JP5545117B2 - 静電型面スピーカ装置 - Google Patents
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Description
面スピーカは、平板の面積を広くとるほど、音の指向性が平板に垂直な方向に強くなり、その結果、音が遠くまで到達する。
このような特徴を活用して、複数個の静電型スピーカを折り曲げ可能に連結することにより、カーテンスピーカを実現し、カーテン状に連結されたスピーカの開け閉め量を調整することにより、発音面積を変更し、音場を自由に制御できるようにしたものが知られている(特許文献2)。
上述した特許文献2においては、複数枚の静電スピーカを第1及び第2の連結部材により横方向に連結することにより、互い違いに折れ曲がる(ジグザグ)カーテン状に一体化される。第1連結部材と前部多孔質絶縁層との重ね合わせ部が縫合されることにより、前部多孔質絶縁層同士を連結する。第2連結部材と後部多孔質絶縁層との重ね合わせ部が縫合されることにより、後部多孔質絶縁層同士を連結する。第1及び第2の連結部材は、前部及び後部多孔質絶縁層と同様な材質により形成されており、いずれも、一定方向に屈曲するように襞が形成されている。
しかし、折り曲げ部分においては、静電型スピーカとは別体の連結部材を設ける必要がある。かつ、連結部材を静電型スピーカの絶縁層と縫合する工程がある。そのため、構成が複雑で製造が容易でないという問題があった。
連接部においては、第1,第2の固定電極シートの層及び振動電極シートの層が存在しないので、この連接部で、折り曲げたり折り畳んだりしても、電極シートが傷まないので、折り曲げ、折り畳みの繰り返しに対して耐久性がある。その結果、折り曲げて使用したり、コンパクトに折り畳んで収納したりすることができる。
連接部に存在する、少なくとも、前記第3の絶縁性シートの層と前記第4の絶縁性シートの層とは、隣接するユニットにおける同じ層から連続して存在する、言い換えれば、これらの層は、全てのユニット及び連接部に共通の連続した層である。そのため、連接部を設けるために、別の連結部材を設けたり、この連結部材と隣接するユニットを縫合等により結合したりする工程が不要である。
接着層により接着された互いに接する層は、層間に隙間ができたり、層間がずれたりしにくくなるから、積層体としての一体性が増し、静電型面スピーカとしての形状が崩れにくい。静電型面スピーカの全体を折り曲げたとき、積層シートの各層が破損しないようにしたり、ずれて皺ができないようにしたりする。接着層は、所定の方向に間隔をあけて配設されているため、音響透過性を妨げにくい。
特に、接着層により、振動電極シートが第1の絶縁性シートと第2の絶縁性シートに支持される場合は、振動電極シートと第1,第2の絶縁性シートとの相互作用を安定させる。
従って、連接部において、シートに無理な引張りや圧縮が加わりにくくなるので、静電型面スピーカを積層の一方側に曲げることを容易にし、かつ、折り曲げ、折り畳みの繰り返しに対して一層耐久性が増す。
したがって、第1ないし第3の接続導体を導電性接着層に圧着するだけで、駆動信号を供給する第1ないし第3の入力導体を、それぞれ、第1の固定電極シート、前記振動電極シート、前記第2の固定電極シートに簡単に電気的接続することができる。
第1ないし第3の入力導体として、FPC(フレキシブルプリント基板)や銅テープを用いることができる。
また、導電性接着層は、請求項1に記載の接着層の機能も備えるから、積層体としての一体性を増すために配設される接着層の一部(例えば、静電型面スピーカの周縁部近傍)と置き換えることができる。
従って、連接部を間にして隣接する第1のユニットと第2のユニットとの間において、対応する電極同士を、第1ないし第3の接続導体を導電性接着層に圧着するだけで簡単に電気的接続することができる。第1ないし第3の接続導体として、FPCや銅テープを用いることができる。
例えば、鍵盤部を備える楽器本体部を当該左右において支持する左脚体(2)及び右脚体(2)を有する電子鍵盤楽器において、前記左脚体(2)及び前記右脚体(2)の間に、前記請求項1から5までのいずれか1項に記載の静電型面スピーカ装置(図1の14、図5の50A,50B、図6の60、図7の80)が配設される。
