以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態のフレームタイミング検出装置を示す図である。図1に示すフレームタイミング検出装置1は、受信信号に含まれる第1及び第2の同期信号についての相関算出を行うことにより、フレームタイミングを検出する。フレームタイミング検出装置1は、例えば、無線信号を受信する無線受信装置に搭載して使用することができる。フレームタイミング検出装置1は、第1の相関算出部1a、記憶部1b、検出部1c及び第2の相関算出部1dを有する。
第1の相関算出部1aは、受信信号に含まれる第1の同期信号についての相関を算出して、相関算出結果を出力する。第1の同期信号としては、例えば、P−SCHと呼ばれる同期チャネルの信号を用いることができる。第1の同期信号として用いられる既知信号の候補が複数ある場合、第1の相関算出部1aは、例えば、受信信号と複数の既知信号それぞれとの間で相関算出を行い、既知信号毎の相関算出結果を得る。第1の同期信号についての相関算出は、タイミングの異なる受信信号を対象として複数回行ってもよい。
記憶部1bは、第1の相関算出部1aが出力した、第1の同期信号についての相関算出結果を記憶する。また、相関算出結果と選択的に、第2の同期信号についての相関算出に用いられる所定時間分の受信信号を記憶する。すなわち、記憶部1bは、第1の同期信号を用いた第1段階の処理の際には、相関算出結果を記憶し、第2の同期信号を用いた第2段階の処理の際には、相関算出結果に代えて受信信号を記憶する。記憶部1bに記憶する信号を切り替えるために、セレクタ(図示せず)を設けてもよい。
なお、記憶部1bは、平均化処理部(図示せず)に設けられていてもよい。平均化処理部は、例えば、第1段階では、第1の相関算出部1aが複数回行った相関算出の結果を平均化し、平均化後の相関算出結果を記憶部1bに格納することが考えられる。また、第2段階では、複数の異なるタイミングの所定時間分の受信信号を平均化し、平均化後の所定時間分の受信信号を記憶部1bに格納することが考えられる。平均化処理を行うことで、フレームタイミングの検出精度を一層向上させることができる。
検出部1cは、記憶部1bに第1の同期信号についての相関算出結果が記憶されているとき、すなわち、第1段階の処理の際、記憶部1bから相関算出結果を読み出し、フレームタイミングの候補となる複数のタイミングを検出する。例えば、検出部1cは、相関のピーク検出を行い、大きい方からn個(nは2以上の整数)のピークのタイミングを検出する。検出部1cが検出した複数のタイミングは、第2の相関算出部1dに通知される。検出されたタイミングの通知は、制御部(図示せず)経由で行ってもよい。
第2の相関算出部1dは、記憶部1bに所定時間分の受信信号が記憶されているとき、すなわち、第2段階の処理の際、記憶部1bから受信信号を読み出し、読み出した同一の受信信号に対して、検出部1cで検出された複数のタイミングに基づく第2の同期信号についての相関算出を行う。第2の相関算出部1dは、n個のタイミングの相関算出のため記憶部1bから受信信号をn回読み出してもよい。第2の同期信号として用いられる既知信号の候補が複数ある場合、例えば、n個のタイミング毎に、受信信号と複数の既知信号それぞれとの間で相関算出を行う。
第2の同期信号についての相関算出結果に基づき、フレームタイミング検出装置1は、フレームタイミングを検出することができる。例えば、第2の同期信号の相関のピーク検出を行い、最大のピークのタイミングからフレームタイミングを検出する。また、第1及び第2の同期信号の少なくとも一方について、同期信号として用いられる既知信号の候補が複数ある場合、フレームタイミングの検出に用いた既知信号からセルIDを検出できる場合がある。最終的なフレームタイミング及びセルIDの判定は、制御部(図示せず)が第1段階及び第2段階の処理結果を受けて行ってもよい。
上記フレームタイミング検出装置1によれば、第1の相関算出部1aが、第1の同期信号についての相関を算出し、記憶部1bが、第1の同期信号の相関算出結果を記憶する。検出部1cが、記憶部1bに記憶された相関算出結果に基づいて、フレームタイミングの候補となる複数のタイミングを検出する。記憶部1bが、所定時間分の受信信号を記憶する。第2の相関算出部1dが、記憶部1bに記憶された同一の所定時間分の受信信号に対し、検出された複数のタイミングに基づく第2の同期信号についての相関算出を行う。
このように、第1段階で複数(n個)のタイミングをフレームタイミングの候補として検出し、第2段階でn個のタイミングについて相関算出を行うため、第1段階でタイミングを1つに絞り込む場合と比べて、フレームタイミングの検出精度を向上できる。また、第2段階では、記憶部1bに所定時間分の受信信号を一旦記憶し、記憶した同じ受信信号に対してn個のタイミング分の相関算出を行うため、所定時間分の受信信号をn回取得して逐次的に相関算出を行う場合と比べて、フレームタイミングの検出時間を抑制できる。
また、第2段階で所定時間分の受信信号を記憶するために、第1段階で相関算出結果を記憶するために用いた記憶部1bを使用するため、フレームタイミング検出装置1の回路規模を抑制することができる。すなわち、フレームタイミングの同期精度を向上させる際に、回路規模を考慮した上で、処理時間を抑制することが可能となる。また、処理時間が抑制される(特に、第2の相関算出部1dの稼働時間が短縮される)ため、フレームタイミング検出装置1を搭載する装置の消費電力を抑制できる。
以下に説明する第2〜第4の実施の形態では、フレームタイミング検出装置1の検出方法を移動局に適用した移動通信システムについて説明する。ただし、フレームタイミング検出装置1は、移動局に限らず、無線信号を受信する種々の無線通信装置に搭載することが可能である。なお、フレームタイミング検出装置1の流通形態としては、無線通信装置に組み込まれて流通する形態、無線信号処理を行う部品に組み込まれて流通する形態、単独で流通する形態などの種々の形態が考えられる。
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の移動通信システムを示す図である。第2の実施の形態に係る移動通信システムは、移動局10と無線基地局21,22を含む。
