JP5542310B2 - プラスチックの熱分解装置 - Google Patents
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Description
本発明に係るプラスチックの熱分解装置は、プラスチックを加熱して熱分解するプラスチックの熱分解装置であって、プラスチックを投入し、溶融する材料投入装置と、この材料投入装置の一部が挿着され,溶融したプラスチックを熱分解して熱分解ガスを回収する熱分解炉と、バーナーからの熱風を前記熱分解炉の外側に送る熱風循環ラインとを備え、前記材料投入装置は、前記熱分解炉内まで延出した内筒と、この内筒の一端側に設けられた材料投入口と、内筒の内部に配置された,材料投入口側から材料排出口側にかけて徐々に間隔が狭くなる回転羽根とを備え、前記熱風循環ラインは、前記バーナーから熱風を前記熱分解炉の外側に導入することにより、前記投入されたプラスチックを前記材料投入装置の内筒において溶融させ、および前記溶融したプラスチックを前記熱分解炉において熱分解させることを特徴とする。
本発明において、プラスチックの熱分解方法は、上述したように、200〜300℃の範囲でのプラスチックの溶融工程と、溶融したプラスチックの400〜500℃の範囲で熱分解による熱分解ガス回収工程を含んでいる。このように、溶融工程と回収工程を区分することにより、溶融工程での溶融物の温度上昇が緩やかになり、プラスチックの炭素−炭素結合が十分に切断することができ、熱分解工程で低分子量の炭化水素化合物が生成し易くなる。
図中の符番1は、プラスチックの熱分解装置である。熱分解装置1は、廃プラスチックを投入し、溶融する材料投入装置2と、この材料投入装置2の一部が挿着され,溶融したプラスチックを熱分解して熱分解油及び熱分解ガスを回収する熱分解炉3から構成されている。材料投入装置2は、熱分解炉3内まで延出した内筒4と、この内筒4の一端側に設けられた材料投入口5と、内筒4の内部に配置された回転羽根としてのスパイラルスクリュー6とを備えている。熱分解炉3は、横型の熱分解炉本体7と、この熱分解炉本体7に収容されたセラミックボール8と、熱分解炉本体7の一部を囲む筐体9を備えている。
即ち、まず、材料投入装置2の材料投入口5から廃プラスチック等の原料を投入する。投入された原料は、バーナー22からの熱風により内筒4内で200〜300℃に加熱されて溶融され、スパイラルスクリュー6の回転に伴って、内筒4の左端側から右端側に移動する。原料の溶融物は、内筒4の開放された端部から熱分解炉本体7に収容されたセラミックボール8の領域に落下する。ここで、溶融物は、熱分解炉本体7の外周部の熱風エリアA1にバーナー22から熱風が導入されることにより、400〜500℃に加熱されて熱分解し、熱分解油及び熱分解ガスが回収される。セラミックボール8は熱分解炉本体7の回転により、熱分解炉本体7の内壁面のデコーキングを行うとともに、分解工程の残渣を粉砕して粉状の残渣を残渣受けピット20に落下させる。
プラスチックは、炭素原子が数千から数万の単位で鎖状に連結した高分子であるが、加熱処理を施すと炭素−炭素結合がランダムに開烈して、炭素数1〜44の炭化水素ガスが生成し、プラスチックから放出される。プラスチックは400℃以上の温度で分解ガスが進行するため、プラスチックをいきなり400℃以上の温度で分解ガス化が進行するため、プラスチックをいきなり400〜500℃程度の熱分解炉に投入すると、溶融状態における滞留時間が短いため、十分に炭素−炭素結合が切断されることなくガス化してしまう。そのため、熱分解によって生成する炭化水素ガスは炭素数が20より大きいものが主成分となるため、冷却して回収した生成油は炭素数が20より大きい重油となる。さらに、上記生成油には炭素数20以下の引火点が低い軽質油も一部含まれるため、安全面から重油として使用することは難しい。また、炭素数が20より大きい炭化水素ガスは不安定であるため、分解後直ちに再結合して残渣となり、結果として残渣の発生が多くなってしまう。
