JP5545527B2 - 距離画像取得装置 - Google Patents
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Description
しかし、例えば自動車に搭載する用途では、厳しい環境下での装置の使用が要求されるが、この環境の変化は距離画像取得装置による距離の検出精度に大きく影響を与える。その中でも、特に温度変化による基線長の変化は大きな誤差要因となる。
しかし、この距離画像取得装置では温度検出用の余分な構成が付加されているため、装置の製造コストを増大させ、また装置を大型化させるという問題があった。
しかし、この距離画像取得装置では、熱変形による基線長の変動の検知方法が開示されていないため、上記従来技術と同じような温度検出用の余分な構成の付加を想定すれば、依然として装置の製造コストの増大や大型化の問題が残ったままである。
(1) 本発明に係る距離画像取得装置(請求項1に対応)は、被写体に対向する位置に設けられ、複数のレンズがアレイ配列されて2つのレンズペアを構成し、その1つがステレオレンズペアを構成するレンズアレイと、このレンズアレイの像面側に設けられ、上記複数のレンズのそれぞれにより略結像される被写体の縮小像(「個眼像」という)の集合である複眼像を撮像する撮像手段と、上記ステレオレンズペアによる個眼像ペアから距離画像を算出する距離画像演算器とから成る距離画像取得装置を前提として、
上記撮像手段と略平行な平面内において、かつ上記ステレオレンズペアの配列方向に対し略垂直方向の任意の一断面においてのみ、上記レンズアレイと接触して該レンズアレイを保持する保持部材と、
1つの個眼像ペアの視野をそれぞれ制限し、上記レンズアレイに一体化された視野制限手段と、
視野が制限された個眼像ペアから算出した輝度値と、視野が制限されない個眼像から算出した輝度値との比に基づいて、上記ステレオレンズペアにおける基線長変動量を検知し、上記距離画像演算器による距離出力の値を補正するための演算器とを備えることである。
このようなレンズアレイを用いる距離画像取得装置では、レンズアレイの各レンズに対して絞りとして作用する開口部を設けることにより、レンズ以外の部分を通過する光線の像面への到達が抑制され、取得される像の品質を向上することができる。
そして、上記のような構成によって、レンズアレイの各レンズの絞りとして作用する開口アレイの一部に、視野制限手段の機能を持たせることができるので、基線長変動量を検知するための新たな構成を付加する必要がなく、製造コストの増大や装置の大型化を回避することができる。
このようなレンズアレイを用いる距離画像取得装置では、レンズアレイの各レンズを通過した光が撮像手段上でクロストークを起こし、取得される画像の品質を低下させる場合がある。このようなクロストークを防止するために、各レンズの通過光線が隣のレンズによる画像の領域内に侵入しないように、レンズと一対一に対応する隔壁アレイを設けている。
そして、上記のような構成によって、レンズアレイを通った光のクロストークを防止する隔壁アレイの一部に、視野制限手段の機能を持たせることができるので、基線長変動量を検知するための新たな構成を付加する必要がなく、製造コストの増大や装置の大型化を回避することができる。
上記(4)の距離画像取得装置では、レンズアレイの被写体側、又は像側の少なくとも一方の面に隔壁アレイを接合する必要があるが、この接合面にレンズの凸形状がある場合、隔壁アレイに設けた視野制限手段が上記レンズの凸形状と干渉を起こし、レンズと隔壁アレイとの間に不確定な隙間ができる等の問題を発生するが、上記のような構成によって、隔壁アレイとレンズアレイとの接合部において、隔壁アレイにレンズ面のサグに応じた逃げ部を持たせることにより、干渉を起こさないようにすることができるので、レンズと隔壁アレイとの間に不確定な隙間ができることはない。
このような構成により、上記(1)の距離画像取得装置と同様の作用を生じるものである。
このような構成により、上記(1)の距離画像取得装置と同様の作用を生じるものである。
このような距離画像取得装置において、視野制限手段による視野の制限量が想定される温度環境に対して不適切であると、レンズ有効面積等で規定される視野制限幅を有効に活用できず、検知可能な基線長変動の範囲を制限してしまう場合があるが、上記のような構成によって、想定される温度環境の最高温度、最低温度及び常温との関係から、上記視野制限手段による制限量を適正に規定することにより、上記視野制限幅を有効に活用することができ、検知可能な基線長変動の範囲を最大限にすることが可能である。