上述した電子鍵盤楽器において、前記静電型面スピーカ装置(13)を沿わせて折り曲げる案内部材(24)と、前記静電型面スピーカ装置(13)の下端部に結合する結合部材(26)を有し、前記静電型面スピーカ装置(13)は、当該上端部が前記左脚体(2)及び前記右脚体(2)の間に固定され、当該下端部が自由端となるものであり、前記静電型面スピーカ装置(13)は、前記案内部材(24)に沿って折れ曲がった後に当該静電型面スピーカ装置(13)の下端部が前記結合部材(26,28)に結合することにより、面一を保持する形態(図2(a))から折れ曲がりを保持する形態(図2(b)、図2(c))に変化するものとし、前記案内部材(24)に沿って折れ曲がる部分に、前記静電型面スピーカ装置の連接部(52,54a,54b、60C、80C)が位置するようにする。
その結果、静電型面スピーカ装置を折り曲げて使用したり、コンパクトに折り畳んで収納したりすることができる。この静電型面スピーカ装置は、電子鍵盤楽器のスピーカとして使用すると好適である。
図1(a)は斜視図、図1(b)は図8(1)に示す面スピーカパネルの長手方向中央の垂直断面図、図1(c)は面スピーカパネルの変形例の長手方向中央の垂直断面図である。
図中、演奏者から見て左側において、1は脇側面板(側面部)、2は側面板(側面部)、3は前脚、4は前脚3と側面板2とを接続するステーである。同様の構造が図示右側にもあり、同じ符号を付している。
左右の脇側面板1の間に、鍵盤部が配置されているが、鍵盤蓋5が閉じているので見えない。図示の鍵盤蓋5は2枚折れタイプである。演奏時に、鍵盤蓋5は後述する上前板7の下部から楽器本体部の奥に収納される。
面スピーカが、平坦で薄い平板形状である場合、平面波が発生するので、聴取位置が電子鍵盤楽器から遠ざかっても減衰が少なく、よく聞こえる。一方、聴取位置が電子鍵盤楽器の至近位置になってもうるさく感じられない。
電子鍵盤楽器は、鍵盤部の鍵配列方向の幅が長い。そのため、面スピーカの一辺が鍵配列方向に沿うように、左右の側面板(左脚体と右脚体)2の間に、面スピーカを配設すれば、面スピーカの面積を広くとることができる。また、アップライト型の電子鍵盤楽器は、演奏者の身長に見合う高さがある。そのため、面スピーカの一辺が筐体の高さ方向に沿うように、面スピーカの上端を上部位置に配設すれば、面スピーカの面積を広くとることができる。
一方、湾曲面が形成された湾曲面スピーカである場合、湾曲面の凸面側においては、音波の指向角が広角になり、湾曲面の凹面側においては、音波が集束する。
なお、図1(b)、図1(c)のいずれにおいても、面スピーカ14の周縁部には、固定電極や振動電極を設けないようにすることが望ましい。また、枠体15として、面スピーカ14と柔軟性がさほど変わらない、軟質の合成樹脂製のものを用いる。
面スピーカパネル13は、結合部材16が第1の被結合部材17に掛止めされることにより、その面スピーカ14が面一の状態から形態が変わらない。
従って、面スピーカパネル13は、その上端部が左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間の上部位置に固定され、その下端部が自由端となる。
なお、面スピーカパネル13の上端部は、回動しない単なる固定軸によって、左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間の上部位置に固定されていたり、棚板21の下面に固定されていたりしてもよい。
コーンスピーカ19、20には、ステレオの駆動信号が供給される。右側のコーンスピーカ20をなくして、鍵盤の低音域側に対応する左側のコーンスピーカ19だけにしてもよい。コーンスピーカ19,20は、上前板7に設ける場合に限らず、図示しない棚板にスピーカの前面開口部を下向きにして配置してもよい。
楽器本体部は、ユーザの鍵操作により楽音信号を生成する楽音信号生成部を内蔵する。
図2(a)〜図2(c)は、図1において、右側の側面板2を除去したときに、右側面から、面スピーカパネル13と左側の側面板2とを図示している。
図面を簡単化するため、面スピーカパネル13における面スピーカ14及び枠体15の表示を省略する。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を付している。
図2(a)は、面スピーカパネル13が、面一を保持する形態を示す説明図である。
図2(b)、図2(c)は、面スピーカパネル13が折れ曲がりを保持する第1,第2の形態を示す説明図である。
ユーザが面スピーカパネル13を手動操作することにより、上述した3種類の保持形態間で形態が変化する。
演奏者による演奏や自動演奏で楽音を発生させるとき、面スピーカパネル13(面スピーカ14)は、図2(a)〜図29(c)に示すいずれの形態であってもよい。
24は、面スピーカパネル13を沿わせて折り曲げる案内部材であって、図示の例では、断面が円形の棒であり、左右の側面板2の間に架設される。
