以下に、図示した一実施の形態に基づいて、この発明を説明する。図1は、一実施の形態における減衰弁の断面図である。図2は、一実施の形態の減衰弁が適用された緩衝器の断面図である。図3は、一実施の形態の減衰弁におけるソレノイドの磁路を示した図である。図4は、ソレノイドへの供給電流と減衰力との関係を示した図である。図5は、他の実施の形態における減衰弁の断面図である。
以下、図に示した実施の形態に基づいて本発明の減衰弁を説明する。一実施の形態における減衰弁V1は、図1に示すように、流路Pの途中に設けられて通過する流体に抵抗を与える弁要素1と、弁要素1における弁体2に流路面積を制限する方向に推力を与えるソレノイドSと、当該弁体2に流路面積を最大とする方向に推力を与える弾性体としてのバネ3と、流路Pの途中に弁要素1に直列配置されるフェール弁4とを備えて構成されて緩衝器Dに適用されており、緩衝器Dは、伸縮時に減衰弁V1を通過する流体に抵抗を与えて減衰力を発生するようになっている。
この減衰弁V1が適用される緩衝器Dは、たとえば、図2に示すように、シリンダ5と、シリンダ5内に摺動自在に挿入されるピストン6と、シリンダ5内に移動挿入されてピストン6に連結されるロッド7と、シリンダ5内に挿入したピストン6で区画したロッド側室8とピストン側室9と、シリンダ5の外周を覆ってシリンダ5との間に排出通路10を形成するパイプ11と、さらに、パイプ11の外周を覆ってパイプ11との間にリザーバ12を形成する外筒13とを備えて構成されており、ロッド側室8、ピストン側室9およびリザーバ12内には作動油等の流体が充填されるとともにリザーバ12には作動油の他に気体が充填されている。なお、流体は、作動油以外にも、減衰力を発揮可能な流体であれば使用可能である。
そして、この緩衝器Dの場合、リザーバ12からピストン側室9へ向かう作動油の流れのみを許容する吸込通路14と、ピストン6に設けられてピストン側室9からロッド側室8へ向かう作動油の流れのみを許容するシリンダ内通路15とを備え、排出通路10はピストン側室9とリザーバ12とを連通し、減衰弁V1は、流路Pを排出通路10に接続して当該排出通路10の途中に設けられている。
したがって、この緩衝器Dは、圧縮作動する際には、ピストン6が図2中下方へ移動してピストン側室9が圧縮され、ピストン側室9内の作動油がシリンダ内通路15を介してロッド側室8へ移動する。この圧縮作動時には、ロッド7がシリンダ5内に侵入するためシリンダ5内でロッド侵入体積分の作動油が過剰となり、過剰分の作動油がシリンダ5から押し出されて排出通路10を介してリザーバ12へ排出される。緩衝器Dは、排出通路10を通過してリザーバ12へ移動する作動油の流れに減衰弁V1で抵抗を与えることによって、シリンダ5内の圧力を上昇させて圧側減衰力を発揮する。
反対に、緩衝器Dが伸長作動する際には、ピストン6が図2中上方へ移動してロッド側室8が圧縮され、ロッド側室8内の作動油が排出通路10を介してリザーバ12へ移動する。この圧縮作動時には、ピストン6が上方へ移動してピストン側室9の容積が拡大して、この拡大分に見合った作動油が吸込通路14を介してリザーバ12から供給される。そして、緩衝器Dは、排出通路10を通過してリザーバ12へ移動する作動油の流れに減衰弁V1で抵抗を与えることによってロッド側室8内の圧力を上昇させて伸側減衰力を発揮する。
上述したところから理解できるように、緩衝器Dは、伸縮作動を呈すると、必ずシリンダ5内から排出通路10を介して作動油をリザーバ12へ排出し、作動油がピストン側室9、ロッド側室8、リザーバ12を順に一方通行で循環するユニフロー型の緩衝器に設定され、伸圧両側の減衰力を単一の減衰弁V1によって発生するようになっている。なお、ロッド7の断面積をピストン6の断面積の二分の一に設定しておくことで、同振幅であればシリンダ5内から排出される作動油量を伸圧両側で等しく設定できるため、減衰弁V1が流れに与える抵抗を同じにしておくことで伸側と圧側の減衰力を同じに設定することができる。
