JP5538914B2 - 電気錠 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的にも開閉可能な電気錠に関する。
特許文献1には、錠前の一例として電気錠が記載されている。この種の電気錠は、普通一般に、電気的に開閉が可能であると同時に、合鍵、サムターン摘み等の操作部材による操作力に直線方向へよっても機械的に開閉可能な施・解錠機構を備えている。
ところで、従来、例えば電気錠の解決すべき問題点は、(a)手動によって施・解錠するとき、ダルマ側の動力が動力伝達歯車側に作用しないこと、(b)また、デッドボルトに側圧が作用しても、スムースに完全施錠位置まで突出することである。
そこで、電気錠は、普通一般に、手動により機械的にも開閉可能であるが、手動によって施・解錠するとき、ダルマ側の動力が動力伝達歯車側に作用しないように「合理的構成による動力の切り離し機構」が要望されている。また、電気錠の施・解錠機構(デッドボルトの出没を制御する機構)に関しては、制御部の制御(電気回路や記憶部の情報)に頼るというのが一般的発想なので、駆動源としては、電動モータと機械的に開閉可能なシリンダ錠の両方のみで十分である、と考えられているが、デッドボルトが電動モータ(駆動ムモータ)の駆動力により、例えば解錠状態から施錠状態へと移動している途中に於いて、該デッドボルトに錠箱側から側圧が掛かった場合には、該デッドボルトが錠箱から完全突出しない事態が生じ、現在、このような問題点を解消することが要望されている。
特開平6−108716号公報
本発明の所期の目的は、「合理的構成(複数の機能を有する部材を採用すること)」により、手動によって施・解錠するとき、ダルマ側の動力が動力伝達歯車側に作用しないようにすることである。また、本発明の第2の目的は、電気錠の錠箱の内部空間を有効的に活用することである。また、本発明の第3の目的は、デッドボルトに錠箱側から側圧が掛かった場合であっても、デッドボルトが錠箱から完全に突出することである。また、本発明の第4の目的は、動力源としての付勢手段が常に安定した状態で作用することである。さらに、本発明の第5の目的は、簡単な機構によってデッドボルトをロックすることができることである。
本発明の電気錠は、錠箱内の駆動モータの駆動力によって回転する動力伝達歯車と、この動力伝達歯車の伝動力によって回転するロック解除用回転体と、このロック解除用回転体と係合するストッパレバー及び該ストッパレバーに係止される摺動部材を有するロック機構と、前記摺動部材のラックと噛合するダルマと、前記錠箱側に一端部が取付けられ、一方、他端部がダルマ側に取付けられた動力源としての付勢手段と、前記ダルマに押し出されるデッドボルトとをそれぞれ備え、前記駆動モータ80の駆動力によって前記デッドボルト4を錠箱1内に完全に戻す時には、前記ロック解除用回転体90に設けたクラッチピン95が前記摺動部材の被係合部45を押圧しながら該摺動部材を施錠位置から解錠位置へと移動させ、これに対して、ダルマが操作手段の操作力に基づいて機械的に解錠方向又は施錠方向に回転して摺動部材が位置変位しても、該摺動部材の被係合部45と前記クラッチピン95は互いに係合する押圧状態とならず、前記ロック解除用回転体90は回転しないことを特徴とする。
(a)請求項1に記載の発明は、ロック解除用回転体90の一側表面、例えば正面にクラッチピン95を設け、一方、ダルマと噛合する摺動部材を水平方向、傾斜方向等の直線方向へ移動可能に設け、かつ、該摺動部材の他端部(後端部)には、施錠状態から解錠状態にするとき、該クラッチピン95に押される突起状、凹所状等の被係合部45を設け、しかも、手動による施・解錠とき、摺動部材はクラッチピン95に対して、ロック解除用回転体90が回転しないように接近又は離反するのみなので、「合理的構成(デッドボルト4を解錠状態に戻す駆動体機能及び手動側の動力を切断する動力切断機能を有するロック解除用回転体90を用い)」によって、本願発明の所期の目的を実現することができる。
(b)請求項2に記載の発明は、施錠時、常に駆動モータの駆動力に頼らないので、例えば駆動モータが起動した初期時以降にデッドボルトに錠箱側から側圧が掛かった場合であっても、デッドボルトが錠箱から完全に突出する。
(c)請求項3に記載の発明は、摺動部材は、少なくとも錠箱の前壁の内面と錠箱の後壁の内面の間を、例えば傾斜案内部を介して往復運動するので、電気錠の錠箱の内部空間を有効的に活用することができる。また、摺動部材は、ラック板35と、該ラック板と共働するように接合しかつストッパレバーに係止されるロック部材38を有するスライダ板34とを備え、前記ラック板の後端部にクラッチピン95が係合する突起状の被係合部45が形成されているので、ロック機能31を新規な構成で実現することができる。
(d)請求項4に記載の発明は、付勢手段は、捩じりコイルバネと、該捩じりコイルバネの螺旋状中央部を横柱で支持する可動のバネガイドとから成るので、付勢手段が常に安定した状態で作用する。
(e)請求項5に記載の発明は、簡単な機構によってデッドボルトをロックすることができる。
図1乃至図26は本発明の最良の実施例(第1実施例)を示す各説明図。
