しかしながら、従来例において、特にOFDM変調では、1つのOFDMシンボルの長さが長いため、パイロット信号の長さがスループットの低下を招くことがある。OFDMシンボル数が多いとき、例えば1フレームに100個のOFDMシンボルがある場合等では、パイロット信号の比率は1フレームに2つ挿入しても2パーセントに過ぎずスループットの低下はわずかであるが、1フレームが10個のOFDMシンボルの時には2つ挿入すると、その比率は20パーセントになり、大幅なスループット低下を招く。一方、パイロットシンボルは、伝搬路の受信品質の測定には所定の数が必要とされる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、1フレームのOFDMシンボル数を削減し、スループットを改善する無線通信装置(受信装置、送信装置)、通信方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る受信装置の一態様は、データシンボルを割り当てたフレームの信号と、前記フレームの配置状況を示す制御情報を通知する信号とを受信する受信装置であって、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含む少なくとも一つのパイロットシンボルと、データシンボルとを割り当てた対象フレームの信号を受信する受信部と、前記制御情報に基づいて、受信した対象フレームとは異なる他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを解析するパイロット制御部と、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用する場合、前記対象フレームと前記他のフレームそれぞれに割り当てられたパイロットシンボルに基づいて前記復調用の基準信号を生成し、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合、前記対象フレームに割り当てられたパイロットシンボルに基づいて前記基準信号を生成する伝搬路推定部と、生成した基準信号を用いてデータシンボルを復調する復調処理部と、を備えることを特徴とする。
このように、本発明に係る受信装置の一態様によれば、対象フレームとは異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することが可能であり、更に、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルが利用できるか否かによって伝搬路の推定の処理を変更することができる。これにより、フレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制し、スループットを改善させることができる。また、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルが利用できない場合にも対応する受信装置を提供することができる。
(2)また、本発明に係る受信装置の一態様において、前記対象フレームと前記他のフレームそれぞれに割り当てられた二つのパイロットシンボルを記憶するパイロット記憶部を、更に備え、前記パイロット制御部は、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを解析した結果に基づいて、前記パイロット記憶部に格納するパイロットシンボルを制御し、前記伝搬路推定部は、前記パイロット記憶部に記憶されたパイロットシンボルを用いて前記基準信号を生成することを特徴とする。
このように、前記パイロット制御部は、複数のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを二つのパイロット記憶部へ格納する制御を行なうことができる。これにより、伝搬路推定部へ二つのパイロットシンボルを提供することができる。
(3)さらに、本発明に係る受信装置の一態様において、前記パイロット制御部は、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合、対象フレームのパイロットシンボル、および、他のフレームのパイロットシンボルとして零を前記パイロット記憶部へ記憶させる制御を行なうことを特徴とする。
このように、複数のフレームに割り当てられたパイロットシンボルのいずれかを利用しない場合、使用しないパイロットシンボルの値を零にし、伝搬路推定部の動作を対応させることにより、伝搬路推定部の動作を維持することが可能となる。
(4)本発明に係る受信装置の一態様において、前記パイロット制御部は、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合、二つのパイロット記憶部へ対象フレームのパイロットシンボルを記憶させる制御を行なうことを特徴とする。
複数のフレームに割り当てられたパイロットシンボルのいずれかを利用しない場合、対象フレームのパイロットシンボルのみを用いることにより、伝搬路推定部の動作を維持することが可能となる。
(5)本発明に係る受信装置の一態様において、前記伝搬路推定部は、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合、前記他のフレームのパイロットシンボルが前記対象フレームのパイロットシンボルと同じであるものとして前記基準信号を生成することを特徴とする。
このように、前記伝搬路推定部は、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合に対応する処理(回路)を備えることにより、他のパイロットシンボルを利用する場合と利用しない場合とのいずれにも対応することができる。これにより、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(6)本発明に係る受信装置の一態様において、受信したフレームに含まれるデータシンボルを記憶するデータ記憶部を、更に備え、前記伝搬路推定部は、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用する場合、前記対象フレームと前記他のフレームとに配置されたパイロットシンボルが前記パイロット記憶部に記憶された後、基準信号を生成し、前記復調処理部は、生成された基準信号を用いて、前記データ記憶部に記憶したデータシンボルを復調することを特徴とする。
このように、前記データ記憶部を備えることにより、利用するパイロットシンボルを記憶するまで、データシンボルを一時的に格納し、利用するパイロットシンボルが記憶された後にバッチ処理を実施することができる。これにより、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することができる。これにより、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(7)本発明に係る受信装置の一態様において、前記伝搬路推定部は、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合、前記パイロット記憶部に前記対象フレームのパイロットシンボルが記憶された後、基準信号を生成し、前記復調処理部は、受信したフレームのデータシンボルを逐次処理により復調することを特徴とする。
このように、利用するパイロットシンボルをパイロット記憶部に記憶させた後にデータシンボルを処理することにより、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合には、対象フレームに割り当てられたパイロットシンボルが記憶された段階で復調を開始することができる。
(8)本発明に係る受信装置の一態様において、前記パイロット制御部は、前記制御情報に基づいて、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを解析するための情報を抽出する制御情報制御部と、抽出した情報に基づいて、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを基準信号の生成に利用できるかを判断し、判断した結果をパイロット判別信号として前記伝搬路推定部へ出力するパイロット利用制御部と、を備えることを特徴とする。
このように、パイロット制御部が制御情報に基づいて他のパイロットシンボルの利用の可否を判別し、他の構成要素へ判別結果を通知することにより、他のパイロットシンボルが利用できない場合の対応をとることができる。これにより、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(9)本発明に係る受信装置の一態様において、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用するか否かに基づいて、前記対象パイロットシンボルを前記パイロット記憶部に記憶させる場合と、前記伝搬路推定部へ直接入力させる場合を切り替える第一のスイッチと、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用するか否かに基づいて、前記データシンボルを前記データ記憶部に記憶させる場合と、前記伝搬路推定部へ直接入力させる場合とを切り替える第二のスイッチと、を更に備えることを特徴とする。
このように、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルが利用できるか否かによってデータシンボルの入力先を変更することにより、バッチ処理と逐次処理との使い分け、効率よく処理を進めることができる。
(10)本発明に係る受信装置の一態様において、前記パイロット制御部は、前記対象フレームの後に続いて配置される後続フレームの存在を検出し、検出した後続フレームに割り当てられたパイロットシンボルを、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルとすることを特徴とする。
このように、前記パイロット制御部は、後続フレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することにより、復調に用いるパイロットシンボルの数を確保する。これにより、伝搬路推定の精度を所定のレベルに維持するとともに、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(11)本発明に係る受信装置の一態様において、前記受信部は、各フレームのアンテナパターンを示すアンテナパターン信号を含む制御情報を受信し、前記パイロット制御部は、受信した制御情報に基づいて、前記対象フレームと同じアンテナパターンとなっているフレームを検出し、検出したフレームに割り当てられたパイロットシンボルを、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルとすることを特徴とする。
このように、前記パイロット制御部は、アンテナパターンが同じ場合に他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用するため、アンテナパターンの切り替えによる伝搬路推定の精度の低下を防止することができる。これにより、伝搬路推定の精度を所定のレベルに維持するとともに、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(12)本発明に係る受信装置の一態様において、前記受信部は、各フレームに割り当てられたパイロットシンボルの種別を示すパイロット種別信号を含む制御情報を受信し、前記パイロット制御部は、受信した制御情報に基づいて、前記対象フレームに割り当てられたパイロットシンボルと同じパイロット種別信号となっているパイロットシンボルが割り当てられたフレームを検出し、検出したフレームに割り当てられたパイロットシンボルを、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルとすることを特徴とする。