26は第2の被結合部材であり、27はこの被結合部材26の支持体であって、図示の例では、断面が矩形の棒であり、左右の側面板2の間に架設されている。
28は、第3の被結合部材であり、図示の例では、背面板22の裏面に設けられる。
この形態で面スピーカ14を駆動すると、面スピーカ14の前面から、電子鍵盤楽器の前方に平面波が出力される。同時に、面スピーカ14の背面からも、電子鍵盤楽器の後方に平面波が出力される。
図2(b)に示すように、ユーザが、案内部材24に沿って折れ曲がった面スピーカパネル13の結合部材16を第2の被結合部材26に結合することにより、面スピーカパネル13は、折れ曲がりを保持する形態に変化する。
この形態で面スピーカ14を駆動すると、案内部材24に当接する位置を境に、面スピーカ14のC1の部分の前面から発生する楽音が、演奏者の耳29により効果的に受聴される。
この場合、面スピーカ14のC1の部分の背面から発生する楽音が、電子鍵盤楽器の後方にいる聴衆に効果的に直達される。
さらに、面スピーカパネル13を折り曲げる角度を180度とすることにより、畳み込まれた状態を保持する形態にすることもできる。この畳み込まれた状態は、折れ曲がる形態の極限の形態である。
図3(a)は面スピーカ30の積層構造を開いて見せた模式図、図3(b)は面スピーカ30の部分平面図、図3(c)は面スピーカ30の部分断面図、図3(d)は面スピーカ30の他の例を示す部分断面図である。
図3(a)〜図3(c)において、音響透過性を有する第1の固定電極シート32と音響透過性を有する第2の固定電極シート36との間に、音響透過性を有する第1の絶縁性シート33と音響透過性を有する第2の絶縁性シート35とを介して、特に薄くて柔軟性を有する振動電極シート(振動膜)34が積層配置されている。
第1の絶縁性シート33、第2の絶縁性シート35は、薄くて柔軟性がある緩衝材(クッション材)である。また、上述した第1の固定電極シート32、第2の固定電極シート36も、薄くて柔軟性がある。
振動電極シート34の前面から出力された音は、第1の絶縁性シート33、第1の固定電極シート32を透過し、この静電型スピーカの前面から放出されるとともに、振動電極シート34の背面から出力された音は、第2の絶縁性シート35、第2の固定電極シート36を透過し、この静電型スピーカの背面から放出される。
従って、この面スピーカ30は、全体としても、柔軟性のある薄型フレキシブル(flexible)静電型スピーカである。
上述した振動電極シート34を除き、他の第1の固定電極シート32、第2の固定電極シート36、第1の絶縁性シート33、第2の絶縁性シート35、第3の絶縁性シート、第4の絶縁性シート37は、通気性を有している。なお、第3の絶縁性シート31、第4の絶縁性シート37は、省略可能である。
振動電極シート34は、接着層38a〜38e,39a〜39eにより間隔をあけて支持される。
この接着層38a〜38e,39a〜39eにより、振動電極シート34は、接着層38a〜38e,39a〜39eのない領域で、振動電極シート34に対し、第1の絶縁性シート33との間、及び、第2の絶縁性シート35との間が僅かに離間して支持される。
接着層38a〜38e,39a〜39eは、静電型の面スピーカにとって必須のものではない。しかし、振動電極シート34は、緩衝作用のある第1の絶縁性シート33、第2の絶縁性シート35との間で相互作用を及ぼし合いながら、これらと一体となって振動する。
従って、接着層38,39は、スペーサというよりも、振動電極シート34と第1の絶縁性シート33、第2の絶縁性シート35との相互作用を安定させる機能がある。接着層38,39は、また、面スピーカ30の全体を折り曲げたときに、多層状に形成された積層シートの各層が破損しないようにしたり、ずれて皺ができないようにしたりする役目を果たす。
図3(d)において、振動電極シート34は、接着層38f,38gにより、第1の絶縁性シート33に等間隔の第1の支持位置で支持されるとともに、接着層39f,39gにより、第2の絶縁性シート35に等間隔の第2の支持位置で支持される。第1の支持位置と第2の第1の支持位置とは交互に配置されるので、振動電極シート34は、交互に支持される。
上述した第1の固定電極シート32、第2の固定電極シート36は、ポリエチレンテレフタレートの片面又は両面に、アルミニウム等の導電性を有する金属を蒸着したり、導電性塗料を塗布したりして、その厚みを貫通する多数の貫通孔32a,36aが形成されたパンチングメタルである。この試作品では、厚さが0.5[mm]である。