錠前Xの設置環境の一例を示す概略説明図。 電気錠システムの全体を示す概略説明図。 ロック解除用回転体を基準として、その正面視からの概略説明図。 ロック解除用回転体を基準として、その背面視からの概略説明図。 図1で示すロック解除用回転体を基準として、その背面視と正面視からの概略説明図。 ロック機構の正面視からの概略説明図。 ロック機構を構成する摺動部材とストッパレバーの斜視図。 摺動部材の正面視からの説明図。 図8の9−9線断面図。 図8の10−10線端面図。 摺動部材用ガイド板の説明図。 摺動部材のスライダ板の正面視からの説明図。 摺動部材のラック板の正面視からの説明図。 正面視側からの概略説明図(解錠時)。 背面視側からの概略説明図(解錠時)。 付勢手段の正面視からの説明図。 付勢手段の分解斜視図。 解錠時、デッドボルトの後端面から見た概略断面説明図。 駆動モータの起動時、ストッパレバーの係止が解除され、それ以後の付勢手段の作用を示す概略説明図(解錠位置から施錠位置へ)。 摺動部材の位置変位を示す概略説明図(解錠位置から施錠位置へ)。 ストッパレバーの係止が解除された概略説明図。 ダルマと摺動部材のラック板との噛合状態を示す概略説明図。 要部の作動状態を示す概略説明図(解錠状態から完全施錠状態に至る)。 正面視側からの概略説明図(完全施錠状態)。 施錠時、デッドボルトの後端面から見た概略断面説明図。 図26(a)は、駆動モータの駆動力により解錠位置へと戻す場合に於いて、ロック解除用回転体と摺動部材との係合関係を示す説明図。図26bは、手動により解錠位置へと戻す場合に於いて、ロック解除用回転体のクランクピンと摺動部材の被係合部との位置関係を示す説明図。
(1)主な構成部材
電気錠Xの主な構成部材は、錠箱1内に組込まれている、駆動モータ80、動力伝達歯車87、88、ロック解除用回転体90、摺動部材32、該摺動部材を係止するストッパレバー33を含むロック機構31、摺動部材32に噛合するダルマ3、ダルマ3の駆動カム或いはダルマに連結された駆動リンク等の動力変換手段を介して押し出されるデッドボルト4である。
すなわち、本発明の基本的な構成部材は、縦方向に配設された駆動モータ80の駆動力によって回転すると共に減速機能を有する複数個の動力伝達歯車87、88と、この動力伝達歯車87、88の伝動力によって回転すると共に手動側の動力を前記動力伝達歯車側に対して切り離す機能を有しかつ駆動モータの初期時の駆動力に基づく回転によって摺動部材32のロック状態を素早く解く機能を有するロック解除用回転体90と、このロック解除用回転体90と係合するように固定支軸51に軸支されたストッパレバー33及び該ストッパレバーに係止される前記摺動部材32を含むロック機構31と、前記摺動部材32を構成するラック板35のラック43と噛合するダルマ3と、前記錠箱側に一端部が取付けられ、一方、他端部がダルマ側に取付けられた動力源としての付勢手段70と、前記ダルマに動力変換手段を介して押し出されるデッドボルト4である。これらの各構成部材は、望ましくは、縦長状の錠箱1内に上下向に配設される。
(2)ロック解除用回転体90
本実施例のロック解除用回転体90は、複数の機能を有している。すなわち、(a)1つ目は、解錠時のダルマ3に対するロック状態を解く機能である。このダルマロック解除機能は、図2で示す解錠状態に於いて、錠箱1の前壁1a側に位置している摺動部材32のロック部(第1突起案内突起)38を人差し指状の第2係合腕53で係止しかつロック機構31を構成しているストッパレバー33に対して、例えば背面に設けられた係止解除用小突起93が固定軸92に軸支された従動小片91を押し上げることによって行われる。付言すると、図2で示す解錠状態に於いて、駆動モータ80の駆動力によってデッドボルト4を錠箱1から突出させる時は、ロック解除用回転体90が施錠方向に回転して錠箱1に軸支されているストッパレバー33の係止を解き、以後、ダルマ3は、付勢手段70の付勢力により自動的に施錠方向へと回動して、デッドデッド4は錠箱1から完全に突出する。
(b)二つ目は、駆動モータ80の駆動力に基づきデッドボルト4を解錠状態に戻す駆動体機能である。この駆動体機能は、図26の(a)で示すように、駆動モータ80の駆動力によってデッドボルト4を錠箱1内に完全に戻す時には、ロック解除用回転体90の一側面(図3参照)の縁部に設けたクラッチピン95が摺動部材32を構成するラック板35の突起状被係合部45を押圧しながら該摺動部材32を施錠位置から解錠位置へと移動させる。
(c)三つ目は、手動操作に基づいてデッドボルト4を出没させるとき、手動によってダルマが回転しても、該ダルマの回転力が動力伝達歯車87、88側に伝わらないように手動側の動力を切断する動力切断機能である。この動力切断機能は、図26の(b)で示すように、ダルマ3が操作手段の操作力に基づいて機械的に解錠方向又は施錠方向に回転して、該ダルマに連動する摺動部材32が解錠方向又は施錠方向に位置変位しても、前記摺動部材32の突起状被係合部45とクラッチピン95は互いに係合して押圧状態とならず、摺動部材32がロック解除用回転体90のクラッチピン95に対して接近し、又は離れるので、ロック解除用回転体90は回転しない。
(3)その他の特徴事項
