JP5542789B2 - リサイクルプラスチックの識別装置、分別装置、識別方法および製造方法 - Google Patents

リサイクルプラスチックの識別装置、分別装置、識別方法および製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、ラマン散乱分光法を用いたリサイクルプラスチックの識別装置、分別装置、識別方法および製造方法に関する。
近年、家電製品のリサイクルに代表されるように、回収した使用済み製品を再利用する動きがある。また、材料の再利用には、様々な材質で構成される製品を解体し、材質毎に選別して単一材料に分別する必要がある。得られた単一材料は、加工されて製品の部品に適用される。
単一材料を得る工程においては、まず、材質が分かる比較的取り外しやすく大きな部品について、手作業により解体されて回収される。続いて、材質が不明な部品や取り外しが困難な部品は、まとめて破砕される。その後、金属片やプラスチック片等が混在する混合破砕片が、材質毎に選別されて分別されることにより、単一材料が得られる。
金属片やプラスチック片等が混在する混合破砕片を、材質毎に選別して分別する工程において、プラスチック片は、ポリプロピレン(以下、「PP」と称する)やポリスチレン(以下、「PS」と称する)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、「ABS」と称する)等の様々な重合体を主成分とするプラスチックが混合している。
プラスチック片のリサイクルには、材質の機械特性や化学特性を維持するために、上記の重合体の種類毎に選別し、分別して回収する必要がある。また、プラスチック片は、白色、黒色または中間色等、様々な色を有している。プラスチック片のリサイクルでは、プラスチック片の色によらず重合体の種類毎の選別が必要であるが、一方では、色による選別によって、リサイクル材料の適用用途を最適化することも望まれている。
ここで、高速でプラスチックの材質を識別することができるプラスチックの識別装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このプラスチックの識別装置は、レーザ照射系と、ラマン散乱信号取得手段と、記憶手段と、識別手段とを備えている。
レーザ照射系は、レーザ光を識別対象物である被識別プラスチックに照射する。ラマン散乱信号取得手段は、被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光からラマン散乱信号を得る。記憶手段は、あらかじめ既知のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することにより設定した1点以上の数点のピーク位置(既知ピーク位置)のラマン散乱強度およびベースライン位置(既知ベースライン位置)のラマン散乱強度を記憶する。
識別手段は、被識別プラスチックのラマン散乱信号から、識別したいプラスチックの材質毎の1点以上の数点の既知ピーク位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度、および既知ベースライン位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度のみを得る。
また、識別手段は、得られた1点以上の数点の既知ピーク位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度、および既知ベースライン位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度のみと、記憶手段にあらかじめ記憶された1点以上の数点の既知ピーク位置のラマン散乱強度、および既知ベースライン位置のラマン散乱強度とに基づいて、被識別プラスチックの材質を識別する。
このとき、レーザ光として、例えば波長600〜900nmの範囲で100mW以上の出力が得られる高出力のものを用いることにより、10msec程度の時間で、プラスチックの識別に十分なSN比で、必要なラマン散乱信号を得ることができる。
特許第4203916号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