移動局10は、通信品質の良好な無線基地局との間に無線リンクを設定し、無線通信を行う無線端末装置である。移動局10として、例えば、携帯電話機や無線インタフェースを備えた携帯情報端末装置などを用いることができる。移動局10は、電源投入後、無線基地局から受信した下りリンク(DL:DownLink)信号(以下、受信信号と呼ぶことがある)に基づいてセルサーチを行い、検出されたセルの1つを介して無線アクセス網にエントリする。また、その後も適宜セルサーチを行い、セル間のハンドオーバの制御を行う。
無線基地局21,22は、それぞれ、1又は複数のセルを管理する無線通信装置である。無線基地局21,22は、配下セル内に、セルIDに応じた同期信号を含む無線フレームを送信している。同期信号は移動局10によるセルサーチに使用され得る。また、無線基地局21,22は、無線アクセス網へのエントリ後、移動局10との間でデータを送受信する。なお、無線基地局21,22に代えて、無線基地局と移動局との間でデータを転送する無線中継局を用いることも可能である。
このような移動通信システムは、例えば、LTE方式によって実現できる。以下では、LTEにおいてDL通信に採用されているOFDMを想定して、移動局10が行うセルサーチの詳細を説明する。ただし、以下に説明するセルサーチの考え方は、OFDMやLTEに限定されるものでなく、種々の通信方式に適用可能である。
図3は、第2の実施の形態の無線フレームの構造例を示す図である。図3の横方向が時間方向に対応し、縦方向が周波数方向に対応する。10msの無線フレームは、0.5ms幅の20個のスロット(スロット#0〜19)に区切られている。連続する2つのスロットが、1ms幅のサブフレームを構成する。例えば、スロット#0,#1が先頭のサブフレームを構成し、スロット#2,#3が2番目のサブフレームを構成する。1スロットは、7個のOFDMシンボルを含む。シンボル間には、CP(Cyclic Prefix)と呼ばれるガードインターバル(図示せず)が挿入されている。
ここで、無線フレーム内のリソースの一部が、P−SCH及びS−SCHに割り当てられている。具体的には、10msの無線フレームを前半5msと後半5msとに区切ったときの各先頭のスロット、すなわち、スロット#0とスロット#10に、P−SCH及びS−SCHが時間多重されている。P−SCHは2つのスロット#0,#10の7シンボル目に、S−SCHはスロット#0,#10の6シンボル目に配置される。
P−SCH系列としては、Zadoff-Chu系列を用いて生成される複数(例えば、3個)の既知の信号系列の何れかが使用される。無線フレーム内の2箇所のP−SCHでは、同期信号として、同じ信号系列が送信される。P−SCHは、例えば、システム帯域幅の中心73サブキャリアにマッピングされる。
一方、S−SCH系列としては、M系列を用いて生成される複数(例えば、336個)の既知の信号系列の何れかに、スクランブル処理を施した信号系列が使用される。スクランブル処理には、複数(例えば、3個)の既知の符号系列の何れかが使用される。使用される符号系列は、P−SCH系列に対応している。無線フレーム内の2箇所のS−SCHでは、同期信号として、異なる信号系列が送信される。S−SCHは、例えば、システム帯域幅の中心63キャリアにマッピングされる。
前半のS−SCH系列及び後半のS−SCH系列の組み合わせ(例えば、168通り)は、セルIDグループと一対一に対応している。2つのS−SCH系列の無線フレーム内での順序は、予め決まっている。1つのセルIDグループには、複数(例えば、3個)のセルIDが含まれており、同一セルIDグループ内の複数のセルIDは、P−SCH系列と対応している。すなわち、P−SCH系列及び2つのS−SCH系列の組み合わせ(例えば、168×3=504通り)により、受信信号が何れのセルの信号であるかを示すセルIDを特定することができる。
なお、図3の無線フレームの構造例は、CPとしてショートCPを用いた場合を示している。CPとしてロングCPを用いた場合、1スロットは、6個のOFDMシンボルを含む。その場合、P−SCHはスロット#0,#10の6シンボル目に、S−SCHはスロット#0,#10の5シンボル目に配置される。
図4は、第2の実施の形態の移動局を示すブロック図である。移動局10は、アンテナ11、RF(Radio Frequency)部12及びベースバンド部13を有する。なお、図4では、上りリンク(UL:UpLink)方向の通信を行うための回路については、記載を省略している。
アンテナ11は、無線基地局21,22が送信した無線信号を受信し、RF部12に出力する。RF部12は、アンテナ11から取得した無線周波数の信号をベースバンド信号へと周波数変換(ダウンコンバート)し、ベースバンド部13に出力する。ベースバンド部13は、RF部12から取得した受信信号を処理する。受信信号に移動局10宛てのデータが含まれている場合、ベースバンド部13は、抽出されたデータを上位レイヤの処理部(図示せず)に出力する。
ベースバンド部13は、セルサーチ部100、パスサーチ部101、FFT(Fast Fourier Transform)部102、復調部103及び復号部104を有する。
セルサーチ部100は、RF部12から取得した受信信号に基づいて、フレームタイミングやセルID等を検出し、パスサーチ部101及び復調部103に通知する。パスサーチ部101は、セルサーチ部100から取得したセルサーチ結果に基づいて、RF部12から取得した受信信号のデータ先頭位置を特定し、FFT部102に通知する。FFT部102は、パスサーチ部101から取得したパスサーチ結果に基づいて、RF部12から取得した受信信号を周波数軸上の信号へとフーリエ変換し、復調部103に出力する。
復調部103は、FFT部102から取得したフーリエ変換後の受信信号を、セルサーチ部100からの情報を参照し、所定の変調方式又は通信品質に応じて決まる変調方式に対応する方法で復調して、復号部104に出力する。復号部104は、復調部103から取得した復調後の信号を、所定の符号化方式又は通信品質に応じて決まる符号化方式に対応する方法で誤り訂正復号する。この結果、受信信号に含まれるデータが抽出される。