このように、前記パイロット制御部は、パイロット種別信号が同じ場合に他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用するため、パイロット種別の切り替えによる伝搬路推定の精度の低下を防止することができる。これにより、伝搬路推定の精度を所定のレベルに維持するとともに、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(13)本発明に係る受信装置の一態様において、前記受信部は、各フレームの送信元を示す送信元種別信号を含む制御情報を受信し、前記パイロット制御部は、受信した制御情報に基づいて、前記対象フレームと同じ送信元種別信号となっているフレームを検出し、検出したフレームに割り当てられたパイロットシンボルを、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルとすることを特徴とする。
このように、前記パイロット制御部は、送信元種別信号が同じ場合に他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用するため、送信元の切り替えによる伝搬路推定の精度の低下を防止することができる。これにより、伝搬路推定の精度を所定のレベルに維持するとともに、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(14)本発明に係る受信装置の一態様において、前記対象フレームと前記他のフレームそれぞれに割り当てられたパイロットシンボルの相関を判定する相関判定部を、更に備え、前記パイロット制御部は、判定したパイロットシンボル間に相関が検出できる場合、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを復調用に利用する制御を行なうことを特徴とする。
このように、パイロットシンボルの相関を判別することにより、パイロットシンボルの特性の変化を検出し、パイロットシンボルの切り替えによる伝搬路推定の精度の低下を防止することができる。これにより、伝搬路推定の精度を所定のレベルに維持するとともに、1つのフレーム内のパイロットシンボル数を削減することができる。
(15)本発明に係る受信装置の一態様において、前記受信部は、対象フレームに複数のパイロットシンボルが割り当てられた信号を受信し、前記パイロット制御部は、前記対象フレームに割り当てられた複数のパイロットシンボルの一つを対象フレームに割り当てたパイロットシンボルとし、他のパイロットシンボルを他のフレームに割り当てたパイロットシンボルとして前記パイロット記憶部へ格納することを特徴とする。
このように、1つのフレームに複数のパイロットシンボルが割り当てられた場合にも対応することができる。これにより、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルが利用できない場合に、対象フレームにパイロットシンボルを追加することができ、状況に応じて柔軟に対応することが可能になる。
(16)本発明に係る受信装置の別の一態様は、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含むパイロットシンボルの配置情報およびデータシンボルを復調するパイロットシンボルの位置を特定する復調パイロット情報を含む制御情報を予め受信する受信装置であって、少なくとも一つのパイロットシンボルと、データシンボルとの信号を受信する受信部と、前記制御情報に含まれる配置情報と復調パイロット情報とに基づいて、受信したデータシンボルを復調するパイロットシンボルを解析するパイロット制御部と、前記復調パイロット情報に特定されたパイロットシンボルのうち利用可能なパイロットシンボルを利用して前記復調用の基準信号を生成する伝搬路推定部と、生成した基準信号を用いてデータシンボルを復調する復調処理部と、を備えることを特徴とする。
このように、パイロットシンボルの配置と、各データシンボルが利用するパイロットシンボルが特定されている場合において、特定されたパイロットシンボルが利用できない状況でも利用可能なパイロットシンボルを用いて伝搬路を推定することができる。
(17)本発明に係る受信装置の一態様において、受信したパイロットシンボルを記憶するパイロット記憶部を、更に備え、前記パイロット制御部は、前記解析結果に基づいて、利用するパイロットシンボルを前記伝搬路推定部へ通知し、前記伝搬路推定部は、通知されたパイロットシンボルを前記パイロット記憶部から読み出し、読み出したパイロットシンボルを用いて前記復調用の基準信号を生成することを特徴とする。
このように、記憶領域に記憶された情報に基づいて、利用できるパイロットシンボルを検出し、検出したパイロットシンボルの数に応じて伝搬路を推定することができる。
(18)本発明に係る送信装置の一態様は、データシンボルをフレームに割り当てて送信する送信装置であって、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含むパイロットシンボルを生成するパイロット生成部と、データシンボルを割り当てる対象フレームの後に続く後続フレームが存在しない場合に、前記後続フレーム領域へパイロットシンボルを付加することを制御するパイロット付加制御部と、前記後続フレーム領域へパイロットシンボルを付加したデータシンボルを送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
このように、本発明に係る送信装置の一態様によれば、後続フレームが存在しない場合であっても、後続フレームに割り当てられるパイロットシンボルを付加することができる。これにより、フレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制し、スループットを改善させることができる。
(19)また、本発明に係る送信装置の一態様において、前記パイロット付加制御部は、前記後続フレームと前記対象フレームそれぞれに割り当てられる二つのパイロットシンボルの特性が異なる場合、前記対象フレームへ追加パイロットシンボルを付加することを制御し、前記送信部は、前記対象フレーム内に少なくとも二つのパイロットシンボルが付加されたデータシンボルを送信することを特徴とする。
このように、後続フレームに割り当てられるパイロットシンボルが利用できない場合、対象フレームにパイロットシンボルを追加することができる。これにより、通常は一つのフレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制しつつ、伝搬路推定の精度を維持することができる。
(20)さらに、本発明に係る送信装置の一態様において、前記パイロット付加制御部は、前記二つのパイロットシンボルの特性が異なる場合として、アンテナパターンの相違と、パイロットシンボルの種別の相違との少なくとも一方を検出することを特徴とする。
このように、アンテナパターンの切り替わりやパイロットシンボルの種別の変化に応じて後続フレームに割り当てられるパイロットシンボルが利用できない場合を検出することができる。
(21)本発明に係る送信装置の一態様において、前記パイロット付加制御部は、前記対象フレームの末尾へ追加パイロットシンボルを挿入することを制御し、前記送信部は、前記対象フレームの末尾に追加パイロットシンボルを挿入したデータシンボルを送信することを特徴とする。
このように、後続フレームのパイロットシンボルの特性が異なる場合に、対象フレームにパイロットシンボルを追加することができる。これにより、通常は一つのフレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制しつつ、伝搬路推定の精度を維持することができる。
(22)本発明に係る送信装置の一態様において、前記パイロット付加制御部は、前記対象フレームに続くフレームのアンテナパターンが切り替わる場合に、前記対象フレームの末尾より前へ追加パイロットシンボルを挿入することを制御し、前記送信部は、前記対象フレームの末尾の一つ前へ追加パイロットシンボルを挿入したデータシンボルを送信することを特徴とする。
このように、対象フレームの末尾の一つ前へ追加パイロットシンボルを挿入することにより、アンテナパターンの切り替えによる影響を回避することができる。これにより、通常は一つのフレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制しつつ、伝搬路推定の精度を維持することができる。
(23)本発明に係る送信装置の一態様において、前記パイロット付加制御部は、前記後続フレームの領域の少なくとも一部分をブランクとすることを制御することを特徴とする。
このように、アンテナパターンが切り替わるフレームの前に、データシンボルを割り当てないブランクの領域を挿入することにより、アンテナパターンの切り替えの影響を回避することができる。
(24)本発明に係る送信装置の一態様において、前記パイロット付加制御部は、パイロットシンボルを配置する位置を特定する配置情報に基づいて、前記後続フレーム領域へ追加するパイロットシンボルの位置を制御することを特徴とする。
このように、後続フレームが存在しない場合でも、予め決められたパイロットシンボルの配置に基づいて、パイロットシンボルを所定のパターンで追加することができる。
(25)本発明に係る通信方法の一態様は、データシンボルを割り当てたフレームの信号と、前記フレームの配置状況を示す制御情報を通知する信号とを受信する受信装置の通信方法であって、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含む少なくとも一つのパイロットシンボルと、データシンボルとを割り当てた対象フレームの信号を受信し、前記制御情報に基づいて、受信した対象フレームとは異なる他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを解析し、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用する場合、前記対象フレームと前記他のフレームそれぞれに割り当てられたパイロットシンボルに基づいて前記復調用の基準信号を生成し、前記他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用しない場合、前記対象フレームに割り当てられたパイロットシンボルに基づいて前記基準信号を生成し、生成した基準信号を用いてデータシンボルを復調することを特徴とする。
このように、本発明に係る受信装置の通信方法の一態様によれば、対象フレームとは異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することが可能であり、更に、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルが利用できるか否かによって伝搬路の推定の処理を変更することができる。これにより、フレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制し、スループットを改善させることができる。また、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルが利用できない場合にも対応する受信装置の通信装置を提供することができる。
(26)本発明に係る通信方法の一態様は、データシンボルをフレームに割り当てて送信する送信装置の通信方法であって、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含むパイロットシンボルを生成し、データシンボルを割り当てる対象フレームの後に続く後続フレームが存在しない場合に、前記後続フレーム領域へパイロットシンボルを付加することを制御し、前記後続フレーム領域へパイロットシンボルを付加したデータシンボルを送信することを特徴とする。
このように、本発明に係る送信装置の通信方法の一態様によれば、後続フレームが存在しない場合であっても、後続フレームに割り当てられるパイロットシンボルを付加することができる。これにより、フレームに割り当てるパイロットシンボルの数を抑制し、スループットを改善させることができる。
本発明によれば、1フレームのOFDMシンボル数を削減し、スループットを改善することが可能となる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