ラマン散乱スペクトルの測定において、炭素充填剤(カーボン)を含有する黒色のプラスチックに強いレーザ光を照射すると、炭素充填剤がレーザ光を吸収して発熱し、プラスチックが溶融するので、ラマン散乱スペクトルを測定することができない。一方、弱いレーザ光を照射すると信号強度が不足し、信号を積算するために長時間照射すると、プラスチックが溶融するので、SN比の大きな測定をすることができない。
特許文献1では、数msecでラマン散乱スペクトルを測定することができるが、100mW以上の出力が得られる高出力のレーザ光を用いているので、黒色のプラスチックは溶融してしまい、ラマン散乱スペクトルを測定することができない。
具体的には、本願の発明者が行った実験のうち、ラマン分光装置による測定において、レーザ光として、波長785nmで5mW以上の出力が得られるものを用いた場合には、白色のプラスチックや中間色のプラスチックのラマン散乱スペクトルを測定することはできたが、黒色のプラスチックは溶融して、ラマン散乱スペクトルを測定することはできなかった。
また、白色、黒色または中間色のプラスチック片の混在群において、各色のプラスチック片のそれぞれについて、同一の測定条件で、SN比の大きなラマン散乱スペクトルを得ることはできず、プラスチック片の色に依存することなく、識別精度を維持・向上させることはできない。
すなわち、レーザ照射強度が過小である場合、黒色のプラスチックについてはラマン散乱信号を得ることができず、レーザ照射強度が過大である場合、白色のプラスチックについては蛍光による信号飽和、黒色のプラスチックについてはプラスチック片の溶融が問題となる。また、黒色のプラスチックと白色のプラスチックとでは、ラマン散乱信号の相対強度が100倍以上あるので、識別時に参照すべきラマン散乱スペクトルが互いに異なる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、プラスチック片の色によらず、プラスチック片の材質を識別することができるリサイクルプラスチックの識別装置、分別装置、識別方法および製造方法を得ることを目的とする。
この発明に係るリサイクルプラスチックの識別装置は、ラマン散乱分光法を用いたリサイクルプラスチックの識別装置であって、識別対象のプラスチック片の色を判別する色判別部と、プラスチック片にレーザ光を照射して、ラマン散乱スペクトルを測定するラマン散乱スペクトル測定部と、あらかじめ既知のプラスチックの樹脂の色および樹脂種について、標準的なラマン散乱スペクトルを記憶する記憶部と、色判別部で判別されたプラスチック片の色に応じて記憶部に記憶されたラマン散乱スペクトルを選択するとともに、ラマン散乱スペクトル測定部で測定されたラマン散乱スペクトルと比較して、プラスチック片の樹脂種を識別する樹脂種識別部と、を備えたものである。
また、この発明に係るリサイクルプラスチックの分別装置は、上記リサイクルプラスチックの識別装置を用いたリサイクルプラスチックの分別装置であって、プラスチック片を識別装置に供給する供給部と、樹脂種識別部での識別結果に基づいて、樹脂の色および樹脂種に応じてプラスチック片を分別する分別部と、を備えたものである。
また、この発明に係るリサイクルプラスチックの識別方法は、ラマン散乱分光法を用いたリサイクルプラスチックの識別方法であって、識別対象のプラスチック片の色を判別する色判別ステップと、プラスチック片にレーザ光を照射して、ラマン散乱スペクトルを測定するラマン散乱スペクトル測定ステップと、あらかじめ既知のプラスチックの樹脂の色および樹脂種について、標準的なラマン散乱スペクトルを記憶する記憶ステップと、色判別ステップで判別されたプラスチック片の色に応じて記憶ステップで記憶されたラマン散乱スペクトルを選択するとともに、ラマン散乱スペクトル測定ステップで測定されたラマン散乱スペクトルと比較して、プラスチック片の樹脂種を識別する樹脂種識別ステップと、を備えたものである。
また、この発明に係るリサイクルプラスチックの製造方法は、上記リサイクルプラスチックの識別方法を工程に含むものである。
この発明に係るリサイクルプラスチックの識別装置、分別装置、識別方法および製造方法によれば、樹脂種識別部(ステップ)は、色判別部(ステップ)で判別されたプラスチック片の色に応じて記憶部(ステップ)に記憶されたラマン散乱スペクトルを選択するとともに、ラマン散乱スペクトル測定部(ステップ)で測定されたラマン散乱スペクトルと比較して、プラスチック片の樹脂種を識別する。