図5は、第2の実施の形態のセルサーチ部を示すブロック図である。セルサーチ部100は、P−SCHに基づく第1段階の処理とS−SCHに基づく第2段階の処理とを含む二段階セルサーチを行う。セルサーチ部100は、P−SCH検出部110、S−SCH検出部120及びセルサーチ制御部130を有する。
P−SCH検出部110は、受信信号に対してP−SCHに基づく第1段階の検出処理を行い、検出された複数(n個)のタイミングを、セルサーチ制御部130に通知する。P−SCH検出部110は、P−SCH相関算出部111、セレクタ112、平均化処理部113、記憶部114及びピーク検出部115を有する。
P−SCH相関算出部111は、RF部12から取得した受信信号と既知のP−SCH系列それぞれとの間で相関算出を行う。例えば、P−SCH相関算出部111は、受信信号と既知のP−SCH系列の複素共役との積をサンプル毎に算出し、それらを電圧加算する。その際、サンプル毎の相関値を積分する区間(5ms)を複数のブロックに分割し、各ブロックで相関値を算出し、隣接するブロックに対して相関値の複素共役を乗算する。そして、P−SCH相関算出部111は、相関算出結果をセレクタ112に出力する。
セレクタ112は、P−SCH相関算出部111が出力した相関算出結果のデータ、又は、P−SCH相関算出部111の入力側の受信信号を、選択的に平均化処理部113へ出力するよう入力切り替えを行う。すなわち、セレクタ112は、P−SCHに基づく第1段階の検出処理の際には、P−SCH相関算出部111が出力した相関算出結果のデータを平均化処理部113に出力する。S−SCHに基づく第2段階の検出処理の際には、受信信号を平均化処理部113に出力する。
例えば、セレクタ112は、P−SCH検出部110が第1段階の処理を行っている間は常に、P−SCH相関算出部111から入力される相関算出結果のデータを通過させ、第1段階の処理が終了したことを検出すると、受信信号を通過させるよう切り替えを行うことができる。又は、セレクタ112は、P−SCH相関算出部111から相関算出結果のデータが入力されている間だけそのデータを通過させ、相関算出結果のデータが入力されないときは、受信信号を通過させるよう切り替えを行ってもよい。
平均化処理部113は、セレクタ112から取得した相関算出結果のデータ又は受信信号について、時間方向の平均化処理を行う。すなわち、第1段階では、平均化処理部113は、P−SCHが現れる所定周期(5ms)で相関算出結果を電力平均し、平均化した相関算出結果のデータ(以下、平均化データと呼ぶことがある)を得る。また、第2段階では、同一系列のS−SCHが現れる所定周期(10ms)で受信信号を電力加算し、前半5ms分及び後半5ms分それぞれの平均化した受信信号を得る。
第2段階では、平均化処理部113により、第1段階で検出されたP−SCH系列に隣接して時間多重されていると推定されるS−SCH系列が、電圧平均されることになる。なお、無線フレームにショートCPとロングCPの何れが用いられているか不明な場合には、平均化処理部113は、2通りのCP分の平均化処理を行ってもよい。
記憶部114は、平均化処理部113に設けられている。記憶部114は、平均化処理部113が算出した5ms周期の平均化データ、又は、2×5ms周期の平均化した受信信号を、選択的に記憶する。記憶部114には、平均化処理部113によって書き込みが行われ、ピーク検出部115又はS−SCH相関算出部121から読み出される。
すなわち、記憶部114は、第1段階では平均化処理のために相関算出結果のデータを記憶する一方、第2段階では相関算出結果のデータを記憶しなくてよい。そのため、第2段階の処理中は空きとなる可能性のある記憶部114を、平均化した受信信号を記憶するために活用することができる。
ピーク検出部115は、記憶部114に記憶された平均化データ、すなわち、平均化処理部113で累積加算された5ms分の相関算出結果のデータを読み出し、相関がピークになるタイミングの検出(ピーク検出)を行う。ここでは、複数(n個)のピークを検出し、n個分のピーク検出結果(P−SCHについてのタイミング情報)をセルサーチ制御部130へ出力する。例えば、平均化データの絶対値の2乗が大きい方からn個のタイミング、及び、ピークを検出した際の相関算出に使用されたP−SCH系列を検出する。
S−SCH検出部120は、P−SCH検出部110で検出された複数のタイミングそれぞれについて、受信信号に対してS−SCHに基づく第2段階の検出処理を行い、検出されたタイミングをセルサーチ制御部130に通知する。S−SCH検出部120は、S−SCH相関算出部121及びピーク検出部122を有する。
S−SCH相関算出部121は、記憶部114に記憶されている平均化された受信信号を5msずつ読み出す。そして、P−SCH検出部110で検出されたn個のタイミングそれぞれについて、受信信号と既知のS−SCH系列それぞれとの間で相関算出を行う。その際、相関算出の前に、第1段階の処理で特定されたP−SCH系列に応じた符号系列を用いて、受信信号をデスクランブル処理する。n個のタイミング及び符号系列は、セルサーチ制御部130から通知される。そして、S−SCH相関算出部121は、得られたn個のタイミング分の相関算出結果を、ピーク検出部122に順次出力する。
例えば、S−SCH相関算出部121は、記憶部114から同一の5ms分の受信信号をn回読み出す。そして、n個のタイミングについての相関算出を、逐次又は並列に5ms以内で実行する。すなわち、S−SCH相関算出部121は、記憶部114に記憶された同じ受信信号に対して、第1段階で検出されたn個のタイミング分の相関算出を行う。
ピーク検出部122は、S−SCH相関算出部121から取得した相関算出結果のデータについて、ピーク検出を行う。例えば、最大の相関を示すピークのタイミング、及び、ピークを検出した際の相関算出に使用されたS−SCH系列を検出する。そして、最大のピークについてのピーク検出結果(S−SCHについてのタイミング情報)を、セルサーチ制御部130へ出力する。