第1の固定電極シート32、第2の固定電極シート36は、パンチングメタルに代えて、金網を用いてもよいし、不織布にアルミニウム蒸着をしたものを用いてもよい。後者の場合、第3の絶縁性シート31と第1の固定電極シート32とを一体化し、第4の絶縁性シート37と第2の固定電極シート36とを一体化することができる。
上述した第1の絶縁性シート33、第2の絶縁性シート35は、例えば、発泡合成樹脂や不織布である。
上述した第3の絶縁性シート31、第4の絶縁性シート37も、例えば、発泡合成樹脂や不織布であるが、材料選択の自由度が大きい。
先の図3においては、接着層38a〜38e,39a〜39eを図示縦方向に並べて互いに平行配置していた。図5においては、加えて、接着層41a,41b,41cを、図示横方向に並べて互いに平行配置したものである。
図示の接着層41a,41bは、接着層38a〜38d,39a〜39dと同じ間隔で配置されている。
上述した縦方向、横方向に配置する2種の接着層に代えて、1枚の格子状接着層を用いれば、接着層の厚みが均一になる。
この面スピーカ40の積層断面構造は、接着層の配置を除けば図3(c)、図3(d)と同じであるので図示を省略する。
これらに加えて、第3の絶縁性シート31と第1の固定電極シート32との層間、第1の固定電極シート32と第1の絶縁性シート33との層間、第2の絶縁性シート35と第2の固定電極シート36との層間、第2の固定電極シート36と第4の絶縁性シート37との層間のうち、任意の層間を、図示しない接着層(両面接着テープ)で接着してもよい。特に、面スピーカ40の周縁部においては、全ての層間を接着層(両面接着テープ)で接着してもよい。
しかし、層間によって、接着位置を異ならせてもよい。また、層間によって、縦方向に並べる1次元平行配置と、これに直交する横方向に並べる1次元平行配置の選択を変えたりすることができる。
この具体例は、図3に示した積層断面構造を有した面スピーカ30を1ユニットとし、複数のユニットを、間隔をあけて配置したものを、1つの面スピーカ50A又は50Bとして形成したものである。
すなわち、面スピーカ50A,50Bは、複数のユニットと、これら複数のユニットのうち隣接するユニット同士を連結する連接部に区分された積層シートである。
図5(a)においては、複数の面スピーカユニットを1次元配置し、図5(b)においては、複数の面スピーカユニットを2次元配置(縦横方向)している。
このような工程で製造すれば、箇々の面スピーカユニット511〜515の面積が小さくても、広い面積の面スピーカ50A,50Bが得られる。
ここで、連接部52に存在する絶縁性シートの層は、隣接するユニットにおける同じ層から連続して存在する。言い換えれば、これらの層は、全てのユニット及び連接部に共通の連続した層である。そのため、連接部を設けるために、別の連結部材を設けたり、この別の連結部材を隣接するユニットと縫合や接着等により結合したりする工程が不要である。
この具体例では、面スピーカユニット531〜534は、横方向が連接部54aにより連接され、縦方向が連接部54bにより連接されている。連接部54a,54bにおける積層構造は、図5(a)に示した連接部52と同様である。
さらに、面スピーカユニット531〜534の周縁部54cも、図示しない枠体を取り付ける領域とするために、連接部54a,54bと同じく、導電層のない積層構造にしている。
図6(a)は、面スピーカの平面図であって、面スピーカ内の固定電極シートの配置を加えたものである。図6(b)は、図6(a)に面スピーカ内の導電性接着剤の配置を加えた平面図である。
図6(c),(d),(e)は、それぞれ、図6(b)の矢視X-X,Y-Y,Z-Z方向を見た断面図である。図中、図3と同様な部分には同じ符号を付している。
この面スピーカ60は、モノラル(単チャンネル)用に、左右に2つの面スピーカユニット60A,60Bが中央の連接部60Cにおいて折り曲げ可能に配置されたものである。ほぼ左右対称構造であるため、左右の対称構成には同じ符号を付し、左側の面スピーカユニット60Aについてのみ説明する。
面スピーカユニット60A,60Bの間の領域が連接部60Cであり、面スピーカユニット60A,60Bを合わせたものの周縁部は、図示しない枠体を取り付ける領域となる。
図6(a)、図6(b)に示す62は、第1のフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit Board、以下FPCという)であり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示されない)が被着されたものである。