つづいて、減衰弁V1は、パイプ11の開口部に設けたスリーブ11aに嵌合して流路Pを備えた中空なバルブハウジング16と、バルブハウジング16内に収容される弁体2と、ソレノイドSと、弁体2に流路面積を最大とする方向に推力を与えるバネ3と、弁体2に流路面積を制限する方向に推力を与える遮断弾性体としてのバネ17と、フェール弁4とを備えて構成されている。
バルブハウジング16は、図1に示すように、軸線に沿う横孔16aと、横孔16aに通じる縦孔16bとを備え、図中左端となる先端の外周をパイプ11のスリーブ11aに嵌合して、横孔16aの左端開口部をパイプ11とシリンダ5の間で形成される排出通路10内に臨ませるとともに、縦孔16bをリザーバ12に臨ませており、横孔16aおよび縦孔16bで流路Pを形成している。
また、バルブハウジング16は、横孔16aの途中であって縦孔16bより排出通路10側となる図1中左方側に小内径部16cを設けて当該小内径部16cの内縁で形成される環状の弁座18を備えており、外周には、縦孔16bの開口部より排出通路10側となる図1中左方側にフランジ16dと、縦孔16bの開口部より反排出通路10側となる図1中右方側に大外径部16eを備えている。
さらに、バルブハウジング16のスリーブ11aへの嵌合部の外周には、シールリング19が装着されており、排出通路10とリザーバ12との間がシールされ、流路P以外を介して排出通路10とリザーバ12とが連通されないようになっている。
また、バルブハウジング16のフランジ16dは、外筒13の側部に設けた開口13aに取付けた筒13bの内周に嵌合され、当該筒13bの内周に設けた段部13cに当接されている。筒13bは、端部外周に符示しない螺子部を備えており、この筒13bには、ソレノイドSを内包した有底筒状のケース20が螺着される。
そして、当該ケース20は、筒部20aと筒部20aの開口端を加締めて固定される底部20bと、筒部20aの内周側に設けられてソレノイドSにおける巻線21を保持するソレノイドボビン22を保持するフランジ20cとを備えており、このフランジ20cと筒13bにおける段部13cとでバルブハウジング16のフランジ16dおよび非磁性体のスペーサ23を挟持し、これによってバルブハウジング16が緩衝器Dに固定される。このように固定されてもフランジ16dで流路Pのリザーバ12への連通が断たれることが無いように、フランジ16dには貫通孔16fが形成されている。
ソレノイドSは、上記した有底筒状のケース20と、巻線21を保持するとともにケース20の底部に固定される環状のソレノイドボビン22と、有底筒状であってソレノイドボビン22の内周に嵌着される第一固定鉄心24と、同じくソレノイドボビン22の内周に嵌着される筒状の第二固定鉄心25と、同じくソレノイドボビン22の内周に嵌着されるとともに第一固定鉄心24と第二固定鉄心25との間に介装される非磁性体の筒状のスペーサ26と、第一固定鉄心24の内周側に配置される有底筒状の可動鉄心27と、バルブハウジング16の大外径部16eの外周に摺動自在に装着されて可動鉄心27とは別にもう一つの可動鉄心としても機能する筒状のフェール弁体28とを備えて構成されている。
そして、有底筒状の可動鉄心27は、筒の開口端側を第一固定鉄心24の内方へ向けて第一固定鉄心24の内周に摺動自在に挿入されるとともに、第一固定鉄心24の底部に設けた非磁性体のワッシャ29に当接するまで第一固定鉄心24内に進入しても、図1中左方の底部側面が第二固定鉄心25の内周に若干対向するか至近に配置されるようになっている。また、可動鉄心27の筒の肉厚には通孔27aが設けられており、第一固定鉄心24と可動鉄心27で仕切られる空間が密閉されないようになっている。
さらに、可動鉄心27と第一固定鉄心24との間に遮断弾性体としてのバネ17が介装され、バネ17によって第一固定鉄心24から離れる方向へ推力が与えられている。このバネ17は、図1中右端が第一固定鉄心24の軸芯部に螺合される調節部材たるバネ力調整螺子30の先端に設けたバネ受30aに支承され、バネ力調整螺子30を第一固定鉄心24に対して進退させることでバネ17の支承位置を図1中左右に変更することができるようになっている。そして、この実施の形態の場合、ケース20の底部20bを筒部20aの開口端に加締めて固定する前にのみ、バネ力調整螺子30の操作をすることができるようになっているが、底部20bの筒部20aへの固定にあたり底部20bの着脱が可能な固定方法を採用すれば、バネ力調整螺子30の操作可能時期は底部20bの固定前に限られない。