セルサーチ制御部130は、P−SCH検出部110による第1段階の処理、及び、S−SCH検出部120による第2段階の処理を通じて、フレームタイミングやセルID等を特定する。すなわち、第1段階では、セルサーチ制御部130は、ピーク検出部115から取得したピーク検出結果に基づいて、5ms周期のP−SCHのタイミング(P−SCHが多重されたスロットの位置)の候補を特定し、n個のタイミング情報を生成する。また、特定したタイミング候補に対応するP−SCH系列を特定する。
第2段階では、セルサーチ制御部130は、ピーク検出部122から取得したピーク検出結果に基づいて、無線フレームに時間多重されたS−SCH系列の組を特定する。そして、2つのS−SCH系列の検出順序から、10ms周期の無線フレームにおける先頭のS−SCHのタイミングを特定する。これにより、無線フレームの先頭位置、すなわち、フレームタイミングを検出できる。また、セルサーチ制御部130は、検出されたP−SCH系列とS−SCH系列の組み合わせから、セルIDを検出できる。また、P−SCHのタイミングとS−SCHのタイミングから、CP長を検出することも可能である。
なお、P−SCH検出部110が第1段階の処理を行っている間は、S−SCH検出部120の動作を停止させることが可能である。また、S−SCH検出部120が第2段階の処理を行っている間は、P−SCH相関算出部111及びピーク検出部115の動作を停止することが可能である。
また、P−SCH相関算出部111は、第1の実施の形態における第1の相関算出部1aの一例と見ることができる。記憶部114は、記憶部1bの一例と見ることができる。ピーク検出部115は、検出部1cの一例と見ることができる。S−SCH相関算出部121は、第2の相関算出部1dの一例と見ることができる。
図6は、第2の実施の形態のセルサーチを示すフローチャートである。
(ステップS1)P−SCH相関算出部111は、受信信号と既知のP−SCH系列(例えば、3通りの系列)それぞれとの間で相関算出を行う。相関算出は、平均化処理部113の平均化処理回数(例えば、2回)×5msの長さの受信信号に対して行う。セレクタ112は、P−SCH相関算出部111側の入力を選択しており、相関算出結果のデータを平均化処理部113に出力する。
(ステップS2)平均化処理部113は、ステップS1で得られた相関算出結果を5ms周期で平均化し、5ms分の平均化データを記憶部114に書き込む。平均化処理部113は、例えば、P−SCH相関算出部111が相関算出結果のデータを出力し始めると平均化処理を開始し、平均化処理回数×5msの間、連続で稼働する。なお、平均化処理回数は、固定でもよいし、無線信号の受信状況に応じて可変としてもよい。
(ステップS3)ピーク検出部115は、記憶部114から平均化データを読み出し、ピーク検出を行う。そして、n個のピーク(例えば、相関の大きい方からn個のピーク)を検出して、ピーク検出結果をセルサーチ制御部130に出力する。
(ステップS4)セルサーチ制御部130は、ステップS3で得られたピーク検出結果に基づいて、フレームタイミングの候補となるn個のタイミングを特定する。また、そのタイミングが検出された際のP−SCH系列を特定し、P−SCH系列に応じた符号系列を特定する。そして、セルサーチ制御部130は、特定したn個のタイミング及び符号系列を、S−SCH相関算出部121に通知する。
(ステップS5)セレクタ112は、入力を受信信号側に切り替え、受信信号を平均化処理部113に出力する。平均化処理部113は、入力された受信信号を10ms周期で平均化し、5ms×2個分の平均化された受信信号を記憶部114に書き込む。このとき、ステップS2で記憶部114に書き込まれた平均化データは消去してもよい。平均化処理部113は、例えば、平均化処理回数×10msの間、連続で稼働する。なお、この平均化処理回数は、第1段階の平均化処理回数と同じでもよいし異なってもよい。
(ステップS6)S−SCH相関算出部121は、記憶部114から平均化した受信信号を読み出し、セルサーチ制御部130から通知されたタイミングに応じた区間を、セルサーチ制御部130から通知された符号系列でデスクランブル処理する。そして、デスクランブル処理した信号と既知のS−SCH系列(例えば、336通りの系列)それぞれとの間で相関算出を行う。なお、S−SCH相関算出部121は、例えば、記憶部114に記憶された2個の5ms分の受信信号を、5msの間隔を空けて逐次的に読み出す。
(ステップS7)ピーク検出部122は、ステップS6で得られた相関算出結果に対して、ピーク検出を行う。そして、n個のタイミング全体を通じて相関が最大のピークを検出し、ピーク検出結果をセルサーチ制御部130に出力する。
(ステップS8)セルサーチ制御部130は、ステップS7で得られたピーク検出結果に基づいて、2つのS−SCH系列の組を特定し、10ms周期の無線フレームのフレームタイミングを特定する。検出されたP−SCH系列とS−SCH系列の組み合わせにより、セルIDを特定する。
なお、ステップS2の平均化処理は、ステップS1の相関算出が終了する前に開始することができる。ステップS3のピーク検出は、平均化処理回数×5ms分の平均化処理の完了を待って開始してもよいし、その前から処理を開始してもよい。ステップS4の処理とステップS5の平均化処理は、逆順に実行してもよいし並列に実行してもよい。ステップS6の相関算出は、平均化処理回数×10ms分の平均化処理の完了を待って開始してもよいし、その前から処理を開始してもよい。
また、ステップS5において、5ms×2個分の平均化処理を一度に行う代わりに、前半5ms分の平均化処理と後半5ms分の平均化処理を逐次的に行ってもよい。すなわち、前半5ms分の平均化処理を行い、その平均化後の受信信号をS−SCH相関算出部121に出力した後、後半5ms分の平均化処理を行ってもよい。これにより、記憶部114の記憶容量を抑制し得る。
図7は、第2の実施の形態のセルサーチ部内の信号の流れを示す図である。