また、以下の各実施形態では、無線受信装置(受信装置)と無線送信装置(送信装置)とを用いて説明するが、一つの無線通信装置が以下に説明する無線受信装置と無線送信装置との特徴を備えていてもよく、無線通信装置内に、以下に説明する無線受信装置の受信部分、または、無線送信装置の送信部分のいずれか一方、あるいは、その両方を備える場合であっても、本発明を適用することができる。また、本発明に係る無線受信装置の機能を備える移動局(端末局)、あるいは無線送信装置の機能を備える基地局も本発明を適用できる範囲である。
各実施形態では、データシンボルをフレームへ割り当てた信号を通信する場合を説明する。パイロットシンボルは、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含むシンボルである。フレームは、少なくとも一つのパイロットシンボルと、復調するデータシンボルを割り当てたフレームであり、データシンボルの復調を管理する単位である。従って、データシンボルの復調を管理する単位であれば、フレームという名称でなくてもよい。データシンボルの復調を管理する単位は、同じ方式等を用いて復調するという意味ではなく、復調の方式等を決める際の管理する単位を示す。
また、データシンボルを復調するタイミングのフレームを対象フレーム、前記対象フレームとは異なるフレームを他のフレームとし、特に、前記対象フレームの後に続いて配置される(受信することになる)フレームを後続フレームとする。対象フレームに配置されたパイロットシンボルを対象パイロットシンボル(対象パイロット)、後続フレームに配置されたパイロットシンボルを後続パイロットシンボル(後続パイロット)とする。以下の説明では、対象フレームと後続フレームとを用いて説明するが、本発明は後続フレームへの適用に限定されるものではなく、その他の対象フレームとは異なるフレームへも適用できることは言うまでもない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、複数のフレームに配置されたパイロットシンボルを用いる場合と、データシンボルを復調するフレームに配置されたパイロットシンボルを用いる場合とを切り替えてデータシンボルを復調する無線受信装置の一態様について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線受信装置の構成の一例を示す図である。図1に示す無線受信装置は、アナログ部101、デジタル処理部102、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理部103、パイロット記憶部A104、パイロット記憶部B105、データ記憶部106、伝搬路推定部107、復調処理部108、信号処理部109、並びに、パイロット制御部110を備える。図1に示した無線受信装置は、本実施形態を説明する構成要素を示したものであり、これ以外の構成要素を備えることを排除するものではない。
無線受信装置は、少なくとも一つのパイロットシンボルとデータシンボルとをフレーム単位に割り当てた信号(受信信号)を受信する。パイロットシンボルは、復調用の基準信号を生成する既知シンボルを含むシンボルである。受信信号は、受信部(図示していない)で受信され、RF回路(RF部)においてベースバンド信号に変換される。
アナログ部101は、ベースバンド信号を入力し、アナログ信号を、フィルタ等によるアナログ処理を行なう。デジタル部102は、アナログ処理された信号をデジタル変換し、フィルタ当によるデジタル処理を行ない、FFT処理できる信号へ変換する。
FFT部103は、デジタル処理された信号を高速フーリエ変換し、パイロットシンボルをパイロット記憶部A104とパイロット記憶部B105のいずれかに、データシンボルをデータ記憶部106に出力し、各記憶部にシンボルを記憶させる。パイロット記憶部A104、パイロット記憶部B105は、パイロットシンボルを記憶する記憶領域であり、データ記憶部106は、データシンボルを記憶する記憶領域である。FFT処理部103は、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルとを、パイロット記憶部A104とパイロット記憶部B105とに交互に記憶する。
伝搬路推定部107は、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用する場合、対象フレームと他のフレームそれぞれに割り当てられた二つのパイロットシンボル(対象パイロットシンボルと他のパイロットシンボル)に基づいて復調用の基準信号を生成する。一方、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボル利用しない場合、対象フレームに割り当てられたパイロットシンボル(対象パイロットシンボル)に基づいて基準信号を生成する。他のパイロットシンボルの有無は、パイロット制御部110が出力するパイロット判別信号(後述する)に基づいて判断する。
本実施形態では、パイロット制御部110が他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用するか否かは、他のフレームが存在するか否かによって判断する。他のフレームは、対象フレームの後に続く後続フレームである。2つのパイロットシンボルを用いる場合には、対象パイロットシンボルと、後続パイロットシンボルの2つを使用し、続きのフレームがなく、1つのパイロットシンボルを用いる場合(対象フレームの次のフレームがない場合)には、対象パイロットシンボルのみを用いて基準信号を生成する。伝搬路推定部107については、図2、図3を用いて後述する。
復調処理部108は、伝搬路推定部107(基準信号生成部123)で生成した基準信号に基づいて、データ記憶部106へ記憶したデータシンボルを復調する。信号処理部109は、復調した信号をインターリーブ、誤り訂正等の処理を行ない、その後上位層に渡す。
パイロット制御部110は、上位層から制御情報を入力し、入力した制御情報に基づいて、対象フレームとは異なる他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルを解析し、判断した結果をパイロット判別信号として出力する。本実施形態では、パイロット制御部110は、復調用の基準信号を生成する際に使用することができる他のパイロットシンボルを解析するものであり、例えば、他のフレームの有無、他のパイロットシンボルの特性などについて、制御情報に基づいて解析し、他のパイロットシンボルが利用できるか否かを判断する。パイロット判別信号は、復調用の基準信号を生成することに利用することができるパイロットシンボルであって、他のフレームに割り当てられているパイロットシンボルが存在するか(利用できるか)否かを通知する信号であり、復調用の基準信号を生成する際に使用するパイロットシンボルの数を通知することにもなる。
本実施形態では、パイロット制御部110は、他のフレームとして後続フレームが存在するか否かを判別し、判別した結果をパイロット判別信号として出力し、伝搬路推定部107は、2つのパイロットシンボルを使用する場合と、1つのパイロットシンボルを使用する場合とを一例として説明する。2つのパイロットシンボルを使用する場合は、後続フレームが存在する場合であり、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルを使用することを示す。1つのパイロットシンボルを使用する場合は、後続パイロットシンボルが存在しない(後続フレームが存在しない)場合であり、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルのみを使用することを示す。後続パイロットシンボルがない場合、パイロット制御部110は、パイロット判別信号によって、後続パイロットシンボルが記憶される記憶領域(パイロット記憶部104とパイロット記憶部105とのいずれか)を0(零)にする。パイロット制御部110については図4を用いて後述する。また、本実施形態のパイロット判別信号は、パイロットシンボルの有無を示すことからパイロット有無判別信号ということもできる。
なお、アナログ部101を除く各構成要素は、同期制御部(図示していない)によって、タイミング(パイロットシンボルが存在するタイミングなど、各処理を実施するタイミング)の同期を図っている。同期制御部は、上位層から制御情報を取得(入力)し、取得した制御情報に基づいて、各構成要素間のタイミングの同期を調整する。
次に、伝搬路推定部107の詳細について説明する。図2、図3は、本実施形態の伝搬路推定部107の構成の一例を示す図である。図43示した従来例では、2つのパイロットシンボルを用いていたが、本実施形態では、2つのパイロットシンボルがあるときには2つを用い、1つしかないときには、1つのみを用いる。
図2に示す例は、パイロット判別信号に基づいて後続フレームが無いと判断された場合、パイロット記憶部A104とパイロットシンボルB105とのうち対象パイロットシンボルを格納している記憶領域から補完処理部121(伝搬路推定部107)へ入力があり、一方の入力がなくなるため(0となる)計算結果は2つのパイロットを用いたときの半分となり2倍にする必要がある(ここでの2倍はベクトルとして2倍)。図2に示す伝搬路推定部107は、補完処理部121は、パイロット信号に基づいて伝搬路変動を補完し、雑音低減部122は、雑音を低減し、基準信号生成部123は、基準信号を生成する。スイッチ124、125は、パイロット判別信号によって切り替わり、雑音低減部122から出力されるパイロットシンボルを乗算器126へ入力させるか否かを切り替える。パイロット判別信号が二つのパイロットシンボルを利用することを指示する場合(二つのパイロット記憶部へパイロットシンボルが記憶されている場合)、乗算器126を経由させず、パイロット判別信号が対象パイロットシンボルのみを利用することを示す場合に乗算器126を経由させるように切り替える。乗算器126は、補完処理部121、雑音低減部122で調整されたパイロットシンボルを入力し、入力したパイロットシンボルを2倍にする。
一方、図3に示す伝搬路推定部107は、2つのインプットとして同じパイロットを入力するためのスイッチ127を設ける。同じ符号を付した構成要素は同様の機能を有するため説明を省略する。
このようにすることにより、対象パイロットシンボルのみを使用する場合であっても、2つのパイロットシンボルがあったときと同様に基準信号を生成することができる。なお、このスイッチがONにされたときの動作は、2つの信号が加算される、つまり信号の入っていない記憶部からの出力である無信号状態に、一方の信号を加算し、結果として補完処理部に入る信号が2つとも同じ信号になることを意味している。ここでは、ハードウェア的なイメージの図が書かれているが、一例であり、他の加算の仕方や、CPU(Central Processing Unit)等を用いたソフトウェアによる処理も同等の処理が可能である。
次に、パイロット制御部110について、図4を用いて詳細を説明する。
図4は、パイロット制御部110の構成の一例を示す図である。パイロット制御部110は、制御情報解析部131とパイロット利用制御部132とを備える。制御情報は、一例として、変調方式、パケットサイズ(フレームサイズ)、パケットタイミング(対象フレームが配置された他タイミング)、ユーザ別情報(信号の有無、各フレームに割り当てられたデータシンボルの宛先、その他)、各無線受信装置へ報知する報知情報、送信元を種別(識別)する無線送信装置種別信号(基地局種別信号、送信元種別信号)、アンテナパターン信号、パイロットシンボルの種別を示すパイロット種別信号、その他の情報を含む。制御情報は、送信側で生成された情報であり、フレーム伝送開始前に受信され、変換・復調された情報が上位層へ渡されている。
制御情報解析部131は、上位層から制御情報を入手(取得)し、入手した制御情報に基づいて、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボルの存在を解析するための情報を抽出し、抽出した結果をパイロット利用制御部132へ出力する。例えば、制御情報解析部131は、制御情報に基づいて、各無線受信装置宛のデータシンボルが割り当てられているタイミング、送信データ(データシンボル)の有無等を解析し(検出し)スケジューリング情報を生成する。無線受信装置宛のデータシンボルが割り当てられているタイミングは、対象フレームが配置されているタイミングを検出することになり、対象フレームは、一つに限られることはない。例えば、無線受信装置宛のデータシンボルが複数のフレームに割り当てられた場合、複数の対象フレームを検出することになる。生成したスケジュール情報は、パイロット利用制御部132へ通知される。
