JP5544616B2 - 密封式mas試料管 - Google Patents
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Description
ところが、高分子等の高粘度液体に代表される液体試料や生体膜上の蛋白質等に代表される湿潤試料、液中に触媒等の粒子や繊維が分散した懸濁液試料やゲル状試料や泥状試料、昇華性固体試料や特定雰囲気下における固体試料や空気中の成分に対して反応し易いなどの特定の固体試料などについて、気密を保ったままMAS測定を行いたいという要望が出てきた。
また、非特許文献1に示されるように、NMR信号の線幅を小さくして信号の品位を高める目的で、測定中に、デカップリングパルスの照射が行われる。このとき、大きな出力のデカップリングパルスを照射すると、それにより試料およびその周辺領域の温度が上昇する。
このように、NMR測定においては、しばしば、測定中に試料温度が室温と比べて大きく変化することがある。
一般に温度変化は、試料が液体や気体の場合は、圧力が一定であれば、大きな体積変化をもたらし、温度が高くなると体積は増大する。また、体積が一定であれば、温度が高くなると圧力は増大する。
発明5は、発明1から4のいずれかの密封式MAS試料管において、前記固定栓は、本体の軸線に直交する方向での嵌合により本体に固定してあることを特徴とする。
当該構想に基づき構成された上記各発明のいずれによっても、試料を収納した空間には、密封状態を維持したままで容積が変更できる機能を有することと成り、これゆえに、試料の体積変化に対応できるので、実験中に本体の温度が上昇し、試料が熱膨張しても、栓が外れる恐れがなくなり、使用温度範囲が広がった。
さらに、発明7とすることで、密封栓の本体内への挿入操作と密封操作とを別異に行うことができるので、各種形態の試料を、本体内に余分な空気が残存しない状態で、密封することがより容易になった。
使用時において、温度の上昇により試料体積が増大した場合は、密封栓は、その密封状態を維持しながら回転軸(本体の筒状中心軸)に沿って本体の端部側に移動することができる。これにより、試料空間の容積は増大し、試料空間の圧力変化が緩和される。このため、測定中に本体の温度が上昇した場合でも、密封状態を維持することができた。
本体内に試料を所定の分量取り込んだ状態で、開放端より他方の密封栓を挿入することにより、本体内に余分な空気を取り込むことなく、試料のみを本体内に取り込むことができる。これは、試料に空気を噛み込ませずに試料管内に収納する作業を容易にする効果がある。
さらに、両端を密封栓で挟んだ状態で試料を本体内で本体の軸線に沿って移動させることができるので、測定に最適の位置に試料を容易に配置することができる。
これにより、試料を封入するときは、弱い密封性により容易に組立が行えるにもかかわらず、その密封力を超えた高い圧力の下での密封を実現することができた。
(11)(11’)(11a)(11b)外周
(12)(12’)(12a)(12b)膨出部
(13)(13’)(13a)穿孔
(14b)横孔
(20)(20’)弾性介在子
(20a)(20b)裾
(20c)(20c’)蓄気空間
(21)(21’)外周部
(22)(22’)穴
(20e)弾性介在子
(21e)(23e)支持盤
(22e)バネ
(40)(40’)硬質中子
(41)(41’)頭端部
(42)(42’)膨出部
(43)(43’)穿孔
(50)(50a)(50b)(50c)第一固定具
(51)(51a)(51b)(51c)タービン翼
(52)(52b)(52c)挿入部
(52a)雄ネジ
(53)(53c)頭端部
(54)(54c)穿孔
(55c)挿入部芯体
(53b)隙間
(55b)バネ
(56b)ピン
(57b)リング止め具
(58b)切り欠き
(59b)横孔
(60)(60c)第二固定具
(61)(61c)フランジ
(62)(62c)挿入部
(63)(63c)頭端部
(64)(64c)穿孔
(65c)挿入部芯体
(70)(70a)(70b)(70c)(70d)(70e)本体
(72)(72c)(72d)(72e)本体内面
(75a)雌ネジ
(75b)横孔
(80)硬質挿入子
(81)突出部
(82)外周部
(83)穿孔
(P)尾部近傍部
(210)(210’)ピストン冶具
(211)頭部
(212)胴部
(213)把柄部
(220)ゲージ冶具
(230)押し棒冶具
(310)シリンジ
(L1)(L2)密封栓と固定具との間の長さ
(D)内径
(S)試料空間
(SS)試料
(α)回転軸