(ステップS11)第1段階では、P−SCH相関算出部111において、P−SCHの相関算出が行われ、平均化処理部113において、P−SCHの相関算出結果が5ms周期で平均化される。これにより、記憶部114に平均化された相関算出結果が記憶される。そして、ピーク検出部115において、n個のタイミングが検出される。
(ステップS12)第2段階では、平均化処理部113において、受信信号が10ms周期で平均化される。これにより、記憶部114に平均化された受信信号が記憶される。
(ステップS13)第2段階では、続いて、S−SCH相関算出部121において、S−SCHの相関算出が行われ、ピーク検出部122において、ピーク検出が行われる。これにより、フレームタイミング等が検出される。
図8は、第2の実施の形態のセルサーチのタイミング例を示す図である。図8に示すように、第1段階では、P−SCHの相関算出と5ms周期の平均化処理(図8では2回)が行われ、P−SCHのタイミングの候補がn個検出される。
第2段階では、記憶部114に1つ目の5ms分の平均化した受信信号(データ#1)が書き込まれると、5msの区間内で、データ#1がn個のタイミング#1〜#nに応じて読み出され、それぞれS−SCH相関#1〜#nが算出される。同様に、記憶部114に2つ目の5ms分の平均化した受信信号(データ#2)が書き込まれると、次の5msの区間内で、データ#2がn個のタイミング#1〜#nに応じて読み出され、それぞれS−SCH相関#1〜#nが算出される。なお、図8では簡略化のため、n回の読み出しを纏めて表現している(以降のタイミング図においても同様)。
なお、S−SCHの相関算出の処理時間は、受信信号の平均化処理回数×5ms(平均化処理回数が2回の場合、10ms)程度となる。平均化処理回数は、平均化処理で累積加算した受信信号の5ms単位の区間数であり、平均化処理回数=2は、2区間分の受信信号を平均化処理したことを意味する。平均化処理回数は、所定の値に設定されていてもよいし、無線信号の受信状況等に応じて可変としてもよい。
このように、n個のP−SCHのタイミングに基づくS−SCHの相関算出を、記憶部114に格納された同じ5ms分の平均化した受信信号に対して実行することができる。このとき、n個のP−SCHのタイミングのうち、2つ以上のP−SCHのタイミングが完全に一致する確率は低いため、検出精度をある程度維持することができる。
ここで、検出されたP−SCHのタイミングが、記憶部114に格納された5ms分の受信信号の端部となり、そのタイミングで信号を抽出しようとすると、S−SCHの相関算出に用いられる相関窓の幅分の信号を確保できない場合も考えられる。その場合、記憶部114に格納された受信信号の端部を補完する処理を行ってもよい。以下に、補完処理の一例を挙げる。
図9は、第2の実施の形態の受信信号の読み出し例を示す図である。検出されたP−SCHのタイミングが、5ms区間の先頭から所定時間内にある場合、S−SCH相関算出部121は、記憶部114に記憶された5ms分の受信信号の末尾部分(例えば、末尾の所定時間分の信号)を先に読み出す。それに続けて、受信信号の先頭から読み出し済み部分の手前までを読み出す。これは、記憶部114に格納された受信信号を巡回シフトすることと等価である。
S−SCH相関算出部121は、上記の順序で読み出した信号系列に対して、S−SCHの相関算出を行う。これにより、S−SCH相関算出部121は、相関窓の幅分の信号を確保でき、検出精度の低下を抑制できる。P−SCHのタイミングが、5ms区間の末尾から所定時間内にある場合も、同様の考え方に基づいて補完処理を行うことができる。なお、S−SCH相関算出部121は、かかる補完処理を、P−SCHのタイミングが5ms区間の端部となった場合のみ行うよう制御することが可能である。
次に、図8に示した第2の実施の形態に係るセルサーチのタイミングを、他のセルサーチ方法を採用した場合のタイミングと比較する。
図10は、セルサーチの他のタイミング例を示す図である。第2段階の処理時に、受信信号を記憶するために記憶部114を使用しない場合のタイミングを示している。
まず、第1段階で検出されたn個のタイミングのうち、タイミング#1に基づいて、5ms×2区間の受信信号とS−SCH系列との相関算出が行われ、S−SCH相関#1が得られる。次に、タイミング#2に基づいて、前に使用した受信信号に続く5ms×2区間の受信信号とS−SCH系列との相関算出が行われ、S−SCH相関#2が得られる。この処理が繰り返され、得られたS−SCH相関#1〜#nのピーク検出結果に基づいて、10msの無線フレームのフレームタイミングが検出される。
このように、図10の例では、n個の異なる5ms×2区間の受信信号に対し、n個のP−SCHのタイミングに基づいてS−SCHの相関算出が行われており、受信信号とタイミングとがn対nの関係を有する。すなわち、S−SCHの相関算出において、第1段階で検出されたタイミング数(n)だけS−SCHの相関算出を繰り返すことになり、nが大きいほど第2段階の処理時間が長くなる。第2段階の処理時間は、およそ、タイミングの数n及び受信信号の平均化処理回数に比例する時間となる。
これに対し、本実施の形態に係る図8の例では、同じ5ms×2区間の受信信号に対し、n個のP−SCHのタイミングに基づいてS−SCHの相関算出が行われており、受信信号とタイミングとが1対nの関係を有する。ところで、セルサーチでは、第1段階で検出するフレームタイミングの候補を多くすることで、フレームタイミングの検出精度を向上させることができる。本実施の形態の方法は、図10に示す方法より、同等のフレームタイミング検出精度を実現するために要する処理時間が短くて済む点で有利である。
次に、図5に示した第2の実施の形態に係るセルサーチ部100の構成を、他の構成例と比較する。
図11は、セルサーチ部の他の構成例を示すブロック図である。セルサーチ部200は、P−SCH検出部210、S−SCH検出部220及びセルサーチ部230を有する。P−SCH検出部210は、P−SCH相関算出部211、平均化処理部212、記憶部213及びピーク検出部214を有する。S−SCH検出部220は、平均化処理部221、記憶部222、S−SCH相関算出部223及びピーク検出部224を有する。