本実施例では、その他の特徴事項が存在する。これらの特徴事項は、公知文献との関係で、本発明の限定要件となり得るものである。すなわち、上記構成に於いて、摺動部材32は、少なくとも錠箱1の前壁1aの内面と錠箱の後壁1bの内面の間を、傾斜案内部48を介して往復運動するラック板35と、該ラック板と共働するように接合しかつストッパレバー33に係止されるロック部38を有するスライダ板34とを備え、前記ラック板35の後端部にクラッチピン95が係合する突起状の被係合部45が形成されている。また、また、付勢手段70は、捩じりコイルバネ71と、該捩じりコイルバネの螺旋状中央部71bを横柱72cで支持する可動のバネガイド72とから成る。さらに、デッドボルト4には作動アーム14Aの上端部が枢支され、一方、該作動アーム14Aの下端部には、錠箱1側に設けられた案内切欠部20Aに直接又は間接的案内される横杆状のデッド用ストッパ19Aを取付け、該デッド用ストッパ19Aは、前記デッドボルト4が付勢手段70の付勢力によって完全に突出した施錠時には、前記案内切欠部20Aに案内されてデッドボルト4の後端面をロックする。
(4)図1乃至図26に示す一実施例
以下、図1乃至図26に示す本発明を実施するための最良の形態により説明する。図1は、電気錠(錠前)Xの錠箱1を、例えば、ガラス扉2の自由端部側の縦框2aの中に組み込むことができる概略説明図である。
錠箱1は、縦長に形成され、図1及び図2で示すように、該錠箱内には、デッドボルト(以下、ここでは当業者に通用する「デッド」の用語を用いる)の没入状態を保持する摺動部材32及び該摺動部材用ストッパレバー33を含むロック機構31と、該ロック機構にロックされるダルマ3と、前記錠箱側に一端部が取付けられ、一方、他端部がダルマ側に取付けられた動力源としての付勢手段70とが組込まれている。
電気錠(錠前)Xは、動力源の付勢手段70を用いているが、電気的に開閉可能であるのみならず、従来の一般的に普及している電気錠と同様に操作部材(合鍵、サムターン摘み)の操作力によって機械的に開閉可能(デッドの出没可能)である。それ故に、後述するようにダルマ3には図示しないシリンダ錠等が取付けられ、また、錠箱1内には、駆動モータ80、図示しない検出手段と共にスイッチング回路を構成するプリント基板81等の電気錠に必要な構成部材が適宜に組込まれる。
また、前記プリント基板81に接続されたリード線(信号線)82のコネクタ83は、扉、建物の壁面等の適宜箇所に設置された制御部(制御盤)84に接続する制御部側リード線(信号線)85のコネクタ86に接続可能である。
また、図3及び図4で示すように、駆動モータ80の出力軸80aには駆動歯車(傘歯車)87が一体的に取付けられ、該駆動歯車87とロック解除用回転体(従動歯車)90の間には、減速機構を構成する動力伝達歯車88が配設されている。動力伝達歯車88は、例えば駆動歯車87側に噛合する第1歯車88aと、ロック解除用回転体90側に噛合する第2歯車88bとから成る。
なお、特に図示しないが、自動施錠モード、又は連続解錠モードのいずれかに選択することができるモード切り換え手段(例えば操作スイッチ)が、例えば錠箱の前壁部、制御盤等の適宜箇所に設けられている。
まず、図3乃至図6を参照にして、本発明の要部を構成するロック解除用回転体90の構成について説明する。このロック解除用回転体90は、前述したように、(a)解錠時のダルマ3に対するロック状態を解くダルマロック解錠機能、(b)駆動モータ80の駆動力に基づきデッドボルト4を解錠状態に戻す駆動体機能、(c)手動側の動力を切断する動力切断機能をそれぞれ有する。
前記(a)のダルマロック解錠機能に関して、ロック機構31を構成するストッパレバー33の摺動部材32に対する係止を解除する場合には、設計如何によってはロック解除用回転体90で直接的に解除しても良いが、本実施例では、錠箱1の前壁1a付近に軸支された従動小片91を介して間接的に解除する。
この従動小片91は、図3に示すようにロック解除用回転体90の一側面(正面)の縁部に対向するように固定軸92に軸支された第1係合爪91aと、図4に示すようにロック解除用回転体90の他側面(背面)の縁部に対向するように前記固定軸92に軸支された第2係合片91bとから成り、前記第1係合爪91aの係合端部は、ストッパレバー33の受け部分56に対して押圧状態に係合することができるように任意形状(例えば人差し指の指先状)に形成され、一方、前記第2係合片91bは、ロック解除用回転体90の他側面(背面)の縁部に突設された係止解除用小突起93と係脱することができるように任意形状(例えば細長板片)に形成されている。
図5の概念図で示すようにロック解除用回転体90の上側に位置する鉤状第1係合爪91aとその下側にバー状第2係合片91bの各基端部は、共に固定軸92を同軸にして一体的に軸支され、該固定軸92を介して同方向へ一緒に回転する。
付言すると、図3及び図4で示すように、ロック解除用回転体90が矢印方向Aへ回転すると、第2係合片91bは、その自由端部が位置変位する係止解除用小突起93に押圧され、図3及び図4で示す矢印B方向へ回転するので、ストッパレバー33の受け部分56が矢印C方向へと持ち上げられ、その結果、ストッパレバー33の後述する第2係合腕53の先端部が摺動部材32を構成するスライダ板34の係合部(例えば第1案内突起部材)38から外れる。
本実施例では、ロック解除用回転体90の一側面(正面)の縁部には、クラッチピン95が突設され、該クラッチピン95は、摺動部材に縦又は斜め方向にバー状に突設された被係合部45に係脱可能である。