そのため、プラスチック片の色によらず、プラスチック片の材質を識別することができる。
ABS、PSおよびPPの白色のプラスチック片の標準的なラマン散乱スペクトルを示す説明図である。 ABS、PSおよびPPの黒色のプラスチック片の標準的なラマン散乱スペクトルを示す説明図である。 ABSの白色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。 ABSの別の白色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。 ABSのさらに別の白色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。 ABSの黒色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。 ABSの白色のプラスチックおよび黒色のプラスチックのレーザ出力と蛍光の強度との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係るリサイクルプラスチックの識別装置を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2に係るリサイクルプラスチックの識別装置を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3に係るリサイクルプラスチックの分別装置を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4に係るリサイクルプラスチックの製造方法を示すフローチャートである。
以下、この発明に係るリサイクルプラスチックの識別装置、分別装置、識別方法および製造方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
まず、白色のプラスチック片および黒色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルについて説明する。図1は、ABS、PSおよびPPの白色のプラスチック片の標準的なラマン散乱スペクトルを示す説明図であり、図2は、ABS、PSおよびPPの炭素充填剤を1重量%含有する黒色のプラスチック片の標準的なラマン散乱スペクトルを示す説明図である。
図1、2において、横軸はラマンシフト(単位:cm−1)を示し、縦軸は信号強度(単位:カウント)を示している。また、ラマン散乱分光法の測定条件は、レーザ波長を633nm、レーザ出力を13mW、照射領域を約φ200μm、測定時間を500msecに設定した。
図1、2から、同じレーザ出力で得られるラマン散乱スペクトルでは、白色のプラスチック片は、黒色のプラスチック片と比べて、100倍以上の信号強度差がある。また、炭素充填剤による信号や樹脂自体の蛍光発光による強度付加により、同一種類の樹脂であっても、スペクトル形状がまったく異なることが分かる。
そのため、観測されたラマン散乱ピークやスペクトル形状と、データベースに収められた単一の標準スペクトルとを照合することによって、プラスチックの材質(樹脂種)を識別する従来の同定方法では、高精度に樹脂種を識別することが困難である。
図3〜6は、リサイクル工程で発生する一般的なABSのプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。また、ラマン散乱分光法の測定条件は、レーザ波長を633nm、照射領域を約φ200μm、測定時間を500msecに設定し、レーザ出力を1.3mWから52mWまで変更して測定した。なお、レーザ出力は、レーザ出射後に、透過率の異なるフィルタを介することによって変更した。
図3は、ABSの白色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。蛍光の強度をラマンシフト2000cm−1での信号強度として、ラマン散乱ピーク強度を、ラマンシフト2250cm−1での信号強度とそのピークの裾の位置における信号強度との差と定義して、各スペクトルについて解析した。図3から、蛍光の強度は、レーザ出力に比例して増加し、レーザ出力が52mWでは、信号飽和した。ラマン散乱スペクトル強度は、レーザ出力が13mWで最大となった。