セルサーチ部200を、第2の実施の形態に係るセルサーチ部100と比較すると、P−SCH検出部210が、セレクタを有しない。また、S−SCH検出部220が、平均化処理部221及び記憶部222を有する。ここでは、セルサーチ部100と同様の要素及び動作については説明を省略する。
平均化処理部212は、第1段階では、P−SCH相関算出部211が出力した相関算出結果を電力平均し、平均化データを記憶部213に書き込む。一方、第2段階では、動作を停止してもよい。すなわち、記憶部213は、空き状態となる。
平均化処理部221は、第1段階では、動作を停止してもよい。すなわち、平均化処理部221に設けられた記憶部222は、空き状態となる。一方、第2段階では、平均化処理部221は、受信信号を時間方向に10ms周期で平均化し、平均化した5ms×2区間の受信信号を記憶部222に書き込む。S−SCH相関算出部223は、記憶部222に記憶された受信信号を5ms単位で読み出し、同一の5ms分の受信信号に対して、S−SCHの相関算出を行う。
すなわち、図11に示すセルサーチ部200では、第1段階の平均化処理のために使用される記憶部213が、第2段階では使用されずに空き状態となる。これに対し、第2の実施の形態に係るセルサーチ部100では、記憶部114が、第1段階の平均化処理だけでなく第2段階の平均化処理のためにも使用される。このため、回路規模を抑制できる。
このような第2の実施の形態に係る移動通信システムによれば、第1段階でn個のタイミングを検出し、第2段階でn個のタイミングについて相関算出を行うため、第1段階でタイミングを1つに絞り込む場合と比べ、フレームタイミングの検出精度を向上できる。また、記憶部114に所定時間分の受信信号を一旦記憶し、記憶した同じ受信信号に対してn個のタイミング分の相関算出を行うため、所定時間分の受信信号をn回取得して逐次的に相関算出を行う場合と比べて、フレームタイミングの検出時間を抑制できる。
また、第2段階で所定時間分の受信信号を記憶するために、第1段階で相関算出結果を記憶するのに用いた記憶部114を使用するため、移動局10の回路規模を抑制できる。また、第2段階では、受信信号を平均化するため、相関算出結果を平均化しなくてもフレームタイミングの検出精度の低下を抑制できる。よって、n個のタイミング分の相関算出結果を記憶するための記憶領域を設けなくてよく、回路規模を抑制できる。また、第2段階の処理時間が抑制されるため、移動局10の消費電力を抑制できる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態との差異を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第3の実施の形態では、セルサーチの第2段階において、5ms分の受信信号の一部分のみを記憶部に格納すればよいように制御することを可能とする。
図12は、第3の実施の形態のセルサーチ部を示すブロック図である。セルサーチ部100aは、第2の実施の形態のセルサーチ部100に代えて、移動局に搭載することができる。セルサーチ部100aは、P−SCH検出部110a、S−SCH検出部120a及びセルサーチ制御部130aを有する。P−SCH検出部110aは、P−SCH相関算出部111、セレクタ112、平均化処理部113a、記憶部114a及びピーク検出部115を有する。S−SCH検出部120aは、S−SCH相関算出部121a及びピーク検出部122を有する。
平均化処理部113aは、第1段階では、P−SCH相関算出部111が出力した相関算出結果を電力平均し、5ms分の平均化データを記憶部114aに書き込む。一方、第2段階では、受信信号を10ms周期で電力加算し、平均化した受信信号を得る。このとき、平均化処理部113aは、2×5ms分の受信信号全体を平均化する代わりに、その一部分を平均化して記憶部114aに書き込む。記憶部114aに書き込むべき受信信号の区間は、セルサーチ制御部130aから通知されるタイミングに基づいて判断する。
記憶部114aは、平均化処理部113aに設けられている。記憶部114aの記憶領域は、平均化処理部113aが平均化した複数の区間の受信信号を互いに区別できるように、複数の領域に分割されている。
S−SCH相関算出部121aは、記憶部114aに記憶されている平均化された受信信号を順次読み出す。そして、P−SCH検出部110aで検出されたn個のタイミングそれぞれについて、受信信号と既知のS−SCH系列それぞれとの間で相関算出を行う。このとき、S−SCH相関算出部121aは、記憶部114aの各領域に記憶された同一の信号をそれぞれn回読み出す。各領域の信号の読み出しを開始するタイミングは、当該領域に格納される信号の長さに依存し得る。
セルサーチ制御部130aは、P−SCH検出部110aによる第1段階の処理の結果から、n個のタイミングを検出する。そして、n個のタイミング情報を、S−SCH相関算出部121aに加え、平均化処理部113aに通知する。また、セルサーチ制御部130aは、P−SCH検出部110aによる第1段階、及び、S−SCH検出部120aによる第2段階の処理の結果から、フレームタイミングやセルID等を特定する。
以下、第2段階で受信信号の一部区間のみを平均化する処理の具体例を2つ挙げる。
図13は、第3の実施の形態のセルサーチの第1のタイミング例を示す図である。図13は、第1段階で検出されたn個のタイミングに対応するn個の相関窓(S−SCH相関算出部121aでS−SCHの相関算出に用いられる相関窓)全体の幅が、5msのうちの2.5ms以下に収まる場合を示している。この場合は、5ms分の受信信号のうち、n個の相関窓が包含される2.5ms分の受信信号を平均化すれば十分である。
例えば、記憶部114aの記憶領域が2分割され、2区間分の2.5msの受信信号(データ#1及びデータ#2)が記憶部114aに格納される。まず、記憶部114aにデータ#1が書き込まれる。この書き込みが終了すると、S−SCH相関算出部121aによるデータ#1の読み出しが開始されると共に、記憶部114aにデータ#2が書き込まれる。そして、記憶部114aへのデータ#2の書き込みが終了すると、S−SCH相関算出部121aによるデータ#2の読み出しが開始される。