パイロット利用制御部132は、制御情報解析部131が生成したスケジュール情報に基づいて、他の(後続)フレームが存在するか、すなわち、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボル(後続パイロットシンボル)が利用できるかの判定を行ない、判定した結果に基づいて、前記他のフレーム(後続フレーム)の有無を通知する、すなわち、他のフレームに割り当てられたパイロットシンボル(後続パイロットシンボル)が利用できるかを通知するパイロット判別信号を出力する。出力したパイロット判別信号は、復調時におけるパイロットシンボルの使い方を制御することになり、伝搬路推定部107では、後続パイロットシンボルがない場合に、対象パイロットシンボルのみを利用して基準信号を生成する動作を行なっている。また、パイロット利用制御部132は、後続パイロットシンボルが存在しない場合、後続パイロットシンボルを格納する記憶領域を0(零)にする信号を、パイロット記憶部A104とパイロット記憶部B105とのいずれか(後続パイロットシンボルを格納する順番になっている記憶領域)に出力する。
パイロット制御部110の動作の結果、無線受信装置では、復調対象となっているフレームについて、後続フレームがあるかどうかが判別できることになり、後続フレームがある場合には、パイロット記憶部それぞれに記憶された2つのパイロットシンボルに基づいて基準信号を生成して復調を行ない、後続フレームがない場合には、1つのパイロッシンボルに基づいて基準信号を生成して復調する。図4では処理構成図として示したが、一般的にはCPU等の処理プロセッサでの処理が多く行われている。また、CPUの制御のもとで、ソフトウェアによって実現することも可能である。また、パイロット制御部110は、上位層で実施する処理であり、通常は、図1の他の構成要素とは別の階層で実行される構成要素であるが、本実施形態を説明するために、図1の他の構成要素の中に配置した。従って、図1は、パイロット判別信号が上位層から入力されるように表すこともできる。
図5、図6は、本実施形態のフレーム構成の一例を示す図である。図5は、OFDMによる変調方式の例を示している。1フレームは、先頭に1つのパイロットシンボルが配置され、7つのデータシンボル(OFDMシンボル)が配置される。無線受信装置へ送信するデータ(以下、「送信データ」という)は、付加データ(誤り訂正の冗長ビットや制御信号)が付け加えられ、送信データを分割して送信単位を小さくし、送信時にはフレームを最小単位として、通信送信装置から無線受信装置に送られる。一般に、無線受信装置は、複数のフレームにより構成される送信パケットとして送信データ(分割された送信データ)を受信する。このため、フレームのあとに次のフレームがつながっている。図中、P1、P2(斜線部分)は、パイロットシンボルが割り当てられている領域を示している。以降の図面でも、P1、P2、・・・・・Pn(nは整数)は、パイロットシンボルが割り当てられている領域を示す符号として用いる。
図5は、フレームが連続している場合の構成例であり、トラヒックが多く(送信データが多く)、連続してフレームを送信する場合である。また、セルラーシステムなどのように基地局と端末局から構成される場合には、複数の端末局宛に信号を送信することから、送信フレームは、A局宛、B局宛、C局宛等つながっており、自局宛のフレームのあとは他局宛のフレームの場合もある。
図6は、フレームが連続していない場合、すなわち後に続くフレームが存在しない場合の例であり、トラヒックが少なく(送信データが少なく)、送信すべきデータがない場合には、1フレーム送信後、送信信号を送らない期間が存在する。このように、送信フレームには、2タイプ存在する。
本実施形態を用いることで、図5のフレーム構成のときには、2つのパイロットシンボルを用いて信号復調し、図6のフレーム構成のときには、1つのパイロットを用いて信号復調(データシンボルの復調)ができるようになる。
その結果、従来は、1つのフレームに二つのパイロットシンボルを挿入していたが、対象パイロット1つだけを挿入することによっても、後続パイロットシンボルを用いることにより復調用に2つのパイロットシンボルを活用することができるようになる。これにより、従来と同様の受信性能を得ることができる。つまり、受信性能を保ったまま、フレームに占めるパイロット比率を少なくでき、スループットの向上を図ることができる。
また、後続フレームがない場合でも、パイロット判別信号による処理の切替えにより、復調が可能である機構を持たせることで、後続フレームがない場合の問題も回避できる。
なお、さらに全体の制御について、セルラーシステムを一例として説明する。図7は、セルラーシステムにおいて基地局から端末局へ送信される伝送ブロックの一例を示す図である。伝送ブロックは、送信単位の一つであり、複数のフレームと、複数のフレームを管理する制御情報とから構成される。セルラーシステムの送信側である基地局(無線送信装置の一例)等では、送信する相手局である端末局(無線受信装置の一例)と、送信データに基づき、どのように送信するかのスケジューリングを行ない送信する。このスケジューリングの際に、各フレームのつながりや空き領域が決まる。基地局は、通常、送信の基準となる伝送ブロックにおいて、フレーム有無、宛先等の情報を、伝送ブロックの先頭に配置される制御情報へ含めて端末局へ送信する。端末局は、伝送ブロックの先頭の制御情報から受信し、先頭に配置された制御情報を解析し、後に続いて送信されてくる伝送ブロックのなかで、自局宛の信号がどのフレームであり、どのような変調方式で、どのような長さで送られるか認識し、認識したデータを復調する。
本実施形態では、無線受信装置は、制御情報に基づいて、自己を宛先とするフレーム(対象フレーム)の位置、対象フレームに配置された後続パイロットシンボルの位置、後続フレームが存在するか、後続フレームには位置された後続パイロットシンボルの位置、などの情報を認識する。特に、セルラーシステムにおいて、端末局は、自己の端末局(自局)宛後続フレームが他の端末局(他局)宛のフレームである場合は、他局宛のフレームに配置された後続パイロットシンボルを利用すること、後続フレームのデータの有無等を認識することになる。無線受信装置は、認識した情報に基づいて、伝搬路推定部107(基準信号生成部123)によって基準信号を生成し、復調処理に用いる。つまり、無線受信装置は、他局宛であっても、そのパイロットを利用できるので、自局、他局に関わらず、パイロットの有無を復調器のパイロット判別信号として利用できるのである。
このように、本実施形態を用いることで、従来1フレームについて、前後に二つ必要だったパイロットシンボルを1つに削減することができる。これにより、スループットの改善が可能になる。また、受信側の処理においてパイロット判別信号(パイロット制御部)を用いることにより、後続パイロットシンボルがない場合にも、後続パイロットシンボルがある場合と同様にデータシンボルを復調できる無線受信装置を提供することができる。
また、別の方法として、後続フレームがない場合に、直接受信信号を復調する構成と切替えることもできる。図8は、本実施形態の無線受信装置において、パイロット判別信号に基づいて記憶部の利用を切り替える構成の一例を示す図である。図1と異なる点は、スイッチ111〜113が追加され、FFT処理部103から出力されるシンボルの出力先を切り替える点である。各スイッチ111〜113は、パイロット制御部110から出力されるパイロット判別信号の値に基づいて、パイロット記憶部A104、パイロット記憶部B105、データ記憶部106の各記憶部へそれぞれのシンボルを蓄える場合と、蓄えない場合を切り替えることができる。各構成要素は、図1と同様であるため説明を省略する。パイロットシンボルの入力先を切り替える二つのスイッチ111、112を第一のスイッチ、データシンボルの入力先を切り替えるスイッチ113を第二のスイッチということもある。
各スイッチ111〜113は、パイロット判別信号に基づいて次のように動作する。パイロット判別信号が後続フレーム無を通知する場合、各スイッチ111〜113は、FFT処理部103から出力される信号を、各記憶部を経由せずに直接伝搬路推定部107へ入力する。また、パイロット判別信号が後続フレーム有を通知する場合、各スイッチ111〜113は、FFT処理部103から出力される信号を一度各記憶部に保持し、後続パイロットシンボルが記憶された後、伝搬路推定部107へ入力する。
このように、図8の構成によれば、パイロット判別信号が後続フレーム無を通知する場合、FFT処理部103から出力される信号を逐次処理することができる。すなわち、パイロット判別信号が後続フレーム無を通知する場合、伝搬路推定部107は、二つのパイロットシンボルの入力として、対象パイロットシンボルの同じ信号を、直接入力することできる。後続パイロットシンボルを使わない場合には、1フレーム分ためて処理する必要はなく、先頭にある対象パイロットシンボルに基づいて基準信号を生成するため、逐次処理が可能となり処理が早くなる。また、自己の無線受信装置を考えた場合、連続するフレームについては、1つの情報データが複数のフレームへばらばらに割り当てられている可能性が高い。従って、全部割り当てられた複数のフレーム全部を受けるまで急いで復調する必要がないが、最終フレームについては、できるだけ早く復調したほうがよい場合がある。ACK,NAK等を無線送信装置(基地局)に返す場合については、メモリに蓄えないため1つのOFDMシンボル分、早く返信ができる。無線通信システムによっては、後続フレームがない場合には、スイッチを切り替え、処理を高速化することができ、かつ有効である。また、後続フレームがある場合においても、それが他局宛で、かつ自局の復調が急がれる場合には、スイッチを切替えて、早く処理する方を選択することも可能である。
尚、図8では、伝送ブロック、フレームという言葉を用いたが、フレーム、サブフレームと呼ばれることもある。また、ブロードキャストされる制御情報に1つのOFDMシンボル全部を使わず、OFDMシンボルの一部だけ制御情報に使う場合もある。また、この例では、OFDMの構成で説明したが、OFDM以外のシステムでパイロットに基づいて復調処理するシステムであれば本実施形態を応用することができる。
次に、本実施形態のパワーマネジメントの例を説明する。無線通信システムにおいては、無線送信装置(一例として基地局一)には数局から数十局の無線受信装置(一例として端末局)がつながる。そのため、無線受信装置は自局宛の通信時間はその数分の1から数十分の1程度である。従って、無線受信装置は、ずっと受信している必要はなく(連続して受信状態にする必要はなく)、省電力の観点から、全端末が復調必要なブロードキャストされる制御情報部と、制御情報によって知りえた自局宛にスケジューリングされた時間だけ、受信系が動作するように組み込まれた機器が存在する。この例を図9に示す。図9は、各無線受信装置へ宛てたフレーム構成の一例を示す図である。図9の伝送ブロックの構成は、図8と同様である。通常、1ユーザのデータは、1フレームで完結する(複数のフレームが割り当てられた場合でもフレーム単位で完結する)ので、割り当てられたフレームの部分についてアクティブ状態であればよかった。本実施形態においては、他のフレームに配置された他のパイロットシンボル部分(後続パイロットシンボル部分)についてもアクティブにする制御が必要となる。
本実施形態においては、スケジューリングされた時間を、後続パイロットシンボルの分だけ付加したことを特徴にする。図9では、動作追加部分99として示している。すなわち、アクティブ部分は、従来では、「(ブロードキャスト)+(自局宛フレーム)」(図9の上段)だったが、本実施形態では、「(ブロードキャスト)+(自局宛フレーム)+(後続フレームのパイロット部分)」(図9の下段)となる。そこで、本実施形態では、動作を制御する回路において、この動作追加部分99の時間を考慮して動作をコントロールすることを特徴とする。動作の制御自体は、無線受信装置の上位層において実施され、制御情報に基づいて、CPUの制御のもとで無線受信装置全体を制御するものであり、CPU等の処理プロセッサ、CPU制御のもとで動作するソフトウェア等によって実現する。