したがって、駆動モータが逆方向(解錠方向)に回転した場合には、ロック解除用回転体90のクラッチピン95は、図26で示すように、摺動部材32を介してダルマ3及びデッド4を解錠位置へと戻す。それ故に、ロック解除用回転体90は、前述した複数の機能を果たしている(ロック解除と摺動部材32を押し戻す機能)。
ここで、図26を参照にして、本願発明の特徴事項に関する説明について付言する。図26(a)は、駆動モータの駆動力により解錠位置へと戻す場合に於いて、ロック解除用回転体90と摺動部材32との係合関係を示す説明図、一方、図26bは、手動により解錠位置へと戻す場合に於いて、ロック解除用回転体90のクランクピン95と摺動部材32の凸(本実施例)又は凹所状の被係合部45との位置関係を示す説明図である。
しかして、図26(a)の駆動体機能の場合には、ロック解除用回転体90は駆動モータの駆動力により、矢印で示す解錠方向へ回転する。この時、クランクピン95が摺動部材32のラック板35の後端部に縦方向に筋状に突出形成された被係合部45の後端側面に当接し、そのままロック解除用回転体90の回転量に応じて周方向へ位置変位することから、摺動部材32は前記被係合部45を介してクランクピン95に押される格好に成る。
したがって、ロック解除用回転体90が解錠方向へ回転すると、摺動部材32は、本実施例では、錠箱側の直線案内長孔48を介して施錠方向へとスライドするので、摺動部材32のラック板35のラック43と噛合するダルマ3は完全施錠位置から完全解錠位置まで回転する。それ故に、図示しないデッド4は動力変換機能の一例である駆動リンク5を介して解錠位置へと戻される。
これに対して、図26bの手動側の動力を切断する動力切断機能の場合には、図示しない操作部材の操作力によりダルマ3が完全施錠位置から完全解錠位置まで回転するとき、ロック解除用回転体90のクランクピン95から摺動部材32の被係合部45が次第に離れる格好と成る。
すなわち、本実施例では、ダルマ3が操作手段の操作力に基づいて機械的に解錠方向又は施錠方向に回転して摺動部材32が位置変位しても、該摺動部材32の被係合部45と前記クラッチピン95は互いに係合する押圧状態とならず、ロック解除用回転体90は回転しない。
(5)電気錠X等を詳細
さて、例えば図2、図14の正面視側からの概略説明図及び図15の背面視側からの概略説明図を参照にして、電気錠X等を詳細に説明する。Xは電気錠(錠前)、Yは戸枠、Zは受け金具である。また、1aは錠箱1の前壁、1bは錠箱の後壁、1cは錠箱の幅広側壁(以下、「側壁」という。)、1dはデッドが出没する貫孔である。
符号3は縦長錠箱1の下部側に図示しない受け座あるいは、座部を介して回動自在に設けられたダルマで、このダルマ3は、正面視側(図2、図14)に全体の形状が見えるダルマ本体21と、背面視側(図15)に全体の形状が見える駆動カム22とから成り、前記駆動カム22は前記ダルマ本体21と一体に結合している。
しかして、ダルマ本体21は座部に嵌合する表環状部21aに、異形の不番開口が形成されている。周知のように、前記不番開口には、図示しないテールピースあるいは、連結杆が挿通され、該連結杆を介してシリンダ錠の内筒が連結されている。したがって、ダルマ3は操作部材としての合鍵の操作力によって回動可能である。
また、ダルマ本体21は、その表環状部21aに連設する円形状外周部21bの一部にセクターギア23と半径外方向へ山形状に突出する連結部24をそれぞれ有している。前記セキターギア23は、摺動部材32のラック板35に噛合し、一方、前記突起状連結部24には、駆動リンク5が第2枢支ピン7を介して連結する。
ダルマ本体21の裏側に合体する駆動カム22も、図15で示すように側壁1cの座部に嵌合する裏環状部22aに異形の不番開口が形成されている。周知のように前記不番開口には図示しないサムターン軸が挿通され、該サムターン軸にサムターン摘みが連結されている。
したがって、ダルマ3は、操作部材としてのサムターン摘みの操作力によっても回動可能である。また、駆動カム22は、その裏環状部22aに連設する円形状外周部22bの一部に半径外方向へ人さし指状に延伸する係合アーム25と、該係合アーム25の根元あるいは根元付近にバネ端用の小突起26をそれぞれ有している。前記小突起26には、例えば図16及び図17で示す付勢手段70を構成する開脚変位バネ71の他端部71cが連結ピン27を介して連結され、一方、前記係合アーム25の折曲先端部は、後述の摺動部材32を構成するラック板35の被係合部に常時係合している。
次に、4はダルマ3の下方に水平状態に配設されたデッドで、該デッド4は短杆状の駆動リンク5を介して前記ダルマ3の突起部分に連結されている。付言すると、本実施例では、駆動リンク5は、その一端部がデッド側の第1枢支ピン6に、一方、他端部がダルマ側の第2枢支ピン7にそれぞれ軸支され、ダルマ3の回動力をデッド4の進退動(往復運動)に変換する。
また本実施例では、デッド4を案内する案内手段(ガイド板、ガイド溝、ガイド突起等)については、特に図示しないが、デッド4は、デッド4及び側壁1cに設けられた案内手段に案内され、出没自在に戸枠Yの受け金具Zに係脱する。