このように、図13の例では、記憶部114aへの2.5ms分のデータ#i+1(i=1,2,…)の書き込み中に、S−SCH相関算出部121aによるデータ#iの読み出しが行われる。そして、同じ2.5ms分のデータ#iに対し、それぞれn個のタイミングに基づくS−SCHの相関算出が行われる。これにより、S−SCH相関算出部121aの動作時間が、5msの数倍程度から2.5msの数倍程度に短縮される。
図14は、第3の実施の形態のセルサーチの第2のタイミング例を示す図である。図14の例では、平均化処理部113aが、第1段階で検出されたn個のタイミングに対応するn個の相関窓に入る部分の受信信号のみを、平均化して記憶部114aに書き込む。
S−SCH相関算出部121aは、検出されたn個のタイミングに基づいて、記憶部114aの複数の領域のうち適切な領域に順次アクセスする。そして、記憶部114aから読み出した受信信号それぞれについて相関算出を行う。このとき、S−SCH相関算出部121aは、平均化された受信信号の記憶部114aへの書き込みが完了した直後に、記憶部114aから当該受信信号を読み出すことが可能である。これにより、S−SCH相関算出部121aの動作時間が短縮される。
このような第3の実施の形態に係る移動通信システムによれば、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。更に、第3の実施の形態に係る移動通信システムでは、セルサーチにおける第2段階の相関算出を行う回路の動作時間を一層抑制することができ、移動局の消費電力を一層抑制できる。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態との差異を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第4の実施の形態では、セルサーチの第2段階の処理のために、2つの平均化処理部及び記憶部を並列に使用する。
図15は、第4の実施の形態のセルサーチ部を示すブロック図である。セルサーチ部100bは、S−SCH検出部120、セルサーチ制御部130及びP−SCH検出部140を有する。P−SCH検出部140は、P−SCH相関算出部141、セレクタ142,147、平均化処理部143,145、記憶部144,146及びピーク検出部148を有する。
P−SCH相関算出部141は、受信信号と既知のP−SCH系列それぞれとの間で相関算出を行い、P−SCHの相関算出結果をセレクタ142に出力する。
セレクタ142は、P−SCH相関算出部141が出力した相関算出結果のデータ、又は、P−SCH相関算出部141の入力側の受信信号を、選択的に、平均化処理部143又は平均化処理部145の少なくとも一方へ出力するよう入力切り替えを行う。
すなわち、セレクタ142は、P−SCHに基づく第1段階の検出処理の際には、P−SCH相関算出部141が出力した相関算出結果のデータを、入力として選択する。そして、相関算出結果のデータを、平均化処理部143又は平均化処理部145の少なくとも一方に出力する。例えば、セレクタ142は、第1段階における相関算出結果のデータの出力先(平均化を実行させる平均化処理部)を、予め一方に決めておく。その場合、第1段階の処理中は、出力先として選択しなかった平均化処理部を停止させることができる。
また、セレクタ142は、S−SCHに基づく第2段階の検出処理の際には、受信信号を入力として選択する。そして、受信信号を、平均化処理部143又は平均化処理部145に出力する。例えば、セレクタ142は、受信信号の出力先を5ms毎に切り替える。すなわち、平均化処理部143と平均化処理部145に、5ms分の受信信号を交互に出力する。その場合、2×5ms分の受信信号の平均化を、2つの平均化処理部143,145で分担することができる。
平均化処理部143,145は、セレクタ142から取得した相関算出結果のデータ又は受信信号について、時間方向の平均化処理を行う。すなわち、第1段階では、平均化処理部143,145の少なくとも一方は、5msで相関算出結果を電力平均し、平均化データを得る。また、第2段階では、平均化処理部143,145は、それぞれ、10ms周期で受信信号を電力加算し、5ms分の平均化した受信信号を得る。
記憶部144は、平均化処理部143に設けられている。記憶部146は、平均化処理部145に設けられている。記憶部144,146は、5ms分の平均化データ、又は、5ms分の平均化した受信信号を選択的に記憶する。すなわち、記憶部144,146の少なくとも一方は、第1段階では平均化処理のために相関算出結果のデータを記憶する。また、記憶部144,146は、第2段階では平均化した受信信号を記憶する。
セレクタ147は、記憶部144及び記憶部146について入力切り替えを行う。すなわち、セレクタ147は、第1段階では、記憶部144及び記憶部146のうち平均化データが記憶されている方を入力端として選択し、入力された平均化データをピーク検出部148に出力する。また、セレクタ147は、第2段階では、記憶部144及び記憶部146を5ms周期で交互に入力端として選択し、入力された平均化した受信信号をS−SCH相関算出部121に出力する。
ピーク検出部148は、記憶部144又は記憶部146に記憶された5ms分の平均化データを読み出し、ピーク検出を行う。ここでは、複数(n個)のピークを検出し、n個分のピーク検出結果をセルサーチ制御部130へ出力する。
なお、S−SCH検出部120のS−SCH相関算出部121は、セレクタ147の入力切り替えにより、記憶部144及び記憶部146それぞれに記憶された5ms分の受信信号を交互に読み出すことになる。そして、S−SCH相関算出部121は、読み出した同一の受信信号に対し、第1段階で検出されたn個のタイミングそれぞれについて、既知のS−SCH系列それぞれとの相関算出を行う。
図16は、第4の実施の形態のセルサーチ部内の信号の流れを示す図である。
