を形成したベルトモール。
  4. 請求項1から3のいずれか1項記載のベルトモールにおいて、
    上記貫通孔全体が上記基部の内部に位置し、かつ、該基部の周面から離間しているベルトモール。
  5. 請求項1から4のいずれか1項記載のベルトモールにおいて、
    上記車外側部の少なくとも一部が車外側に露出しているベルトモール。
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