第1のFPC62は、第1の導電性接着層61と同一の層間にあって、面スピーカユニット60Aの上縁の一端部に設けられる。第1の導電性接着層61の一端部61aと第1のFPC62の一端部62aにおける導体箔とは、面スピーカユニット60Aの上縁の一部において重なり合い接着される。第1のFPC62の他端部は、幅狭の第1の接続端子62bとなる。第1の接続端子62bの裏面にも導体箔が被着されている。第1の接続端子62bには入力線71の一端を挿入するための孔が開いており、挿通された入力線71の先端は、導体箔に半田付けされる。
64は第2のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示せず)が被着されたものである。第2のFPC64は、第2の導電性接着層63と同一の層間にあって、面スピーカユニット60Aの左縁の上部に設けられる。第2の導電性接着層63の一端部63aと第2のFPC64の一端部64aにおける導体箔とは、面スピーカユニット60Aの左縁の一部において重なり合い接着される。
第2のFPC64の他端部は、幅狭の第2の接続端子64bとなる。第2の接続端子64bには、入力線72の一端を挿入するための孔が開いており、挿通された入力線72の先端は、導体箔に半田付けされる。
66は第3のFPCであり、第3の導電性接着層65と同じ層間にあって、面スピーカユニット60Aの下縁の一部から、方向を変えて左縁(第2の導電性接着層63の左側)を縦に延設される。第3の導電性接着層65の一端部65aと第3のFPC66の一端部66aにおける導体箔(図示せず)は、面スピーカユニット60Aの下縁の一部において重なり合い接着される。
第3のFPC66の他端部は、幅狭の第3の接続端子66bとなる。第3の接続端子66bには、入力線73の一端を挿入するための孔が開いており、挿通された入力線73の先端は、導体箔に半田付けされる。
なお、連接部60Cにおいては、第1の絶縁性シート33、第2の絶縁性シート35も欠如していてもよい。
従って、図5に示した連接部82と同様に、連接部60Cに存在する絶縁性シートの層は、左右に隣接するユニット60A,60Bにおける同じ層から連続して存在し、全てのユニット及び連接部に共通の連続した層である。この連接部60Cで折り曲げたり折り畳んだりしても、電極シートが傷まない。振動電極シート(振動膜)34も、この連接部(折り畳み部)60Cに存在しないことになるので、折り曲げ使用時での振動を妨げないメリットもある。
右側の面スピーカユニット60Bにおいても、上述した第4の導電性接着層67と対称配置(面スピーカユニット60Bの左縁を縦方向)で同じ符号を付した第4の導電性接着層67が設けられている。
68は第4のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示せず)が被着され、その一端部68aと他端部68bとは縦方向に延びた短冊状であり、両者は、縦方向上部において幅狭の連結部により連結された形状である。
第4のFPC68は、第4の導電性接着層67と同一の層間にあって、面スピーカユニット60Aの左縁及び面スピーカユニット60Bの右縁の上部に設けられる。左の第4の導電性接着層67の一端部67aと第4のFPC68の一端部68aにおける導体箔とは、面スピーカユニット60Aの右縁の一部において重なり合い接着される。同様に、右の第4の導電性接着層67の一端部67aと第4のFPC68の他端部68bにおける導体箔とは、面スピーカユニット60Bの左縁の一部において重なり合い接着される。
69は第5のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示せず)が被着され、その一端部69aと他端部69bとは横方向に延びた短冊状であり、両者は、同じ横方向の幅狭の連結部により連結された形状である。
第5のFPC69は、第1の導電性接着層61と同一の層間にあって、面スピーカユニット60A及び面スピーカユニット60Bの上縁に設けられる。左の第1の導電性接着層61の他端部61bと第5のFPC69の一端部69aにおける導体箔(図示せず)とは、面スピーカユニット60Aの上縁の一部において重なり合い接着される。同様に、右の第1の導電性接着層61の他端部61bと第5のFPC69の他端部69bにおける導体箔とは、面スピーカユニット60Bの上縁の一部において重なり合い接着される。
図6(b)、図6(e)に示す70は第6のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔が被着され、上述した第5のFPC69と上下対称の形状をしている。