(ステップS21)第1段階では、P−SCH相関算出部141において、P−SCHの相関算出が行われ、平均化処理部143,145の少なくとも一方(図16では、平均化処理部143)において、P−SCHの相関算出結果が5ms周期で平均化される。これにより、記憶部144,146の少なくとも一方に、平均化された相関算出結果が記憶される。そして、ピーク検出部148において、n個のタイミングが検出される。
(ステップS22)第2段階では、平均化処理部143,145において、受信信号が10ms周期で平均化される。例えば、平均化処理部143,145では、5ms毎に交互に平均化処理が行われる。これにより、記憶部144,146に平均化された5ms分の受信信号が記憶される。
(ステップS23)第2段階では、続いて、S−SCH相関算出部121において、S−SCHの相関算出が行われ、ピーク検出部122において、ピーク検出が行われる。その際、相関算出の対象の受信信号は、記憶部144,146から交互に読み出される。これにより、フレームタイミング等が検出される。
図17は、第4の実施の形態のセルサーチのタイミング例を示す図である。図17において、記憶部144及び記憶部146に記憶される平均化された5ms分の受信信号を、それぞれ、データ#1及びデータ#2と表記している。この例では、5ms毎にセレクタ147の入力切り替えが行われ、S−SCH相関算出部121により、記憶部144,146に格納されたデータ#1,#2が順番に読み出されて相関算出が行われる。
まず、平均化処理部143は、記憶部144にデータ#1を書き込む。データ#1の書き込みが完了すると、S−SCH相関算出部121は、記憶部144からのデータ#1の読み出しを開始する。また、データ#1の読み出しと並行して、平均化処理部145は、記憶部146にデータ#2を書き込む。そして、データ#2の書き込みが完了すると、S−SCH相関算出部121は、記憶部146からのデータ#2の読み出しを開始する。
すなわち、図17の例では、S−SCH相関算出部121が記憶部144に格納されたデータ#2i−1(i=l,2,…)の読み出し及び相関算出を行う間に、平均化処理部145は、記憶部146へデータ#2iの書き込みを行う。同様に、S−SCH相関算出部121が記憶部146に格納されたデータ#2iの読み出し及び相関算出を行う間に、平均化処理部143は、記憶部144へデータ#2i+1の書き込みを行う。
よって、この例によれば、第1段階で検出されたn個のタイミングに基づくS−SCHの相関算出を、記憶部144又は記憶部146に格納された同じ5ms毎の受信信号に対して実行することができる。また、記憶部144,146の一方への書き込み処理と、他方からの読み込み処理とを、並行して行うことが可能となる。このため、第2段階の処理時間を一層抑制できる。
ここで、検出されたP−SCHのタイミングが、記憶部144,146に格納された5ms分の受信信号の端部となり、そのタイミングで信号を抽出しようとすると、S−SCHの相関算出に用いられる相関窓の幅分の信号を確保できない場合も考えられる。その場合、記憶部144,146に格納された受信信号の端部を補完する処理を行ってもよい。以下に、補完処理の一例を挙げる。
図18は、第4の実施の形態の受信信号の書き込み例を示す図である。図18の方法では、S−SCHの相関算出に用いられる相関窓の幅の半分の信号を、5ms分の受信信号の先頭と末尾に付加する。先頭に付加する信号は、5ms分の受信信号の末尾部分を複製したものとする。末尾に付加する信号は、5ms分の受信信号の先頭部分を複製したものとする。
例えば、平均化処理部143は、平均化した5ms分の受信信号(データ#1)を記憶部144に書き込む際に、相関窓幅の半分の信号を、データ#1の先頭及び末尾に付加しておく。記憶部144へのデータ#1の書き込みが完了すると、S−SCH相関算出部121は、記憶部144からのデータ#1の読み出しを開始する。その際に読み出される信号は、平均化処理部143によって信号が付加されたものであり、5msより長い。S−SCH相関算出部121は、このような拡張された受信信号に対し、相関算出を行う。
また、平均化処理部145は、平均化した5ms分の受信信号(データ#2)を記憶部146に書き込む際に、相関窓幅の半分の信号を、データ#2の先頭及び末尾に付加しておく。記憶部146へのデータ#2の書き込みが完了すると、S−SCH相関算出部121は、記憶部146からのデータ#2の読み出しを開始する。その際に読み出される信号は、平均化処理部145によって信号が付加されたものであり、5msより長い。S−SCH相関算出部121は、このような拡張された受信信号に対し、相関算出を行う。
よって、この例によれば、第1段階で検出されたP−SCHのタイミングが、5ms区間の端部(5ms区間の先頭又は末尾から所定時間内)になった場合でも、S−SCH相関算出部121が相関窓の幅分の信号を確保することができ、検出精度の低下を抑制できる。なお、平均化処理部143,145は、かかる補完処理を、P−SCHのタイミングが5ms区間の端部となった場合のみ行ってもよい。
このような第4の実施の形態に係る移動通信システムによれば、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。更に、第4の実施の形態に係る移動通信システムでは、平均化した受信信号の5ms単位の書き込みと読み込みとを、並行して実行することができ、セルサーチにおける第2段階の相関算出を一層効率的に行うことができる。なお、第4の実施の形態のセルサーチを、第3の実施の形態のように、5ms区間の一部分の受信信号のみを平均化するようにしてもよい。
なお、以上の第2〜第4の実施の形態では、セルサーチ部100,100a,100bを、移動局に組み込まれているものとして説明したが、セルサーチ部100,100a,100bは、種々の形態で流通させることができる。例えば、セルサーチ部100,100a,100bは、他の種類の無線通信装置に組み込まれた状態でも流通し得る。また、完成品としての装置には組み込まれていないが、無線信号処理を行う部品(例えば、図4のベースバンド部13)に組み込まれた状態でも流通し得る。また、セルサーチ部100,100a,100b単独でも流通し得る。