第二固定鉄心25は、筒状とされており、第一固定鉄心24側の開口端は、内周側傾斜するようにテーパされており、巻線21が通電時に発生する磁束が右端内周側に集中するようになっており、この第二固定鉄心25と第一固定鉄心24との間に介装される非磁性体のスペーサ26における図1中左端の形状は、第二固定鉄心25のテーパに符合する形状とされている。
上述したところから、このソレノイドSにあっては、図3に示すように、磁路が第一固定鉄心24、可動鉄心27および第二固定鉄心25を通過するように形成されており、巻線21が励磁されると、第一固定鉄心24寄りに配置される可動鉄心27が第二固定鉄心25側に吸引され、可動鉄心27には図1中左側へ向かう推力が作用するようになっている。
そして、この可動鉄心27の底部は、図1に示すように、弁要素1の弁体2に当接しており、バネ17の推力が弁体2に伝わるようになっているとともに、ソレノイドSの励磁時には、吸引される可動鉄心27を介して弁体2に図1中左側へ向かう方向の推力を与えることができるようになっている。なお、可動鉄心27の弁体2側となる図1中左側への移動限界は、バルブハウジング16の右端外周に嵌合されて大外径部16eによって左方への移動が規制されている非磁性体でなる筒状のストッパ31によって規制されている。ワッシャ29およびストッパ31を合成樹脂等としておくことで、可動鉄心27の衝合時における衝撃や音の発生を抑制することができる。
そして、弁体2は、この実施の形態の場合、バルブハウジング16の図1中右端内周に摺接する大径部2aと、大径部2aの左端から伸びてバルブハウジング16の縦孔16bに対向する小径部2bと、小径部2bの左端に形成されるポペット型の弁頭2cとを備えて構成され、弁頭2cが弁座18に離着座することで流路Pを開閉することができるようになっている。なお、この弁体2の場合、小径部2bがバルブハウジング16の内周との間に隙間を形成するようになっており、弁体2が縦孔16bを閉塞することが無いよう配慮されている。
また、この弁体2における大径部2aの左端とバルブハウジング16の小内径部16cの右端との間には、バネ3が介装されており、当該バネ3は、弁体2を弁座18から遠ざける方向に推力を発揮しており、弁体2に流路Pにおける流路面積を最大とする方向に推力を与えている。
したがって、弁体2は、可動鉄心27を介してバネ3とバネ17で挟み込まれており、バネ3によって流路Pの流路面積を最大とする方向への推力が作用するとともに、反対に可動鉄心27を介してバネ17によって流路Pの流路を制限する方向への推力が作用しており、弁体2はソレノイドSへの通電が無い状態では、弾性体たるバネ3による推力が遮断弾性体たるバネ17の推力に釣り合うか上回って、可動鉄心27がワッシャ29へ当接するまで第一固定鉄心24内に押し込まれ、流路Pを最大開放する位置にまで弁体2を弁座18から後退するようになっている。
ここで、バネ3とバネ17は上述したところから理解できるように、直列配置されているため、バネ力調整螺子30でバネ17の支承位置を調節すると、バネ17の圧縮された状態における長さ、すなわち、圧縮長さを変更するだけでなく、バネ3の圧縮長さをも調節することができ、これらバネ3,17が弁体2に作用させる初期推力を調節することができるようになっている。
この初期推力を調節することで、ソレノイドSへの供給電流量に対する弁体2の位置、すなわち、弁要素1における流路面積を調整することができる。調節部材は、バネ17の支承位置を軸方向に調節することができればよいので、上記したバネ力調整螺子30に限定されるものではない。
戻って、ソレノイドSにおける第二固定鉄心25は、ソレノイドボビン22より図1中左方へ突出されており、第二固定鉄心25の左端外周には、スペーサ23が嵌合される。詳しくは、スペーサ23は、筒状であって右端内周にフランジ23aを備え、当該フランジ23aの内周を第二固定鉄心25の外周に嵌合させている。また、スペーサ23は、外筒13に設けた筒13bの内周にも嵌合されており、その外周に装着したシールリング32によって、スペーサ23と筒13bとの間シールされている。