第6のFPC70は、第2の導電性接着層65と同一の層間にあって、面スピーカユニット60A及び面スピーカユニット60Bの下縁に設けられる。左の第2の導電性接着層65の他端部65bと第6のFPC70の一端部70aにおける導体箔70cとは、面スピーカユニット60Aの下縁の一部において重なり合い接着される。同様に、右の第2の導電性接着層65の他端部65bと第6のFPC70の他端部70bにおける導体箔とは、面スピーカユニット60Bの下縁の一部において重なり合い接着される。
面スピーカユニット60A,60Bの連接部60Cにおいては、上述した第4〜第6のFP638,69,70の幅を狭くすることにより、連接部60Cを折り曲げやすくしている。また、図5の連接部52を参照して説明したように、第1の固定電極シート32、振動電極シート34、第2の固定電極シート36が欠けている。
従って、面スピーカ60は、その中央部の連接部60Cにおいて、折り曲げ可能である。
上述した面スピーカ60において、第4〜第6のFPC68,69,70を用いないで、面スピーカユニット60Bを、面スピーカユニット60Aと対称構造にし、面スピーカユニット60Bにも入力線71,72,73を設ければ、面スピーカ60がステレオスピーカとなる。
この場合、面スピーカ60の上辺を面スピーカ14の右辺とし、面スピーカ60の左辺を面スピーカ14の上辺とし、各辺の長さは、図1に示した電子鍵盤楽器の寸法に応じた値になるように設計する。
さらに、連接部60Cの位置を、案内部材24に沿う面に形成されるように設計する。
連接部60Cは構造上、柔軟性を増すことが容易であるため、案内部材24による折り曲げの繰り返しに対して、十分な耐久性をもたせることができる。
図7(a)は、折り曲げ前の面スピーカ80、図14(b)は連接部80Cで折り曲げた状態の面スピーカ80の部分断面図である。
この面スピーカ80は、隣接する面スピーカユニット80A,80Bの連接部80Cを、折り曲げが容易な構造にしたものである。面スピーカ80の積層シートは、複数の面スピーカユニット80A,80Bに区分され、各面スピーカユニット80A,80Bの積層シート構造は図1と同一である。
原則として、図1と同様な部分には同じ符号を付しているが、絶縁性シートについては異なる符号を付している。81は第3の絶縁性シート、82は第1の絶縁性シート、83は第2の絶縁性シート、84は第4の絶縁性シート、85a,85b、86a,86b、87は接着層である。
なお、第1の絶縁性シート82の層、第2の絶縁性シート83の層もまた欠如していてよい。
81a,82a,83a,84aは、それぞれ、連接部における、第3の絶縁性シート、第1の絶縁性シート、第2の絶縁性シート、第4の絶縁性シートである。
図5に示した連接部52と同様に、連接部80Cに存在する絶縁性シートの層は、左右に隣接する面スピーカユニット80A,80Bにおける同じ層から連続して存在し、全てのユニット及び連接部に共通の連続した層である。
ここで、連接部80Cにおいて、隣接する面スピーカユニット80Aと80Bの一方から他方までの層の長さ、言い換えれば、連結距離が、第3の絶縁性シート81aと第4の絶縁性シート84aとでは異なるように形成されている。
その結果、第1の絶縁性シート82a、第2の絶縁性シート83aも、ゆるやかにたるんでいる。
そこで、先に説明したように、連接部80Cにおいて、第3の絶縁性シート81aを最も連結距離の長いものにしておき、第4の絶縁性シート84aほど、連結距離の短いものにしておけば、連接部80Cにおいて、第3,第1,第2,第4の絶縁性シート81a〜84aに無理な応力が発生しない。
接着層86a,86bも同様に、帯状の両面接着テープであって、境界領域において、第1の絶縁性シート82と第2の絶縁性シート83の両者を、連接部80Cの長手方向に接着する。接着層86a,86bは、接着層38,39と振動電極シート34の層を合わせた厚みのスペーサとなることが好ましい。
接着層87も同様に、帯状の両面接着テープであって、連接部80Cの中央において、第2の絶縁性シート83aと第4の絶縁性シート84aの両者を、連接部80Cの長手方向に接着する。この接着層87は、第2の固定電極シート36の層と同じ厚みのスペーサとなることが好ましい。
従って、最外層のシートさえ保護しておけば、面スピーカの耐久性が上がると考えられる。
図1に示した鍵盤蓋5に隠れた鍵盤部90における各白鍵,黒鍵の操作、ペダル12の操作は、検出部91により検出され、検出信号が制御部92に出力される。制御部92は、演奏データを音源部93に出力する。この演奏データには、押鍵及び離鍵のタイミング、押鍵又は離鍵された鍵に対応するノートナンバ(音高)、ベロシティ(押鍵速度)、アフタタッチ量等のデータが含まれている。また、操作されたペダル12の種別、操作量のデータも出力される。上述した制御部92は、機器組み込みプログラムをCPUに実行させることにより実現される。