次に、31はデッドの没入状態を保持するロック機構で、該ロック機構31は摺動部材32及び該摺動部材用ストッパレバー33を含み、ダルマ3を基準として、望ましくは、ダルマ3よりも上方に配設されている。図7は、ロック機構31の摺動部材32とストッパレバー33をそれぞれ示す。
ここで、図7乃至図13を参照にして、摺動部材32の具体的構成を説明する。図8は、摺動部材32の正面図であるが、該摺動部材32は、図12及び図13で示すように垂直のスライダ板34(図12)と垂直のラック板35(図13)の二枚から構成され、これらのスライダ板34とラック板35は前後方向に接合している。
図8を基準にすると、ラック板35はスライダ板34の手前側に位置し、両板34,35は水平方向に所定間隔離間して設けられた複数個の係合部、被係合部、水平切欠部36,37,37a,37b,37cと介して互いに共働するように組み合っている。
図8を参照にすると、36はスライダ板34の幅広下端部の手前側(前側)に突設された左右或いは上下の係合突起、これに対して、37は前記係合突起36に係合するようにラック板35の下端部に形成された左右の水平案内切欠と水平案内長孔である。手前側のラック板35は、これらの係合部36,37を介して、所定量水平方向へ往復可能である。
また、38,39はスライダ板34の中央部の前面に突設された左右の第1・第2案内突起部材で、図9の断面図と図10の端面図と比較すると明らかなように、一方側(図9では左側)の第1案内突起部材38は、他方側(右側)の第2案内突起部材39よりも手前側に多少突出している。
しかして、前記左側の第1案内突起部材38は、その基端部がスライダ板34の傾斜状左端部に固定された状態でラック板35の左端部の逃し用水平案内切欠37aを貫通する第1支軸38aと、この第1支軸38aに取付けられた第1スライダコロ38b、ストッパコロ38c等から成り、前記第1支軸38aの突出先端部は適宜にかしめられている(図9参照)。
付言すると、第1支軸38aの突出先端部は、望ましくは不番のワッシャと面一になるようにかしめられている。この第1案内突起部材38は、本実施例では、後述するように「ロック部材」の機能も兼用している。
一方、前記右側の第2案内突起部材39は、その基端部がスライダ板34の突起状右端部に固定された状態で、ラック板35の復帰バネ40収納用水平切欠部37bを貫通する第2支軸39aと、この第2支軸39aに取り付けられた第2スライダコロ39b等から成り、前記第2支軸39aの突起先端部も第1支軸38aのそれと同様に適宜にかしめられている。したがって、第2案内突起部材39は、ストッパコロ38cを有しない分、その長さは第1案内突起部材38よりも短くなっている(図10参照)。
また、スライダ板35の第1・第2案内突起部材38,39の間には水平方向に所定長の復帰バネ40用水平切欠部37cが形成されている、それ故に、スライダ板34の水平切欠部37cの右端縁部には第1バネ受け部41が設けられ、一方、ラック板35の水平切欠部37bの左端縁部には第2バネ受け部42が設けられ、これらの第1・2バネ受け部41,42に復帰バネ40の両端が支持された状態で両水平切欠部37b,37cに収納される。
さらに、ラック板35の構成について付言すると、ラック板35の下端縁部には水平方向にダルマ3のセクターギア23噛合するラック43が形成されており、また、ラック板35の上端縁部の適宜個所には、後述するストッパレバー33を押圧してロック機構31のロック状態(ストッパレバーがスライダ34の第1案内突起部材38に係合している係止状態)を解くための傾斜状押圧部44が形成されており、さらに、ラック板35の裏側の一端部には、ダルマ3の駆動カム22の係合アーム25の内側が面接触状態で係合する突起状の被係合部45が設けられている。
したがって、本実施例では、摺動部材32は、ストッパレバー33の先端部と係脱するロック部材38を有するスライダ板34と、このスライダ板に係合部・被係合部36,37を介して共働するように組み合わせられ、かつダルマ3のセクターギア23と噛合するラック43を有するラック板35と、このラック板のバネ受け部42と前記スライダ板のバネ受け部41との間に組み込まれたラック板用復帰バネと40から成り、例えば合鍵、サムターン摘み等の操作部材を若干施錠方向へ回転操作すると、摺動部材32のラック板35は、ラック板用復帰バネ40のバネ力に抗して若干施錠方向へと移動すると共に、ストッパレバー33を押圧してロック機構31のロック状態を解くこともできる。
ここで、図11を参照にして、摺動部材32を直線方向に案内するガイド板47について説明する。ガイド板47は、後述するストッパレバー33と共に、錠箱の一側壁1c(図2を基準にすると、手前側の正面の側壁)の内壁面に沿って適宜の固定されている。このガイド板47の数、厚さ、形状等は任意に設計することができる事項であるが、単数又は複数のガイド板47は、水平又は斜め方向(本実施例)の直線案内長孔48を有し、該直線案内長孔48には、第1・第2案内突起部材38,39の各スライダコロ38b、39bが摺動自在に嵌合している。