図4は、ABSの別の白色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。図4から、蛍光の強度は、レーザ出力に比例して増加し、レーザ出力が13mWでは信号飽和した。ラマン散乱スペクトル強度は、レーザ出力が5.2mWで最大となった。
図5は、ABSのさらに別の白色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。図5から、蛍光の強度は、レーザ出力に比例して増加し、レーザ出力が2.6mWでは信号飽和した。ラマン散乱スペクトル強度は、レーザ出力が2.6mWで最大となった。このように、白色のプラスチック片毎にラマン散乱スペクトル強度が最大となり、SN比の大きなラマン散乱スペクトルが得られるレーザ出力が異なる。
図6は、ABSの黒色のプラスチック片のラマン散乱スペクトルを示す説明図である。図6から、蛍光の強度は、レーザ出力に比例して増加し、レーザ出力が52mWでは、信号飽和せず、試料の溶融による効果により、ラマン散乱ピークを観測できないノイズを含む直線的なスペクトルが得られた。ラマン散乱スペクトル強度は、13mWで最大となり、SN比の大きなラマン散乱スペクトルが得られた。白色のプラスチック片と比べて、蛍光の強度は1/20以下であり、信号の飽和は起こらない。
このように、プラスチック片毎に、SN比の大きなラマン散乱スペクトルが得られるレーザ出力が異なる。したがって、ラマン散乱スペクトルの測定では、レーザ出力の異なる測定を行い、得られた複数のラマン散乱スペクトルの中から、SN比の大きなラマン散乱スペクトルを選択して、選択されたラマン散乱スペクトルと、データベースに収められた標準スペクトルとを照合することによって、高精度に樹脂種を識別することができる。
すなわち、黒色のプラスチック片では、ラマン散乱スペクトルの特徴が白色のプラスチック片のものとは異なるので、樹脂種の識別には、白色のプラスチック片の標準スペクトルとの照合ではなく、黒色のプラスチック片の標準スペクトルとの照合を行うことにより、識別精度を向上させることができる。
ここで、プラスチック片の色判別は、ラマン散乱スペクトルを測定する前に、例えばCCDカメラ等による撮影を行い、撮影された画像から明度や色彩を判定して、白黒判別を行えばよい。また、ラマン散乱スペクトルの選択は、ラマン散乱ピーク強度が最大となるラマン散乱スペクトルを選択すればよい。また、データベースには、白色のプラスチックおよび黒色のプラスチックについて、それぞれ樹脂種の標準スペクトルを収めればよい。
また、樹脂種の識別には、白色のプラスチックの場合は、選択されたラマン散乱スペクトルと白色のプラスチックの標準スペクトルと照合し、特定のラマンシフト位置におけるラマン散乱ピーク強度や多変量解析等によるスペクトル形状からの識別を利用することができる。同様に、黒色のプラスチックの場合は、選択されたラマン散乱スペクトルと黒色のプラスチックの標準スペクトルとの照合で識別すればよい。なお、樹脂種の識別のための詳細な構成については、後述する。
図7は、ABSの白色のプラスチックおよび黒色のプラスチックのラマン散乱スペクトル強度のレーザ出力依存性を示す説明図である。図7において、横軸はレーザ出力(単位:mW)を示し、縦軸は蛍光の強度(単位:カウント)を示している。蛍光の強度は、ラマンシフト2000cm−1での信号強度を使用した。また、図中の白丸は白色のプラスチックの蛍光強度のプロット例を示し、黒丸は黒色のプラスチックの蛍光強度のプロット例を示している。
図7から、白色のプラスチックでは、蛍光の強度がレーザ出力の増加に伴って増加し、一定のレーザ出力以上では、信号飽和を起こすことが分かる。また、蛍光の強度は、5000カウントから信号飽和に達するまで変化する。
一方、図7から、黒色のプラスチックでは、蛍光の強度がレーザ出力の増加に伴って増加するが、信号飽和に達することはなく、特定のレーザ出力以上では、一定となることが分かる。また、蛍光の強度は、250〜1800カウント程度であり、白色のプラスチックの1/20程度である。
このように、レーザ出力と蛍光の強度との関係は、白色のプラスチックと黒色のプラスチックとでは互いに異なることから、この関係線を用いて白色のプラスチックと黒色のプラスチックとを識別することができる。