このように、本実施形態では、無線受信装置(受信機)側の工夫によって、送信されてきたパイロットシンボルを利用し、スループットを落とさずに性能を向上させる方法を提案した。本実施形態を用いることにより、従来1フレームに、前後に二つ必要だったパイロットシンボルを1つに削減することができる。すなわち、1フレームに割り当てるパイロットシンボル数を削減することより、スループットを改善することができる。また、受信側の処理においてパイロット判別信号(パイロット制御部)を用いることにより、後続パイロットシンボルがない場合にも、後続パイロットシンボルがある場合と同様に(パイロットシンボルの数の変動に対応して)データシンボルを復調できる無線受信装置を提供することができる。
なお、ここでは2つの連続するパイロットを用いた処理を示したが、2つに制限されることはない。つまり、前後の複数パイロット等を用いて精度を上げる方式においても利用は可能である。パイロットがない部分を検知し、伝搬路推定部107において数値処理するパイロット数を変えることにより、本実施形態を拡張することができる。例えば、本実施形態では、対象フレームの先頭に配置された対象パイロットシンボルと、後続フレームの先頭に配置された後続パイロットシンボルとの二つのパイロットシンボルを用いる例を説明したが、これに限られることはない。例えば、他のフレームとして、対象フレームの前に配置された前フレームと、対象フレームの後ろに配置された後フレームを他のフレームとしてパイロットシンボルを用いる場合であってもよい。また、対象フレームの中央に配置された対象パイロットシンボルと、対象フレームの前に配置された(受信した)前フレームの中央に配置された前パイロットシンボルとを用いる場合、あるいは、対象フレームの中央に配置された対象パイロットシンボルと、後続フレームの中央に配置された後続パイロットシンボルを用いて復調する場合であってもよい。他のフレームは、対象フレームと隣接していることが、伝搬路の変動が少ないと考えられるため望ましいといえる。
また、一つの復調単位(フレーム)に複数のパイロットシンボルが配置されている場合、一つのパイロットシンボルが配置されている単位をフレームとして、本実施形態を適用することができる。
また、本実施形態では、2つのパイロット記憶部を切り替えて、パイロットシンボルを記憶する構成を示したが、パイロットシンボルを記憶(保持)する方法は、これに限られる必要はなく、パイロット記憶部A104に記憶したパイロットシンボルをパイロット記憶部B105へシフトして、新たなパイロットシンボルをパイロット記憶部A104へ順次蓄えていく手法でもよい。
パイロットシンボルが3つ以上の場合においても、図1と同様に記憶手段により、必要数のパイロットを記憶することで同等の処理が可能である。
さらに、本実施形態では、パイロット判別信号が後続(他の)パイロットシンボルが無いことを通知する場合、パイロット記憶部A104またはパイロット記憶部B105へ後続パイロットシンボルとして0を格納する例を説明したが、後続パイロットシンボルの値を対象パイロットシンボルの値を格納するようにしてもよい。例えば、図1のFFT処理部103と、パイロット記憶部A104およびパイロット記憶部B105との間にスイッチを設け、パイロット判別信号の値によってスイッチのON/OFFを切り替えて、FFT処理部103からパイロット記憶部A104およびパイロット記憶部B105へ同じパイロットシンボルが出力されるようにしてもよい。この場合、図43に示す伝搬路推定部の構成を用いて基準信号を生成することができる。いずれの手法であっても対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルの2種類、あるいは、対象パイロットシンボルの1種類を伝搬路推定部107へ入力する仕組みがあればよい。
図1および図8では、パイロットシンボルを記憶(保持)する記憶領域としてパイロット記憶部A104とパイロット記憶部B105とを示したが、2つの記憶部を設置することに限られるわけではない。パイロット記憶部として、複数の(少なくとも2つの)パイロットシンボルを記憶する記憶領域が備えられていればよい。また、2つのパイロットシンボルを用いる例を説明したが、少なくとも2つのパイロットシンボルを用いる場合を示したものであり、3つ以上のパイロットシンボルを用いる場合であってもよく、この場合、パイロット記憶部は、用いるパイロットシンボルの数の記憶領域を備えることになる。例えば、他のフレームに複数のパイロットシンボルが配置されている場合、対象フレームに複数のパイロットシンボルが配置されている場合には、2以上のパイロットシンボルを用いることが可能であり、本実施形態を適用することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、データシンボルを割り当てないフレームへパイロットシンボルを付加する無線送信装置の一態様を説明する。第1の実施形態では、無線受信装置(受信機)側の工夫で、送信されてきたパイロットシンボルを利用し、スループットを落とさずに性能を向上させる方法を提案した。本実施形態では、送信側にも工夫を加えることで、さらに特性向上を提案する。具体的には、後続フレーム信号があるときには、後続フレームのパイロットシンボルを用い、後続フレーム信号がないときにはパイロットシンボルのみを付加するものである。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る無線送信装置の構成の一例を示す図である。無線送信装置は、信号処理部201、変調処理部202、パイロット生成部203、パイロット付加部204、追加パイロット付加部205、デジタル処理部206、アナログ部207、パイロット付加制御部208、並びに、スイッチ209を備える。無線送信装置では、送信する送信データは、上位層から信号処理部201へ入力する。図10中、符号AからDは、信号を特定する符号であり、図12を用いて後述する。
信号処理部201は、入力した送信データへ必要な処理を行ない、変調処理部202は、信号処理部201が処理した送信データを変調する。
パイロット生成部203は、パイロットシンボルを生成する。ここでは、変調処理を施したパイロットシンボルを生成する。パイロット付加部204は、パイロット付加制御部208の制御に基づいて、変調した送信データへパイロットシンボル生成部203が生成したパイロットシンボルを付加する。これにより、送信データ列としては、[パイロット+データ]という構成にフレーム化される。
デジタル処理部206は、フレーム化した送信データ列へ必要なデジタル処理を行ない、アナログ部207は、送信データ列をアナログ変換する。アナログ変換された送信データ列は、RF部を経由して送信される。
パイロット付加制御部208は、上位層から、ブロック化/スケジューリング情報を入力し、入力した情報に基づき、後続フレームが送信されないときには、後続パイロットシンボルの付加の処理を追加パイロット付加部205へ実施させる。具体的には、パイロット付加制御部208が出力するパイロット付加制御信号がスイッチ209を切り替える。ブロック化/スケジューリング情報は、図7に示した伝送ブロックに関する情報、並びに、各無線受信装置宛の送信データをフレーム割り当てるスケジューリングに関する情報を含む。追加パイロット付加部205は、スイッチ209が切り替えられたことにより、パイロット生成部203が生成したパイロットシンボルを送信フレームの最後へ付加する。追加パイロット付加部205は、送信フレームがつながっているとき(連続しているとき)には、動作しないが、次につながる送信フレームが無い場合(最後の送信フレームの場合)、すなわち、送信フレームがつながっていないときにはパイロットシンボルのみを付加する。
図11は、本実施形態において、データシンボルを割り当てないフレームへパイロットシンボルを付加した場合のフレームの構成例を示す図である。frame(n−1)にはP(n−1)1、frame(n)にはP(n)のパイロットシンボルが配置されている。frame(n)の後に続くフレームがないため、パイロット付加部208は、スイッチ209を制御し、追加パイロット付加部205は、後続パイロットシンボル(図11では、P(n+1)で示すパイロットシンボル)を付加している。
このように処理することで、フレーム構成を、[(パイロットシンボル+データ)+(パイロットシンボル+データ)+・・・]という構成から[(パイロットシンボル+データ+パイロットシンボル)+(ブランク)]を作ることが可能になる。この結果、復調器側(無線受信装置)では、後続フレームの有無に関わらず、2つのパイロットシンボルを用いた復調が可能になり、性能が向上する。また、もともと後続フレームがないということは、データシンボルが割り当てられておらずブランクだったことになるので、後続パイロットシンボルを付加したことによるスループット低下は発生しない。
図12は、後続パイロットシンボルを付加する送信データ列の生成過程の一例を示す概念図である。図12のA、B、C、Dは、図10中の符号A、B、C、Dにおける信号の概念図を示している。Aでは、信号処理部201から送信する送信データの信号が入る。その後、信号処理部201からの信号は、変調処理部202で変調され、Bに示す変調された信号となる。変調された信号は、パイロット付加部204で対象パイロットシンボルが先頭につけられ、Cに示す[パイロットシンボルP(n)+変調された信号]となる。その後、追加パイロット付加部205が後継パイロットシンボルを後に付加し、Dに示すように、[パイロットシンボルP(n)+変調された信号+パイロットシンボルP(n+1)]のように完成した形になる。Dに示す信号の概念図は、図11の右側に示す後続パイロットシンボルが付加されたframe(n)の構成と対応する。
図13は、本実施形態に係る無線送信装置の別の構成の一例を示す図である。パイロットデータ生成部221は、復調用の基準信号を生成する既知信号を含むパイロットデータを生成する。パイロットデータは、変調処理を施す前のパイロットシンボルである。パイロットデータ付加部222並びに追加パイロットデータ付加部223は、パイロットデータ生成部221が生成したパイロットデータを付加する。変調処理部224は、パイロットデータ並びに送信データの信号を変調する。スイッチ225は、パイロット付加制御部208から出力されるパイロット付加制御信号に基づいて、信号処理部201、パイロットデータ付加部222、追加パイロットデータ付加部223から出力される信号を切り替える。また、パイロット付加制御部226は、パイロットデータ生成部221へパイロットデータの生成を指示し、スイッチ225へ信号の出力先を切り替を指示し、変調処理部224へ変調処理のタイミングを指示する。その他の図10と同じ符号・名称を付けた構成要素は同様の機能を有するため、説明を省略する。図13中、符号EからIは、信号を特定する符号であり、図14のEからIと対応する。
図13では、変調処理を施す前のパイロットシンボルであることを明確にするため、パイロットデータという用語を用いているが、パイロットシンボルの生成あるいは付加という機能としては、図10と同様とであり、パイロットシンボルが変調処理前であるか、変調処理後であるかについては本発明の本質ではない。
図14は、後続パイロットシンボルを付加する送信データ列の生成過程の異なる例を示す概念図であり、図14に示す無線送信装置の信号生成の流れを示す。Eでは、信号処理部201から送信する送信データの信号が入る。Fでは、パイロットデータ付加部222からのパイロットデータPD(n)が入る。Gでは、追加パイロットデータ付加部223からのパイロットデータPD(n+1)が入る。このようにして生成されたHに示す[パイロットデータPD(n)+変調された信号+パイロットデータPD(n+1)]は、変調処理部224で変調され、Iに示す、[パイロットシンボルP(n)+変調された信号+パイロットシンボルP(n+1)]のように完成した形になる。Iに示す信号の概念図は、図12のDと同様に、図11の右側に示す後続パイロットシンボルが付加されたframe(n)の構成と対応する。
