JP5544835B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
剥離層には、粘着層と剥離層の間にシリコーン系化合物などの剥離剤が用いられることが特許文献1にて記載されており、容易に剥離できるため一般的に用いられている。しかし、近年偏光板、位相差板など光学部材に使用される表面保護フィルムにおいて、剥離剤が何らかの原因により粘着層に移行してしまうことが発生し、それにより保護対象物への粘着不良、外観不良を引き起こしている。そのため、粘着層へ剥離剤の移行が無い剥離層が求められており、特許文献2、3では剥離層をポリオレフィン系樹脂にすることにより解消できるとの記載がされている。しかし、特許文献2、3では粘着層と剥離層の間の剥離力が小さすぎるため剥離時にフィルムにしわや蛇行が発生する可能性がある。
すなわち、本発明は、基材層、粘着層および剥離層がこの順で積層された表面保護フィルムであって、剥離層がポリプロピレンフィルムであり、下記要件(1)〜(3)を満たす前記表面保護フィルムに関する。
(1)剥離層の粘着層と接触する面の表面粗さ(Ra)が0.10〜0.30μmである。
(2)ループ ステフネステスタで測定される剥離層の曲げ剛性が0.2×10−3〜10.0×10−3N/20mmである。
(3)粘着層と剥離層の間の剥離抵抗が0.16〜0.30N/25mmである。
また、本発明は剥離層の粘着層と接触する面の最大表面粗さ(Rz)が0.1〜10.0μmである前記表面保護フィルムに関する。また、光学部材用の表面保護フィルムである前記表面保護フィルムに関する。さらに本発明は、基材層に粘着剤をコーティングして粘着層を形成した後、該粘着層と剥離層とを積層する表面保護フィルムの製造方法に関する。
また、本発明における剥離層の、粘着層と接触する面の最大表面粗さ(Rz)は、0.1〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜9.0μmである。最大表面荒さ(Rz)が0.1μm未満の場合は、フィルムとして巻取りになる時にフィルムが滑らず骨や耳高不良を生じる恐れがあり、逆に最大表面粗さが10.0μmを超えると、粘着層に剥離層表面の凹凸が転写し、粘着層を対象物に貼り合せた時に気泡が発生し、外観不良となることがある。ここで最大表面粗さRzはJISB0601で規定されているところの最大高さのことである。
プロピレン系樹脂(住友化学(株)社製「ノーブレンFLX80E4」;プロピレン単独重合体)100重量%を、シリンダー径50mmの単軸押出機へ供給し、樹脂温度250℃、引取速度10.7m/分、冷却ロール70℃でエアーチャンバーを用いて押出成形を行い、平均厚さ60μmの剥離層を得た。得られた剥離層の、粘着層と接触する面の表面粗さRaは0.14μm、Rzは3.3μm、曲げ剛性は3.23×10−3N/20mmであった。
〔表面保護フィルムの作成〕
基材層としては、二軸延伸ポリエステルフィルム(ユニチカ(株)社製「エンブレットS」;片面コロナ処理、厚さ12μm)を用いた。アクリル系粘着剤主剤(綜研化学(株)社製「MM149」)1000重量部に対し、イソシアネート系硬化剤(綜研化学(株)社製「D90」)1重量部を十分混合したものを、基材層のコロナ処理面に厚さ70〜75μmで塗布し、その後乾燥オーブン(設定温度90℃)にて2分間保持し十分溶剤分を揮発させて、乾燥後厚さ20μmの粘着層を形成した。粘着層形成後すぐにゴムロールにより粘着層と剥離層を圧着して貼り合わせを行い、オーブン(40℃)内にて4日間エージングして、基材層/粘着層/剥離層からなる表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの評価結果を表1に示した。該フィルムの剥離安定性を評価したところ、剥離層を基材層/粘着層から剥離する時の張力制御が容易であり、剥離層に一定の張力がかかることでフィルムにしわ、タルミが発生せずに剥離でき、剥離安定性に優れていた。
〔剥離層の製造〕
プロピレン系樹脂(住友化学(株)社製「ノーブレンFLX80E4」;プロピレン単独重合体)100重量%を、シリンダー径50mmの単軸押出機へ供給し、樹脂温度250℃、引取速度15.5m/分、冷却ロール10℃でエアーチャンバーを用いて押出成形を行い、平均厚さ40μmの剥離層を得た。得られた剥離層の、粘着層と接触する面の表面粗さRaは0.13μm、Rzは2.1μm、曲げ剛性は0.75×10−3N/20mmであった。
〔表面保護フィルムの作成〕
実施例1と同様な方法で貼り合わせを行い、表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの評価結果を表1に示した。該フィルムの剥離安定性を評価したところ、剥離層を基材層/粘着層から剥離する時の張力制御が容易であり、剥離層に一定の張力がかかることでフィルムにしわ、タルミが発生せずに剥離でき、剥離安定性に優れていた。