磁化率が大きいものは、試料近傍の磁場分布を乱して、NMR信号の線形を悪化させるので望ましくない。電気伝導率の大きなものは、電磁波の分布や伝達を乱すので望ましくない。誘電正接の大きなものは、測定用高周波信号の減衰をもたらすので望ましくない。
また、バックグラウンド信号等の原因となってNMR測定に悪影響をもたらす可能性がある不純物や添加物が含有されていないものを選別することが望ましい。
以上の条件をすべて満たすものとしては、一般的に使用されている合成樹脂或いはセラミックスが知られており、その他の材料であっても、上記条件を満たすものであればMAS試料管として、必要に応じ使用可能である。
密封栓の材料の機械的性質としては、筒状の本体内に、弾性圧縮を伴って挿入されたとき、前記本体の内面に周囲が圧接され、当該箇所での液体や気体の移動を阻止する密封性を発現する体積弾性を有するものであれば良い。具体的には、圧縮弾性率が0.1〜2GPa、より好ましくは0.3〜0.8GPaの範囲にあることが望ましい。
密封栓は、筒状の本体内に、弾性圧縮を伴って挿入された状態で、本体内を軸方向に滑って移動できることが期待されるので、その材料の特性として、表面の摩擦係数が小さいことが望ましい。
テフロン(登録商標)に代表されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やダイフロン(登録商標)に代表されるポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等の弗素化樹脂は、適度の弾性や保形性の機械的物性と、化学的にも電気的に安定な性質を併せ持つため、密封栓の材料として適している。
また、弗素化樹脂は、その表面が水や油を弾いて濡れにくいので、これらの液体に対するシール性が良く、密封栓の材料として適している。
これらの中でも、PTFE(圧縮弾性率=約0.4GPa)は、PCTFE(圧縮弾性率=1〜2GPa)に比べて弾性率が適度に小さく、表面の摩擦係数も小さいので、密封栓の材料として適している。
測定の都合で、密封栓に弗素が含まれてはならない場合には、やや硬いのが難点ではあるが、摩擦係数の小さい樹脂である、ポリアセタール(POM)を使用すると良い。
固定具や硬質中子や硬質挿入子などの硬質部材の材料の機械的性質として、圧縮弾性率および引張弾性率は、5GPaよりも大きいことが望ましい。また、圧縮強度および引張強度は、0.1GPa(5%変形時)よりも大きいことが望ましい。
これらの性質を満たす、機械的特性に優れた硬質樹脂材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標)等)に代表される各種エンジニアリングプラスチックが挙げられる。加工性や機械的強度や耐熱温度等がPEEKと同等かそれ以上に優れた材料は他にも多数存在し、例として、ポリアミドイミド(TIポリマー(登録商標)等)、熱可塑性ポリイミド樹脂(AURUM(登録商標)等)、全芳香族ポリイミド樹脂(ベスペル(登録商標)等)などが挙げられる。
以下で、硬質樹脂あるいはPEEKと記述してある場合は特に断りのない限り、これらのPEEKと同等以上の特性をもつエンジニアリングプラスチックを利用することができる。
MAS試料管は本体の円筒中心軸を軸として超高速回転するので、重心がずれることによる芯ぶれを防ぐため、各部品は、中心軸に対して回転対称的に形成しなければならない。
部品の加工精度に対しては、中心軸に対しての真円性や同芯性といった回転対象性に関する項目では、特に厳密な公差管理を行うことが望ましい。
なお、部品の形状は特に断らない限り回転対称性を持つことが期待される。
両端が解放された直線円筒状でセラミクス製の本体(70)の試料空間(S)の上側には、頭端を下にしたPTFE製の密封栓(10)と弾性樹脂製の弾性介在子(20)と硬質樹脂製の第一固定具(50)が挿入され、下側には、頭端を上にした密封栓(10’)と弾性介在子(20’)と硬質樹脂製の第二固定具(60)が挿入される構造となっている。上下から挿入される密封栓(10)と(10’)、および、弾性介在子(20)と(20’)とは構造上同じものである。
また、前記穿孔(54)(64)は、固定具(50)(60)と前記密封栓(10)(10‘)間の空気抜きの役割も果たし、前記固定具(50)(60)を本体に挿入する際の抵抗をできるだけ少なくするようにしてある。
本発明における試料を試料空間に気密に保持する機能に関しては、試料空間(S)を中心として上下の軸方向について対称的である。第一固定具(50)側と第二固定具(60)側とで、試料の保持に関しては、同様なものであるから、当該部分については、第一固定具(50)について以下に説明し、第二固定具の説明を代替するものとして、その説明を省略する。