フェール弁4は、バルブハウジング16大外径部16eの外周に摺動自在に装着されるフェール弁体28と、フェール弁体28とスペーサ23のフランジ23aとの間に介装されるフェール弾性体たるバネ33とを備えて構成される。
フェール弁体28は、筒状であって外周側に設けた鍔28aと、バルブハウジング16のフランジ16dの図1中右端面に対向する環状突起28bと、内周と外周とを連通するオリフィス28cと、図1中右端から開口してオリフィス28cへ通じる通孔28dとを備えて構成され、鍔28aとスペーサ23のフランジ23aとの間に介装されるバネ33によって、バルブハウジング16のフランジ16d側へ向けて常に推力が与えられている。
そして、このフェール弁体28の右端は、第二固定鉄心25の左端に対向しており、図3に示すように、磁路が、第二固定鉄心25、フェール弁体28、バルブハウジング16、筒13bおよびケース20を通過するように形成されている。上述したところから、このソレノイドSにあっては巻線21が励磁されると、フェール弁体28が第二固定鉄心25に吸引され、フェール弁体28には図1中右側へ向かう推力が作用するようになっている。そして、ソレノイドSへの供給電流が前記所定値を超えると、ソレノイドSによってフェール弁体28に作用する推力がバネ33の推力に打ち勝って第二固定鉄心25に吸着して流路Pを最大開放する。
反対に、ソレノイドSへの供給電流が前記所定値以下となる場合、ソレノイドSによってフェール弁体28に作用する推力がバネ33の推力に打ち勝つことができず、フェール弁体28は環状突起28bをバルブハウジング16のフランジ16dへ当接させて流路面積を制限する。このとき、フェール弁体28のオリフィス28cが流路Pに対向して、オリフィス28cのみを介して流路Pを連通するようになるので流路面積をオリフィス28cの流路面積にまで制限する。
したがって、ソレノイドSへの供給電流が前記所定値を超えると、フェール弁4は、流路Pを開放する開放ポジションを採り、反対に、ソレノイドSへの供給電流が前記所定値以下の状態では、オリフィス28cのみを介して流路Pを連通するフェールポジションを採る。
なお、フェール弁体28が第二固定鉄心25に密着しても、通孔28dが第二固定鉄心25の端部によって閉塞されず、連通状態を保つようになっており、フェール弁体28が第二固定鉄心25に密着した状態となっても、可動鉄心27が収容される空間が閉塞されないようになっており、これによって、弁体2がロックされて移動不能となってしまうといった事態が阻止される。
以上のように構成された減衰弁V1は、ソレノイドSへ電流供給を行うことが可能な通常作動時には、図4に示すように、ソレノイドSへ所定値I1を超えるI2からI3の範囲で電流が供給され、フェール時にはソレノイドSへの電流供給を停止する。なお、フェール時は、通電不能である場合に当然のこととして、ソレノイドSへ通電可能であっても電流供給を行わないようになっている。また、通常作動時の電流値の上限であるI3は、ソレノイドSの定格によって決せられており、フェール弁4がフェールポジションへ切換わる電流値I1を通常作動時における範囲の下限としないのは、電源電圧の安定性やノイズによってソレノイドSへの供給電流が振動的となったり電流不足となったりして、通常作動させたい場合にもフェール弁4がフェールポジションに切換わってしまうことを防止するため、所定値I1と通常作動時の下限の電流値I2との間に誤動作防止のマージンを設けているのである。
最初に、通常作動時について説明する。通常作動時には、ソレノイドSには、所定値I1を超える電流値の範囲となるI2からI3の範囲で電流が供給されるため、フェール弁4は流路Pを開放した状態となる。他方、弁要素1にあっては、ソレノイドSから受ける弁座18側への推力によって弁体2の流路Pの開放度合あるいは開弁圧が調節されることになる。
そして、この緩衝器Dが伸縮作動すると、シリンダ5内から排出通路10を介して押し出される作動油が減衰弁V1における弁要素1を通過してリザーバ12へ移動する。この作動油の流れに弁要素1で抵抗が与えられシリンダ5内の圧力が上昇して、減衰力が発生される。