図12との違いは、パイロットシンボルに代えてをパイロットデータを与えて、送信データの信号と同様に、変調処理部224で変調させる点である。そのため、E、F、Gのデータをタイミングにあわせて切り換えることで、変調前のHの信号を作成する。その後、まとめて変調することでIに示す信号となり、図12と同じ信号を得ることができる。
図15は、第2の実施形態に係る無線送信装置の更に別の構成の一例を示す図である。また、図16は、後続パイロットシンボルを付加する送信データ列の生成過程の更に異なる例を示す概念図であり、図15に示す無線送信装置の信号生成の流れを示す。図15に示す無線送信装置は、図12に示す無線送信装置から追加パイロットデータ付加部223を除いた構成であり、パイロットデータ付加部222が2回パイロットデータを出力している。この様子が図16のKに示されている。図15に示す無線送信装置では、パイロットデータ付加部222は、2回パイロットデータを出す必要があるが、図12並びに図14と同じ信号の生成ができる。 このように、送信側での後続フレームがないときの付加処理、受信側でのパイロットシンボルの記憶処理により、従来、1フレームについて、前後に二つ必要だったパイロット信号を1つに削減することができ、スループットの改善が可能になる。
なお、上記実施形態では、パイロットシンボルを2個用いて復調する例を説明したが、2個以上用いる場合にも本実施形態を適用することが可能である。パイロットシンボルの付加について、2個より多い複数個を用いて処理している場合に、必要個数分パイロットシンボルを付加することも可能であり、上記と同様、ブランクであるフレームに複数のパイロットシンボルを付加することは同様であるため、スループットに影響するものではない。
また、本実施形態は、送信側の工夫(パイロットシンボルの付加)と、パイロットシンボルの付加による送信信号の変更によって受信品質を改善するものである。常に二つのパイロットシンボルを使用して復調する受信手段が性能向上には良い。一方で、タイミングがシビアな場合などでは処理時間が優先される場合がある。そこで、第1の実施形態で説明したように、1つのパイロットシンボルを使用する場合と2つのパイロットシンボルを使用する場合とを使い分ける無線受信装置を適用することにより、タイミングがシビアなとき等には、1つだけのパイロットシンボルを用いて復調してもよい。この場合、今回のパイロットシンボルの付加が、1つのパイロットシンボルを用いる場合に悪影響を及ぼすものではない。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、連続したフレーム間に割り当てられたパイロットシンボルであっても、特性が異なるため一方のパイロットシンボルを用いて伝搬路を推定する場合について説明する。
第1、第2の実施形態については、対象フレームと他のフレームである後継フレームのパイロット信号を2つ使用することによって受信性能が向上することについて説明した。その前提としては、連続した伝搬路の変動であり、その変動追従や雑音吸収での効果を狙っていた。しかしながら、通信システムによっては、2つの連続したパイロットが異なった性質を有する場合がある。その一例として、アクティブアンテナがある。
アクティブアンテナとは、何らかの手段(機械的手段、電気的手段等)によって、アンテナ指向性を制御し、アンテナ利得を向上させるものである。基地局―端末局(端末A、端末B)システムを一例として説明すると、端末Aと通信するときには、端末Aに指向性を向け、端末Bと通信するときには、端末Bに指向性を向けるものである。図17は、アクティブアンテナのアンテナ指向性の一例を示す図である。図17では、端末A11は、アンテナパターンAのアンテナ指向性の場合に通信状態が良好であり、端末B12は、アンテナパターンBのアンテナ指向性の場合に通信状態が良好になる。
このようにアクティブアンテナは特性向上に重要な技術ではあるが、パイロットシンボルの観点では、アンテナ指向性を変える前と、変えた後では伝搬路特性が異なってしまい、アンテナ指向性が異なる2つのパイロットシンボルを用いてその間の伝搬路推定等の処理はできなくなる。すなわち、アンテナパターンの種類が変わると伝搬路特性が変わるため(パイロットシンボルの特性が変わることになり)、アンテナパターンが異なるときに伝送された2つのパイロットシンボルを用いて伝搬路を推定することはできない。そこで、本実施形態においては、2つのフレーム間で同一のアンテナパターンの時にはパイロットを2つ用いて復調し、異なったアンテナパターンの時にはパイロットひとつで復調するように制御する。
図18は、アンテナパターンによって復調に用いるパイロットシンボルを示す図である。図18の上段は、フレーム間でアンテナパターンに変更がない場合であり、無線受信装置は、P1、P2の二つのパイロットシンボルを用いてデータシンボルを復調する。図18の下段は、フレーム間でアンテナパターンに変更が生じた場合を示しており、無線受信装置は、アンテナパターンBに変更した後のパイロットシンボルP4を用いることなくP3のパイロットシンボルのみを用いてデータシンボルを復調する。
本実施形態において、無線受信装置は図1に示した構成と同様のものを用いる。パイロット制御部110は、制御情報(アンテナパターン信号)に基づいて、パイロット判別信号を出力する。具体的には、対象フレームのアンテナパターンと後続(他の)フレームのアンテナパターンとに相関がない場合、後続フレームに割り当てられた後続パイロットシンボルを用いない。従って、対象パイロットシンボルのみを用いる場合のパイロット判別信号を出力する。上記第1の実施形態と同様に、パイロット判別信号は、復調用の基準信号を生成することに利用することができるパイロットシンボルであって、他のフレームに割り当てられているパイロットシンボルの存在を検出したか否かを通知する信号である。ここで、2つのパイロットシンボルを使用する場合は、2つのフレームのアンテナパターンに相関が検出され、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルを使用することを示す。1つのパイロットシンボルを使用する場合は、二つのフレームのアンテナパターンの相関が使用できる範囲になく、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルのみを使用することを示す。このアンテナ間の相関については、後述する相関検出の手段を用いる方法や、制御信号のアンテナに関する情報等から知ることができる。
パイロットシンボルをパイロット記憶部A104またはパイロット記憶部B105へ格納する動作は第1の実施形態と同様である。また、伝搬路推定部107の動作も、パイロット判別信号に基づいて動作するため、第1の実施形態と同様にできる。
これにより、同一のアンテナパターン信号復調時には特性が向上し、別のアンテナパターン時にも、破綻することがなく、異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することができる。
また、2つの連続したフレームにそれぞれ配置されたパイロットシンボルが異なった性質を持ってしまう別の例として、送信する(フレームに割り当てられた)パイロットシンボルが異なる場合の例を説明する。通常、パイロットシンボルを変調している既知データは固定パターンであり、対象パイロットシンボル、後続パイロットシンボルで同一である。また、何らかの理由(例えば固定パターン数種を使い分けている場合)で既知パターンが異なっても、変調前は基準振幅、位相は同一であり、同一の振幅、同一の位相をベースに既知データで変調しているため、基準信号は生成可能である。但し、図2、図3で示した基準信号生成部123で行なっている基準振幅、基準位相算出については、2つのパイロット処理前に既知信号成分の除去が必要となる。
しかしながら、最近の技術として、伝搬路のフェージング特性を能動的に変化させるために、信号の基準を変化させる技術も出てきている。つまり、対象パイロットと後続パイロット間は、既知信号成分を除去しても、元の基準信号が異なるために両方のパイロットシンボルを使えないことになる。そこで、本実施形態の無線受信装置では、このような場合においても、利用可能とするため、パイロット制御部110は、制御情報(パイロット種別信号)に基づいて、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルとの基準信号が同じであるかを判別し、同じ基準信号である場合には、2つのパイロットシンボルを使用し、異なる基準信号である場合には、1つのパイロットシンボルを使用することを通知するパイロット判別信号を出力する。
すなわち、2つのパイロットシンボルを使用する場合は、2つのパイロットシンボルの基準信号が同じである場合であり、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルを使用することを示す。1つのパイロットシンボルを使用する場合は、二つのパイロットシンボルの基準信号が異なる場合であり、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルのみを使用することを示す。
パイロットシンボルをパイロット記憶部A104またはパイロット記憶部B105へ格納する動作は第1の実施形態と同様である。また、伝搬路推定部107の動作も、パイロット判別信号に基づいて動作するため、第1の実施形態と同様にできる。
これにより、2つのパイロットシンボルが同一の基準信号である場合には特性が向上し、別の基準信号である場合にも、破綻することがなく、異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することができる。
さらに、2つの連続したパイロットシンボルが異なった性質(特性)を持ってしまう別の例として、送信するアンテナが異なってしまう場合の例を、基地局(無線送信装置の一例)と端末(無線受信装置の一例)とを用いて説明する。上記の説明では、1つの端末に送信する基地局は1つであることを前提として説明していた。そのためにアンテナパターンが変わることはあっても、同一の場所にあるアンテナを用いていることになっていた。しかしながら端末においては、移動しながら通信(受信)することが前提であり、移動状態によって別の基地局に移りながら通信を継続する場合がある。基地局を移って通信することは、ハンドオフと呼ばれている。ハンドオフには、いろいろな手法があるがソフトハンドオフや同期型ハンドオフでは、2つの基地局から送信した信号が、ほぼ同一タイミングで受信機(端末)に届く。このため、例えば、基地局A、B間で移動する場合、端末は、[1つの基地局(A)]→[2つの基地局(A+B)]→[1つの基地局(B)]と移っていくことが可能である。
このように基地局を移動する場合、アンテナそのものが変わってしまうために伝搬路特性が異なり、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルも異なることになる。無線受信装置において、受信するフレームを送信したアンテナが異なる場合においても、パイロット制御部110は、制御情報(基地局種別信号、送信元種別信号)に基づいて、基地局の切替が発生しているかを判別し、判別した結果に基づいて、パイロット判別信号を生成することにより、異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを支障なく用いることができる。
すなわち、2つのパイロットシンボルを使用する場合は、2つのパイロットシンボルが同じアンテナから送信された場合であり、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルと後続パイロットシンボルを使用することを示す。1つのパイロットシンボルを使用する場合は、二つのパイロットシンボルが異なるアンテナから送信された場合であり、パイロット判別信号は、対象パイロットシンボルのみを使用することを示す。
パイロットシンボルをパイロット記憶部A104またはパイロット記憶部B105へ格納する動作は第1の実施形態と同様である。また、伝搬路推定部107の動作も、パイロット判別信号に基づいて動作するため、第1の実施形態と同様にできる。