また、部品の向きについては、組立てた状態で、軸方向について試料空間に近い方を頭方向と呼称し、その反対側を尾方向と呼称する。
前記膨出部(12)の上下の外周部(11)は、本体内径(D)よりも僅かに小さい直径を有するように形成し、前記本体(70)への挿入時に滑らかに挿入できるようにしてある。
前記穿孔(13)は、後述するピストン冶具(210)により前記密封栓(10)を保持するために設けられているが、当該穿孔(13)の深さと大きさは、密封栓(10)の本体内面(72)への密着圧力を調整する効果と密封栓(10)の素材によるバックグラウンド信号等の測定への影響を軽減する効果を併せ持つので、単にピストン冶具(210)への保持のみならず、これら機能の発現を考慮した大きさと深さにしてある。 このように、前記密封栓(10)は、前記本体(70)に挿入したとき、その膨出部(11)が本体内面(72)と密着し、気密を維持しながら、軸方向に円滑に動くことができるようなゆるい嵌め合い状態となるようにしてある。
弾性介在子(20)の材料には、硬質ゴムや発泡PTFE等の、概ねPTFEよりも柔らかく、天然ゴムよりも硬い材料が利用できる。
弾性介在子(20)は、MASの最中は高速回転に伴う遠心力により、大きな圧力で本体内面(72)に押し付けられ、この応力により圧縮される。受ける応力は回転軸からの距離に比例するので中心部と円周部とでは大きく異なる。径方向の応力は軸方向の変形にも影響をおよぼす。弾性介在子(20)が、中空の円筒状をなしているのは、このような応力により変形するのをできるかぎり排除するためである。
このように、硬質中子(40)は、さらに強い密封力を得たい場合に使用すると良い。
また、密封栓と試料との間に空気が存在する可能性がある場合でも、硬質中子(40)を、組立途中の適当な時点で挿入することができることから、密封栓と本体内面との隙間から余分の空気を抜いた後に硬質中子(40)を密封栓に挿入することで、空気の封入を容易に防止することができる。
なお、試料中に空気などの気体が混在する可能性のある場合は、上下いずれかの密封栓の一方の硬質中子をはずしておき、脱気操作を行うことで、試料中に含まれる気体も除去することが可能である。
図3(a)には、このとき用いるピストン冶具(210)が示されている。ピストン冶具の頭部(211)には雄ネジが形成されており、この部分は密封栓(10’)の尾部の穿孔(13’)にセルフタッピング作用によりネジ込むことができるようになっている。ピストン冶具の胴部(212)の外径は本体(70)の内径よりも僅かに小さく形成されている。ピストン冶具(210)は、本体(70)にその胴部(212)を差し入れた状態で、把柄部(213)を持って操作される。
図3(b)の状態より少しピストンを引き下げ、図3(c)に示すように本体上部に試料(SS)を盛り付ける。試料は、ある程度粘性のある場合は図3(c)に示すようにピペットまたはシリンジ(310)を用いて盛り付けると良い。
また、試料が固体の場合は、微粒子状に粉砕したものを小型の薬匙を用いて盛り付け、適宜押し棒冶具(230)等で押し固めて行くと良い。
試料が固体の場合は、試料は、微粒子状に粉砕した上でシリンダーとピストンからなる冶具を用いて圧縮することにより、予め本体の内径と接する外径をもった円柱状のペレットに加工してから用いるとさらによい。
硬質中子を用いる場合は、図3(h)に示すように、硬質中子(40)(40’)をピストン冶具(210)(210’)を用いて上下から挿入する。
次に、図3(i)に示すように、本体の上下から、弾性介在子(20)(20’)を挿入し、第一・第二固定具(50)(60)を圧入する。
以上の操作により、試料はMAS試料管内部の所定の位置に封入することができる。
封入された試料の重さは29.7mgであった。試料空間の容積は0.037mlなので、室温におけるメタノールの比重を0.793g/mlとすると、1%以内の誤差で充填率100%に相当する。
また、このMAS試料管を用いて、20kHzで1時間MASを行ったところ、実験の前後で重量の減少量は0.1mg以下であった。さらに引き続き、18kHzで48時間MASを行ったところ、実験の前後で重量に変化は0.1mg以下であった。
このMAS試料管を温度55℃で1時間放置したところ、実験の前後で重量の変化は0.1mg以下であった。
なお、用いたデジタル秤の最小目盛りは0.1mgであるので、一連の実験において、0.1mgは測定誤差の範囲を意味する。
本実施例における密封栓(10a)は、PTFEからなり、実施例1における密封栓(10)の尾端に薄い円筒状の裾(20a)を追加した形状をしている。その他は実施例1の密封栓(10)と同じである。