続いて、上述した樹脂種の識別を行う装置について説明する。図8は、この発明の実施の形態1に係るリサイクルプラスチックの識別装置を示すブロック図である。図8において、この識別装置は、PC(パソコン)1、ラマン分光部(ラマン散乱スペクトル測定部)2、CCDカメラ(色判別部)3および搬送部4から構成され、測定対象プラスチック10の樹脂種を識別する。
PC1は、白黒判別部(色判別部)11、データベース部(記憶部)12、ラマン分光部制御部13、スペクトル選択部14および樹脂種識別部15を有している。また、ラマン分光部2は、レーザ21、透過率可変フィルタ22、レンズ23、ミラー24、集光レンズ25、26、分光器27および検出器28を有している。
測定対象プラスチック10は、搬送部4により移動され、CCDカメラ3によって撮影される。撮影された画像は、白黒判別部11に出力され、白黒判別部11で測定対象プラスチック10が白色か黒色かが判別されて、データベース部12に白黒判別結果が出力される。
測定対象プラスチック10は、CCDカメラ3による撮影後、再び搬送部4により移動され、ラマン分光部2によってラマン散乱スペクトルが測定される。このとき、レーザ21からのレーザ光が、透過率可変フィルタ22、レンズ23およびミラー24を介して測定対象プラスチック10に照射される。
このレーザ照射により発生する散乱光は、集光レンズ25、26を介して分光器27に導かれ、検出器28でラマン散乱スペクトルが得られる。なお、ラマン分光部2を構成するレーザ21、透過率可変フィルタ22、分光器27および検出器28の動作は、PC1内のラマン分光部制御部13によって制御される。
ここで、透過率可変フィルタ22は、透過率の互いに異なる複数のフィルタを円周に配置した回転板であり、各フィルタをレーザ21からのレーザ光が通過することにより、レーザ出力を変更するものである。
また、透過率可変フィルタ22は、ラマン散乱スペクトルが測定される際、測定対象プラスチック10がレーザ照射される移動時間内に、1回転する機構になっており、レーザ出力の異なるレーザ光が測定対象プラスチック10に照射されることによって、複数のラマン散乱スペクトルが得られ、スペクトル選択部14に出力される。
スペクトル選択部14は、SN比の大きな(良い)ラマン散乱スペクトルを選択し、データベース部12に出力する。データベース部12には、ABS、PSおよびPP等の白色のプラスチックの標準的なラマン散乱スペクトル(標準スペクトル)と、ABS、PSおよびPP等の黒色のプラスチックの標準的なラマン散乱スペクトルとが収められている。
データベース部12は、白黒判別部11からの白黒判別結果により、白色または黒色のプラスチックのラマン散乱スペクトルを選択し、樹脂種識別部15に出力する。樹脂種識別部15は、スペクトル選択部14からの測定されたラマン散乱スペクトルと、データベース部12からの選択された標準的なラマン散乱スペクトルとを照合し、樹脂種を識別する。これにより、樹脂の色を判別した上で、樹脂種を識別することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、樹脂種識別部は、色判別部で判別されたプラスチック片の色に応じて記憶部に記憶されたラマン散乱スペクトルを選択するとともに、ラマン散乱スペクトル測定部で測定されたラマン散乱スペクトルと比較して、プラスチック片の樹脂種を識別する。
そのため、プラスチック片の色によらず、プラスチック片の材質を識別することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、白黒判別部11が、CCDカメラ3で撮影された画像に基づいて、測定対象プラスチック10が白色か黒色かを判別すると説明したが、これに限定されない。この実施の形態2では、測定対象プラスチック10が白色か黒色かを判別する別の方法について説明する。
図9は、この発明の実施の形態2に係るリサイクルプラスチックの識別装置を示すブロック図である。図9において、この識別装置は、図8に示したCCDカメラ3を備えていない。また、PC1は、図8に示した白黒判別部11に代えて、白黒判別部11Aを有している。その他の構成は、図8に示したものと同様なので、説明を省略する。
白黒判別部11Aは、ラマン散乱スペクトルが測定される際に、透過率可変フィルタ22が1回転することによって得られる複数のラマン散乱スペクトルに基づいて、複数のラマン散乱スペクトルのレーザ出力の変化によるバックグラウンド変化から(図7参照)、測定対象プラスチック10が白色か黒色かを判別する。