この減衰力は、弁要素1で与える抵抗の大きさによって変更することができ、具体的には、ソレノイドSへの供給電流が電流値I2となるときに弁要素1で与える抵抗が最小となって、緩衝器Dは、最小のソフトな減衰力を発生し、反対に、ソレノイドSへの供給電流が電流値I3となるときに弁要素1で与える抵抗が最大となって、緩衝器Dは、最大のハードな減衰力を発生し、ソレノイドSへの電流供給量を変更することで緩衝器Dの減衰力をソフトからハードの間で無段階に調節することができる。
転じて、フェール時には、ソレノイドSへは通電されないため、弁要素1における弁体2はバネ17に抗してバネ3のバネ力によって図1中右方へ後退せしめられて流路Pを開放し、反対に、フェール弁4におけるフェール弁体28は、バネ33によるバネ力によってバルブハウジング16のフランジ16d側へ押圧されて環状突起28bをフランジ16dに当接させて流路Pにおける流路面積をオリフィス28cにおける流路面積にまで制限することになる。
この状態において、緩衝器Dが伸縮作動すると、シリンダ5内から排出通路10を介して押し出される作動油がフェールポジションに移行したフェール弁4のオリフィス28cを通過してリザーバ12へ移動する。この作動油の流れにオリフィス28cで抵抗が与えられシリンダ5内の圧力が上昇して、減衰力が発生される。
すなわち、フェール時における緩衝器Dが発生する減衰力は、オリフィス28cで与える抵抗のみによって決定される。つまり、オリフィス28cにおける流路面積を適当な値に設定することで、フェール時の減衰力を設定することができ、また、オリフィスの流路面積は、単一の孔の径で設定することができ、加工上、大きくばらつくことが無く、狙った通りの安定した減衰力を得ることができる。
上述したように、この減衰弁V1にあっては、単一のソレノイドSで弁要素1とフェール弁4を独立して駆動し、ソレノイドSへの供給電流が所定値を超える状態では、弁要素1のみが流路Pを制限してフェール弁4は流路Pに影響を与えず、反対に、ソレノイドSへの供給電流が所定値以下である場合にはフェール弁4のみが流路Pを制限して弁要素1は流路Pに影響を与えないようになっているので、弁要素1とフェール弁4が互いに干渉しあうことが無く、減衰力調整とフェールセーフを確実に行うことができる。
それゆえ、公差等による製品毎のバラツキを補正するために、弁要素1における弁体2に推力を与えている弾性体たるバネ3や遮断弾性体たるバネ17の初期荷重を調節しても、フェール弁4には影響が無く、フェール時の減衰力に影響を与えることが無いから、フェール時と通常作動時における製品のバラツキを無くすことができる。
また、ソレノイドSは、供給電流が所定値を超えるとフェール弁体28自体を可動鉄心として吸引するので、別途の可動鉄心の設置が不要となって部品点数を削減できる。
さらに、弾性体たるバネ3と遮断弾性体たるバネ17の圧縮長さを調節して初期推力を調節する調節部材たるバネ力調整螺子30を備えたので、製品毎の減衰力のバラツキを無くすことができる。
そして、この実施の形態の場合、可動鉄心27は遮断弾性体たるバネ17と弁体2との間に介装されているので、可動鉄心27が第一固定鉄心24内で遊んでしまうことが無く、振動の入力によって弁体2やワッシャ29に衝突して異音を発生してしまうような事態が阻止される。
フェール弁体28は、フェールポジションを採ると流路に対向して流路を制限するオリフィス28cを備えているので、流路Pに別途オリフィスを備えたサブ流路を並列させるような構成を採用せずにすみ、減衰弁V1の構造を複雑化せずにすむという利点がある。ただし、流路Pに並列するようオリフィスを備えたサブ流路を設けておいて、フェール時に流路Pを完全にフェール弁体28で遮断してサブ流路のみを機能させる構成を採用することを妨げる趣旨ではない。
なお、オリフィス弁体28の環状突起28bの先端に切欠を設けてオリフィスを形成してもよいが、上記した実施の形態に示した孔空け加工によって形成されるオリフィス28cを採用することで、フェール時の減衰力のばらつきを最小限に留めることができるので、狙った通りの安定した減衰力を得ることができる。