本実施例においては、軸方向の弾性はPTFEにより担われるが、これは、実施例1における弾性介在子に適した材料と比較して、硬めである。その代り密封栓の裾(20a)は、極薄く形成され、それにより軸方向の弾性をある程度確保するようにしている。
本実施例は、やわらかい材料からなる弾性介在子を用いないので、高速回転下においても、回転が安定するという利点がある。一方で、PTFEが安定に弾性変形できる量には限りがあるので、密封栓頭端の軸方向の変位量は大きくは取れない、すなわち対応可能な試料空間の容積変化が小さいという欠点がある。
用いる密封栓(10b)は、実施例2における密封栓(10a)の裾(20a)の形状を工夫し、弾性率を下げ、軸方向の弾性体としての変形量を大きく取れるようにしたものである。密封栓(10b)の裾(20b)には、図に示すように、円筒の外周から中心へ向けて、多数の横孔(14b)が規則的に空けられている。このように多数の穿孔を穿つ加工は、一般にパンチング加工と呼ばれる。パンチング加工で残った部分は、本体内面(72)に接したまま、網目状の薄膜を形成し、たわむことにより、軸方向に大きく変形できる。
使用に際して、高速回転下では、裾(20b)は遠心力により、本体内面(72)に強く押さえつけられるので、裾(20b)の変形は本体内面(72)に沿った円筒面内に制限される。このため、裾(20b)は、円筒面内で安定した網目構造を保ち、弾性を保ったまま大きく変形することができる。
穿孔(83)は、当該部品の軽量化をもたらすばかりでなく、MAS試料管の組立に際しては、部品相互の位置決めや当該部品を保持するときの掴み代として用いられる。
密封栓(10c)については、実施例1と同じものが用いられる。
温度上昇等により試料体積が増大した場合は、図6(B)に示すように、密封栓(10c)は軸に沿って外側に移動し、硬質挿入子(80)の突出部(81)が密封栓の穿孔(13c)に突入する長さが大きくなる。このとき、密封栓(10c)の尾部近傍部(P)は、硬質挿入子(80)の突出部(81)により、内側から押し広げられ、本体(70)の内面(72)との間で径方向に弾性圧縮される。この圧縮応力により、密封栓(10c)は本体内面(72)に強く密着する。
本実施例では、軸方向の大きな変位を径方向の小さな変形で支えることとなり、弾性体として高速回転下においても機械的に安定な比較的硬い材料を用いても、軸方向の変位量を大きく取れるようになっている。
本実施例における弾性介在子(20e)は、硬質樹脂からなり、図に示すように、コイル状のバネ(22e)と内側支持盤(21e)と外側支持盤(23e)とからなっている。内側支持盤(21e)と外側支持盤(23e)とは、その外径が本体内面(72)の直径(D)よりも僅かに小さく形成されていて、本体内面(72)に接しつつ軸方向に滑らかに動くことができるようになっている。
バネ(22e)は内側支持盤(21e)と外側支持盤(23e)との間に形成されていて、軸方向の長さ(L1)が、軸方向に受ける力に応じて弾性的に変化するようになっている。
このような、弾性介在子(20e)が固定具(50)と密封栓(10)との間に設定されている。
なお、高速回転時における安定性を向上するために、図示はしないが、コイル状のバネは、コイルの外周が本体内面(72)に接するような形状とすることが望ましい。
実施例1から実施例4の各実施例では、本実施例において例示したバネの作用が、高速回転時においてもより安定して作用するようになっている。
一般に、固定具(50)は硬質樹脂で形成されるので、その挿入部(52)と本体内面(72)との間では気密性は確保されない。挿入部の表面に僅かな傷があっても、それが漏れの原因となるからである。ところが、組立に際して、固定具の挿入部(52)に接着剤を塗布する等して、その部分を気密に本体内面(72)に接着することが可能である。このような使用法は部品の再使用に関して問題を生じるので、一般的には避けるべきであるが、特殊な測定では有効な方法である。また、固定具の挿入部(52)の加工精度を特に厳密に管理し、一回限りの使用に制限すること等によっても、挿入部(52)と本体内面(72)との間における気密性を確保することができる。
このように、本実施例における固定具(50c)は、図面に明示的には現れない特殊な方法によって、本体に気密を保ちつつ固定される。
蓄気空間(20c)(20c’)には空気が密封されており、空気バネとして作用する。
本実施例の構成では、測定中に不測の事態によって、固定具の部分の気密が破れても、バネ定数が変化するだけで、試料の密封そのものには影響せず、試料により周囲を汚染する等の心配は少ない。