これにより、図8に示したCCDカメラ3のような部品は不要になり、より簡易な装置構成を用いて、樹脂の色を判別した上で、樹脂種を識別することができる。
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3に係るリサイクルプラスチックの分別装置を示すブロック図である。図10において、この分別装置は、図8に示した識別装置に加えて、供給部5、空気ノズル6、空気ノズル制御部7、回収プラスチック分別容器部8および廃棄プラスチック容器部9を備えている。その他の構成は、図8に示したものと同様なので、説明を省略する。
供給部5は、連続的に測定対象プラスチック10を搬送部4に供給する。空気ノズル6は、搬送部4のラマン分光部2よりも後段に複数設けられ、測定対象プラスチック10に向けて空気を噴出する。空気ノズル制御部7は、空気ノズル6の動作を制御する。ここで、樹脂種識別部15は、測定対象プラスチック10の樹脂の色および樹脂種を、樹脂識別信号として空気ノズル制御部7に出力する。
そこで、空気ノズル制御部7は、測定対象プラスチック10が空気ノズル6を通過するときに、樹脂識別信号の識別結果とリンクした空気ノズル6から空気を噴出させて、測定対象プラスチック10を回収プラスチック分別容器部8に回収する。なお、回収対象でない測定対象プラスチック10は、回収されず、廃棄プラスチック容器部9に収容される。これにより、樹脂の色を判別した上で、樹脂種を識別し、樹脂の色および樹脂種に応じて測定対象プラスチック10を分別することができる。
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4に係るリサイクルプラスチックの製造方法を示すフローチャートである。
図11において、まず、廃棄されたプラスチック製品や、廃棄された家電製品が用意される(ステップS1)。
続いて、廃棄されたプラスチック製品や、廃棄された家電製品から、プラスチックを含有するプラスチック部品が破砕されてプラスチック片に加工される(ステップS2)。
次に、ステップS2で加工されたプラスチック片から、混入した金属が除去される(ステップS3)。ここで、金属は、磁力や渦電流選別等の方法によって除去される。なお、除去された金属は、別途金属等処理(ステップS4)によって再利用等される。
続いて、上述した実施の形態1〜3に示した装置や方法を用いて、樹脂の色および樹脂種に応じて、プラスチック片が分別される(ステップS5)。このとき、樹脂の色および樹脂種を同時に分別することができるので、その後に樹脂の色を分別する工程を設ける必要がない。
ここで、目的とする樹脂種以外のプラスチック片は、分離され、燃焼等の別処理(ステップS6)によって再利用等される。
次に、目的とする樹脂の色および樹脂種のプラスチック片は、加熱溶融されたり、そのプラスチック片に新たな混合プラスチック材料や特性改質材料等が加えられたりして、混合処理が行われる(ステップS7)。
なお、上記ステップS5の工程後に、そのまま再利用することが可能であれば、ステップS7の工程は必須ではない。
このステップS5またはステップS7で得られたプラスチックは、リサイクルプラスチック材料として、再生樹脂製品を製造するための原料となる。
続いて、ステップS7で混合された材料は、押し出し成形や加圧成型等の方法によって、プラスチック部品やプラスチック製品に加工される(ステップS8)。以上の一連の工程により、リサイクルプラスチック製品が製造される(ステップS9)。
なお、上記ステップS5の分別工程は、ステップS2の破砕工程からステップS7の混合工程までの間に行われる。また、ステップS3の混入金属を除去する工程は、必ずしも行う必要はない。
以上のように、実施の形態4にリサイクルプラスチックの製造方法によれば、回収されたプラスチック製品が細断されてなるプラスチック片から、上述した実施の形態1〜3に示した装置や方法を用いて、目的とする樹脂の色および樹脂種以外のプラスチック片を除外する分別工程と、分別工程後のプラスチック片を混合してプラスチック部品を成形する工程とを有している。
そのため、プラスチック片の樹脂の色および樹脂種を同時に分別することができ、分別されたプラスチック片を用いて、樹脂の色および樹脂種が統一されたリサイクルプラスチック製品を得ることができる。