また、弁要素1は、上述したところでは、ポペット弁とされているが、ソレノイドSによって駆動されて開弁圧や流路面積を調節することが可能であればよいので、弁形式は上述したポペット弁形式に限定されない。したがって、たとえば、スプール弁として構成されてもよい。
つづいて、図5に示す他の実施の形態における減衰弁V2について説明する。この他の実施の形態の減衰弁V2は、減衰力を発生させる減衰力発生源として主弁40を設け、この主弁40の開弁圧を通常作動時には一実施の形態における弁要素1により、フェール時にはフェール弁4によって、調整することで通常作動時における減衰力調整とフェール時における減衰力の発生を実現している。
したがって、この他の実施の形態における減衰弁V2が一実施の形態における減衰弁V1と異なるのは、主弁40の設置と、それに伴ってバルブハウジング16の構成の一部を若干変更している点である。
なお、他の実施の形態における減衰弁V2の説明にあたり、一実施の形態における減衰弁V1と同じ部材については、説明が重複するので同じ符号を付するのみとして詳しい説明を省略することとする。
さて、この他の実施の形態における減衰弁V2の異なる点について詳しく説明すると、一実施の形態における減衰弁V1でバルブハウジング16の左端をパイプ11のスリーブ11aに嵌合していたところ、この減衰弁V2では、バルブハウジング16の横孔16aに螺着されるとともに主弁40を備えるアダプタ41をスリーブ11aに嵌合している。
このアダプタ41は、図5に示すように、スリーブ11a内に嵌合される大径の基部41aと、基部41aから図5中右方へ突出する軸部41bと、基部41aと軸部41bとを貫くように形成される横孔41cと、横孔41cの途中に交差して横孔41cを軸部41bの側部外周へ連通する縦孔41dと、横孔41cの途中であって縦孔41dの交差点より左方となる排出通路10側に設けた固定弁たる固定オリフィス42と、基部41aを図5中左端から右端へ貫く複数のポートでなる主流路43と、基部41aの図5中右端に主流路43の出口の外周側に形成される環状の主弁座44とを備えて構成されている。
そして、軸部41bは、バルブハウジング16の横孔16a内に挿入されるとともに螺合され、バルブハウジング16に連結され、アダプタ41の横孔41cはバルブハウジング16の横孔16aに連通されている。また、アダプタ41の軸部41bをバルブハウジング16の横孔16aに螺着しても、軸部41bが弁要素1に干渉しない長さに設定されている。このように他の実施の形態における減衰弁V2にあっては、アダプタ41の横孔41c、バルブハウジング16の横孔16aおよび縦孔16bによって流路Pが形成されている。
なお、このアダプタ41の基部41aの外周には、シールリング45が装着されており、これによってスリーブ11aとの間がシールされ、基部41aの外周を介して排出通路10がリザーバ12へ通じてしまうことが無いようになっている。
つづいて、アダプタ41の基部41aの図5中右端には、主弁座44に離着座して主流路43を開閉する主弁体たる環状のリーフバルブ46が積層されており、このリーフバルブ46の内周は、軸部41bをバルブハウジング16の横孔16aに螺着した際に、基部41aとバルブハウジング16の図5中左端によって挟持されるようになっており、リーフバルブ46は外周を自由端として撓むことができるようになっており、リーフバルブ46は主流路43に臨む正面側から受ける圧力で撓んで主流路43を開放するようになっている。
上記したバルブハウジング16の図5中左端は、一実施の形態と異なり小径部16gが設けられており、この小径部16gの外縁でリーフバルブ46の撓みの支点を決するとともに、小径部16gには、外周側から横孔16aに通じる通孔16hが設けられている。
さらに、このバルブハウジング16のフランジ16dより左方外周には、鍔付き筒状のスライダ47が摺動自在に装着されており、スライダ47の鍔とフランジ16dとの間に介装されるバネ48によって図5中左方へ附勢されてスライダ47の左端がリーフバルブ46の外周に当接し、リーフバルブ46は背面から受けるバネ48の附勢力によって主弁座44へ向けて附勢されている。