次に、図2、図6、図7、図14等を参照にしてロック機構31を説明する。図2で示すように、ストッパレバー33はダルマ3の上方に固定支軸51を介して回転自在に側壁1cに軸支されている。このストッパレバー33は、図6を基準にすると、固定支軸51を基準として、上方にやや斜め方向に延伸する第1係合腕(いわば親指に相当)52と、左斜め下方方向に延伸してスライダ板34の第1案内突起部材(ロック部材)38に係脱する第2係合腕(いわば人差し指に相当)53と、右斜め下方方向に延伸してバネ部材55の一端部を受けるバネ端受け部分54と、前記第1係合腕52と第2係合腕53との間の適宜部位に小突起状に突出され、かつラック板35の押圧部44と摺設する受け部分56とから成っている。前述したように、前記受け部分56には従動小片91の第1係合片が係合する。
そして、前記第1係合腕52の先端部には、錠箱の前壁1a側に設けられた図示しないトリガーの動力によって水平方向へ自在に移動する可動片60の小突起60aが係合する係合孔52aが形成されている。なお、前述したバネ部材55の他端部は錠箱の側壁1c側に適宜に支持されている。
次に、図2、図16及び図17を参照にして動力源としての付勢手段70について説明する。付勢手段70は、図2で示すようにダルマ3の駆動カム22と錠箱の前壁1aとの間の空間に配設されている。本実施例の付勢手段70は、捩じりコイルバネ71と、該捩じりコイルバネを支持した状態で所定方向へ案内するバネガイド72とから成る。
しかして、前記捩じりコイルバネ71は、その両端部を延伸させた開脚変位バネであり、該開脚変位バネは71、その螺旋状中央部71bを保持しかつ一端部71aが固定軸74を介して軸支された可動の前記バネガイド72を介して開脚変位する。
前述したように、開脚変位バネ71の他端部71cは、本実施例では、ダルマ3の駆動カム22の小突起26に連結ピン27を介して取付けられている。そして、本実施例の捩じりコイルバネ71は、デッド4に対して、いわゆる側圧が掛かっている(負荷されている)場合であっても、電動モータの起動、操作部材による操作起動等による初期動力によって、摺動部材32に対するロック機構31のロック状態が解かれている限り、以後、ダルマ3を介してデッド4を完全に押し出すことができるよう、そのバネ力が設定されている。
図17は、バネガイド72の一例を示す。バネガイド72は、錠箱1の側壁1cを摺接する垂直ベース板部72aと、この垂直ベース板部72aの左右端部に連設する枠状の囲い部72bとを有し、前記垂直ベース板部72aの基端部には軸孔が形成され、一方、垂直ベース板部72aのやや幅広自由端部の内面には前述した螺旋状中央部71bが外嵌合する横柱71cが設けられている。バネガイド72は、前記横柱71cを有しているので、開脚変位バネの螺旋状中央部71bの巻数を多くしても、容易に変形せず、形態が常に一定の状態に保持されている。このように、本実施例の付勢手段70は、捩じりコイルバネ71と、該捩じりコイルバネの螺旋状中央部を横柱71cで支持する可動のバネガイド72とから成ることを特徴とする。
次に、例えば図23乃至図25を参照にして、ダルマ3の回動運動をデッド4の直線運動に変換する機構及びデッド用のストッパ19Aについて説明する。本実施例の動力変換手段5は、例えば駆動リンク5である。この駆動リンク5は、その一端部がデッド4側の第1枢支ピン6に、一方、他端部がダルマ側の第2枢支ピン7にそれぞれ軸支され、操作部材の操作力又は図示しない駆動モータの駆動力で回転するダルマ3の回転力を、デッド4の進退動に変換する。
しかして、本実施例では、駆動リンク5は、その一端部(先端部)がデッド4の本体4aの上辺に設けられた突起4bに第1枢支ピン6を介して軸支され、一方、その他端部(末端部)は、ダルマ3の外周縁部に第2枢支ピン7を介して直接軸支されている。
符号19Aはデッド用ストッパで、該デッド用ストッパ19Aは、施錠時、駆動リンク5とは異なる作動アーム14Aの位置変位により、デッド4の後端面と錠箱1の後壁1bの内壁面との間の空間に入り込んで該デッド4の後退を阻止する。
ところで、前記作動アーム14Aは、前記駆動リンク5に対して二本目のリンク(駆動リンクに連結されていないこと)である。付言すると、本実施例では、1本目、二本目及び三本目をそれぞれ連係させて一つのリンク機構を構成していない。また、その一端部(上端部)がダルマ3の周端部にダルマ側の第2枢支ピン7に対して所定間隔離間するダルマ側の第3枢支ピン8に軸支され、かつ、他端部(下端部)にデッド用ストッパ19Aを一体的に有し、該デッド用ストッパ19Aは、錠箱の左右の側壁1c、1cに直接又は間接的(本実施例)に設けられた上下方向の曲線形状案内切欠部20A、20Aに案内されると共に、施錠時、前記案内切欠部20Aの終端部分に相当する垂直部20cに落ち込んで、該デッド4の後退を確実に阻止(ロック)する横棒突起である。
また、前記曲線形状案内切欠部20Aは、錠箱1の左右側壁1c、1cの各内壁面にそれぞれ固定された一対の案内固定板9,9にそれぞれ対向するように形成されている。そして、曲線形状案内切欠部20Aは、上下方向に「ややS字型カーブ」を描くように形成され、その上端部に相当する垂直部分の始点20aから、中途部に相当する弧状或いは傾斜状部分20bと、終端部分に相当する垂直部20cとから成る。また、横棒突起のデッド用ストッパ19Aは、その両端部が前記左右一対の曲線形状案内切欠部20A、20Aに架設された状態で係合している。