材料投入装置2は、スパイラルスクリュー6が材料投入口側から材料排出口側にかけて徐々に間隔が狭くなるように構成されているので、内筒4内の原料の充填率を上げることができるが、更に材料投入装置2はその一部が熱分解炉3に挿入されており、材料排出口側に近づくにつれて熱によりプラスチックの溶融が始まる。
これにより、溶融物が材料投入装置2と熱分解炉3とを隔離するマテリアルシートとして作用することになり、材料投入口5から空気が入ることを防ぐことができる。
(1)従来、常温の固形プラスチックを熱分解炉へ投入し、一気に分解温度まで加熱し分解させる方式がある。この場合、分解工程の温度上昇が急なため、十分な炭素−炭素結合の切断が行われておらず、熱分解によって生成する炭化水素ガスは炭素数が20より大きいものが主成分となるため、冷却して回収して生成油は炭素数20以上の重油で動粘度が500cSt以上のワックス状のものとなると同時に、残渣の発生量が多くなる。
これに対し、本実施形態では、材料投入装置2では熱風循環ライン15からの熱風を利用して、内筒4の主として外側から200〜300℃に加熱して溶融状態にするため、分解工程の温度上昇が緩やかになる。従って、プラスチックの炭素−炭素結合が十分に切断することができ、熱分解工程で低分子量の炭化水素化合物が生成し易くなり、動粘度が20cSt以下で炭素数が20以下の成分の生成油を得ることができると同時に、残渣の発生を少なくすることができる。
(4)熱分解炉3から排出される残渣は400℃程度と高温であり、かつ粉状であるので、粉塵を発生する恐れがある。しかし、上記実施形態では、水を収容した残渣受けピット20に残渣を投入し、直接冷却を行うと同時に水分を含ませることにより粉塵の発生を防ぐことができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] プラスチックを加熱して熱分解するプラスチックの熱分解方法であって、200〜300℃の範囲でプラスチックを溶融する工程と、溶融したプラスチックを400〜500℃の範囲で熱分解して熱分解ガスを回収する工程とを備えたことを特徴とするプラスチックの熱分解方法。
[2] プラスチックを加熱して熱分解するプラスチックの熱分解装置であって、プラスチックを投入し、溶融する材料投入装置と、この材料投入装置の一部が挿着され,溶融したプラスチックを熱分解して熱分解ガスを回収する熱分解炉を備え、前記材料投入装置は、前記熱分解炉まで延出した内筒と、この内筒の一端側に設けられた材料投入口と、内筒の内部に配置された,材料投入口側から材料排出口側にかけて徐々に間隔が狭くなる回転羽根とを備えていることを特徴とするプラスチックの熱分解装置。
[3] [2]記載の熱分解炉で排出される粉末状のプラスチック残渣を収容する水槽を備えていることを特徴とする残渣冷却装置。
Claims (2)
- プラスチックを加熱して熱分解するプラスチックの熱分解装置であって、
プラスチックを投入し、溶融する材料投入装置と、この材料投入装置の一部が挿着され,溶融したプラスチックを熱分解して熱分解ガスを回収する熱分解炉と、バーナーからの熱風を前記熱分解炉の外側に送る熱風循環ラインとを備え、
前記材料投入装置は、前記熱分解炉内まで延出した内筒と、この内筒の一端側に設けられた材料投入口と、内筒の内部に配置された,材料投入口側から材料排出口側にかけて徐々に間隔が狭くなる回転羽根とを備え、
前記熱風循環ラインは、前記バーナーから熱風を前記熱分解炉の外側に導入することにより、前記投入されたプラスチックを前記材料投入装置の内筒において溶融させ、および前記溶融したプラスチックを前記熱分解炉において熱分解させることを特徴とするプラスチックの熱分解装置。 - 前記熱分解炉で排出される粉末状のプラスチック残渣を収容する水槽をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のプラスチックの熱分解装置。
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