〔剥離層の製造〕
プロピレン系樹脂(住友化学(株)社製「ノーブレンFLX80E4」;プロピレン単独重合体)100重量%を、シリンダー径50mmの単軸押出機へ供給し、樹脂温度250℃、引取速度32.2m/分、冷却ロール70℃でエアーチャンバーを用いて押出成形を行い、平均厚さ20μmの剥離層を得た。得られた剥離層の、粘着層と接触する面の表面粗さRaは0.11μm、Rzは15.1μm、曲げ剛性は0.12×10−3N/20mmであった。
〔表面保護フィルムの作成〕
実施例1と同様な方法で貼り合わせを行い、表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの評価結果を表1に示した。該フィルムは、剥離抵抗が大きく剥離層を基材層/粘着層から剥離する時に剥離層の張力制御が難しく不良が発生しやすい状態になった。
〔剥離層の製造〕
剥離層として、ポリエステルフィルムにシリコーン系剥離剤を塗布したもの(厚み38μm)を用いた。このフィルムの粘着層と接触する面の表面粗さRaは0.12μm、Rzは9.5μm、曲げ剛性は2.68×10−3N/20mmであった。
〔表面保護フィルムの作成〕
実施例1と同様な方法で貼り合わせを行い、表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの評価結果を表1に示した。該フィルムは、剥離性が良すぎるため剥離層を基材層/粘着層から剥離する時に剥離層側でしわ、タルミ、蛇行などの不良が発生し粘着層側も不安定になった。
(1)表面粗さ
剥離層の、粘着層と接触する面をレーザー式表面粗さ計(株式会社キーエンス製VK−8500)で測定し、算術平均粗さを剥離層の表面粗さRa、最大表面粗さRzとした。この時の測定面の範囲は298×224μm。
(2)曲げ剛性
剥離層のフィルムにて、製膜時のMD方向を長手方向として長さ150mm、幅20mmの短冊を作成し、ループ ステフネステスタ(株式会社東洋精機製作所製、D型)にて曲げ剛性を測定した。曲げ剛性は、長手方向を円周として円環状に丸めた短冊に、変位速度3.5mm/秒で円を10mm変形させるのに要する荷重を測定したもの。
(3)剥離抵抗
作成した基材層/粘着層/剥離層からなる表面保護フィルムにて、製膜時のMD方向を長手方向として長さ150mm、幅25mmの短冊を作成し、剥離層を180度屈曲させ基材層/粘着層とは全く逆の方向に引っ張る時の剥離抵抗を測定した。この時基材層/粘着層側は金属板に両面テープにて固定し、剥離角度が一定になるようにした。測定にはテンシロン試験機(株式会社オリエンテック製、RTA−1T)を用いて剥離速度300mm/分で剥離し測定した。
(4)剥離安定性
フィルム幅1480mmである、基材層/粘着層/剥離層からなる表面保護フィルムを、一般的に用いられるフィルム繰出し巻取り装置の繰出し部に取り付け、繰出し部から巻取り部までの間で剥離層を基材層/粘着層から剥離し、別の巻取り部にて剥離層を巻取る作業を実施した。
上記作業を実施した時に剥離層を基材層/粘着層から剥離する部分、剥離した剥離層のフィルムの状態(しわ、タルミの有無等)を目視で確認し、剥離安定性を評価した。
(5)剥離使用時の外観
基材層/粘着層/剥離層からなる表面保護フィルムの剥離層を取り除いた後、平滑な金属板に粘着層面が接するように載置し、ハンドロールで加圧して基材層/粘着層を金属板に貼り合せ、粘着層と金属板の間に気泡が混入していないか目視にて確認した。気泡が入ると外観検査性が劣るため×、気泡が入っていなければ○とした。
Claims (4)
- 基材層、粘着層および剥離層がこの順で積層された表面保護フィルムであって、
剥離層が、プロピレン単独重合体からなる厚さが20〜60μmのポリプロピレンフィルムであり、
粘着層が、イソシアネート系硬化剤で架橋された架橋型アクリル系粘着剤からなり、
下記要件(1)〜(3)を満たす前記表面保護フィルム。
(1)剥離層の粘着層と接触する面の表面粗さ(Ra)が0.13〜0.25μmであること、
(2)ループ ステフネステスタで測定される剥離層の曲げ剛性が0.2×10−3〜
10.0×10−3N/20mmであること、および
(3)粘着層と剥離層の間の剥離抵抗が0.16〜0.30N/25mmであること。 - 剥離層の粘着層と接触する面の最大表面粗さ(Rz)が0.1〜10.0μmである請求項1に記載の表面保護フィルム。
- 光学部材用の表面保護フィルムである請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の表面保護フィルムを製造する方法であって、基材層に粘着剤をコーティングして粘着層を形成した後、該粘着層と剥離層とを積層する表面保護フィルムの製造方法。
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