図23は、解錠時から施錠時に至る駆動リンク5とデッド用ストッパ19Aの動きを示す概略説明図である。解錠時、デッド4は、錠箱1内に後退している。この時、駆動リンク5は水平状態であるのに対して、作動アーム14Aはデッド4の上辺に垂直状態になっている。
付言すると、駆動リンク5の第1枢支ピン6と第2枢支ピン7は、同一水平線上に位置し、また、作動アーム14Aの第3枢支ピン8の真下に横棒状のストッパ19Aが位置している。そして、作動アーム14Aの下端部又はストッパ19Aは、デッド4の後端部に形成された傾斜状受け面10の上端部分10aに当接している。
そこで、施錠時、前述した駆動モータ80が施錠信号により起動し、引き続いてロック解除用回転体90が施錠方向に回転し(図3、図4を参照)、ロック機構31のストッパレバー33の係止を解くと、直ちに動力源としての付勢手段70のバネ力がダルマ3に作用する。そうすると、ダルマ3は反時計方向に回転し始める。ダルマ3が反時計方向に回転すると、ダルマ3とデッドボルト4は、第1枢支ピン6、第2枢支ピン7及び駆動リンク5を介して連結されているから、前記駆動リンク5がダルマ3の回転力を変換する押圧機能(突っ張り機能)を発揮し、デッド4は突出方向へと水平移動する。
そして、ダルマ3が引き続き回転し続けると、解錠状態から施錠状態に至る途中に於いて、デッド用ストッパ19Aが曲線形状案内切欠部20Aの中途部分20bに案内されながらデッド4の後端部の傾斜状受け面10を押し付ける。つまり、二本目のリンクに相当する作動アーム14Aが、駆動リンク5に共働として補助的にデッドボルト4を押し付ける。
施錠時、駆動リンク5が所定位置にて傾倒状態になると、ストッパ19Aが案内切欠部の終点に相当する垂直部20cに落ち込んで、該デッド4の後退を阻止する。付言すると、デッド用ストッパ19Aは、少なくとも錠箱1の左右の側壁に間接的に設けられた一対の曲線形状案内切欠部20A、20Aの垂直部分20c、20cに係止状態に架設されているので、デッド4は容易に後退しない。
したがって、本発明の電気錠の自動施錠装置は、錠箱1内に、施錠信号に基づいて電気的に起動する駆動モータ80と、該駆動モータの駆動力によって回転する動力伝達歯車88と、この動力伝達歯車の伝動力によって回転するロック解除用回転体90と、このロック解除用回転体と係合するストッパレバー33及び該ストッパレバーに係止される摺動部材32を有するロック機構31と、前記摺動部材のラック43と噛合するダルマ3と、前記錠箱1側に一端部17aが取付けられ、一方、他端部71cがダルマ3側に取付けられた動力源の付勢手段70と、前記ダルマ3に押し出されるデッド4をそれぞれ組込み、施錠時、駆動モータ80が起動すると、ロック解除用回転体90が、図3及び図4で示すように施錠方向に回転して前記ストッパレバー33の摺動部材32に対する係止を解き、以後、前記ダルマ3は、前記付勢手段70の付勢力により自動的に施錠方向へと回動して、前記デッド4は錠箱1から完全突出する点に特徴がある。
そして、付勢手段70は、捩じりコイルバネと、該捩じりコイルバネの螺旋状中央部を横柱で支持する可動のバネガイドとから成る点も特徴あるが、防犯性の向上を図る目的から、さらに、ダルマ3には、該ダルマに連動するように作動アーム14Aの上端部が枢支され、一方、該作動アームの下端部には、錠箱側に設けられた曲線状の案内切欠部20Aに直接又は間接的な案内される横杆状のデッド用ストッパ19Aを取付け、該デッド用ストッパ19Aは、デッド4が付勢手段70の付勢力によって完全に突出した施錠時には、前記案内切欠部20Aに案内されてデッド4の後端面をロックする点も特徴がある。
加えて、ダルマ3は、操作部材の操作力により機械的に回転可能であり、動力源の付勢手段70の付勢力が十分に作用しない事態が生じた場合には、該ダルマ3の半径外方向に延伸し、かつ摺動部材33の被係合部45と係合する駆動カム22によって摺動部材32を解錠位置から完全施錠位置へと直線移動させ、これにより、デッド4は錠箱1から完全突出する。
その他の事項について説明する。前述したように、本実施例の電気錠(錠前)Xは、電気錠として利用することができるが、少なくとも操作部材の操作力により機械的に施・解錠する。
そこで、操作部材の一例としてのサムターン摘み76を若干施錠方向へ回転操作すると、摺動部材32のラック板35は、ダルマ3の駆動カム22のセクターギア23により、復帰バネ40のバネ力に抗して若干施錠方向へ直線移動する。
そうすると、ラック板35の初期動作時、該ラック板35の押圧部44がストッパレバー33の受け部分56を突き上げるように押圧するので、該ストッパレバー33は、固定支軸51を支点に係止を解く方向に所要量回転する。
そして、摺動部材32に対するロック機構31のロック状態が解かれたので、付勢手段70の捩じりコイルバネ71は、収縮状態から外拡状態へと位置変位し、これによりそのバネ力がダルマ3に直接作用する。
ダルマ3に付勢手段70のバネ力が作用すると、該ダルマ3は、停止することなく、そのまま解錠方向へと回転し続けるので、スライダ板34も係合部36、被係合部37等を介してラック板35と共働して解錠位置へとガイド板47の直線案内長孔48に案内されながら移動する。