このような距離画像取得装置において、レンズペアに設けた視野制限手段の形状によっては、検知される輝度値から基線長変動量を求める処理工程が複雑になる場合があるが、上記のような構成によって、レンズペアに設けられた視野制限手段が、撮像手段と略平行な方向において、ペアとなるレンズ間で略対称な形状を有することによって、検知される輝度値から基線長変動量を求める処理工程を簡便にすることができる。
(1) 請求項1、4及び5に係る発明
保持部材に保持されたレンズアレイの作用と視野制限手段の作用、及び演算器による簡単な演算により、基線長の変動を検知して、距離検出への影響を補正することができるので、基線長変動量を検知するための新たな構成を付加する必要がなく、製造コストの増大や装置の大型化を回避することができ、温度変化の影響を受けず高精度の距離検出が可能な小型の距離画像取得装置を提供することができる。
距離画像取得装置における視野制限手段の作用が、レンズアレイの各レンズの絞りとして機能する開口アレイの一部を利用して得られるため、基線長変動量を検知するための新たな構成を付加する必要がないので、製造コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
(3) 請求項3に係る発明
印刷工程を用いてレンズアレイの面に不透明なインク樹脂を塗布することによって、開口アレイを簡易に、かつ低コストで形成することができる。
想定される温度環境の最高温度、最低温度及び常温との関係から、上記視野制限手段による制限量を適正に規定することによって、上記視野制限幅を有効に活用することができるので、検知可能な基線長変動の範囲を最大限にすることが可能である。
(5) 請求項7に係る発明
レンズペアに設けられた視野制限手段が、撮像手段と略平行な方向において、ペアとなるレンズ間で略対称な形状を有することにより、検知される輝度値から基線長変動量を求める処理工程を簡便にすることができる。
本実施例1の距離画像取得装置は、視野制限手段の作用を開口アレイに持たせたものであり、その構成について図1を参照しながら説明する。図1(a)は、距離画像取得装置を被写体側からみた模式図であり、図1(b)は、矢印方向にある被写体を撮像する場合の距離画像取得装置の模式的断面図である。図1(a)及び図1(b)において、同じ部品には同じ符号を付けている。
この距離画像取得装置でCMOSセンサにより撮像される像は、図2に模式的に示したような複眼像になる。この複眼像は、レンズアレイ1におけるレンズの個数に対応して4つの個眼像(被写体の縮小像)から構成される。図2における符号10は、第1のレンズペア1’による第1の個眼像ペアであり、符号11は第2のレンズペア1''による第2の個眼像ペアである。この第2の個眼像ペア11は、第2のレンズペア1''のレンズの一部をインク薄膜で覆ったことにより、像が観察されない(インク薄膜の影ができた)個眼像領域11a,11bを含んでいる。符号12は隔壁アレイ2の影である。
ここで基線長の変動について説明すると、第1のレンズペア1’の間隔Bは前述のように基線長と呼ばれ、この値は検出される距離の精度にシビアに影響する。レンズ間隔Bの誤差は基線長誤差となり、被写体距離によらず一定に生じる。しかし、ステレオカメラでは複眼像間の視差が検出信号となり、被写体がカメラから遠のくにつれ視差は小さくなっていくため、一定量のノイズがあればSN比がその分劣化していくことになる。そのため、CMOSセンサ4の画素サイズをはるかに下回るような小さい視差を問題とする場合、基線長誤差はそれ以下に抑える必要がある。
上述のようにして検知された基線長変動量を(1)式におけるqに代入して計算することにより、温度による基線長の変動により発生する距離検出誤差を排除、又は抑制した距離画像を取得することができる。
逆に、当該インク薄膜で覆う領域のサイズが大きすぎると、レンズがある一定レベルまで縮んだとき、インク薄膜の影が個眼像視野全体を覆ってしまう(図3(c)における影部分が個眼像全部を覆う状態)。そして、それより低温の環境下ではインク薄膜の影による視野制限作用が得られなくなってしまい、上述のような基線長の変動を検知できなくなる。そのため、次の(2)式に基づき、レンズの有効面積に対するインク薄膜領域の割合を規定する。