操作子94の操作は、検出部91により検出され、制御部92に出力され、制御部92では、各操作子94に割り付けられた機能を、電子鍵盤楽器に設定する。音源部93に対する設定の場合は、音源部93に音源設定データを出力する。
MIDIインタフェース97は、パーソナルコンピュータや他の電子楽器から供給されるMIDI形式の演奏データを、背面板22(図2)に設けられた端子から入力し、制御部92に出力する。
また、音源部93は、モノラルソースを使用するとし、操作された鍵の帯域等に応じて、左右の音量比を制御(音像定位制御)するものでもよい。
混合部101は、音源部93のステレオ出力を混合し、増幅器102に出力する。増幅器102の出力は、昇圧トランス103の1次コイルに出力される。昇圧トランス103の2次コイルには、図1に示した面スピーカ14の一例としての柔軟性を有する静電型スピーカが接続される。昇圧トランス103の2次コイルは、中点タップCTを有し、中点タップCTには、高圧のバイアス直流電源104と高抵抗の抵抗器105との直列回路が接続されている。上述した2次コイルの両端が端子106,107、抵抗器105の他端が端子108となる。
ここで、静電型面スピーカの動作原理を、振動電極シート34を電位の基準にとって説明する。バイアス直流電源104により、第1の固定電極シート32及び第2の固定電極シート36は、E0=数百[V]の負に帯電し、振動電極シート34と第1の固定電極シート32との間、及び、振動電極シート34と第2の固定電極シート36との間に、互いに逆方向の静電吸引力が発生する。
同様に、増幅器102の入力側又は出力側に、静電型スピーカの周波数特性に応じた楽音信号を昇圧トランス103に供給するための高域、又は、中高域通過型フィルタ回路を挿入してもよい。
上述したフィルタ回路の特性は、コーンスピーカ18,19から出力される音と面スピーカ14から出力される音とが、周波数特性上においてバランスするように設計する。
図示を省略したが、音源部93に、図1に示した面スピーカ14に専用のソースが用意されていてもよい。この場合、この専用のソースに基づく楽音信号を、増幅器102で増幅し、昇圧トランス103に供給する。
上述した分割された面スピーカ14を、左右のチャンネルに分けた場合、音源部93からステレオ信号の供給を受けて、混合部101にて混合することなく、増幅し、左右のチャンネルの昇圧トランスに出力する。
電子鍵盤楽器に対し独立して設置される外付け面スピーカパネル111を示す説明図である。
図9(a)は斜視図、図9(b)は枠体の上縁部113aにおける水平断面図、図9(c)は、枠体113の中間高さ位置における水平断面図である。
この面スピーカパネル111は、図1に示したような電子楽器の筐体とは独立して、筐体の外に、楽音信号に応じた音を出力するものである。
上述した面スピーカ112として、図6に示した面スピーカ60が使用できる。その際、連接部60Cの構造として、図6に示した連接部60Cの構造そのもの、さらには、図7に示した連接部80Cの構造を採用することができる。
左右の枠体113を図示のように、折り曲げることにより、自立構造の面スピーカパネル111となる。折り曲げの角度、面スピーカユニット112A,112Bを向ける方向を変えることにより、面スピーカパネル111から放音される音の指向性を変えることができる。
図示の例では、面スピーカユニット112A,112Bを2個とし、かつ、支持する枠体113を2個使用したが、連接する面スピーカユニット112A,112B,…の個数を増やし、枠体113の個数もそれに応じて増やしてゆけば、屏風型の面スピーカパネル111となる。
30…面スピーカ、30A…面スピーカユニット、31…第3の絶縁性シート、32…第1の固定電極シート、32a…貫通孔、33…第1の絶縁性シート、34…振動電極シート、35…第2の絶縁性シート、36…第2の固定電極シート、36a…貫通孔、37…第4の絶縁性シート、38a〜38h,39a〜39h…接着層
40…面スピーカ、41a,41b,41c…接着層、
50A,50B…面スピーカ、511〜515、52…連接部、531〜534…面スピーカユニット、54a,54b…連接部、54c…周縁部、
60…面スピーカ、60A,60B…面スピーカユニット、60C 連接部、61,63,65,67…第1〜第4の導電性接着層、62,64,66,68,69,70…第1〜第6のFPC(フレキシブルプリント基板)、71,72,73…入力線、74…プラグ