これにより、2つのパイロットシンボルが同一のアンテナから送信された場合には特性が向上し、別のアンテナから送信された場合にも、破綻することがなく、異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを利用することができる。
上記では、パイロット制御部110は、2つのパイロットシンボルが利用できるか否かについて、制御情報に基づいてパイロットシンボルの特性が同一か異なるかについて判断している。このとき、パイロット制御部110は、制御情報として、アンテナパターン信号、パイロット種別信号、基地局種別信号等の信号を用いており、通常は、図4に示す制御情報解析部131において実施される。また、本実施形態のパイロット判別信号は、パイロットシンボルの利用の可能性を示すことから、パイロット利用可能判別信号ということもできる。
このように、本実施形態によれば、異なるフレームに割り当てられた2つのパイロットシンボルの特性が同じ場合には2つのパイロットシンボルを用いて受信信号を復調し、2つのパイロットシンボルの特性が異なる場合には、1つのパイロットシンボルを用いて受信信号を復調することができる。これにより、制御情報に基づいて、復調に用いるパイロットシンボルの数を変更することが可能になり、異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを、パイロットシンボルの特性に応じて用いることができる。
なお、異なるフレームに割り当てられたパイロットシンボルを比較する方法として、次のような方法をとることもできる。2つのパイロットシンボル間では、伝搬路は、復調性能には影響がある程度に変動するものの、基本的にはほとんど変化がない変動の範囲でフレームは構成されている。例えば位相変化は数度、振幅変動は数パーセント程度である。上記第1および第2の実施形態等では、この間の補正をしている。しかしながら、アンテナパターン等の変化は、使用する複数のパイロットパターン間で非常に大きな変化が発生する。例えば、アンテナパターンを変える場合、指向性を変えるので、直達波、反射波の特性が変わるため、アンテナパターン切替え前後では、相関の低い、別の伝搬路と考えることができる。また、パイロット種別そのものを変える場合、当然2つのパイロット種別は全く異なったものとなる。基地局(送信側)の変更も同様である。従って、使用する複数のパイロットシンボル間の相関は、大きく低下する。そこで、本実施形態では、相関がある程度の値以下になった場合には、パイロットは別のものとして処理した方がよいと判断し、相関が高い場合には2つは同じものと判断することを提案する。具体的には、図19に相関判定部150の構成の一例を示す。相関判定部150は、相関計算部151と判定部152とを備える。相関判定部150は、例えば、無線受信装置のパイロット制御部110に含まれていてもよい。ここでは、相関計算部151は、2つのパイロットシンボルを入力し、入力したパイロットシンボルの相関値を算出する。判定部152は、相関計算部151か算出した相関地と閾値と比較して、パイロットシンボルの使用可否を決める。閾値については、一般的には相関値が0.8から0.9程度以上あればかなり高い相関といえるが、受信機に求められる性能によって、多少の前後はありうる。また、図19では2つのパイロットシンボルを入力しているが、複数のパイロットのうちどれが使用可能か判断するときには、複数間の相関から、使用可能なものと不可能なものを判断することになる。
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態では、無線送信装置において、アンテナパターンが切り替わるときにパイロットシンボルを追加する場合の例を説明する。上記第3の実施形態において、アンテナパターンが切り替わるときに、無線受信装置側のパイロットの使い方について説明したが、本実施形態では、アンテナパターンが切り替わっても、パイロットシンボルを二つ使うための送信側の改善方法について説明する。
図20は、本実施形態の無線送信装置の構成の一例を示す図である。図10の無線送信装置の構成とは、変調処理部231、パイロット付加制御部232が異なる。また、追加パイロット付加部205は、パイロットシンボルを出力するタイミングが異なることになる。変調処理部231は、パイロット付加制御部232からパイロット付加信号を入力し、データシンボルの代わりパイロットシンボル(追加パイロットシンボル)を挿入することを検出する。変調処理部231は、追加パイロットシンボルの挿入する場合、通常より短いデータシンボル列を変調する。パイロット付加制御部232は、制御情報(スケジューリング情報、アンテナパターン信号)に基づいて、アンテナパターンが切り替わるタイミングを判定し、アンテナパターンが切り替わる前のフレームの最後へパイロットシンボルを追加する指示(パイロット付加信号)を追加パイロット付加部205へ出力する。追加パイロット付加部205は、パイロット付加制御部232からのパイロット付加信号に基づいて、パイロット生成部203が生成したパイロットシンボルを付加する点は図10の無線送信装置と同様であるが、パイロットシンボルを付加するタイミングが異なることになる。符号Q、R、S、Tは、信号を特定する符号であり、図22を用いて後述する。その他の構成要素は、図10と同じ符号、名称をつけた構成要素と同様であるため、説明を省略する。制御情報は、上位層において生成される情報であり、ここでは説明を省略する。
図21は、アンテナパターンが切り替わるときにパイロットシンボルを追加したフレーム構成の一例を示す図である。図21の上段は、アンテナパターンが同じ場合のフレーム構成の一例であり、パイロットシンボルP1、P2がフレームの先頭に割り当てられている。図21の下段は、アンテナパターンが切り替わる場合のフレーム構成の一例であり、パイロットシンボルP3、P5がフレームの先頭に、パイロットシンボルP4がフレームの最後に挿入されている。
アンテナパターンを送信側で変える場合、アンテナパターン切り替えの最小単位はフレーム単位となる。従って、フレーム構造から見ると、連続して同じアンテナパターンのフレームが続く場合と、フレーム単位で(次のフレームから)アンテナパターンが切り替わる場合がある。
アンテナパターンが切り替わる場合次のフレームのパイロットシンボルを利用することはできないため、最後の1ブロック分のデータシンボルをパイロットシンボルに入れ替える(図21の下段P4のパイロットシンボルが相当する)。これによって、2つのパイロットシンボルを使用できるようになる。つまり、連続したフレームで同じアンテナパターンの場合にはフレームのデータ領域を本来の長さ分使えるが、連続したフレームの途中でアンテナパターンが切り替わる場合にはフレームのデータ領域の一部分をパイロットシンボルに置き換えるため、データ領域が短くなる。図21の下段の例では、パイロットシンボルP4の領域の部分がデータ領域として使用できない部分となっている。
図21に示す送信データ列の生成過程を説明する。図22は、追加パイロットシンボルを付加する送信データ列の生成過程の一例を示す概念図である。図22中のQ、R、S、Tは、図20中の符号Q、R、S、Tにおける信号の概念図を示している。図22中、2本の点線で両端を囲んだ範囲は、通常のデータシンボルの信号の長さを示す。通常時は、図22の左側に示すようにデータを変調しパイロットシンボルP1を付加している。アンテナ切り替え時、すなわち、追加パイロットシンボルを付加する場合においては、変調処理部231は、パイロット付加制御部232からパイロット付加信号を入力して、追加パイロットシンボルを付加することを検出する。Rに示すように、変調処理部231は、通常より短いデータシンボル列を変調して変調された信号とする。Sに示すように、パイロット付加部204は、変調した信号の先頭へパイロットシンボルP3を付加する。次いで、Tに示すように、追加パイロット付加部205は、パイロット付加制御部232からのパイロット付加制御信号に基づいて、追加のパイロットシンボルP4のデータ領域を短くした部分であるフレーム内の後尾に付加する。このようにして送信データ列を生成する。
なお、データを短くすると、送信する情報量が減り、データシンボルの割り当てにも影響する。アンテナパターンを切り替えるか否かを判断するのは上位層であり、上位層は、アンテナパターンの切り替えに伴って、データシンボルの割り当ても制御することになる。このため、変調処理部231では、パイロット付加制御部232からの指示に基づいて変調する信号(データシンボル列)の長さを調整することで足りる。また、図13、図15に示した無線送信装置でも送信データ列を生成することができる。図23、図24は、追加パイロットシンボルを付加する送信データ列の生成過程の別の例を示す概念図である。図23は、図13の無線送信装置における送信データ列の生成過程を示し、EからIは、図13中の符号EからIにおける信号の概念図である。また、図24は、図15の無線送信装置における送信データ列の生成過程を示し、JからMは、図15中の符号EからIにおける信号の概念図である。図23および図24で示す送信データ列は、第3の実施形態で説明したものと同様に送信データ列を生成した後、変調処理部224が生成した送信データ列を変調している例であり、結果として、図22と同様の送信データ列を生成する。
また、この挿入方法は、別の実施形態として、第1の実施形態で説明した後続フレームがない(ブランク)のときにも応用できる。図25は、後続フレームが無い場合に、パイロットシンボルをフレームの最後に挿入したフレーム構成の一例を示す図である。パイロット付加制御部241は、制御情報(スケジューリング情報)に基づいて、後続フレームがない場合、フレームの最後へパイロットシンボルを付加することを追加パイロット付加部242へ指示する。これにより、後続フレームがないときには、アンテナパターンが切り替わる場合と同様に最後のOFDMシンボルにパイロットを入れるものである。送信側においてパイロットシンボルを追加することにより、無線受信装置は、後続フレームがあるときは、異なる2つのフレームに割り当てられたパイロットシンボルP1、P2(図25の上段)を用いて復調を行ない、後続フレームがないときは、1つのフレームに2つ割り当てられたパイロットシンボルP3、P4(図25の下段)を用いて復調を行なうことができる。このように、パイロットシンボルを適宜必要に応じて追加することにより、常時パイロットシンボルを1フレームに2つ挿入する場合に比べスループットを向上させることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、アンテナパターンの切り替え時に有効なフレームの利用について説明する。第4の実施形態において、アンテナパターンの切り替えについて説明したが、切り替え機構によっては、切り替えが瞬時にできないものがある。機械的に動作するものや、電気的に動作するものでも切り替えから安定まで時定数の大きいもの等である。
このときのフレームにおける信号の構成を図26、図27に示す。アンテナパターンの切り替え時にパイロットシンボルを追加する例を示す図である。図26では、切り替えによる悪影響が出ないように、切り替えに必要な時間(図26では、1つのOFDMシンボル時間)、有効なデータを乗せない事(ブランク、または、無効データ等)で、アンテナパターン切り替えの影響を回避することが考えられる。
例えば、図26の上段では、アンテナパターン切り替えのタイミングにブランクB1を設定し、アンテナパターン切り替え後のパイロットシンボルP2への影響を回避する。また、図26の下段では、さらに、パイロットシンボルP3を挿入し、復調時にP1とP3の二つのパイロットシンボルを利用できるようにしている。パイロットシンボルP3は、ブランクB1を作る前の末尾シンボルを用いる。
この場合の無線送信装置の構成は、図13、図15、図20と同様のものが適用できる。但し、データ部分をさらに短くし、パイロットをさらに1シンボル分早く付加するので、そのための制御が必要である。これらの制御は上位層によって制御され、データシンボルの代わりにブランクが挿入される。上位層の制御に基づいて、パイロット付加制御部226、あるいは、パイロット付加制御部232によって、追加するパイロットシンボルの付加が制御される。
また、この例では、ブランク部分を1シンボル分にしているが、1シンボルに限定されることはなく、数シンボルであっても、データ削除と付加タイミングの制御で対応できる。