そして、このスライダ47、リーフバルブ46およびバルブハウジング16によって、バルブハウジング16の小径部16gの側方に環状の背圧室49が形成されており、通孔16hを介して流路Pの途中であって固定オリフィス42と弁要素1における弁体2との間の圧力(二次圧力)を上記背圧室49に導入するようになっており、リーフバルブ46の背面にはバネ48による附勢力以外に、主弁座44へ押圧する方向へ向けて上記二次圧力も作用するようになっている。なお、固定弁は、オリフィス42以外にもチョークでもよい。
すなわち、緩衝器Dの伸縮作動する際に、リーフバルブ46には、正面側から主流路43を介してシリンダ5内の圧力が作用するとともに、背面側からは二次圧力とバネ48による附勢力が作用し、シリンダ5内の圧力によってリーフバルブ46の外周を図5中右方へ撓ませようとする力が、リーフバルブ46自身の撓み剛性、二次圧力に二次圧力がリーフバルブ46に作用する受圧面積を乗じた力およびバネ48の附勢力を合計した合力に打ち勝つと、バネ48が圧縮されてスライダ47が基部41aから後退してリーフバルブ46が撓んで主流路43が開放される。
なお、スライダ47をバルブハウジング16の外周に装着する関係上、スライダ47の動きを妨げることが無いように、シールリング19は廃止されている。また、スライダ47はリーフバルブ46の撓みによって後退してもバネ48によって附勢されているため、背圧室49がリザーバ12に直接連通されてしまうことが無いようになっている。このため、バネ48は、背圧室49のリザーバ12への連通を阻止可能な程度の附勢力を発生できればよい。
ここで、減衰弁V2を通常動作させる場合には、一実施の形態と同様、図4に示すように、ソレノイドSに、所定値I1を超える電流値の範囲となるI2からI3の範囲で電流を供給して、弁要素1における弁体2の開弁圧を調節するようにすると、流路Pにおける固定オリフィス42と弁要素1の間の二次圧力を弁要素1の開弁圧に調節することができる。
このように、弁要素1の開弁圧を調節することで二次圧力を調節することができ、リーフバルブ46の背面に作用する二次圧力を調節することによって、リーフバルブ46の主流路43を開放する開弁圧をコントロールすることができる。
すなわち、ソレノイドSに供給する電流量によって主弁体たるリーフバルブ46と主弁座44とでなる主弁40における開弁圧を電流量によって調節し、緩衝器Dの伸長時にあってはロッド側室8内の圧力を主弁40の開弁圧にコントロールし、緩衝器Dの圧縮時にあってはシリンダ5内の圧力を主弁40の開弁圧にコントロールすることができる。具体的には、ソレノイドSへの供給電流が電流値I2となるときに弁要素1における開弁圧が最小となって主弁40における開弁圧も最小となり、緩衝器Dは、最小のソフトな減衰力を発生し、反対に、ソレノイドSへの供給電流が電流値I3となるときに弁要素1における開弁圧が最大となって主弁40における開弁圧が最大となって、緩衝器Dは、最大のハードな減衰力を発生し、ソレノイドSへの電流供給量を変更することで緩衝器Dの減衰力をソフトからハードの間で無段階に調節することができる。
このように他の実施の形態における減衰弁V2にあっては、レノイドSへの供給電流に応じた推力を弁体2に与えることで二次圧力を調節して主弁40における開弁圧を調節するため、流路Pを流れる流量に依存することなく二次圧力を狙い通りに調節でき、緩衝器Dの伸縮速度が低速域にある場合にもソレノイドSへの供給電流に対する減衰力変化が線形に近く、制御性が向上する。また、レノイドSへの供給電流に応じた推力を弁体2に与えることで主弁体たるリーフバルブ46の背面に作用する二次圧力を調節するので、減衰力のばらつきも小さくすることができる。
そして、フェール時には、ソレノイドSへは通電されないため、弁要素1における弁体2はバネ17に抗してバネ3のバネ力によって図5中右方へ後退せしめられて流路Pを開放し、反対に、フェール弁4におけるフェール弁体28は、バネ33によるバネ力によってバルブハウジング16のフランジ16d側へ押圧されて環状突起28bをフランジ16dに当接させて流路Pにおける流路面積をオリフィス28cにおける流路面積にまで制限することになる。