なお、上記実施の形態1〜4では、プラスチック片の色が白色または黒色の場合について説明したが、これに限定されず、プラスチック片の色は、その他の中間色等であってもよい。この場合も、上述した実施の形態1〜4と同様の効果を得ることができる。
1 PC、2 ラマン分光部、3 CCDカメラ、4 搬送部、5 供給部、6 空気ノズル、7 空気ノズル制御部、8 回収プラスチック分別容器部、9 廃棄プラスチック容器部、10 測定対象プラスチック、11、11A 白黒判別部、12 データベース部、13 ラマン分光部制御部、14 スペクトル選択部、15 樹脂種識別部、21 レーザ、22 透過率可変フィルタ、23 レンズ、24 ミラー、25、26 集光レンズ、27 分光器、28 検出器。

Claims (7)

  1. ラマン散乱分光法を用いたリサイクルプラスチックの識別装置であって、
    識別対象のプラスチック片の色を判別する色判別部と、
    前記プラスチック片にレーザ光を照射して、ラマン散乱スペクトルを測定するラマン散乱スペクトル測定部と、
    あらかじめ既知のプラスチックの樹脂の色および樹脂種について、標準的なラマン散乱スペクトルを記憶する記憶部と、
    前記色判別部で判別された前記プラスチック片の色に応じて前記記憶部に記憶されたラマン散乱スペクトルを選択するとともに、前記ラマン散乱スペクトル測定部で測定されたラマン散乱スペクトルと比較して、前記プラスチック片の樹脂種を識別する樹脂種識別部と、
    を備えたことを特徴とするリサイクルプラスチックの識別装置。
  2. 前記色判別部は、
    前記プラスチック片を撮影するCCDカメラと、
    撮影された画像から前記プラスチック片の明度および色彩の少なくとも一方に基づいて、前記プラスチック片の色を判別する判別部と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のリサイクルプラスチックの識別装置。
  3. 前記ラマン散乱スペクトル測定部は、同一の前記プラスチック片に対して、レーザ光の出力を変化させて複数のラマン散乱スペクトルを測定し、
    前記色判別部は、前記複数のラマン散乱スペクトルのバックグラウンド変化に基づいて、前記プラスチック片の色を判別する
    ことを特徴とする請求項1に記載のリサイクルプラスチックの識別装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のリサイクルプラスチックの識別装置を用いたリサイクルプラスチックの分別装置であって、
    前記プラスチック片を前記識別装置に供給する供給部と、
    前記樹脂種識別部での識別結果に基づいて、樹脂の色および樹脂種に応じて前記プラスチック片を分別する分別部と、
    を備えたことを特徴とするリサイクルプラスチックの分別装置。
  5. ラマン散乱分光法を用いたリサイクルプラスチックの識別方法であって、
    識別対象のプラスチック片の色を判別する色判別ステップと、
    前記プラスチック片にレーザ光を照射して、ラマン散乱スペクトルを測定するラマン散乱スペクトル測定ステップと、
    あらかじめ既知のプラスチックの樹脂の色および樹脂種について、標準的なラマン散乱スペクトルを記憶する記憶ステップと、
    前記色判別ステップで判別された前記プラスチック片の色に応じて前記記憶ステップで記憶されたラマン散乱スペクトルを選択するとともに、前記ラマン散乱スペクトル測定ステップで測定されたラマン散乱スペクトルと比較して、前記プラスチック片の樹脂種を識別する樹脂種識別ステップと、
    を備えたことを特徴とするリサイクルプラスチックの識別方法。
  6. 前記ラマン散乱スペクトル測定ステップは、同一の前記プラスチック片に対して、レーザ光の出力を変化させて複数のラマン散乱スペクトルを測定し、
    前記色判別ステップは、前記複数のラマン散乱スペクトルのバックグラウンド変化に基づいて、前記プラスチック片の色を判別する
    ことを特徴とする請求項5に記載のリサイクルプラスチックの識別方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載のリサイクルプラスチックの識別方法を工程に含むリサイクルプラスチックの製造方法。
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