80…面スピーカ、80A,80B…面スピーカユニット、80C…連接部、81〜84…第3,第1,第2,第4の絶縁性シート、81a〜84a…連接部における第3,第1,第2,第4の絶縁性シート、85a,85b,86a,86b,87…接着層、
90…鍵盤部、91…検出部、92…制御部、93…音源部、94…操作子、95…自動演奏部、96…曲データ記憶部、97…インタフェース、98L,98R、100L,100R…増幅器、99L,99R…外部出力端子、101…混合部、102…増幅器、103…昇圧トランス、104…バイアス直流電源、105…抵抗器、106,107,108…端子、
111…面スピーカパネル、112…面スピーカ、112A,112B…面スピーカユニット、112C…連接部、113…枠体、113a…上縁部、113b…左縁部、113c…下縁部、113d…右縁部、114…ネジ部材、115…細溝、116…取付孔、117…ネジ孔
Claims (4)
- 音響透過性がある第1の固定電極シートと、音響透過性及び緩衝作用がある第1の絶縁性シートと、振動電極シートと、音響透過性及び緩衝作用がある第2の絶縁性シートと、音響透過性がある第2の固定電極シートが順に積層され、前記第1の固定電極シートの上に音響透過性がある第3の絶縁性シートが積層され、前記第2の固定電極シートの下に音響透過性がある第4の絶縁性シートが積層された積層シートを有する静電型面スピーカ装置であって、
前記積層シートは、複数のユニットと、該複数のユニットのうち隣接するユニット同士を連結する連接部に区分され、
前記連接部における積層シートは、前記第1の固定電極シートの層、前記振動電極シートの層、及び、前記第2の固定電極シートの層が存在せず、かつ、少なくとも、前記第3の絶縁性シートの層、及び、前記第4の絶縁性シートの層が、前記隣接するユニットにおける同じ層から連続して存在するものであり、
前記各ユニットにおける積層シートは、
少なくとも一部の互いに隣接する層の間に、間隔をあけて、当該少なくとも一部の互いに隣接する層同士を接着する接着層が配設されたものである、
ことを特徴とする静電型面スピーカ装置。 - 前記連接部における積層シートに存在する複数の層は、
積層の順に、前記隣接するユニットの一方のユニットから他方のユニットまでの長さが順次長くなるものとすることにより、前記連接部における積層シートを折り曲げやすくした、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電型面スピーカ装置。 - 少なくとも1つの前記ユニットにおける積層シートは、前記第1の固定電極シートの層、前記振動電極シートの層、前記第2の固定電極シートの層、のそれぞれと当該層に隣接する一方の層とを接着する、第1ないし第3の導電性接着層が局部的に配置されたものであり、
前記第1の固定電極シート、前記振動電極シート、前記第2の固定電極シート、のそれぞれに、駆動信号を供給する第1ないし第3の入力導体を有し、
前記第1ないし第3の入力導体の一端部は、それぞれ、前記第1ないし第3の導電性接着層を介して、前記第1の固定電極シート、前記振動電極シート、前記第2の固定電極シートに電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電型面スピーカ装置。 - 前記隣接する第1のユニット及び第2のユニットにおける各積層シートは、
前記第1の固定電極シートの層、前記振動電極シートの層、前記第2の固定電極シートの層、のそれぞれと当該層に隣接する一方の層とを接着する、第1ないし第3の導電性接着層が局部的に配置されたものであり、
前記第1の固定電極シート、前記振動電極シート、前記第2の固定電極シート、のそれぞれを、前記隣接する第1のユニット及び第2のユニット同士を連結する連接部において接続する、第1ないし第3の接続導体を有し、
前記第1ないし第3の接続導体の一端部は、前記隣接する第1のユニットにおいて、前記第1ないし第3の導電性接着層を介して前記第1の固定電極シート、前記振動電極シート、前記第2の固定電極シートに電気的に接続され、かつ、
前記第1ないし第3の接続導体の他端部は、前記隣接する第2のユニットにおいて、前記第1ないし第3の導電性接着層を介して前記第1の固定電極シート、前記振動電極シート、前記第2の固定電極シートに電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電型面スピーカ装置。
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