この状態において、緩衝器Dが伸縮作動すると、二次圧力は、固定オリフィス42とオリフィス28cの抵抗によって決定され、固定オリフィス42における抵抗がオリフィス28cにおける抵抗より小さければ、二次圧力は大きくなり、反対に、固定オリフィス42における抵抗がオリフィス28cにおける抵抗より大きければ、二次圧力は小さくなる。つまり、オリフィス28cの設定によって、フェール時における二次圧力の大きさを決定することができ、主弁40の開弁圧を任意に設定することができる。
すなわち、この減衰弁V2にあっては、通常作動時に主弁40の開弁圧を調節して緩衝器Dの減衰力を調節するにあたり、フェール弁4を開放ポジションとして弁要素1のみを機能させるようにし、反対にフェール時に主弁40の開弁圧を一定させて緩衝器Dの減衰力を発生させるにあたっては、弁要素1で流路Pを制限させずにフェール弁4によってのみ流路面積を制限するようにしている。
したがって、減衰弁V1にあっては作動油を主として流路Pを通過させ、通常作動時には弁要素1でフェール時にはフェール弁4でそれぞれ抵抗を与えて減衰力を発生していたところ、減衰弁V2にあっては、作動油を主として主流路43を通過させ、通常作動時には弁要素1でフェール時にはフェール弁4で主弁40の開弁圧を制御して減衰力を発生するようになっている。
しかしながら、この他の実施の形態における減衰弁V2は、一実施の形態における減衰弁V1と同様に、単一のソレノイドSで弁要素1とフェール弁4を独立して駆動し、ソレノイドSへの供給電流が所定値を超える状態では、弁要素1のみが流路Pを制限してフェール弁4は流路Pに影響を与えず主弁40の開弁圧を弁要素1のみで調節し、反対に、ソレノイドSへの供給電流が所定値以下である場合にはフェール弁4のみが流路Pを制限して弁要素1は流路Pに影響を与えず主弁40の開弁圧をフェール弁4のみで設定するようになっているので、弁要素1とフェール弁4が互いに干渉しあうことが無く、減衰力調整とフェールセーフを確実に行うことができる。
それゆえ、公差等による製品毎のバラツキを補正するために、弁要素1における弁体2に推力を与えている弾性体たるバネ3や遮断弾性体たるバネ17の初期荷重を調節しても、フェール弁4には影響が無く、フェール時の減衰力に影響を与えることが無いから、フェール時と通常作動時における製品のバラツキを無くすことができる。
また、弁要素1、フェール弁4およびソレノイドSの構造については、上述した一実施の形態と同様の構成を採用しているので、一実施の形態における減衰弁V1と同様の作用効果を得ることができる。
加えて、この他の実施の形態における減衰弁V2にあっては、レノイドSへの供給電流に応じた推力を弁体2に与えることで二次圧力を調節して主弁40における開弁圧を調節するため、流路Pを流れる流量に依存することなく二次圧力を狙い通りに調節でき、緩衝器Dの伸縮速度が低速域にある場合にもソレノイドSへの供給電流に対する減衰力変化が線形に近く、制御性が向上し、減衰力のばらつきも小さくすることができるという利点もある。
また、減衰弁V1の構成に、アダプタ41、リーフバルブ46、スライダ47およびバネ48を追加するだけで、減衰弁V2の構成を実現でき、製造上便利である。なお、減衰弁V2におけるバルブハウジング16と減衰弁V1におけるバルブハウジング16とで小径部16g、通孔16hの有無によって若干異なるが、減衰弁V2におけるバルブハウジング16のスライダ47が装着される部位にシールリングを装着できるように環状溝を形成しておけば、減衰弁V1と減衰弁V2のどちらへも適用することができるので部品を共通化することができるのは言うまでも無い。
なお、主弁40における主弁体は薄いリーフバルブ46であるため、減衰弁V2が軸方向に大型化することを防止できる利点があるが、主弁体の背面に作用する二次圧力で開弁圧を調節できればよいので、リーフバルブ以外にもスプールやポペットといった他の形式の弁体を主弁体に採用することができる。
また、ソレノイドSについても、弁要素1における弁体2とフェール弁4とを独立して駆動することができればよいので、上述した形状、構造および磁路は一例であって、これに限定されない。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。