また、固定具(50c)(60c)は試料と接しないので、固定具の接着に用いる接着剤により、試料が汚染される心配もない。
本実施例における固定具(50a)は、その挿入部(52a)に雄ネジが形成されている以外は実施例1に示す固定具(50)と同様である。また、本体(70a)は、その内面の端部近傍には雌ネジ(75a)が形成されている以外は実施例1に示す本体(70)と同様である。
本発明のMAS試料管においては、試料の設定に関して、固定具は密封栓が外側に移動して外れるのを阻止する機能を有していれば足りるので、固定具と本体とを固定する方法は、圧入による嵌め合いに限らず、設計の自由度が大きい。
本実施例における本体(70b)は、筒の外側から内側にかけて横孔(75b)が形成されている。それ以外は実施例1に示す本体(70)と同様である。
固定具(50b)の挿入部には、横孔(59b)が形成されており、そこにはピン(56b)とバネ(55b)が仕込まれている。ピン(56b)にはバネ(55b)により、絶えず横方向に押し出す附勢力が与えられているが、組立時においては、リング止め具(57b)により飛び出しが防止されている。
前記リング止め具(57b)は、固定具(50b)の挿入部に嵌め込みにより固定してある。
このようにして、前記ピンの先端を、本体に形成した横孔に挿入することで密封栓の抜け止めを行うようにしてある。
固定具を本体から抜き出すときは、横孔(75b)を通して、左右から同時にピンを押し込むことで、ピンと横孔との勘合を外すことができる。
本実施例の構成は、試料が低粘度の液体の場合等に、試料が本体の回転に確実に追従するようにしたいときに利用すると良い。
Claims (7)
- 核磁気共鳴(NMR)測定において、マジックアングルスピニング(MAS)プローブ装置に試料を設定するために用いられる、内部を試料収納部とする筒状体を本体とし、この試料収納部内に試料を密封保持する栓体とからなる密封式MAS試料管であって、
前記試料収納部の少なくとも一方の栓体は、前記本体の筒状内面との接触により前記試料収納部を密閉する密封栓と、前記密封栓の本体からの抜け出しを阻止する固定具とからなり、
前記密封栓が、前記固定具による抜け出し阻止位置まで本体の軸線に沿って移動し得るように、前記密封栓と前記固定具との間に移動しろを有して設置されていると共に、
前記密封栓と固定具との間に両者の相対的な遠近を許す弾性体が介在されており、
前記弾性体は網目状の薄膜からなる円筒であることを特徴とする密封式MAS試料管。 - 請求項1に記載の密封式MAS試料管において、前記弾性体は前記密封栓に一体化されていることを特徴とする密封式MAS試料管。
- 核磁気共鳴(NMR)測定において、マジックアングルスピニング(MAS)プローブ装置に試料を設定するために用いられる、内部を試料収納部とする筒状体を本体とし、この試料収納部内に試料を密封保持する栓体とからなる密封式MAS試料管であって、
前記試料収納部の少なくとも一方の栓体は、前記本体の筒状内面との接触により前記試料収納部を密閉する密封栓と、前記密封栓の本体からの抜け出しを阻止する固定具とからなり、
前記密封栓が、前記固定具による抜け出し阻止位置まで本体の軸線に沿って移動し得るように、前記密封栓と前記固定具との間に移動しろを有して設置されていると共に、
前記密封栓が前記固定具に近づくほど、当該密封栓を本体の径方向に膨張させるクサビが前記固定具の内側に設けてあることを特徴とする密封式MAS試料管。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の密封式MAS試料管において、前記密封栓の移動しろは、NMR測定時の試料の熱膨張による密封栓の移動量と等しいか、それより大きくしてあることを特徴とする密封式MAS試料管。
- 請求項1から4のいずれかに記載の密封式MAS試料管において、前記固定具は、本体の軸線に直交する方向での嵌合により本体に固定してあることを特徴とする密封式MAS試料管。
- 請求項1から5のいずれかに記載の密封式MAS試料管において、前記本体内面は、回転対称な異形断面形状を有することを特徴とする密封式MAS試料管。
- 請求項1から6のいずれかに記載の密封式MAS試料管において、前記密封栓は、自然状態の最大外形を本体の内径よりも小さくしてあり、前記密封栓の内部に硬質中子を押込むことで膨張して、前記本体内径より大きな最大外形となるように、弾性体により形成された中空体であることを特徴とする密封式MAS試料管。
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