図27では、図26のデータ削除部分がさらに大きくなり、1フレーム分すべてブランクにしていると考えてよい。1つのフレームを無効とし、無効にしたフレームの先頭のOFDMシンボルにパイロットを入れる例を示している。この場合については、アンテナ切り替え動作を1つのOFDMシンボル分(図27のパイロットシンボルP4の部分)、タイミングを遅らせることで、付加したパイロットは、アンテナパターンAで送信できるため、同一伝搬路をもつ2つのパイロットを利用できる。たとえば、切り替え時間が長い場合等に有効である。例えば、アンテナパターン変更に切り替え時間がかかるとき(移相器など)、パイロットが崩れるのを防ぐため、ブランク部分B2を作る(図27の下段)。アンテナパターン切り替え前のフレームは、P3とP4の2つのパイロットシンボルを利用する。図27では、フレーム全体をブランクにしている例を示しているが、これに限られることはなく、少なくともフレーム領域の一部分をブランクにし、フレームの途中からパイロットシンボルやデータシンボルを割り当てる場合であってもよい。
(第6の実施形態)
別の応用例を図28から図40を用いて説明する。これまでの説明において、復調の基準となるパイロットシンボルは、データシンボルの先頭にあり、付加されるパイロットシンボルはデータ直後にある例を示してきた。また、パイロットシンボルはすべてのサブキャリアに対して挿入されている例を示してきた。
本実施形態では、図28から図40を用いて、パイロットシンボルが間引かれた形で挿入される例、また、パイロットシンボル挿入のバリエーション例を説明する。
図28から図40では、斜線を付した矩形は、パイロットシンボルを割り当てたことを示し、その他はデータシンボルを割り当てる領域を示す。一般的に1つの矩形が1サブキャリアに相当する。
また、矩形内の数値は、信号(データシンボル)を特定する数値である。上記各実施形態では、復調の基準とするパイロット信号が全サブキャリアに入っていて、フレームの先頭にある例を示したが、別の実施形態として、パイロット信号が間引いて入っている場合やフレームの先頭以外にある場合の実施形態を説明する。図面に示した本実施形態で提示するパイロットシンボルの配置パターンは、予め制御情報に含まれている情報である。パイロット判別部110は、パイロットシンボルの配置パターンに基づいて、対象パイロットシンボルと他のパイロットシンボル(後続パイロットシンボル)を特定する。
図28は、間引いた配置の一例である。図28の例では、<1>の信号を復調する基準としては、矢印で示した2つのパイロットシンボル(パイロット信号)を利用し、<2>の信号を復調する場合には、矢印で示した4つのパイロットシンボルを利用する。このように、間引いたパイロットで復調する場合に、どのパイロットシンボルを用いて基準信号を求めるかについては、非特許文献2に提案されている。
非特許文献2には、データシンボルに対応するパイロットシンボルの利用を特定するパターンが定義されている。図29は、図28に示すパイロットシンボルが配置された送信データを処理する無線受信装置の構成の一例を示す図である。パイロット記憶部161は、各データシンボルの復調に使うパイロットシンボルとパイロットシンボルの位置を定義したテーブルを記憶する。伝搬路推定部162は、復調するデータの基準信号を作るために、その復調に関係するパイロットシンボルから基準信号を生成する。図28の<1>では、2つのパイロット、<2>では4つのパイロットを用いて基準信号を生成する。伝搬路推定部162は、パイロット記憶部161に記憶するテーブルを参照して基準信号を生成するために必要なパイロットシンボルを取得する。したがって、パイロット記憶部161と伝搬路推定部162との双方向の信号のやり取りとなる。また、伝搬路推定部162からデータ記憶部106へも信号の出力が必要となる。
非特許文献2の提案においては、パイロットシンボルの使用可否を考慮していないために、パイロットシンボルの特性が異なる場合、例えば、アンテナパターン切り替え等の動作により、パイロットシンボルの相関が低い場合にも、前後のパイロットを用いた計算をするので、大きな誤差になることが考えられる。このような場合に本発明における無線受信装置を適応することが可能である。図30は、本実施形態の無線受信装置の構成の一例を示す図である。パイロット制御部163は、上記各実施形態で説明したように、パイロットシンボルの利用の可否を判断し、伝搬路推定部162へパイロットシンボルの利用の可否と通知する。ここでは、パイロット記憶部161に記憶するテーブルを参照し、制御情報に基づいて、所定のデータシンボルが利用するパイロットシンボルの利用の可否を判断する。例えば、<3>の信号を復調するときには次のパイロットシンボルがないため、使用するパイロットシンボルを1つに切り替える。同様に<4>の信号を復調するときには、使用するパイロットを2つにする。これらは、パイロット制御部163にて制御される。この処理方法は、次のフレーム信号がない場合、アンテナパターンの切り替え等で、次のフレームがあってもそのパイロットが使用できない場合について、同様の制御となる。
このように、本発明を拡張したパイロット信号が間引いた状態でしか入っていない場合においても、使用するパイロットをパイロット制御部にて制御することで、通信が可能になる。
また、図28のパイロットシンボルの配置を変形した場合について説明する。
図31は、間引いたパイロットシンボルがフレームで交互に入っている場合である。この例でも、<1>の信号を復調する基準としては、矢印で示した3つのパイロットシンボルを利用し、<2>の信号を復調する場合には、矢印で示した4つのパイロットシンボルを利用する。このような場合に図30に示す無線受信装置を適応すると、<3>を復調するときには次のパイロットシンボルがないため、使用するパイロットシンボルを1つに切り替える。また、同様に<4>を復調するときには、使用するパイロットシンボルを2つにする。ここでも、次のフレーム信号がない場合を示しているが、アンテナパターンの切り替え等で、次のフレームがあってもそのパイロットシンボルが使用できない場合には同様の制御となる。 このように、本実施形態の無線受信装置は、パイロットの入っている位置が互い違いになっているパイロットシンボルの配置へも、同じ構成、同じような処理で対応可能である。
また、図32は、他の(後続)フレームに相当するパイロットシンボルを付加した場合の例である。図32では、周波数方向へ一つおきに配置されたパイロットシンボルであり、後続フレームがない場合に、後続パイロットシンボルを付加した場合を示している。図33は、図28に示すパイロットシンボルの配置の送信データ列を生成する無線送信装置の一例を示す図である。信号処理部261は、上位層から入力する送信データおよびパイロットデータ生成部262から入力するパイロットデータを合わせて送信データ列を生成する。パイロットデータ生成部262は、パイロットデータを生成し、信号処理部261へ出力する。パイロット付加制御部263は、ブロック化/スケジューリング情報に基づいて、パイロットデータ生成部262が信号処理部261へパイロットデータを出力するタイミングを制御する。図34は、図33に示す無線送信装置がフレームを生成する過程を示す概念図である。図33に示す無線送信装置では、信号処理部261において、あらかじめ、送信する送信データとパイロットデータをひとつのデータブロックとしてまとめておき、変調処理部202で変調する必要が生じる。そのため、上位層から受け取ったデータを図34左部分のようにパイロットシンボルを配置する位置をマッピングした後(横線を付した部分)、パイロットデータ生成部262で生成したパイロットデータをつけて、図34右部分に示すデータブロックとする(斜線を付した部分がパイロットシンボルである)。これは、同一のタイミングで送信データとパイロットシンボルが交互に配置されているために、これまでの上記各実施形態で説明した無線送信装置の構成ではでスイッチを切り替えることができないためである。
図35は、本実施形態の無線送信装置の構成の一例を示す図である。パイロットデータ生成部264、パイロット付加部265、変調処理部266、スイッチ267、パイロット付加制御部268の構成要素が図33から変更あるいは追加されている。パイロットデータ生成部264は、パイロットデータを生成し、パイロット付加制御部268の制御のもとでパイロットデータを信号処理部261とパイロット付加部265へ出力する。パイロット付加部254は、パイロットデータ生成部264から入力したパイロットデータを送信データ列へ付加する。付加されるパイロットデータは、後続フレームがない場合に付加されるパイロットシンボルとなる。変調処理部は、送信データ列、あるいは、送信データ列に後続パイロットシンボルに相当するパイロットデータが付加された送信データ列を変調する。
スイッチ267は、パイロット付加制御部268からの制御に基づいて、信号の入力先を切り替える。パイロット付加制御部268は、図33に示したパイロット付加制御部263の機能に加え、後続パイロットシンボルとなるパイロットデータを付加するタイミングを制御する。信号処理部261から出力される信号は、図33と同様である。後続フレームには、送信データが割り当てられてないため、スイッチ267の切り替えで、パイロットデータ(後続パイロットシンボル)を付加することができる。
図36は、図35に示す無線送信装置がフレームを生成する過程を示す概念図である。図35中のX、Y、Zは、図36の同じ符号と対応する。符号Xにおいては、図34と同じフレーム構成が生成され、パイロット付加部265で符号Yの信号が用意される。パイロットデータが付加されるタイミングにあわせてスイッチ267が切り換えられ、付加するパイロットデータを送出することで、符号Zのようなフレームデータを作ることができる。なお、パイロットデータを付加したタイミングにはパイロットデータが付加されていないブロック(サブキャリア)があるが、パイロットシンボルが配置されないブロックである。
また、図37では、次のフレームに相当するパイロットシンボルを付加した場合の例である。この場合、パイロットシンボルは交互に入っているので、パイロットシンボルとしては1回だけ追加するものと、2周期分ということで2回追加する例を示している。図38は、図35に示す無線送信装置がパイロットシンボルを2周期分付加するときのフレームを生成する過程を示す概念図である。図38中の符号X、Y、Zは、図35の同じ符号と対応する。パイロット付加部265は、Yに示す信号を用意し、スイッチ267を切り替えることによりパイロットデータを2周期分付加することになる。パイロットデータを付加するタイミングは、配置情報に基づいてパイロット付加制御部268により制御される。
図39は、パイロットシンボルの配置(パイロットが先頭と中央に入っている場合)の一例を示す図である。図39の例では、<1>の信号を復調する基準としては、矢印で示した4つのパイロットシンボルを利用し、<2>の信号を復調する場合には、矢印で示した6つのパイロットシンボルを利用する。このような場合に本発明の一態様である図29に示す無線受信装置を適応すると、<3>を復調するときには次のパイロットシンボルがないため、使用するパイロットシンボルを3つに切り替えることができる。図39の場合も、後続フレームの信号がない場合を示しているが、アンテナ切り替え等で、次のフレームがあってもそのパイロットが使用できない場合には同様の制御ができる。
また、図40は、パイロットシンボルの配置(後続フレームに相当するパイロットの付加)の一例を示す図である。次のフレームに相当するパイロットシンボルを付加しでおり、1つだけ(1周期分)付加する場合や2つ(2周期分)付加する場合が考えられる。
以上、本発明を拡張して適用する例を説明したが、このように、パイロットシンボルの有無、使用の可否によって、復調のために使用するパイロットシンボルを最適に選ぶことで、いろいろな状況での最適復調が可能になる。また、付加するパイロットシンボルも状況に合わせて付加することにより、復調の精度を向上させる効果がある。
以上のように、本発明に係る好適な実施形態によれば、各フレームに割り当てられたパイロットシンボルを有効に利用することによって、復調の精度を向上させることができる。複数のフレームのパイロットシンボルを利用することにより、フレームに割り当てるパイロットシンボルの割合を抑制することができる。