また、インク薄膜の塗布パターンは、レンズ配列軸8方向において視野を制限し、温度変化に伴って視野制限量が変化する作用が得られれば任意で良いが、上記撮像手段と略平行な方向において、ペアとなるレンズ間で略対称な形状を有するように(図1に示すインク薄膜の塗布パターンの態様に)した方が、校正データがリニアに近い関係となる等により、挙動の把握が容易になるので有利である。(請求項7)
温度変化に伴う基線長の変動を検知して、その影響を補正して距離画像を取得する処理について、そのフロー図を図4に示す。
上記実施例1の距離画像取得装置(図1を参照)では、開口アレイ3の一部を視野制限手段として作用させているが、本実施例2による距離画像取得装置は、隔壁アレイ15の一部を視野制限手段として作用させるものである。なお、本実施例2において、上記実施例1のものと共通する部品は、同じ符号を用いて示し、同じ機能や作用を有するものである。
1b…レンズ(像側) 1’…第1のレンズペア
1''…第2のレンズペア 2…隔壁アレイ
3…開口アレイ 4…CMOSセンサ
5…基板 6…筺体
7a,7b…接着部 8…レンズ配列軸
9…レンズ配列軸に垂直な軸 10…第1の個眼像ペア
11…第2の個眼像ペア
11a,11b…像が観察されない個眼像領域
12…隔壁アレイの影
13,13’…個眼像内の微小ブロック 14…開口アレイ
15…隔壁アレイ 15’…隔壁アレイの逃げ部
20…距離画像演算器 21…画像キャプチャ部
22…視差検出演算器 23…基線長変動量演算器
24…距離演算器 25…校正データ用メモリ
I1a,I1b,I2a,I2b…画像データ
Claims (7)
- 被写体に対向する位置に設けられ、複数のレンズがアレイ配列されて2つのレンズペアを構成し、その1つがステレオレンズペアを構成するレンズアレイと、このレンズアレイの像面側に設けられ、上記複数のレンズのそれぞれにより略結像される被写体の縮小像(「個眼像」という)の集合である複眼像を撮像する撮像手段と、上記ステレオレンズペアによる個眼像ペアから距離画像を算出する距離画像演算器とから成る距離画像取得装置において、
上記撮像手段と略平行な平面内において、かつ上記ステレオレンズペアの配列方向に対し略垂直方向の任意の一断面においてのみ、上記レンズアレイと接触して該レンズアレイを保持する保持部材と、
1つの個眼像ペアの視野をそれぞれ制限し、上記レンズアレイに一体化された視野制限手段と、
視野が制限された個眼像ペアから算出した輝度値と、視野が制限されない個眼像から算出した輝度値との比に基づいて、上記ステレオレンズペアにおける基線長変動量を検知し、上記距離画像演算器による距離出力の値を補正するための演算器とを備えることを特徴とする距離画像取得装置。 - 上記レンズアレイと同質の材料からなり、上記複数のレンズの絞りとして作用する開口アレイを備え、この開口アレイの一部を上記視野制限手段として作用させることを特徴とする請求項1に記載の距離画像取得装置。
- 上記開口アレイは、上記レンズアレイの被写体側又は像側の一方の面に塗布した薄膜により形成されることを特徴とする請求項2に記載の距離画像取得装置。
- 上記視野が制限された個眼像を、その輝度値に基づき有効領域と無効領域に分別し、その個眼像ペアの上記有効領域における画像の輝度値の総和と、視野が制限されない個眼像の輝度値の総和との比について、基線長変動量との関係を校正データとして予め記憶しておき、現に検出される各輝度値の総和の比から上記校正データを用いて基線長変動量を検知することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の距離画像取得装置。
- 上記視野が制限された個眼像を、その輝度値に基づき有効領域と無効領域に分別し、その個眼像ペアの上記有効領域における画像の輝度値の平均と、視野を制限されない個眼像の輝度値の平均との比について、基線長変動量との関係を校正データとして予め記憶しておき、現に検出される各輝度値の平均の比から上記校正データを用いて基線長変動量を検知することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の距離画像取得装置。
- 想定される温度環境の最高温度、最低温度、及び常温との関係から、上記視野制限手段による制限量を規定することを特徴とする請求項1に記載の距離画像取得装置。
- レンズペアに設けられた上記視野制限手段が、上記撮像手段と略平行な方向において、ペアとなるレンズ間で略対称な形状を有することを特徴とする請求項1に記載の距離画像取得装置。
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