図20は、電動及び手動のいずれの場合であっても、摺動部材32が解錠位置から施錠位置へと変位することを示す。このように、本実施例では、電動モータの起動、操作部材による操作起動等による初期動力によって、摺動部材32に対するロック機構31のロック状態が解かれる限り、以後、付勢手段70のバネ力がダルマ3に掛かり、該ダルマ3は自動的に施錠方向へと回動して、かつデッド4も錠箱1から自動的に完全突出する。
本実施例の摺動部材32は、望ましくは錠箱1の前壁1aの内面と錠箱1の後壁1bの内面の間を、傾斜案内長孔48を有するガイド板47を介して傾方向に往復運動をする。このように構成すると、縦長の錠箱1の内部空間を有効的に活用することができる。
また、本実施例に於いて、ストッパレバー33は、ストッパレバー用のバネ部材55のバネ力によって摺動部材を係止する方向へと回転するが、もちろん、前記バネ部材55のバネ力に代えて、磁性体の反発力により摺動部材32を係止する方向へと回転さることもできる。磁性体の極性に基づく反発力を利用する場合には、錠箱の適宜箇所とストッパレバー33の適宜箇所にそれぞれ磁性体が設けられる。
また、本実施例の摺動部材32は、望ましくはストッパレバー33の先端部と係脱するロック部材38を有するスライダ板34と、このスライダ板に係合部36を介して共働するように組み合わせられ、かつダルマ3のセクターギア23と噛合するラックを有するラック板35と、このラック板のバネ受け部と前記スライダ板のバネ受け部との間に組み込まれたラック板用復帰バネ40とから成るが、摺動部材32は、二枚の板体にせず、一枚のラック板35にしても良い。また、ストッパレバー33及びラック板35の形状については、任意に設計変更することができる事項である。
さらに、特に図示しないが、ダルマ3の回動運動をデッド4の往復運動に変換する事項も、駆動リンク5に代えて、特許文献1に記載のデッドカム(ダルマ)の半径外方向に延伸する作動カムにすることもできる。
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
1…錠箱、2…扉、3…ダルマ、5…駆動リンク、21…ダルマ本体、22…駆動カム、25…係合アーム、31…ロック機構、32…摺動部材、33…摺動部材用ストッパレバー、34…スライダ板、35…ラック板、47…ガイド板、48…傾斜案内長孔、70…付勢手段、71…捩じりコイルバネ、71b…中央部、71c…横柱、72…バネガイド、74…固定軸、76…操作部材(合鍵、サムターン摘み、操作ボタン等)、14A…作動アーム、20A…案内切欠部、19A…デッド用ストッパ、80…駆動モータ、81…プリント基板、82,85…リード線、84…制御部、87…駆動歯車、88…動力伝達歯車、90…ロック解除用回転体、91…従動小片、91a…第1係合片、91b…第2係合片、92…固定軸、93…係止解除用小突起、95…クラッチピン。

Claims (5)

  1. 錠箱内の駆動モータの駆動力によって回転する動力伝達歯車と、この動力伝達歯車の伝動力によって回転するロック解除用回転体と、このロック解除用回転体と係合するストッパレバー及び該ストッパレバーに係止される摺動部材を有するロック機構と、前記摺動部材のラックと噛合するダルマと、前記錠箱側に一端部が取付けられ、一方、他端部がダルマ側に取付けられた動力源としての付勢手段と、前記ダルマに押し出されるデッドボルトとをそれぞれ備え、前記駆動モータ80の駆動力によって前記デッドボルト4を錠箱1内に完全に戻す時には、前記ロック解除用回転体90に設けたクラッチピン95が前記摺動部材の被係合部45を押圧しながら該摺動部材を施錠位置から解錠位置へと移動させ、これに対して、ダルマが操作手段の操作力に基づいて機械的に解錠方向又は施錠方向に回転して摺動部材が位置変位しても、該摺動部材の被係合部45と前記クラッチピン95は互いに係合する押圧状態とならず、前記ロック解除用回転体90は回転しないことを特徴とする電気錠。
  2. 請求項1に於いて、駆動モータ80の駆動力によってデッドボルト4を錠箱1から突出させる時は、ロック解除用回転体が施錠方向に回転して錠箱に軸支されているストッパレバー33の係止を解き、以後ダルマは、付勢手段の付勢力により自動的に施錠方向へと回動して、前記デッドデッドは錠箱から完全に突出することを特徴とする電気錠。
  3. 請求項1に於いて、摺動部材は、少なくとも錠箱の前壁の内面と錠箱の後壁の内面の間を往復運動するラック板35と、該ラック板と共働するように接合しかつストッパレバーに係止されるロック部材38を有するスライダ板34とを備え、前記ラック板の後端部にクラッチピン95が係合する突起状の被係合部45が形成されていることを特徴とする電気錠。
  4. 請求項1に於いて、付勢手段は、捩じりコイルバネと、該捩じりコイルバネの螺旋状中央部を横柱で支持する可動のバネガイドとから成ることを特徴とする電気錠。
  5. 請求項1に於いて、デッドボルトには作動アームの上端部が枢支され、一方、該作動アームの下端部には、錠箱側に設けられた案内切欠部に直接又は間接的案内される横杆状のデッド用ストッパを取付け、該デッド用ストッパは、前記デッドボルトが付勢手段の付勢力によって完全に突出した施錠時には、前記案内切欠部に案内されてデッドボルトの後端面をロックすることを特徴とする電気錠。
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